JP4444208B2 - 同位体ガス分離方法および同位体ガス分離装置 - Google Patents

同位体ガス分離方法および同位体ガス分離装置 Download PDF

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Description

本発明は、同位体ガスの分離方法あるいは分離装置に関する。特に、低消費エネルギーで効率良く同位体ガスを分離する方法あるいは装置に適用して有効な技術に関する。本発明は、例えば一酸化炭素ガスから13CO同位体ガスを分離する技術に関する。
自然界に存在する物質には同位体がある程度の割合で含まれている。例えば、自然界には、質量数12の炭素原子(12C)の同位体として質量数13の炭素原子(13C)が存在する。炭素原子の場合、自然界における両者の構成比はほぼ一定で、原子%で表して12Cが98.9%、13Cが1.1%である。一酸化炭素ガス(CO)を構成する炭素にも12Cと13Cが前記の割合で存在している。つまり、一酸化炭素ガス中には、質量数28の一酸化炭素ガス(12CO)成分が98.9体積%、質量数29の一酸化炭素ガス(13CO)成分が1.1体積%の割合で存在する。
同位体の産業上の応用分野は各種存在する。例えば医療分野において質量数13の炭素(13C)を診断薬として利用する技術が知られている。この技術は、13C−尿素を診断薬としてヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染の有無を呼気テストによって診断する技術である。
同位体同士の化学的性質の差異は極めて微少であり、一般に自然界から質量数の異なる同位体を分離するには多額の設備コストとランニングコストが必要である。一酸化炭素ガスの場合は蒸留法(低温精密蒸留法)によって、微量に含まれる同位体ガス(13CO)を濃縮し、分離する技術が知られている。
蒸留による同位体の分離は、同位体の沸点(蒸気圧)の差を利用して、同位体を濃縮する方法である。この方法では、蒸留塔と呼ばれる装置を利用する。蒸留塔の上部はコンデンサーにより冷却され、下部はリボイラにより加熱される構造となっている。一例として、一酸化炭素ガスから13COを濃縮分離する例を説明する。まず、一酸化炭素ガスを蒸留塔に導入し、蒸留塔内の温度分布を微妙に調整すると、低沸点成分(12CO)は液化し難いので、蒸留塔の上部に集まり、高沸点成分(13CO)は液化し易いので、蒸留塔の下部に集まる。こうして、一酸化炭素ガスは12COと13COとに分離される。ただし、両者の沸点の差は僅かであるので、1理論段の濃縮で僅かに13COの濃度が高くできるに過ぎない。ここで、1理論段とは、1回の気液平衡を実現するために必要な1区間を意味する。蒸留塔においては、所定の濃縮を実現するために必要な理論段数に相当する棚段もしくは充填物層が高さ方向に積み重なった構造となっている。
蒸留による方法以外の技術としては、例えば特許文献1に記載されている技術が提案されている。これは、同位体ガスの分子径に近似した開口径を持つゼオライトを用い、異なる質量数の同位体ガスのゼオライトへの吸着性の違いを利用して、同位体ガスの濃縮を行うものである。また、特許文献2には、ゼオライト系の吸着材料を用いて、12COと13COとを濃縮する技術について記載されている。この技術は、ゼオライト系の吸着材料が、選択的に13COを吸着し易い性質を利用して12COと13COとを濃縮するものである。
特開平10−128071号公報 特開2001−219035号公報
前記した蒸留法には、被処理ガスの沸点が一般に極低温であること、および僅かな沸点の差を利用する点に起因する問題がある。蒸留濃縮法では処理温度を被処理ガスの沸点近傍に制御すべきことは、原理から明らかであろう。一般に、1気圧、300K程度の常温常圧雰囲気でガス状態にある物質の沸点は極低温である。例えば、一酸化炭素ガスの沸点は約82Kである。蒸留塔の内部をこのような極低温に制御するには、多大な冷却エネルギーを必要とする。特に、一方の同位体ガスに対して他方の同位体ガスの存在割合が小さい蒸留初期の段階では、多量のガスを極低温に制御する必要があるので、多くの冷却エネルギーを必要とする。
例えば、12COを蒸留法により濃縮する場合について説明する。この場合、実用的な高さの蒸留塔においては、1.1体積%の13COを含む13COと12COの混合ガスを蒸留塔に導入すると、蒸留塔の上部から排出される12COには、約1体積%の13COが依然として含まれている。他方で蒸留塔の下部から回収されるのは、依然として12COが大半を占める混合物である。これは、両者の沸点の差、つまり両者の蒸気圧の差が極僅かであり、蒸留が1理論段で濃縮できる13COの濃度差は極僅かである点に原因がある。この同位体ガスの回収率の低さ(換言すれば、濃縮効率の低さ)は、実用的な蒸留塔高さ、または蒸留塔数の範囲においては避けることができない。そのため、濃度99%以上というような高純度の13COガスを得るには、理論的な濃縮段数が1000段を超えるようなプラントが必要になる。
また、上記濃縮対象である同位体ガスの回収率の低さに関係して、必然的に蒸留法を構成する全体のシステムの中における低濃縮段階での設備が占める割合が大きくなる。つまり、1理論段の濃縮での濃縮度が小さく、1000段を超すような濃縮を行う必要があるので、最終的に得られる13COガスの絶対量に比較して、低濃縮段階では極めて多量のガスを処理する必要があり、それ故に低濃縮段階である程、蒸留塔の数を多くする必要がある。このことは、冷却及び加熱のために必要なエネルギーが、低濃縮段階において高い割合で消費されることを意味する。
また、蒸留濃縮法は、蒸留塔に被処理ガス及びエネルギーを供給し始めてから、定常運転に必要な濃度分布になるまでのスタートアップ時間が長いという問題もある(プラントの規模によっては、年単位必要な場合もある)。この点も運転コストが大きくなる要因となる。
一方で、上述した吸着を用いた同位体ガスの濃縮は、蒸留濃縮法のように多大な冷却エネルギーを必要としない。しかし、この吸着を利用した同位体ガスの濃縮方法は、吸着工程において、吸着物質に接触しないガスが存在し、かつ特定の同位体ガスだけを確実に吸着させるのは困難であるために、濃縮の高濃度段階における濃縮効率が低い。これは、高純度の同位体ガスを得る場合に問題となる。また、高濃度段階での濃縮効率が低いので、濃縮対象とする同位体ガスが高濃度になる程、設備や処理に要するコストが高くなる問題がある。
本発明の目的は、自然界に微量に存在する同位体ガスを低コストで得ることができる技術を提供することにある。
以下、本発明を説明するに際し、まず、本明細書中で用いる用語について説明する。低質量数の同位体ガスというのは、より質量数の小さい原子を構成要素とする同位体ガスをいう。また、高質量数の同位体ガスというのは、より質量数の大きい原子を構成要素とする同位体ガスをいう。例えば、一酸化炭素ガスを例に挙げると、12COが低質量数の同位体ガスであり、13COが高質量数の同位体ガスである。
分子状のガスというのは、メタンのように構成要素が分子でなるものをいう。原子状のガスというのは、アルゴンのように構成要素が原子でなるものをいう。混合ガスというのは、複数種類の同位体ガスで構成されるガスをいう。同位体ガスとは、混合ガスに含まれる高質量数の同位体ガスであり、濃縮対象(分離対象)となるガスをいう。利用できる混合ガスとしては、12COと13COとを体積比で約0.99:0.01(天然存在比)の割合で含む高純度の一酸化炭素ガスが挙げられる。
本明細書において、第1ガスとは、低質量数の同位体ガスをいう。第1ガスは、所定種類のガスにおいて、最も多くの割合で含まれている同位体ガスである。例えば、一酸化炭素ガスには、12COが最も多くの割合で含まれている。また、以下の説明において、同位体ガスとは、第1ガスより高質量数の同位体ガスをいう。ここでいう同位体ガスは、自然界において、第1ガスに比較して微量にしか存在していない。なお、一般に同位体の用語は、質量数の異なる同一元素からなる原子または分子を相互に同位体と称するように用いられる。しかし、以下の説明においては、分離対象となる高質量数のガスを「同位体ガス」と表現する。前記第1ガスと前記表現における同位体ガスとは互いに同位体の関係にあるので、広義には第1ガスを同位体ガスと表記することも可能であるが、以下の説明においては、質量数の小さい同位体ガスを「第1ガス」、質量数の大きい同位体ガスを「同位体ガス」の用語で表現する。例えば、12COガスは第1ガスであり、13COガスは同位体ガスである。また、両ガスを含む一酸化炭素ガスは混合ガスである。
本明細書においては、混合ガス中における同位体ガスの濃度をモル分率で表現する。つまり、第1ガスと同位体ガスでなる混合ガス中における同位体ガスの占める割合を、モル分率で表現する。以下の説明において、モル分率で表現した同位体ガスの濃度、あるいは同位体ガスのモル分率というのは、混合ガス中における同位体ガスのモル分率のことである。モル分率で表される同位体ガスの濃度は、その値に100を乗ずれば、体積%で表現できる。例えば、混合ガス中における同位体ガスの濃度がモル分率で0.5である場合、その混合ガス中における同位体ガスの濃度は50体積%である。
本明細書において、脱着とは、吸着と逆の現象をいう。つまり、脱着とは、吸着材料に吸着している気体分子等が吸着している状態から気相中に離脱する現象をいう。なお、吸着材料とは、ガスの分子や原子が吸着する対象となる材料をいう。
本発明では、同位体ガスの低濃縮段階において、吸着を用いた方法を用いる。そして、混合ガス中における同位体ガスをモル分率で好ましくは0.45〜0.50以上の濃度にまで濃縮した段階で、濃縮方法を蒸留法に切り替え、さらに引き続いて同位体ガスの濃縮を行う。これにより、低コストで混合ガス中から同位体ガスを分離し、高純度の同位体ガスを得る。なお、得られる同位体ガスは、液化した状態であっても構わない。
前述したように蒸留による同位体ガスの濃縮は、同位体ガスが低濃度の段階では、生産性が悪くコスト高である。しかしながら、高濃度段階では、その欠点は目立たなくなり、逆に高濃度でも制御性が良く、また多量のガス処理を必要としない高濃縮側においては蒸留塔の持つ多段性が有効に活用できるという点において優位性が相対的に大きくなる。一方、吸着による同位体ガスの濃縮は、低濃度段階では、蒸留法に比較して低コストである優位性があるが、高濃度段階では濃縮効率が低下し、低コスト性の優位性が薄れてくる。これは、蒸留法が実用的な範囲内の塔高さにおいては比較的容易に段数を増加可能であるのに対して、吸着法で段数を増加させるためには1段につきシステム一式を増加させなければならないことに起因する。
本発明者らが得た知見によれば、吸着法による1回の吸脱着での濃縮による濃度差の値は、濃縮前の同位体ガスがモル分率で0.45〜0.50になった段階において最大となる。そして、それを超えると、2次曲線で近似される割合で1回の吸脱着により得られる濃縮濃度差は低下してしまう。従って、同位体ガスがモル分率で0.45〜0.50を超えた値になると、吸着法による蒸留法に対するコスト的な優位性は薄れる傾向となる。そこで、本発明では、同位体ガスが低濃度の段階では吸着による濃縮プロセスを行い、同位体ガスがモル分率で好ましくは0.45〜0.50程度になった段階で蒸留による濃縮プロセスに切り換える。これにより、蒸留法が有する同位体ガスの低濃度における高コスト性の欠点が解消され、また吸着法の有する同位体ガスが高濃度である場合における濃縮効率の悪さも表面化しない同位体ガスの分離技術が得られる。つまり、両者の良い点を生かして、低コストで同位体ガスの濃縮を行うことができる。吸着法から蒸留法への切り換えタイミングの上限値(同位体ガスのモル分率)は、使用可能なインフラやユーティリティー等を考慮した採算性評価の結果により左右される。なお、既存蒸留プラントの増産等に吸着プロセスを適用する場合、吸着プロセスから蒸留プロセスへ供給する同位体ガスの濃度は増産量や既存設備構成等によって決まるため、上述の吸着法に着目した場合に導き出される好ましい切り換えのタイミングは、同位体ガスのモル分率が0.45〜0.50の範囲に必ずしも限定されず、0.45〜0.50を超えた値であってもよい。
上述の吸着プロセスに着目した場合に得られる吸着プロセスから蒸留プロセスへの切り換えタイミングの限定は、平衡吸着型と呼ばれる吸着モデルによる同位体ガスの濃縮プロセス(分離プロセスともいう)の利用が前提となる。平衡吸着型とは、特定の条件を満たす吸着材料に2種類以上の同位体ガスを含んだ混合ガスを接触させた場合に、同位体ガスが第1ガスに比較して吸着し易い現象を利用した同位体ガスの濃縮技術である。平衡吸着型では、特定の吸着材料に混合ガスを接触させ、その後に吸着したガス成分を脱着させると、その脱着成分において、同位体ガスの比率が吸着前の段階より高くなる。
本発明の概略は下記の通りである。本発明は、分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、前記混合ガスを吸着室のガス吸入口に供給する第1ステップと、前記混合ガスの供給開始から所定時間経過後に前記供給を停止する第2ステップと、前記吸着室内を相対的に減圧にし、前記吸着室内で吸着していた前記混合ガスを取り出す第3ステップと、を含む第1処理手順と、前記混合ガス中に含まれる前記同位体ガスを蒸留により濃縮する第2処理手順と、を含み、前記第1ステップの前における前記同位体ガスのモル分率と、前記第3ステップの後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大となる時点以降まで前記第1処理手順による濃縮を行い、その後に前記第2処理手順による濃縮を行うことを特徴とする同位体ガス分離方法である。
上記の発明において、「第1ステップの前における同位体ガスのモル分率と、第3ステップの後における同位体ガスのモル分率との差が最大となる時点以降」とは、第1ステップ〜第3ステップの1サイクルの工程によって得られるモル分率の差が最大となる時点のその後、という意味である。ここでいう時点は、濃縮前後のモル分率の差が最大となるサイクルが終了した状態における任意の時間の一点である。例えば、第1ステップ〜第3ステップを1サイクルとし、そのサイクルを繰り返すことで、同位体ガスを濃縮していった際において、N回目のサイクルで、1サイクルで得られるモル分率の差が最大となる場合、そのN回目のサイクルの濃縮工程が終了した状態における任意の時間の一点が、上記「第1ステップの前における同位体ガスのモル分率と、第3ステップの後における同位体ガスのモル分率との差が最大となる時点」となる。第1ステップ〜第3ステップを実行することで、混合ガス中の同位体ガスは濃縮され、その濃度は濃くなる(つまり、同位体ガスのモル分率は高くなる)。この際、後述する理由により、第1ステップ〜第3ステップを1回実行(つまり1段の吸着プロセスを実行)することで得られる濃度差は、第1ステップの実行前の混合ガス中における同位体ガスの濃度に依存して変化する。後述するように、この濃度差は、混合ガス中における同位体ガスの濃度がある値になった段階において極大値をとる。この発明によれば、吸着プロセスの濃縮効率が高いところを利用することができ、吸着プロセスが有する蒸留プロセスに対する優位性を最大限に得ることができる。それにより、蒸留プロセスが有する同位体ガスの低濃度段階における高コスト性を改善でき、より低コスト・短時間で高純度の同位体ガスを得ることができる。
本発明の他の構成は、分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、前記混合ガスを吸着室のガス吸入口に供給する第1ステップと、前記混合ガスの供給開始から所定時間経過後に前記供給を停止する第2ステップと、前記吸着室内を相対的に減圧にし、前記吸着室内で吸着していた前記混合ガスを取り出す第3ステップと、前記第1ステップ〜前記第3ステップを1回または複数回繰り返し、前記同位体ガスのモル分率を0.45〜0.50以上の値まで濃縮する第1処理手順と、前記第1処理手順の後に蒸留により前記混合ガス中に含まれる前記同位体ガスを濃縮するステップと、を含む同位体ガス分離方法である。
以上の発明において、第1ステップ〜第3ステップの繰り返しは、同じ装置を用いて行ってもよい。また、第1ステップ〜第3ステップの繰り返しは、第1ステップ〜第3ステップを実行できる装置を複数用意し、第1の装置で第1段階の第1ステップ〜第3ステップを行い、次の第2の装置で第2段階の第1ステップ〜第3ステップを行い、というようにしてもよい。また、第1ステップ〜第3ステップの各ステップの前後に、さらに他の処理が行われても構わない。上記発明の第3ステップにおいて、吸着室内にキャリアガスを流し、吸着室内で吸着していた混合ガスをキャリアガスと共に取り出してもよい。また、吸着室内に混合ガスと共に他のガスを導入してもよい。
本発明では、同位体ガスを吸着する吸着材料として、多孔質体が利用できる。特に同位体ガスを吸着する吸着材料として、ゼオライト、活性炭、シリカゲルまたはアルミナが利用できる。ゼオライトは、フォージャサイト、ペンタシルゼオライト、モルデナイト、またはA型ゼオライトを用いるのが好ましい。また、混合ガスとして、一酸化炭素ガスが選択できる。
上記発明は、吸着プロセスから蒸留プロセスへの切り替えを、同位体ガスのモル分率が0.45〜0.50の範囲中のピンポイントな時点に限定するものではない。よって、例えば同位体ガスのモル分率が0.7の時点で吸着プロセスから蒸留プロセスに切り換える場合も上記発明に含まれる。
本発明は、同位体ガスの分離装置としても把握可能である。この場合、上述した同位体ガスの分離方法を実行するための構成あるいは手段を備えた装置として把握される。
本発明は、分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料に前記混合ガスを接触させ、前記同位体ガスを濃縮した混合ガスを得る第1ステップを含み、前記第1ステップを一回または複数回繰り返し、前記第1ステップの前における前記同位体ガスのモル分率と、前記第1ステップの後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大となる時点以降まで濃縮を行う第1処理手順と、前記第1処理手順の後に前記混合ガスを蒸留するステップを含む第2処理手順と、を含む同位体ガス分離方法、として把握することもできる。また本発明は、分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料に前記混合ガスを接触させ、前記同位体ガスを濃縮した混合ガスを得る第1ステップと、前記第1ステップを一回または複数回繰り返し、前記混合ガス中の前記同位体ガスのモル分率を0.45〜0.50以上の値とする第1処理手順と、前記第1処理手順の後に混合ガスを蒸留するステップを含む第2処理手順と、を含む同位体ガス分離方法としても把握可能である。また、これら同位体ガス分離方法に関する発明は、第1処理手順と第2処理手順を実現する装置あるいはシステムとしても把握可能である。
以上説明した発明によれば、同位体ガスが低濃度の段階では、吸着による濃縮を行い、それにより蒸留設備への負担を低減する。そして、同位体ガスがモル分率で0.45〜0.50以上となった段階で吸着法から高濃度段階の濃縮に適した蒸留による方法に切り換える。これにより、低コストで高純度の同位体ガスを得ることができる。つまり、吸着による濃縮プロセスの優位性を最大限生かした段階で吸着プロセスから蒸留プロセスへの移行が行える。本発明によれば、蒸留設備に加わる負担を軽減できるので、プラント全体での蒸留塔の数を蒸留のみのプロセスを実施する場合に比較して減らせる、あるいは濃縮段数を減らせる、あるいは蒸留塔の高さを低くできるといった効果が得られる。また、蒸留塔内に保持されるホールドアップ液(蒸留塔内に存在する液化状態にある混合ガス)の絶対量を少なくできるので、定常運転時の濃度分布に達するまでのスタートアップ期間の短縮が可能となる。これにより、運転コストを蒸留プロセスのみを用いた場合に比較して大きく低減できる。
本発明は、既に稼動している蒸留プロセスの一部に吸着プロセスを組み合わせ、低コスト化を計る場合にも利用できる。例えば、同位体ガスの増産が要求されている蒸留法による同位体濃縮プラントにおいて、低濃縮段階プロセスにおける生産性を高めるために、低濃縮段階における濃縮プロセスが行われる部分に吸着分離設備を部分的に増設し、同位体ガスの濃縮プロセスの一部を吸着プロセスで負担する、あるいは並列的に処理の一部を吸着プロセスで負担する、といった適用が挙げられる。これらの方法においても、低濃縮段階における蒸留プロセスの負担を軽減できる優位性が得られる。この場合においても、吸着プロセスから蒸留プロセスへの切り換えタイミングは、本発明で規定されるタイミングで行えばよい。
また、本発明は、同位体ガスを第1ガスから完全に分離する目的にその利用が限定されるものではない。従って、同位体ガスを必要とする程度(純度)にまで分離する場合にも本発明は適用できる。
第1図は、本発明の同位体ガスの分離方法を実施するためのシステムの一例を示す図である。
第2図は、本発明の同位体ガスの分離方法を適用した一実施形態の処理手順を例示したフローチャートである。
第3図は、蒸留法のみによるシステムと本発明の同位体ガスの分離方法を実施するためのシステムの一例を示す図である。
第4図は、同位体ガスの吸着プロセス前のモル分率と、吸脱着プロセス前後のモル分率の差との関係を示すグラフである。
第5図は、同位体ガスの吸着プロセス前のモル分率と、吸脱着プロセス前後のモル分率の差との関係を示すグラフである。
第6図は、同位体ガスの吸着プロセス前のモル分率と、吸脱着プロセス前後のモル分率の差との関係を示すグラフである。
第7図は、同位体ガスの吸着プロセス前のモル分率と、吸脱着プロセス前後のモル分率の差との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様での実施が可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、実施の形態の全体を通して同じ要素には同じ番号を付するものとする。
本実施の形態においては、第1ガスとして12CO、分離する同位体ガスとして13CO、吸着材料としてゼオライトの例を説明する。
第1図は、本発明の同位体ガス分離装置の一例を示すシステム図である。第1図に示すシステムは、流量調整装置400、流量調整装置401、配管101、バルブ102、配管103、バルブ104、吸着材料105、吸着室107、温度調整装置108、配管109、回収ポンプ110、バルブ111、バルブ112、排気ポンプ113、回収タンク114、バルブ115、排気ポンプ116、バルブ117、流量調整装置118、配管120、蒸留塔131、配管132、配管133、蒸留塔141、配管142および配管143を含む。
配管101からは、キャリアガスとして利用されるヘリウム(He)ガスが導入される。ヘリウムは、同位体ガスである13COを吸着材料105に吸着させる際のキャリアガスとして使用される。またヘリウムは、吸着材料105に吸着した13COを回収する際のキャリアガスとしても利用される。キャリアガスであるヘリウムを流すことで、吸着材料105に吸着した13COを脱着させ、ヘリウムと共に13COを回収する。
配管103からは、混合ガスである高純度一酸化炭素(CO)ガスが導入される。高純度一酸化炭素ガスは、自然界における存在比に従って、12COが98.9体積%、13COが1.1体積%含まれている。高純度一酸化炭素ガスは、通常の一酸化炭素ガスにおいて、その純度の高いガスである。純度は5N以上のものが好ましい。勿論、他の比率で両者が含まれている混合ガスを出発ガスとして用いても良い。吸着室107は、内部を減圧状態に維持できる構造を有している。吸着室107は、温度調整装置108によって、所定の温度に加熱または冷却でき、内部の温度を任意に調整可能である。吸着室107内部は、回収ポンプ110及び排気ポンプ113によって減圧状態にできる。吸着材料105は、ゼオライト系吸着材料であり、例えばフォージャサイト型ゼオライトを用いる。
回収タンク114は、吸着室107から排気されるガスを回収するためのタンクである。蒸留塔131は、キャリアガスであるヘリウムと一酸化炭素ガスとを蒸留により分離するための蒸留塔である。蒸留塔131は例えばPSAのようなガス分離装置でもよい。蒸留塔141では、蒸留により12COと13COの分離が行われる。蒸留塔141は、上部および下部に図示しない温度調整装置を備え、高沸点成分を蒸留塔の下部へ集め、低沸点成分を蒸留塔の上部へ集め、高沸点成分と低沸点成分とを分離する機能を有している。なお、PSAとは、Pressure Swing Adsorptionの略である。
本実施の形態は、特定の吸着材料と特定の混合ガスの組み合わせにおいて、吸着材料への吸着が相対的に第1ガスより同位体ガスの方が行われ易い現象を利用する場合の例である。つまり、第1ガスと同位体ガスとの混合ガスを吸着室に流入および通過させ、所定時間経過した段階で混合ガスの吸着室への流入および流出を止め、その後に吸着室内の吸着材料に選択的に吸着している同位体ガスを脱着させて吸着室内から取り出す。この時、吸着材料には、吸着前の気相中における状態より、同位体ガスが第1ガスに比較して相対的に高濃度で吸着している。従って、吸着室から取り出される混合ガス中における同位体ガスの濃度は、吸着室に導入前の混合ガス中における濃度よりも高くなる。そして、この吸脱着プロセスを所定回数繰り返すことで、混合ガス中における同位体ガス濃度を徐々に高めることができる。
第2図は、本発明の同位体ガスの濃縮方法を適用した一実施形態における吸着プロセスの処理手順を例示したフローチャートである。まず処理に先立ち、バルブ112以外を閉鎖した状態で排気ポンプ113を作動させて、吸着室107内を高真空状態としておく。なお、高真空状態とは、それ以上減圧できない状態をいう。次にバルブ112を閉鎖してバルブ102を開け、吸着室107内をヘリウムガスで満たす。この際、吸着材料105を例えば423Kに加熱しておく。吸着室107内がヘリウムで満たされ、常圧になったら、バルブ102を閉鎖し、再度バルブ112を解放する。これにより、吸着質107内に充填されたヘリウムガスが排出される。この作業を数回繰り返し、吸着室107内部から不純物を除去し、さらに吸着材料105に吸着している物質を十分に脱着させ吸着能力を高めておく。また、回収タンク114を高真空状態としておく。
吸着室107を高真空状態もしくは常圧程度までヘリウムで充填された状態にして、同位体ガスの分離を開始する(ステップ701)。まず、バルブ102とバルブ104を解放する。この際、流量調整装置400と401を作動させて、例えばヘリウムが80体積%、一酸化炭素ガスが20体積%の割合で吸着室107内に流れ込むようにする。こうして、キャリアガスと混合ガスの供給が開始される(ステップ702)。
ヘリウムガスと一酸化炭素ガスの供給により、吸着室107内の圧力が常圧になった段階で、バルブ112を開放する。この際、流量調整装置400と401を調整することで、吸着室107内の圧力が常圧に維持された状態で、ヘリウムガスと一酸化炭素ガスの供給を引き続いて行う。つまり、吸着室107内をヘリウムガスと一酸化炭素ガスが通過する状態を作り出す。ヘリウムガスと一酸化炭素ガスの供給は、例えば200秒行う。なお、吸着室107の圧力は常圧以外の圧力に維持してもよい。この際、分離効率を上昇させるために、吸着室107の温度は例えば113Kの低温状態に調節する。
一酸化炭素ガスの供給が行われると、12COより13COの方がゼオライトでなる吸着材料105に吸着し易いので、13COがより高い確率で吸着材料105に吸着する。従って、最初は13COの濃度が低い一酸化炭素ガスが吸着室107から排気される。ある程度の流量が吸着材料105に接触して通過すると、吸着平衡状態に達し、13COの選択的な吸着は行われなくなる。その結果、吸着室107から排気される一酸化炭素ガス中における12COと13COとの比は、吸着室107に一酸化炭素ガスを導入する前の段階と同じとなる。
所定の時間、ヘリウムガスと一酸化炭素ガスを流したら、次にバルブ102、バルブ104およびバルブ112を閉める(ステップ703)。この状態で、ヘリウムガスと一酸化炭素ガスとが吸着室107内に閉じ込められた状態となる。次にバルブ111を開け、吸着室107内の気体を回収ポンプ110により回収タンク114に回収する。この際、吸着室107内の温度を温度調整装置108によって例えば423Kまで上昇させてもよい。この際、吸着室107が相対的に減圧状態になり、吸着材料105に吸着していた成分が脱着し、回収タンク114に回収される(ステップ704)。この脱着成分は、吸着室107に導入された状態よりも13CO/12COの値(体積比)が大きくなっている。こうして、13COの濃縮が行われる。なおこの際、吸着室107にキャリアガスを流し、脱着成分の回収効率を高めても良い。
次にバルブ111を閉め、バルブ102およびバルブ112を開け、吸着室107内にヘリウムガスを流す。この時、吸着室107内の温度を例えば423Kに上昇させてもよい。これにより、吸着材料105に吸着していた一酸化炭素ガスの脱着をさらに徹底して行い、吸着材料105の再生を行う(ステップ704)。再生により、吸着材料105の吸着性能が回復する。なお、吸着室105からの排気ガスは、13CO濃度が自然界における濃度よりも高くなっているので、この排気ガスを回収タンク114に回収してもよい。
回収タンク114に回収された一酸化炭素ガスは、自然界におけるものより13COの濃度が高くなっている。このようにして、13CO成分が濃縮された一酸化炭素ガス(混合ガス)が回収タンク114に集められる。なお、回収タンクには、キャリアガスであるヘリウムガスも一酸化炭素ガスと一緒に回収される。なお、回収タンク114を設けず、流量調整装置118(または適当なポンプ)を用いて、蒸留塔131へ間欠的に13CO成分が濃縮された一酸化炭素ガスを送るようにしてもよい。
吸着を利用した同位体ガスの分離を続ける場合、ステップ705の判断が真となり、ステップ702に戻る。この際、再度吸着室107内を減圧状態にし、ステップ702以下の手順を繰り返す。
回収タンク114に蓄えられた一酸化炭素ガスおよびヘリウムガスは、流量調整装置118の動作によって、蒸留塔131へ送られる。蒸留塔131では、ヘリウムガスと一酸化炭素ガスの分離が行われる。ヘリウムガスと一酸化炭素ガスの沸点は大きく異なるので、蒸留塔131では実用上ほぼ完全に、ヘリウムガスと一酸化炭素ガスとの分離が行われる。ここで、高沸点成分である一酸化炭素ガスは、蒸留塔131の下部に集まり、配管133を介して蒸留塔141に送られる。低沸点成分であるヘリウムガスは、蒸留塔131の上部に集められ、配管132から回収される。
蒸留塔141に供給される一酸化炭素ガスは、上述した吸着プロセスによって13CO成分がモル分率で0.5程度になるまで濃縮させる。実際には、上述した吸着を用いた13COの濃縮作業を必要とする回数(段数)で繰り返し行い、13CO成分がモル分率で0.5程度になるまで濃縮させる。つまり、ここでは吸脱着1回の例が説明されているが、実際のプラントでは、上述した吸着による濃縮設備を複数段用意し、所定な濃度になるまで、所定回数の吸脱着を繰り返し行って、濃縮度を所定の濃度(この例では、モル分率で0.5)にまで高める作業を行う。
13CO成分がモル分率で0.5程度にまで濃縮された一酸化炭素ガスは、配管133から蒸留塔141に供給される。そして、蒸留塔141において、さらに高沸点成分である13COと低沸点成分である12COとを分離する作業が行われる。
次に蒸留塔141での濃縮処理について一例を説明する。蒸留塔141では、内部が一酸化炭素ガスの沸点付近の温度に微妙に調整される。つまり、蒸留塔141の内部は、13CO成分と12CO成分が含まれる一酸化炭素ガスが液化し易い条件に調整される。この状態で蒸留塔141の下部を図示しない温度調整手段により僅かに加熱に、蒸留塔141の上部を下部に対して相対的に僅かに冷却する。すると微妙な条件において、沸点差に起因して13CO成分に比較して僅かに低沸点である12CO成分が相対的により多く気化する状態が得られる。つまり、蒸留塔の内部に一酸化炭素の沸点付近における僅かな温度勾配を形成し、気化し易い低沸点成分が気体として蒸留塔の上部に集まり易く、気化し難い高沸点成分が蒸留塔の下部に集まり易い状態とし、相対的に両者を分離する。この結果、高沸点成分である13CO成分が相対的に高濃度になった12COと13COとの混合物が配管142から取り出される。他方で、13CO成分が相対的に低濃度になった12COと13COとの混合物が配管143から取り出される。
なお、上述したプロセスでは、0.7KPAの飽和蒸気圧の違いを利用した分離であるので、蒸留塔1理論段の処理では、両者を完全に分離することはできない。よって、所定の濃度にまで13COを濃縮するには、その濃縮に足る理論段数を備えた蒸留塔を用いる。
上記の蒸留による13CO成分の濃縮プロセスにおいて、配管143から排出されるガスを配管144に導いて、原料の一酸化炭素ガスと混合し、分離されなかった13CO成分をリサイクルしてもよい。ゼオライト系吸着材料としては、ペンタシルゼオライト、モルデナイトまたはA型ゼオライトが利用できる。その他の吸着材料としては、活性炭、錯体、シリカゲルまたはアルミナが利用できる。
第1図に例示するシステムにおいて、バルブに処理室内の圧力を調整する機能を有するバルブを採用してもよい。また、流量調整装置にバルブの機能を有する装置を採用してもよい。また、処理室への混合ガスの供給と排出を同じ配管を利用して行ってもよい。
以上説明した例によれば、大量の出発ガスを処理しなければならない13CO成分の低濃度段階での濃縮では、設備コストおよび運転コストが小さく、処理効率の高い吸着による濃縮プロセスを採用する。そして、濃縮が進み、吸着による濃縮プロセスのメリットが薄れた段階で、高濃度段階での濃縮に適し、高濃度段階では設備コストおよび運転コストの負担が小さくて済む蒸留による濃縮プロセスに移行する。こうすることで、総合的に見て低コスト化を実現し、さらに短期間に高濃度に濃縮された13COを得ることができる。
次に吸着プロセスと蒸留プロセスとを組み合わせることで得られる効果について説明する。第3図は天然存在比の13COを含む高純度一酸化炭素ガスを被処理ガス(出発ガス)とし、純度99体積%の13COを得ようとするときの(a)蒸留法、(b)吸着+蒸留法のプロセス図である。
蒸留法(a)は、蒸留塔を5塔の構成としている。各蒸留塔の内径は、0.15mであり、理論段数は各塔とも750段である。この場合において、蒸留塔のリボイラに必要な熱量は全体で35kWである。また、ホールドアップ量は蒸留塔の構成本数に依存し、この場合では2mである。ここで、リボイラに必要な熱量とは、蒸留に必要な蒸留塔内での還流を維持するのに必要な熱量である。ホールドアップ量とは、蒸留塔内に保持される12COと13COとの混合物の液量である。
(b)は、(a)における第1および第2の蒸留塔を吸着プロセスに置換したものである。吸着プロセスは前述のプロセスを用いている。ここで、吸着プロセス出口(蒸留プロセスの入り)における13COの濃度はモル分率で0.45である。蒸留プロセスは、前述した内径および段数の蒸留塔が1塔の構成である。リボイラに必要な熱量は、蒸留塔の本数に比例するため、蒸留プロセスで必要な熱量は7kW、ホールドアップ量は0.4mに、それぞれ(a)に比べて減少している。これに加え、蒸発ガスを凝縮・還流させるためにコンデンサーへ供給する冷熱量もリボイラ熱量削減量と同等なだけ削減される。
第3図より、(b)の場合は、(a)の場合より、リボイラに必要な熱量及びコンデンサーに必要な冷熱量が減少し、より少ないエネルギーで所定濃度の同位体ガスが得られることが分かる。即ち、(a)の蒸留のみを用いる場合には、第1蒸留塔及び第2蒸留塔に合計4本の蒸留塔が必要とされ、そこで大きな消費エネルギーが必要とされるが、吸着プロセスを組み合わせることで、この4本の蒸留塔を省くことができる。こうして、蒸留プロセスの前段階に吸着プロセスを組み合わせることで、より低濃度段階における濃縮プロセスへの負担を低減でき、低消費エネルギー化を達成できる。
また設備の運転開始から定常運転までの期間(スタートアップ期間)も短縮できる。この場合、吸着プロセスは濃縮過程を必要としないためスタートアップ期間は無視でき、プロセス全体のスタートアップ期間は蒸留塔のホールドアップ量に依存する。よって、スタートアップ期間は、(a)の場合を1とした場合、(b)の場合で0.3となり、大幅に短縮できる。なお、定常運転とは定常的に所定濃度の13COが得られる運転状態を言う。このように、低濃縮段階(濃縮プロセスの初段)に吸着プロセスを組み込むことで、スタートアップ期間を短縮できる。このことはプラントの運転開始から製品の出荷までの期間を短くできることを意味しており、投資の早期回収といった経済的な効果を生むとともに、例えば既存のプラントを増強して出荷量を短期間で増加させることを考えた場合にきわめて有効であることを意味している。また、第3図から明らかなように、低濃縮段階(この場合は、濃縮プロセスの初段)に吸着プロセスを組み込むことで、設備に必要な投資額を低減できる。
次に、平衡吸着型モデルを利用した場合において、吸着を利用した同位体ガスの濃縮から、蒸留を利用した同位体ガスの濃縮への切り替えを、同位体ガスのモル分率が0.45〜0.50以上の値で行う根拠について説明する。まず、2成分系平衡吸着プロセスを考えた場合における分離係数αを定義する。分離係数αは、1回の吸着プロセスにおいて、同位体ガスを濃縮できる度合いを示すパラメータと考えることができる。2成分系平衡吸着プロセスを考えた場合おいて、液相−気相間の平衡現象と同様な原理が成立すると考えると、分離係数αは、下記数1に示すように両者の蒸気圧力比であらわされる。
Figure 0004444208
上記数1において、P L−gasは、高蒸気圧成分純物質の蒸気圧(飽和蒸気圧)を表し、P H−gasは、低蒸気圧成分純物質の蒸気圧(飽和蒸気圧)を表す。なお、高蒸気圧成分、低蒸気圧成分という表現は、2成分系において、高い蒸気圧の成分を高蒸気圧成分、低い蒸気圧の成分を低蒸気圧成分、と語意を使い分けるために使用している。上記数1は、2成分平衡吸着プロセスにおいて、所定の吸着材料に対する第1ガス(例えば12COガス)の相対的な吸着のし難さ、および同位体ガス(例えば13COガス)の相対的な吸着のし易さは、各ガスの蒸気圧の違いによって評価でき、両者の吸着度合いの比αは、高蒸気圧成分の蒸気圧と低蒸気圧成分の蒸気圧との比で表されることを示している。
以下、高蒸気圧成分を下付添字L、低蒸気圧成分を下付添字H、気相成分を下付添字gas、吸着層上成分を下付添字absで表す。また、記号*は、純物質の物性値であることを示す。なお、蒸気圧という語句を用いているが、ここでは、固相−気相間の平衡モデルを考えているので、ここでいう蒸気圧は、通常用いられる液相−気相間における蒸気圧と同じ値ではない。
ここで、ラウール(Raoult)の法則を固層への吸着現象に適用したモデルを考える。つまり、液相と気相との間における飽和蒸気圧に対応する概念が、固層と気相との間においても成立するものとし、吸着材料の表面と気相との間でラウールの法則が成り立つとしたモデルを考える。ここでは、固相に対する飽和蒸気圧の異なる2つの成分が吸着材料に吸着するモデルを考える。ここで、高蒸気圧成分として第1ガス(例えば12COガス)が挙げられ、低蒸気圧成分として同位体ガス(例えば13COガス)が挙げられる。第1ガスが高蒸気圧成分であるのは、第1ガスの方が同位体ガスの沸点が低く、つまり同じ温度であればより高い圧力で液相−気相間の平衡状態に至るからである。
このモデルによれば、吸着材料に吸着している低蒸気圧成分のモル分率をCH−abs、吸着材料に吸着している高蒸気圧成分のモル分率をCL−abs、平衡状態における低蒸気圧成分の蒸気圧をP、平衡状態における高蒸気圧成分の蒸気圧をPとすると、ラウールの法則は下記数2で表される。なお、P H−gasは低蒸気圧成分純物質の飽和蒸気圧であり、P L−gasは高蒸気圧成分純物質の飽和蒸気圧である。
Figure 0004444208
一方、ここでは平衡状態を考えているから、気相におけるモル分率をCL−g asおよびCH−gasとすると、理想気体の状態方程式から下記数3が得られる。
Figure 0004444208
数3に数2を代入すると、下記数4および数5が得られる。
Figure 0004444208
Figure 0004444208
数4に数1を代入し、式を整理すると、下記数6が得られる。
Figure 0004444208
数5に数1を代入し、式を整理すると、下記数7が得られる。
Figure 0004444208
数6および数7によって、吸着層上の低蒸気圧成分のモル分率CH−absと吸着層上の高蒸気圧成分のモル分率CL−absは、気相中の低蒸気圧成分のモル分率CH−gasおよび気相中の高蒸気圧成分のモル分率CL−gasに関係付けられる。
次に低蒸気圧成分(同位体ガスの成分)の吸着プロセス1段での気相−吸着層におけるモル分率の比を考える。まず、数6を変形して下記数8を得る。
Figure 0004444208
Figure 0004444208
ここで、CH−absとCL−absとの和は吸着している各成分のモル分率の和であるから、その値は1であり、他方でα>1であるから、上記数8は、下記数9のように表される。
Figure 0004444208
数9より、低蒸気圧成分においては、気相中におけるモル分率より、吸着層上におけるモル分率の方が高い現象が説明される。モル分率によって濃度を評価できるから、数9より、低蒸気圧成分の濃度は、気相中における濃度より、吸着層上における濃度の方が高くなる現象が説明される。このことから、吸着層上の吸着成分を脱着し回収することで、低蒸気圧成分のガスを濃縮できる原理が説明される。
次に、吸着層上の低蒸気圧成分(同位体ガス成分)のモル分率CH−absを求める。数9とCL−abs+CH−abs=1の関係式から、CL−absを消去し、式を整理すると下記数10が得られる。
Figure 0004444208
数10は、吸着前の低蒸気圧成分のガス(同位体ガス)のモル分率と分離係数が判明していれば、当該ガスの吸着状態におけるモル分率を算出できることを意味している。数10より吸着プロセス1段で濃縮された前後における同位体ガスの濃度の変化を知ることができる。
下記表1は、α=1.10として、数10を用いて、同位体ガスの吸着前段階のモル分率(CH−gas)と、吸着プロセスにより濃縮された後の段階でのモル分率(CH−abs)との関係を調べた結果である。
Figure 0004444208
表1において、項目(1)は、吸着プロセスの前段階の混合ガス中における同位体ガスの濃度(モル分率で表した濃度)である。項目(2)は、吸着状態から回収した混合ガス中における同位体ガスの濃度(モル分率で表した濃度)である。項目(3)は、項目(2)から項目(1)の値を差し引いた値で、濃縮された濃度差をモル分率で表した値である。項目(4)は、濃縮前後における濃度の比をモル分率の比で表した値である。
表1のデータを基に作成したグラフを第5図に示す。第5図の横軸は、項目(1)の値である。第5図の縦軸は、項目(3)の値である。つまり、第5図は、吸着による濃縮処理を行う前の段階における同位体ガスの濃度(モル分率で示される濃度)を横軸とし、吸着による濃縮処理の前後における濃度差(モル分率で表される濃度差)を縦軸としたグラフである。
表1および第5図から以下の知見が得られる。即ち、吸着による濃縮の前後における濃度比(モル分率の比)は、濃縮前の同位体ガスの濃度が低濃度である場合には、分離係数αに近い値を示すが、濃縮前の同位体ガスの濃度が高くなるにつれて濃縮前後の濃度の比は低下する。特に吸着前の同位体ガスの濃度がモル分率で0・8を超えるような部分では、濃縮比が極端に低下する。また、項目(3)の濃度差に着目すると、濃縮前の同位体ガスの濃度がモル分率で0.5(つまり濃度が50体積%)付近の場合に濃度差は最大となることも分かる。これは、α=1.10とした平衡吸着型分離を用いた同位体ガスの濃縮においては、吸着前段階での同位体ガスの濃度がモル分率で0.5(50体積%)付近を超えた段階から、吸着プロセス1回(つまり1回の吸着)における濃縮度合いが低下し、所定濃度の増加を得るためにはより多くの吸脱着が必要になることを意味する。より多くの吸脱着回数が必要となるということは、それに見合う数の吸脱着設備が必要になり、またプロセスも複雑化する。第5図のグラフから、吸着法の有する蒸留法に対しての経済的な優位性は、吸着前段階での同位体ガスの濃度がモル分率で0.5(50体積%)付近を超えた時点から薄れていくことが読み取れる。
数10を見れば明らかなように、分離係数αの値によって、表1の項目(2)〜(4)の値は変化する。αの値は、一酸化炭素の場合で1〜1.3程度の間の値となる。αの値は、吸着材料の組成、吸着材料の製造方法、吸着材料の表面状態、吸着材料の微細構造、同位体ガスと吸着材料との組み合わせ、あるいは混合ガスの純度等によって影響を受ける。勿論、α=1では濃縮は行えないので、αは1より大きくなければならない。また、αの値の上限は1.3に限定されるものではなく、より大きい方が好ましいことはいうまでもない。
なお、以上の説明では、αを第1ガスと同位体ガスの蒸気圧の比として説明を組み立てているが、一酸化炭素の場合でいうと、常圧沸点で12Cと13Cとの間の分離係数αは約1.007であり、上述した値と相違する。これは、気相−固相間の反応現象に気相−液層間の平衡理論を適用した点に起因する。
次に分離係数αの値によって、表1の項目(3)がどのように変化するかについて説明する。即ち、分離係数αの値によって、濃縮前後の濃度差をモル分率の差で表した値がどのように変化するかについて説明する。第4図は、第5図と同様なグラフをα=1.05の場合で求めたものである。第4図は、吸着による濃縮処理を行う前の段階における同位体ガスの濃度(モル分率で示される濃度)を横軸とし、吸着による濃縮処理の前後における濃度差(モル分率で表される濃度差)を縦軸としたグラフである。
第4図から、第5図の場合と同様に吸着処理前の段階における同位体ガスの濃度がモル分率で0.5付近である場合に、吸着処理によって得られる濃度差が最大となるのが分かる。ただし、第5図の場合に比較して、分離係数αが小さいので、濃度差の絶対値は小さくなっている。
同じく第6図は、α=1.2の場合であり、第7図はα=1.3の場合である。第6図および第7図より、αが大きくなると、一回の吸脱着によってより大きな濃度差が得られるのが分かる。つまり、αが大きくなると、より高い濃縮効果が得られるのが分かる。また、αが大きくなるにつれて縦軸の値のピークがCH−gas=0.5からやや低い側にシフトする傾向が見て取れる。
αの値と、濃度差(ΔC)が最大となるCH−gasの値との関係は、以下に説明するように数学的に解くことができる。まず、数10を用いて、下記数11を計算すると、下記数12が得られる。
Figure 0004444208
数12は、第4図〜第7図に示すグラフの曲線を示す式である。第4図〜第7図を見れば理解できるように、数12の導関数が0になる時のCH−gasが求められれば、ΔCのピークにおけるCH−gasの値が求まる。そこで、下記数13の解を求める。
Figure 0004444208
数13は、解析的に解けて、意味のある解として、数14が得られる。
Figure 0004444208
実用的に得られるαの上限を、α=1.3程度とした場合、数14よりC −gasの値は、0.467程度となる。また、αが1に近づけば、CH−gasの値も0.5に近づくことが分かる。これより、αの値の幅を考慮すると、平衡吸着型分離において、1回の吸脱着で最大の濃度差が得られるのは、吸着前段階における混合ガス中における同位体ガスの濃度がモル分率で0.45〜0.50である場合であると結論される。αの値は、材料の種類によって異なり、また同じ吸着材料であっても、表面状態や微細構造(例えば多孔質構造)の寸法の違い等によって異なる。よって、1回の吸脱着プロセスで最大の濃度差が得られる同位体ガスの混合ガス中におけるモル分率は、αが小さな値の吸着材料である場合は0.50を上限の目安とし、αが大きな値の吸着材料である場合は0.45を下限の目安とすればよい。
このように、平衡吸着型分離による同位体ガスの濃縮効率は、混合ガス中における同位体ガスの濃度が0.45〜0.50(モル分率)で最大となり、それより高くなると減少する。これは、混合ガス中における同位体ガスの濃度が0.45〜0.50(モル分率)を超えると、同じ濃度の増加を得るためにより多くの吸脱着が必要になり、それに応じたプラント設備が必要になることを意味している。またこのことは、混合ガス中における同位体ガスの濃度が0.45〜0.50(モル分率)を超えると、吸着法の蒸留法に対する優位性が薄れる方向であることを意味している。他方で、蒸留法による同位体ガスの濃縮は、同位体ガスの濃度が高くなる程、蒸留塔の数を減らすことができ、低コスト化できる。従って、吸着法と蒸留法を組み合わせたメリットを最大限得るには、吸着法による濃縮の優位性が低下した以後の適当な段階で蒸留法に切り換えるのが好ましいといえる。上述したように、吸着法の優位性が失われ始めるのは、同位体ガスの濃度が0.45〜0.50(モル分率)以上の値になった時点である。従って、吸着法から蒸留法への切り替えは、少なくともこの範囲以上の値に同位体ガスの濃度が達した段階で行うのが好ましいことになる。なお、同位体ガスの濃度が0.45〜0.50(モル分率)以上となり、吸着による濃縮の優位性が失われ始めたとしても、コスト的に吸着による方法が有利である場合もある。従って、吸着法から蒸留法への切り替えは、同位体ガスの濃度が上記の範囲(モル濃度で0.45〜0.50)になった段階に限定されるものではない。ここでは、濃度をモル分率で表して説明を行ったが、値を100倍すれば、そのまま体積%で読み替えることができる。
以上説明した内容から、第1図で説明したシステムにおいて、吸着を利用した同位体ガスの分離から蒸留を用いた同位体ガスの分離への切り替えは、混合ガス中における同位体ガスの占める割合がモル分率で0.45〜0.50以上となった段階で行われるのが好ましい点が理由付けられる。なお、以上の説明は、一酸化炭素ガスを用いた同位体ガスの分離に限定されるものではなく、平衡吸着型分離が行える他のガスに適用できる。
数12において、(α−1)CH−gasが1より十分小さく、無視できると見なした場合に、数12は2次関数の式に近似される。これより、第4図〜第7図に示す曲線が2次関数で表される放物線で近似できることが理解できる。また、この近似式をCH−gasで微分し、その導関数を0とした場合に、CH−gas=0.5が得られる。これは、数13において、αが1に近い値の場合に、近似的にCH−gas=0.5となる点で濃縮できるモル分率の差が最大となる知見と一致する。
以上本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
以上述べた本発明の実施の形態において、吸着による同位体ガスの分離(濃縮)は、多段階または複数並列して行っても良い。また、吸着を利用した同位体ガスの分離処理を複数並行して行えるように分離装置を複数用意し、各分離装置の処理タイミングを適宜ずらすことで、蒸留を用いた同位体ガスの分離工程に連続的に同位体ガス濃度が高められた混合ガスが供給されるようにしてもよい。また、ここでは、炭素同位体を得る技術について説明を行ったが、炭素以外の原子の同位体分離に本発明を適用することも可能である。
発明の効果
本発明により、自然界に微量に存在する同位体ガスを低コストで得ることができる技術が提供される。
産業上の利用分野
本発明は、同位体ガスの分離方法あるいは分離装置への適用に有用である。特に、低消費エネルギーで効率良く同位体ガスを分離する方法あるいは装置に好適に利用できる。本発明によれば、例えば一酸化炭素ガスから13CO同位体ガスを効果的に分離できる。

Claims (15)

  1. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、
    前記混合ガスを吸着室のガス吸入口に供給する第1ステップと、前記混合ガスの供給開始から所定時間経過後に前記供給を停止する第2ステップと、前記吸着室内を相対的に減圧にし、前記吸着室内で吸着していた前記混合ガスを取り出す第3ステップと、を含む第1処理手順と、
    前記第3ステップにおいて脱着して取り出された混合ガス中に含まれる前記同位体ガスを蒸留により濃縮する第2処理手順と、を含み、
    前記第1ステップの前における前記同位体ガスのモル分率と、前記第3ステップの後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大である0.45〜0.50の範囲となる時点まで前記第1処理手順による濃縮を行い、その後に前記第2処理手順による濃縮を行うことを特徴とする同位体ガス分離方法。
  2. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、
    前記混合ガスを吸着室のガス吸入口に供給する第1ステップと、
    前記混合ガスの供給開始から所定時間経過後に前記供給を停止する第2ステップと、
    前記吸着室内を相対的に減圧にし、前記吸着室内で吸着していた前記混合ガスを取り出す第3ステップと、
    前記第1ステップ〜前記第3ステップを1回または複数回繰り返し、前記同位体ガスをモル分率で0.45〜0.50以上の値まで濃縮する第1処理手順と、
    前記第1処理手順により、前記同位体ガスをモル分率で0.45〜0.50以上の値まで濃縮した前記混合ガス中に含まれる前記同位体ガスを蒸留によりさらに濃縮するステップと、
    を含む同位体ガス分離方法。
  3. 前記第3ステップにおいて、前記吸着室内にキャリアガスを流し、前記吸着室内で吸着していた前記混合ガスを前記キャリアガスと共に取り出すことを特徴とする請求項1または2に記載の同位体ガス分離方法。
  4. 前記吸着室には、前記同位体ガスを吸着する材料として、多孔質体が設置されている請求項1〜3の何れか一項に記載の同位体ガス分離方法。
  5. 前記吸着室には、前記同位体ガスを吸着する材料として、ゼオライト、活性炭、錯体、シリカゲルまたはアルミナが配置されている請求項1〜4の何れか一項に記載の同位体ガス分離方法。
  6. 前記混合ガスは一酸化炭素ガスである請求項1〜5の何れか一項に記載の同位体ガス分離方法。
  7. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離装置であって、
    内部を大気圧より低い圧力の減圧状態にできる吸着室と、
    前記吸着室からガスを排気するガス排気手段と、
    前記吸着室にガスを供給するガス供給口および前記吸着室からガスを排出するガス排出口、または、前記吸着室にガスを供給しもしくは排出するガス供給排出口と、
    前記吸着室へのガスの供給、排出、封入もしくは供給流量または前記吸着室内のガス圧力を制御する単一もしくは複数のバルブまたはガス流量制御手段と、
    前記吸着室に設置された吸着材料と、を含み、
    前記吸着材料への吸着の前における前記同位体ガスのモル分率と、前記吸着材料への吸着の後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大である0.45〜0.50の範囲となる時点まで前記同位体ガスを濃縮した混合ガスとする濃縮装置と、前記ガス排出口またはガス供給排出口から取り出した前記濃縮した混合ガスである排出ガスを蒸留する蒸留装置と、
    を備える同位体ガス分離装置。
  8. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離装置であって、
    内部を大気圧より低い圧力の減圧状態にできる吸着室と、
    前記吸着室からガスを排気するガス排気手段と、
    前記吸着室にガスを供給するガス供給口および前記吸着室からガスを排出するガス排出口、または、前記吸着室にガスを供給しもしくは排出するガス供給排出口と、
    前記吸着室へのガスの供給、排出、封入もしくは供給流量または前記吸着室内のガス圧力を制御する単一もしくは複数のバルブまたはガス流量制御手段と、
    前記吸着室に設置された吸着材料と、を含み、
    前記混合ガス中の前記同位体ガスのモル分率を0.45〜0.50以上の値まで濃縮した混合ガスとする濃縮装置と、前記ガス排出口またはガス供給排出口から取り出した前記濃縮した混合ガスである排出ガスを蒸留する蒸留装置と、
    を備える同位体ガス分離装置。
  9. 前記混合ガスは一酸化炭素ガスである請求項7または8に記載の同位体ガス分離装置。
  10. 前記吸着材料として、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、錯体またはアルミナが配置される請求項7〜9の何れか一項に記載の同位体ガス分離装置。
  11. 前記吸着材料を加熱する手段をさらに備える請求項7〜10の何れか一項に記載の同位体ガス分離装置。
  12. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、
    前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料に前記混合ガスを接触させ、前記同位体ガスを濃縮した混合ガスを得る第1ステップを含み、
    前記第1ステップを一回または複数回繰り返し、前記第1ステップの前における前記同位体ガスのモル分率と、前記第1ステップの後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大である0.45〜0.50の範囲となる時点まで濃縮した混合ガスを得る第1処理手順と、前記第1処理手順の後に、前記濃縮した混合ガスを蒸留するステップを含む第2処理手順と、
    を含む同位体ガス分離方法。
  13. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離方法であって、
    前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料に前記混合ガスを接触させ、前記同位体ガスを濃縮した混合ガスを得る第1ステップを含み、
    前記第1ステップを一回または複数回繰り返し、前記混合ガス中の前記同位体ガスのモル分率を0.45〜0.50以上の値まで濃縮した混合ガスを得る第1処理手順と、前記濃縮した混合ガスを蒸留するステップを含む第2処理手順と、
    を含む同位体ガス分離方法。
  14. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離装置であって、
    前記混合ガスが流されまたは封入され、前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料が設置された吸着室を含み、
    前記吸着室に流されまたは封入される前における前記同位体ガスのモル分率と前記着室から取り出された後における前記同位体ガスのモル分率との差が最大である0.45〜0.50の範囲となる時点まで前記同位体ガスが濃縮された混合ガスを得る濃縮装置と、
    前記濃縮装置から排出された前記同位体ガスが濃縮された混合ガスを蒸留する蒸留装置と、
    を含む同位体ガス分離装置。
  15. 分子状または原子状の第1ガスを含む混合ガスから前記第1ガスの同位体ガスを分離する同位体ガス分離装置であって、
    前記混合ガスが流されまたは封入され、前記第1ガスと前記同位体ガスとの吸着性に選択性を有する吸着材料が設置された吸着室を含み、
    前記混合ガス中の同位体ガスのモル分率を0.45〜0.50以上の値まで濃縮した混合ガスとする濃縮装置と、前記濃縮装置から排出された前記濃縮した混合ガスを蒸留する蒸留装置と、
    を含む同位体ガス分離装置。
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