JP2006036812A - 熱可塑性エラストマー組成物並びにそれを用いてなる積層体及び複合成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物並びにそれを用いてなる積層体及び複合成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、耐油性、成形加工性、耐傷付き性に優れ、硬質樹脂に対する熱融着性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(イ)及び下記成分(ロ)を含有し、成分(イ)/成分(ロ)の重量比が90/10〜30/70である熱可塑性エラストマー組成物。 成分(イ):ポリアルキレングリコールユニットをソフトセグメントとして含有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマー 成分(ロ):ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックを有するブロック共重合体及び該ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体系熱可塑性エラストマー
【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性、耐油性、成形加工性、耐傷付き性に優れ、硬質樹脂に対する熱融着性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物を硬質樹脂に熱融着してなる積層体及び複合成形体に関する。
熱可塑性エラストマーは、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物等の分野で広く用いられている。
熱可塑性エラストマーの中でも、ポリエステル系熱可塑性エラストマーやポリアミド系熱可塑性エラストマーは、特に耐油性、耐屈曲疲労性に優れることから、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーとは異なる機能分野で使用されている。
また、ポリエステル系又はポリアミド系熱可塑性エラストマーは、非オレフィン系の硬質樹脂に対して熱融着性が良好であるという特徴をも有し、このため、硬質樹脂に熱融着して複合化した製品が多く提供されている。即ち、近年、特に家電部品、自動車部品、雑貨類などの緩衝材やグリップ類においては、機能性の重視、デザインの多様化、又は工程の省略を目的として、例えばパッキン等の緩衝材やグリップ類などを、熱可塑性エラストマーと硬質樹脂との2色成形又はインサート成形で製造することが頻繁に行われるようになってきた。これらの分野では、硬質樹脂としてABS樹脂やポリカーボネートなどが多く使用されているが、ポリエステル系熱可塑性エラストマーやポリアミド系熱可塑性エラストマーは、これらの硬質樹脂に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマーでは達成し得ない優れた熱融着性を発揮する。また、耐油性も優れるため、膨潤などの問題が発生しにくいという利点も有する。
このように、ポリエステル系又はポリアミド系熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマーにはない多くの特長を有することから、それを生かして幅広い用途に頻繁に使用されるようになって来ているが、一方で、硬度が高いため、柔軟性が必要とされる分野においては使用することが容易ではないという欠点があった。また、成形加工性には優れるものの、傷が付きやすいという問題もあった。
従来、ポリエステル系又はポリアミド系熱可塑性エラストマーを柔軟化する方法としては、これらのエラストマーにスチレン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは軟化剤等を添加する方法が知られている(特許文献1〜4)。
しかし、これらの方法では、ある程度の柔軟化は可能であるが、ポリエステル系熱可塑性エラストマー又はポリアミド系熱可塑性エラストマーの本来の長所である耐油性などが低下する傾向がある。
特開平8−72204号公報 特開平9−124887号公報 特開平9−227760号公報 特開平10−7878号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、柔軟性、耐油性、成形加工性、耐傷付き性に優れ、硬質樹脂に対する熱融着性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物を硬質樹脂に熱融着してなる積層体及び複合成形体を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエステル系又はポリアミド系熱可塑性エラストマーに、特定の構造を有するビニル芳香族系熱可塑性エラストマーを所定の割合で配合することにより、ポリエステル系又はポリアミド系熱可塑性エラストマーの耐油性、熱融着性を損なうことなく、柔軟性、耐傷付き性を改善することができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、下記成分(イ)及び下記成分(ロ)を含有し、成分(イ)/成分(ロ)の重量比が90/10〜30/70であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物、に存する。
成分(イ):ポリアルキレングリコールユニットをソフトセグメントとして含有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマー
成分(ロ):下記一般式(1)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(2)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
A(B−A)n …(1)
(A−B)n …(2)
(式(1)及び(2)中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Bはビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックを表し、nは1〜5の整数である。)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部に対して、成分(ハ):軟化剤を0〜70重量部含有していても良い。
また、成分(ロ)の0〜40重量%が下記成分(ニ)で置き換えられていても良い。即ち、前記成分(イ)、前記成分(ロ)及び下記成分(ニ)を含有し、成分(イ)/(成分(ロ)と成分(ニ)との合計)の重量比が90/10〜30/70であり、成分(ロ)と成分(ニ)との合計に対する成分(ニ)の割合が40重量%以下の熱可塑性エラストマー組成物であっても良い。この熱可塑性エラストマー組成物が、更に、成分(ハ):軟化剤を含有する場合には、成分(イ)、成分(ロ)及び成分(ニ)の合計量100重量部に対して70重量部以下とする。
成分(ニ):下記一般式(3)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(4)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
C(D−C)m …(3)
(C−D)m …(4)
(式(3)及び(4)中、Cはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン化合物の重合体ブロックを表し、mは1〜5の整数である。)
本発明において、成分(イ)は、ポリエステル−ポリテトラメチレングリコールマルチブロック共重合体及び/又はポリアミド−ポリテトラメチレングリコールマルチブロック共重合体であることが好ましい。
また、成分(ロ)のAはスチレンの重合体ブロックであり、Bはスチレンとブタジエン及び/又はイソプレンとの共重合体ブロックであり、成分(ロ)中のAの割合が3〜70重量%であることが好ましい。
また、成分(イ)のポリアルキレングリコールユニットの含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、硬質樹脂の成形体に対して、このような本発明の熱可塑性エラストマー組成物を熱融着してなることを特徴とする。
本発明の複合成形体は、硬質樹脂の成形体に対して、このような本発明の熱可塑性エラストマー組成物を熱融着してなることを特徴とする。
本発明によれば、柔軟性、成形加工性、硬質樹脂に対する熱融着性、耐傷付き性、耐油性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、並びにこの熱可塑性エラストマー組成物を用いた積層体及び複合成形体は、家電製品、玩具・筆記用具用途、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材用途などで耐傷付き性の要求される用途として有利に使用することが可能であり、本発明の工業的価値は顕著である。
以下に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物並びにこの熱可塑性エラストマー組成物を用いてなる積層体及び複合成形体の実施の形態を詳細に説明する。
[1]本発明の熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
〈1〉成分(イ):ポリアルキレングリコールユニットをソフトセグメントとして含有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマー
a)ポリアルキレングリコールユニット
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(イ)成分は、ポリアルキレングリコールユニットをソフトセグメントとして含有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマーである。そのポリアルキレンエーテルユニットとしては、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレングリコール)、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリネオペンチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等の直鎖状、及び分岐状の脂肪族エーテルの他、シクロヘキサンジオールの縮合体やシクロヘキサンジメタノールの縮合体等の脂環状エーテルの単一重合体又は共重合体が挙げられる。また、これらユニット内でのランダム共重合体も主旨の中には含まれる。この中では、ポリ(1,2−プロピレングリコール)、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリネオペンチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリ(シクロヘキサンジメタノール)などが好適に使用できる。特に好ましいものはポリテトラメチレングリコールである。
ポリアルキレングリコールユニットの数平均分子量は、通常400以上、好ましくは600以上、特に好ましくは1,000以上で、通常6,000以下、好ましくは4,000以下、特に好ましくは3,000以下である。なお、ここでいう「数平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものである。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
b)ポリエステルブロック
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(イ)成分のポリエステル系熱可塑性エラストマーのポリエステルブロックとしては、一般的に良く知られている脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルが挙げられるが、特性を考慮すると
i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、
ii)芳香族ジカルボン酸及び/又はそのアルキルエステルと
を縮重合して得られる芳香族ポリエステルであることが好ましい。
ここで、i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料、特に熱可塑性ポリエステル系弾性体の原料として通常用いられるものが使用できる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオール、エチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
これらのジオールは、1種を単独で或いは2種以上の混合物として使用することができる。
ii)芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が好適なものとして挙げられる。これらの中では、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好適である。芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルを用いる場合は、上記の芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等が用いられる。好ましいものは、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレートである。
これらのジカルボン酸、ジカルボン酸エステルは、各々1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良く、また、ジカルボン酸とジカルボン酸エステルとを併用しても良い。
また、ポリエステルブロックには、上記のi),ii)成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸及び/又はそのエステルを少量共重合させても良く、更にアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのジアルキルエステルも共重合成分として使用できる。
このようなポリエステルブロックは、その繰り返し単位が、好ましくは1〜100、特に好ましくは5〜50である。
c)ポリアミドブロック
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(イ)成分のポリアミド系熱可塑性エラストマーのポリアミドブロックとしては、一般的に知られる芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドブロックが使用できるが、脂肪族ポリアミドが好適に用いられる。
脂肪族ポリアミドブロックとしては、ε−カプロラクタムの開環重合体を主成分とする重合体、必要に応じてω−ラウロラクタム等のラクタム、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸の1種又は2種以上が共重合されたものが挙げられる。
また、ω−ラウロラクタム等のラクタムの1種又は2種以上を主成分とする開環重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の1種又は2種以上を主成分とする重縮合体、又は、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの1種又は2種以上とコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸の1種又は2種以上とを主成分とする重縮合体等からなるブロックが含まれていても良い。
このようなポリアミドブロックは、その繰り返し単位が、好ましくは1〜100、特に好ましくは5〜50である。
d)ポリエステル系、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの分子量と、ポリアルキレングリコールユニットの含有量
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(イ)成分のポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーに含まれるポリアルキレングリコールユニットの含有量は10〜90重量%であることが好ましく、特に50〜90重量%であることが好ましい。(イ)成分中のポリアルキレングリコールユニットの含有量が少な過ぎると硬くなり十分な柔軟性や融着性が失われ、多過ぎると機械的物性、耐熱性等が劣ることになる。
なお、本発明に係るポリエステル系熱可塑性エラストマーは、230℃、21.2N荷重におけるメルトフローレートが通常1〜100である。
e)ポリエステル系、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの例示
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(イ)成分の市販品としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、三菱化学株式会社製「プリマロイ」、東洋紡績株式会社製「ペルプレン」、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」等が挙げられる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、エムスジャパン株式会社製「グリロンELX」、東レ株式会社製「ペバックス」、ダイセル・ヒュルス株式会社製「ダイアミド−PAE」、宇部興産株式会社製「UBEポリアミドエラストマー」、大日本インキ化学工業株式会社製「グリラックスA」等が挙げられる。
なお、(イ)成分としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー又はポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良く、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーの各々1種又は2種以上を混合して用いても良い。
〈2〉成分(ロ):下記一般式(1)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(2)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
A(B−A)n …(1)
(A−B)n …(2)
(式(1)及び(2)中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Bはビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックを表し、nは1〜5の整数である。)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する(ロ)成分は、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックAとビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックBとからなり、そのビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックAがハードセグメントを、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックBがソフトセグメントをそれぞれ構成し、代表的には、A−B、又は、A−B−Aで表されるブロック共重合構造を有し、共役ジエンの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていても良いビニル芳香族系熱可塑性エラストマーである。
ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックAを構成するビニル芳香族炭化水素としては、スチレン系の化合物が好ましい。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、中でも、スチレンが特に好ましい。
また、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、中でも、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの両者混合物であるのが好ましい。また、ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン系の化合物が好ましく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、中でも、スチレンが特に好ましい。
ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンの共重合体ブロックBは、組成物としての柔軟性、反発弾性を低くする観点から、ランダムの共重合体であることが好ましい。
本発明において、このビニル芳香族炭化水素重合体ブロックAとビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロックBとで構成されるビニル芳香族系ブロック共重合体のAブロックの含有量は、通常、3重量%以上、特に4重量%以上、とりわけ5重量%以上で、通常、70重量%以下、特に50重量%以下、とりわけ30重量%以下であることが好ましい。Aブロックの含有量が少な過ぎると、組成物として機械的強度、耐熱性が劣る傾向となり、一方、多過ぎると柔軟性が失われる。
このようなビニル芳香族系ブロック共重合体において、共役ジエン由来の二重結合に水素添加することにより、組成物としての耐候性、耐熱性を高めることができる。ビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物を使用する場合、水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、特には90%以上であるものが好ましい。水素添加率が少な過ぎると、組成物として十分な耐候性、耐熱性を得にくい。
(ロ)成分のビニル芳香族系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、50,000以上、特に70,000以上で、500,000以下、特に300,000以下であるものが好ましい。この分子量が小さ過ぎると、熱可塑性エラストマー組成物として機械的強度が劣る傾向となり、一方、大き過ぎると耐傷付き性や成形加工性が劣る傾向となる。
また、(ロ)成分のビニル芳香族系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物のビニル芳香族炭化水素の含有割合は柔軟性、耐傷付き性、機械的物性等の面から30〜80重量%であるものが好ましい。また、Bブロック中に含まれるビニル芳香族炭化水素の含有割合は、耐傷付き性と柔軟性を共に良好にする観点から、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
なお、本発明において、ビニル芳香族系ブロック共重合体における共役ジエンのミクロ構造や、ビニル芳香族炭化水素の構造は、NMRを測定し、J.C.Randall,J.Polym.Sci.Polym.Phs.Ed.,Vol.13,901(1975)を参考にして信号を帰属することにより求めたものである。
(ロ)成分のビニル芳香族系ブロック共重合体及びその水素添加物の製造方法としては、上記の構造・物性が得られるものであればどのような製造方法を用いても良い。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック共重合を行うことによって得ることができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、或いは特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中にて水素添加触媒の存在下で行うことができる。また、スチレン又はその誘導体、次いでスチレンと共役ジエンを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることもできる。また、ジリチウム化合物を開始剤としてスチレンと共役ジエンを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることもできる。
(ロ)成分としては、前記一般式(1)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、前記一般式(1)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物、前記一般式(2)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、及び前記一般式(2)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物よりなる群から選ばれるビニル芳香族系熱可塑性エラストマーの1種のみを用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(ロ)成分の市販品としては、「タフテック・SOE−SS」(旭化成株式会社製)等の商品が例示できる。
〈3〉成分(ハ):軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(イ)及び成分Dに更に、成分(ハ):軟化剤を含むことが好ましい。
軟化剤としては、(ロ)成分の軟化剤としてパラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系炭化水素、及び、ポリブテン系、ポリブタジエン系等の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素等が、また、(イ)成分の軟化剤としてフタル酸エステルを代表とする脂肪酸エステル類等が挙げられる。
これらのうち、組成物の特性上、(ロ)成分の軟化剤を用いることが好ましく、中でも鉱物油系炭化水素が好ましい。これらの中では、重量平均分子量が300以上、特に500以上で、2,000以下、特に1,500以下であるもの、40℃の動粘度が20cst以上、特に50cst以上で、800cst以下、特に600cst以下であるもの、流動点が−40〜0℃、特には−30〜0℃であるもの、引火点が200℃以上、特に250℃以上で、400℃以下、特には350℃以下であるもの、がそれぞれ好ましい。
〈4〉成分(ニ):下記一般式(3)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(4)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
C(D−C)m …(3)
(C−D)m …(4)
(式(3)及び(4)中、Cはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン化合物の重合体ブロックを表し、mは1〜5の整数である。)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(ロ)成分の一部を(ニ)成分のビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックCと共役ジエン化合物の重合体ブロックDとのブロック共重合体に置き換えることができる。(ニ)成分はビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックCと共役ジエン化合物の重合体ブロックDとからなり、そのビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックCがハードセグメントを、共役ジエン化合物の重合体ブロックDがソフトセグメントをそれぞれ構成し、代表的には、C−D、又はC−D−Cで表されるブロック共重合構造を有し、共役ジエン重合体ブロックDの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていても良いビニル芳香族系熱可塑性エラストマーである。このような(ニ)成分としては、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られているものを用いることができる。
ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックCを構成する化合物としては、スチレン系の化合物が好ましい。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、中でも、スチレンが特に好ましい。
また、共役ジエン化合物のブロック重合体Cを構成する化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、中でも、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの両者混合物であるのが好ましい。
本発明において、このビニル芳香族炭化水素重合体ブロックCと共役ジエンの共重合体ブロックDとで構成されるビニル芳香族系ブロック共重合体のCブロックの含有量は10重量%以上、70重量%以下であることが好ましい。Cブロックの含有量が少な過ぎると、組成物として機械的強度、耐熱性が劣る傾向となり、一方、多過ぎると柔軟性が失われる。
このようなビニル芳香族系ブロック共重合体において、共役ジエン由来の二重結合に水素添加することにより、組成物としての耐候性、耐熱性を高めることができる。ビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物を使用する場合、水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、特には90%以上であるものが好ましい。水素添加率が少な過ぎると、組成物として十分な耐候性、耐熱性を得にくい。
(ニ)成分のビニル芳香族系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算重量平均の分子量として、50,000以上、特に70,000以上で、500,000以下、特に300,000以下であるものが好ましい。この分子量が小さ過ぎると、熱可塑性エラストマー組成物として機械的強度が劣る傾向となり、一方、大き過ぎると成形加工性が劣る傾向となる。
(ニ)成分のビニル芳香族系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物の製造方法としては、上記の構造・物性が得られるものであればどのような製造方法を用いても良い。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック共重合を行うことによって得ることができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、或いは特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。また、スチレン又はその誘導体、次いでエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることもできる。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることもできる。
(ニ)成分としては、前記一般式(3)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、前記一般式(3)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物、前記一般式(4)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、及び前記一般式(4)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体の水素添加物よりなる群から選ばれるビニル芳香族系熱可塑性エラストマーの1種のみを用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(ニ)成分の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー社製)、「セプトン」(株式会社クラレ製)、「タフテック」(旭化成株式会社製)等の商品が例示できる。
〈5〉各構成成分の配合比
本発明において、(イ)成分と(ロ)成分の配合比は重量比で(イ)/(ロ)=95/5〜20/80、好ましくは(イ)/(ロ)=90/10〜30/70である。この範囲より(イ)成分が多く(ロ)成分が少ないと、(ロ)成分による耐傷付き性改良の効果が不十分で、逆に(イ)成分が少なく(ロ)成分が多いと、(イ)成分由来の熱融着性能や耐油性が悪化する。
更に、(ハ)成分を配合することにより、柔軟性の向上や成形加工性の向上という効果が奏される。この場合、(ハ)成分の場合の配合割合は、(イ)成分及び(ロ)成分の合計100重量部に対して70重量部以下、特に50重量部以下であることが好ましい。特に、軟化剤として炭化水素系軟化剤を使用した場合は、(ロ)成分100重量部に対して(ハ)成分は100重量部以下、好ましくは80重量部以下であることが好ましい。(ハ)成分の配合量が多過ぎると、表面へのブリード等の問題を起す可能性がある。
本発明においては、(ロ)成分の一部を(ニ)成分に置き換えることができる。この場合、(ロ)成分の40重量%以下を(ニ)成分で置き換えることが好ましい。この割合が多過ぎると(ロ)成分による耐傷付き性の改良効果が損なわれる傾向がある。
〈6〉付加的成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の任意の配合成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴剤、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任意のものを1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
また、任意のエラストマーとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、本発明以外のスチレン系ゴム、ポリブタジエン等を挙げることができる。更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。
[2]本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及び成形方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得るための製造方法としては、一般的に用いられる溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
溶融混練にはヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて配合成分を均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
各成分の溶融混練の温度は、使用する成分の融点を超え、溶融状態になる温度であれば良いが、樹脂の劣化等を考慮に入れると好ましくは280℃以下であることが望ましい。
更に、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、配合材料を一括して混練する方法、一部を混練した後、付加的な配合材料を含めた残りの成分を混練する方法でも良い。
上記のようにして得られた熱可塑性エラストマー組成物は、例えば射出成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等の成形法により所定の形状に成形することができる。
[3]本発明の積層体又は複合成形体
本発明の積層体又は複合成形体は、本発明の前記熱可塑性エラストマー組成物を硬質樹脂の成形体に対して熱融着してなるものである。
これら積層体や複合成形体に使用される硬質樹脂としては、ポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルースチレン共重合体、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテルなどが例示される。
硬質樹脂としては、特に(イ)成分としてポリエステル系熱可塑性エラストマーを使用した熱可塑性エラストマー組成物の場合には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類が、また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを使用した熱可塑性エラストマー組成物の場合には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド類が好適に用いられる。
熱融着方法としては、通常公知の方法を用いることができ、例えば、本発明の積層体又は複合成形体は、射出成形(インサート成形法、二色成形法、サンドイッチ成形法、コアバック成形法)、共押出成形法(インフレーション成形、Tダイフィルム成形、ラミネート成形、ブロー成形)のほか、圧縮成形法によっても得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を硬質樹脂の成形体に対して熱融着した本発明の積層体又は複合成形体は、家電部品、自動車部品、雑貨類などの緩衝材やグリップ類など、耐傷付き性を必要とする用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で用いた(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分、及び(ニ)成分、及び得られた熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は、以下の通りである。
[原材料]
(イ)成分
イ−1;ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロック共重合体(ポリテトラメチレングリコール数平均分子量:2000、ポリテトラメチレングリコール含有量:72重量%)
イ−2;ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体(ポリテトラメチレングリコール数平均分子量1000、ポリテトラメチレングリコール含有量:58重量%)
(ロ)成分
ロ−1;スチレンブロック−スチレン・ブタジエンブロックのマルチブロック共重合体の水素添加物(全スチレン含有量:66重量%、水素添加率:99%、重量平均分子量:200,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:14.1%)
(ハ)成分
ハ−1;パラフィン系オイル(重量平均分子量:540、40℃の動粘度:95.54cst、流動点:−15℃、引火点:270℃)
(ニ)成分
ニ−1;スチレン−ブタジエン−スチレンのブロック共重合体の水素添加物(スチレンブロック含有量:20重量%、水素添加率:98%以上、重量平均分子量:140,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:70%)
ニ−2;スチレン−ブタジエン−スチレンのブロック共重合体の水素添加物(スチレンブロック含有量:29重量%、水素添加率:98%以上、重量平均分子量:70,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:35%)
ニ−3;スチレン−ブタジエン−スチレンのブロック共重合体の水素添加物(スチレンブロック含有量:32重量%、水素添加率:98%以上、重量平均分子量:230,000、ブタジエンの1,2−ビニル結合量:70%)
[評価方法]
得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、以下の(1)の測定を実施した。
(1)MFR:JIS K7210準拠(230℃、荷重21N)
また、得られた熱可塑性エラストマー組成物をインラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS100」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横100mm、縦100mm、肉厚2mm)について、以下の(2)〜(5)の測定を行った。
(2)硬度:JIS K6253準拠(JIS−A)
(3)射出成形加工性:上記の成形条件で得られた射出成形シートにおいて、ゲート近傍でのデラミやフローマーク等の著しい外観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
(4)耐油性
作成したシートから幅10mm、長さ5cmの短冊を打ち抜き、花王株式会社製ニベアクリームを表面に十分塗布して23℃で72時間保持し、体積、重量変化を測定した。体積、重量変化は水中置換法による密度測定によって行った。
(5)シート耐傷付き性
(株)東洋精機製「テーバースクラッチテスタ」を用いて、シート表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重100〜1000gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し、以下の10段階で評価した。
10点:跡がつかない
9点:跡がほとんど見えない
8点:薄い跡がつく
7点:跡がつく
6点:波状の細かい削れ
5点:波状削れ
4点:粗い波状削れ
3点:毛羽立ちを生じる
2点:毛羽立ちが目立つ
1点:捲れる
また、上記射出成形機「IS100」を使用して、横100mm、縦100mm、厚み2mmのポリカーボネート(PC)及びABSシートを先行してそれぞれ成形し、各シートの3/10部分に融着阻害物質(銀膜使用)を塗布して乾燥させ、このシートを、阻害物質が流動末端になるように厚み3mmの金型にインサートし(融着材厚み1mm)、シリンダー温度240℃の融着温度で融着材を射出成形して融着片を作成し、以下の(6),(7)の評価を行った。
(6)熱融着力
融着片の幅100mmのうち、中央に近い部分で流動方向に平行に25mm幅になるように切込みをいれ、引張試験機を用いて、90度ピール試験(テストスピード200mm/分)を行い、引張強度を測定した。
(7)融着片耐傷付き性
融着片の熱可塑性エラストマー表面について、上記(5)と同様の試験及び評価を行った。
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
表1に示す配合量(重量部)にて配合した熱可塑性エラストマー組成物の(イ)〜(ニ)成分の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量部を添加し、圧縮比L/D=33、シリンダー径=44mmの二軸押出機を用いて200℃の温度に設定して溶融混練させ、これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて上記方法にて評価し、評価結果を表1に示した。
Figure 2006036812
表1より、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、耐油性、成形加工性、耐傷付き性に優れ、硬質樹脂に対する熱融着性にも優れることが分かる。

Claims (8)

  1. 下記成分(イ)及び下記成分(ロ)を含有し、成分(イ)/成分(ロ)の重量比が90/10〜30/70であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(イ):ポリアルキレングリコールユニットをソフトセグメントとして含有する、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及び/又はポリアミド系熱可塑性エラストマー
    成分(ロ):下記一般式(1)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(2)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体、及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
    A(B−A)n …(1)
    (A−B)n …(2)
    (式(1)及び(2)中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Bはビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロックを表し、nは1〜5の整数である。)
  2. 成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部に対して、成分(ハ):軟化剤を70重量部以下含有する請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成分(ロ)の40重量%以下が下記成分(ニ)で置き換えられている請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(ニ):下記一般式(3)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、並びに下記一般式(4)で表されるビニル芳香族系ブロック共重合体及び該ビニル芳香族系ブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のビニル芳香族系熱可塑性エラストマー
    C(D−C)m …(3)
    (C−D)m …(4)
    (式(3)及び(4)中、Cはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン化合物の重合体ブロックを表し、mは1〜5の整数である。)
  4. 成分(イ)が、ポリエステル−ポリテトラメチレングリコールマルチブロック共重合体及び/又はポリアミド−ポリテトラメチレングリコールマルチブロック共重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 成分(ロ)のAがスチレンの重合体ブロックであり、Bがスチレンとブタジエン及び/又はイソプレンとの共重合体ブロックであり、成分(ロ)中のAの割合が3〜70重量%である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 成分(イ)のポリアルキレングリコールユニットの含有量が、50重量%以上である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 硬質樹脂の成形体に対して、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を熱融着してなることを特徴とする積層体。
  8. 硬質樹脂の成形体に対して、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を熱融着してなることを特徴とする複合成形体。
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