JPH11137993A - 一酸化炭素吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素吸着剤及びその製造方法

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JPH11137993A
JPH11137993A JP9307153A JP30715397A JPH11137993A JP H11137993 A JPH11137993 A JP H11137993A JP 9307153 A JP9307153 A JP 9307153A JP 30715397 A JP30715397 A JP 30715397A JP H11137993 A JPH11137993 A JP H11137993A
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JP
Japan
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adsorbent
copper
carbon monoxide
adsorption
alumina
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JP9307153A
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English (en)
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Yoshihisa Sakurai
敬久 櫻井
Takashi Suzuki
崇 鈴木
Tomohiro Yoshinari
知博 吉成
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化銅以外の銅化合物を使った、高吸着能の
一酸化炭素吸着剤を提供する。 【解決手段】 本吸着剤は、アルミナ、シリカ−アルミ
ナ及びシリカから選ばれた少なくとも一種類の無機物担
体と、硝酸銅、水酸化銅及び酸化銅から選ばれた少なく
とも1種類の銅化合物とを混合し、この混合物を150
〜300℃の温度範囲で加熱処理してなる、一酸化炭素
吸着用の吸着剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一酸化炭素吸着剤
及びその製造方法に関し、更に詳細には、一酸化炭素に
対して高い吸着性能を発現する新規な一酸化炭素吸着剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素は、化学工業の重要な基礎原
料として広く使用されており、その需要は益々増加する
傾向にある。例えば、一酸化炭素は、ポリカーボネート
(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA:ポ
リメタクリル酸メチル)等の高分子有機物或いは酢酸の
製造原料として、更にはヒドロホルミル化による高級ア
ルデヒドの製造原料として多量に使用されている。これ
ら以外にも、一酸化炭素は、カルボニル、ホスゲン製造
等の原料として、また、還元反応用ガスとして使用され
ている。そして、用途の拡大に応じて、化学品を精密合
成する際の製造原料として使用できるような純度の高い
一酸化炭素を安価に提供することが求められている。
【0003】従来、一酸化炭素は、製鉄工場から出る転
炉ガス、石油精製工場から出る炭化水素の水蒸気改質ガ
ス等の一酸化炭素含有ガスから分離、精製されて、市場
供給されている。ところで、吸収法、膜分離法等の一般
な分離精製法により一酸化炭素含有ガスから高純度の一
酸化炭素を分離、精製することは、技術的及び経済的に
困難であって、高純度の一酸化炭素を得るためには、深
冷分離法により分離精製することが必要である。しか
し、深冷分離法による一酸化炭素の分離精製は、設備費
と運転費が嵩み、一酸化炭素のコストが高くなるという
問題があった。そこで、圧力変動吸着分離法(Pressure
Swing Adsorption、以下、簡単にPSA法と言う)
が、高純度の一酸化炭素を分離、精製する方法として注
目されている。
【0004】PSA法とは、混合ガス中の各ガス成分の
吸着剤へのガス吸着量が、それぞれのガス分圧により変
化することを利用して、圧力操作により分離を行う手法
である。PSA法には、種々のプロセスがあるが、一酸
化炭素の分離精製に用いる場合の一例を以下に示す。ま
ず、第1ステップとして、吸着剤を充填した吸着塔に一
酸化炭素含有ガスを導入して吸着塔内の圧力を例えば
2、3気圧程度まで昇圧する(昇圧工程)。次に第2ス
テップとして、吸着塔内の圧力を2、3気圧に維持しつ
つ、一酸化炭素を吸着剤に吸着させる(吸着工程)。次
いで、第3ステップとして、吸着剤に吸着されずに吸着
塔内に存在する非吸着性ガスを排気して常圧程度まで減
圧した後、更に、製品ガスとして得た一酸化炭素の一部
を用いて塔内を洗浄する(減圧工程)。続いて、第4ス
テップとして、吸着塔内の圧力を例えば50torr程度ま
で減圧し、脱離して来た高純度一酸化炭素を製品ガスと
して回収する(脱離工程)。第4ステップ終了の後、再
び第1ステップに戻り、これを繰り返す。例えば、これ
らの4つのステップを4本の吸着塔で1本づつ順次ずら
し行うことにより、ほぼ連続的に高純度一酸化炭素を製
品ガスとして得ることができる。なお、これは一例とし
て示したものであり、本発明の吸着剤の使用範囲を限定
するものではない。
【0005】PSA法を適用して、炭化水素の水蒸気改
質反応ガス或いは転炉ガスからの一酸化炭素を分離、精
製する場合、一酸化炭素、二酸化炭素及び水素等の混合
ガスから一酸化炭素を選択的に吸着し、分離することが
必要である。分子量の大きい分子ほど物理的に吸着され
易いので、調湿等に使用される従来の物理吸着型吸着剤
では、二酸化炭素が優先して吸着され、一酸化炭素を分
離、精製することは出来ない。そこで、例えば、特開昭
61−242909号公報及び特公平3−59726号
公報で提案されているように、物理吸着に加えて、また
は物理吸着に代えて、吸着剤のCuカチオン(Cu+
上に一酸化炭素を弱く化学吸着させることにより、PS
A法で分離する試みが検討されている。
【0006】ところで、銅を吸着点とする吸着剤では、
一般に、Cuカチオンが不安定で酸化され易いという問
題がある。例えば、Cuカチオンが酸化されると、吸着
剤の化学吸着能が低下して物理吸着能の影響が強くな
り、分子量の大きい二酸化炭素を吸着し易くなる。逆
に、Cuカチオンが過度に還元されると、一酸化炭素の
化学吸着が強くなり過ぎて、一酸化炭素の不可逆吸着量
が増加し、一酸化炭素の製品得率が極端に低くなる。従
って、一酸化炭素の分離、精製を目的とするPSA法用
の吸着剤は、選択的な可逆吸着を行うために、一酸化炭
素を弱く化学吸着する性質を備えることが重要であっ
て、吸着剤を製造する過程で適度な酸化状態のCuカチ
オンを吸着剤上に安定に担持することが必要とされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来、吸着剤の銅源と
して塩化銅(CuCl又はCuCl2 )を使用して一酸
化炭素吸着剤が提案されている。塩化銅を銅源とする理
由は、明らかでないが、担体にCuを担持させた後、熱
処理や還元処理を行っても、担体上の塩素が比較的除去
され難く、残留塩素により銅が比較的Cu+ の状態に保
たれ易いためとの解釈が出来るかも知れない。
【0008】しかし、Cu+ は、酸化安定性に欠け、空
気中で徐々に酸化されるために、取り扱いが難しい。従
って、銅源として塩化第1銅(CuCl)を用い、Cu
+ をアルミナや活性炭に含浸、担持させる際には、例え
ば、従来、行われているように、不活性ガス雰囲気下で
吸着剤調製を行う等の慎重な取り扱いが必要とされる。
更に、CuClは水に難溶であるため、水溶液を調製す
ることが難しく、CuCl溶液調製時には、塩酸等の
酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の塩化物、アセ
トニトリル等の有機溶媒等が多量に必要になる上に、取
り扱いが面倒であって、それが実用化の上で問題であっ
た。また、CuCl2 等の二価の塩化銅を銅源として用
いる場合、CuCl2 のままでは、Cuが過度に酸化さ
れた状態であるため、適当な担体に担持させた後に還元
処理等を行い、適度な酸化状態にすることが必要があ
る。しかし、上述のように、Cu+ は不安定であるた
め、吸着剤の性能は還元処理等の条件により大きく左右
され、一酸化炭素の吸着能を安定して得ることが難し
い。このように、CuClに比べて比較的取り扱いが容
易なCuCl2 等を銅源として用いたとしても、還元処
理等の条件の設定が難しい。即ち、現状では、銅源とし
て用いたCuCl2 を還元処理等によりCu+ とすると
きの処理条件を適切に定めることは、現実的には難し
く、実用化の上で問題であった。
【0009】以上のことから結論すれば、塩化銅を一酸
化炭素吸着剤の銅源とすることは、実際的には難しく、
一酸化炭素吸着剤の製造に当たって、別の銅化合物を銅
源することが求められている。
【0010】よって、本発明の目的は、塩化銅以外の銅
化合物を使った、高吸着能の一酸化炭素吸着剤及びその
製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、比較的取り扱い易い銅化合物、即ち硝
酸銅、水酸化銅、酸化銅等の塩化銅以外の種々の銅化合
物を用いて一酸化炭素吸着剤を試作し、IR(赤外分光
装置)により銅の適度な酸化状態を検討した結果、塩化
銅以外の銅化合物を用いた場合でも、適切な還元処理を
施すことにより一酸化炭素吸脱着能に優れた吸着剤を製
造できることを見出した。
【0012】本発明に係る一酸化炭素吸着剤 即ち、上記目的を達成するために、本発明に係る一酸化
炭素吸着剤は、一酸化炭素を吸着する吸着剤であって、
アルミナ、シリカ−アルミナ及びシリカから選ばれた少
なくとも一種類の無機物担体と、硝酸銅、水酸化銅及び
酸化銅から選ばれた少なくとも1種類の銅化合物とを混
合し、この混合物を150〜300℃の温度範囲で加熱
処理してなることを特徴としている。また、酸化安定性
を付与する等のために、吸着剤の性能を損なわない範囲
で、酸化亜鉛等を添加しても良い。
【0013】一酸化炭素の赤外吸収スペクトル 本発明に係わる一酸化炭素吸着剤(以下、紛れがない限
り、簡単に吸着剤と言う)に常圧で吸着させた一酸化炭
素の赤外吸収スペクトルは、2115〜2145cm-1
の波数領域で観測される。(以下、一酸化炭素を簡単に
COと表記する)。赤外吸収スペクトルの観測波数が、
特定した2115〜2145cm-1の波数範囲の下限未
満である場合には、吸着点(銅)の価数が低下して金属
状態(metallic state)に近くなっていて、化学吸着性
が高く、CO分子を不可逆吸着する率が高くなるので、
PSA法の吸着剤としては不都合である。逆に、この範
囲の上限を超えると、吸着点(銅)の価数が高くなって
Cu2+に近くなるので、CO分子の化学吸着が弱まっ
て、物理吸着性が強くなるために、COの選択吸着性が
低下して二酸化炭素が吸着され易くなり、一酸化炭素吸
着剤、特にPSA法用の一酸化炭素吸着剤としては不適
当である。本発明に係る吸着剤に吸着されたCOのう
ち、赤外吸収スペクトルがこの波数範囲で観測されるも
のの殆どは、直線型分子構造(M=CO、linear typ
e)の形でCuカチオンに吸着されているCOである。
即ち、架橋型(M−CO−M、bridge type)の形でC
OをCuカチオンに吸着する吸着剤に比べて、銅の単位
量当たりの吸着量が増えるので、吸着剤として性能が優
れている。
【0014】前述したように、PSA法用の吸着剤で
は、COを程良く化学吸着することが好ましい。その意
味で、吸着剤に吸着したCOに帰属する赤外吸収スペク
トルが上記の特定範囲内で観測される際の吸着点(銅)
の酸化状態は、Cu+ に近くなっていると推定され、P
SA法用の吸着剤として好ましい可逆吸着性能を有す
る。本発明では、吸着剤を製造する際、還元処理工程で
の加熱処理の加熱温度の高低により銅の酸化状態を調整
して吸着剤中のCuをCu+ に近い状態にすることによ
り、高い一酸化炭素吸着性能を実現している。このとき
の還元処理条件を決定する上で、赤外吸収スペクトルが
大いに有効である。具体的な還元処理条件については後
述する。
【0015】通常、吸着COが一種類であれば、シャー
プな吸収を示すが、吸着点でのCOの吸着分子数の違い
や、銅の酸化状態の微妙な違い、担体の組成による影響
等により、上述のように特定した範囲に赤外吸収スペク
トルの波数が存在すると思われる。赤外分光装置の精度
は、通常、5cm-1である。また、IR装置は、FT−
IRやPAS−IR(photo-acoustic IR)のように、
S/N比の高い装置を用いることが好ましい。また、有
機化合物の同定等に使用される汎用型の回折格子型IR
(grating IR)では、吸収を識別し難いこともしばしば
あるので、好ましくない。
【0016】吸着剤の構成成分 吸着剤の構成成分は、還元処理工程前の段階で、アルミ
ナ、シリカ−アルミナ及びシリカから選ばれた少なくと
も一種類の無機物担体と、硝酸銅、水酸化銅及び酸化銅
から選ばれた少なくとも1種類の銅化合物とから構成さ
れておれば良く、それぞれの出発物質は問わない。例え
ば、アルミナは、アルミニウム酸化物以外に、水酸化ア
ルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物
を焼成して、アルミナにしたものでも良い。また、シリ
カは、珪酸ナトリウム、オルト珪酸エチル等から得られ
たものでも良い。銅化合物は、水和物であっても、無水
和物であっても良い。
【0017】銅化合物 銅化合物の種類 硝酸銅としては、硝酸銅三水和物[Cu(NO3)2 ・3H2O]、及
び、硝酸銅六水和物[Cu(NO3)2 ・6H2O]を好ましく使用す
ることができる。水酸化銅としては、水酸化銅[Cu(O
H)2]を好ましく使用することができる。酸化銅として
は、酸化第一銅[Cu2O]及び酸化第二銅[CuO]を好ましく
使用することができるが、安定性に優れていることか
ら、酸化第二銅が特に好ましい。なお、ここに示した、
これらの銅化合物は、本発明で使用可能な銅化合物の例
として入手し易いものを列挙したものであり、これに限
定するものではない。本発明の吸着剤は、一酸化炭素吸
着性能を損ねない限り、他の金属化合物や有機化合物を
含んでいても良い。例えば、酸化亜鉛等を添加し吸着剤
の酸化安定性を付与しても良い。また、吸着剤にバイン
ダーや離型剤等を添加しても良い。
【0018】銅化合物の割合 無機物担体と銅化合物との混合物中の銅化合物の割合
は、混合物全体の5〜35質量%の範囲が好ましく、1
0〜30質量%がより好ましく、15〜30質量%が更
に好ましい。特定した範囲の下限未満では、COの可逆
吸着が起こる銅化合物(=吸着点)そのものが少な過ぎ
て、COの吸着能が低く、実用上から好ましくない。こ
の範囲の上限を超過すると、吸着点の分散性が悪くな
り、吸着剤の表面積が減少し、更には、吸着点の焼結
(sintering)、及び吸着点の凝縮(agglomeration)な
どの様々な要因によって、可逆吸着量が減少するので、
好ましくない。硝酸銅、水酸化銅及び酸化銅から選んだ
銅源である限り、どの銅化合物であっても、好ましい銅
化合物の割合の範囲には大きな影響はない。これは、ど
の銅源を用いた場合でも、適度な還元処理を行うことに
より適度な酸化状態のCuカチオン(Cu+ )が生成す
ることを意味する。本発明の吸着剤の性能を損なわない
範囲で、塩化銅以外の硫酸銅、酢酸塩、炭酸銅等の他の
銅化合物を混合物中に添加しても良い。
【0019】酸化亜鉛の添加 酸化亜鉛を添加して、酸化安定性を付与する場合、酸化
亜鉛の混合割合は、混合物全体の1〜20質量%が好ま
しく、1〜10質量%がより好ましい。酸化亜鉛は、吸
着剤の酸化安定性が所望程度より不十分な場合に、吸着
点を安定化させる目的で加えられ、酸化亜鉛の含有率が
高いほど安定化の効果は大きい。しかし、含有率が高過
ぎると、吸着剤の表面積が小さくなるため、銅化合物を
確実に担持するのが難しくなり、吸着点の分散性も損な
われる。また、銅と亜鉛の電荷バランスが崩れて可逆吸
着量の減少を招くため好ましくない。この現象を理論的
に説明することは難しいが、銅化合物と酸化亜鉛の複合
体では、銅と亜鉛との間で電荷移動(charge transfe
r)が起こり、銅がやや陽性(δ+)になるため、酸化
亜鉛は多すぎても少なすぎても好ましくないという電荷
移動に起因する理由、酸化亜鉛と銅が一部固溶化(allo
ying)するなどの構造無機化学上の理由などを挙げるこ
とができる。
【0020】無機物担体 無機物担体の種類 アルミナ、シリカ−アルミナ及びシリカから選ばれた少
なくとも一種類の無機物担体を用いる。アルミナ、シリ
カ−アルミナ及びシリカは、単体でも良く、またいずれ
か2種類又は3種類全部を任意の配合比率で混合したも
のを使用しても良い。
【0021】シリカ 担体の表面積が小さ過ぎるために、所望の吸着剤性能を
発揮できない場合に、シリカを用いると良い。シリカの
含有率が高くなると、一般に、担体の比表面積が増加す
るので、それは好ましいことであるものの、シリカの含
有率が高すぎると、担体と担体上の銅化合物との親和力
が弱まり、銅化合物(吸着点)の焼結(sintering)、
及び吸着点の凝縮(agglomeration)などが起こり易く
なる場合もある。また、シリカの含有率により、酸強
度、酸量等の担体の酸性質も変化し、担体と銅化合物と
の親和力に影響を及ぼす可能性が考えられるが、酸性質
の関与については詳細は明らかでない。これらは、銅源
の種類、物性にも左右されるので、総合的に評価する。
銅源によっては、吸着剤に適度なシリカを含有するのが
良い場合もあり、シリカを含有しない方が良い場合もあ
り、また、シリカだけを用いた方が良い場合もある。
【0022】吸着剤の比表面積 吸着剤の比表面積は、150m2 /g以上が好ましい。
上限は特に制限はなく、吸着量を増加させる意味から大
きいほど好ましい。しかし、銅化合物、シリカ、アルミ
ナのうち、銅源の比表面積は極端に小さいため、シリ
カ、アルミナの含有量により吸着剤全体の比表面積が左
右されることを考えると、実質的な吸着剤比表面積の上
限は400〜600m2 /gであると思われる。
【0023】本発明に係る一酸化炭素吸着剤の製造方法 本発明に係る一酸化炭素吸着剤の製造方法は、一酸化炭
素吸着用の吸着剤の製造方法であって、アルミナ、シリ
カ−アルミナ、及びシリカゲルから選ばれた少なくとも
一種類の無機物担体と、硝酸銅、水酸化銅及び酸化銅か
ら選ばれた少なくとも1種類の銅化合物とを混合する工
程と、混合工程で得た混合物を150〜300℃の温度
範囲で加熱し、還元処理する工程とを有することを特徴
としている。
【0024】混合工程 無機物担体と銅化合物とを混合する工程で使用する手法
としては、混練法[drymixing法]と含浸法[inpregnatin
g]とが好適であり、これらを併用することも出来る。
【0025】混練法 混練法により無機物担体と銅化合物とを混合する場合に
は、まず、アルミナ、シリカ−アルミナ及びシリカゲル
から選ばれた少なくとも一種類の無機物担体と、上述し
た銅源とを十分に混練する。吸着剤の構成成分の混合順
序は、特に限定はなく、全部を一度に混合しても良く、
また幾つかの混合段階に分けて、順次、構成成分を加え
て行っても良い。更には、各混合段階の間で、吸着剤の
性能を損なわない範囲で熱処理工程等を行っても良い。
【0026】混練に際しては、空気中の水蒸気により酸
化され易い酸化第一銅等を銅源として用いる場合、使用
する原料を十分に乾燥しておくことが好ましい。また、
混練は、乾燥空気や不活性ガス雰囲気の下で行うのが好
ましい。銅源として硝酸銅、水酸化銅、酸化第二銅等の
酸化安定性の比較的高い原料を使用する場合、混練は空
気中で行って良く、また、蒸留水、エタノール、アセト
ン等の溶媒を使用した湿式混練を行っても良い。なお、
銅源の混合順序は、特に制約はなく、混合しやすい順序
で混合すれば良い。
【0027】続いて、吸着剤の使用条件に適合するよう
に、混練後の混合物を、適宜、圧縮成形法などの既知の
成形方法に従って、円柱状、球状、角柱状、楕円状など
の様々な形状の成形体に成形する。次いで、後述の加熱
処理による還元工程を経て、本発明の吸着剤が製造され
る。
【0028】含浸法 含浸法により無機物担体と銅化合物とを混合する場合に
は、先ず、アルミナ、シリカ−アルミナ及びシリカゲル
から選んだ少なくとも一種類の無機化合物を十分に粉砕
して粉末状とする。二種類以上の無機物を用いる場合
は、それらを十分に混練する。混練の際には、粉末同士
をそのまま混合(dry mixing)しても良いし、速乾性の
トルエン、アルコール等の有機溶媒又は水を分散媒とし
て加えて混合(wet mixing)しても良く、寧ろ分散媒を
用いた方が均一な混合物を得やすい。分散媒を用いたと
きには、銅化合物の溶液に無機物担体を含浸させる前に
無機物担体から分散媒を出来るだけ完全に除去する。分
散媒を除去するには、例えば、ホットプレート等を用い
て、100℃前後で、無機物担体の量や分散媒の種類に
よって異なるが、1〜10時間程度、加熱すれば良い。
この後、無機物担体に成形処理を施す。成形の手法は、
混練法の場合と同様に、既知の成形手法に従って行われ
る。成形の後、担体の機械的強度の付与等を目的とし
て、熱処理等を行っても良い。
【0029】担体成形の際の易燃性化合物の添加 無機物担体の成形過程では、一般に担体の表面積が減少
する。これでは、吸着能が低下するので、易燃性化合物
を添加して、担体の表面積の減少を回避するようにして
も良い。例えば、アルミナ粉末と酸化亜鉛粉末と易燃性
化合物とを混合して既知の手法で成形し、次いで、易燃
性化合物の気化又はガス化する温度で空気中で焼成する
と、易燃性化合物は、燃焼したり、熱分解したりして、
燃焼ガス又は熱分解ガスを発生する。これにより、担体
内に細孔が形成されると共に表面積の減少が緩和される
ので、吸着能が増加する。本発明で使用する易燃性化合
物とは、450〜600℃の温度範囲で気化又はガス化
する易燃性有機化合物又は易燃性高分子化合物であっ
て、気化又はガス化とは、担体の成形体を加熱、焼成し
て、燃焼反応又は分解反応によりガスを放出し、後に残
留物が残らないことをいう。易燃性化合物は、気化又は
ガス化する温度が450〜600℃、好ましくは450
〜530℃の温度範囲にあるものが好適である。
【0030】易燃性化合物としては、例えばオキシ酸、
ジカルボン酸、モノカルボン酸等の脂肪族及び芳香族カ
ルボン酸、アルカン類、アルケン類、ジエン類、脂環式
有機化合物等の易燃性有機化合物、または、ポリビニル
アルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、
ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース、酢酸セ
ルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の
易燃性高分子化合物を用いることが出来る。
【0031】成形の後、空気中で焼成する。焼成温度
は、易燃性化合物が気化又はガス化する温度である。焼
成温度がこの温度より低いと、易燃性化合物の分解が充
分に進行せず、分解により生成した成分や炭素塊が残存
する可能性が高く、一方、この温度を著しく超過する
と、担体の表面積が大幅に減少する可能性があるからで
ある。なお、焼成時には排気を行うことが好ましい。ま
た、易燃性化合物としては、有害成分を含む分解ガス、
又は燃焼ガスを放出しないような化合物を選択する。易
燃性化合物を多量に入れると、担体の多孔性は向上する
が、多すぎると、吸着剤の強度が低下し、成形して担体
強度を上げる目的を達し得ないこともあり、また、逆
に、少ないと、易燃性化合物の添加効果が乏しい。通常
は、易燃性化合物の添加量は、3〜10質量%、好まし
くは5〜10質量%である。
【0032】このようにして得た担体成形体に銅源を溶
解させた溶液を既知の手法により含浸する。この後、後
述の加熱処理による還元処理工程を経て、本発明の吸着
剤を製造することができる。
【0033】銅源を溶解させる溶液としては水、エタノ
ール等のアルコール、トルエン、アセトン等の有機化合
物、塩酸、硝酸等の酸を好ましく使用することが出来る
が、取り扱いが容易であることから、水を用いるのがよ
り好ましい。銅源の水溶液を調製する際には、それに先
立ち、担体の飽和吸水量を測定しておくことが好まし
い。測定方法は特に制約はないが、例えば、担体を精秤
し、これにビュレットから水を滴下して、担体の吸水が
飽和するまでの水供給量を求め、更に担体のグラム当た
りの飽和含水量を算出する。飽和含水量の測定時には、
担体内部まで水が浸透するように、十分に吸水させる。
また、乾燥機などで担体の水分を十分に除いておくこと
が望ましい。含浸に当たっては、飽和含水量に等しい水
を担体グラム当たりの所定量の銅源に加えて銅源溶液を
調製し、グラム当たりの担体に含浸させる。特に、分散
媒を用いて混練して無機物担体を得た時は、分散媒の除
去程度にも十分に注意する。例えば、分散媒以外の固体
成分の質量を測定しておき、乾燥後の質量と比較するな
ど工夫すればよい。
【0034】還元処理工程 無機物担体と銅化合物との混合物を加熱処理して銅化合
物を還元処理する工程は、本発明の吸着剤の使用に先立
ち、吸着剤を活性化するために必要な工程である。加熱
処理は、空気中、不活性ガス雰囲気、又は還元ガス雰囲
気下で好ましく行うことができ、吸着剤性能の面から、
還元ガス雰囲気で行うのが最も好ましい。不活性ガスと
しては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を、還元処理ガス
としては、水素、一酸化炭素をそれぞれ好ましく使用す
ることが出来る。 加熱処理の際の圧力は、特に制約は
なく、通常、常圧で行えば良い。加熱温度は、銅の価数
を制御する因子であって、銅源の物性や担体の物性にも
左右されるが、150〜300℃の範囲が好ましく、よ
り好ましくは180〜250℃、更に好ましくは180
〜200℃である。加熱温度が上記温度範囲の下限未満
では、銅の酸化状態が高すぎるため、COの可逆吸着が
相対的に起こり難くなり、PSA法用の吸着剤としては
好ましくない。逆に、上記温度範囲の上限を超えた場合
には、吸着点のシンタリング(sintering)が起こり、
COの吸着量が減少すると共に、銅の還元が進行し過ぎ
るために、COの不可逆吸着量が増加し、PSA法用の
吸着剤として好ましくない。加熱処理時間は、吸着剤の
量、還元ガスの流量等の状況により、一概に決められな
いが、通常、1〜20時間程度である。
【0035】還元処理時の銅化合物の状態の詳細を明ら
かにすることは技術的に難しいものの、以下のように推
測できる。酸化第二銅は、還元により酸化第一銅になっ
て一酸化炭素吸着剤として好ましい性能を示すようにな
り、更に還元が進行すると、銅になって吸着剤性能が損
なわれると考えられる。水酸化銅も同様に、還元により
酸化第一銅となると考えられる。硝酸銅は、還元により
亜硝酸銅又は酸化第一銅になり、一酸化炭素吸着剤とし
て好ましい性能を示すようになると考えられる。一方、
銅化合物として塩化銅を用いた場合、還元を行っても塩
素は担体上に残ることがイオンクロマト法により分かる
ため、銅化合物として酸化銅、水酸化銅、硝酸銅を用い
た場合とは明らかに異なる吸着剤となる。吸着剤中の塩
素含有量が0.1質量%以下であり、好ましく0.01
質量%以下である。
【0036】銅化合物として酸化第一銅を用いる場合、
そのままでも銅がある程度良い酸化状態となっているた
め、所定温度範囲の加熱による還元処理を行わず、窒素
雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、減圧下等で所定温度範
囲以下の加熱処理を施すだけでも、ある程度はCO吸着
能力を持つ吸着剤が得られる。尤も、所定の還元処理を
行うことにより得られる吸着剤に比べCO吸着性能は劣
る。ある程度良い酸化状態となっている銅源を使用する
場合、過度の還元処理を避け、所定温度範囲内で比較的
低い温度で還元処理を行うのが良い。
【0037】なお、TSAプロセスやPTSAプロセス
のように、プロセス中に加温工程を含むプロセスによる
CO回収プロセスにCO吸着剤を適用する場合、プロセ
ス始動前に吸着剤の還元処理を行わなくても、プロセス
始動中に自動的に吸着剤の還元処理が行われることもあ
るため、プロセス始動前に還元処理を行う必要がない場
合もある。このような場合でも、還元処理により吸着剤
が活性化されたとみなすことが出来る。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて、本発明
の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。しかし、こ
れらの実施例は、本発明を説明するために示すものであ
り、発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例
及び比較例で、吸着剤を調製する際に使用した試薬は、
全て市販の特級品であって、水はイオン交換水を用い
た。アルミナ(Al2O3 )及びシリカ(SiO2)はMerck社
製のものを、酸化亜鉛(ZnO)、硝酸銅三水和物(Cu(NO
3)2・3H2O)、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2O)、水
酸化銅(Cu(OH)2 )及び酸化第二銅(CuO)は和光純薬
工業製のものを、PVAは日本合成社製のものを使用し
た。
【0039】CO可逆吸着量の定量には自動吸脱着量測
定装置(Belsorp HP、ベルジャパン社製)を用い、標準
状態換算値(STP)で示した。比表面積の測定にはB
ET表面積測定装置(Belsorp 28、ベルジャパン製)を
用いた。吸着剤に吸着したCOの赤外吸収スペクトルの
測定には拡散反射FT−IR装置(島津製作所製)を用
い、in-situで、常圧にて測定した。分解能は4cm-1
積算回数は200回とした。
【0040】実施例1 粉末状アルミナ(Al2O3 )を打錠成形機により直径3.
2mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。硝酸銅
三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)38.6gを秤量してイオ
ン交換水70.0mlに溶解させた後、この溶液を成形
したアルミナ・ペレット70.0gに含浸させた。次
に、硝酸銅を含浸させたペレットを空気中で温度20℃
に維持して1時間放置し、続いてロータリーエバポレー
ターを使って40〜50℃に加温しながら、水流ポンプ
で約2.7kPaに減圧しつつ、この状態を2時間維持
して、水分を除去し、吸着剤成形体を得た。更に、この
吸着剤成形体を水素雰囲気下、常圧、200℃で3時間
加熱して還元処理を行い、比表面積160m2 /gの実
施例1の吸着剤を得た。
【0041】以上のようにして得た実施例1の吸着剤に
ついて、以下の一酸化炭素吸着性能試験を行った。先
ず、温度200℃、減圧10-2mmHg程度の条件下で1時
間真空排気を行った後、温度20℃、常圧下でCO可逆
吸着量を測定した。その結果、実施例1の吸着剤のCO
可逆吸着量は22.1ml(STP )/gであった。次い
で、実施例1の吸着剤に吸着したCOの赤外吸収スペク
トルを測定した。初めに、還元処理前の上述の吸着剤成
形体を自動乳鉢で砕いて粉末状とし、拡散反射セルに配
置し、実施例1の吸着剤を作製した時と同様にして、水
素雰囲気下、常圧、200℃で3時間還元処理を行い、
続いて250℃に保ちながら1時間ヘリウムを流通させ
た。次いで、圧力760mmHgのCO雰囲気下で拡散反射
IR(以下IRと略記する)の赤外吸収スペクトルの観
測を波数400〜4000cm-1の範囲で行ったとこ
ろ、2120cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測さ
れた。なお、バックグラウンドにはアルミナ粉末を同様
に処理し、COを通気した時のCO(molecular CO)の
吸収スペクトルを用い、差スペクトルを測定した。
【0042】実施例1の吸着剤を調製した際の化学組成
(質量%)、還元温度(℃)及び吸着剤の比表面積(m
2 /g)、並びに実施例1の吸着剤のCO可逆吸着量
(ml(STP )/g)を表1に示した。以下の実施例2
から実施例5、及び比較例1から3についても、同様で
ある。
【表1】
【0043】実施例2 粉末状シリカ−アルミナ(SiO2−Al2O3 、SiO2/Al2O3
1:3(質量比))を打錠成形機にて直径3.2mmφ×
長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。そして、マッフ
ル炉を用いてこのシリカ−アルミナ成形体を600℃で
5時間空気中で焼成した。硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3
H2O)25.8gを秤量し、イオン交換水80.0ml
に溶解させた後、この溶液を焼成したシリカ−アルミナ
・ペレット80.0gに含浸させた。次に、硝酸銅を含
浸させたペレットから実施例1と同様にして放置、加
温、減圧して水分を除去し、吸着剤成形体とした。更
に、この吸着剤成形体を一酸化炭素雰囲気下、常圧、1
80℃で3時間加熱して還元処理を行い、比表面積23
0m2 /gの実施例2の吸着剤を得た。
【0044】次いで、実施例2の吸着剤の一酸化炭素吸
着性能を実施例1と同様な方法で試験した。その結果、
実施例2の吸着剤のCO可逆吸着量は23.2ml(ST
P )/gであった。また、還元ガスとして一酸化炭素を
使用したこと以外は実施例1と同様な方法で、実施例2
の吸着剤に吸着したCOの赤外吸収スペクトルを測定し
たところ、2120cm-1の波数にピークを持つ吸収が
観測された。
【0045】実施例3 自動乳鉢を用いて粉末状アルミナ(Al2O3 )320gと
粉末状酸化亜鉛(ZnO)20.0gとポリビニルアルコ
ール17.0gとを混練し、打錠成形機にて直径3.2
mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した。続いて、
マッフル炉を用いて、このペレットを空気中で550℃
で5時間焼成した。水酸化銅(Cu(OH)2 )15.0gを
秤量し、イオン交換水85.0mlに溶解させた後、こ
の溶液を焼成したペレット85.0gに含浸させた。次
に、水酸化銅を含浸させたペレットを実施例1と同様に
して放置、加温、及び減圧して水分を除去し、吸着剤成
形体を得た。更に、この吸着剤成形体を実施例2と同様
にして還元処理し、比表面積165m2 /gの実施例3
の吸着剤を得た。
【0046】得た実施例3の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、実施例3
の吸着剤のCO可逆吸着量は21.5ml(STP )/g
であった。また、実施例3の吸着剤に吸着したCOの赤
外吸収スペクトルを実施例2と同様にして測定したとこ
ろ、2140cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測さ
れた。
【0047】実施例4 粉末状シリカ(SiO2)70.0gと粉末状酸化第二銅
(CuO)30.0gとを秤量し、自動乳鉢で30分間乾
式混練した後、打錠成形機にて直径3.2mmφ×長さ3
mmの円筒状ペレットに成形した。次に、得たペレットを
空気中で20℃の温度に維持しつつ1時間放置し、水分
を除去して、吸着剤成形体を得た。更に、この吸着剤成
形体を一酸化炭素雰囲気下、常圧、250℃で3時間加
熱して還元処理を行い、比表面積160m2 /gの実施
例4の吸着剤を得た。
【0048】得た実施例4の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、実施例4
の吸着剤のCO可逆吸着量は22.2ml(STP )/g
であった。また、実施例2と同様な方法で実施例4の吸
着剤に吸着したCOの赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、2125cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測
された。
【0049】実施例5 自動乳鉢を用いて、粉末状アルミナ(Al2O3 )120g
と粉末状シリカ(SiO2)20.0gと粉末状酸化亜鉛
(ZnO2)20.0gとポリビニルアルコール1.60g
とを混練し、打錠成形機にて直径3.2mmφ×長さ3mm
の円筒状ペレットに成形した。次いで、得たペレットを
マッフル炉により空気中で550℃で5時間焼成した。
硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)12.9gと水酸化
銅(Cu(OH)2 )10.0gとをそれぞれ秤量し、イオン
交換水80.0mlに溶解させた後、この溶液を焼成し
たペレット80.0gに含浸させた。次に、硝酸銅を含
浸させたペレットを実施例1と同様にして放置、加温及
び減圧して水分を除去し、吸着剤成形体を得た。更に、
この吸着剤成形体を一酸化炭素雰囲気下、常圧、200
℃で3時間還元処理を行い、比表面積195m2 /gの
実施例5の吸着剤を得た。
【0050】得た実施例5の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、実施例5
の吸着剤のCO可逆吸着量は21.3ml(STP )/g
であった。また、実施例5の吸着剤に吸着したCOの赤
外吸収スペクトルを実施例2と同様にして測定したとこ
ろ、2130cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測さ
れた。
【0051】比較例1 実施例1と同様にして円筒状ペレットを成形した。塩化
第二銅二水和物(CuCl 2 ・2H2O)19.0gを秤量し、
イオン交換水85.0mlに溶解させた後、この溶液を
得たペレット85.0gに含浸させた。次に、塩化銅を
含浸させたペレットを実施例1と同様にして放置、加温
及び減圧して水分を除去し、吸着剤成形体を得た。更
に、この吸着剤成形体を実施例2と同様にして還元処理
を行い、比表面積140m2 /gの比較例1の吸着剤を
得た。
【0052】得た比較例1の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、比較例1
の吸着剤のCO可逆吸着量は17.5ml(STP )/g
であった。また、比較例1の吸着剤に吸着したCOの赤
外吸収スペクトルを実施例2と同様にして測定したとこ
ろ、2110cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測さ
れた。
【0053】比較例2 実施例1と同様にして円筒状ペレットを成形した。硝酸
銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)38.6gを秤量し、イ
オン交換水70.0mlに溶解させた後、この溶液を得
たペレット70.0gに含浸させた。次に、硝酸銅を含
浸させたペレットを実施例1と同様にして放置、加温及
び減圧して水分を除去し、吸着剤成形体を得た。更に、
この吸着剤成形体を水素雰囲気下、常圧、350℃で3
時間加熱して還元処理を行い、比表面積120m2 /g
の比較例2の吸着剤を得た。
【0054】得た比較例2の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、比較例2
の吸着剤のCO可逆吸着量は18.8ml(STP )/g
であった。また、比較例2の吸着剤に吸着したCOの赤
外吸収スペクトルを実施例1と同様な方法で測定したと
ころ、2110cm-1の波数にピークを持つ吸収が観測
された。
【0055】比較例3 実施例2と同様にして、円筒状ペレットを成形し、得た
ペレットをマッフル炉により焼成し、更に実施例2と同
様にして硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)を含浸させ
た。次に、硝酸銅を含浸させたペレットを実施例1と同
様にして放置、加温及び減圧して水分を除去し、吸着剤
成形体を得た。更に、この吸着剤成形体を水素雰囲気
下、常圧、140℃で3時間加熱して還元処理を行い、
比表面積235m2 /gの比較例3の吸着剤を得た。
【0056】得た比較例3の吸着剤の一酸化炭素吸着性
能を実施例1と同様な方法で試験したところ、比較例3
の吸着剤のCO可逆吸着量は3.4ml(STP )/gで
あった。また、比較例3の吸着剤に吸着したCOの赤外
吸収スペクトルを実施例1と同様な方法で測定したとこ
ろ、吸収スペクトルの強度が小さ過ぎてピーク位置が判
別できなかった。
【0057】実施例と比較例の比較 実施例1〜5と比較例1との比較から、銅化合物として
塩化銅を用いた比較例1の吸着剤よりも、塩化銅以外の
銅化合物を用いた実施例1〜5の吸着剤の方が、高いC
O可逆吸着能を持つ吸着剤が得られていることが確認で
きた。特に、還元処理温度が同じ180℃である実施例
2及び3と比較例1との比較は、このことを一層明らか
にしている。また、本発明の吸着剤では、還元処理工程
での加熱温度の高低が吸着剤の一酸化炭素吸着能に大き
く影響する。実施例1と比較例2との比較から、加熱温
度が本発明で特定した温度範囲(150〜300℃)の
上限を超えている比較例2は、実施例1に比べて、吸着
剤比表面積が小さく、従ってCO可逆吸着量が著しく低
下している。また、実施例2と比較例3との比較から、
加熱温度が本発明で特定した温度範囲の下限未満である
比較例3は、実施例2に比べて、吸着剤比表面積がほぼ
同じであるものの、CO可逆吸着量が著しく低下してい
ることが判る。また、赤外吸収スペクトルのピーク位置
は、実施例1〜5と比較例1〜3との間で異なり、IR
吸収ピークが実施例1〜5では2120cm-1以上であ
るのに対して、比較例1〜3では2110cm-1以下で
ある。これは、吸着剤上の銅の状態が異なっていること
を示唆している。
【0058】このように、塩化銅以外の銅化合物を用い
ることにより、高性能の一酸化炭素吸着剤を製造するこ
とができ、また、銅源の原料選択の幅が広がることによ
り、簡易なプロセスで安価に一酸化炭素吸着剤を製造す
ることができる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、アルミナ、シリカ−ア
ルミナ及びシリカから選ばれた少なくとも一種類の無機
物担体と、硝酸銅、水酸化銅及び酸化銅から選ばれた少
なくとも1種類の塩化銅以外の銅化合物とを混合し、こ
の混合物を150〜300℃の温度範囲で加熱処理する
ことにより、高い一酸化炭素吸着能を有し、かつ経済的
な吸着剤を実現している。特に、塩化銅以外の取り扱い
の容易な様々な銅化合物を銅源とすることにより、銅源
の原料選択の幅が広がり、しかもより簡易なプロセスで
経済的に一酸化炭素吸着剤を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 20/16 B01D 53/34 135A (72)発明者 吉成 知博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化炭素を吸着する吸着剤であって、 アルミナ、シリカ−アルミナ及びシリカから選ばれた少
    なくとも一種類の無機物担体と、硝酸銅、水酸化銅及び
    酸化銅から選ばれた少なくとも1種類の銅化合物とを混
    合し、この混合物を150〜300℃の温度範囲で加熱
    処理してなることを特徴とする一酸化炭素吸着剤。
  2. 【請求項2】 無機物担体と銅化合物との混合物中の銅
    化合物の割合は、混合物全体の5〜35質量%の範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素吸着
    剤。
  3. 【請求項3】 吸着剤の比表面積が150m2 /g〜6
    00m2 /gであることを特徴とする請求項2又は3に
    記載の一酸化炭素吸着剤。
  4. 【請求項4】 吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素由
    来の赤外吸収スペクトルピークが、2115〜2145
    cm-1の波数領域で観測されることを特徴とする請求項
    1から3のうちのいずれか1項に記載の一酸化炭素吸着
    剤。
  5. 【請求項5】 吸着剤中の塩素含有量が0.1質量%以
    下であることを特徴とする請求項1から4のうちのいず
    れか1項に記載の一酸化炭素吸着剤。
  6. 【請求項6】 一酸化炭素吸着用の吸着剤の製造方法で
    あって、 アルミナ、シリカ−アルミナ、及びシリカゲルから選ば
    れた少なくとも一種類の無機物担体と、硝酸銅、水酸化
    銅及び酸化銅から選ばれた少なくとも1種類の銅化合物
    とを混合する工程と、 混合工程で得た混合物を150〜300℃の温度範囲で
    加熱し、還元処理する工程とを有することを特徴とする
    一酸化炭素吸着剤の製造方法。
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