JP3432748B2 - 一酸化炭素吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素吸着剤及びその製造方法

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JP3432748B2
JP3432748B2 JP20031398A JP20031398A JP3432748B2 JP 3432748 B2 JP3432748 B2 JP 3432748B2 JP 20031398 A JP20031398 A JP 20031398A JP 20031398 A JP20031398 A JP 20031398A JP 3432748 B2 JP3432748 B2 JP 3432748B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一酸化炭素吸着剤
に関し、更に詳細には、一酸化炭素に対する高い吸着能
力と、空気中での良好な安定性とを兼ね備えた新規な一
酸化炭素回収吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素は、化学工業の重要な基礎原
料として広く使用されており、その需要は益々増加する
傾向にある。例えば、一酸化炭素は、ポリカーボネート
(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA:ポ
リメタクリル酸メチル)等の高分子有機物或いは酢酸の
製造原料として、更にはヒドロホルミル化による高級ア
ルデヒドの製造原料として多量に使用されている。これ
ら以外にも、一酸化炭素は、カルボニル、ホスゲン製造
等の原料として、また、還元反応用ガスとして使用され
ている。そして、用途の拡大に応じて、化学品を精密合
成する際の製造原料として使用できるような純度の高い
一酸化炭素を安価に提供することが求められている。
【0003】従来、一酸化炭素は、製鉄工場から出る転
炉ガス、石油精製工場から出る炭化水素の水蒸気改質ガ
ス等の一酸化炭素含有ガスから分離、精製されて、市場
供給されている。ところで、吸収法、膜分離法等の一般
な分離精製法により一酸化炭素含有ガスから高純度の一
酸化炭素を分離、精製することは、技術的及び経済的に
困難であって、高純度の一酸化炭素を得るためには、深
冷分離法により分離精製することが必要である。しか
し、深冷分離法による一酸化炭素の分離精製は、設備費
と運転費が嵩み、一酸化炭素のコストが高くなるという
問題があった。そこで、圧力変動吸着分離法(Pressure
Swing Adsorption、以下簡単にPSA法と言う)が、
高純度の一酸化炭素を分離、精製する方法として注目さ
れている。
【0004】PSA法とは、混合ガス中の各ガス成分の
吸着剤へのガス吸着量が、それぞれのガス分圧により変
化することを利用して、圧力操作により分離を行う手法
である。PSA法には、種々のプロセスがあるが、一酸
化炭素の分離精製に用いる場合の一例を以下に示す。ま
ず、第1ステップとして、吸着剤を充填した吸着塔に一
酸化炭素含有ガスを導入して吸着塔内の圧力を例えば
2、3気圧程度まで昇圧する(昇圧工程)。次に第2ス
テップとして、吸着塔内の圧力を2、3気圧に維持しつ
つ、一酸化炭素を吸着剤に吸着させる(吸着工程)。次
いで、第3ステップとして、吸着剤に吸着されずに吸着
塔内に存在する非吸着性ガスを排気して常圧程度まで減
圧した後、更に、製品ガスとして得た一酸化炭素の一部
を用いて塔内を洗浄する(減圧工程)。続いて、第4ス
テップとして、吸着塔内の圧力を例えば50torr程度ま
で減圧し、脱離して来た高純度一酸化炭素を製品ガスと
して回収する(脱離工程)。第4ステップ終了の後、再
び第1ステップに戻り、これを繰り返す。例えば、これ
らの4つのステップを4本の吸着塔で1本づつ順次ずら
し行うことにより、ほぼ連続的に高純度一酸化炭素を製
品ガスとして得ることができる。なお、これは一例とし
て示したものであり、本発明の吸着剤の使用範囲を限定
するものではない。
【0005】PSA法を適用して、炭化水素の水蒸気改
質反応ガス或いは転炉ガスからの一酸化炭素を分離、精
製する場合、一酸化炭素、二酸化炭素及び水素等の混合
ガスから一酸化炭素を選択的に吸着し、分離することが
必要である。分子量の大きい分子ほど物理的に吸着され
やすいので、調湿等に使用される従来の物理吸着型吸着
剤では、二酸化炭素が優先して吸着され、一酸化炭素を
分離、精製することは出来ない。そこで、例えば、特開
昭61−242909号公報及び特公平3−59726
号公報で提案されているように、物理吸着に加えて、ま
たは物理吸着に代えて、吸着剤のCuカチオン(C
+ )上に一酸化炭素を弱く化学吸着させることによ
り、PSA法で分離する試みが検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、銅を吸着点と
する吸着剤は、一酸化炭素に対する吸着性能は高いもの
の、一般に、Cuカチオンが不安定で酸化され易く、そ
のために、一酸化炭素に対する選択的吸着性能が不安定
になるという問題がある。例えば、Cuカチオンが酸化
されると、吸着剤の化学吸着能が低下して物理吸着能の
影響が強くなり、分子量の大きい二酸化炭素を吸着し易
くなる。逆に、Cuカチオンが過度に還元されると、一
酸化炭素の化学吸着が強くなり過ぎて、一酸化炭素の不
可逆吸着量が増加し、一酸化炭素の製品得率が極端に低
くなる。従って、一酸化炭素の分離、精製を目的とする
PSA法用の吸着剤は、選択的な可逆吸着を行うため
に、一酸化炭素を弱く化学吸着する性質を備えることが
重要であって、吸着剤を製造する過程で適度な酸化状態
のCuカチオンを吸着剤上に安定に担持することが必要
とされる。
【0007】上述のように、Cu+ は酸化安定性に欠
け、空気中で徐々に酸化されるために、取り扱いに難が
ある。例えば、従来、行われているように、塩化銅を用
いてCu+ をアルミナや活性炭に含浸担持する際には、
不活性ガス雰囲気下で吸着剤調製を行う等の慎重な取り
扱いが必要とされる。また、吸着剤の長期保存の際に
も、吸着剤と空気との接触を遮断しなければ成らず、プ
ラントの吸着塔に吸着剤を充填する際には、更に細心の
注意が必要とされるが、現実の作業では、吸着剤と空気
との接触を完全に断つことは、極めて難しい。このよう
に、従来の銅系一酸化炭素吸着剤は、酸化安定性に欠け
るため、取り扱い上不便であるものの、銅系吸着剤に酸
化安定性を付与することが出来れば、取り扱いが容易に
なるばかりでなく、空気の混入等による思わぬ吸着剤性
能劣化を招くことが無いため、吸着剤の信頼性が増し、
また、空気中での一酸化炭素分離が可能になり、吸着剤
の汎用性が増す等の可能性も秘めている。
【0008】よって、本発明の目的は、一酸化炭素の吸
着能が高く、しかも空気中の安定性が良好な銅系の一酸
化炭素吸着剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、研究開発に励んだ結果、銅系一酸化炭
素吸着剤に鉄化合物、マンガン化合物及び錫化合物の少
なくとも1種類の化合物を添加することにより、銅系一
酸化炭素吸着剤に酸化安定性を付与することが出来るこ
とを見出し、実験を重ねて、本発明を完成するに到っ
た。上記目的を達成するために、本発明に係る一酸化炭
素吸着剤は、一酸化炭素を吸着する吸着剤であって、1
0〜35質量%の塩化銅と、鉄化合物、マンガン化合物
及び錫化合物から選ばれた少なくとも1種類の化合物
(以下、簡単に選択化合物と言う)、例えば1〜40質
量%のマンガン化合物と、及び残部の無機物担体との混
合体を還元ガス雰囲気下で100〜400℃の温度範囲
1時間以上20時間以下の間熱処理してなることを特
徴としている。尚、以下の選択化合物はマンガン化合物
と読み替えるもとのとする。好適には、塩化銅の質量%
と選択化合物の質量%との合計が、12〜50質量%の
範囲にある。また、選択化合物として選択される鉄化合
物、マンガン化合物及び錫化合物は、それぞれ、鉄、マ
ンガン及び錫の化学結合の価数が2の化合物である。
【0010】本発明に係る一酸化炭素吸着剤は、その一
酸化炭素の可逆吸着能が高く、例えば、常圧、20℃の
温度で、18ml(stp) /g以上の一酸化炭素を吸着し、
また乾燥空気に3時間接触させた後の一酸化炭素吸着量
の減少率も小さく、例えば15%以下である。本明細書
で、stpは、標準状態(standard temperature andpr
essure(0.1MPa、0℃))を意味する。
【0011】本発明に係る一酸化炭素吸着剤の製造方法
は、一酸化炭素吸着用の吸着剤の製造方法であって、1
0〜35質量%の塩化銅と、鉄化合物、マンガン化合物
及び錫化合物から選ばれた少なくとも1種類の化合物
(以下、簡単に選択化合物と言う)であって、1〜40
質量%の選択化合物と、残部の無機物担体とを混合して
混合体を得る混合工程と、混合体を乾燥させる乾燥工程
と、乾燥工程を経た混合体を還元性ガス雰囲気又は不活
性ガス雰囲気下で100〜400℃の温度範囲で熱処理
する熱処理工程とを有するとしている。本発明に係る製
造方法により製造された吸着剤は、上述のように、高い
一酸化炭素吸着性能及び酸化安定性能を示す。
【0012】吸着剤の構成成分 吸着剤の構成成分は、塩化銅、鉄化合物、マンガン化合
物及び錫化合物から選ばれた少なくとも1種類の化合物
(以下、簡単に選択化合物と言う)及び無機物担体であ
って、塩化銅、選択化合物及び無機物担体は所定の配合
比率で混合されている。それらの形態は、それらを混合
する段階で、それぞれ、塩化銅、選択化合物及び無機物
担体であれば良く、それぞれの出発物質は問わない。例
えば、無機物担体としての酸化アルミニウムは、アルミ
ニウム酸化物以外に、水酸化アルミニウム、塩化アルミ
ニウム等のアルミニウム化合物を焼成して、酸化アルミ
ニウムにしたものでも良い。本発明の吸着剤は、一酸化
炭素吸着性能を損ねないかぎり、他の金属化合物や酸化
珪素、有機化合物等を含んでいても良い。例えば、硝酸
銅等の他の銅化合物を混合しても良い。吸着剤表面積を
増加させる目的で酸化珪素等を添加したり、ポリビニル
アルコール、セルロース等の易燃性化合物を添加し焼成
しても良い。また、吸着剤にバインダーや離型剤等を添
加しても良い。
【0013】無機物担体 無機物担体としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸
化チタン、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化クロ
ム及び酸化カルシウムから選ばれる1種以上を好ましく
使用できる。2種以上からなる無機物担体としては、例
えば、酸化アルミニウムと酸化珪素の混合物であるシリ
カ−アルミナやゼオライト、酸化アルミニウムと酸化マ
グネシウムの混合物であるマグネシア−アルミナ等を好
ましく使用できる。これらの無機物担体うち、一酸化炭
素吸着剤の担体としては、酸化アルミニウム、酸化珪素
がより好ましく、酸化アルミニウムが最も好ましい。
【0014】塩化銅 塩化銅としては、塩化第二銅二水和物、塩化第一銅等の
塩化銅の水和物、無水和物を好ましく使用することがで
きる。塩化銅の混合割合は、無機物担体と選択化合物と
塩化銅との混合体において、10〜35質量%の範囲、
好ましくは15〜30質量%の範囲、更に好ましくは2
0〜30質量%の範囲である。10質量%未満では、C
Oの可逆吸着が起こる銅化合物(=吸着点)そのものが
少な過ぎてCOの吸着能がやや低く、実用上から好まし
くない。逆に、35質量%を超過すると、吸着点の分散
性の低下、吸着剤の表面積の低下、吸着点の焼結(sint
ering)、及び吸着点の凝縮(agglomeration)などの様
々な要因によって吸着量が減少するので、好ましくな
い。
【0015】鉄化合物 鉄化合物としては、鉄アセチルアセトナート、鉄ベンゾ
イルアセトナート、鉄ペンタカルボニル、フタロシアニ
ン鉄等の有機鉄化合物、クエン酸鉄アンモニウム、しゅ
う酸第二鉄アンモニウム、硫酸アンモニウム鉄、硫酸第
一鉄アンモニウム等の鉄アンモニウム塩、酸化鉄二鉄、
四三酸化鉄、酸化鉄等の鉄酸化物、鉄水酸化物、酸化水
酸化鉄、臭化鉄、塩化鉄等の鉄ハロゲン化物、クエン酸
鉄、デカン酸鉄、ナフテン酸鉄、過塩素酸鉄、乳酸鉄、
しゅう酸鉄、硝酸鉄、りん酸鉄、硫酸鉄等の鉄酸塩、硫
化鉄等の鉄硫化物、鉄みょうばん等が挙げられ、これら
の水和物、無水物を好ましく使用できる。
【0016】吸着剤の酸化安定性の観点から2価の鉄か
らなる鉄化合物が更に好ましい。ここで、2価の鉄から
なる鉄化合物とは、鉄化合物中に化学結合の価数が2で
ある鉄を含む鉄化合物のことを言い、酸化鉄二鉄、塩化
鉄(II)、臭化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硫酸第一鉄ア
ンモニウム等が挙げられる。特に、入手し易さ、取り扱
い等の観点から塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)が好まし
い。
【0017】マンガン化合物 マンガン化合物としては、マンガンアセチルアセトナー
ト、フタロシアニンマンガン等の有機マンガン化合物、
硫酸マンガンアンモニウム等のマンガンアンモニウム
塩、ほうふっ化マンガン、臭化マンガン、塩化マンガン
等のマンガンハロゲン化物、安息香酸マンガン、炭酸マ
ンガン、ぎ酸マンガン、硝酸マンガン、しゅう酸マンガ
ン、硫酸マンガン、サリチル酸マンガン、酒石酸マンガ
ン、テトラフルオロほう酸マンガン等のマンガン酸塩、
二酸化マンガン等のマンガン酸化物等が挙げられ、これ
らの水和物、無水物を好ましく使用できる。吸着剤の酸
化安定性の観点から2価のマンガンからなるマンガン化
合物が更に好ましい。ここで、2価のマンガンからなる
マンガン化合物とは、マンガン化合物中に化学結合の価
数が2であるマンガンを含むマンガン化合物のことを言
い、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、硫酸
マンガン等が挙げられる。特に、入手し易さ、取り扱い
等の観点から塩化マンガン、硫酸マンガンが好ましい。
【0018】錫化合物 錫化合物としては、臭化錫、塩化錫、ふっ化錫、よう化
錫、四臭化錫、四塩化錫等の錫ハロゲン化物、酢酸錫、
しゅう酸錫、硫酸錫等の錫酸塩、酸化錫等が挙げられ、
これらの水和物、無水物を好ましく使用できる。吸着剤
の酸化安定性の観点から2価の錫からなる錫化合物が更
に好ましい。ここで、2価の錫からなる錫化合物とは、
錫化合物中に化学結合の価数が2である錫を含む錫化合
物のことを言い、塩化錫(II)、臭化錫(II)、酢酸
錫、硫酸錫等が挙げられる。特に、入手し易さ、取り扱
い等の観点から塩化錫(II)、硫酸錫が好ましい。な
お、ここに示したこれらの塩化銅、鉄化合物、マンガン
化合物及び錫化合物は、本発明で使用可能な塩化銅、鉄
化合物、マンガン化合物及び錫化合物の例として入手し
易いものを列挙したのであり、これに限定するものでは
ない。
【0019】選択化合物の混合割合は、無機物担体と選
択化合物と塩化銅との混合体において、1〜40質量%
の範囲、好ましくは1〜35質量%の範囲、更に好まし
くは10〜30質量%の範囲である。1質量%範囲未満
では、銅化合物(=吸着点)と選択化合物との相互作用
が小さすぎて、所望の吸着剤酸化安定性を達成できない
虞があり、好ましくない。逆に40質量%を超過する
と、結果的に塩化銅の配合比が減少するために、吸着剤
表面に現れる銅化合物(=吸着点)そのものが少なくな
る可能性があり、CO吸着能が低く好ましくなく、ま
た、銅と、鉄、マンガン又は錫との電荷バランスが崩れ
て可逆吸着量の減少を招くため好ましくない。この現象
を理論的に説明することは難しいが、例えば銅化合物と
鉄化合物との複合体では、銅と鉄との間で電荷移動(ch
arge transfer)が起こり、銅がやや陽性(δ+)にな
るため、鉄化合物は多すぎても少なすぎても好ましくな
いという電荷移動に起因するという理由、鉄化合物と銅
が一部固溶化(alloying)するなどの構造無機化学上の
理由などを挙げることができる。
【0020】また、塩化銅の質量%と選択化合物の質量
%との合計は、無機物担体と選択化合物と塩化銅との混
合体において、12〜50質量%の範囲、好ましくは2
0〜40質量%の範囲、更に好ましくは25〜35質量
%の範囲である。12質量%未満では、塩化銅又は選択
化合物のいずれかが不足し、CO吸着能又は酸化安定性
が不足する可能性もある。50質量%を超過すると、吸
着点の分散性の低下、吸着剤の表面積の低下、吸着点の
焼結(sintering)、及び吸着点の凝縮(agglomeratio
n)などの様々な要因によって、吸着量が減少する可能
性があり、好ましくない。
【0021】吸着剤の比表面積は、150m2 /g以上
が好ましい。上限は特に制限はなく、吸着量を増加させ
る意味から大きいほど好ましい。但し、塩化銅、選択化
合物及び無機物担体、例えば酸化アルミニウムのうち、
塩化銅及び選択化合物の比表面積は極端に小さいため、
酸化アルミニウムの含有量により吸着剤全体の比表面積
が左右されることを考えると、実質的な吸着剤比表面積
の上限は300〜400m2 /gであると思われる。
【0022】本発明に係る一酸化炭素吸着剤の製造方法 混合工程 塩化銅と、選択化合物と、無機物担体とを混合して混合
体を得る混合工程では、混練法[dry mixing法]又は含浸
法[inpregnating]が好適である。また、これらを併用す
ることも出来る。
【0023】混練法 混練法により混合体を調製するには、まず、塩化銅と選
択化合物と無機物担体原料、例えば酸化アルミニウムと
を十分に混練する。吸着剤の構成成分の混合順序は、特
に制約なく、幾つかの段階に分けて、順次、成分を加え
ていっても良い。また、各段階の間に、吸着剤の性能を
損なわない範囲で加熱による乾燥処理等を行っても良
い。次いで、吸着剤の使用条件に適合するように、混練
後の混合体を、適宜、圧縮成形法などの既知の成形方法
に従って、円柱状、球状、角柱状、楕円状などの様々な
成形体に成形する。更に、得た成形体に加熱による乾燥
処理等を施しても良い。
【0024】含浸法 含浸法により混合体を調製するにはまず、無機物担体原
料、例えば酸化アルミニウムを十分に粉砕し、粉末状に
する。次いで、粉末状の酸化アルミニウムを既知の成形
方法により成形して成形体を得る。担体の機械的強度の
付与等を目的として、成形体に加熱による乾燥処理等を
施しても良い。このようにして得た無機物担体に、塩化
銅及び選択化合物を溶解させた溶液を含浸させる。含浸
させる際、塩化銅溶液、次いで選択化合物の溶液を含浸
させて良く、また、その逆でも良く、更には、塩化銅及
び選択化合物の双方を溶解した溶液を含浸させて良い。
また、各含浸過程で、吸着剤の性能を損なわない範囲
で、加熱による乾燥処理等を施しても良い。塩化銅を溶
解させる溶剤としては、水、エタノール等のアルコー
ル、トルエン、アセトン等の有機化合物、塩酸、硝酸等
の酸を好ましく使用することが出来るが、取り扱いが容
易であることから、水を用いるのがより好ましい。選択
化合物を溶解させる溶剤としても、水、エタノール等の
アルコール、トルエン、アセトン等の有機化合物、塩
酸、硝酸等の酸を好ましく使用することができるが、塩
化銅の場合と同様に、取り扱いが容易であることから、
溶剤として水を用いるのが好ましい。また、塩化銅及び
選択化合物を含浸させた成形体に加熱による乾燥処理を
施しても良い。
【0025】乾燥工程 乾燥工程で行う乾燥処理は、常温放置による乾燥処理、
加熱による乾燥処理、減圧による乾燥処理等により行わ
れる。乾燥処理は、混合体を乾燥させる乾燥工程に限ら
ず、吸着剤の製造過程の各段階で乾燥処理を行っても良
い。例えば、混合工程で無機物担体、例えば酸化アルミ
ニウム担体に塩化銅水溶液を含浸させる場合には、酸化
アルミニウム担体に加熱乾燥処理を施すことにより、酸
化アルミニウム担体の細孔内の吸着水が除去され、酸化
アルミニウム担体に塩化銅をより均一に担持できるの
で、好ましい。加熱による乾燥処理は、空気、不活性ガ
ス、又は還元ガス雰囲気内で好ましく行うことができ
る。乾燥処理の際の加熱温度は、吸着剤素材又は吸着剤
中の水分除去が目的であれば、50〜400℃が好まし
く、250〜350℃がより好ましい。
【0026】熱処理工程 後述の実施例1〜10により実証されるように、塩化銅
と選択化合物と無機物担体、例えば酸化アルミニウム担
体との吸着剤成形体に還元性ガス雰囲気又は不活性ガス
雰囲気下で熱処理を施すことにより、吸着剤の一酸化炭
素吸着能及び酸化安定性が増加する。この現象を理論的
に説明することは困難だが、上述のように、一酸化炭素
吸着剤として優れた一酸化炭素吸着能及び酸化安定性を
発現するためには、吸着剤表面の銅が1価近傍の価数状
態を保つことが望ましいと一般的に考えられており、熱
処理前にはより価数の大きい銅であったものが、熱処理
により、吸着剤としてより好ましいと考えられている1
価近傍の銅に近づくためと考えられる。この理由は明ら
かでないが、熱処理による焼き鈍し効果により、無機物
担体の組成がより均一になる等の構造無機化学上の理由
や、熱エネルギーにより電荷移動が促進される等の理由
により、例えば選択化合物が鉄化合物の場合、銅と鉄の
相互作用がより強固になるためと考えられる。また、熱
処理で還元性ガスを用いると、吸着剤表面で一部何らか
の化学反応が起こり、熱処理による銅の価数状態の変化
を促進するとも考えられる。
【0027】吸着剤成形体に施す熱処理工程では、得ら
れる効果を高めるために、選択化合物の物性や混合割合
にも左右されるものの、熱処理を不活性ガス雰囲気下で
行う場合、熱処理温度は100〜400℃の範囲、好ま
しくは150〜350℃の範囲、更に好ましくは250
〜350℃の範囲である。また、熱処理を還元性ガス雰
囲気で行う場合、比較的低温でも銅の価数状態が調節で
きると考えられ、熱処理の温度は100〜400℃の範
囲、好ましくは150〜350℃の範囲、更に好ましく
は180〜220℃の範囲である。熱処理で温度が10
0℃未満では、温度が低すぎるために、得られる効果が
小さく、逆に、400℃を超えると、吸着点のシンタリ
ング(sintering)が起こり、COの吸着量が減少する
等の悪影響が起こる。吸着剤成形体の熱処理工程では、
好ましくは、吸着性能の面から、還元性ガス雰囲気で行
うのが好ましく、還元性ガスとしては、水素、一酸化炭
素等である。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘ
リウム等を好ましく使用することができる。熱処理の時
間は、吸着剤の量、還元性ガスの流量等の状況により、
一概に決められないが、通常、1〜20時間程度であ
る。熱処理時の圧力は、特に制約はなく、通常、常圧で
行えば良い。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げ、本発明の
実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。但し、これら
の実施例は、本発明を説明するために示すものであり、
発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び
比較例で、吸着剤を調製する際に使用した試薬は、全て
市販の特級品であって、水はイオン交換水を用いた。ア
ルミナ(Al2O3)はMerck社製のものを、塩化第二銅二水
和物(CuCl2 ・2H2O)、塩化鉄(II)四水和物(FeCl 2
・4H2O)、硫酸鉄(II)七水和物(FeSO2 ・7H2O)、塩
化マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)、塩化錫
(II)二水和物(SnCl2 ・2H2O)は、和光純薬工業製の
ものを、PVAは日本合成社製のものを使用した。CO
可逆吸着量の定量には自動吸脱着量測定装置(Belsorp
HP、ベルジャパン社製)を用い、標準状態換算値(ST
P)で示した。比表面積の測定にはBET表面積測定装
置(Belsorp 28、ベルジャパン製)を用いた。
【0029】実施例1 粉末状アルミナ(Al2O3 )を打錠成形機にて直径3.2
mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。塩化鉄
(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)39.2gを秤量し、
イオン交換水60.0mlに溶解させて溶液を調製した
後、この溶液を成形したペレット状アルミナ60.0g
に含浸させた。次いで、塩化鉄を含浸させたペレット状
アルミナを空気中で20℃に維持して1時間放置し、続
いてロータリーエバポレーターを使って20℃に調節し
ながら、水流ポンプで約2.7kPaに減圧しつつ、こ
の状態を8時間維持して水分を除去し、塩化鉄−アルミ
ナ混合体を得た。次に、塩化第二銅二水和物(CuCl2
2H2O)19.0gを秤量し、イオン交換水60.0ml
に溶解させて溶液を調製した後、この溶液を塩化鉄−ア
ルミナ混合体に含浸させた。次いで、塩化銅を含浸させ
た塩化鉄−アルミナ混合体を空気中で20℃に維持して
1時間放置し、続いてロータリーエバポレーターを使っ
て20℃に調節しながら、水流ポンプで約2.7kPa
に減圧しつつ、この状態を8時間維持して水分を除去
し、吸着剤成形体を得た。更に、この吸着剤成形体を温
度350℃、減圧10-3mmHg程度の条件で、2時間真空
加熱し、続いて、水素雰囲気下、常圧、200℃で3時
間熱処理を行い、比表面積185m2 /gの実施例1の
吸着剤を得た。
【0030】次いで、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴
露条件の双方の条件の下で実施例1の吸着剤の一酸化炭
素吸着性能を試験し、得た結果から空気中での安定性を
求めた。先ず、乾燥空気非暴露条件下での吸着能試験で
は、実施例1の吸着剤を吸着装置の専用セルに充填し、
温度20℃、減圧10-3mmHg程度の条件で、2時間、真
空排気した後に、温度20℃、常圧下でCO可逆吸着量
を測定した。そのときのCO可逆吸着量は19.5ml
(STP)/gであった。また、乾燥空気暴露条件下で
の吸着能試験では、水蒸気濃度1mmHg以下の乾燥空気を
用意し、実施例1の吸着剤を温度20℃で3時間乾燥空
気中に曝し、次いで吸着装置の専用セルに充填し、温度
20℃、減圧10-3mmHg程度の条件で、2時間、真空排
気した後に、温度20℃、常圧下でCO可逆吸着量を測
定した。このときの可逆吸着量は17.6ml(ST
P)/gであった。よって、乾燥空気中に曝した場合の
実施例1の吸着剤のCO可逆吸着量減少率(%)は、
{(19.5−17.6)/19.5}×100=10
%であった。CO可逆吸着量減少率が小さい程、空気中
での安定性が高いと評価できるので、実施例1の吸着剤
のCO可逆吸着量減少率は10%であるから、空気中で
の安定性が高いと評価できる。
【0031】実施例1の吸着剤を製造した際の原料組成
(質量%)、乾燥空気非暴露条件下でのCO可逆吸着量
(ml(stp) /g)、CO可逆吸着量減少率(%)等を表
1に示した。なお、以下の実施例2から10についても
実施例1と同様にして表1に示した。
【表1】
【0032】実施例2 粉末状アルミナ(Al2O3 )65.0gとポリビニルアル
コール(PVA)5.0gとを自動乳鉢を用いて充分に
混練し、得た混練物を打錠成形機によって直径3.2mm
φ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。そして、ペ
レットをマッフル炉を用いて、600℃で5時間空気中
で焼成し、PVAを燃焼させてペレットから除去した。
塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2O )25.4gと塩化
鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)23.5gとをイオ
ン交換水65.0gに溶かして予め調製しておいた混合
溶液を得たペレット状アルミナに含浸させた。次いで、
塩化銅及び塩化鉄を含浸させたペレットを空気中で20
℃に維持して1時間放置し、続いてロータリーエバポレ
ーターを使って20℃に調節しながら、水流ポンプで約
2.7kPaに減圧しつつ、この状態を2時間維持して
水分を除去し、吸着剤成形体を得た。更に、この吸着剤
成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度の条件で、
2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気下、常
圧、180℃で3時間熱処理を行い、比表面積250m
2 /gの実施例2の吸着剤を得た。
【0033】次いで、実施例2の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥
空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着
量は、それぞれ22.7ml(stp) /g及び22.0ml(s
tp) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は1
2%になる。
【0034】実施例3 粉末状アルミナ(Al2O3 )70.0gと塩化第二銅二水
和物(CuCl2 ・2H2O)25.4gと硫酸鉄(II)七水和
物(FeSO4 ・7H2O)18.3gとを自動乳鉢を用いて充
分に混練し、得た混練物を打錠成形機によって直径3.
2mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形し、吸着剤成
形体を得た。更に、この吸着剤成形体を温度350℃、
減圧10-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続い
て、水素雰囲気下、常圧、250℃で3時間熱処理を行
い、比表面積200m2 /gの実施例3の吸着剤を得
た。次いで、実施例3の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を
実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴
露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、そ
れぞれ19.1ml(stp) /g及び16.8ml(stp) /g
であった。よって、CO可逆吸着量減少率は12%にな
る。
【0035】実施例4 本実施例の吸着剤は、実施例1の吸着剤とは塩化鉄(I
I)四水和物(FeCl2 ・4H2O)及び塩化第二銅二水和物
(CuCl2 ・2H2O)の含浸順序を逆にして作製した吸着剤
である。即ち、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2O)3
8.0gを秤量し、イオン交換水65.0mlに溶解さ
せて調製した溶液を65.0gの実施例1と同じ円筒状
ペレットに含浸させた。次いで、塩化銅を含浸させたペ
レットから実施例1と同様にして水分を除去して、塩化
銅−アルミナ混合体を得た。次に、塩化鉄(II)四水和
物(FeCl2 ・4H2O)7.8gを秤量し、イオン交換水6
5.0mlに溶解させて溶液を調製した後、この溶液を
得た塩化銅−アルミナ混合体に含浸させ、実施例1と同
様にして水分を除去して、吸着剤成形体を得た。更に、
この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度
の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲
気下、常圧、220℃で3時間熱処理を行い、比表面積
210m2 /gの実施例4の吸着剤を得た。
【0036】次いで、実施例4の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥
空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着
量は、それぞれ23.6ml(stp) /g及び20.5ml(s
tp) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は1
3%になる。
【0037】比較例1 本例の吸着剤は、銅のみを含有する従来型の吸着剤であ
る。塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2O)19.0gを
秤量し、イオン交換水85.0mlに溶解させて調製し
た溶液に、85.0gの実施例1と同じ粉末状アルミナ
(Al2O3 )を成形したペレットに含浸させた。次いで、
塩化銅を含浸させたペレットから実施例1と同様にして
水分を除去して、吸着剤成形体を得た。更に、この吸着
剤成形体を実施例1と同様にして熱処理し、比表面積1
35m 2 /gの比較例1の吸着剤を得た。
【0038】次いで、比較例1の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥
空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着
量はそれぞれ17.8ml(stp) /g及び10.6ml(st
p) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は4
1%になる。比較例1の吸着剤を製造した際の原料組成
(質量%)、乾燥空気非暴露条件下でのCO可逆吸着量
(ml(stp) /g)、CO可逆吸着量減少率(%)等を表
2に示した。なお、以下の比較例2から14についても
比較例1と同様にして表2に示した。
【表2】
【0039】比較例2 熱処理温度を80℃とすること以外は、実施例1と同様
に調製して、比表面積185m2 /gの比較例2の吸着
剤を得た。次いで、比較例2の吸着剤の一酸化炭素吸着
性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空
気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量
は、それぞれ5.4ml(stp) /g及び2.6ml(stp) /
gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は52%に
なる。
【0040】比較例3 熱処理温度を450℃とすること以外は、実施例1と同
様に調製して、比表面積160m2 /gの比較例3の吸
着剤を得た。次いで、比較例3の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥
空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着
量は、それぞれ12.2ml(stp) /g及び9.8ml(st
p) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は2
0%になる。
【0041】比較例4 粉末状アルミナ(Al2O3 )を打錠成形機にて直径3.2
mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。塩化鉄
(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)70.5gを秤量し、
イオン交換水40.0mlに溶解させて溶液を調製した
後、この溶液を成形したペレット状アルミナ40.0g
に含浸させた。以下、実施例1と同様に調製して、比表
面積120m2 /gの比較例4を得た。次いで、比較例
4の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同様な方
法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾燥空気
暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ13.6ml(s
tp) /g及び8.8ml(stp) /gであった。よって、C
O可逆吸着量減少率は35%になる。
【0042】比較例5 粉末状アルミナ(Al2O3 )55.0gとポリビニルアル
コール(PVA)5.0gとを用い、それ以外は実施例
2と同様にしてペレット状アルミナを得た。塩化第二銅
二水和物(CuCl2 ・2H2O)50.8gと塩化鉄(II)四
水和物(FeCl2 ・4H2O)7.8gとをイオン交換水5
5.0gに溶かして予め調製しておいた混合溶液を得た
ペレット状アルミナに含浸させた。以下、実施例2と同
様に調製して、比表面積115m2 /gの比較例5の吸
着剤を得た。次いで、比較例5の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥
空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着
量は、それぞれ10.9ml(stp) /g及び6.8ml(st
p) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は3
8%になる。
【0043】比較例6 熱処理を酸素雰囲気下で施したこと以外は、実施例4と
同様に調製して、比表面積210m2 /gの比較例6の
吸着剤を得た。次いで、比較例6の吸着剤の一酸化炭素
吸着性能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾
燥空気非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸
着量は、それぞれ2.3ml(stp) /g及び0.6ml(st
p) /gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は7
4%になる。
【0044】実施例1〜4と比較例1との比較から、銅
と共に鉄を含む実施例1から4の吸着剤は、いずれも、
比較例1に比べて、CO可逆吸着量が大きいので、従来
の銅含有吸着剤の一酸化炭素吸着能以上の一酸化炭素吸
着能を有する。しかも、吸着剤を空気に接触させた後の
CO可逆吸着量減少率が著しく小さいので、一酸化炭素
吸着剤の酸化安定性が大幅に向上している。特に、比較
例1と同じ塩化銅含有率である実施例1は、CO可逆吸
着量が比較例1に比べて、10%以上大きく、しかもC
O可逆吸着量減少率が実施例1〜4のうちで最も小さ
い。従って、鉄化合物含有の効果を明瞭に示している。
実施例1と比較例2及び3との比較から、熱処理温度が
本発明で特定した温度範囲の下限未満であったり、上限
を超えたりする場合には、CO可逆吸着量減少率が増大
することが確認でき、特に、下限未満の比較例2では、
CO可逆吸着量減少率の増大が著しい。実施例1と比較
例4との比較から、鉄化合物の配合比が本発明で特定し
た40質量%を超える場合には、CO可逆吸着量減少率
が増大することを確認することができた。実施例2と比
較例5との比較から、塩化銅の配合比が本発明で特定し
た35質量%を超える場合には、CO可逆吸着量減少率
が増大することを確認することができた。また、実施例
4と比較例6との比較から、熱処理を酸素雰囲気下で施
した場合にも、CO可逆吸着量減少率が増大することを
確認することができた。
【0045】実施例5 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)39.3gを
使用したこと以外は実施例1と同じ手法を用い、塩化
銅、塩化マンガンおよびアルミナからなる吸着剤成形体
を得た。次に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧
10-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、
水素雰囲気下、常圧、350℃で3時間熱処理を行い、
比表面積200m2 /gの実施例5の吸着剤を得た。次
いで、実施例5の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例
1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件
及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ
21.4ml(stp)/g及び19.7ml(stp)/gであっ
た。よって、CO可逆吸着量減少率は8%になる。
【0046】実施例6 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)23.6gを
使用したこと以外は実施例2と同じ手法を用い、塩化
銅、塩化マンガンおよびアルミナからなる吸着剤成形体
を得た。次に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧
10-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、
一酸化炭素雰囲気下、常圧、200℃で3時間熱処理を
行い、比表面積275m2 /gの実施例6の吸着剤を得
た。次いで、実施例6の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を
実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴
露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、そ
れぞれ24.2ml(stp)/g及び22.0ml(stp)/gで
あった。よって、CO可逆吸着量減少率は9%になる。
【0047】実施例7 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)7.9gを使
用したこと以外は実施例4と同じ手法を用い、塩化銅、
塩化マンガンおよびアルミナからなる吸着剤成形体を得
た。次に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10
-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸
化炭素雰囲気下、常圧、250℃で3時間熱処理を行
い、比表面積210m2 /gの実施例7の吸着剤を得
た。次いで、実施例7の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を
実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴
露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、そ
れぞれ24.7ml(stp)/g及び22.0ml(stp)/gで
あった。よって、CO可逆吸着量減少率は11%にな
る。
【0048】実施例8 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2O)29.7gを使用し
たこと以外は実施例1と同じ手法を用い、塩化銅、塩化
錫およびアルミナからなる吸着剤成形体を得た。次に、
この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度
の条件で、2時間真空加熱し、続いて、水素雰囲気下、
常圧、350℃で3時間熱処理を行い、比表面積195
2 /gの実施例8の吸着剤を得た。次いで、実施例8
の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同様な方法
で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾燥空気暴
露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ20.8ml(st
p)/g及び18.9ml(stp)/gであった。よって、C
O可逆吸着量減少率は9%になる。
【0049】実施例9 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2O)17.8gを使用し
たこと以外は実施例2と同じ手法を用い、塩化銅、塩化
錫およびアルミナからなる吸着剤成形体を得た。次に、
この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度
の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲
気下、常圧、200℃で3時間熱処理を行い、比表面積
260m2 /gの実施例9の吸着剤を得た。次いで、実
施例9の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同様
な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾燥
空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ23.1
ml(stp)/g及び20.8ml(stp)/gであった。よっ
て、CO可逆吸着量減少率は10%になる。
【0050】実施例10 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2O)の代わりに塩化
錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2O)5.9gを使用した
こと以外は実施例4と同じ手法を用い、塩化銅、塩化錫
およびアルミナからなる吸着剤成形体を得た。次に、こ
の吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度の
条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気
下、常圧、250℃で3時間熱処理を行い、比表面積2
10m2 /gの実施例10の吸着剤を得た。次いで、実
施例10の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同
様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾
燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ23.
8ml(stp)/g及び20.9ml(stp)/gであった。よっ
て、CO可逆吸着量減少率は12%になる。
【0051】実施例11 粉末状アルミナ(Al2O3)を打錠成形機にて直径3.2m
mφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。塩化銅(I
I)二水和物(CuCl2 ・2H2O)31.7gと塩化鉄(I
I)四水和物(FeCl2 ・4H2O)7.8gと塩化マンガン
(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)7.9gと塩化錫(I
I)二水和物(SnCl2 ・2H2O)5.9gとをそれぞれ秤
量し、イオン交換水60.0mlに溶解させて溶液を調整
した後、この溶液を成形したペレット状アルミナ60.
0gに含浸させた。次いで、塩化銅、塩化鉄、塩化マン
ガンおよび塩化錫を含浸させたペレット状アルミナを空
気中で20℃に維持して1時間放置し、続いてロータリ
ーエバポレーターを使って20℃に調節しながら、水流
ポンプで約2.7kPaに減圧しつつ、この状態を8時
間維持して水分を除去して吸着剤成形体を得た。更に、
この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度
の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲
気下、常圧、250℃で3時間熱処理を行い、比表面積
235m2 /gの実施例11の吸着剤を得た。次いで、
実施例11の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と
同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び
乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ2
2.9ml(stp)/g及び20.6ml(stp)/gであった。
よって、CO可逆吸着量減少率は10%になる。
【0052】実施例12 粉末状アルミナ(Al2O3)を打錠成形機にて直径3.2m
mφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。塩化銅(I
I)二水和物(CuCl2 ・2H2O)25.4gと塩化マンガ
ン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2O)15.7gと塩化錫
(II)二水和物(SnCl2 ・2H2O)5.9gとをそれぞれ
秤量し、イオン交換水65.0mlに溶解させて溶液を調
整した後、この溶液を成形したペレット状アルミナ6
5.0gに含浸させた。次いで、塩化銅、塩化マンガン
および塩化錫を含浸させたペレット状アルミナを空気中
で20℃に維持して1時間放置し、続いてロータリーエ
バポレーターを使って20℃に調節しながら、水流ポン
プで約2.7kPaに減圧しつつ、この状態を8時間維
持して水分を除去して吸着剤成形体を得た。更に、この
吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度の条
件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気
下、常圧、220℃で3時間熱処理を行い、比表面積2
45m2 /gの実施例12の吸着剤を得た。次いで、実
施例12の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同
様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾
燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ24.
0ml(stp)/g及び21.6ml(stp)/gであった。よっ
て、CO可逆吸着量減少率は10%になる。
【0053】実施例13 粉末状アルミナ(Al2O3)を打錠成形機にて直径3.2m
mφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。塩化銅(I
I)二水和物(CuCl2 ・2H2O)25.4gと酢酸マンガ
ン(III )二水和物(Mn(CH3COO)3 ・2H2O)とをそれぞ
れ秤量し、イオン交換水65.0mlに溶解させて溶液を
調整した後、この溶液を成形したペレット状アルミナ6
5.0gに含浸させた。次いで、塩化銅および酢酸マン
ガンを含浸させたペレット状アルミナを空気中で20℃
に維持して1時間放置し、続いてロータリーエバポレー
ターを使って20℃に調節しながら、水流ポンプで約
2.7kPaに減圧しつつ、この状態を8時間維持して
水分を除去して吸着剤成形体を得た。更に、この吸着剤
成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg程度の条件で、
2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気下、常
圧、200℃で3時間熱処理を行い、比表面積240m
2 /gの実施例13の吸着剤を得た。次いで、実施例1
3の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と同様な方
法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び乾燥空気
暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ21.6ml(s
tp)/g及び19.7ml(stp)/gであった。よって、C
O可逆吸着量減少率は9%になる。
【0054】比較例7 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2 O)39.3
gを使用したこと以外は比較例2と同様に調製して、比
表面積200m2 /gの比較例7の吸着剤を得た。次い
で、比較例7の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1
と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及
び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ
6.1ml(stp)/g及び3.1ml(stp)/gであった。よ
って、CO可逆吸着量減少率は50%になる。
【0055】比較例8 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2 O)39.3
gを使用したこと以外は比較例3と同様に調製して、比
表面積195m2 /gの比較例8の吸着剤を得た。次い
で、比較例8の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1
と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及
び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ1
4.9ml(stp)/g及び11.9ml(stp)/gであった。
よって、CO可逆吸着量減少率は20%になる。
【0056】比較例9 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2 O)70.8
gを使用したこと以外は比較例4と同じ手法を用い、塩
化銅、塩化マンガンおよびアルミナからなる吸着剤成形
体を得た。次に、この吸着剤成形体を温度350℃、減
圧10-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続い
て、一酸化炭素雰囲気下、常圧、250℃で3時間熱処
理を行い、比表面積125m2 /gの比較例9の吸着剤
を得た。次いで、比較例9の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気
非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量
は、それぞれ15.1ml(stp)/g及び9.2ml(stp)/
gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は39%に
なる。
【0057】比較例10 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化マンガン(II)四水和物(MnCl2 ・4H2 O)7.9g
を使用したこと以外は比較例5と同じ手法を用い、塩化
銅、塩化マンガンおよびアルミナからなる吸着剤成形体
を得た。次に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧
10-3mmHg程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、
一酸化炭素雰囲気下、常圧、200℃で3時間熱処理を
行い、比表面積115m2 /gの比較例10の吸着剤を
得た。次いで、比較例10の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気
非暴露条件及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量
は、それぞれ13.8ml(stp)/g及び9.4ml(stp)/
gであった。よって、CO可逆吸着量減少率は32%に
なる。
【0058】比較例11 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2 O)29.7gを使
用したこと以外は比較例2と同様に調製して、比表面積
190m2 /gの比較例11の吸着剤を得た。次いで、
比較例11の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と
同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び
乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ5.
8ml(stp)/g及び2.8ml(stp)/gであった。よっ
て、CO可逆吸着量減少率は52%になる。
【0059】比較例12 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2 O)29.7gを使
用したこと以外は比較例3と同様に調製して、比表面積
190m2 /gの比較例12の吸着剤を得た。次いで、
比較例12の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例1と
同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件及び
乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ1
2.3ml(stp)/g及び9.5ml(stp)/gであった。よ
って、CO可逆吸着量減少率は23%になる。
【0060】比較例13 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2 O)53.5gを使
用したこと以外は比較例4と同じ手法を用い、塩化銅、
塩化錫およびアルミナからなる吸着剤成形体を得た。次
に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg
程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素
雰囲気下、常圧、250℃で3時間熱処理を行い、比表
面積125m2 /gの比較例13の吸着剤を得た。次い
で、比較例13の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例
1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件
及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ
14.5ml(stp)/g及び9.3ml(stp)/gであった。
よって、CO可逆吸着量減少率は36%になる。
【0061】比較例14 塩化鉄(II)四水和物(FeCl2 ・4H2 O)の代わりに塩
化錫(II)二水和物(SnCl2 ・2H2 O)5.9gを使用
したこと以外は比較例5と同じ手法を用い、塩化銅、塩
化錫およびアルミナからなる吸着剤成形体を得た。次
に、この吸着剤成形体を温度350℃、減圧10-3mmHg
程度の条件で、2時間真空加熱し、続いて、一酸化炭素
雰囲気下、常圧、200℃で3時間熱処理を行い、比表
面積105m2 /gの比較例14の吸着剤を得た。次い
で、比較例14の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を実施例
1と同様な方法で試験したところ、乾燥空気非暴露条件
及び乾燥空気暴露条件でのCO可逆吸着量は、それぞれ
12.0ml(stp)/g及び7.8ml(stp)/gであった。
よって、CO可逆吸着量減少率は35%になる。
【0062】実施例5〜10と比較例1との比較から、
銅と共にマンガンを含む実施例5から7及び錫を含む実
施例8から10の吸着剤は、いずれも、比較例1に比べ
て、CO可逆吸着量が顕著に大きいので、従来の銅含有
吸着剤の一酸化炭素吸着能以上の一酸化炭素吸着能を有
する。しかも、吸着剤を空気に接触させた後のCO可逆
吸着量減少率が著しく小さいので、一酸化炭素吸着剤の
酸化安定性が大幅に向上している。特に、比較例1と同
じ塩化銅含有率である実施例5及び実施例8は、CO可
逆吸着量が比較例1に比べて15%以上大きく、しかも
CO可逆吸着量減少率がそれぞれ実施例5〜7のうち
で、及び実施例8〜10のうちで最も小さい。従って、
マンガン及び錫化合物含有の効果を明瞭に示している。
実施例5と比較例7及び8との比較、並びに実施例8と
比較例11及び12との比較から、熱処理温度が本発明
で特定した温度範囲の下限未満であったり、上限を超え
たりする場合には、CO可逆吸着量減少率が増大するこ
とが確認でき、特に、下限未満の比較例7及び11で
は、CO可逆吸着量減少率の増大が著しい。実施例7と
比較例9との比較及び実施例10と比較例13との比較
から、マンガン化合物又は錫化合物の配合比が本発明で
特定した40質量%を超える場合には、CO可逆吸着量
減少率が増大することを確認することができた。実施例
6と比較例10との比較及び実施例9と比較例14との
比較から、塩化銅の配合比が本発明で特定した35質量
%を超える場合には、CO可逆吸着量減少率が増大する
ことを確認することができた。
【0063】実施例1〜10では、選択化合物として1
種類の化合物のみ、例えば実施例1〜4では塩化鉄(I
I) 、実施例5〜7では塩化マンガン(II)、実施例8
〜10では塩化錫(II)を、実施例13では酢酸マンガ
ン(III )のみを添加している。一方、実施例11で
は、選択化合物として3種類の化合物、例えば塩化鉄
(II) と塩化マンガン(II)と塩化錫(II)を、実施例
12では、塩化マンガン(II)と塩化錫(II)を添加し
ている。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、所定配合比の塩化銅、
選択化合物及び無機物担体の混合体を還元性ガス雰囲気
又は不活性ガス雰囲気下で100〜400℃の温度範囲
で熱処理することにより、一酸化炭素に対する高い吸着
性能と、従来の一酸化炭素吸着剤に欠けていた酸化安定
性とを具備した吸着剤を実現している。本発明に係る一
酸化炭素吸着剤を使用することにより、空気存在下での
一酸化炭素分離が可能となり、PSA法による一酸化炭
素分離精製装置における工程の簡略化、装置の小型化、
運転及び保守の簡便化が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉成 知博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社 コスモ総合研究所 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平1−155945(JP,A) 特開 昭59−136134(JP,A) 特開 平11−137993(JP,A) 特開 平10−180091(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/06 B01D 53/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化炭素を吸着する吸着剤であって、 10〜35質量%の塩化銅と、1〜40質量%のマンガ
    ン化合物と、及び残部の無機物担体との混合体を還元ガ
    ス雰囲気下で100〜400℃の温度範囲で1時間以上
    20時間以下の間熱処理してなることを特徴とする一酸
    化炭素吸着剤。
  2. 【請求項2】 塩化銅の質量%とマンガン化合物の質量
    %との合計が、12〜50質量%の範囲にあることを特
    徴とする請求項1に記載の一酸化炭素吸着剤。
  3. 【請求項3】 マンガン化合物は、マンガンの化学結合
    の価数が2の化合物であることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の一酸化炭素吸着剤。
  4. 【請求項4】 一酸化炭素吸着用の吸着剤の製造方法で
    あって、 10〜35質量%の塩化銅と、1〜40質量%のマンガ
    ン化合物と、残部の無機物担体とを混合して混合体を得
    る混合工程と、 混合体を乾燥させる乾燥工程と、 乾燥工程を経た混合体を還元性ガス雰囲気下で100〜
    400℃の温度範囲で1時間以上20時間以下の間熱処
    理する熱処理工程とを有することを特徴とする吸着剤の
    製造方法。
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