JP3824029B2 - 脱酸素剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属及び金属部品、金属製品、電子部品、電子機器、電気部品、電気製品、精密部品、精密機械、磁気・光学部品、宝飾品、兵器、航空機類、自動車、ガラス、ゴム製品、粘着テープ、写真フィルム、食品、薬品、医薬品、押し花、絵画などの美術品、古文書、衣服、出土品等の酸化劣化を防ぐために脱酸素状態で保存する際に使用される脱酸素剤であって、酸素との反応に伴う発熱を抑制し、廃棄の際、あるいは輸送する際の安全性を高めた脱酸素剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来知られている脱酸素剤には、鉄、アスコルビン酸、カテコール、不飽和脂肪酸等を主剤とする物があるが、これらは何れも主剤の酸化反応を利用しており、脱酸素時に発熱を伴っていた。このため脱酸素剤を大気中に放置した場合、酸素の吸収に伴って急激に温度上昇することがあり、保管時あるいは、廃棄時には、その取扱いを注意する必要があった。
【0003】
このため、脱酸素剤の包装材料の通気性を低くし、酸化反応を制限する事により発熱を抑制する方法を採ったとしても、保温された環境に大量に集積された場合や包装材が破れた場合は蓄熱して高温になることは避けられなかった。また、酸素吸収速度はある程度速くなければ実用性はなく、包装材料の通気性を制御することにより発熱抑制を試みるのは実用性が低かった。
【0004】
この他に、特開平5ー57185に「低分子フェノール化合物と活性炭とアルミナとを配合してなる事を特徴とする脱酸素剤」が開示されている。そこでは、アルミナは発熱抑制のために添加しているが、添加し得る活性アルミナの量は脱酸素剤の実用性を考慮すると僅かであり、十分な発熱抑制効果を得るには脱酸素剤の大型化は避けられず、実用性が低かった。
【0005】
また特開平3ー188288に「不飽和脂肪酸化合物を主剤とする防錆剤(A)と摂氏10度以上50度以下の全ての温度範囲で固体であり、かつ摂氏50度から230度までのいずれかの温度において液状となり流動性を示す物質(B)からなる防錆用組成物」が開示されている。ここで開示されている方法は、ある温度で液状となった物質(B)が防錆剤(A)の表面を覆い、周りの空気との接触を遮断し、酸化反応を制限する事により発熱を抑制するものであるが、その効果は実用上十分であるとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、空気下で保温された環境に大量に脱酸素剤を集積しても脱酸素剤の温度上昇が低く、かつコンパクトな脱酸素剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体を酸素吸収剤に添加する事により、効果的に発熱が抑制される事を見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は酸素吸収剤に、融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の結晶化度65%以上のポリエチレを添加する事を特徴とする脱酸素剤である。また、前記酸素吸収剤が、不飽和脂肪酸化合物及び/または不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を主剤とし、酸素吸収促進物質を含むものであること、この主剤100重量部に対して、結晶化度65%以上のポリエチレンを50〜400重量部を添加した脱酸素剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる固体は、融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体である。融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃である固体を酸素吸収剤に添加した場合に、特に顕著に発熱が抑制される。酸素吸収剤は、酸素を吸収するに従い発熱し、その温度が上昇するが、一定の融点を有する固体を添加すると、固体の融解時に局所的に融解熱が奪われ、その発熱が抑制される。ここで、単位重量当たりの融解熱が小さい固体では、酸素吸収剤から局所的に一気に多量の熱を奪うことができず、発熱抑制効果が低いのだが、それに比較して、単位重量当たりの融解熱が大きい固体は、酸素吸収剤から瞬間的かつ局所的に多量の融解熱を奪うことができるため、高熱になる程促進される酸化反応を熱的に冷却して、また、固体が融けて酸素吸収剤を覆うことで酸素との反応を収束に導くことができ、少量でも効果的に発熱を抑制できる。特に、この発熱抑制効果は、酸素吸収剤を140℃などの高温で使用する場合にさらに顕著に現れる。
【0009】
一般に、酸素吸収剤に添加する固体の総融解熱量が大きい程発熱は抑制されるのであるが、総融解熱量が同じになるように単位重量当たりの融解熱が大きい固体と小さい固体を添加したときを比較すると、大きい固体の方が、小さい固体よりも瞬間的かつ局所的に多量の融解熱を奪うことができるため、より効果的に発熱を抑制できる。つまり、単位重量当たりの融解熱が大きい固体は、単位重量当たりの融解熱が小さい固体よりも遙に少量で同等の発熱抑制効果を発揮できる。従って、固体の単位重量当たりの融解熱は大きい程よく、特に190mJ/mg以上が好ましい。一方、固体の単位重量当たりの融解熱が小さいものは、より多くの量を酸素吸収剤に添加する必要があり、脱酸素剤の大型化をもたらすので実用性が低い。なお、ここでいう融解熱はJIS K7121に基づくDSCの測定結果である。
【0010】
しかし、融解熱が190mJ/mg以上の固体の中でも、融点が低すぎる場合は、例えば、高温で酸素吸収剤を使用する際にも融解してしまい、必要な酸素吸収反応を阻害するので好ましくなく、また、融点が高すぎる場合は安全な温度範囲での発熱抑制が困難となるので不都合である。従って、融点は80℃〜150℃、好ましくは90℃〜140℃、更に好ましくは100℃〜130℃である。
【0011】
ここで、融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体として、ポリエチレン、ポリオキシメチレン等の熱可塑性樹脂、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル及び高級炭化水素等が例示され、これらの混合物であってもかまわない。その中でも入手が容易で、価格も安価なポリエチレンが好ましく、特に、結晶化度が65%以上のポリエチレンが好適である。ここでポリエチレンの結晶化度とは密度法で算出した値である〔JIS K6760、及び、ポリエチレン樹脂 プラスチック材料講座、日刊工業新聞社、22(1969)〕。
【0012】
ポリエチレンは結晶性高分子であり、非晶部分に比べて結晶部分の方が構造的に安定であるため、結晶化度が高いほど高密度であり、単位重量当たりの融解熱も大きく、好ましいが、特に結晶化度65%以上のポリエチレンが好ましい。また、本発明に用いられるポリエチレンは、その他のモノマー、例えばプロピレン、1ーブテン等と共重合していても、単位重量当たりの融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃であればかまわない。
【0013】
本発明に用いられる酸素吸収剤の主剤は、特に制限を受けるものではないが、鉄、炭化鉄等の鉄粉とハロゲン化金属塩等の電解質からなる組成物、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第一鉄塩等の還元性の無機塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール等のポリフェノール類、グルコース等の還元性糖類、アスコルビン酸、エルソルビン酸等の還元性の多価アルコール等の還元剤を主たる有効成分とする任意の組成物、又は、不飽和脂肪酸化合物や不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物等の不飽和有機化合物やポリアミド並びにポリオレフィン等の熱可塑性重合物を主剤とし、遷移金属塩等の酸素吸収促進物質を含む組成物、又はそれらの混合系が例示される。これらの組成物は必ずしも純物質である必要はなく、その製造時に混入してくる溶媒等の少量の不純物は常識的な範囲で許容される。
【0014】
しかし、本発明は、これら酸素吸収剤の中でも、剤中に水をほとんど含まないものに対してより効果的である。これは剤中に水を多く含んでいるものは、水自体が気化熱を奪うことにより発熱抑制効果があるので、本発明の必要性が多少軽減されるからである。従って、これらの中でも、酸素吸収反応に水分を必要としないため、通常、水を意図的に含ませていない、不飽和脂肪酸化合物および/または不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を主剤とし、酸素吸収促進物質を含む酸素吸収剤が、酸素吸収反応が速い反面、これに伴う発熱も大きいために効果的である。
【0015】
本発明の酸素吸収剤に用いられる不飽和脂肪酸化合物とは、炭素数が10以上で炭素間に2重結合を持った不飽和脂肪酸、または該不飽和脂肪酸の塩もしくはエステルである。該不飽和脂肪酸およびその脂肪酸の塩もしくはエステルには、置換基、例えば水酸基やホルミル基等を有していても良い。また、不飽和脂肪酸化合物は必ずしも単一物質である必要はなく、2種以上の混合物であっても良い。
【0016】
不飽和脂肪酸化合物の例として、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、パリナリン酸、ダイマー酸またはリシノール酸等の不飽和脂肪酸、およびこれらのエステルを含有する油脂、エステル類や金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪酸として植物油、動物油から得られる脂肪酸、すなわち、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸、糠油脂肪酸、胡麻油脂肪酸、綿実油脂肪酸、菜種油脂肪酸やトール油脂肪酸等も用いられる。
【0017】
また、不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物とは、炭素数10以上で炭素原子間に2重結合を1つ以上を有した重合物およびその誘導体である。該誘導体は、置換基として、例えば水酸基、アミノ基、ホルミル基やカルボキシル基等が存在しても良い。不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を例示すれば、ブタジエン、イソプレンや1,3−ペンタジエンなどのオリゴマーや重合体が挙げられ、これらは必ずしも単一物質である必要はなく、共重合体や2種以上の混合物であっても良い。不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物は、必ずしも純物質である必要はなく、その製造時に混入してくる溶媒等の少量の不純物は、常識的な範囲で許容される。
【0018】
本発明に用いられる酸素吸収促進物質としては、有機化合物の酸化を促進する金属塩やラジカル開始剤を例示することができる。金属塩としては、Cu、Fe、Co、Ni、CrやMn等の遷移金属塩が好ましく、遷移金属塩として、例えばナフテン酸遷移金属塩や不飽和脂肪酸遷移金属塩が好適に用いられる。
【0019】
酸素吸収剤の主剤及び酸素吸収促進物質が液状物質である場合は、これらを担持させることが好ましく、担体物質としては、天然パルプ、合成パルプからなる紙や合成紙、不織布、多孔フィルム、シリカゲル、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス等の合成ゼオライト、モルデナイト、エリオナイト等の天然ゼオライト、パーライトや活性白土等の粘土鉱物等が例示される。また、担体物質として、脱湿剤やガス吸収剤に選定されるものを選び、担体に脱湿能や酸性ガス吸収能を持たせることも実質的な使用方法である。
【0020】
酸素吸収剤における各成分の割合は、主剤100重量部に対し、酸化促進物質は0.01〜40重量部の範囲であり、担体物質は1〜1000重量部の範囲である。
【0021】
また、本発明の脱酸素剤に脱湿剤を構成成分として加えることもできる。脱湿剤としては、天然パルプ、合成パルプからなる紙や合成紙、シリカゲル、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス等の合成ゼオライト、モルデナイト、エリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、活性白土、生石灰、酸化バリウム、塩化カルシウム、臭化バリウム、水素化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化亜鉛等が例示される。脱湿剤を添加する量は、少なくとも保存する雰囲気の水分を吸収することができる量であり、具体的には主剤100重量部に対し、10〜1000重量部の範囲が好ましい。
【0022】
また、本発明の脱酸素剤にガス吸収剤を構成成分として加えることもできる。ガス吸収剤は、酸素吸収反応において生じる水素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、その他の有臭のガス、並びに保存する雰囲気中にある硫化水素、アンモニア等の腐食性ガス成分等を吸収するものである。これは脱酸素剤が空気下、保温された環境で大量に集積され、蓄熱し高温になると同時に、悪臭となるガスも多く発生するため必要性が高い。ガス吸収剤としてはゼオライト、活性炭、シリカゲル等の物理吸着性の吸収剤、並びにアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、有機酸塩、有機アミン類等の化学吸着性の吸収剤が挙げられる。具体的にはシリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブスに代表される合成ゼオライト、モルデナイトやエリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、酸性白土や活性白土等の粘土鉱物、多孔質ガラス、珪酸マグネウム、珪酸アルミニウム、高分子吸着剤、活性炭、活性炭素繊維、モレキュラーシービングカーボン、骨炭、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、消石灰、ソーダ石灰、アスカライト、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示される。ガス吸収剤を添加する量は、吸収剤の吸収能力により変わってくるが、酸素吸収後発生したガスを実質的に除去できる量を適宜選ぶ必要がある。具体的には、主剤100重量部に対し、1〜5000重量部の範囲が好ましい。
【0023】
なお、紙や木などの相対湿度40〜60%で保存することがより好ましい物品に対しては、本発明の脱酸素剤に調湿剤を構成成分として加えることもできる。本発明に用いられる調湿剤としては、保存雰囲気の湿度を所定の湿度に調湿するものであれば特に限定されないが、塩化バリウム二水塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム三水塩、塩化カルシウム六水塩、硝酸カルシウム四水塩、硫酸カルシウム五水塩、三酸化クロム、シュウ酸二水物、リン酸二分の一水塩、臭化カリウム、フッ化カリウム、硫酸水素カリウム、ヨウ化カリウム、亜硝酸カリウム、炭酸カリウム二水塩、過クロム酸カリウム、塩化リチウム一水塩、酢酸マグネシウム四水塩、硝酸マグネシウム六水塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化ナトリウム二水塩、臭素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム十水塩、ニクロム酸ナトリウム二水塩、硫酸ナトリウム十水塩、硝酸鉛、硝酸亜鉛六水塩、硫酸亜鉛七水塩等の飽和水溶液を綿、紙または珪藻土等に含浸させたもの、水/グリセリン混合溶液を綿、紙または珪藻土等に含浸させたもの、及び平衡含水率分の水分を含んだ紙、綿、皮革、ゴム、木、木炭等が挙げられる。調湿剤を添加する量は、少なくとも脱酸素剤が使用される密封容器内の空間容積の相対湿度を所定の値に保つために必要な量であり、好ましくは、その量の1〜500倍の範囲である。
【0024】
本発明に用いられる融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体の添加量は、使用する酸素吸収剤の発熱量及び添加する融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体の融解熱量、及び脱酸素剤に脱湿剤、ガス吸収剤、及び調湿剤等を添加する場合の構成及び酸素吸収剤を使用する雰囲気によって必ずしも一定でないが、主剤100重量部に対して50〜400重量部、好ましくは、主剤100重量部に対して80〜300重量部、さらに好ましくは主剤100重量部に対して100〜200重量部である。50重量部より少ないと酸素吸収時の発熱抑制効果が小さく、400重量部より多いと脱酸素剤が大型になりコスト高になるため好ましくない。
【0025】
本発明に用いられる融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体の形状、大きさは特に制限されるものではないが、主剤と十分に接触して周囲を覆うような状態にすることが必要であり、余りに角張った形状や大き過ぎるものは好ましくない。また、脱酸素剤の各構成成分と混合した場合の分級、取扱い性も考慮すると、粉状、小さなビーズ状等の粒状が好ましく、その粒径は3.5〜350メッシュ、好ましくは5〜200メッシュ、さらに好ましくは10〜150メッシュである。
【0026】
本発明の酸素吸収剤と融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体は混合して用いるが、ガス吸収剤、及び脱湿剤は、これとは別に単一の剤として、また各成分を混合して一つの脱酸素剤として用いることも可能である。酸素吸収剤と融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体、脱湿剤、さらにはガス吸収剤は、被保存物品に直接触れることは好ましくなく、通常は、例えば紙、不織布、プラスチック等を基材とする通気性包材に包装して包装体として使用される。包装体の形態は必ずしも限定されず、目的に応じて、例えば、小袋、シート、ブリスター包装体等が挙げられる。包装体の包装材料および構成は特に限定されない。また防塵対策として、上記包装体を酸素、水分及び酸性ガスの透過性に支障を来さず、かつ包装体から発生するダストを外部に放出させない無塵包材で更に覆い、二重包装体とすることも可能である。しかし包装体自体に防塵対策が施されている場合には、改めて無塵包材で覆う必要はない。
【0027】
【実施例】
以下に本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、ポリエチレンの結晶化度の計算において、完全結晶の密度=1.000g/cm3、 完全非晶の密度=0.856g/cm3 を使用した。
また、通気断熱条件下における脱酸素剤組成物の発熱温度は以下のようにして室温で測定した。網目の円筒状のステンレス籠(直径30cm、高さ15cm、編み目0.5cm)の内部を厚さ約2cmの脱脂綿で覆って、この内部に脱酸素剤包装体を100個入れ、上部を同様に脱脂綿で覆った。この上部から熱電対を中心部まで差し込み最高温度を測定した。
また、140℃恒温下における発熱温度は「物質の危険性評価の試験方法並びに判定基準の解説(日本海事検定協会発行、平成5年2月1日第3版)」に準拠して行った。具体的には1辺10cmの立方体で上部が開放されたステンレス網(0.3mmメッシュ)で構成された籠の中に、粉状の試験物品をすりきれまで入れる。この試験物品の中央部(籠の中央部)付近に熱電対を差し込み、これを140℃恒温下の乾燥器中に24時間つるし、最高温度を測定した。200℃を超えて著しく温度が上昇したものは「200℃以上」と表記した。
【0028】
実施例1
脱酸素剤は以下のようにして製造した。大豆油100重量部とナフテン酸Co(Co含有量4重量%)0.31重量部を混合し均一溶液を得た。この均一溶液を天然ゼオライト375重量部に含浸して担持し、これに融解熱量が268mJ/ mg、結晶化度74%、20〜150メッシュの高密度ポリエチレンを100重量部加え混合した。この脱酸素剤の発熱温度を140℃恒温下で測定した。その結果を表1に示す。
【0029】
比較例1〜3
実施例1の融解熱量が268mJ/mgの高密度ポリエチレンを、表1記載の融解熱量が145mJ/mg、20〜150メッシュの直鎖状低密度ポリエチレンに変更し、さらにその添加重量を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同じにして行った。結果を表1に示す。比較例1、2では、実施例1よりポリエチレンの添加重量を増やし、その総融解熱量も大きくなるにもかからわず、発熱を有効に抑制できなかった。比較例3でポリエチレンの添加重量を600重量部まで増やしてやっと発熱を抑制できた。
【0030】
実施例2
実施例1と同様にして製造した脱酸素剤を、通気性包装材料(紙/開孔ポリエチレン 50mm×100mm)の小袋に10g充填し、小袋の周囲をヒートシールして脱酸素剤包装体とし、この脱酸素剤包装体の発熱温度を25℃通気断熱条件下で測定した。一方140℃恒温下では、包装体とせずに実施例1と同様に脱酸素剤の発熱温度を測定した。その結果を表2に示す。
【0031】
実施例3〜4
実施例2の結晶化度74%の高密度ポリエチレンの添加量を表2記載のように変更した以外は実施例2と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0032】
実施例5〜8、10、11
実施例3の酸素吸収剤を表3中の酸素吸収剤に変更し〔実施例6、7の大豆油/LPI、大豆油/LPBの混合比は大豆油75重量部、LPI(液状ポリイソプレン)又はLPB(液状ポリブタジエン)が25重量部〕、さらに表3中の脱湿剤、ガス吸収剤、調湿剤〔グリセリン/水混合溶液(W/W=80/20 )〕を添加した以外は実施例3と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0033】
実施例9
脱酸素剤は以下のようにして製造した。カテコール125重量部と活性炭250重量部に炭酸ナトリウム125重量部を混合し、これに融解熱量が268mJ/mg、結晶化度74%、20〜150メッシュの高密度ポリエチレンを150重量部加え混合し、脱酸素剤とした。製造した脱酸素剤は、通気性包装材料(紙/開孔ポリエチレン 50mm×100mm)の小袋に10gずつ充填し、小袋の周囲をヒートシールして脱酸素剤包装体とした。この脱酸素剤包装体の発熱温度を通気断熱条件下で、脱酸素剤の発熱温度を140℃恒温下でそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
【0035】
実施例15〜19
実施例3の結晶化度74%の高密度ポリエチレンを表5記載の20〜150メッシュの高密度ポリエチレンに変更した以外は実施例3と同様にして行った。結果を表5に示す。
【0036】
比較例4
実施例4の結晶化度74%の高密度ポリエチレンを添加しなかった以外は実施例4と同様にして行った。結果を表6に示す。
【0037】
比較例5〜8
実施例4の結晶化度74%の高密度ポリエチレンを表6記載の20〜150メッシュの直鎖状低密度ポリエチレンに変更した以外は実施例4と同じにして行った。結果を表6に示す。
【0038】
比較例9〜11
実施例4の結晶化度74%の高密度ポリエチレンを表7記載の20〜150メッシュの分岐低密度ポリエチレンに変更した以外は実施例4と同じにして行った。結果を表7に示す。
【0039】
比較例12〜15
実施例4の結晶化度74%の高密度ポリエチレンを表8記載の20〜150メッシュの熱可塑性樹脂に変更した以外は実施例4と同じにして行った。結果を表8に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【発明の効果】
本発明では、酸素吸収剤に融解熱が190mJ/mg以上、融点が80℃〜150℃の固体を添加する事により、該固体の融解時に多量の熱を奪い発熱を抑えるとともに、融解物が酸素吸収剤を覆うことにより周りの空気との接触を遮断し、酸化反応を抑制することによっても発熱を抑える。
Claims (3)
- 酸素吸収剤に、融解熱が190mJ/mg以上、融点80℃〜150℃の結晶化度65%以上のポリエチレンを添加する事を特徴とする脱酸素剤。
- 前記酸素吸収剤が、不飽和脂肪酸化合物及び/または不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を主剤とし、酸素吸収促進物質を含むものである請求項1記載の脱酸素剤。
- 前記主剤100重量部に対して、結晶化度65%以上のポリエチレンを50〜400重量部を添加する請求項2記載の脱酸素剤。
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