JP2003275531A - ガス分離装置および混合ガス分離方法 - Google Patents

ガス分離装置および混合ガス分離方法

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JP2003275531A
JP2003275531A JP2002085033A JP2002085033A JP2003275531A JP 2003275531 A JP2003275531 A JP 2003275531A JP 2002085033 A JP2002085033 A JP 2002085033A JP 2002085033 A JP2002085033 A JP 2002085033A JP 2003275531 A JP2003275531 A JP 2003275531A
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gas
adsorption
gas separation
pressure
psa
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JP2002085033A
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Mamoru Inoue
衞 井上
Tsutomu Sugiura
勉 杉浦
Katsumi Kaneko
克美 金子
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたガス分離性能を有するPSA方式ガス
分離装置を提供する。また、PSA方式を利用した新規
なガス分離方法を提供する。 【解決手段】 ガスに関する吸脱着等温線がスイッチン
グ形状を示す化合物を吸着材として用いてなるPSA方
式ガス分離装置、および、PSA方式による混合ガス分
離方法であって、吸着剤としてガスに関する吸着等温線
がスイッチング形状を示す化合物を用いる混合ガス分離
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力スイング吸着
方式ガス分離装置およびこれを用いた混合ガス分離方法
に関し、より詳しくは、ガスに関する吸脱着等温線がス
イッチング形状を示す化合物を用いた圧力スイング吸着
方式ガス分離装置およびこれを用いた混合ガス分離方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ガス分離技術としては、圧力スイング吸
着方式(以下「PSA方式」と略記)、深冷分離方式、
溶液吸収方式、膜分離方式などの各種技術が知られてい
る。これらのうちPSA方式は吸着材を用いる技術であ
り、より詳細には、各種ガス成分と吸着材との吸着力の
差および圧力変動を利用して、混合ガスから目的とする
ガスを分離・精製する技術である。
【0003】例えば、特開平9−323016号公報に
は、吸着材として1次元または3次元チャンネル構造を
有する有機金属錯体を用いたPSA方式ガス分離装置が
開示されている。該ガス分離装置は、有機金属錯体の空
隙の大きさを揃え、空隙に吸着しやすいガスと吸着しづ
らいガスとを分離することを特徴とするものである。
【0004】しかしながら、従来のPSA方式ガス分離
方式は、ガス分離性能などの点で充分に満足できるもの
とはいえず、より優れた特性を有するガス分離方式の開
発が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事項に鑑
み、優れたガス分離性能を有するPSA方式ガス分離装
置を提供することを目的とする。また、PSA方式を利
用した新規なガス分離方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、従来と全く異なる吸脱
着特性を有する化合物を用いることによって、上記課題
の根本的な解決が可能であることを見出した。従来のガ
ス分離装置に使用されていた化合物は、基本的にLan
gmuirの等温式θ=KpA/(1+KpA)に従った
挙動を示すものが用いられていた。本発明者らは、La
ngmuirの等温式に従った挙動を示さず、ガス圧力
−ガス吸着量カーブがスイッチング形状を示す化合物を
用いることによって従来型のものとは根本的に特性が異
なるガス分離装置を得ることができることを見出し完成
させたものである。本発明の具体的構成は以下の通りで
ある。
【0007】本発明は、ガスに関する吸脱着等温線がス
イッチング形状を示す化合物を吸着材として用いてなる
圧力スイング吸着方式ガス分離装置である。
【0008】前記化合物は、金属錯体であることが好ま
しい。
【0009】また、前記金属錯体は、銅、コバルト、ニ
ッケルまたは亜鉛を金属イオンとして含むことが好まし
い。
【0010】また、前記金属錯体は、ピラジン、4,
4’−ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリ
ジル)エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−
ジシアノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,
4−ビス(4−ピリジル)ベンゼンの1種以上を配位子
として含むことが好ましい。
【0011】前記金属錯体の好適な例としては、[Cu
(bpy)(BF42(H2O)2・(bpy)]n(式
中、bpyは4,4’−ビピリジンを表す)で表される
金属錯体が挙げられる。
【0012】また本発明は、圧力スイング吸着方式によ
る混合ガス分離方法であって、吸着材として、ガスに関
する吸脱着等温線がスイッチング形状を示す化合物を用
いることを特徴とする混合ガス分離方法である。
【0013】前記混合ガス分離方法においては、スイン
グさせる圧力幅が10atm以下であることが好まし
い。
【0014】また前記混合ガス分離方法においては、ス
イングさせる圧力が1〜10atmの範囲内であること
が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のPSA方式ガス分
離方法について詳細に説明する。
【0016】図1および図2は、それぞれ本発明のガス
分離方法を実行するために用いられる吸着材の吸着カー
ブおよび従来の吸着材の吸着カーブである。
【0017】PSA方式のガス分離は、吸着材に対する
ガス圧力とガス吸着量との違いを利用することを原理と
する。従来のガス吸着材としてゼオライトや活性炭が一
般に用いられているが、図2に示すようにガス圧力の上
昇に従ってガス吸着量は徐々に上昇する緩やかな吸着カ
ーブを描くのが通常である。
【0018】一方、本発明に用いられるガス吸着材は、
図1に示すようにガス圧力の変化に対して、ガス吸着量
は弁の開閉の如くスイッチング形状を示す特殊な吸着カ
ーブを描く。これは、吸着材の吸着メカニズムが従来の
吸着材とは根本的に異なるためである。なお、本発明に
おいて「ガスに関する吸脱着等温線がスイッチング形状
を示す」とは、図1に示すように、ある一定の圧力まで
は吸着材へのガスの吸着が実質的に起こらず、一定圧力
を超えると、突然ガスの吸着が生じるような吸着特性を
有することを意味する。平たく言えば、ある一定値にま
で圧力が上昇すると、あたかもスイッチが入ったかのよ
うにガスの吸着が始まる特性を示すことをいう。
【0019】ガスに関する吸脱着等温線がスイッチング
形状を示す化合物(以下、便宜上「スイッチング化合
物」とも記載する)を用いることによって本発明の効果
が得られるが、本発明の効果を得るためには、スイッチ
ング形状を示すのであれば、その原理については特に限
定されるものではない。スイッチング形状を示す原理の
一つとしては、分子レベルでの弁構造を吸着材の内部に
多数持つことが思料される。これをナノモレキュラーバ
ルブ型吸着材と呼び従来の吸着材と区別する。従来の吸
脱着材には多くの細孔が存在し、その細孔内にガス分子
が吸着される。ナノモレキュラーバルブ型吸着材も同様
にガス分子が吸着する細孔を数多く有するが、細孔内に
出入りする際に分子レベルの弁構造が存在する。このた
め、ガス分子は所定の運動エネルギーを持たないと分子
レベルの弁構造を通り抜けられないと考えられる。分子
レベルの弁構造としては結合力が緩い水素結合からなる
ものが挙げられ、これは小さな磁石のようにくっついた
り離れたりすることが可能であるため、所定の運動エネ
ルギーを持つガス分子のみが通過することができる。こ
のナノモレキュラーバルブを分子構造的に変化させるこ
とによって、ガス分子の通過を制御することが可能とな
る。このナノモレキュラーバルブ構造が存在すると、あ
るガス圧力を閾値としてガス分子は細孔内に出たり入っ
たりすることができるため、ガス圧力−ガス吸着量カー
ブに関するスイッチング形状が発現すると推察できる。
【0020】分子レベルの弁構造と細孔内の吸着能力と
をコントロールすることによって、例えば図1に示すよ
うなスイッチング形状のガス圧力−ガス吸着量カーブと
することが可能である。ナノモレキュラーバルブをあま
り強固にすると、ガスに関する吸脱着等温線が、吸着圧
力が高く、脱着圧力が低い、ヒステリシスループとな
る。このように吸着圧力と脱着圧力との差圧が大きい
と、吸着させたガスを脱着させるために大きな圧力変化
が必要となる。このため、吸着したガスが比較的容易に
脱着するようにスイッチング化合物の構造をコントロー
ルすることが好ましい。
【0021】スイッチング化合物を用いることにより、
AガスおよびBガスに関する吸脱着特性を図1のように
コントロールしたとする。このような場合においては、
Aガスの吸着圧力とBガスの吸着圧力とが異なるため、
AガスとBガスとを分離することが可能となる。例え
ば、AガスとBガスとの混合ガスの圧力をP2に圧縮し
てスイッチング化合物に導入すれば、Aガスのみを吸着
し、Bガスは吸着しないので、Aガスを分離することが
可能となる。
【0022】これに対して、図2に示す吸着特性を有す
る従来の吸着材を用いた場合には、AガスとBガスとの
吸脱着カーブが類似しているため、簡便な方法で高純度
にAガスとBガスとを分離することは不可能である。高
純度なAガスを得るには、オフガスの中にAガスが多量
に含まれることが不可避であり、非常に悪い分離効率を
招来していた。
【0023】本発明のガス分離装置は、上記説明したス
イッチング化合物を吸着材として用いてなる圧力スイン
グ吸着方式ガス分離装置であり、高純度なガス分離が高
効率で可能である。また、他の特徴としては、ガス吸脱
着に関するオン−オフ機能を有するため、小さな圧力差
での吸脱着が可能であり、省エネルギー型のPSA装置
を可能ならしめている点にある。
【0024】図1と図2とを用いて、上記有用性につい
て具体的に説明する。図2においてAガスとBガスとを
分離するためには、P5とP7との間で圧力をスイングさ
せるPSA方式によってAガスとBガスとを分離する。
AガスとBガスとの混合ガスを、吸着工程としてガス圧
力P7で吸着材に導入すれば、Aガスは吸着量Q4で飽和
するので、Aガスのみがガス分離装置の出口側から排出
されることとなる。脱着工程としてガス圧力をP5に減
少させれば、吸着材に吸着していたガスは脱着すること
となる。吸着材にはAガスおよびBガスの双方が吸着し
ているため、オフガスにはBガスと共にAガスも含まれ
る。従って、Aガスのみを分離する場合には極めて非効
率的であり、製品ガスとしてAガスの純度を高くするた
めには、オフガス中へのAガスのロスも大きくなる欠点
がある。
【0025】一方、図1に示すような吸脱着カーブを有
する吸着材を用いてガス分離を図る場合には、P2にガ
ス圧力を上昇させれば、吸着材にはAガスしか吸着しな
い。このようにスイッチング化合物の特性を生かせば、
非常に効率良いガス分離が可能である。
【0026】また、スイッチング化合物の、ガス圧力増
加に対するガス吸着量の増加割合が急峻であると、ガス
分離に要するエネルギーを大幅に低下させることができ
る。図2においては、ΔP=P7−P5の圧力差を与える
必要があるが、図1においてはΔP=P2−P1の圧力差
でよいことがわかる。そもそも従来の吸着材が細孔内へ
のガス分子の吸着の差を利用しているのに対し、本発明
の吸着材はスイッチング化合物であるため、ガス分離の
原理が大きく異なっているのである。
【0027】スイッチング化合物の有する吸着カーブ
は、後述するように種々の方法によって制御でき、場合
によっては図1に示すように、分離されるガスのスイッ
チング形状を完全に分離し得る。このように分離される
ガスのスイッチング形状を完全に分離した場合、当然の
結果として、ガス分離性能は飛躍的に向上し、1回のP
SA操作でコンタミネーションのない極めて高純度のガ
スを得ることも可能である。具体的には、P1とP2との
間で圧力をスイングさせてAガスのみを分離すればよ
い。Bガスも同様の操作により分離することができる。
分離されるガスのスイッチング形状が一部重なっている
場合であっても、スイングさせる圧力の範囲を調整する
ことによって、1サイクルのPSA操作で高純度のガス
を得ることが可能である。ただし、2サイクル以上のP
SA操作を行うことを排除するものではない。
【0028】従来のPSA方式では、吸着特性が類似し
ていると、ガス分離性能が著しく低下する問題があっ
た。しかし、この問題も、分離対象ガスのスイッチング
形状を調整し、上記PSA操作を行うことによって解決
可能である。
【0029】本発明の方法を用いるガス分離装置は、上
述のように圧力のスイング幅が小さくてすむため、ガス
分離装置の大幅な小型化にも寄与する。また、圧力スイ
ング幅が小さいため圧力に要する時間が短縮され、省エ
ネルギーにも寄与する。
【0030】図3を参照して、この効果を説明する。図
3Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分
離における時間−圧力曲線である。図3Bは、本発明の
PSA方式ガス分離装置を用いたガス分離における時間
−圧力曲線である。なお、説明の便宜上、ガス分離装置
によるPSA操作1サイクル当たりのガス分離量は図3
Aと図3Bとで同一とする。両装置を比較すると、図1
および図2を用いて説明したように、圧力スイング幅
は、従来のPSA方式ガス分離装置(図2におけるΔP
=P7−P5)に比べて、本発明のPSA方式ガス分離装
置(図1におけるΔP=P2−P1)は小さくなる。従っ
て、PSA操作1サイクルに要する時間を短縮すること
ができ、結果として単位時間当たりのガス分離量の増加
を招来する。このことは、一定量の高純度ガスを得るた
めに必要な装置サイズが小さくても済むことを意味す
る。例えば、1サイクルに要する時間を3分の1に短縮
した場合、同量の高純度ガスを得るためには、装置の容
量は3分の1で済む。このように、必要となる高純度ガ
ス量が少ない場合には、PSA方式ガス分離装置のスケ
ールを小さくすればよい。
【0031】上記説明したPSA方式ガス分離装置の小
型化と圧力スイング幅の低下とにより、高純度ガスの製
造ランニングコストおよび設備の固定費を低減すること
ができる。高純度ガスを製品として販売する際のコスト
競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部
で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必
要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最
終製品の製造コストを削減する効果を有する。
【0032】本発明のPSA方式ガス分離装置を用いる
ことにより生じる効果(1サイクルのPSA操作で極め
て高純度のガスを得ることが可能、PSA操作1サイク
ルに要する時間の短縮、PSA方式ガス分離装置の小型
化など)を大きく得るためには、PSA操作の際の圧力
スイング幅が小さい程好ましい。実際のPSA方式を用
いたガス分離操作においては、スイングさせる圧力幅が
10atm以下であることが好ましく、5atm以下で
あることがより好ましい。また、PSA操作においてス
イングさせる圧力範囲は、常圧付近であることが好まし
い。常圧付近で圧力をスイングさせるのであれば、PS
A方式ガス分離装置の耐圧設備を簡素化しうるからであ
る。具体的には、PSA方式ガス分離操作においてスイ
ングされる圧力が、1〜10atmの範囲内であること
が好ましく、1〜3atmの範囲内であることがより好
ましい。あるいは、低圧側は真空減圧によって0.1a
tm以下、好ましくは0.3atm以下にすることも可
能である。
【0033】圧力スイング幅を小さくするためには、吸
着材として用いられる化合物のスイッチング形状のガス
吸着特性において、吸着の際に急激に吸着量が増加する
圧力と、脱着の際に急激に吸着量が減少する圧力との差
を小さくすることが有効である。具体的には、ガス吸着
時の圧力p0における吸着量をA0とした時に、吸着量が
0.1A0となる圧力が0.3P0以上であることが好ま
しく、0.5P0以上であることがより好ましく、0.
6P0以上であることがさらにより好ましく、0.7P0
以上であることが特に好ましい。なお、上記規定におい
て「吸着時の圧力」とは、ガス分離装置を使用する際に
実際的に使用される吸着完了時の圧力をいう。吸着時の
圧力P0は、特に限定されるものではないが、低圧での
吸着性を高める観点からは、P0が10atm以下であ
ることが好ましく、5atm以下であることがより好ま
しい。
【0034】本発明のガス分離装置に収納される、吸脱
着等温線がスイッチング形状を示す化合物は、吸脱着等
温線が所望する形状のスイッチング形状を有しているも
のであれば、特に限定されるものではない。2以上の化
合物を併用してもよい。実際に使用する化合物を選択す
るに際しては、分離するガスに応じて選択すればよい。
特に限定されるものではないが、ガス吸着量の多さを考
慮すると、金属錯体が好ましい。金属錯体に含まれる金
属イオンとしては、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛など
を挙げることができる。ガス分離装置には2種以上の錯
体を収納してもよい。
【0035】前記金属錯体に含まれる配位子も、特に限
定されるものではなく、例えば、ピラジン、4,4’−
ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)
エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−ジシア
ノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビ
ス(4−ピリジル)ベンゼンなどを用いることができ
る。
【0036】吸脱着等温線がスイッチング形状を示す化
合物の具体例としては、[Cu(bpy)(BF4
2(H2O)2・(bpy)]n(式中、bpyは4,4’
−ビピリジンを表す。以下同じ。)で表される金属錯体
を挙げることができる。他の具体例としては、[Cu
(bpy)(BF42(H2O)4・(bpy)]nなどを
挙げることができる。
【0037】また、同じ成分であっても、合成後に20
0〜600℃に予熱することによって、水素結合による
ナノモレキュラーバルブの構造を変化させてスイッチン
グ形状を変えることも可能である。
【0038】なお、本発明のガス分離方法および後述す
るガス分離装置によって分離されるガスは、特に限定さ
れるものではなく、水素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ
素、ネオン、塩素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素
などから選択される2以上のガスを含む混合ガスが挙げ
られる。分離したいガスに応じて、使用するスイッチン
グ化合物や、ガス分離条件も決定される。
【0039】本願は、上記説明した効果を有するPSA
方式ガス分離装置も提供するが、スイッチング化合物が
収納される吸着材収納室やPSA方式ガス分離装置など
の構成・材料は従来公知の技術を用いることができ、特
に限定されるものではない。一例としては、後述する図
4に示す装置構成とすることができる。
【0040】続いて、本発明のガス分離装置の製造方法
について説明する。
【0041】まず、本発明のガス分離装置に収納される
吸脱着等温線がスイッチング形状を示す化合物を準備す
る。化合物の調製方法は化合物によって異なるものであ
り、一義的に決定できるものではないが、ここでは、
[Cu(bpy)(BF42(H2O)2・(bpy)]n
を合成する場合を例にとり説明する。
【0042】まず、4,4’−bipyridine
(以下bpyと略記)のアニリン溶液を還流しながら、
銅(II)テトラフルオロボレート水和物を含む水溶液を
添加する。生じた析出物を濾過し、ジエチルエーテルの
蒸気を、窒素流を用いて母液中に拡散させ、母液を室温
で数日間保存する。続いて、濾過により析出物を得て、
減圧下で数時間乾燥させる。このような作業により、目
的物を得ることができる。しかしながら、上記方法に限
定されるものでは勿論なく、各種方法を用いて合成して
もよいことは言うまでもない。
【0043】得られたスイッチング化合物は、ガス分離
装置を構成する吸着材収納室に収納される。吸脱着等温
線がスイッチング形状を示す化合物の収納方法は、吸着
材収納室中への充填などの公知手法を用いることがで
き、特に限定されるものではない。吸脱着等温線がスイ
ッチング形状を示す化合物の収納量は、ガス分離装置に
求めるガス分離能力に応じて決定すればよい。
【0044】
【実施例】以下、本発明のガス分離方法およびガス分離
装置の効果を、実施例を用いて説明する。しかしなが
ら、下記の実施例は、単なる一実施形態を例示したもの
であり、本発明のPSA方式ガス分離装置がかような実
施形態に限定されるものでは勿論ない。
【0045】<合成例1:[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2(bpy)]
nの合成>0.08Mの4,4’−ビピリジンを含むア
セトニトリル溶液(50ml)を還流させながら、0.
4Mの銅(II)テトラフルオロボレート水和物水溶液
(50ml)を添加した。これにより、僅かにグレーが
かった析出物を含む溶液を得た。この析出物は、77K
におけるN2の吸着により細孔構造を有さないことが示
された。この水溶液を濾過した後、ジエチルエーテルの
蒸気を、体積が150mlになるまで窒素気流を用いて
母液中に拡散させた。続いて、この母液を数日間室温で
保存して析出物を得た。これを濾過し、10-3Pa以下
の減圧下において4時間乾燥することにより、目的物で
ある[Cu(bpy)(BF42(H2O)2(bp
y)]nを得た。
【0046】<実施例1:[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2(bpy)]
nを収納したPSA方式ガス分離装置>図4に示すPS
A方式ガス分離装置の吸着材収納室1に[Cu(bp
y)(BF42(H2O)2(bpy)]nを各300k
g充填した。吸着材収納室1は、連続的なガス分離のた
めには、吸着工程と脱着工程との最低でも2つ必要であ
り、圧力の高低変動を滑らかにして連続したガス分離が
可能なように、中間の昇圧工程も含めて3室とした。従
来のPSAは3〜4塔式が一般的であるが、上述したよ
うに本発明のPSAガス分離装置は圧力変動の幅が小さ
いので2室でも充分であるため、2室構成とした。
【0047】コンプレッサー2によって空気を0.25
hPaに昇圧し、1000m3(Normal)/hの
ガス流量で吸着塔1に導入した。空気中の酸素ガス成分
のみが吸着材に吸着され、吸着収納室1の出口側より7
9%の窒素ガスが、790m 3(Normal)/hの
ガス流量で排出された。このとき3室の切り替えは20
秒ピッチで連続的に切り替えバルブ3を開閉し、脱着工
程では速度を速めるために、真空ポンプ4で0.02M
Paで減圧除去した。95%酸素ガスを得るためには、
従来のPSA方式ガス分離装置では0.036kWh/
3(normal)−O2のエネルギーを必要とした
が、実施例1のPSA方式では0.19kWh/m
3(normal)−O2であり、実施例1のガス分離装
置が省エネルギー型であることが示された。
【0048】
【発明の効果】上記説明したように、吸脱着等温線がス
イッチング形状を示す化合物を吸着材として収納するこ
とによって優れたガス分離性能を有するPSA方式ガス
分離装置が得られる。また、本発明のPSA方式ガス分
離装置を用いたガス分離方法を用いることによって、効
果的なガス分離が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガス分離装置において吸着材と
して収納される化合物の圧力−吸着量の関係を示すグラ
フである。
【図2】 従来型のガス分離装置において吸着材として
収納される化合物の圧力−吸着量の関係を示すグラフで
ある。
【図3】 図3Aは、従来のPSA方式ガス分離装置を
用いたガス分離における時間−圧力曲線である。図3B
は、本発明のPSA方式ガス分離装置を用いたガス分離
における時間−圧力曲線である。
【図4】 PSA方式ガス分離装置の一実施形態の構成
の模式図である。
【符号の説明】
1 吸着材収納室 2 コンプレッサー 3 切り替えバルブ 4 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 克美 千葉県市原市青葉台6−25−1 Fターム(参考) 4D012 BA01 CA04 CA07 CA20 CB04 CB16 CD07 CG01 CK10 4G066 AB10B AB11B AB24B CA31 CA35 CA37 CA38 CA39 GA14 GA33

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスに関する吸脱着等温線がスイッチン
    グ形状を示す化合物を吸着材として用いてなる圧力スイ
    ング吸着方式ガス分離装置。
  2. 【請求項2】 前記化合物は、金属錯体であることを特
    徴とする請求項1に記載のガス分離装置。
  3. 【請求項3】 前記金属錯体は、銅、コバルト、ニッケ
    ルまたは亜鉛を金属イオンとして含むことを特徴とする
    請求項2に記載のガス分離装置。
  4. 【請求項4】 前記金属錯体は、ピラジン、4,4’−
    ビピリジン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)
    エチレン、1,4−ジシアノベンゼン、4,4−ジシア
    ノビフェニル、1,2−ジシアノエチレン、1,4−ビ
    ス(4−ピリジル)ベンゼンの1種以上を配位子として
    含むことを特徴とする請求項2または3に記載のガス分
    離装置。
  5. 【請求項5】 前記金属錯体は、[Cu(bpy)(B
    42(H2O)2・(bpy)]n(式中、bpyは4,
    4’−ビピリジンを表す)で表されることを特徴とする
    請求項2に記載のガス分離装置。
  6. 【請求項6】 圧力スイング吸着方式による混合ガス分
    離方法であって、吸着材として、ガスに関する吸脱着等
    温線がスイッチング形状を示す化合物を用いることを特
    徴とする混合ガス分離方法。
  7. 【請求項7】 スイングさせる圧力幅が10atm以下
    であることを特徴とする請求項6に記載の混合ガス分離
    方法。
  8. 【請求項8】 スイングさせる圧力が1〜10atmの
    範囲内であることを特徴とする請求項6または7に記載
    の混合ガス分離方法。
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