JPH05269376A - 酸素吸収剤 - Google Patents

酸素吸収剤

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JPH05269376A
JPH05269376A JP4068315A JP6831592A JPH05269376A JP H05269376 A JPH05269376 A JP H05269376A JP 4068315 A JP4068315 A JP 4068315A JP 6831592 A JP6831592 A JP 6831592A JP H05269376 A JPH05269376 A JP H05269376A
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Takashi Kashiba
隆史 加柴
Hidetoshi Hatakeyama
秀利 畠山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属探知機に検知されない非鉄系脱酸素剤で
あって、空気中に大量に集積したり、外気温度が異常に
高くなっても発火危険性がなくしかも酸素吸収性能に優
れた脱酸素剤を提供する。 【構成】 アスコルビン酸またはその塩を主剤とし、こ
れにアルカリ金属の炭酸塩、金属化合物及び水を添加
し、無機フィラーと混合した酸素吸収剤。無機フィラー
としては、組成中の鉄分6000ppm以下であるもの
が好適に用いられる。 【効果】 無機フィラーを含有することにより、空気中
に大量に集積しても、急激な発熱反応を抑制することが
できる。また無機フィラー中の鉄分を6000ppm以
下とすることによって、金属探知機に検知されない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸素吸収剤に関する。さ
らに詳しくは金属探知機に検知されない非鉄系酸素吸収
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】食品の保存の技術の一つとして脱酸素剤
による技術があり、食品のカビ防止、酸化防止、変色防
止などに使用されている。脱酸素剤としては鉄を主剤と
するもの、アスコルビン酸等の有機物を主剤としたもの
等が知られている。食品メーカーによっては製品への
針、釘等の金属の異物混入を防止のため金属探知機を使
用し、品質管理を行っている所がある。このような金属
探知機を使用している食品メーカーでは鉄系の脱酸素剤
が使用できずアスコルビン酸等の有機系の脱酸素剤が使
用されている。
【0003】従来のアスコルビン酸等を用いた有機系の
脱酸素剤としては、特開昭51−136845、特開昭
52−10884、特開昭54−98348、特開昭5
4−132246、特開昭55−61914等にみられ
るようにアスコルビン酸類とアルカリ粉末、金属塩及び
水に活性炭を混合して得られる脱酸素剤がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】非鉄系脱酸素剤の主剤
として使用されるアスコルビン酸類は、有機化合物であ
り可燃物である。またアスコルビン酸類への充填剤とし
て使用される活性炭も消防法(石炭、木炭類)における
指定可燃物である。これらの脱酸素剤はアスコルビン酸
類の酸化反応により酸素吸収を行うので、反応の際に発
熱を伴う。これらの脱酸素剤が大量に集積された状態で
酸素吸収を行うと酸化反応による生成熱が蓄熱され、こ
れが酸化反応を加速し、この結果組成中の可燃物が自然
発火するという危険性があった。またこれらの脱酸素剤
が少量であっても、雰囲気温度が高くなれば、酸化反応
が加速されて急激な発熱が起こり、同様に自然発火の危
険性があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる問題点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アスコルビン酸ま
たはアスコルビン酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、金属化
合物、水を含むものに無機フィラーを共存させることに
より、大量に集積されたり、雰囲気温度が高くなっても
自然発火の危険性がなく、しかも鉄分を除去した無機フ
ィラーを使用することにより金属探知機に検知されない
酸素吸収性能に優れた非鉄系脱酸素剤を発明するに至っ
た。
【0006】本発明において、アスコルビン酸またはそ
の塩としてはL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸
ナトリウムまたはD−iso−アスコルビン酸ナトリウ
ムの単独あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0007】アルカリ金属の炭酸塩としてはNa2 CO
3 、NaHCO3 、K2 CO3 またはKHCO3 等が用
いられるが、これらの塩は単独または混合物が用いられ
る。アルカリ金属の炭酸塩の量はアスコルビン酸または
その塩100重量部に対して1〜100重量部であり、
好ましくは10〜50重量部である。
【0008】金属化合物としては鉄化合物、銅化合物、
亜鉛化合物、マンガン化合物が好適に用いられる。具体
的にはFeCl2 、FeCl3 、FeSO4 、Fe
2 (SO 4 3 、CuCl、CuCl2 、CuSO4
ZnCl2 、ZnSO4 、MnCl2 、またはMnSO
4 の無水塩または含水塩が用いられるが、これらの中で
鉄化合物の無水塩または含水塩が特に好ましい。金属化
合物の量はアスコルビン酸またはその塩100重量部に
対して1〜100重量部であり、好ましくは5〜50重
量部である。
【0009】本発明において、無機フィラーとしてはア
スコルビン酸類の酸化反応を促進したり、添加した水を
保持するために適度の細孔径を有することのほか、空孔
容積の大きいものが好ましい。無機フィラーの細孔径が
大きい場合は、アスコルビン酸類が空気と接触するのに
必要な通気孔が充分に得られるため酸素吸収速度に優れ
る。しかし無機フィラーの細孔径が大きすぎると、添加
した水を細孔内に保持できなくなる。無機フィラーの平
均細孔径は500Å〜20,000Åであり、好ましく
は1,000Å〜5,000Åである。
【0010】また、空孔容積が大きい場合は、添加した
水の担持可能量が多くなるため酸素吸収剤全体の量を減
少し、酸素吸収剤包装体をコンパクトにすることができ
る。しかし空孔容積が大きすぎると、酸素吸収主剤であ
るアスコルビン酸類の充分な酸化反応が行われないこと
がある。無機フィラーの空孔容積は0.1〜2cc/g
であり、好ましくは0.3〜1.5cc/gである。
【0011】無機フィラーは具体的には、シリカ、ジル
コン砂、アルミナシリケート、酸化アルミニウム、活性
アルミナ、水酸化アルミニウム、ソーダガラス、珪酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、パーライト、ゼオ
ライト、活性白土等が用いられる。これらの中で、比表
面積、空孔容積等からシリカ、活性アルミナ、珪藻土、
パーライト、ゼオライト、活性白土等が好ましい。特に
好ましくは珪藻土であり、珪藻土のなかでも特に海洋性
珪藻類の堆積により生成した海成珪藻土が好ましい。こ
れらの無機フィラーは単独もしくは2種以上併用して用
いられ、粉末でも粒状物でも良い。
【0012】さらに珪藻土、パーライト、活性白土等の
鉱物性資源である無機フィラーにおいては、鉄分が組成
中に6000ppm以上存在する場合がある。無機フィ
ラーの組成中に鉄分が6000ppm以上含まれる場
合、食品ユーザー等で用いられている金属探知機に検知
される可能性があり、これを避けるため無機フィラーを
塩酸、硫酸等の酸により洗浄し、組成中に存在する鉄分
を溶解し6000ppm以下とする必要がある。
【0013】無機フィラーの量は、アスコルビン酸また
はアスコルビン酸塩の粉末と造粒する場合は、アスコル
ビン酸またはその塩100重量部に対して10〜300
重量部であり、好ましくは50〜200重量部である。
また、アスコルビン酸またはその塩を溶液とした場合は
アスコルビン酸またはその塩100重量部に対して10
0〜500重量部であり、好ましくは200〜400重
量部である。無機フィラー量が少なすぎる場合、自然発
火の危険性を充分に抑制する効果がなくなり、多すぎる
場合は酸素吸収剤の量が増大し、包装材料の寸法上、コ
ストの問題が生じる。
【0014】本発明における各成分の配合方法は、アス
コルビン酸またはアスコルビン酸塩、アルカリ金属の炭
酸塩、金属化合物および粉末無機フィラーを混合し、水
を添加したのち顆粒状に造粒する方法、あるいは、あら
かじめアスコルビン酸またはその塩、アルカリ金属の炭
酸塩及び金属化合物を水に溶解した後、粒状無機フィラ
ーにその溶液を含浸する方法、またはアスコルビン酸ま
たはその塩、アルカリ金属の炭酸塩及び金属化合物を水
に溶解した後、粉末無機フィラーに含浸したのち顆粒状
に造粒する方法などがある。
【0015】本発明の酸素吸収剤は、通常通気性小袋な
どの包装体として使用に供される。通気性の包装材料と
しては、酸素透過度が5,000〜5,000,000
ml/m2 ・atm・Day、透湿度が1〜5,000
g/m2 ・Dayのものが好ましい。
【0016】
【実施例】
実施例1 水20gにL−アスコルビン酸ナトリウム10g、硫酸
第一鉄2gおよび炭酸ナトリウム3gを加えて充分に撹
拌して溶解させた。この溶液3gを0.5〜1.5mm
の粒度分布をもち、塩酸処理を行ない鉄分6000pp
m以下とした粒状珪藻土(海洋性珪藻類の堆積により生
成した海生のもの)3gに含浸して酸素吸収剤を得た。
この酸素吸収剤4gを有孔ポリエチレンフィルムをラミ
ネートした紙袋に封入し、酸素吸収剤包装体とした。こ
の酸素吸収剤包装体をKコートナイロン/ポリエチレン
の積層フィルム外装袋内に空気500ミリリットルとと
もに密封し、25℃下に於いて24時間後の袋内の酸素
濃度を測定したところ0.1%以下であった。
【0017】実施例2 実施例1の酸素吸収剤包装体を0.5φの鉄球が通過す
ると検知できるように感度設定した安立電気製金属探知
機(型式K470A)に通過させたところ、金属探知機
に検知されなかった。
【0018】比較例1 実施例1の溶液3gを0.5〜1.5mmの粒度分布を
もつ粒状珪藻土3gに含浸して酸素吸収剤を得た。この
酸素吸収剤4gを有孔ポリエチレンフィルムをラミネー
トした紙袋に封入し、酸素吸収剤包装体とした。この酸
素吸収剤包装体を0.5φの鉄球が通過すると検知でき
るように感度設定した安立電気製金属探知機(型式K4
70A)に通過させたところ、金属探知機に検知されラ
インが停止した。
【0019】比較例2 実施例1の溶液3gを0.5〜1.5mmの粒度分布を
もつ石炭系粒状活性炭3gに含浸して酸素吸収剤を得
た。この酸素吸収剤4gを有孔ポリエチレンフィルムを
ラミネートした紙袋に封入し、酸素吸収剤包装体とし
た。この酸素吸収剤包装体をKコートナイロン/ポリエ
チレンの積層フィルム外装袋内に空気500ミリリット
ルとともに密封し、25℃下に於いて24時間後の袋内
の酸素濃度を測定したところ2.4%であった。
【0020】実施例3 水800gにL−アスコルビン酸ナトリウム500g、
硫酸第一鉄80gおよび炭酸ナトリウム120gを加え
て充分に撹拌して溶解させた液を得た。この溶液400
gを0.5〜1.5mmの粒度分布を持つ活性白土60
0gに含浸して酸素吸収剤を得た。
【0021】実施例4 実施例3の溶液400gを0.5〜1.5mmの粒度分
布をもち、塩酸処理を行ない鉄分6000ppm以下と
した粒状珪藻土500gに含浸し、粒度100メッシュ
以下の粉末活性炭30gを被覆して酸素吸収剤を得た。
【0022】比較例3 実施例3の溶液400gを0.5〜1.5mmの粒度分
布をもつ粒状活性炭500gに含浸して酸素吸収剤を得
た。
【0023】比較例4 L−アスコルビン酸ナトリウム200g、炭酸水素ナト
リウム200g、炭酸水素ナトリウム200g、硫酸第
一鉄100g、粒度100メッシュ以下の粉末活性炭2
00gを混合した後、100gの水を添加し撹拌造粒機
にて造粒を行い、粒径0.3mm〜1.5mmの粒度分
布をもつ酸素吸収剤を得た。
【0024】実施例5 実施例3、4および比較例3、4で得られた酸素吸収剤
により自然発火危険性の試験を行った。この自然発火危
険性の試験は、運輸省海上技術安全局より定められてい
る「未知物質の危険性評価の試験方法および判定基準」
の試験方法に準じて行った。この試験方法の判定基準は
3段階の容器等級によって分類される。判定基準を表1
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】試験結果を表2に示す。
【表2】
【0027】
【発明の効果】以上の試験結果から、本発明の酸素吸収
剤は、金属探知機に検知されない脱酸素剤であり、これ
が大量に集積されたり、また雰囲気温度が高くなって
も、酸素吸収剤の自然発火の危険性がなく、さらに酸素
吸収性能の優れた非鉄系脱酸素剤であることがわかる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスコルビン酸またはアスコルビン酸塩
    が酸素吸収用の主剤であり、この他にアルカリ金属の炭
    酸塩、金属化合物、水および無機フィラーを含む酸素吸
    収剤。
  2. 【請求項2】 無機フィラーが、アスコルビン酸もしく
    はアスコルビン酸塩、アルカリ金属の炭酸塩および金属
    化合物を含む溶液または混合物を含浸した請求項1の酸
    素吸収剤。
  3. 【請求項3】 無機フィラーが鉄分を除去したものであ
    る請求項1の酸素吸収剤。
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