JPH11179197A - 一酸化炭素吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素吸着剤及びその製造方法

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JPH11179197A
JPH11179197A JP9354265A JP35426597A JPH11179197A JP H11179197 A JPH11179197 A JP H11179197A JP 9354265 A JP9354265 A JP 9354265A JP 35426597 A JP35426597 A JP 35426597A JP H11179197 A JPH11179197 A JP H11179197A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一酸化炭素に対する選択吸着性と可逆吸着性
に優れた吸着剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 本一酸化炭素吸着剤は、酸化アルミニウ
ムと酸化亜鉛とからなる担体に銅を担持させてなる一酸
化炭素吸着剤であって、担体の比表面積1m2 当たり銅
を6.5×10-6モルから16×10-6モルの範囲で含
有し、かつ亜鉛と銅のモル比(Zn/Cu)が1/1か
ら1/20の範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、選択的に一酸化炭
素を吸着し、かつ高い一酸化炭素可逆吸着能を有する一
酸化炭素吸着剤に関し、更に詳細には、一酸化炭素精製
用圧力変動吸着分離装置(CO−PSA)に使用する吸
着剤として最適な一酸化炭素吸着剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素(CO)は、化学工業の重要
な基礎原料として広く使用されており、その需要は益々
増加する傾向にある。例えば、一酸化炭素は、ポリカー
ボネート(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PM
MA:ポリメタクリル酸メチル)等の高分子有機物或い
は酢酸の製造原料として、更にはヒドロホルミル化によ
る高級アルデヒドの製造原料として多量に使われてい
る。これら以外にも、一酸化炭素は、カルボニル、ホス
ゲン製造等の原料として、また還元反応用ガスとして使
用されている。用途の拡大に応じて、化学品を精密合成
する際の製造原料として使用できるような純度の高い一
酸化炭素を安価に提供することが求められている。従
来、一酸化炭素は、製鉄工場から出る転炉ガス、石油精
製工場から出る、炭化水素の水蒸気改質ガス等の一酸化
炭素含有ガスから分離、精製されて、市場に供給されて
いる。しかし、一酸化炭素を分離、精製する際、吸収
法、膜分離法等の一般な分離精製法により、一酸化炭素
含有ガスから高純度の一酸化炭素を分離することは技術
的に困難であって、高純度の一酸化炭素を得るために
は、深冷分離法により分離精製することが必要である
が、設備費と運転費が嵩み、分離精製コストが高くなる
という問題があった。
【0003】そこで、圧力変動吸着分離法(Pressure Sw
ing Adsorption、以下、簡単に、PSA法と言う)が、
高純度の一酸化炭素を分離、精製する方法として注目さ
れている。PSA法は、基本的には、対象ガスの吸着工
程と吸着したガスの脱着工程とから構成されたバッチワ
イズの非定常プロセスである。PSA法を適用した一酸
化炭素の分離精製プロセスは、種々あって、その一例を
示すと、吸着工程、均圧工程、パージ工程、減圧工程、
排気工程及び昇圧工程をその順番で繰り返すプロセスで
ある。先ず、吸着工程で、原料ガス中の一酸化炭素を吸
着させる。次いで、吸着剤に一酸化炭素を充分に吸着さ
せる等を目的とした均圧工程、製品ガスで吸着剤層をパ
ージして製品ガスの純度を高めるパージ工程、吸着剤か
ら製品ガスを取出す減圧工程、吸着剤の再生を行う排気
工程を経て、原料ガスの昇圧工程に到る一連の工程を実
施する。なお、各工程の順番や、減圧の程度、工程毎の
タイムサイクルは、原料ガスや、一酸化炭素ガスの製品
純度などによって異なる。ここでは、圧力変動吸着分離
法を簡単に説明するために、一例を示したものであり、
本発明の吸着剤を使用するPSA装置の構成、その運転
条件、吸着剤の使用範囲等を限定するものではない。
【0004】PSA法を適用して、炭化水素の水蒸気改
質反応ガス或いは転炉ガスから一酸化炭素を分離、精製
する場合、一酸化炭素、二酸化炭素及び水素等の混合ガ
スから一酸化炭素を選択的に吸着し、分離する吸着剤が
必要である。ところで、ガスの吸着では、分子量の大き
いガス分子ほど物理的に吸着され易いので、調湿等に使
用される従来の物理吸着型吸着剤では、二酸化炭素が優
先して吸着され、一酸化炭素を分離、精製することは出
来ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の物
理吸着型吸着剤は、一酸化炭素をPSA法により分離、
精製する吸着剤として充分な吸着性能を備えているとは
言えず、PSA法に適した吸着能の高い新規な吸着剤が
望まれていた。そこで、本発明は、従来の吸着剤に比べ
て、一酸化炭素に対する選択吸着性と可逆吸着性に優れ
た吸着剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討した結果、担体表面積当た
り適度な銅密度を持たせることによって、優れたCO可
逆吸着量を有する吸着剤になることを見出し、本発明を
完成するに到った。すなわち、上記目的を達成するため
に、本発明に係る一酸化炭素吸着剤は、酸化アルミニウ
ムと酸化亜鉛とからなる担体に銅を担持させてなる一酸
化炭素吸着剤であって、担体の比表面積1m2 当たり銅
を6.5×10-6モルから16×10-6モルの範囲で含
有し、かつ亜鉛と銅のモル比(Zn/Cu)が1/1か
ら1/20の範囲であることを特徴としている。
【0007】以下に、本発明に係る一酸化炭素吸着剤の
構成を詳細に説明する。組成 本発明に係る一酸化炭素吸着剤は、特定の銅密度(複合
担体の表面積1m2 あたりの銅の量が6.5×10-6
ル〜16×10-6モル)かつ亜鉛と銅の特定したモル比
(1/1〜1/20)であれば、一酸化炭素吸着剤とし
て優れた効果を示す。塩化銅は、アルミナ−酸化亜鉛複
合体担体のBET法による比表面積1平方メートルあた
り金属銅(Cu)換算で銅を6.5×10-6モル〜16
×10-6モルの範囲で含有するのが好ましく、より好ま
しくは8×10-6モル〜16×10-6モル、さらに好ま
しくは9×10-6〜12×10-6モルである。銅の含有
率が担体比表面積1平方メートルあたり6.5×10-6
モル未満では、一酸化炭素の吸着能は低下し、16×1
-6モルを超えると、一酸化炭素吸着能の低下、及び耐
空気暴露性能が低下するおそれが生じる。これは、一酸
化炭素の吸着点であるCu種が、ある程度の集合状態を
必要とするためと推測される。例えば、担体比表面積あ
たり6.5×10-6モル未満の場合、一酸化炭素を吸着
するのに必要なCu種の集合状態が保てなくなること
(Cu種同士の離散)が考えられ、逆に、16×10-6
モルを超えると、Cu種同士が塊状態のようになって一
酸化炭素を吸着するために必要な集合状態を保てなくな
ることが考えられる。また、担体と相互作用を持ちがた
いCu種が存在し始め、結果として一酸化炭素の可逆吸
着に適した銅の酸化状態を保ち難くなり、可逆吸着量が
減少する。亜鉛/銅比は1/1〜1/20の範囲が好ま
しく、1/1〜1/15がより好ましく、1/1〜1/
10が最も好ましい。1/1〜1/20の範囲を外れる
と、可逆吸着量の減少を招く傾向が見られる。特に、亜
鉛が銅に比べて極端に多すぎる場合に減少が著しくな
る。この理由として、酸化亜鉛が多すぎると比表面積が
減少することが考えられる。
【0008】更に言えば、以下のような組成であること
が好ましい。すなわち、吸着剤中の酸化亜鉛質量、酸化
アルミニウム質量および銅質量の合計を100としたと
き、酸化亜鉛が0.5〜20質量%、好ましくは1〜2
0質量%、より好ましくは1.5〜20質量%、銅が1
0〜18質量%、好ましくは12〜18質量%、より好
ましくは、13〜16質量%、残部が酸化アルミニウム
からなるような組成である。なお、酸化亜鉛及び銅の質
量%は、一酸化炭素吸着剤に含有される酸化亜鉛の質
量、銅の質量及び酸化アルミニウムの質量に基づいて、
それぞれ、次の(1)及び(2)式で定義されるもので
ある。 酸化亜鉛の質量%=100×M1 /(M1 +M2 +M3 ) (1) 銅の質量% =100×M3 /(M1 +M2 +M3 ) (2) ここで、 酸化亜鉛質量 :M1 酸化アルミニウム質量:M2 銅質量 :M3
【0009】ここで、銅質量とは、銅の金属換算質量を
意味し、具体的には金属分析(ICP法)によって求め
られる。酸化亜鉛質量、酸化アルミニウム質量について
は、原料に酸化亜鉛、酸化アルミニウムを使用する場
合、吸着剤製造中に変化するものではないので、原料と
して使用した量から求められる。また、銅質量と同様に
金属分析を行った亜鉛質量、アルミニウム質量の結果を
使用し、酸化亜鉛質量、酸化アルミニウム質量に換算し
ても良い。さらに、焼成によって酸化亜鉛、酸化アルミ
ニウムになるような原料を使用する場合、原料中の亜鉛
質量、アルミニウム質量を計算し、これから酸化亜鉛質
量、酸化アルミニウム質量を求めても良い。
【0010】また、こうした好適な割合になるように酸
化亜鉛を含有させることにより、優れた耐空気暴露性を
有する吸着剤となり、従来の吸着剤の問題点であった空
気中での劣化を抑えることができる。このことにより、
本吸着剤の取り扱いは非常に容易となる。例えば、工業
装置に吸着剤を充填する場合、取り扱いに要するコスト
が嵩むという問題が解決される。また、プラント現場
で、空気との接触を完全に断つことはきわめて困難であ
るため、吸着剤充填量を増加させる必要があり、建設コ
スト、吸着剤コストが嵩むという問題も解決される。
【0011】一酸化炭素吸着剤の原料 本発明では、酸化アルミニウムと酸化亜鉛からなる担体
に銅を担持させてなる一酸化炭素吸着剤であって、担体
の比表面積1m2 当たり銅を6.5×10-6モル〜16
×10-6モル含有し、かつ亜鉛と銅のモル比(Zn/C
u)が1/1〜1/20である限り、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛及び銅の出発物質(原料)、その純度、形
態等は、特に問わない。
【0012】具体的には、本発明の吸着剤を製造するた
めの原料として、以下のようなものを挙げることができ
る。 酸化アルミニウム 酸化アルミニウムとしては、例えば、酸化アルミニウム
(アルミナ)をそのまま使用する以外に、水酸化アルミ
ニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物を焼
成しても良いし、アルミニウムアルコキシド(例えばア
ルミニウムイソプロポキシド)を縮重合してアルミニウ
ムゲルを得、これを乾燥、焼成しても良い(ゾルゲル
法)。
【0013】酸化亜鉛 また、酸化亜鉛としては、酸化亜鉛をそのまま使用する
以外に、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、炭
酸亜鉛等の亜鉛化合物を焼成しても良い。亜鉛化合物を
含浸させる場合にあっては、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハ
ロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜
鉛、ギ酸亜鉛等のカルボン酸との化合物、硝酸亜鉛、硫
酸亜鉛等を好ましく使用できる。中でも硝酸亜鉛、酢酸
亜鉛が好ましく、硝酸亜鉛が最も好ましい。
【0014】銅 銅成分の原料としては、塩化銅が好ましく使用できる。
ここでいう塩化銅とは、塩化銅(I)、塩化銅(II)の
どちらでも良い。また、塩化銅(II)は水和物であって
も良い。
【0015】本発明の一酸化炭素吸着剤は、吸着性能と
空気暴露耐性を損ねない限り、ほかの金属化合物や有機
化合物を含有しても良い。例えば、吸着剤にバインダー
や離型剤等を添加することは妨げない。
【0016】比表面積 吸着剤の比表面積は、100m2 /g以上が好ましい。
上限は特に制限はなく、吸着を円滑に行わせる意味で大
きいほど好ましい。しかし、酸化亜鉛、銅化合物、酸化
アルミニウムの内、最も表面積が大きいのは酸化アルミ
ニウム(アルミナ)である。従って、酸化アルミニウム
の含有量によって吸着剤全体の比表面積が左右されるこ
とを考えると、200〜300m2 /g程度が実質的な
上限であろう。
【0017】赤外吸収スペクトル 本発明の一酸化炭素吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭
素の赤外吸収スペクトルは、2115cm-1〜2145
cm-1の波数領域で観測される。吸着剤に吸着された一
酸化炭素のうち、赤外吸収スペクトルがこの波数領域で
観測される一酸化炭素のうちのほとんどは直線型分子構
造(linear type )で、架橋型(bridge type )に比べ
て銅単位あたりのCO吸着量が増える。相馬らの均一系
錯体化学分野の研究報告によると(例えば、相馬芳江、
大阪工業試験所報告 356巻 1ページ (197
9))、波数が高い領域では、M−(CO)nのように
金属に多数COが配位することがある。不均一(気−固
系)系に均一系の結果をそのまま当てはめて考えること
はできないものの、本発明のようにある程度高い波数領
域に吸収を持つ一酸化炭素の場合は、直線かつ複数個の
一酸化炭素分子が吸着点上に吸着していると推定するこ
とが出来る。いずれにせよ、上記波数領域に吸収が見ら
れることが本発明の条件の一つと言える。Lamber
t−Beer則によって、吸収強度から吸着CO濃度を
求めることは、赤外吸収法では定量性に欠けるため相応
しくない。実際に可逆吸着量を測定して評価することが
好ましい。しかしながら、定性分析は可能であるため、
上記範囲内ではCOを可逆吸着させる吸着点が優先して
存在しているものと考えて良い。
【0018】PSA法用吸着剤では、COを弱く化学吸
着させることが好ましく、その意味で上記の特定波数領
域内で観測される際の吸着点の酸化状態はPSA用の吸
着剤として好ましい可逆吸着性能を有するものと考えら
れる。通常、吸着COが完全に一種類であれば吸収ピー
ク形状はシャープになるが、固体表面の吸着種は何種類
もあるため、上記のようなある程度の領域を示すと考え
られる。なお、赤外分光装置の精度は普通5cm-1であ
る。また測定装置はフーリエ変換赤外吸収装置(FT−
IR)などのS/N比の高いものが好適であり、有機化
合物の同定などに使われる汎用型の回折格子型装置(gr
ating IR)では吸収を識別し難い事がしばしばあるの
で、好ましくない。
【0019】吸着剤の製造方法 一酸化炭素吸着剤の製造方法は、酸化アルミニウムと酸
化亜鉛とを混合して担体を形成する工程と、担体の比表
面積1m2 当たり銅を6.5×10-6モルから16×1
-6モルの範囲で含有し、かつ亜鉛と銅のモル比(Zn
/Cu)が1/1から1/20の範囲になるように、担
体に塩化銅を担持させる工程と、塩化銅を担持させた担
体に150〜350℃の範囲の温度で還元処理を施す工
程とを備えていることを特徴としている。
【0020】塩化銅を担体に担持させる方法は、特に限
定されないが、含浸法(impregnating)が好適である。
含浸法により吸着剤を製造する方法は、 1)酸化アルミニウムと酸化亜鉛とからなる複合担体基
材を調製する工程 2)複合担体基材を成形して複合体担体を形成する工程 3)複合体担体に銅化合物の水溶液を含浸させる工程 とからなる。なお、複合体担体に銅化合物水溶液を含浸
させる前に、加熱処理又は焼成処理を行っても良い。
【0021】混練法による場合には、酸化アルミニウム
(アルミナ)粉末と酸化亜鉛粉末とを混練法にて充分、
均一に混合し複合担体基材(担体基材ともいう)を調製
する。混練の際には、粉末同士をそのまま混合(dry mi
xing)しても良いし、速乾性のトルエン、アルコール等
の有機化合物、又は水を分散媒として加えて混合(wet
mixing)しても良い。分散媒を用いたときには、含浸の
前に分散媒を出来るだけ完全に除去する。通常はホット
プレート等を用いて100℃前後で加熱すれば良い。加
熱時間は製造量、分散媒の種類によって異なるが、1〜
10時間前後である。また、酸化アルミニウム(アルミ
ナ)成形体に硝酸亜鉛等の水溶性塩を含浸し、乾燥後、
500℃前後で数時間焼成し、複合体担体を調製しても
良い。例えば、市販球状アルミナを利用する場合等に好
適である。
【0022】このようにして得た複合体担体に銅化合物
の水溶液を含浸させる。含浸工程に先立ち、担体の飽和
吸水量を測定しておくのが望ましい。一例を示すと、担
体を精秤し、これにビュレットから水を滴下して担体の
吸水が飽和するまでの、水供給量を求め、精秤値から、
グラム当たりの担体飽和吸水量(以下 吸水量という)
を求めておく。吸水量の測定に当たっては、担体内部ま
で水を浸透させることが必要である。また、測定前に担
体の水分を除いておくことも、担体製造バッチごとのば
らつきを抑える点から大切である。このように、飽和吸
水量をもとめ、その量を大きく超えない量の水により含
浸させたい物質の水溶液を調製し、含浸させることによ
り、水溶液中の含浸させたいものを100%担体に含浸
することが可能となる。ここで、銅化合物の種類によっ
ては、水を使用できないケースがある。そのさいには、
適当な有機溶媒を使用しても差し支えない。
【0023】複合体担体の比表面積の測定は、BET
(Brunauer-Emett-Tailor )測定法で行えば良く、簡便
な1点BET法でも差し支えない。プローブガスには高
純度窒素を用いるのが良い。複合体担体の比表面積を求
めた後、その比表面積当たりの銅が所定量となるよう、
銅化合物の水溶液を調製し、担体に含浸させる。このと
きも、飽和吸水量を把握しておくことにより、銅化合物
を100%含浸させることができる。含浸時間は上述の
吸水量を求めた場合と同程度で良い。通常アルミナ系担
体の場合で約1時間が目安である。加熱工程を有する場
合は、アルミナ粉末の吸水量を求め、これに硝酸亜鉛等
の可溶性塩水溶液を所定量含浸させ、100℃前後で乾
燥させた後、成形し、これを数時間焼成し、複合体担体
を得る。このときの焼成温度は250〜650℃が好ま
しく、350〜600℃がより好ましく、350〜50
0℃が最も好ましい。 なお、アルミナ成形体を使用し
た場合には、成形工程は省略する。
【0024】吸着剤の還元処理 本発明に係る一酸化炭素吸着剤は、使用に先立って、還
元処理を行って吸着剤を活性化することが必要であっ
て、通常、還元性ガス雰囲気下で吸着剤に加熱処理を施
す。還元処理の時期は制約はなく、例えば予め吸着剤に
還元処理を施した後、出荷しても良く、或いは一酸化炭
素の分離、精製処理に先立って吸着剤を充填した容器内
で還元処理を吸着剤に施しても良い。還元性ガスには水
素、又は一酸化炭素を好ましく用いることが出来る。加
熱温度(還元温度)は150〜350℃が好ましく、よ
り好ましくは200〜300℃、更に好ましくは250
〜300℃である。還元温度が150℃未満では銅の酸
化状態が高すぎるため、COの化学吸着が殆ど起こら
ず、CO−PSA用の吸着剤として好ましくない。逆
に、350℃を超過した場合には、吸着点のシンタリン
グ(sintering )が起こり、吸着量が減少する。また、
銅の還元も進むため不可逆吸着が優先し、CO−PSA
用吸着剤として不適格となる。還元処理の際の圧力は特
に制限は無い。従って通常常圧で行えば良い。還元時間
は吸着剤の量、還元ガス量、吸着塔の塔径、塔高などに
よって一概に決まらないが、普通1〜20時間程度であ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明の
実態の形態を具体的に説明する。しかしこれらの実施例
は本発明を説明するために示すものであり、発明の範囲
を限定するものではない。試薬 以下の実施例及び比較例で、吸着剤を調製する際に使用
した試薬は、全て市販特級品であって、水にはイオン交
換水を使用した。アルミナにはMerck社製のもの
を、酸化亜鉛(ZnO)、塩化第二銅2水和物には和光
純薬工業製のものを用いた。CO可逆吸着量の測定 CO可逆吸着量の測定には自動吸脱着測定装置(Belsor
p HP、ベルジャパン社製)を用い標準状態換算値(ST
P)で示した。測定は、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気
暴露条件の2種の条件下で行った。乾燥空気非暴露条件
下での吸着能試験は、吸着剤を吸着装置の専用セルに充
填し、温度20℃、減圧10-3mmHgの条件で、2時
間、真空排気した後に、温度20℃、常圧下でCO可逆
吸着量を測定した。乾燥空気暴露条件下での吸着能試験
は、水蒸気濃度1mmHg以下の乾燥空気を用意し、吸着
剤を温度20℃で3時間乾燥空気中に曝し、次いで吸着
装置の専用セルに充填し、温度20℃、減圧10-3mmH
gの条件で、2時間、真空排気した後に、温度20℃、
常圧下でCO可逆吸着量を測定した。この2つの条件下
で求めたCO可逆吸着量からCO可逆吸着量減少率を求
めた。この値が小さいほど、空気暴露によっても吸着能
が低下しないことを意味し、実際に使用する際の取り扱
いが容易になる。 CO可逆吸着量減少率(%)={(A−B)/A}×1
00 A:乾燥空気非暴露条件下でのCO可逆吸着量 B:乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量
【0026】比表面積の測定 比表面積の測定には自動表面積測定装置(Belsorp 2
8、ベルジャパン社製)を用いた。
【0027】赤外吸収スペクトル(IR)の測定 吸着剤に吸着したCOのIR測定には、拡散反射セルを
取付けたフーリエ変換赤外吸収装置(島津製作所製)を
用いin−situで常圧下で測定した。分解能は4c
-1とし、積算回数は200回とした。
【0028】金属量の測定 吸着剤中に含有される金属量は、ICP−AES(Indu
ctively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometr
y )法により測定した。
【0029】実施例1 硝酸亜鉛(Zn(NO3 2 ・6H2 O)2.8gを秤
量し、イオン交換水100.0mlに溶解させ、この硝
酸亜鉛水溶液を粉末状アルミナ(Al2 3 )100.
0gに含浸した。この混合物を20℃の温度で空気中に
1時間放置し、続いてロータリーエバポレーターを使っ
て20℃に調節しながら、水流ポンプで約2.7kPaに
減圧しつつ、この状態を8時間維持し、水分を除去し
て、硝酸亜鉛−アルミナ混合物を得た。得た硝酸亜鉛−
アルミナ混合物を打錠成形機にて直径3.2mmφ×長さ
3mmの円筒状ペレットに成形した後、空気中、常圧下、
350℃で3時間焼成し、硝酸亜鉛−アルミナ複合担体
を得た。得た硝酸亜鉛−アルミナ複合担体の比表面積を
測定したところ、269m2 /gであった。次に、塩化
第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2 O)32.1gを
秤量し、イオン交換水100.0mlに溶解させた後、
この溶液を上記硝酸亜鉛−アルミナ複合担体に含浸し
た。これを、20℃の温度で空気中に1時間放置し、続
いてロータリーエバポレーターを使って20℃に調節し
ながら、水流ポンプで約2.7kPaに減圧しつつ、この
状態を8時間維持し、水分を除去した。更に、これを温
度350℃、減圧10-3mmHgの条件で、2時間真空加
熱し、続いて、水素雰囲気下、常圧、350℃で3時間
還元処理を行うことにより、Cu密度が6.9×10-6
mol/m2 、Zn/Cu比が1/20である実施例1
の吸着剤を得た。
【0030】実施例1の吸着剤に常圧で吸着させた一酸
化炭素の赤外吸収スペクトルを測定した結果、2115
cm-1〜2145cm-1の波数領域内に吸収ピークが観
測された。次いで、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、実施例1の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。乾燥空気非暴露条件下でのCO可逆吸着量
は25.0ml(STP)/gであった。また、乾燥空
気暴露条件下でのCO可逆吸着量は20.2ml(ST
P)/gであった。したがって、乾燥空気中に曝した場
合の実施例1の吸着剤のCO可逆吸着量減少率(%)
は、{(25.0−20.2)/25.0}×100=
19%であった。実施例1及び以下の実施例2〜5の吸
着剤の組成、比表面積、還元処理の条件、IRの波数、
CO可逆吸着量、CO可逆吸着量減少率(%)等は、表
1に示している。
【表1】
【0031】実施例2 粉末状酸化亜鉛(ZnO)1.2gと粉末状アルミナ
(Al2 3 )100.0gをそれぞれ秤量し、自動乳
鉢を用い充分に混練し、酸化亜鉛−アルミナ混合物を得
た。得た酸化亜鉛−アルミナ混合物を打錠成形機にて直
径3.2mmφ×長さ3mmの円筒状ペレットに成形した
後、空気中、常圧下、500℃で3時間焼成し、酸化亜
鉛−アルミナ複合担体を得た。得た酸化亜鉛−アルミナ
複合担体の比表面積を測定したところ、265m2 /g
であった。次に、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2
2 O)36.1gを秤量し、以下、実施例1と同様に
して、水分を除去した吸着剤成形体を得た。次いで、得
た吸着剤成形体を実施例1と同様にして真空加熱し、更
に、一酸化炭素雰囲気下、常圧、300℃で3時間還元
処理を行うことにより、Cu密度が7.9×10-6mo
l/m2 、Zn/Cu比が1/15である実施例2の吸
着剤を得た。
【0032】次に、実施例1と同様にして、実施例2の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域内に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、実施例2の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は26.5ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は21.5
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の実施例2の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、19%であった。
【0033】実施例3 硝酸亜鉛(Zn(NO3 2 ・6H2 O)6.6gを秤
量し、以下、実施例1と同様にして、円筒状ペレットの
複合担体を形成し、次いで、空気中、常圧下、500℃
で3時間焼成し、硝酸亜鉛−アルミナ複合担体を得た。
得た硝酸亜鉛−アルミナ複合担体の比表面積を測定した
ところ、265m2 /gであった。次に、塩化第二銅二
水和物(CuCl2 ・2H2 O)45.2gを秤量し、
以下、実施例1と同様にして、水分を除去した吸着剤成
形体を得た。更に、この吸着剤成形体を、実施例1と同
様にして真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気下、常
圧、250℃で3時間還元処理を行うことにより、Cu
密度が9.8×10 -6mol/m2 、Zn/Cu比が1
/12である実施例3の吸着剤を得た。
【0034】次に、実施例1と同様にして、実施例3の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域内に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、実施例3の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は31.2ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は25.6
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の実施例3の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、18%であった。
【0035】実施例4 硝酸亜鉛(Zn(NO3 2 ・6H2 O)9.2gを秤
量し、以下、実施例1と同様にして、円筒状ペレットに
成形した後、空気中、常圧下、500℃で3時間焼成
し、硝酸亜鉛−アルミナ複合担体を得た。得た硝酸亜鉛
−アルミナ複合担体の比表面積を測定したところ、26
0m2 /gであった。次に、塩化第二銅二水和物(Cu
Cl2 ・2H2 O)53.2gを秤量し、以下、実施例
1と同様にして、水分を除去した吸着剤成形体を得た。
更に、この吸着剤成形体を、実施例1と同様にして真空
加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気下、常圧、200℃
で3時間還元処理を行うことにより、Cu密度が12×
10-6mol/m2 、Zn/Cu比が1/10である実
施例4の吸着剤を得た。
【0036】次に、実施例1と同様にして、実施例4の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域内に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、実施例4の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は30.8ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は25.9
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の実施例4の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、16%であった。
【0037】実施例5 粉末状酸化亜鉛(ZnO)27.3と粉末状アルミナ
(Al2 3 )100.0gをそれぞれ秤量し、以下、
実施例2と同様にして、円筒状ペレットに成形した後、
空気中、常圧下、550℃で3時間焼成し、酸化亜鉛−
アルミナ複合担体を得た。得た酸化亜鉛−アルミナ複合
担体の比表面積を測定したところ210m 2 /gであっ
た。次に、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H
2 O)57.3gを秤量し、以下、実施例1と同様にし
て、水分を除去した吸着剤成形体を得た。更に、この吸
着剤成形体を、実施例1と同様にして真空加熱し、続い
て、一酸化炭素雰囲気下、常圧、150℃で3時間還元
処理を行うことにより、Cu密度が13×10-6mol
/m2 、Zn/Cu比が1/1である実施例5の吸着剤
を得た。
【0038】次に、実施例1と同様にして、実施例5の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域内に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、実施例5の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は30.0ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は24.6
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の実施例5の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、18%であった。
【0039】比較例1 硝酸亜鉛(Zn(NO3 2 ・6H2 O)13.1gを
秤量し、以下、実施例1と同様にして、硝酸亜鉛−アル
ミナ複合担体を得た。得た硝酸亜鉛−アルミナ複合担体
の比表面積を測定したところ265m2 /gであった。
次に、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2 O)9
0.4gを秤量し、以下、実施例1と同様にして、水分
を除去した吸着剤成形体を得た。更に、この吸着剤成形
体を、実施例1と同様にして真空加熱し、続いて、一酸
化炭素雰囲気下、常圧、250℃で3時間還元処理を行
うことにより、Cu密度が19×10-6mol/m2
Zn/Cu比が1/12である比較例1の吸着剤を得
た。
【0040】次に、実施例1と同様にして、比較例1の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域外に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、比較例1の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は19.9ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は16.5
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の比較例1の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、17%であった。比較例1及び以下の比較
例2〜4の吸着剤の組成、比表面積、還元処理の条件、
IRの波数、CO可逆吸着量、CO可逆吸着量減少率
(%)等は、表2に示している。
【表2】
【0041】比較例2 粉末状酸化亜鉛(ZnO)0.7gと粉末状アルミナ
(Al2 3 )100.0gをそれぞれ秤量し、以下、
実施例2と同様にして、酸化亜鉛−アルミナ複合担体を
得た。得た酸化亜鉛−アルミナ複合担体の比表面積を測
定したところ、273m2 /gであった。次に、塩化第
二銅二水和物(CuCl2 ・2H2 O)46.5gを秤
量し、以下、実施例1と同様にして、水分を除去した吸
着剤成形体を得た後、更に、実施例1と同じ条件で真空
加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲気下、常圧、250℃
で3時間還元処理を行うことにより、Cu密度が9.9
×10-6mol/m2 、Zn/Cu比が1/30である
比較例2の吸着剤を得た。
【0042】次に、実施例1と同様にして、比較例2の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域内に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、比較例2の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は21.0ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は13.5
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の比較例2の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、37%であった。
【0043】比較例3 硝酸亜鉛(Zn(NO3 3 ・6H2 O)3.3gを秤
量し、以下、実施例3と同様にして、硝酸亜鉛−アルミ
ナ複合担体を得た。得た硝酸亜鉛−アルミナ複合担体の
比表面積を測定したところ265m2 /gであった。次
に、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H2 O)2
2.6gを秤量し、以下、実施例3と同様にして、真空
加熱処理及び還元処理を行って、Cu密度が5.0×1
-6mol/m2 、Zn/Cu比が1/12である比較
例3の吸着剤を得た。
【0044】次に、実施例1と同様にして、比較例3の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域外に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、比較例3の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は15.3ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は12.5
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の比較例3の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、18%であった。
【0045】比較例4 粉末状酸化亜鉛(ZnO)44.0gと粉末状アルミナ
(Al2 3 )100.0gをそれぞれ秤量し、以下、
実施例2と同様にして、円筒状ペレットに成形した後、
空気中、常圧下、600℃で3時間焼成し、酸化亜鉛−
アルミナ複合担体を得た。得た酸化亜鉛−アルミナ複合
担体の比表面積を測定したところ180m2 /gであっ
た。次に、塩化第二銅二水和物(CuCl2 ・2H
2 O)30.7gを秤量し、以下、実施例1と同様にし
て、水分を除去した吸着剤成形体を得た後、更に、実施
例1と同じ条件で真空加熱し、続いて、一酸化炭素雰囲
気下、常圧、250℃で3時間還元処理を行うことによ
り、Cu密度が6.9×10-6mol/m2 、Zn/C
u比が3/1である比較例4の吸着剤を得た。
【0046】次に、実施例1と同様にして、比較例5の
吸着剤に常圧で吸着させた一酸化炭素の赤外吸収スペク
トルを測定した結果、2115cm-1〜2145cm-1
の波数領域外に吸収ピークが観測された。次いで、実施
例1と同様にして、乾燥空気非暴露条件と乾燥空気暴露
条件の双方で、比較例4の吸着剤の一酸化炭素吸着性能
を試験した。その結果、乾燥空気非暴露条件下でのCO
可逆吸着量は15.0ml(STP)/gであった。ま
た、乾燥空気暴露条件下でのCO可逆吸着量は11.9
ml(STP)/gであった。したがって、乾燥空気中
に曝した場合の比較例5の吸着剤のCO可逆吸着量減少
率(%)は、27%であった。
【0047】上述の表1から判る通り、実施例1では、
銅密度が6.9、亜鉛/銅比が1/20で、銅密度及び
亜鉛/銅比はそれぞれ本発明で特定した範囲の下限近傍
及び下限にあるが、空気暴露条件でのCO可逆吸着量は
比較例に比べて著しく大きく、またCO可逆吸着量減少
率も同等ないし小さい。実施例5では、亜鉛/銅比が、
1/1で、本発明で特定した範囲の上限にあるが、空気
暴露条件でのCO可逆吸着量は比較例に比べて著しく大
きく、またCO可逆吸着量減少率も同等ないし小さい。
実施例2〜4は、銅密度及び亜鉛/銅比がそれぞれ本発
明で特定した範囲のほぼ中間にあって、いずれも、空気
暴露条件でのCO可逆吸着量は比較例に比べて著しく大
きく、またCO可逆吸着量減少率も同等ないし小さい。
【0048】一方、比較例1は、亜鉛/銅比は本発明で
特定した範囲内にあるものの、銅密度が本発明で特定し
た範囲の上限を超えているために、空気暴露条件でのC
O可逆吸着量が実施例に比べて著しく小さく、一酸化炭
素吸着剤としての有用性に乏しい。比較例2は、銅密度
は本発明で特定した範囲内にあるが、亜鉛/銅比が本発
明で特定した範囲の下限未満であるために、空気非暴露
条件でのCO可逆吸着量は大きいものの、CO可逆吸着
量減少率が大きいために空気暴露条件でのCO可逆吸着
量が実施例に比べて著しく小さく、一酸化炭素吸着剤と
しての有用性に乏しい。比較例3は、亜鉛/銅比は本発
明で特定した範囲内にあるものの、銅密度が本発明で特
定した範囲の下限未満であるために、空気非暴露条件及
び空気暴露条件双方のCO可逆吸着量が実施例に比べて
著しく小さく、一酸化炭素吸着剤としての有用性に乏し
い。比較例4は、銅密度は本発明で特定した範囲内にあ
るが、亜鉛/銅比が本発明で特定した範囲の上限を超え
ているために、空気非暴露条件及び空気暴露条件双方の
CO可逆吸着量が実施例に比べて著しく小さく、一酸化
炭素吸着剤としての有用性に乏しい。
【0049】実施例及び比較例について考察した通り、
本発明で特定した銅密度及び亜鉛/銅比で、酸化アルミ
ニウムと酸化亜鉛からなる担体に銅を担持させてなる吸
着剤は、高い可逆的一酸化炭素吸着能を有する優れた一
酸化炭素吸着剤である。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、特定した範囲の銅密度
及び亜鉛/銅比で、酸化アルミニウムと酸化亜鉛からな
る担体に銅を担持させることにより、一酸化炭素に対す
る優れた選択吸着性と、高い可逆的吸着能を有する優れ
た一酸化炭素吸着剤を実現している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉成 知博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウムと酸化亜鉛とからなる
    担体に銅を担持させてなる一酸化炭素吸着剤であって、 担体の比表面積1m2 当たり銅を6.5×10-6モルか
    ら16×10-6モルの範囲で含有し、かつ亜鉛と銅のモ
    ル比(Zn/Cu)が1/1から1/20の範囲である
    ことを特徴とする一酸化炭素吸着剤。
  2. 【請求項2】 吸着剤中の酸化亜鉛の質量、酸化アルミ
    ニウムの質量及び銅の質量の合計を100質量部とした
    とき、酸化亜鉛が0.5〜20質量部、銅が10〜18
    質量部、残部が酸化アルミニウムであることを特徴とす
    る請求項1に記載の一酸化炭素吸着剤。
  3. 【請求項3】 150〜350℃の範囲の温度で還元処
    理を施してなることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の一酸化炭素吸着剤。
  4. 【請求項4】 酸化アルミニウムと酸化亜鉛とを混合し
    て担体を形成する工程と、 担体の比表面積1m2 当たり銅を6.5×10-6モルか
    ら16×10-6モルの範囲で含有し、かつ亜鉛と銅のモ
    ル比(Zn/Cu)が1/1から1/20の範囲になる
    ように、担体に塩化銅を担持させる工程と、 塩化銅を担持させた担体に150〜350℃の範囲の温
    度で還元処理を施す工程とを備えていることを特徴とす
    る一酸化炭素吸着剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 銅として、塩化第2銅を使用することを
    特徴とする請求項4に記載の一酸化炭素吸着剤の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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