JP2007155123A - 断熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】気体吸着活性が高く、特に窒素に対する吸着性能が高い吸着性化合物用いて作製した、常温常圧、あるいは常温減圧下でも大容量の気体を吸着可能な気体吸着材を備えた、高性能な断熱材を提供する。
【解決手段】断熱体6は、無機繊維集合体の芯材7と気体吸着材1とを、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムからなるガスバリア性を有する外被材8で覆い、外被材8の内部を減圧してなり、気体吸着材1が、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体と、化学的水分吸着性物質と、酸素吸着材と、水素吸着材とを含み、これらの材料をアルゴンなどの不活性気体中で混合し、ペレット化を施したものである。
【選択図】図13

Description

本発明は、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
このような課題を解決する一手段として、空間を保持する芯材と、この芯材により保持された空間と外気とを遮断する外被材によって構成される真空断熱体がある。その芯材として、一般に、粉体材料、繊維材料、連通化した発泡体などが用いられているが、近年では、真空断熱体への要求が多岐にわたってきており、一層高性能な真空断熱体が求められている。
真空断熱体の断熱原理は、熱を伝える空気を可能な限り排除し、気体による熱伝導を低減することである。従って、真空断熱体の断熱性能を向上するためには、内部圧力をより低圧とし、分子の衝突による気体熱伝導を抑制する必要がある。しかしながら、工業的レベルで実用的に達成可能な真空度は0.1torr程度であり、これ以上の高真空にすることは困難である。
また、真空断熱体内部から発生するガスや、外部から経時的に真空断熱体へ透過侵入してくる空気成分も真空断熱体の経時的な断熱性能の劣化を招く要因となる。よって、これらの気体、すなわち空気中の窒素および酸素、水分、水素を吸着除去することにより、初期断熱性能を向上し、経時的な断熱性能を維持することが可能となる。
また、これらの気体の吸着は、非可逆であることが要求されるため、物理吸着は不適であり、より強固な結合を形成する化学吸着が望ましい。しかしながら、空気の80%をしめる窒素は、安定な三重結合を有するため、化学吸着は非常に困難である。
例えば、希ガス中に不純物として含まれる窒素、あるいは炭化水素などを取り除くものとしては、ジルコニウム、バナジウム及びタングステンからなる三元合金のゲッター材がある(例えば、特許文献1参照)。
上記三元合金は、100〜600℃の温度で、微量の不純物を含む希ガスと接触させることにより、希ガスから窒素等の不純物を除去するものである。
また、窒素に対して高ガス吸着効率を備える無蒸発ゲッター合金としては、ジルコニウム、鉄、マンガン、イットリウム、ランタンと、希土類元素の1種の元素を含む合金がある(例えば、特許文献2参照)。
上記の窒素に対して高ガス吸着効率を備える無蒸発ゲッター合金は、300〜500℃の間の温度で10〜20分間活性化処理を行うことにより、水素、炭化水素、窒素等の吸着に対して、室温でも作用することができるものである。
また、低温で窒素を除去する合金としては、Ba−Li合金がある(例えば、特許文献3参照)。
Ba−Li合金は、乾燥材と一緒に、断熱ジャケット内の真空を維持するためのデバイスとして使用され、室温においても窒素等のガスに対して反応性を示す。
また、ジカルボン酸と、特定の二価の金属と、金属へ二座配位可能な有機配位子とを含む金属錯体を、ガス吸着材として用いたものがある(例えば、特許文献4参照)。
また、吸脱着等温線がヒステリシスループを示し、配位結合、共有結合、イオン結合、および、水素結合の総数を1としたときに、水素結合の総数が0.2以上である金属錯体を、ガス吸着材として用いたものがある(例えば、特許文献5参照)。
特開平6−135707号公報 特表2003−535218号公報 特表平9−512088号公報 特開2001−348361号公報 特開2004−74026号公報
しかしながら、特許文献1に記載の吸着材では、300〜500℃で加熱し続けることが必要であり、高温での加熱であるためエネルギーコストが大きく環境にも悪く、また、低温でのガス吸着を望む場合は使用できない。
また、特許文献2に記載の吸着材では、300〜500℃の前処理が必要であり、高温での前処理が困難な場合のガス除去、例えばプラスチック袋中のガスを常温下で除去することは困難である。
また、特許文献3に記載の吸着材では、活性化のための熱処理を必要とせず常温で窒素吸着が可能であるが、そのため、取り扱い時に空気中の水分、窒素などと反応してしまうという問題がある。また、窒素吸着に対するさらなる大容量化が望まれていると共に、Baは劇物指定物質であるため、工業的に使用するに際して環境や人体に対して問題のないものが望まれている。
さらには、合金材料であるためにゲッター自身の熱伝導率が高く、ゲッターを適用することにより断熱性能の悪化する部位が生じることとなる。
また、特許文献4に記載の吸着材では、合金材料よりも単位重量あたりの吸着量は大きいが、加圧条件下で、ガスと接触させることにより、ガス吸着が発現するものであり、常圧、減圧下では脱離が生じる。高圧下で吸着し、減圧下で脱離する、吸蔵挙動が求められる用途では適用可能であるが、完全に気体を除去するための用途では不適当である。
また、特許文献5に記載の吸着材では、特許文献4に記載の吸着材と同様に、合金材料よりも単位重量あたりの吸着量は大きいが、加圧条件下で、ガスと接触させることにより、ガス吸着が発現するものであり、常圧、減圧下では脱離が生じる。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、気体吸着活性が高く、特に窒素に対する吸着性能が高い吸着性化合物用いて作製した、常温常圧、あるいは常温減圧下でも大容量の気体を吸着可能な気体吸着材を備えた、高性能な断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体を含むことを特徴とする。
上記構成において、オープンメタルサイトが気体分子と分子間相互作用を発現することにより、気体分子が分子状でオープンメタルサイトへ配位した結果、吸着が生じ、断熱体の内部圧力をより低圧とし、分子の衝突による気体熱伝導を抑制できる。
また、オープンメタルサイトは、配位飽和、あるいは配位不飽和な金属イオンで構成されてもよいが、前記オープンメタルサイトが4個の配位サイトを有し、少なくとも1つの空き配位サイトを有し、3個以下のサイトが配位状態にある金属イオンで構成されているものでは、より気体分子と強い分子間相互作用を有する。
本発明の断熱体は、気体吸着材に含まれる吸着性集積型金属錯体が、オープンメタルサイトを有していることにより、分子量45以下であり293K、130Pa条件下で気体である分子と強い相互作用を生じ、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水分等の気体、中でも特に窒素に対する活性が非常に高く、既存気体吸着材よりも、常温常圧、あるいは常温減圧下でも一層大容量の気体種を吸着、固定化できるため、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素等および経時的に侵入する窒素等を吸着除去し、その結果、外被材の内部空間の到達圧力が、真空ポンプのみを使用した際より低減し、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる。
本発明の請求項1に記載の断熱体は、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体を含むことを特徴とする。
オープンメタルサイトの一つの態様は、金属イオンが配位不飽和であり、その配位状態に少なくとも1つの空きサイトを有する場合である。この場合、被吸着分子が、空きサイトへ相互作用可能である。
オープンメタルサイトの他の態様は、金属イオンが配位飽和であっても、配位子間のねじれ、ゆがみにより、吸着活性を示す場合である。
少なくとも1つの空きサイトを有する集積型金属錯体の合成方法の一例を示すと、メタルセンターに予め易脱離性の官能基が1つ配置された構造体、あるいは易脱離性の官能基を1つ有するメタルセンターを持つ構造体を適切に加熱処理することにより、易脱離性の官能基を脱離させて、合成するものである。
また、2つの空きサイトを有する集積型金属錯体を合成する場合は、同様に易脱離性の官能基数を2つにすればよい。
また、被吸着分子は、液体であっても、気体であっても良いが、本発明においては気体分子の吸着を目的としている。
また、吸着性集積型金属錯体は、多孔構造であっても、非多孔構造であってもよい。より多量の気体を吸着させたい場合には、多孔構造であることが望ましい。
また、請求項2に記載の断熱体は、請求項1に記載の発明において、吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、4個の配位サイトを有し、少なくとも1つの空き配位サイトを有し、3個以下のサイトが配位状態にある金属イオンで構成されている。
飽和配位サイトが4個を越えるオープンメタルサイトでは、立体障害による吸着阻害作用が生じやすいため、4個の配位サイトを有するものが適当である。
また、請求項3に記載の断熱体は、請求項2に記載の発明における金属イオンが、銅イオンを含むものである。
銅イオンは、気体吸着活性が高く、特に吸着困難であるとされている窒素や、一酸化炭素、水素、酸素に対して高い吸着性を示すことが確認できた。特に、銅一価イオンが好ましい。
また、請求項4に記載の断熱体は、請求項2または3に記載の発明における空き配位サイトが、加熱により生じたことを特徴とするものである。
加熱により空き配位サイトとなるサイトは、加熱により脱離する何らかの化合物、例えば合成時の溶媒などを予め配位させ作製するものであって、本構成により、気体吸着活性をブロッキングできるものであり、例えば、加熱前は、大気中での取り扱いが可能であり、任意の加工、成型が容易である。
この際の加熱温度は、吸着性集積型金属錯体の熱分析(TG)などにより求めることができる。脱離する化合物の含有率と、加熱による重量減少率との合致する温度を加熱温度とする。
加熱により脱離する化合物としては、金属イオンに対して結合力の弱い物質、すなわち塩基性の弱い、配位子や、集積型金属錯体合成時の溶媒などが利用できる。
また、加熱の際は、常圧であっても減圧であっても良いが、加熱により脱離する化合物の種類により、減圧が好ましい場合もある。また、雰囲気ガスは、特に指定するものではないが、不活性雰囲気下が望ましい。
加熱により脱離する化合物としては、例えば、アセトニトリル、メタノールやエタノールなどの低分子量のアルコール、一酸化炭素、エチレンなどである。
また、請求項5に記載の断熱体は、請求項4に記載の発明における加熱温度が、200℃以下であることを特徴とするものである。
加熱温度は、取り扱い性などを考慮すると、200℃以下が望ましい。加熱により脱離する化合物としては、例えば、アセトニトリル、メタノールやエタノールなどの低分子量のアルコール、一酸化炭素、エチレンなどである。
また、アセトンなど沸点の低い化合物が配位していた場合には、200℃より低い温度で脱離が生じ、気体吸着活性を示すものである。従来の合金材料での活性化温度と比較すると、加熱温度が低く、エネルギー的にも有利である。
また、請求項6に記載の断熱体は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、分子量45以下であり293K、130Pa条件下で気体である分子を吸着可能であることを特徴とするものである。
分子量45以下であり293K、130Pa条件下で気体である分子としては、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレンなどが例示できる。本発明における吸着性集積型金属錯体は、これらの気体の吸着を実現するとともに、特に吸着困難である窒素に関して強い活性を示すものである。
また、請求項7に記載の断熱体は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明における吸着性集積型金属錯体が、金属イオン化合物と、少なくとも2つの架橋配位子化合物L1およびL2を自己集積させて合成されることを特徴とする。
また、請求項8に記載の断熱体は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明における吸着性集積型金属錯体が、金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを自己集積させて合成されることを特徴とする。
本構成において、金属イオン化合物は、集積型金属錯体構造の形成およびオープンメタルサイトの形成に必要なものであり、架橋配位子化合物L1は集積型金属錯体構造の形成に、L2はオープンメタルサイトへの配位化合物として必要なものである。
合成は、金属イオン化合物と、少なくとも2つの架橋配位子化合物L1およびL2とを適当な溶媒中混合し、これらを自己集積させて行うものである。必要であれば、さらに配位子を加えてもよい。
また、金属イオン化合物とは、金属イオンと無機イオンからなる塩、および、金属イオンと無機イオンと低分子量配位子とからなる塩であれば利用することが可能である。
また、請求項9に記載の断熱体は、請求項7または8に記載の発明における金属イオン化合物が、銅錯体であるものであり、例えば、CuBrやCu(NO、[Cu(CHCN)]PF、[Cu(CHCN)]BFなどである。
また、請求項10に記載の断熱体は、請求項7に記載の発明における架橋配位子化合物L1が、二座以上の多座配位子であって、末端に金属イオンとの結合部位となる、酸素原子または窒素原子を有することを特徴とするものである。
また、請求項11に記載の断熱体は、請求項8に記載の発明におけるオープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物が、金属錯体配位子であることを特徴とするものである。
L1は、集積型金属錯体構造を形成する作用をするため、少なくとも二座以上の多座配位子である必要があり、また、末端に金属イオンとの結合部位となる、酸素原子または窒素原子を有することにより、多孔性で、かつ安定した集積型金属錯体構造を形成することが可能となる。
L2は、次の2種が適用可能である。
まずは、オープンメタルサイトである金属イオンへ配位し、後に、減圧下、200℃以下で脱離する何らかの化合物であって、金属イオンに対して結合力の弱い物質、すなわち塩基性の弱い、配位子や、集積型金属錯体合成時の溶媒などもL2として作用することができるものである。例えば、アセトニトリル、メタノールやエタノールなどの低分子量のアルコール、一酸化炭素、エチレンなどである。
もう一方は、L1との組み合わせにより、配位した金属イオンを自ずとオープンメタルサイトとして形成する作用を有するものである。L1との組み合わせによるが、例えば、下記L1に対しては、
Figure 2007155123
次の分子がL2として作用する。
Figure 2007155123
本発明における吸着性集積型金属錯体の他の1つの製法は、金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを自己集積させてなる工程を経るものである。
本構成においては、金属イオン化合物は、集積型金属錯体構造の形成のみに必要であり、オープンメタルサイト形成には使用されない。オープンメタルサイトの金属イオンは、予め架橋配位子化合物に組み込まれた状態で準備されており、金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを自己集積させることにより、吸着性集積型金属錯体を合成するものである。
合成は、金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを適当な溶媒中を用いて接触させ、これらを自己集積させるものである。
また、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とは、主に配位不飽和な金属錯体のことである。
例えば、飽和配位サイトが4個で、空きサイトが1つのオープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物は、
Figure 2007155123
のようなものである。E,F,Gは隣接する原子などと環構造を構成しており、Jは環構造へ結合している配位可能な官能基である。
飽和配位サイトが5個で、空きサイトが1つのオープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物は、
Figure 2007155123
となり、A、B、C、Dも隣接する原子などと環構造を構成している。
ここで、Mは金属イオンであれば利用でき、第一遷移金属および第二遷移金属のイオンが望ましい。特に銅イオンが適しており、銅一価イオンがより好ましい。また、A〜Gは、酸素、窒素、リン、硫黄など、金属イオンに配位可能な元素であれば、適用可能である。またJは、金属イオンに配位可能なサイトを有する官能基であり、
Figure 2007155123
などである。ここでαは、水素やアルカリ金属元素など、任意に選択できる。
オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物の一例として次の物質があげられる。
Figure 2007155123
また、請求項12に記載の断熱体は、請求項1に記載の発明における吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、配位状態にねじれ、ゆがみがあり、被吸着分子が相互作用可能な空間裕度を持つ配位飽和な金属イオンで構成されていることを特徴とする。
配位飽和な金属錯体配位子あっても、配位子間のねじれ、ゆがみにより、オープンメタルサイトが吸着活性を示すものは利用可能である。
本発明の好ましい一態様は、吸着性集積型金属錯体を、金属イオン化合物として、銅錯体を使用して形成することである。
本構成において、銅錯体から形成される、銅イオンを含むオープンメタルサイトは、吸着活性が高く、特に吸着困難であるとされている窒素や、一酸化炭素、水素、酸素に対して高い吸着性を示すため、非常に有用である。特に銅一価錯体が好ましく用いることができ、[Cu(CHCN)]PF、[Cu(CHCN)]BFなどが好ましく利用できる。
上記製法により、吸着性集積型金属錯体において、オープンメタルサイトを確実に、容易に発生させることが可能である。
本発明はさらに、吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、配位状態にねじれ、ゆがみがあり、被吸着分子が相互作用可能な空間裕度を持つ配位飽和な金属イオンで構成されているものである。
該吸着性集積型金属錯体の合成方法の一例を示すと、吸着活性を有する金属イオン化合物と、配位子とを適切な溶媒中で混合攪拌、あるいは適切な溶媒に溶解し、接触させる方法がある。
ここで、配位子は1種類であっても、2種類以上であっても良い。
また、出発原料となる金属イオン化合物と配位子との組み合わせ、および配位子が複数の場合であれば、配位子同士の組み合わせにより、オープンメタルサイトの配位状態にねじれ、ゆがみを生じるさせることが重要である。
また、請求項13に記載の断熱体は、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性金属錯体を含むことを特徴とする。
この吸着性金属錯体が有するオープンメタルサイトは、配位飽和な金属イオンの配位状態にねじれ、ゆがみが生じており、被吸着分子が、金属イオンへ相互作用可能な空間裕度がある状態であっても、配位不飽和な金属イオンであり、配位状態に少なくとも1つの空きサイトを有する状態であっても良い。なお、オープンメタルサイトは、金属イオンが、銅イオン、特に銅一価イオンであることが望ましい。
配位不飽和な金属イオンで構成されるオープンメタルサイト吸着性金属錯体は、例えば、[Cu(CHCN)]PF等の金属錯体を使用し、適当な条件(加熱、減圧下)に配位子を1個除去することにより製造することができる。
また、請求項14に記載の断熱体は、請求項4から12のいずれか一項に記載の発明における吸着性集積型金属錯体が、少なくとも、出発原料の分解物および合成物の分解物の一部を含むことを特徴とする。
ここでの分解物とは、主に空き配位サイトを作製するための加熱により生じた熱分解物を指すが、合成時に生じる中間生成物や、未反応の出発原料など含み、目的とする吸着性集積型金属錯体以外の副反応生成物全般を含むものである。なお、ここでの分解物の一部というのは、量の一部であっても、成分の一部であってもよい。
本構成によって、吸着性集積型金属錯体の出発原料および加熱などの履歴が確認できる。
また、請求項15に記載の断熱体は、請求項13に記載の吸着性金属錯体が、少なくとも、出発原料の分解物および合成物の分解物の一部を含むことを特徴とする。
ここでの分解物とは、主に空き配位サイトを作製するための加熱により生じた熱分解物を指すが、合成時に生じる中間体や、未反応の出発原料など含み、吸着性金属錯体の不完全な重合体全般を含むものである。ここでの分解物の一部というのは、上記と同義である。
本構成によって、吸着性金属錯体の出発原料および加熱などの履歴が確認できる。
また、請求項16に記載の断熱体は、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の発明における気体吸着材が、化学的水分吸着性物質を含むことを特徴とする。
本構成により、気体吸着材は、多湿環境下においても、化学的水分吸着性物質は、吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体が過剰な水分を吸着することにより、その他の気体、特に窒素吸着不活性となることを抑制することができ、短時間であれば、大気にさらしても失活することはない。
また、芯材に付着した水分の悪影響も化学的水分吸着性物質が除去するため、窒素吸着活性は維持される。より確実に水分による悪影響を抑制するためには、本発明における吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体の周囲を化学的水分吸着性物質にて覆うことが望ましい。
本構成における、気体吸着材の作製方法の一例について述べる。吸着活性を有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体は、窒素や水、酸素に触れることなく、高真空下あるいはArなどの不活性ガス雰囲気下で化学的水分吸着性物質と混合あるいは化学的水分吸着性物質により周囲を覆うなどして、ペレット化、あるいは取り扱い容易な形状に成形する。さらに不活性ガスを充填した気体不透過性容器にてこれを封止し、断熱体への適用時まで保管することが望ましい。
本発明における気体吸着材は、少なくとも、吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体と化学的水分吸着性物質とを含み、化学的水分吸着材は水による吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体の気体吸着能の低下を予め抑制し、かつ、断熱体中の水分を吸着除去することができ、吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体は断熱体中の工業的排気プロセスで除去しきれない窒素などおよび経時的に侵入する窒素などを吸着除去できる。
その結果、既存気体吸着材よりも、一層大容量の気体種を、より強固に吸着、固定化でき、断熱体中の工業的排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着除去できるため、信頼性に優れた、高性能な断熱体を提供できるものである。
また、さらにその他の気体吸着成分を含むことになんら規制を加えるものではない。
本発明における化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが使用できるが、化学的に水分を固定化できるものならば、特に規定するものではない。
また、請求項17に記載の断熱体は、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の発明において、外被材の内部の減圧が、真空ポンプによる物理的排気と、気体吸着材による吸着排気とによるものであることを特徴とする。
本構成により、効率的に高真空を実現することが可能となると共に、到達真空度がより小さくなることにより、製造効率のよい高断熱性能を備えた断熱体が得られるものである。
すなわち、真空ポンプにより数分間の真空排気を行い、断熱体の内圧を10torr程度とし、その後は気体吸着材により空気成分を吸着除去するものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における吸着性集積型金属錯体は、金属イオン化合物と、少なくとも2つの架橋配位子化合物L1およびL2を自己集積させてなるものである。
金属イオン化合物と、2つの架橋配位子化合物L1およびL2の一例で合成した吸着性集積型金属錯体について、粉末X線回折(XRPD)による構造解析結果と窒素吸着脱離曲線を評価した結果を実施例1〜2に示す。なお、窒素吸着脱離曲線は、25℃の条件において、AUTOSORB−1−c(カンタクロム社製)を用いて測定した。
(実施例1)
金属イオン化合物としてCu(NOを、架橋配位子化合物L1として
Figure 2007155123
を、L2として
Figure 2007155123
を用い、溶媒には水を用いた。これらを混合後、170℃で保持、室温まで冷却後に得られた結晶を構造解析した結果、多孔構造の集積型金属錯体であることがわかった。
図1に、実施例1における吸着性集積型金属錯体の単位構造を示す。
また図2に、実施例1における多孔体の結晶構造を示す。
構造解析の結果、この集積型金属錯体における、オープンメタルサイトは、配位不飽和な銅一価イオンであることがわかった。実施例1においては、銅一価イオンの配位飽和は4配位であり、そのうち3配位が結合に使用されており、1配位が空き配位サイトとなっていることが確認できた。
図3に、実施例1の吸着性集積型金属錯体における、窒素吸着脱離曲線を示す。
図3より、実施例1における集積型金属錯体が、低圧領域から窒素を吸着可能であることがわかる。また吸着脱離曲線において、ヒステリシスを示し、オープンメタルサイトが窒素分子と強く相互作用していることが確認できる。
(実施例2)
金属イオン化合物としてFeCl・4HO、架橋配位子化合物L1として、ナフタレン−2,6−ジカルボキシレート:
Figure 2007155123
L2として、4,4−ビピリジン:
Figure 2007155123
を用いた。
水に溶解したナフタレン−2,6−ジカルボキシレートと4,4−ビピリジンのエタノール溶液を配位子溶液とし、FeCl・4HO水溶液を金属イオン水溶液とする。金属イオン水溶液を入れた石英管に、静かに配位子溶液を注ぎ入れる(金属イオン水溶液と配位子溶液との間には、エタノール:水=1:2とした緩衝溶液が存在する)。
これら二層間に析出した茶色結晶を構造解析した結果、多孔構造の集積型金属錯体であることがわかった。
図4に、実施例2における吸着性集積型金属錯体の単位構造を示す。
また図5に、実施例2における多孔体の結晶構造を示す。
構造解析の結果、この集積型金属錯体における、オープンメタルサイトは、配位不飽和な鉄二価イオンであることがわかった。鉄二価イオンの配位飽和は6配位であり、そのうち5配位が結合に使用されており、1配位が空き配位サイトとなっていることが確認できた。
実施例2における吸着脱離曲線も実施例1と同様に、ヒステリシスを示し、オープンメタルサイトが窒素分子と強く相互作用していることが確認できた。
しかしながら、低圧領域での窒素吸着は実施例1に劣っていた。この要因はオープンメタルサイトが、鉄二価であったためと考える。
(実施例3)
金属イオン化合物として[Cu(CHCN)]BF、架橋配位子化合物L1として4,4−ビピリジン、L2としてアセトニトリルを用いた。なお、アセトニトリルは溶媒としても作用する。
アセトニトリルに溶解した[Cu(CHCN)]BFへ、同じくアセトニトリルへ溶解した4,4−ビピリジンを加え、攪拌する。沈殿により生じた黄色の粉末を構造解析した結果、集積型金属錯体であることがわかった。
図6に、実施例3における結晶構造を示す。
図7に、この粉末の熱分析(TG)結果を示す。この集積型金属錯体において、脱離する化合物はアセトニトリルであり、期待される脱離に対応する加熱温度は110℃判断し、減圧下、110℃にて加熱を行った。
加熱後の構造解析の結果、多孔構造の集積型金属錯体が形成されていることが確認できた。また、オープンメタルサイトは、配位不飽和な銅一価イオンであることがわかった。銅一価イオンの配位飽和は4配位であり、そのうち3配位が結合に使用されており、1配位が空き配位サイトとなっていることが確認できた。
図8に実施例3における窒素吸着等温線を示す。図8より、実施例3における集積型金属錯体が、低圧領域から窒素を吸着可能であることがわかる。また、吸着量は実施例1より大きい。これは、実施例1と同じく、銅一価をオープンメタルとして有し、さらに適切な減圧下での熱処理が施されているためであると考える。
また、実施例3の多孔構造の集積型金属錯体には、微量の未反応の出発原料、および熱分解物、合成時に生じる途中生成物に起因すると思われる吸着性金属錯体の不完全な重合体などが含まれることを、熱抽出/質量分析法(温度範囲:室温から500℃)および赤外線吸収分析により確認した。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における吸着性集積型金属錯体は、少なくとも金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを自己集積させてなるものである。
金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とで合成した吸着性集積型金属錯体についての実施例を実施例4および実施例5に示した。なお、評価方法は、実施の形態1に準じた。
(実施例4)
金属イオン化合物としてCu(ClO・6HO、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物として、
Figure 2007155123
さらにもう1種の架橋配位子化合物、ピラジン−2,3−ジカルボキシレートナトリウム塩
Figure 2007155123
を使用した。
テトラヒドロフランと水との混合溶液(混合比1:1)に溶解したL1とピラジン−2,3−ジカルボキシレートナトリウム塩を入れた石英管に、静かにCu(ClO・6HOの水溶液をそそぎ入れる。
これら二層間に析出した青色平板状の結晶を構造解析した結果、多孔構造の集積型金属錯体であることがわかった。
図9に、実施例4における吸着性集積型金属錯体の多孔体結晶構造を示す。
構造解析の結果、この集積型金属錯体における、オープンメタルサイトは、配位不飽和な銅二価イオンであることがわかった。銅二価イオンの配位飽和は6配位であり、そのうち4配位が結合に使用されており、2配位が空き配位サイトとなっていることが確認できた。
実施例4における吸着脱離曲線は、実施例1と同様に、ヒステリシスを示し、オープンメタルサイトが窒素分子と強く相互作用していることが確認できた。
しかしながら、低圧領域での窒素吸着は実施例1に劣っていた。この要因はオープンメタルサイトが、銅二価であったためと考える。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における吸着性金属錯体は、少なくともオープンメタルサイトを有するものである。実施例4に、オープンメタルサイトが、減圧下、200℃以下の加熱により生じた配位不飽和な金属イオンである吸着性金属錯体を示す。
(実施例5)
開始物質として、{Cu(CHCN)}PFを用い、減圧下、180℃にて、4時間の加熱を行い、銅イオンへ配位している4つのCHCN基のうち1つを除去することにより、オープンメタルサイトを有する非多孔構造の吸着性金属錯体を合成した。
構造解析の結果、この金属錯体における、オープンメタルサイトは、配位不飽和な銅一価イオンであることがわかった。銅一価イオンの配位飽和は4配位であり、そのうち3配位が結合に使用されており、1配位が空き配位サイトとなっていることが確認できた。
図10に、実施例5の吸着性金属錯体における、窒素吸着脱離曲線を示す。
図10において、低圧領域から窒素を吸着可能であることが確認でき、吸着曲線と脱離曲線がヒステリシスを示していることから、オープンメタルサイトを有することを特徴とする実施例5の吸着性金属錯体において、加熱により配位不飽和なオープンメタルサイトが生成したことにより、気体分子に対する吸着活性を示すことがわかった。
また、実施例5では、非多孔構造の金属錯体であったため、吸着量は比較的少なかった。吸着を目的とする場合、比表面積が大きく、吸着活性点が気体と効果的に接触可能な多孔構造のほうが望ましい。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における、断熱体の製造工程を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態における、断熱体の製造は、外被材へ芯材および気体吸着材を挿入し、真空チャンバー内で真空排気する、物理的排気工程(STEP1)と、外被材内部を減圧条件で封止する封止工程(STEP2)と、その後、断熱体を放置しておくことにより、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体を含む気体吸着材によって内部気体が吸着除去される、吸着排気工程(STEP3)とからなるものである。
本構成により、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体を含む気体吸着材が、出荷までに外被材中に残存する気体を固定化除去するため、高断熱が実現されるものである。
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5における、少なくとも、吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体と化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材の断面図および拡大図を示すものである。
気体吸着材1は、本発明におけるオープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体2と、化学的水分吸着性物質3と、酸素吸着材4と、水素吸着材5とを含み、これらの材料をアルゴンなどの不活性気体中で混合し、ペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素などおよび経時的に侵入する窒素などを吸着固定化する。また、酸素吸着材4と、水素吸着材5がそれぞれ酸素及び水素を吸着除去し、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素等の気体、および経時的に侵入する気体を吸着固定化する。
その結果、外被材の内部空間の到達圧力が、真空ポンプのみを使用した際より低減し、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる。
また、少なくとも化学的水分吸着性物質を含む形態であれば、本実施の形態のように混合されていても良いが、水分吸着材と本発明における吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体とが層状に成形されていても良く、また、水分吸着材が本発明における吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体を覆うような構造であっても良い。水分吸着材が本発明における吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体を覆うような構造がより好ましい。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6における、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、少なくとも、本発明の吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体と化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体6は、芯材7として無機繊維集合体を、外被材8として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施例1における吸着性集積型金属錯体を含む実施の形態5の気体吸着材1が用いられたことを特徴とするものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる。
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の形態7における、少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体の断面図を示すものである。
断熱体9は、芯材7として無機繊維集合体と、ガスバリア性を有する外被材8としてステンレス鋼からなる筐体と、少なくとも、本発明のオープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体2と化学的水分吸着性物質3とを含むことを特徴とする気体吸着材1とを備え、前記外被材8の内部を減圧してなるものである。
以上のように構成された気体吸着材1は、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。その結果、断熱体9の断熱性能の向上を図ることができる。また、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができるものである。
以上のように本発明の気体吸着材は、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体と、化学的水分吸着性物質とを含むことにより、化学的水分吸着性物質が、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体が吸着不活性となることを抑制することができるため、前記オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体が効果的に工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる。
次に本発明の吸着性集積型金属錯体に対する比較例を示す。
(比較例1)
比較例1の集積型金属錯体として、Na−pyrazine−2,3−dicarboxylateと4,4−bipyridineに、Cu(ClO・6HOを加えて合成した、オープンメタルサイトを持たない集積型金属錯体を用いた。
比較例1の吸着性集積型金属錯体における、窒素吸着脱離曲線ではヒステリシスが確認できなかった(図15)。すなわち、比較例1の金属錯体においては、窒素との分子間相互作用がなく、加圧下での物理吸着しか生じないことが示唆された。
よって、比較例1の集積型金属錯体を含む気体吸着材では、減圧下における断熱体の内部気体を除去することは不可能であり、断熱体の断熱性能向上を得ることはできない。
本発明にかかる断熱体は、従来既存品よりも、より大容量の気体を吸着可能な気体吸着材を適用したために、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素およびその他気体を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる。よって、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとした温冷熱機器への効率的な利用が可能であり、省エネルギーに貢献できるあらゆる機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
本発明の実施例1における吸着性集積型金属錯体の単位構造を示す説明図 本発明の実施例1における多孔体の結晶構造を示す説明図 本発明の実施例1の吸着性集積型金属錯体における窒素吸着脱離曲線を示す特性図 本発明の実施例2における吸着性集積型金属錯体の単位構造を示す説明図 本発明の実施例2における多孔体の結晶構造を示す説明図 本発明の実施例3における吸着性集積型金属錯体の多孔体の結晶構造を示す説明図 本発明の実施例3における吸着性集積型金属錯体の熱分析特性(熱重量変化率)を示す特性図 本発明の実施例3の吸着性集積型金属錯体における窒素吸着脱離曲線を示す特性図 本発明の実施例4における多孔体の結晶構造を示す説明図 本発明の実施例5の吸着性集積型金属錯体における窒素吸着脱離曲線を示す特性図 本発明の実施の形態4における断熱体の製造工程を示すフローチャート 本発明の実施の形態5における気体吸着材の断面を示す説明図 本発明の実施の形態6における断熱体の断面図 本発明の実施の形態7における断熱体の断面図 比較例1の吸着性集積型金属錯体における窒素吸着脱離曲線を示す特性図
符号の説明
1 気体吸着材
2 吸着性集積型金属錯体または吸着性金属錯体
3 化学的水分吸着性物質
4 酸素吸着材
5 水素吸着材
6 断熱体
7 芯材
8 外被材
9 断熱体

Claims (17)

  1. 少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性集積型金属錯体を含むことを特徴とする断熱体。
  2. 吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、4個の配位サイトを有し、少なくとも1つの空き配位サイトを有し、3個以下のサイトが配位状態にある金属イオンで構成されている、請求項1に記載の断熱体。
  3. 金属イオンが、銅イオンを含む、請求項2に記載の断熱体。
  4. 空き配位サイトが、加熱により生じた、請求項2または3に記載の断熱体。
  5. 加熱温度が、200℃以下である、請求項4に記載の断熱体。
  6. 吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、分子量45以下であり293K、130Pa条件下で気体である分子を吸着可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の断熱体。
  7. 吸着性集積型金属錯体が、金属イオン化合物と、少なくとも2つの架橋配位子化合物L1およびL2を自己集積させて合成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の断熱体。
  8. 吸着性集積型金属錯体が、金属イオン化合物と、オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物とを自己集積させて合成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の断熱体。
  9. 金属イオン化合物が、銅錯体である、請求項7または8に記載の断熱体。
  10. 架橋配位子化合物L1が、二座以上の多座配位子であって、末端に金属イオンとの結合部位となる、酸素原子または窒素原子を有することを特徴とする、請求項7に記載の断熱体。
  11. オープンメタルサイトを有する架橋配位子化合物が、金属錯体配位子である、請求項8に記載の断熱体。
  12. 吸着性集積型金属錯体におけるオープンメタルサイトが、配位状態にねじれ、ゆがみがあり、被吸着分子が相互作用可能な空間裕度を持つ配位飽和な金属イオンで構成されている、請求項1に記載の断熱体。
  13. 少なくとも芯材と気体吸着材とをガスバリア性を有する外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくとも、オープンメタルサイトを有する吸着性金属錯体を含むことを特徴とする断熱体。
  14. 請求項4から請求項12のいずれか一項に記載の吸着性集積型金属錯体が、少なくとも、出発原料の分解物および合成物の分解物の一部を含むことを特徴とする断熱体。
  15. 請求項13に記載の吸着性金属錯体が、少なくとも、出発原料の分解物および合成物の分解物の一部を含むことを特徴とする断熱体。
  16. 気体吸着材が、化学的水分吸着性物質を含むことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の断熱体。
  17. 外被材の内部の減圧が、真空ポンプによる物理的排気と、気体吸着材による吸着排気とによるものであることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の断熱体。
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