JP3432687B2 - 一酸化炭素吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素吸着剤及びその製造方法

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JP3432687B2 JP34139996A JP34139996A JP3432687B2 JP 3432687 B2 JP3432687 B2 JP 3432687B2 JP 34139996 A JP34139996 A JP 34139996A JP 34139996 A JP34139996 A JP 34139996A JP 3432687 B2 JP3432687 B2 JP 3432687B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一酸化炭素吸着剤
及びその製造方法に関し、更に詳細には、空気に暴露し
た場合でも、一酸化炭素の吸着性能を維持できるように
した新規な構成の一酸化炭素吸着剤及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素は、化学工業の重要な基礎原
料として広く使用されており、その需要は益々増加する
傾向にある。例えば、一酸化炭素は、ポリカーボネート
(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA:ポ
リメタクリル酸メチル)等の高分子有機物或いは酢酸の
製造原料として、更にはヒドロホルミル化による高級ア
ルデヒドの製造原料として多量に使われている。これら
以外にも、一酸化炭素は、カルボニル、ホスゲン製造等
の原料として、また還元反応用ガスとして使用されてい
る。用途の拡大に応じて、化学品を精密合成する際の製
造原料として使用できるような純度の高い一酸化炭素を
安価に提供することが求められている。従来、一酸化炭
素は、製鉄工場から出る転炉ガス、石油精製工場から出
る、炭化水素の水蒸気改質ガス等の一酸化炭素含有ガス
から分離、精製されて、市場に供給されている。しか
し、一酸化炭素を分離、精製する際、吸収法、膜分離法
等の一般な分離精製法により、一酸化炭素含有ガスから
高純度の一酸化炭素を分離することは技術的に困難であ
って、高純度の一酸化炭素を得るためには、深冷分離法
により分離精製することが必要であるが、設備費と運転
費が嵩み、分離精製コストが高くなるという問題があっ
た。
【0003】そこで、圧力変動吸着分離法(Pressure Sw
ing Adsorption、以下、簡単に、PSA法と言う)が、
高純度の一酸化炭素分離を分離、精製する方法として注
目されている。PSA法を一酸化炭素の分離精製に適用
したプロセスは、一酸化炭素の吸着工程と脱着工程とか
ら構成されたバッチワイズの非定常プロセスである。P
SA法によるプロセスは、種々あるが、例えば、第1ス
テップとして、吸着剤を充填した吸着塔に一酸化炭素含
有ガスを導入して、吸着塔の圧力を昇圧する、例えば5
気圧以上に昇圧する。第2ステップとして、吸着塔を加
圧状態に維持し、一酸化炭素は吸着剤に吸着させる。次
いで、第3ステップとして、吸着塔から残存ガスを排気
して常圧程度まで圧力を降圧し、更に一酸化炭素ガスに
より吸着塔内をパージする。続いて、第4ステップとし
て、吸着塔の塔内を50Torr程度にまで減圧し、吸着し
た一酸化炭素を吸着剤から脱離させる。第4ステップの
終了の後に、再び第1ステップに戻る。なお、これは、
一例として示したものであり、本発明の吸着剤の使用範
囲を限定するものではない。
【0004】PSA法を適用して、炭化水素の水蒸気改
質反応ガス或いは転炉ガスから一酸化炭素を分離、精製
する場合、一酸化炭素、二酸化炭素及び水素等の混合ガ
スから一酸化炭素を選択的に吸着し、分離することが必
要である。分子量の大きい分子ほど物理的に吸着され易
いので、調湿等に使用される従来の物理吸着型吸着剤で
は、二酸化炭素が優先して吸着され、一酸化炭素を分
離、精製することは出来ない。そこで、例えば、特開昭
61−242909号公報、特公平3−59726号公
報で提案されているように、物理吸着に加えて、又は物
理吸着に代えて、吸着剤のCuカチオン上に一酸化炭素
を弱く化学吸着させることにより、PSA法で分離する
試みが検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Cuを吸着点
とする従来の吸着剤では、Cuカチオンが不安定で酸化
され易いという問題があった。例えば、Cuカチオンが
酸化されると、吸着剤の化学吸着能が低下して物理吸着
能の影響が強くなり、分子量の大きい二酸化炭素を吸着
し易くなる。逆に、Cuカチオンが過度に還元される
と、一酸化炭素の化学吸着が強くなり過ぎて、一酸化炭
素の不可逆吸着量が増加し、一酸化炭素の製品得率が極
端に低くなる。従って、一酸化炭素の分離、精製を目的
とするPSA法用の吸着剤は、選択的な可逆吸着を行う
ために、一酸化炭素を弱く化学吸着する性質を備えるこ
とが重要であって、適度な酸化状態のCuカチオン(C
+ )を安定して吸着剤表面に存在させることが、技術
開発の鍵となっている。しかし、Cuを吸着点とする従
来の吸着剤では、Cuカチオンを安定して維持すること
が難しく、吸着剤を取り扱う際には、酸化させないよう
に、例えば不活性ガス雰囲気の下で慎重に扱うことを余
儀なくされている。これでは、取り扱いが面倒で、実用
化の上で問題であった。
【0006】大気中にあっても安定した吸着能を維持で
きる吸着剤を実現すれば、取扱いが容易になる上に、吸
着剤の寿命も長くなるので、純度の高い一酸化炭素を経
済的に精製することができ、化学工業界の要望に応える
ことができる。そこで、本発明は、一酸化炭素の吸着能
が高く、酸素に接しても吸着性能が低下しないような高
い安定性を有する吸着剤及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】一酸化炭素吸着剤 本発明者は、上記課題を解決するために、石油精製、石
油化学用の触媒を開発する過程で得た技術的知見を基に
して研究し、酸化亜鉛を含有させることにより空気中に
曝しても吸着性能が劣化しない吸着剤を実現できること
を見い出し、実験の末に、本発明を完成するに到った。
上記目的を達成するために、本発明に係る一酸化炭素吸
着剤は、酸化亜鉛が1〜20質量%、塩化銅が5〜20
質量%、及び残部が酸化アルミニウムからなることを特
徴としている。塩化銅は、塩化第一銅(CuCl)でも、ま
た塩化第二銅(CuCl2)でも、その双方でも良い。
【0008】本発明に係る吸着剤に常圧で吸着させた一
酸化炭素の赤外吸収スペクトルは、2115〜2145
cm-1の波数領域で観測される。以下、一酸化炭素を簡
単にCOと表記する。吸着剤に吸着されたCOのうち、
赤外吸収スペクトルがこの波数範囲で観測されるものの
殆どは、直線型分子構造(M=CO, linear type)で
Cuカチオンに吸着されている。架橋型(M−CO−M
, bridge type)と比べて、銅の単位量当たりの吸着量
が増えるので、吸着剤として効果的である。赤外吸収ス
ペクトルの観測波数が、特定したこの範囲を下回る場合
には、吸着点(銅)の価数が低下して金属状態(metalli
c state)に近くなっていて、化学吸着性が高く、CO分
子を不可逆吸着し易い。逆に、この範囲を超えると、吸
着点(銅)の価数が高くなってCu2+に近くなるので、
CO分子の化学吸着が弱まって、物理吸着性が強くなる
ために、COの選択吸着性が低下して二酸化炭素等が吸
着され易くなり、一酸化炭素吸着剤、特にPSA法用の
吸着剤としては不適当である。
【0009】前述したように、PSA法用の吸着剤で
は、COを程良く化学吸着させることが、好ましい。そ
の意味で、吸着剤に吸着したCOに帰属する赤外吸収ス
ペクトルが上記の特定範囲内で観測される際の吸着点
(銅)の酸化状態は、Cu+ に近くなっていると推定さ
れ、PSA法用の吸着剤として好ましい可逆吸着性能を
有する。通常、吸着COが一種類であれば、シャープな
吸収を示すが、吸着点へのCOの吸着分子数の違いや、
銅酸化状態の微妙な違い、担体の組成による影響等によ
り、上述のように特定した範囲に赤外吸収スペクトルの
波数が存在すると思われる。なお、赤外分光装置の精度
は普通5cm-1である。また、IR装置は、FT−IR
やPAS−IR(photo-acoustic IR)のように、S/N
比の高い装置を用いることが好ましい。また、有機化合
物の同定等に使用される汎用型の回折格子型IR(grat
ing IR)では、吸収を識別し難いこともしばしばあるの
で、好ましくない。
【0010】吸着剤の構成成分は、還元処理する前の段
階で、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、塩化銅の形態であ
れば良く、出発物質は問わない。例えば、酸化アルミニ
ウムは、アルミニウム酸化物以外に、水酸化アルミニウ
ム、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物を焼成し
て、酸化アルミニウムにしたものも含む。また、酸化亜
鉛は、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、水酸
化亜鉛等を焼成して得たものでも良い。塩化銅として
は、塩化第一銅(CuCl)、塩化第二銅無水物(CuCl2)、
及び塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2O)を好ましく用
いることが出来る。本発明の吸着剤は、吸着性能と空気
暴露耐性を損ねない限り、他の金属化合物や有機化合物
を含んでいても良い。例えば吸着剤にバインダーや離型
剤等を添加しても良い。
【0011】塩化銅の含有率は、吸着剤質量基準で、5
〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好まし
く、更に好ましくは10〜15質量%である。この範囲
未満では、COの可逆吸着が起こる銅化合物(=吸着
点)そのものが少な過ぎてCOの吸着能が低く、実用上
から好ましくない。この範囲を超過すると、吸着点の分
散性の低下、吸着剤の表面積の低下、吸着点の焼結(sin
tering)、及び吸着点の凝縮(agglomeration)など様々な
要因によって吸着量が減少するので、好ましくない。
【0012】酸化亜鉛の含有率は、吸着剤質量基準で、
1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは1〜10質
量%であり、5〜10質量%が最も好ましい。この範囲
未満では、吸着点を安定化させる効果が乏しくなる。逆
に、この範囲を超えると、吸着剤の表面積が少なくなる
虞が生じ、銅化合物を確実に担持することが難しくなる
ことの他に、吸着点の分散性も損なわれる。また、この
範囲を外れた場合、銅と亜鉛の電荷バランスが崩れて、
可逆吸着量の減少を招く傾向があるために好ましくな
い。特に、この傾向は、塩化銅の含有率に比べて酸化亜
鉛の含有率が極端に多い場合に生じ易い傾向にある。こ
の現象を理論的に説明することは難しいが、塩化銅と酸
化亜鉛の複合体では、銅と亜鉛の間で電荷移動(charge
transfer)が起こり、亜鉛が電気的にやや陰性(δ- )に
なり、銅がやや陽性(δ+ )になるため、酸化亜鉛は少
なすぎても、多すぎても好ましくないという、電荷移動
に起因する理由、酸化亜鉛と銅が一部固溶化(alloying)
するなどの構造無機化学上の理由などを挙げることが出
来る。
【0013】吸着剤の比表面積は、100m2 /g以上
が好ましい。上限は特に制限はなく、吸着量を増加させ
る意味から大きいほど好ましい。しかし、酸化亜鉛、塩
化銅、酸化アルミニウムのうち、最も表面積が大きいの
は酸化アルミニウムである。従って、酸化アルミニウム
の含有量により吸着剤全体の比表面積が左右されること
を考えると、200〜300m2 /g程度が実質的な上
限であろう。
【0014】吸着剤の製造方法 吸着剤の製造方法は、混練法(dry mixing法)および含浸
法(impregnating)が好適である。混練法 混練法により吸着剤の製造する方法は、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、及び塩化銅を混練して吸着剤基材を調製
する工程と、吸着剤基材を成形して吸着剤成形体を形成
する工程と、吸着剤を還元処理する工程とを備えてい
る。
【0015】混練法で調製する場合には、先ず、酸化ア
ルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、塩化銅(塩化第一銅、
塩化第二銅又はその双方)からなる構成成分を充分に混
練して吸着剤基材を調製する。吸着剤の構成成分の混合
順序は、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム粉
末と酸化亜鉛粉末との混合物に塩化銅を混合しても良い
し、酸化アルミニウム粉末と塩化銅との混合物に酸化亜
鉛粉末を混合しても良いし、塩化銅と酸化亜鉛粉末との
混合物に酸化アルミニウム粉末をを混合しても良い。塩
化銅として塩化第一銅を用いるとき、塩化第一銅は、酸
化されて、式(1)に示すような好ましくない不均化反
応を起こし易いため、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛を
予め充分に脱水しておくことが望ましい。更に望ましく
は、乾燥雰囲気や不活性ガス雰囲気の下で塩化第一銅を
混合する。 2 CuCl + 1/2 O2 → CuCl2 + CuO (1) 次いで、吸着剤の使用条件に適合するように、吸着剤基
材を、適宜、圧縮成形法などの既知の成形方法に従っ
て、円柱状、球状、角柱状、楕円状など様々な成形体に
成形する。
【0016】含浸法 塩化銅として塩化第二銅を用いるときには、上述の混練
法の他に含浸法でも好ましく調製することが出来る。含
浸法により吸着剤を製造する方法は、酸化アルミニウム
と酸化亜鉛とを混練して複合担体基材を調製する工程
と、複合担体基材を成形して複合担体を形成する工程
と、複合担体に塩化第二銅の水溶液又は塩酸水溶液を含
浸させて吸着剤を調製する工程と、吸着剤を還元処理す
る工程とを備えている。
【0017】含浸法による場合には、先ず、酸化アルミ
ニウム粉末と酸化亜鉛粉末とからなる複合担体基材(以
下、単に担体基材と言う)を混練法により調製する。混
練の際には、粉末同士をそのまま混合(dry mixing)して
も良いし、速乾性のトルエン、アルコール等の有機化合
物又は水を分散媒として加えて混合(wet mixing)しても
良く、寧ろ分散媒を用いた方が均一な混合物を得やす
い。分散媒を用いたときには、含浸の前に分散媒を出来
るだけ完全に除去する。通常、ホットプレート等を用い
て100℃前後で加熱すれば良い。加熱時間は、調製量
や分散媒の種類によって異なるが、1〜10時間程度で
ある。
【0018】担体基材を調製し、これを成形体にする場
合には、好適には、酸化アルミニウム粉末と、酸化亜鉛
粉末と、450℃以上600℃以下の温度範囲で気化又
はガス化する易燃性化合物とを混合して既知の方法で成
形し、次いで易燃性化合物の気化又はガス化する温度以
上の温度で焼成して、担体を形成する。これらの成分の
混合順序は、特に制約はなく、混合し易い順序で混合す
る。成形工程を経ると、一般に、担体の表面積が減少す
る。これでは、吸着能が低下するので、これを極力防止
するために、本発明では、易燃性化合物を添加してい
る。易燃性化合物を加えて成形し、次いで、易燃性化合
物の気化又はガス化する温度で空気中で焼成すると、易
燃性化合物は、燃焼したり、熱分解したりして、燃焼ガ
ス又は熱分解ガスを発生する。これにより、担体内に細
孔が形成されると共に表面積の減少が緩和されるので、
吸着能が増大する。本発明で使用する易燃性化合物と
は、450℃以上600℃以下の温度範囲で気化又はガ
ス化する易燃性有機化合物又は易燃性高分子化合物であ
って、気化又はガス化とは、担体の成形体を加熱、焼成
して、燃焼反応又は分解反応によりガスを放出し、後に
残留物が残らないことを言う。
【0019】易燃性化合物は、気化又はガス化する温度
が450〜600℃が、好ましくは450〜530℃の
温度範囲にあるものが好適である。易燃性化合物とし
て、例えばオキシ酸、ジカルボン酸、モノカルボン酸等
の脂肪族および芳香族カルボン酸、アルカン類、アルケ
ン類、ジエン類、脂環式有機化合物等の易燃性有機化合
物か、またはポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢
酸ビニル(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PV
P)、セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチル
セルロース(CMC)等の易燃性高分子化合物を用いる
ことができる。
【0020】成形の後、空気中で焼成する。焼成温度
は、易燃性化合物が気化又はガス化する温度である。焼
成温度がこの温度より低いと、易燃性化合物の分解が充
分に進行せず、分解により生成した成分や炭素塊が残存
する可能性が高く、一方、この温度を著しく超過する
と、担体の表面積が大幅に減少する可能性があるからで
ある。なお、焼成時には排気を行うのが好ましい。ま
た、易燃性化合物としては、有害成分を含む分解ガス、
又は燃焼ガスを放出しないような化合物を選択する。易
燃性化合物を多量に入れると、担体の多孔性は向上する
が、多すぎると、吸着剤の強度が低下し、成形して担体
強度を上げる目的を達し得ないこともあり、また、逆
に、少ないと、易燃性化合物の添加効果が乏しい。通常
は、易燃性化合物の添加量は、3〜10質量%、好まし
くは5〜10質量%である。
【0021】このようにして得た担体に塩化第二銅の水
溶液又は塩酸水溶液を含浸させる。塩化第二銅の水溶液
を含浸させる場合には、それに先立って、担体の飽和吸
水量を測定しておくことが好ましい。測定方法は特に制
約はないが、例えば、担体を精秤し、これにビュレット
から水を滴下して、担体の吸水が飽和するまでの水の供
給量を求め、更に担体のグラム当たりの飽和含水量(以
下、単に、飽和含水量という)を予め求める。飽和含水
量の測定時には、担体内部まで水が浸透するように、充
分に吸水させる。また、測定前に乾燥機などで担体の水
分を充分に除いておくことが望ましい、特に、分散媒を
用いて混練した場合には、分散媒の除去程度を充分に注
意する。例えば、分散媒以外の固体成分の重量を測定し
ておき、乾燥後の重量と比較するなど工夫すればよい。
飽和含水量に等しい水を担体グラム当たりの所定量の塩
化第二銅に加えて、塩化第二銅の水溶液を調製し、グラ
ム当たりの担体に含浸させる。
【0022】塩化第二銅は、水溶液の他に塩酸水溶液を
用いることが出来る。塩酸水溶液を用いると、塩化第二
銅の溶解性が向上するので、担持量を増やしたいとき、
或いは担体の飽和含水量が少ないときなどには好都合で
ある。塩酸濃度は、特に限定しないが、5N以下が良
い。これを超えると、次に述べる還元処理又は加熱処理
時に、塩化水素の脱離量が多くなって、取り扱いが実用
的に難くなる上に、塩酸が無駄になる。
【0023】吸着剤の前処理 本発明の吸着剤の使用に先立ち、吸着剤を活性化するた
めに、前処理として吸着剤に還元処理または加熱処理を
施す。塩化銅として塩化第二銅を用いたときには、還元
性ガス雰囲気下で還元処理を行う。還元性ガスには水
素、COを好ましく用いることができる。還元温度は、
150〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜
200℃、さらに好ましくは180〜200℃である。
還元温度が、上記温度範囲未満では、銅の酸化状態が高
すぎるため、COの可逆吸着が相対的に起こり難くな
り、PSA法用の吸着剤としては好ましくない。逆に、
上記温度範囲を超えた場合には、吸着点のシンタリング
(sintering)が起こり、COの吸着量が減少すると共
に、銅の還元が進行し過ぎるため、COの不可逆吸着量
が増加し、PSA法用の吸着剤として好ましくない。一
方、塩化物として塩化第一銅を用いたときには、そのま
まで銅が程良い酸化状態にあるので、必ずしも還元処理
を施す必要がなく、窒素雰囲気下、不活性ガス雰囲気下
又は減圧下で水分除去のための加熱処理を施すだけでも
良い。尚、塩化第一銅は、水分の存在によって空気中で
酸化が促進されるため、窒素雰囲気下、不活性ガス雰囲
気下又は減圧下で加熱処理することが必要である。還元
処理又は加熱処理の際の圧力は、特に制約は無く、通
常、常圧で行えば良い。還元時間は、吸着剤の量、還元
ガスの流速等、実装置の状況により、一概に決められな
いが、普通1〜20時間である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて、本発明
の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。しかし、こ
れらの実施例は、本発明を説明するために示すものであ
り、発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例
及び比較例で、吸着剤を調製する際に使用した試薬は、
全て市販の特級品であって、水はイオン交換水を用い
た。アルミナ(Al2 O3 )はMerck社製のものを、酸化亜
鉛(ZnO )、塩化第一銅(CuCl)及び塩化第二銅2水和
物(CuCl2・2H2 O)は和光純薬工業製のものを、PVAは
日本合成社製のものを使用した。CO可逆吸着量の定量
には自動吸脱着量測定装置(Belsorp HP、ベルジャパン
社製)を用い、標準状態換算値(STP)で示した。比
表面積の測定にはBET表面積測定装置(Belsorp 28、
ベルジャパン社製)を用いた。吸着剤に吸着したCOの
赤外吸収スペクトルの測定には拡散反射FT−IR装置
(島津製作所製)を用い、in-situで、常圧にて測定し
た。分解能は4cm-1、積算回数は200回とした。
【0025】実施例1 47.0gのアルミナ、3.2gの塩化第二銅2水和物
及び0.5gの酸化亜鉛を自動乳鉢で充分に混練して混
合粉末を得た。混合粉末の化学組成は、表1に示す通り
であった。次いで、得た混合粉末を打錠成型機にて直径
3.2mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形して、比
表面積165m2 /gの吸着剤成形体を得た。更に、吸
着剤成形体をCO雰囲気下で常圧、温度150℃の条件
で、2時間、還元処理して、実施例1の吸着剤を得た。
【表1】
【0026】次いで、空気非暴露条件と空気暴露条件の
双方で、実施例1の吸着剤の一酸化炭素吸着性能を試験
した。先ず、空気非暴露条件下での吸着能試験では、温
度250℃、減圧10-2mmHg程度の条件下で、1時
間、実施例1の吸着剤を真空排気した後に、温度20
℃、常圧下でCO可逆吸着量を測定した。このときのC
O可逆吸着量は18.0ml/g(STP)であった。
また、空気暴露条件下での吸着能試験では、実施例1の
吸着剤を温度30℃で3時間空気中に曝し、次いで、上
述の吸着能試験と同様にして、温度250℃、減圧10
-2mmHg程度の条件で、1時間、真空排気した後に、温
度20℃、常圧下でCO可逆吸着量を測定した。このと
きの可逆吸着量は、15.3ml/g(STP)であっ
た。従って、空気中に曝した場合の実施例1の吸着剤の
CO可逆吸着量減少率(%)は、{(18.0−15.
3)/18}×100=15%であった。
【0027】次いで、実施例1の吸着剤に吸着したCO
の赤外吸収スペクトルを測定した。先ず、成形する前の
上述の混合粉末を拡散反射セルに配置し、実施例1の吸
着剤を作製したときと同様にして、CO雰囲気下で常
圧、温度150℃の条件で、2時間、還元処理し、続い
て250℃の温度に維持しながら1時間ヘリウムを通気
した。次いで、圧力760mmHgのCO雰囲気下で拡散
反射FT−IR(以下IRと略記する)の赤外吸収スペ
クトルの観測を波数400〜4000cm-1の範囲で行
ったところ、2145cm-1にピークを持つ吸収が観測
された。尚、バックグラウンドにはアルミナ粉末を同様
に処理し、COを通気したときの気相CO(molecular C
O)の吸収スペクトルを用い、差スペクトルを測定した。
【0028】実施例1の吸着剤を形成した際の混合粉末
の化学組成(質量%)、銅ドープ方法、還元処理の方法
及び還元処理の温度、実施例1の吸着剤の比表面積(m
2 /g)、空気非暴露条件下でのCO吸着量(ml/g
(STP))及びCO可逆吸着量減少率(%)を表1に
示した。以下の実施例2から9及び比較例についても同
様に表1に示した。銅ドープ方法で、DMとは混練法
を、IPとは含浸法をそれぞれ意味する。
【0029】実施例2 42.5gのアルミナと2.5gの酸化亜鉛とを自動乳
鉢で充分に混練して混合粉末を得た。次いで、6.3g
の塩化第二銅2水和物に1N塩酸水溶液を加えて50m
lとした全量に、得た混合粉末を加えて1時間含浸さ
せ、スラリーを得た。続いて、ロータリーエバポレータ
を使ってスラリーを40〜50℃の温度に加温しなが
ら、水流ポンプで約2.7kPaに減圧しつつ、2時
間、維持し、水分を除去して粉末を得た。得た粉末を実
施例1と同様に打錠して成形し、比表面積160m2
gの吸着剤成形体を得た。続いて、還元処理の温度を1
80℃としたこと以外は、実施例1と同様に吸着剤成形
体を還元処理して、実施例2の吸着剤を得た。次いで、
実施例1と同様にして、実施例2の吸着剤の吸着能試験
を行ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及
び空気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ18.0m
l/g(STP)及び14.9ml/g(STP)であ
った。従って、CO可逆吸着量減少率は17%であっ
た。200℃で還元処理したこと以外は、実施例1と同
様にしてIRを測定したところ、2140cm-1にピー
クを持つ吸収が見られた。
【0030】実施例3 36.2gのアルミナ、4.9gの酸化亜鉛及び1.5
gのPVAを自動乳鉢で充分に混練して混合粉末を得
た。得た混合粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、
更に、空気中で温度450℃で3時間焼成して担体を得
た。9.2gの塩化第二銅2水和物に2N塩酸水溶液を
加えて50mlとした全量の塩化第二銅塩酸水溶液に、
得た担体を1時間含浸させた。次いで、残液を除去し、
ロータリーエバポレータを使ってスラリーを40〜50
℃の温度に加温しながら、水流ポンプで約2.7kPa
に減圧しつつ、2時間、維持し、水分を除去して、比表
面積157m2 /gの吸着剤成形体を得た。続いて、還
元処理の温度を250℃としたこと以外は、実施例1と
同様に吸着剤成形体を還元処理して、実施例3の吸着剤
を得た。次いで、実施例1と同様にして、実施例3の吸
着剤の吸着能試験を行ったところ、空気非暴露条件のC
O可逆吸着量及び空気曝露後のCO可逆吸着量は、それ
ぞれ20.0ml/g(STP)及び16.4ml/g
(STP)であった。従って、CO可逆吸着量減少率は
18%であった。250℃で還元処理したこと以外は、
実施例1と同様にしてIRを測定したところ、2115
cm-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0031】実施例4 28.5gのアルミナ、9.5gの酸化亜鉛及び2.5
gのPVAを自動乳鉢で充分に混練して混合粉末を得
た。得た混合粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、
更に、空気中で温度530℃で3時間焼成して担体を得
た。12.1gの塩化第二銅2水和物に2N塩酸水溶液
を加えて50mlとした全量の塩化第二銅塩酸水溶液
に、得た担体を1時間含浸させた。次いで、残液を除去
し、実施例3と同様に水分を除去して、比表面積120
2 /gの吸着剤成形体を得た。続いて、還元処理の温
度を200℃とし、還元ガスとして水素を使用したこと
以外は、実施例1と同様に吸着剤成形体を還元処理し
て、実施例4の吸着剤を得た。次いで、実施例1と同様
にして、実施例4の吸着剤の吸着能試験を行ったとこ
ろ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及び空気曝露後
のCO可逆吸着量は、それぞれ20.5ml/g(ST
P)及び16.8ml/g(STP)であった。従っ
て、CO可逆吸着量減少率は18%であった。水素気流
の下で温度200℃で還元処理したこと以外は、実施例
1と同様にしてIRを測定したところ、2125cm-1
にピークを持つ吸収が見られた。
【0032】実施例5 33.8gのアルミナ、4.5gの酸化亜鉛及び5.0
gのPVAを自動乳鉢で充分に混練して混合粉末を得
た。得た混合粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、
更に、空気中で温度600℃で3時間焼成して担体を得
た。8.6gの塩化第二銅2水和物に水を加えて50m
lとした全量の塩化第二銅水溶液に、得た担体を1時間
含浸させた。次いで、残液を除去し、実施例3と同様に
水分を除去して比表面積132m2 /gの吸着剤成形体
を得た。続いて、実施例4と同様に、吸着剤成形体を還
元処理して、実施例5の吸着剤を得た。次いで、実施例
1と同様にして、実施例5の吸着剤の吸着能試験を行っ
たところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及び空気
曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ20.3ml/g
(STP)及び16.6ml/g(STP)であった。
従って、CO可逆吸着量減少率は18%であった。水素
気流の下で温度200℃で還元処理したこと以外は、実
施例1と同様にしてIRを測定したところ、2140c
-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0033】実施例6 47.0gのアルミナ、2.5gの塩化第一銅及び0.
5gの酸化亜鉛を自動乳鉢で充分に混練して混合粉末を
得た。得た混合粉末を実施例1と同様に打錠して成形
し、比表面積158m2 /gの吸着剤成形体を得た。続
いて、10-2mmHg程度の真空に真空排気しながら、1
50℃の温度で3時間、吸着剤成形体を加熱処理して、
実施例6の吸着剤を得た。次いで、実施例1と同様にし
て、実施例6の吸着剤の吸着能試験を行ったところ、空
気非暴露条件のCO可逆吸着量は及び空気曝露後のCO
可逆吸着量は、それぞれ16.8ml/g(STP)及
び13.8ml/g(STP)であった。従って、CO
可逆吸着量減少率は18%であった。約10-2mmHgの
減圧下で温度150℃で加熱処理したこと以外は、実施
例1と同様にしてIRを測定したところ、2143cm
-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0034】実施例7 42.5gのアルミナ、5.0gの塩化第一銅及び2.
5gの酸化亜鉛から、実施例6と同様にして、比表面積
145m2 /gの吸着剤成形体を得た。次いで、窒素雰
囲気下で常圧、温度180℃で3時間、吸着剤成形体を
加熱処理して、実施例7の吸着剤を得た。次いで、実施
例1と同様にして、実施例7の吸着剤の吸着能試験を行
ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及び空
気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ17.5ml/
g(STP)及び14.4ml/g(STP)であっ
た。従って、CO可逆吸着量減少率は18%であった。
また、N2 気流の下で温度180℃で加熱処理したこと
以外は、実施例1と同様にしてIRを測定したところ、
2145cm-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0035】実施例8 37.5gのアルミナ、7.5gの塩化第一銅及び5.
0gの酸化亜鉛から、実施例6と同様にして、比表面積
130m2 /gの吸着剤成形体を得た。次いで、水素雰
囲気下で常圧、温度200℃で3時間、吸着剤成形体を
加熱処理して、実施例8の吸着剤を得た。次いで、実施
例1と同様にして、実施例8の吸着剤の吸着能試験を行
ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及び空
気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ19.5ml/
g(STP)及び16.2ml/g(STP)であっ
た。従って、CO可逆吸着量減少率は17%であった。
また、H2 気流の下で温度200℃で還元処理したこと
以外は、実施例1と同様にしてIRを測定したところ、
2140cm-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0036】実施例9 30.0gのアルミナ、10.0gの塩化第一銅及び1
0.0gの酸化亜鉛から、実施例6と同様にして、比表
面積100m2 /gの吸着剤成形体を得た。次いで、H
e雰囲気下で常圧、温度250℃で3時間、吸着剤成形
体を加熱処理して、実施例9の吸着剤を得た。次いで、
実施例1と同様にして、実施例9の吸着剤の吸着能試験
を行ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量は及
び空気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ18.8m
l/g(STP)及び15.4ml/g(STP)であ
った。従って、CO可逆吸着量減少率は18%であっ
た。また、He気流の下で温度250℃で加熱処理した
こと以外は、実施例1と同様にしてIRを測定したとこ
ろ、2130cm-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0037】酸化亜鉛を含まない、アルミナと塩化銅と
の混合物のみからなる従来の吸着剤を比較例の吸着剤と
して調製し、その吸着剤性能を実施例の吸着剤と比較評
価した。比較例1 42.5gのアルミナ及び9.5gの塩化第二銅2水和
物を自動乳鉢で充分に混練して混合粉末を得た。次い
で、得た混合粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、
比表面積138m2 /gの吸着剤成形体を得た。更に、
CO雰囲気下で常圧、温度180℃の条件で2時間、吸
着剤成形体を還元処理して、比較例1の吸着剤を得た。
次いで、実施例1と同様にして、比較例1の吸着剤の吸
着能試験を行ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸
着量は及び空気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ1
7.5ml/g(STP)及び10.9ml/g(ST
P)であった。従って、CO可逆吸着量減少率は38%
に達した。また、比較例1の吸着剤を作製したときと同
様にして、CO雰囲気下で常圧、温度180℃の条件で
2時間還元処理し、続いて、250℃の温度に維持しな
がら1時間ヘリウムを通気した。次いで、圧力760mm
HgのCO雰囲気下でIRによる赤外吸収スペクトルの
観測を波数400〜4000cm-1の範囲で行ったとこ
ろ、2110cm-1にピークを持つ吸収が観測された。
尚、バックグラウンドにはアルミナ粉末を同様に処理
し、COを通気したときの気相COの吸収スペクトルを
用い、差スペクトルを測定した。
【0038】比較例2 10.0gの塩化第二銅2水和物に水を加えて50ml
とし、得た塩化第二銅水溶液のうちの47.5mlに4
2.5gのアルミナを1時間含浸させた。次いで、残液
を除去し、実施例2と同様にして、水分を除去して粉末
を得た。得た粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、
比表面積125m2 /gの吸着剤成形体を得た。続い
て、水素雰囲気の下、常圧、温度250℃の条件で2時
間、得た吸着剤成形体に還元処理を施し、比較例2の吸
着剤を得た。次いで、実施例1と同様にして、比較例2
の吸着剤の吸着能試験を行ったところ、空気非暴露条件
のCO可逆吸着量は及び空気曝露後のCO可逆吸着量
は、それぞれ17.9ml/g(STP)及び11.2
ml/g(STP)であった。従って、CO可逆吸着量
減少率は37%に達した。また、H2 気流の下で温度2
50℃で還元処理したこと以外は、比較例1と同様にし
てIRを測定したところ、2110cm-1にピークを持
つ吸収が見られた。
【0039】比較例3 42.5gのアルミナと7.5gの塩化第一銅とを自動
乳鉢で充分に混練して混合粉末を得た。次いで、得た混
合粉末を実施例1と同様に打錠して成形し、比表面積1
08m2 /gの吸着剤成形体を得た。更に、水素雰囲気
下で常圧、温度200℃の条件で、2時間、吸着剤成形
体に還元処理を施して、比較例3の吸着剤を得た。次い
で、実施例1と同様にして、比較例3の吸着剤の吸着能
試験を行ったところ、空気非暴露条件のCO可逆吸着量
は及び空気曝露後のCO可逆吸着量は、それぞれ18.
0ml/g(STP)及び10.8ml/g(STP)
であった。従って、CO可逆吸着量減少率は40%に達
した。また、H2 気流の下で温度200℃で還元処理し
たこと以外は、比較例1と同様にしてIRを測定したと
ころ、2110cm-1にピークを持つ吸収が見られた。
【0040】表1から判る通り、実施例1から9の吸着
剤の空気非暴露条件のCO可逆吸着量は約17から約2
0ml/g(STP)の範囲にあり、また、比較例1か
ら3の吸着剤の空気非暴露条件のCO可逆吸着量は約1
8ml/g(STP)である。従って、双方の空気非暴
露条件のCO可逆吸着量はほぼ同じ程度であるから、実
施例の吸着剤は、従来の吸着剤とほぼ同程度のCO可逆
吸着能を有する。一方、実施例1から9の吸着剤のCO
可逆吸着量減少率は約15〜18%であるのに対して、
比較例のCO可逆吸着量減少率は37〜40%に達す
る。以上の比較試験から、実施例の吸着剤は、従来の吸
着剤とほぼ同程度のCO可逆吸着能を有し、更に従来の
吸着剤に比較して空気暴露に対する耐性が極めて高いと
評価できる。
【0041】更に説明すれば、実施例に示したように、
吸着剤の構成成分として1〜20質量%酸化亜鉛を添加
することによって、大気中に曝露しても、吸着剤性能が
損なわれ難いPSA法用に最適な吸着剤が得られる。酸
化亜鉛と銅塩化物の間に生ずる電荷移動(charge transf
er)によって、銅が部分酸化状態(恐らく1価)を保ち
易くなり、空気中に曝されても酸化され難いので、吸着
性能が低下しない。従来のPSA法によるCO分離、精
製プロセスでは、新規に又は保守時に吸着剤を吸着塔に
充填する際などに、外気と遮断するために窒素雰囲気下
で吸着剤を取り扱う場合が多く、手順が煩雑で人手を要
し、コストアップを招く問題を有していた。しかも、現
場では、完全に外気を絶つのは難しいため、吸着塔の容
量に相当の余裕を持たせることが必要となり、従って、
装置の小型化の障害になると共に吸着剤の充填量も多く
する必要があり、経済的でなかった。しかし、実施例の
吸着剤が実証したように、本発明の吸着剤は、空気に暴
露されても、COの吸着性能が安定して高いので、技術
的に大きな意味を有する。
【0042】
【発明の効果】本発明の構成によれば、1〜20質量%
の酸化亜鉛を吸着剤の構成成分とすることにより、従来
の吸着剤とほぼ同程度のCO可逆吸着能を有すると共に
従来の吸着剤に比較して極めて高い空気暴露耐性を示
す。よって、本発明に係る吸着剤は、取り扱いに際し、
空気に暴露させることが多い、PSA法による一酸化炭
素の分離精製用吸着剤として最適である。本発明の吸着
剤を使用することにより、PSA法による一酸化炭素の
分離精製装置の運転及び保守を簡便化させ、装置を小型
化することが可能になる。また、PSA法では、吸着剤
による一酸化炭素の吸脱着工程が円滑に行われる限り、
理論的には吸着剤の寿命は長い筈であるが、実際には原
料ガス中の不純物による劣化が起こる。とりわけ、弱い
化学吸着を利用するPSA法では、吸着点の安定性が重
要なファクターとなる。本発明に係る吸着剤は、吸着点
である部分酸化状態の銅を安定に保持できることから、
吸着剤の寿命延長にも効果があり、吸着性能の劣化を従
来の吸着剤の約1/2程度に止めることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 勝幸 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社 コスモ総合研究所 研究開発センター内 (72)発明者 吉澤 隆 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社 コスモ総合研究所 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 昭62−65920(JP,A) 特開 昭62−113710(JP,A) 特開 昭62−108724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/08 B01D 53/02 B01J 20/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛が1〜20質量%、塩化第二
    が5〜20質量%、及び残部が酸化アルミニウムからな
    混合物を還元性ガス雰囲気下で150℃以上250℃
    以下の温度で1時間以上20時間以内の間加熱処理して
    なる一酸化炭素吸着剤であって、 一酸化炭素吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外
    吸収スペクトルが、2115〜2145cm -1 の波数領
    域で観測されることを特徴とする一酸化炭素吸着剤。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛が1〜20質量%、塩化第一
    が5〜20質量%、及び残部が酸化アルミニウムからな
    混合物を窒素雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、及び減
    圧下のいずれかで加熱処理して水分を除去してなる一酸
    化炭素吸着剤であって、 一酸化炭素吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外
    吸収スペクトルが、2115〜2145cm -1 の波数領
    域で観測されることを特徴とする一酸化炭素吸着剤。
  3. 【請求項3】 酸化アルミニウム、酸化亜鉛、及び塩化
    銅を混練して吸着剤基材を調製する工程と、 吸着剤基材を成形して吸着剤成形体を形成する工程と、 吸着剤を還元処理する工程とを備えることを特徴とする
    一酸化炭素吸着剤の製造方法
  4. 【請求項4】 酸化アルミニウムと酸化亜鉛とを混練し
    て複合担体基材を調製する工程と、 複合担体基材を成形して複合担体を形成する工程と、 複合担体に塩化第二銅の水溶液又は塩酸水溶液を含浸さ
    せて吸着剤を調製する工程と、 吸着剤を還元処理する工程とを備えることを特徴とする
    一酸化炭素吸着剤の製造方法
  5. 【請求項5】 複合担体基材を調製する工程及び複合担
    体を形成する工程に代えて、酸化アルミニウムと、酸化
    亜鉛と、450℃以上600℃以下の温度範囲で気化又
    はガス化する易燃性化合物とを混練し、次いで成形して
    複合担体成形体を形成する工程と、 次いで、易燃性化合物の気化又はガス化する温度で複合
    担体成形体を焼成して、複合担体を形成する工程とを有
    することを特徴とする請求項4に記載の一酸化炭素吸着
    剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩化銅として塩化第一銅を選択した時
    に、還元処理工程に代えて、不活性ガス雰囲気下、窒素
    ガス雰囲気下及び減圧下のいずれかの条件下で加熱処理
    することを特徴とする請求項3から5のうちのいずれか
    1項に記載の一酸化炭素吸着剤の製造方法。
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