JP2004074025A - ガス吸着材ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のガス吸着材と比較して優れた特性を有するガス吸着材を提供する。
【解決手段】ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)2と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)3と、を含むガス吸着材1によって上記課題は解決される。
【選択図】 図1
【解決手段】ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)2と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)3と、を含むガス吸着材1によって上記課題は解決される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガス吸着材に関し、より詳しくは、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材と、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材とを複合化したガス吸着材に関する。これらのガス吸着材は、ガス貯蔵装置やガス分離装置に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
ガス吸着材は、加圧貯蔵や液化貯蔵に比べて、低圧で大量のガスを貯蔵しうる特性を有する。このため、近年、ガス吸着材を用いたガス貯蔵装置やガス分離装置の開発が盛んである。
【0003】
ガス吸着材としては、活性炭や金属錯体などが知られている。金属錯体としては、例えば、特開平9−227571号公報に、[Co(4,4’−bpy)1.5(NO3)2]nの組成を有する金属錯体が提案されている。また、近年においてはフラーレンやカーボンナノチューブ等のファインカーボンが水素ガス貯蔵能力を有することが見出され、実用化が検討されている。
【0004】
しかしながら、従来提案されているガス吸着材は、ガス吸着量や作業性などの点で充分に満足できるものとはいえず、より優れた特性を有するガス吸着材の開発が所望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的とするところは、従来のガス吸着材と比較して優れた特性を有するガス吸着材を提供することである。また本発明は、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置、並びに前記ガス貯蔵装置を搭載してなる車両を併せて提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含むガス吸着材である。
【0007】
理解の容易のために、本発明のガス吸着材1の模式断面図を示す(図1)。図1において、2はガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(以下、「吸着材(A)」とも記載)であり、3は少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(以下、「吸着材(B)」とも記載)である。図示するように、本発明のガス吸着材においては、吸着材(A)2が吸着材(B)3によって覆われている。本発明者らは、Langmuirの等温式に従った挙動を示さず、ガス圧力−ガス吸着量カーブがヒステリシスループを示す吸着材(B)3で吸着材(A)2を被覆することによって、メカニズムが根本的に異なるガス吸着材が得られることを見出した。なお、図1は単に説明のために便宜上用いる図であり、吸着材(B)3の厚さなどが図1に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「吸着材(A)被覆する」とは、吸着材(A)が外気と直接触れないように、吸着材(A)の表面に他の材料が配置されることを意味する。
【0008】
まず、ガス圧力−ガス吸着量カーブがヒステリシスループを示す吸着材(B)の特異性を、図面を参照しながら説明する。図2は、吸着材(A)における圧力−吸着量の関係を示すグラフである。図3は、吸着材(B)における圧力−吸着量の関係を示すグラフである。図中、横軸はガス圧力を示し、縦軸は吸着材の単位質量あたりのガス吸着量を示す。
【0009】
吸着材(A)においては、ガス圧力の増加に従ってガス吸着量も増加し、吸着の際の圧力−吸着量カーブと、脱着の際の圧力−吸着量カーブとは一致する(図2)。例えば、吸着材(A)に吸着させる吸着量をA1にする場合には、ガス圧力をp1にまで加圧する必要があり、吸着量をA1に保持するためには圧力をp1に保持する必要がある。
【0010】
これに対し、吸着材(B)においては、ガス吸着の際の圧力−吸着量カーブがヒステリシスループを示す(図3)。このような特性を有している吸着材を、例えば、ガス貯蔵装置に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。説明の都合上、圧力p1におけるガス吸着量がA1である化合物を想定して説明すると、ガス吸着量をA1にするためには、吸着材(B)に加える圧力をp1にまで上昇させる必要がある。しかしながら、吸着材(B)においては、圧力−吸着量カーブがヒステリシスループを描くため、図2に示す吸着材(A)と異なり、圧力をp1から減少させた場合であっても急激にガス吸着量が減少しない。例えばガス吸着量A1の95%を維持すればよいとすると、図3に示す圧力−吸着量カーブを示す吸着材(B)においては、ガス圧力をP1からP3へと大きく低下させることが可能である。これに対して吸着材(A)においては、図2に示すようにガス圧力は、P1からP5へと僅かに低下させ得るに過ぎない。このように吸着材(B)を用いることによって、搬送時や貯蔵時のガス圧力を減少させることが可能となる。
【0011】
吸着材(B)を本願で規定するような特別の形態とせずとも、吸着材(B)をガス貯蔵装置やガス分離装置に収容すれば、上述の効果は得られる。しかしながら、吸着材(B)のみでは充分なガス吸着量を確保できない場合も考えられる。また、吸着材(B)を製造するためには、一般に分子構造を制御する必要があり、吸着材(B)の製造コストは高くなる傾向がある。これらの問題は、本発明によって見事に解決される。つまり、吸着材(B)3によって被覆される吸着材(A)2は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示さない。ところが、吸着材(B)3によって被覆されていると、吸着材(B)3がガスを通過させる圧力(図3でいうところの圧力p2)にガス圧力が上昇するまで、吸着材(A)2においてもガスの吸着が生じなくなる。逆にガスを脱着させる場合も、吸着材(A)2におけるガスの脱着を生じにくくすることができる。このため、本来、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示さない吸着材(B)に、あたかもガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す材料であるかのような挙動をとらせることができる。例えば、活性炭のような安価かつガス吸着性に優れる材料を吸着材(A)として用いた場合には、ヒステリシスループを示すガス吸着材のガス吸着性能を向上させることができ、しかも安価で製造できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明の第一は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含むガス吸着材である。
【0014】
[吸着材(A)]
吸着材(A)は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す材料である。即ち、図2に示すように、吸着時のガス圧力−ガス吸着量曲線と、脱着時のガス圧力−ガス吸着量曲線とが実質的に一致する材料である。吸着材(A)は、かような特性を有する材料であれば特に限定されず、物理的吸着材、化学的吸着材、およびこれらが組み合わされてなる物理化学的吸着材を用いることができる。
【0015】
物理的吸着材とは、分子と分子との相互作用のような弱い力を用いて、被吸着分子を吸着する吸着材をいう。物理的吸着材としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、クレー、超吸着性繊維、金属錯体が挙げられる。化学的吸着材とは、化学的な強固な結合によって、被吸着分子を吸着する吸着材をいう。化学的吸着材としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、活性化された金属が挙げられる。物理化学的吸着材とは、物理的吸着材および化学的吸着材の双方の吸着機構を備える吸着材をいう。これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、本発明の技術的範囲がこれらの具体例に限定されるものではない。吸着材(A)の形状は特に限定されないが、一般的には、平均粒径500〜5000μmの粉末状のものを用いる。
【0016】
吸着材(A)としては、製造コストやガス吸着性能を考慮すると活性炭が好ましい。活性炭は比較的安価である上、質量当たりのガス吸着量が多い。また、活性炭はガスの吸脱着に関するサイクル特性が悪く、吸脱着を繰り返すとガス吸着量が著しく減少する傾向がある。このため、従来においては、質量当たりのガス吸着量が多いにも拘わらず、ガス貯蔵装置やガス分離装置に用いることは困難であった。この点、本発明の吸着材(A)として用いた場合においては、活性炭の優れたガス吸着性能を充分に引き出すことができる。また、活性炭は比表面積が大きいほど吸着量が増加する傾向を有するため、活性炭の比表面積は1000m2/g以上であることが好ましい。
【0017】
また、使用する吸着材(A)は、吸着させるガスに応じて適宜構造を制御されることが好ましい。例えば、活性炭に含まれる細孔は、細孔の大きさによって、サブミクロン(〜0.8nm)、ミクロポア(0.8〜2nm)、メソポア(2〜50nm)、マクロポア(50nm〜)に分類できる。細孔の大きさによって吸着しやすいガスが異なり、メタンガスはミクロポアに吸着しやすい。従って、メタンガスを吸着させることを所望する場合には、ミクロポアの割合が大きくなるように活性炭の細孔分布を制御するとよい。
【0018】
[吸着材(B)]
吸着材(B)は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す材料である。即ち、図3に示すように、吸着時のガス圧力−ガス吸着量曲線と、脱着時のガス圧力−ガス吸着量曲線とが異なる材料である。吸着材(B)は少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを発現すればよく、全てのガスに対してヒステリシスループを示さずともよい。
【0019】
吸着材(B)がヒステリシスループを示す必要があるガスは、本発明のガス吸着材の適用用途によって異なる。例えば、本発明のガス吸着材をメタンガス貯蔵装置に用いる場合には、メタンガスに対してヒステリシスループを示す必要がある。本発明のガス吸着材を、水素と酸素との混合ガスから水素ガスを分離するガス分離装置に用いる場合には、各ガスに対してヒステリシスループを示す必要がある。一般的にいえば、本発明のガス吸着材を各種用途に利用されるガスの貯蔵または分離に用いるのであれば、吸着材(B)がヒステリシスループを示すガスは、水素、炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタンなど)、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、窒素などであることが好ましい。LNGなどのように複数の炭化水素ガスの混合物を貯蔵できるように、これらの2種以上のガスに対してヒステリシスループを示しても勿論よい。また、本発明のガス吸着材を特定のガスを除去するために用いるのであれば、吸着材(B)がヒステリシスループを示すガスは、硫化水素、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、アンモニアなどであることが好ましい。これらの2種以上のガスに対してヒステリシスループを示しても勿論よい。上記例示した以外のガスに対してヒステリシスループを示してもよい。
【0020】
少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを示すのであれば、その原理については特に限定されるものではない。ヒステリシスループを示す原理は現在のところ不明であるが、▲1▼分子レベルでの弁の開閉、▲2▼格子状二次元シートの格子平面のずれ、等のメカニズムが推測される。▲1▼は、所定の運動エネルギーを有する分子のみが通過できる分子レベルでの弁構造が存在するため、ある特定の圧力になると突然吸着量が増大するとするメカニズムである。分子レベルの弁構造としては結合力が緩い水素結合からなる弁が挙げられ、これは小さな磁石のようにくっついたり離れたりすることが可能であるため、所定の運動エネルギーを持つガス分子のみが弁を通過する。一方、▲2▼は、積層した格子状二次元シートが圧力の変化に応じて僅かにずれるため、ある特定の圧力になると突然吸着量が増大するというメカニズムである。ただし、これらは単なるメカニズムの推定であり、前記メカニズムに従っていない場合であっても、少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを示すのであれば、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0021】
吸着材(B)として使用する材料は、貯蔵させるガスや吸着時に必要となる圧力に応じて選択すればよい。特に限定されるものではないが、ガス吸着量や分子構造の制御のし易さを考慮すると、周期的結晶構造を有する金属錯体を好適な例として挙げることができる。金属錯体に含まれる金属イオンとしては、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、鉄などを挙げることができる。金属錯体の対イオンとしては、BF4 −、PF6 −、Cl−、Br−、CF3SO3 −、CH3C6H4SO3 −などを用いることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記金属錯体に含まれる配位子も、特に限定されるものではなく、例えば、ピラジン、4,4’−ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンなどを挙げることができる。
【0023】
吸着材(B)のガス吸着量や所定のガスに対する選択性を向上させるためには、金属錯体に用いられる金属イオンや配位子の種類を選択することが有効である。特に、配位子における配位原子の原子間距離を制御することが有効であると考えられる。具体的には、配位子として、下記式(1):
【0024】
【化2】
【0025】
で表される化合物を配位子として使い分けて、吸着材(B)の吸着特性を制御するとよい。式(1)において、Lは、窒素原子を有する芳香族化合物の基であり、2つ存在するLは、同一であっても異なっていてもよい。窒素原子を有する芳香族化合物としては、アニリン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、アクリジンなどが挙げられる。また、式(1)において、Sは、脂肪族炭化水素の二価の基、芳香族炭化水素の二価の基、−NH−、−O−、−C(=O)O−、−SO−、または−SO2−である。脂肪族炭化水素は、飽和していてもよく、不飽和であってもよい。また、直鎖、分岐、環状のいずれの形状であってもよい。脂肪族炭化水素の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロブタン、i−ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられる。ただし、Sを選択するに際しては、式(1)で表される配位子の配位が阻害されないように留意する必要がある。
【0026】
また、同じ成分であっても、合成後に100〜600℃に予熱することによって、ヒステリシスループの形状を変えることも可能である。
【0027】
吸着材(B)の具体例としては、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2・(bpy)]n(式中、bpyは4,4’−ビピリジンを表す。以下同じ。)や、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)4・(bpy)]nなどを挙げることができる。
【0028】
吸着材(B)は、吸着材(A)を被覆するが、好ましくはクラックや不完全な被覆がなく、吸着材(A)が外気に触れないように完全に被覆することが好ましい。しかしながら、多少のクラック等が存在していても、吸着材(A)の自由なガス吸着を阻害し、吸着材(B)によって被覆されている吸着材(A)がガス吸着に関してヒステリシスループを示すのであれば、本発明の技術的範囲に包含されるものである。好ましくは、吸着材(A)に対して5〜50体積%の吸着材(B)で吸着材(A)を被覆する。また、吸着材(A)を被覆する吸着材(B)の厚みは吸着材(B)の種類に応じて決定する必要があるが、吸着材(B)が薄すぎると吸着材(A)へのガス吸着特性を充分に制御できない恐れがある。一方、吸着材(B)が厚すぎると、吸着材(A)へのガス吸着が生じにくくなり、全体としてのガス吸着量が減少する恐れがある。これらを考慮すると、吸着材(B)の平均厚みが10〜100μmであることが好ましい。吸着材(B)の厚みは、吸着材(B)の使用量の調節によって制御できる。なお、吸着材(B)の厚みは電子顕微鏡を用いて撮影された断面写真から算出することができる。
【0029】
[ガス吸着材の製造]
まず、吸着材(A)および吸着材(B)をそれぞれ準備する。吸着材(B)の調製方法は材料によって異なるものであり、一義的に決定できるものではないが、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2・(bpy)]nを合成する場合を例にとり説明する。まず、4,4’−bipyridine(以下bpyと略記)のアセトニトリル溶液を還流しながら、銅(II)テトラフルオロボレート水和物を含む水溶液を添加する。生じた析出物を濾過し、ジエチルエーテルの蒸気を、窒素流を用いて母液中に拡散させ、母液を室温で数日間保存する。続いて、濾過により析出物を得て、減圧下で数時間乾燥させる。このような作業により、目的物を得ることができる。しかしながら、上記方法に限定されるものでは勿論なく、各種方法を用いて合成してもよいことは言うまでもない。
【0030】
続いて、吸着材(B)を吸着材(A)に被覆することによって本発明のガス吸着材を得る。吸着材(B)で吸着材(A)を被覆する際に用いる方法は、
▲1▼吸着材(B)が溶解している溶液中に、該溶液に溶解しない吸着材(A)を添加し、その後、吸着材(B)を結晶成長させることによって、吸着材(A)表面に吸着材(B)を付着させる方法、
▲2▼吸着材(B)を含むスラリーを準備し、スラリーを吸着材(B)表面にコーティング・乾燥させることによって、吸着材(A)表面に吸着材(B)を付着させる方法、
などを用いることができる。
【0031】
[ガス分離装置への適用]
本発明のガス吸着材は、圧力スイング吸着方式(以下「PSA方式」と略記)のガス分離装置における吸着材として用いることができる。PSA方式のガス分離は、吸着材に対するガス圧力とガス吸着量との違いを利用することを原理とする。
【0032】
ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材を用いてPSA方式によるガス分離を行う場合、AガスおよびBガスの吸脱着カーブは、図4に示すように基本的にはLangmuirの等温式θ=KpA/(1+KpA)に従った挙動を示す。図4においてAガスとBガスとを分離するためには、P10とP12との間で圧力をスイングさせるPSA方式によってAガスとBガスとを分離する。AガスとBガスとの混合ガスを、吸着工程としてガス圧力P12で吸着材に導入すれば、Aガスは吸着量Q4で飽和するので、Aガスのみがガス分離装置の出口側から排出されることとなる。脱着工程としてガス圧力をP10に減少させれば、ガス吸着材に吸着していたガスは脱着することとなる。ガス吸着材にはAガスおよびBガスの双方が吸着しているため、オフガスにはBガスと共にAガスも含まれる。従って、Aガスのみを分離する場合には極めて非効率的であり、製品ガスとしてAガスの純度を高くするためには、オフガス中へのAガスのロスも大きくなる欠点がある。
【0033】
一方、図5に示すような吸脱着カーブを有するガス吸着材を用いてガス分離を図る場合には、P7にガス圧力を上昇させれば、ガス吸着材にはAガスしか吸着しない。このように本発明のガス吸着材の特性を活かせば、非常に効率良いガス分離が可能である。なお、本発明のガス吸着材は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示すが、図5においては、説明の都合上簡略化して記載してある。
【0034】
図5に示すように、分離されるガスの吸脱着等温線を完全に分離した場合、当然の結果として、ガス分離性能は飛躍的に向上し、1回のPSA操作でコンタミネーションのない極めて高純度のガスを得ることも可能である。具体的には、P6とP7との間で圧力をスイングさせてAガスのみを分離すればよい。Bガスも同様の操作により分離することができる。分離されるガスの吸脱着等温線が一部重なっている場合であっても、スイングさせる圧力の範囲を調整することによって、1サイクルのPSA操作で高純度のガスを得ることが可能である。ただし、2サイクル以上のPSA操作を行うことを排除するものではない。
【0035】
本発明のガス分離装置は、上述のように圧力のスイング幅が小さくてすむため、ガス分離装置の大幅な小型化にも寄与する。また、圧力スイング幅が小さいため圧力変化に要する時間が短縮され、省エネルギーにも寄与する。
【0036】
図6を参照して、この効果を説明する。図6Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。図6Bは、本発明のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。なお、説明の便宜上、ガス分離装置によるPSA操作1サイクル当たりのガス分離量は図6Aと図6Bとで同一とする。両装置を比較すると、図4および図5を用いて説明したように、圧力スイング幅は、従来のPSA方式ガス分離装置(図4におけるΔP=P12−P10)に比べて、本発明のPSA方式ガス分離装置(図5におけるΔP=P7−P6)は小さくなる。従って、PSA操作1サイクルに要する時間を短縮することができ、結果として単位時間当たりのガス分離量の増加を招来する。このことは、一定量の高純度ガスを得るために必要な装置サイズが小さくても済むことを意味する。例えば、1サイクルに要する時間を3分の1に短縮した場合、同量の高純度ガスを得るためには、装置の容量は3分の1で済む。このように、必要となる高純度ガス量が少ない場合には、PSA方式ガス分離装置のスケールを小さくすればよい。
【0037】
上記説明したPSA方式ガス分離装置の小型化と圧力スイング幅の低下とにより、高純度ガスの製造ランニングコストおよび設備の固定費を低減することができる。高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
【0038】
本発明のPSA方式ガス分離装置を用いることにより生じる効果(1サイクルのPSA操作で極めて高純度のガスを得ることが可能、PSA操作1サイクルに要する時間の短縮、PSA方式ガス分離装置の小型化など)を大きく得るためには、PSA操作の際の圧力スイング幅が小さい程好ましい。実際のPSA方式を用いたガス分離操作においては、スイングさせる圧力幅が10atm以下であることが好ましく、5atm以下であることがより好ましい。また、PSA操作においてスイングさせる圧力範囲は、常圧付近であることが好ましい。常圧付近で圧力をスイングさせるのであれば、PSA方式ガス分離装置の耐圧設備を簡素化しうるからである。具体的には、PSA方式ガス分離操作においてスイングされる圧力が、1〜10atmの範囲内であることが好ましく、1〜3atmの範囲内であることがより好ましい。あるいは、低圧側は真空減圧によって0.1atm以下、好ましくは0.3atm以下にすることも可能である。
【0039】
ガス分離装置に用いられるガス吸着材を構成する吸着材(B)は、前述した通りであるが、ガス分離装置に適用する場合には、吸着の際に急激に吸着量が増加する圧力と、脱着の際に急激に吸着量が減少する圧力との差を小さくすることが有効である。このような特性を有していると、圧力スイング幅を小さくすることができる。具体的には、ガス吸着時の圧力p0における吸着量をA0とした時に、吸着量が0.1A0となる圧力が0.3P0以上であることが好ましく、0.5P0以上であることがより好ましく、0.6P0以上であることがさらにより好ましく、0.7P0以上であることが特に好ましい。なお、上記規定において「吸着時の圧力」とは、ガス分離装置を使用する際に実際的に使用される吸着完了時の圧力をいう。吸着時の圧力P0は、特に限定されるものではないが、低圧での吸着性を高める観点からは、P0が10atm以下であることが好ましく、5atm以下であることがより好ましい。
【0040】
[ガス貯蔵装置への適用]
タンク等の容器内部に本発明のガス吸着材を収容することによって、ガス貯蔵装置とすることができる。タンク等の容器の構成や材料は従来公知の技術を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、バルブ制御によってガスの出入りを制御できる金属製容器などを用いることができる。例えば、金属製の薄肉容器の外面に単位密度当たりの強度に優れる炭素繊維強化プラスチック材を巻き付けたものを用いることができる。容器にはガス貯蔵装置の内圧を制御するための調整弁を備えておけば、ガス貯蔵装置からガスを放出させる際に調整弁を活用することができる。
【0041】
ガス吸着材の収容方法は、耐圧容器中への充填などの公知手法を用いることができ、特に限定されるものではない。ガス吸着材の収容量は、ガス貯蔵装置に求めるガス貯蔵能力に応じて決定すればよい。耐圧容器の形状や材質は特に限定されるものではない。本発明のガス貯蔵装置は、従来型のものと比較して、同じ貯蔵量を確保するためには、より低圧で構わないため、特別な耐圧構造を設けずともよい。この点で、コスト的に優位性があるといえる。
【0042】
ガス吸着材が粉末状である場合には、ガス貯蔵装置を構成する容器に収容しようとすると、うまく充填できない恐れがある。形状自由度の高いタンクを用いる場合には特にこの問題が顕著となる恐れがある。この場合には、粉体を錠剤形状にして収容してもよい。錠剤形状の物を用いる場合には、取扱性に優れ、老朽化した化合物を交換する際などに非常に便利である。
【0043】
ガス貯蔵装置内部に収容されるガス吸着材を構成する吸着材(B)は、前述した通りであるが、ガス貯蔵装置に適用する場合には、吸着材(B)に関する吸脱着等温線における脱着時の圧力−吸着量カーブが一定の範囲において圧力軸に略水平に推移することが好ましい。このような圧力−吸着量カーブであると、搬送時・保存時に圧力を低減させても充分なガス吸着量を維持することができる。ガス貯蔵装置の保持圧力(図3におけるP3)は低圧であるほど好ましいといえる。具体的には、ガス吸着時の圧力p0’における吸着量をA0’とした時に、吸着量が0.95A0’となる圧力が0.7p0’以下であることが好ましく、0.6P0’以下であることがより好ましく、0.5P0’以下であることがさらにより好ましく、0.3P0’以下であることが特に好ましい。なお、上記規定において「吸着時の圧力」とは、ガス貯蔵装置を使用する際に実際的に使用される圧力をいう。吸着時の圧力P0’は、特に限定されるものではないが、低圧であるほど装置のコストや安全性の点からは好ましい。
【0044】
また、本発明に係るガス貯蔵装置にガスを吸着および脱着させるには、温度の制御および/または圧力の制御が有効である。ガスを吸着させるには、収容されているガス吸着材の吸脱着等温線を考慮して所望するガスをガス貯蔵装置内部に注入する。ガスの注入は、コンプレッサー等の公知技術を用いて行うことができる。この際に、ガス吸着温度を下げることが有効である。ガス吸着温度を下げることによって、ガス貯蔵時のガス圧力を低下させることが可能となる。これについて、図3を参照しながら説明する。
【0045】
吸着材(B)は、低温であるほど、ガスの吸着が起こりやすい傾向を一般に有しており、T1よりも低温であるT2においては、ガスの吸着がより低圧側で起こる。このため、より低圧で充分な量のガスを吸着させることができる。そして、低温T2で多量のガスを保持させた後に、より高温T1に温度を上昇させても、ガス分子は放出されずに貯蔵タンク内にガスを保持することが可能である。この効果は、融点が低いガスを貯蔵する際には、好都合である。例えば、融点が−162℃以下であるLNGなどを貯蔵する場合には、貯蔵タンクを冷却して吸着圧力を低下させることが有効である。
【0046】
ガス吸着材の温度制御は、加熱や冷却によってガス貯蔵装置に物理的破壊が生じたり、ガス吸着材が化学反応を起こしたりしないように留意して行う必要がある。これらの現象が生じない範囲であれば、変化させる温度範囲は特に限定されるものではない。ガス貯蔵装置からガスを取り出すにはガス貯蔵装置に備えられた調整弁などの圧力制御手段を用いてガス貯蔵装置の内圧を減少させる。
【0047】
本発明のガス貯蔵装置は、これらに限定されるものではないが、業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど各種の適用用途を有する。搬送時や貯蔵時のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、貯蔵時の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。このため、容器の耐圧性を低くすることができ、ガス貯蔵装置の形状をある程度自由に設計することができる。この効果は、例えば自動車などの車両用燃料ガスタンクとして本発明のガス貯蔵装置を用いた場合には絶大である。従来型の燃料ガスタンクにおいては、燃料ガスタンクの形状は車両の形状とは無関係に決定されてしまう。このため、必然的に相当量のデッドスペースが生じることになる。また、高圧を保つために特別な装置が必要ともなる。この点、燃料ガスタンクとして本発明のガス貯蔵装置を用いた場合には、上述のように耐圧性に関する制約が緩くなるため、形状をある程度自由に設計できる。具体的には、車両における車輪やシートなどの形状にフィットするようにガス貯蔵装置の形状を調節することが可能となる。その結果、車両の小型化、荷物スペースの確保、車両の軽量化による燃費向上などの各種実利が得られる。
【0048】
【実施例】
<実施例>
テトラフルオロホウ酸銅(II)6水和物(Aldrich社製;0.674g)を純水(50ml)に溶解させ、テトラフルオロホウ酸銅(II)の0.04M溶液(A液)を準備した。別途、4,4’−ビピリジン(和光純薬工業株式会社製特級;0.625g)をアセトニトリル(50ml)に溶解させて、4,4’−ビピリジンの0.08M溶液(B液)を準備した。357Kの水浴を用いて還流させながら、B液にA液を2時間かけて滴下した。これにより、僅かにグレーがかった析出物を含む溶液を得た。滴下終了後、副反応物である沈殿を濾過して除去した。
【0049】
濾液に吸着材(A)として活性炭粉末(関東化学株式会社製;0.5g)を加え、続いて、撹拌しながら、ジエチルエーテルの蒸気を、体積が150mlになるまで窒素気流を用いて母液中に拡散させた。続いて、この母液を2日間室温で保存し、353Kに加熱することによって溶媒(アセトニトリル、ジエチルエーテル)を蒸発させた。
【0050】
残存物を濾過し、10−3Pa以下の減圧下において4時間乾燥することによって水を除去し、吸着材(B)である[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2(bpy)]nによって被覆された活性炭からなる本発明のガス吸着材(0.8g)を得た。
【0051】
得られたガス吸着材の77Kでの窒素吸着特性を調査した。測定には、BET自動吸着装置(日本ベル株式会社製)を用い、測定に先立って試料を373Kで3時間真空熱処理して、吸着サイトに予め吸着していたゲスト分子を脱離させた。真空から0.1MPa(=100kPa)までの室温での吸着等温線を図7に示す。図7に示すように、約0.01MPaまでは窒素の吸着は観測されず、0.01MPaを超えるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。
【0052】
また、得られたガス吸着材の室温での二酸化炭素吸着特性を調査した。測定方法は、窒素吸着測定の場合と同様にした。真空から0.1MPa(=100kPa)までの吸脱着等温線を図8に示す。図8に示すように、約0.04MPaまでは二酸化炭素の吸着は観測されず、0.04MPaを超えるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。また、脱着に関しても評価したところ、約0.03MPaまでの脱着量は僅かであったのに対して、0.02MPaにさしかかるあたりで急激な吸着量の減少が確認された。
【0053】
さらに、得られたガス吸着材の室温でのメタン吸着特性を調査した。試料は、測定に先立って373Kで3時間真空熱処理して、吸着サイトに予め吸着していたゲスト分子を脱離させた。真空から6MPa(=6000kPa)までの吸脱着等温線を図9に示す。図9に示すように、約4MPaまではメタンの吸着は観測されず、4.5MPaにさしかかるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。また、脱着に際しては、約3MPaまでの脱着量は僅かであったのに対して、3MPaを下回ったあたりで急激な吸着量の減少が確認された。メタンガスの吸着量の最大値は、ガス吸着材1cm3あたり190cm3(Normal)であった。また、吸脱着を3サイクル繰り返したが、ヒステリシスループには殆ど変化が見られなかった。
【0054】
<比較例>
実施例で用いた活性炭粉末について、実施例と同様にして、窒素、二酸化炭素、メタンについての吸脱着特性を評価した。吸脱着等温線はいずれもヒステリシスループを示さなかった。メタンガスの吸着量の最大値は、活性炭1cm3あたり190cm3(Normal)と実施例と同様の値を示した。しかしながら、吸脱着を繰り返すと、3サイクル目におけるメタンガスの吸着量の最大値は、活性炭1cm3あたり90cm3(Normal)にまで減少した。
【0055】
【発明の効果】
ガス吸着材の構成を、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含む構成とすることによって、従来のガス吸着材と比べて非常に優れた吸着特性を有するガス吸着材とすることができる。ガス分離装置における吸着材として、本発明のガス吸着材を用いた場合にあっては、優れた分離性能を有するガス分離装置を得ることができる。また、ガス貯蔵装置における吸着材として、本発明のガス吸着材を用いた場合にあっては、優れた貯蔵性能を有するガス貯蔵装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス吸着材の模式断面図である。
【図2】吸着材(A)のガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図3】吸着材(B)のガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図4】従来のガス分離装置に用いられるガス吸着材におけるガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明のガス分離装置に用いられるガス吸着材におけるガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図6】図6Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。図6Bは、本発明のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。
【図7】実施例で得られたガス吸着材の、窒素に関する吸着等温線のグラフである。
【図8】実施例で得られたガス吸着材の、二酸化炭素に関する吸脱着等温線のグラフである。
【図9】実施例で得られたガス吸着材の、メタンに関する吸脱着等温線のグラフである。
【符号の説明】
1 ガス吸着材
2 ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(吸着材(A))
3 少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(吸着材(B))
【発明の属する技術分野】
本発明はガス吸着材に関し、より詳しくは、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材と、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材とを複合化したガス吸着材に関する。これらのガス吸着材は、ガス貯蔵装置やガス分離装置に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
ガス吸着材は、加圧貯蔵や液化貯蔵に比べて、低圧で大量のガスを貯蔵しうる特性を有する。このため、近年、ガス吸着材を用いたガス貯蔵装置やガス分離装置の開発が盛んである。
【0003】
ガス吸着材としては、活性炭や金属錯体などが知られている。金属錯体としては、例えば、特開平9−227571号公報に、[Co(4,4’−bpy)1.5(NO3)2]nの組成を有する金属錯体が提案されている。また、近年においてはフラーレンやカーボンナノチューブ等のファインカーボンが水素ガス貯蔵能力を有することが見出され、実用化が検討されている。
【0004】
しかしながら、従来提案されているガス吸着材は、ガス吸着量や作業性などの点で充分に満足できるものとはいえず、より優れた特性を有するガス吸着材の開発が所望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的とするところは、従来のガス吸着材と比較して優れた特性を有するガス吸着材を提供することである。また本発明は、前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置、並びに前記ガス貯蔵装置を搭載してなる車両を併せて提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含むガス吸着材である。
【0007】
理解の容易のために、本発明のガス吸着材1の模式断面図を示す(図1)。図1において、2はガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(以下、「吸着材(A)」とも記載)であり、3は少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(以下、「吸着材(B)」とも記載)である。図示するように、本発明のガス吸着材においては、吸着材(A)2が吸着材(B)3によって覆われている。本発明者らは、Langmuirの等温式に従った挙動を示さず、ガス圧力−ガス吸着量カーブがヒステリシスループを示す吸着材(B)3で吸着材(A)2を被覆することによって、メカニズムが根本的に異なるガス吸着材が得られることを見出した。なお、図1は単に説明のために便宜上用いる図であり、吸着材(B)3の厚さなどが図1に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「吸着材(A)被覆する」とは、吸着材(A)が外気と直接触れないように、吸着材(A)の表面に他の材料が配置されることを意味する。
【0008】
まず、ガス圧力−ガス吸着量カーブがヒステリシスループを示す吸着材(B)の特異性を、図面を参照しながら説明する。図2は、吸着材(A)における圧力−吸着量の関係を示すグラフである。図3は、吸着材(B)における圧力−吸着量の関係を示すグラフである。図中、横軸はガス圧力を示し、縦軸は吸着材の単位質量あたりのガス吸着量を示す。
【0009】
吸着材(A)においては、ガス圧力の増加に従ってガス吸着量も増加し、吸着の際の圧力−吸着量カーブと、脱着の際の圧力−吸着量カーブとは一致する(図2)。例えば、吸着材(A)に吸着させる吸着量をA1にする場合には、ガス圧力をp1にまで加圧する必要があり、吸着量をA1に保持するためには圧力をp1に保持する必要がある。
【0010】
これに対し、吸着材(B)においては、ガス吸着の際の圧力−吸着量カーブがヒステリシスループを示す(図3)。このような特性を有している吸着材を、例えば、ガス貯蔵装置に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。説明の都合上、圧力p1におけるガス吸着量がA1である化合物を想定して説明すると、ガス吸着量をA1にするためには、吸着材(B)に加える圧力をp1にまで上昇させる必要がある。しかしながら、吸着材(B)においては、圧力−吸着量カーブがヒステリシスループを描くため、図2に示す吸着材(A)と異なり、圧力をp1から減少させた場合であっても急激にガス吸着量が減少しない。例えばガス吸着量A1の95%を維持すればよいとすると、図3に示す圧力−吸着量カーブを示す吸着材(B)においては、ガス圧力をP1からP3へと大きく低下させることが可能である。これに対して吸着材(A)においては、図2に示すようにガス圧力は、P1からP5へと僅かに低下させ得るに過ぎない。このように吸着材(B)を用いることによって、搬送時や貯蔵時のガス圧力を減少させることが可能となる。
【0011】
吸着材(B)を本願で規定するような特別の形態とせずとも、吸着材(B)をガス貯蔵装置やガス分離装置に収容すれば、上述の効果は得られる。しかしながら、吸着材(B)のみでは充分なガス吸着量を確保できない場合も考えられる。また、吸着材(B)を製造するためには、一般に分子構造を制御する必要があり、吸着材(B)の製造コストは高くなる傾向がある。これらの問題は、本発明によって見事に解決される。つまり、吸着材(B)3によって被覆される吸着材(A)2は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示さない。ところが、吸着材(B)3によって被覆されていると、吸着材(B)3がガスを通過させる圧力(図3でいうところの圧力p2)にガス圧力が上昇するまで、吸着材(A)2においてもガスの吸着が生じなくなる。逆にガスを脱着させる場合も、吸着材(A)2におけるガスの脱着を生じにくくすることができる。このため、本来、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示さない吸着材(B)に、あたかもガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す材料であるかのような挙動をとらせることができる。例えば、活性炭のような安価かつガス吸着性に優れる材料を吸着材(A)として用いた場合には、ヒステリシスループを示すガス吸着材のガス吸着性能を向上させることができ、しかも安価で製造できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明の第一は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含むガス吸着材である。
【0014】
[吸着材(A)]
吸着材(A)は、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す材料である。即ち、図2に示すように、吸着時のガス圧力−ガス吸着量曲線と、脱着時のガス圧力−ガス吸着量曲線とが実質的に一致する材料である。吸着材(A)は、かような特性を有する材料であれば特に限定されず、物理的吸着材、化学的吸着材、およびこれらが組み合わされてなる物理化学的吸着材を用いることができる。
【0015】
物理的吸着材とは、分子と分子との相互作用のような弱い力を用いて、被吸着分子を吸着する吸着材をいう。物理的吸着材としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、クレー、超吸着性繊維、金属錯体が挙げられる。化学的吸着材とは、化学的な強固な結合によって、被吸着分子を吸着する吸着材をいう。化学的吸着材としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、活性化された金属が挙げられる。物理化学的吸着材とは、物理的吸着材および化学的吸着材の双方の吸着機構を備える吸着材をいう。これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、本発明の技術的範囲がこれらの具体例に限定されるものではない。吸着材(A)の形状は特に限定されないが、一般的には、平均粒径500〜5000μmの粉末状のものを用いる。
【0016】
吸着材(A)としては、製造コストやガス吸着性能を考慮すると活性炭が好ましい。活性炭は比較的安価である上、質量当たりのガス吸着量が多い。また、活性炭はガスの吸脱着に関するサイクル特性が悪く、吸脱着を繰り返すとガス吸着量が著しく減少する傾向がある。このため、従来においては、質量当たりのガス吸着量が多いにも拘わらず、ガス貯蔵装置やガス分離装置に用いることは困難であった。この点、本発明の吸着材(A)として用いた場合においては、活性炭の優れたガス吸着性能を充分に引き出すことができる。また、活性炭は比表面積が大きいほど吸着量が増加する傾向を有するため、活性炭の比表面積は1000m2/g以上であることが好ましい。
【0017】
また、使用する吸着材(A)は、吸着させるガスに応じて適宜構造を制御されることが好ましい。例えば、活性炭に含まれる細孔は、細孔の大きさによって、サブミクロン(〜0.8nm)、ミクロポア(0.8〜2nm)、メソポア(2〜50nm)、マクロポア(50nm〜)に分類できる。細孔の大きさによって吸着しやすいガスが異なり、メタンガスはミクロポアに吸着しやすい。従って、メタンガスを吸着させることを所望する場合には、ミクロポアの割合が大きくなるように活性炭の細孔分布を制御するとよい。
【0018】
[吸着材(B)]
吸着材(B)は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す材料である。即ち、図3に示すように、吸着時のガス圧力−ガス吸着量曲線と、脱着時のガス圧力−ガス吸着量曲線とが異なる材料である。吸着材(B)は少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを発現すればよく、全てのガスに対してヒステリシスループを示さずともよい。
【0019】
吸着材(B)がヒステリシスループを示す必要があるガスは、本発明のガス吸着材の適用用途によって異なる。例えば、本発明のガス吸着材をメタンガス貯蔵装置に用いる場合には、メタンガスに対してヒステリシスループを示す必要がある。本発明のガス吸着材を、水素と酸素との混合ガスから水素ガスを分離するガス分離装置に用いる場合には、各ガスに対してヒステリシスループを示す必要がある。一般的にいえば、本発明のガス吸着材を各種用途に利用されるガスの貯蔵または分離に用いるのであれば、吸着材(B)がヒステリシスループを示すガスは、水素、炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタンなど)、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、窒素などであることが好ましい。LNGなどのように複数の炭化水素ガスの混合物を貯蔵できるように、これらの2種以上のガスに対してヒステリシスループを示しても勿論よい。また、本発明のガス吸着材を特定のガスを除去するために用いるのであれば、吸着材(B)がヒステリシスループを示すガスは、硫化水素、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、アンモニアなどであることが好ましい。これらの2種以上のガスに対してヒステリシスループを示しても勿論よい。上記例示した以外のガスに対してヒステリシスループを示してもよい。
【0020】
少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを示すのであれば、その原理については特に限定されるものではない。ヒステリシスループを示す原理は現在のところ不明であるが、▲1▼分子レベルでの弁の開閉、▲2▼格子状二次元シートの格子平面のずれ、等のメカニズムが推測される。▲1▼は、所定の運動エネルギーを有する分子のみが通過できる分子レベルでの弁構造が存在するため、ある特定の圧力になると突然吸着量が増大するとするメカニズムである。分子レベルの弁構造としては結合力が緩い水素結合からなる弁が挙げられ、これは小さな磁石のようにくっついたり離れたりすることが可能であるため、所定の運動エネルギーを持つガス分子のみが弁を通過する。一方、▲2▼は、積層した格子状二次元シートが圧力の変化に応じて僅かにずれるため、ある特定の圧力になると突然吸着量が増大するというメカニズムである。ただし、これらは単なるメカニズムの推定であり、前記メカニズムに従っていない場合であっても、少なくとも1種のガスに関してヒステリシスループを示すのであれば、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0021】
吸着材(B)として使用する材料は、貯蔵させるガスや吸着時に必要となる圧力に応じて選択すればよい。特に限定されるものではないが、ガス吸着量や分子構造の制御のし易さを考慮すると、周期的結晶構造を有する金属錯体を好適な例として挙げることができる。金属錯体に含まれる金属イオンとしては、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、鉄などを挙げることができる。金属錯体の対イオンとしては、BF4 −、PF6 −、Cl−、Br−、CF3SO3 −、CH3C6H4SO3 −などを用いることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記金属錯体に含まれる配位子も、特に限定されるものではなく、例えば、ピラジン、4,4’−ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンなどを挙げることができる。
【0023】
吸着材(B)のガス吸着量や所定のガスに対する選択性を向上させるためには、金属錯体に用いられる金属イオンや配位子の種類を選択することが有効である。特に、配位子における配位原子の原子間距離を制御することが有効であると考えられる。具体的には、配位子として、下記式(1):
【0024】
【化2】
【0025】
で表される化合物を配位子として使い分けて、吸着材(B)の吸着特性を制御するとよい。式(1)において、Lは、窒素原子を有する芳香族化合物の基であり、2つ存在するLは、同一であっても異なっていてもよい。窒素原子を有する芳香族化合物としては、アニリン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、アクリジンなどが挙げられる。また、式(1)において、Sは、脂肪族炭化水素の二価の基、芳香族炭化水素の二価の基、−NH−、−O−、−C(=O)O−、−SO−、または−SO2−である。脂肪族炭化水素は、飽和していてもよく、不飽和であってもよい。また、直鎖、分岐、環状のいずれの形状であってもよい。脂肪族炭化水素の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロブタン、i−ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどが挙げられる。ただし、Sを選択するに際しては、式(1)で表される配位子の配位が阻害されないように留意する必要がある。
【0026】
また、同じ成分であっても、合成後に100〜600℃に予熱することによって、ヒステリシスループの形状を変えることも可能である。
【0027】
吸着材(B)の具体例としては、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2・(bpy)]n(式中、bpyは4,4’−ビピリジンを表す。以下同じ。)や、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)4・(bpy)]nなどを挙げることができる。
【0028】
吸着材(B)は、吸着材(A)を被覆するが、好ましくはクラックや不完全な被覆がなく、吸着材(A)が外気に触れないように完全に被覆することが好ましい。しかしながら、多少のクラック等が存在していても、吸着材(A)の自由なガス吸着を阻害し、吸着材(B)によって被覆されている吸着材(A)がガス吸着に関してヒステリシスループを示すのであれば、本発明の技術的範囲に包含されるものである。好ましくは、吸着材(A)に対して5〜50体積%の吸着材(B)で吸着材(A)を被覆する。また、吸着材(A)を被覆する吸着材(B)の厚みは吸着材(B)の種類に応じて決定する必要があるが、吸着材(B)が薄すぎると吸着材(A)へのガス吸着特性を充分に制御できない恐れがある。一方、吸着材(B)が厚すぎると、吸着材(A)へのガス吸着が生じにくくなり、全体としてのガス吸着量が減少する恐れがある。これらを考慮すると、吸着材(B)の平均厚みが10〜100μmであることが好ましい。吸着材(B)の厚みは、吸着材(B)の使用量の調節によって制御できる。なお、吸着材(B)の厚みは電子顕微鏡を用いて撮影された断面写真から算出することができる。
【0029】
[ガス吸着材の製造]
まず、吸着材(A)および吸着材(B)をそれぞれ準備する。吸着材(B)の調製方法は材料によって異なるものであり、一義的に決定できるものではないが、[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2・(bpy)]nを合成する場合を例にとり説明する。まず、4,4’−bipyridine(以下bpyと略記)のアセトニトリル溶液を還流しながら、銅(II)テトラフルオロボレート水和物を含む水溶液を添加する。生じた析出物を濾過し、ジエチルエーテルの蒸気を、窒素流を用いて母液中に拡散させ、母液を室温で数日間保存する。続いて、濾過により析出物を得て、減圧下で数時間乾燥させる。このような作業により、目的物を得ることができる。しかしながら、上記方法に限定されるものでは勿論なく、各種方法を用いて合成してもよいことは言うまでもない。
【0030】
続いて、吸着材(B)を吸着材(A)に被覆することによって本発明のガス吸着材を得る。吸着材(B)で吸着材(A)を被覆する際に用いる方法は、
▲1▼吸着材(B)が溶解している溶液中に、該溶液に溶解しない吸着材(A)を添加し、その後、吸着材(B)を結晶成長させることによって、吸着材(A)表面に吸着材(B)を付着させる方法、
▲2▼吸着材(B)を含むスラリーを準備し、スラリーを吸着材(B)表面にコーティング・乾燥させることによって、吸着材(A)表面に吸着材(B)を付着させる方法、
などを用いることができる。
【0031】
[ガス分離装置への適用]
本発明のガス吸着材は、圧力スイング吸着方式(以下「PSA方式」と略記)のガス分離装置における吸着材として用いることができる。PSA方式のガス分離は、吸着材に対するガス圧力とガス吸着量との違いを利用することを原理とする。
【0032】
ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材を用いてPSA方式によるガス分離を行う場合、AガスおよびBガスの吸脱着カーブは、図4に示すように基本的にはLangmuirの等温式θ=KpA/(1+KpA)に従った挙動を示す。図4においてAガスとBガスとを分離するためには、P10とP12との間で圧力をスイングさせるPSA方式によってAガスとBガスとを分離する。AガスとBガスとの混合ガスを、吸着工程としてガス圧力P12で吸着材に導入すれば、Aガスは吸着量Q4で飽和するので、Aガスのみがガス分離装置の出口側から排出されることとなる。脱着工程としてガス圧力をP10に減少させれば、ガス吸着材に吸着していたガスは脱着することとなる。ガス吸着材にはAガスおよびBガスの双方が吸着しているため、オフガスにはBガスと共にAガスも含まれる。従って、Aガスのみを分離する場合には極めて非効率的であり、製品ガスとしてAガスの純度を高くするためには、オフガス中へのAガスのロスも大きくなる欠点がある。
【0033】
一方、図5に示すような吸脱着カーブを有するガス吸着材を用いてガス分離を図る場合には、P7にガス圧力を上昇させれば、ガス吸着材にはAガスしか吸着しない。このように本発明のガス吸着材の特性を活かせば、非常に効率良いガス分離が可能である。なお、本発明のガス吸着材は、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示すが、図5においては、説明の都合上簡略化して記載してある。
【0034】
図5に示すように、分離されるガスの吸脱着等温線を完全に分離した場合、当然の結果として、ガス分離性能は飛躍的に向上し、1回のPSA操作でコンタミネーションのない極めて高純度のガスを得ることも可能である。具体的には、P6とP7との間で圧力をスイングさせてAガスのみを分離すればよい。Bガスも同様の操作により分離することができる。分離されるガスの吸脱着等温線が一部重なっている場合であっても、スイングさせる圧力の範囲を調整することによって、1サイクルのPSA操作で高純度のガスを得ることが可能である。ただし、2サイクル以上のPSA操作を行うことを排除するものではない。
【0035】
本発明のガス分離装置は、上述のように圧力のスイング幅が小さくてすむため、ガス分離装置の大幅な小型化にも寄与する。また、圧力スイング幅が小さいため圧力変化に要する時間が短縮され、省エネルギーにも寄与する。
【0036】
図6を参照して、この効果を説明する。図6Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。図6Bは、本発明のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。なお、説明の便宜上、ガス分離装置によるPSA操作1サイクル当たりのガス分離量は図6Aと図6Bとで同一とする。両装置を比較すると、図4および図5を用いて説明したように、圧力スイング幅は、従来のPSA方式ガス分離装置(図4におけるΔP=P12−P10)に比べて、本発明のPSA方式ガス分離装置(図5におけるΔP=P7−P6)は小さくなる。従って、PSA操作1サイクルに要する時間を短縮することができ、結果として単位時間当たりのガス分離量の増加を招来する。このことは、一定量の高純度ガスを得るために必要な装置サイズが小さくても済むことを意味する。例えば、1サイクルに要する時間を3分の1に短縮した場合、同量の高純度ガスを得るためには、装置の容量は3分の1で済む。このように、必要となる高純度ガス量が少ない場合には、PSA方式ガス分離装置のスケールを小さくすればよい。
【0037】
上記説明したPSA方式ガス分離装置の小型化と圧力スイング幅の低下とにより、高純度ガスの製造ランニングコストおよび設備の固定費を低減することができる。高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
【0038】
本発明のPSA方式ガス分離装置を用いることにより生じる効果(1サイクルのPSA操作で極めて高純度のガスを得ることが可能、PSA操作1サイクルに要する時間の短縮、PSA方式ガス分離装置の小型化など)を大きく得るためには、PSA操作の際の圧力スイング幅が小さい程好ましい。実際のPSA方式を用いたガス分離操作においては、スイングさせる圧力幅が10atm以下であることが好ましく、5atm以下であることがより好ましい。また、PSA操作においてスイングさせる圧力範囲は、常圧付近であることが好ましい。常圧付近で圧力をスイングさせるのであれば、PSA方式ガス分離装置の耐圧設備を簡素化しうるからである。具体的には、PSA方式ガス分離操作においてスイングされる圧力が、1〜10atmの範囲内であることが好ましく、1〜3atmの範囲内であることがより好ましい。あるいは、低圧側は真空減圧によって0.1atm以下、好ましくは0.3atm以下にすることも可能である。
【0039】
ガス分離装置に用いられるガス吸着材を構成する吸着材(B)は、前述した通りであるが、ガス分離装置に適用する場合には、吸着の際に急激に吸着量が増加する圧力と、脱着の際に急激に吸着量が減少する圧力との差を小さくすることが有効である。このような特性を有していると、圧力スイング幅を小さくすることができる。具体的には、ガス吸着時の圧力p0における吸着量をA0とした時に、吸着量が0.1A0となる圧力が0.3P0以上であることが好ましく、0.5P0以上であることがより好ましく、0.6P0以上であることがさらにより好ましく、0.7P0以上であることが特に好ましい。なお、上記規定において「吸着時の圧力」とは、ガス分離装置を使用する際に実際的に使用される吸着完了時の圧力をいう。吸着時の圧力P0は、特に限定されるものではないが、低圧での吸着性を高める観点からは、P0が10atm以下であることが好ましく、5atm以下であることがより好ましい。
【0040】
[ガス貯蔵装置への適用]
タンク等の容器内部に本発明のガス吸着材を収容することによって、ガス貯蔵装置とすることができる。タンク等の容器の構成や材料は従来公知の技術を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、バルブ制御によってガスの出入りを制御できる金属製容器などを用いることができる。例えば、金属製の薄肉容器の外面に単位密度当たりの強度に優れる炭素繊維強化プラスチック材を巻き付けたものを用いることができる。容器にはガス貯蔵装置の内圧を制御するための調整弁を備えておけば、ガス貯蔵装置からガスを放出させる際に調整弁を活用することができる。
【0041】
ガス吸着材の収容方法は、耐圧容器中への充填などの公知手法を用いることができ、特に限定されるものではない。ガス吸着材の収容量は、ガス貯蔵装置に求めるガス貯蔵能力に応じて決定すればよい。耐圧容器の形状や材質は特に限定されるものではない。本発明のガス貯蔵装置は、従来型のものと比較して、同じ貯蔵量を確保するためには、より低圧で構わないため、特別な耐圧構造を設けずともよい。この点で、コスト的に優位性があるといえる。
【0042】
ガス吸着材が粉末状である場合には、ガス貯蔵装置を構成する容器に収容しようとすると、うまく充填できない恐れがある。形状自由度の高いタンクを用いる場合には特にこの問題が顕著となる恐れがある。この場合には、粉体を錠剤形状にして収容してもよい。錠剤形状の物を用いる場合には、取扱性に優れ、老朽化した化合物を交換する際などに非常に便利である。
【0043】
ガス貯蔵装置内部に収容されるガス吸着材を構成する吸着材(B)は、前述した通りであるが、ガス貯蔵装置に適用する場合には、吸着材(B)に関する吸脱着等温線における脱着時の圧力−吸着量カーブが一定の範囲において圧力軸に略水平に推移することが好ましい。このような圧力−吸着量カーブであると、搬送時・保存時に圧力を低減させても充分なガス吸着量を維持することができる。ガス貯蔵装置の保持圧力(図3におけるP3)は低圧であるほど好ましいといえる。具体的には、ガス吸着時の圧力p0’における吸着量をA0’とした時に、吸着量が0.95A0’となる圧力が0.7p0’以下であることが好ましく、0.6P0’以下であることがより好ましく、0.5P0’以下であることがさらにより好ましく、0.3P0’以下であることが特に好ましい。なお、上記規定において「吸着時の圧力」とは、ガス貯蔵装置を使用する際に実際的に使用される圧力をいう。吸着時の圧力P0’は、特に限定されるものではないが、低圧であるほど装置のコストや安全性の点からは好ましい。
【0044】
また、本発明に係るガス貯蔵装置にガスを吸着および脱着させるには、温度の制御および/または圧力の制御が有効である。ガスを吸着させるには、収容されているガス吸着材の吸脱着等温線を考慮して所望するガスをガス貯蔵装置内部に注入する。ガスの注入は、コンプレッサー等の公知技術を用いて行うことができる。この際に、ガス吸着温度を下げることが有効である。ガス吸着温度を下げることによって、ガス貯蔵時のガス圧力を低下させることが可能となる。これについて、図3を参照しながら説明する。
【0045】
吸着材(B)は、低温であるほど、ガスの吸着が起こりやすい傾向を一般に有しており、T1よりも低温であるT2においては、ガスの吸着がより低圧側で起こる。このため、より低圧で充分な量のガスを吸着させることができる。そして、低温T2で多量のガスを保持させた後に、より高温T1に温度を上昇させても、ガス分子は放出されずに貯蔵タンク内にガスを保持することが可能である。この効果は、融点が低いガスを貯蔵する際には、好都合である。例えば、融点が−162℃以下であるLNGなどを貯蔵する場合には、貯蔵タンクを冷却して吸着圧力を低下させることが有効である。
【0046】
ガス吸着材の温度制御は、加熱や冷却によってガス貯蔵装置に物理的破壊が生じたり、ガス吸着材が化学反応を起こしたりしないように留意して行う必要がある。これらの現象が生じない範囲であれば、変化させる温度範囲は特に限定されるものではない。ガス貯蔵装置からガスを取り出すにはガス貯蔵装置に備えられた調整弁などの圧力制御手段を用いてガス貯蔵装置の内圧を減少させる。
【0047】
本発明のガス貯蔵装置は、これらに限定されるものではないが、業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど各種の適用用途を有する。搬送時や貯蔵時のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、貯蔵時の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。このため、容器の耐圧性を低くすることができ、ガス貯蔵装置の形状をある程度自由に設計することができる。この効果は、例えば自動車などの車両用燃料ガスタンクとして本発明のガス貯蔵装置を用いた場合には絶大である。従来型の燃料ガスタンクにおいては、燃料ガスタンクの形状は車両の形状とは無関係に決定されてしまう。このため、必然的に相当量のデッドスペースが生じることになる。また、高圧を保つために特別な装置が必要ともなる。この点、燃料ガスタンクとして本発明のガス貯蔵装置を用いた場合には、上述のように耐圧性に関する制約が緩くなるため、形状をある程度自由に設計できる。具体的には、車両における車輪やシートなどの形状にフィットするようにガス貯蔵装置の形状を調節することが可能となる。その結果、車両の小型化、荷物スペースの確保、車両の軽量化による燃費向上などの各種実利が得られる。
【0048】
【実施例】
<実施例>
テトラフルオロホウ酸銅(II)6水和物(Aldrich社製;0.674g)を純水(50ml)に溶解させ、テトラフルオロホウ酸銅(II)の0.04M溶液(A液)を準備した。別途、4,4’−ビピリジン(和光純薬工業株式会社製特級;0.625g)をアセトニトリル(50ml)に溶解させて、4,4’−ビピリジンの0.08M溶液(B液)を準備した。357Kの水浴を用いて還流させながら、B液にA液を2時間かけて滴下した。これにより、僅かにグレーがかった析出物を含む溶液を得た。滴下終了後、副反応物である沈殿を濾過して除去した。
【0049】
濾液に吸着材(A)として活性炭粉末(関東化学株式会社製;0.5g)を加え、続いて、撹拌しながら、ジエチルエーテルの蒸気を、体積が150mlになるまで窒素気流を用いて母液中に拡散させた。続いて、この母液を2日間室温で保存し、353Kに加熱することによって溶媒(アセトニトリル、ジエチルエーテル)を蒸発させた。
【0050】
残存物を濾過し、10−3Pa以下の減圧下において4時間乾燥することによって水を除去し、吸着材(B)である[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2(bpy)]nによって被覆された活性炭からなる本発明のガス吸着材(0.8g)を得た。
【0051】
得られたガス吸着材の77Kでの窒素吸着特性を調査した。測定には、BET自動吸着装置(日本ベル株式会社製)を用い、測定に先立って試料を373Kで3時間真空熱処理して、吸着サイトに予め吸着していたゲスト分子を脱離させた。真空から0.1MPa(=100kPa)までの室温での吸着等温線を図7に示す。図7に示すように、約0.01MPaまでは窒素の吸着は観測されず、0.01MPaを超えるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。
【0052】
また、得られたガス吸着材の室温での二酸化炭素吸着特性を調査した。測定方法は、窒素吸着測定の場合と同様にした。真空から0.1MPa(=100kPa)までの吸脱着等温線を図8に示す。図8に示すように、約0.04MPaまでは二酸化炭素の吸着は観測されず、0.04MPaを超えるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。また、脱着に関しても評価したところ、約0.03MPaまでの脱着量は僅かであったのに対して、0.02MPaにさしかかるあたりで急激な吸着量の減少が確認された。
【0053】
さらに、得られたガス吸着材の室温でのメタン吸着特性を調査した。試料は、測定に先立って373Kで3時間真空熱処理して、吸着サイトに予め吸着していたゲスト分子を脱離させた。真空から6MPa(=6000kPa)までの吸脱着等温線を図9に示す。図9に示すように、約4MPaまではメタンの吸着は観測されず、4.5MPaにさしかかるあたりで急激な吸着量の増加が確認された。また、脱着に際しては、約3MPaまでの脱着量は僅かであったのに対して、3MPaを下回ったあたりで急激な吸着量の減少が確認された。メタンガスの吸着量の最大値は、ガス吸着材1cm3あたり190cm3(Normal)であった。また、吸脱着を3サイクル繰り返したが、ヒステリシスループには殆ど変化が見られなかった。
【0054】
<比較例>
実施例で用いた活性炭粉末について、実施例と同様にして、窒素、二酸化炭素、メタンについての吸脱着特性を評価した。吸脱着等温線はいずれもヒステリシスループを示さなかった。メタンガスの吸着量の最大値は、活性炭1cm3あたり190cm3(Normal)と実施例と同様の値を示した。しかしながら、吸脱着を繰り返すと、3サイクル目におけるメタンガスの吸着量の最大値は、活性炭1cm3あたり90cm3(Normal)にまで減少した。
【0055】
【発明の効果】
ガス吸着材の構成を、ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、を含む構成とすることによって、従来のガス吸着材と比べて非常に優れた吸着特性を有するガス吸着材とすることができる。ガス分離装置における吸着材として、本発明のガス吸着材を用いた場合にあっては、優れた分離性能を有するガス分離装置を得ることができる。また、ガス貯蔵装置における吸着材として、本発明のガス吸着材を用いた場合にあっては、優れた貯蔵性能を有するガス貯蔵装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス吸着材の模式断面図である。
【図2】吸着材(A)のガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図3】吸着材(B)のガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図4】従来のガス分離装置に用いられるガス吸着材におけるガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明のガス分離装置に用いられるガス吸着材におけるガス吸着量とガス圧力との関係を示すグラフである。
【図6】図6Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。図6Bは、本発明のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間−圧力曲線である。
【図7】実施例で得られたガス吸着材の、窒素に関する吸着等温線のグラフである。
【図8】実施例で得られたガス吸着材の、二酸化炭素に関する吸脱着等温線のグラフである。
【図9】実施例で得られたガス吸着材の、メタンに関する吸脱着等温線のグラフである。
【符号の説明】
1 ガス吸着材
2 ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(吸着材(A))
3 少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(吸着材(B))
Claims (12)
- ガスに関する吸着等温線と脱着等温線とが一致する挙動を示す吸着材(A)と、
前記吸着材(A)を被覆してなる、少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す吸着材(B)と、
を含むガス吸着材。 - 前記吸着材(B)は、水素、炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、および窒素からなる群より選択される少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す、請求項1に記載のガス吸着材。
- 前記吸着材(B)は、硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、およびアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種のガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを示す、請求項1に記載のガス吸着材。
- 前記吸着材(A)は、物理的吸着材、化学的吸着材、またはこれらが組み合わされてなる物理化学的吸着材である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス吸着材。
- 前記吸着材(A)は比表面積が1000m2/g以上の活性炭である、請求項4に記載のガス吸着材。
- 前記吸着材(B)は周期的結晶構造を有する金属錯体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス吸着材。
- 前記金属錯体は、銅、コバルト、ニッケル、または亜鉛を金属イオンとして含む、請求項6に記載のガス吸着材。
- 前記金属錯体は、ピラジン、4,4’−ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、および1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンからなる群より選択される1種以上を配位子として含む、請求項6または7に記載のガス吸着材。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス吸着材を用いてなる圧力スイング吸着方式ガス分離装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス吸着材を内部に収容してなるガス貯蔵装置。
- 請求項11に記載のガス貯蔵装置を搭載してなる車両。
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