JP2006029023A - 防火区画貫通部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工作業性に優れ、かつ設置した後も保守作業性に優れる防火区画貫通部構造を提供すること。
【解決手段】建築物の仕切り部に設けられた防火区画1を貫通する孔に固定されたスリーブ3と、前記スリーブ内部に挿通された媒体と、前記スリーブ内部において前記媒体5との間に空間を設けて設置された熱膨張性材料からなるシート状成形体4とを備えた防火区画貫通部構造。前記に加えて、前記スリーブの少なくとも一方の端部にシール部材6が設置されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物の仕切り部に設けられた防火区画貫通部構造に関する。
建築物の仕切り部の一方で火災が発生した場合でも、炎や煙等が他方へ広がることを防ぐために、建築物の仕切部には通常防火区画が設けられている。
一方、この建物内部に電気配線等の工事を施す場合には、この防火区画を貫通する孔を設け、この孔に電線ケーブル等の媒体を挿通する必要がある。
しかし単に電線ケーブル等の媒体を前記の孔に挿通させただけでは、火災等の発生時には前記の孔を伝わって、炎や煙等が一つの防火区画から他の防火区画へ拡大する危険性がある。
これらの炎や煙等の拡大を防ぐことを目的として、防火区画を貫通する電線ケーブル等の媒体を含む構造として、熱膨張ゴムを備えた金属部材を前記媒体と最初から一体化しておき、これを前記孔に隙間なく設置する防火区画貫通部構造(特許文献1)や、前記孔と前記媒体との間に耐火充填材を隙間なく備えた防火区画貫通部構造(特許文献2)が提案されている。
特開2002−250479号公報 特開2001−252367号公報
しかし、前記の金属部材等が一体化されたものを前記孔に隙間なく設置する防火区画貫通部構造では、この一体化されたものの外径と前記孔との寸法の違い等により、前記防火区画貫通部構造を施工する際に時間と手間を要する等、現場における防火区画貫通部構造の施工作業性に劣る問題があった。
また、前記の耐火充填剤を備えた防火区画貫通部構造では、その中を通る電気ケーブル等の媒体が前記耐火充填材により隙間なく固定されているため、この媒体を増設したり、取り替えたりする保守作業が繁雑であった。
本発明の目的は、施工作業性に優れ、かつ設置した後も保守作業性に優れる防火区画貫通部構造を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、電気ケーブル等の媒体を直接防火区画内に設けるのではなく、防火区画を貫通する孔にスリーブを設けておき、このスリーブ内部を挿通する前記媒体と前記熱膨張性材料からなるシート状成形体との間に空間を設けることにより、施工作業性および保守作業性に優れた防火区画貫通部構造が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]建築物の仕切り部に設けられた防火区画を貫通する孔に固定されたスリーブと、
前記スリーブ内部に挿通された媒体と、
前記スリーブ内部において前記媒体との間に空間を設けて設置された熱膨張性材料からなるシート状成形体と、
を備えた防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[2]前記に加えて、前記スリーブの少なくとも一方の端部にシール部材が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通部構造を提供するものであり、
[3]前記熱膨張性材料からなるシート状成形体が、前記スリーブの両端部内壁面に貼着されていることを特徴とする上記[1]または[2]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造を提供するものである。
本発明によれば、施工作業性に優れ、かつ設置した後も保守作業性に優れる防火区画貫通部構造を提供することができる。
本発明は前記の通り防火区画貫通部構造に関するものであるが、まず最初に本発明に使用するスリーブについて説明する。
前記スリーブは、建築物の仕切り部に設けられた防火区画を貫通する孔に固定されていることが必要である。
このスリーブは、例えば、金属材料、無機材料、有機材料等の材料からなるものであるが、火災発生時にもその形状を保つことから、金属材料、無機材料等の材料からなるものが好ましい。前記スリーブは一種もしくは二種以上の材料からなるものであってもよい。
前記スリーブの形状については特に限定はないが、例えば、前記スリーブの長軸方向に対し垂直方向の断面形状が三角形、四角形等の多角形、長方形等の互いの辺の長さが異なる形状、平行四辺形等の互いの内角が異なる形状、楕円形、円形等の形状が挙げられる。これらの中でも、断面形状が円形であるものが施工作業性に優れることから好ましい。
前記スリーブの断面形状の大きさは、この断面形状の重心からこの断面形状の外郭線までの距離が最も大きい辺の長さを基準として、通常、建築物の仕切り部に設けられた防火区画の厚みに対して、3〜500%の範囲であり、好ましくは3〜150%の範囲である。
前記スリーブの長さは、通常、建築物の仕切り部に設けられた防火区画の厚みに対して、100〜500%の範囲であり、好ましくは150〜400%の範囲である。また、前記スリーブの厚みは、通常、その外径に対して、1〜20%の範囲である。
次に本発明に使用する媒体について説明する。
本発明では、この媒体は前記スリーブを挿通していることが必要である。
この様な媒体の具体例としては、例えば、電線ケーブル、光ファイバーケーブル等のケーブル類、水道管、下水管等の液体移送用管類、ガス管、暖冷房用媒体移送管、通気管等の気体移送用管類等が挙げられる。これらの中でも延焼防止の観点から電線ケーブル、光ファイバーケーブル等のケーブル類が好ましく、電線ケーブルであれば、火災発生時等に前記管内に熱が伝わり、前記熱膨張性材料からなるシート状成形体の膨張を促進することからさらに好ましい。媒体は一種もしくは二種以上を用いることができる。
前記媒体は、金属材料、無機材料、有機材料等の一種もしくは二種以上からなるものであるが、取り扱い性の面からその外周部は有機材料等により被覆されているものが好ましい。この様な有機材料の具体例としては、例えば、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂類等が挙げられる。
前記媒体の形状については特に限定はないが、例えば、前記媒体の長軸方向に対し垂直方向の断面形状が三角形、四角形等の多角形、長方形等の互いの辺の長さが異なる形状、平行四辺形等の互いの内角が異なる形状、楕円形、円形等のものが挙げられる。これらの中でも、断面形状が円形であるものが施工作業性に優れることから好ましい。
前記媒体の断面形状の大きさは、この断面形状の重心からこの断面形状の外郭線までの最も大きい辺の長さを基準として、通常、0.5mm〜10cmの範囲であり、好ましくは1mm〜5cmの範囲である。
次に本発明に使用する熱膨張性材料からなるシート状成形体について説明する。
本発明に使用するシート状成形体は熱膨張性材料からなるものであるが、この様な熱膨張材料としては、例えば、樹脂、熱膨張性無機物および無機充填材を含有する樹脂組成物や、樹脂、熱膨張性無機物、リン化合物および無機充填材を含有する樹脂組成物等が挙げられる。
前記樹脂組成物の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質、あるいはエポキシ樹脂が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。中でも、ポリオレフィン系樹脂、石油樹脂等が好ましく、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、石油樹脂がより好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重合体およびこれらの(共)重合体の混合物の他、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレン部を主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
前記エチレン単独重合体と他のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として重合したもの等が挙げられるが、中でも、4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として得られるポリエチレン系樹脂が好ましい。
前記メタロセン化合物に含まれる4価の遷移金属としては、特に限定されず、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル、パラジウム、白金等が挙げられ、メタロセン化合物は、前記4価の遷移金属に、1つまたはそれ以上のシクロペンタジエン環およびその類縁体がリガンドとして1つまたはそれ以上存在する化合物をいう。
前記4価の遷移金属を含むメタロセン化合物等を重合触媒として得られるポリエチレン系樹脂としては、例えば、ダウケミカル社製の商品名「CGCT」、「アフィニティー」、「エンゲージ」、エクソンケミカル社製の商品名「EXACT」等の市販品が入手可能である。
前記石油樹脂としては、例えば、ナフサの熱分解により、エチレン等の成分を分留した残りの炭素数5〜9の留分のオレフィンを、混合状態のまま重合して得られる樹脂等が挙げられる。
前記ゴム物質としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記クロロプレンゴム等のハロゲン化物は、それ自体難燃性が高く、熱による脱ハロゲン化反応により架橋が起こり、熱膨張性材料の強度が向上する点において好ましい。
前記熱可塑性樹脂および/またはゴム物質には、熱膨張性材料の性能を阻害しない範囲で架橋や変性が施されていてもよい。架橋や変性を行う時期については、特に限定されず、いずれの段階で行ってもよい。すなわち、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂および/またはゴム物質を用いてもよく、後述するリン化合物や無機充填材等の他の成分を配合する際に同時に架橋や変性を行ってもよく、また、熱可塑性樹脂および/またはゴム物質に他の成分を配合した後に架橋や変性を行ってもよい。
前記熱可塑性樹脂および/またはゴム物質の架橋方法としては、特に限定はなく、樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を利用する架橋方法、電子線照射による架橋方法等を用いることができる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹脂である。
エポキシ基をもつモノマーとしては、例えば、2官能のグリシジルエーテル型、2官能のグリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のモノマーが挙げられる。
前記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1,6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが挙げられる。
前記2官能のグリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが挙げられる。
前記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルトクレゾール型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが挙げられる。
これらのエポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
また、硬化剤としては、重付加型として、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が、触媒型として、3級アミン類、4級アンモニウム塩類、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が挙げられる。これらエポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
また、前記エポキシ樹脂は、可撓性が付与されてもよく、可撓性を付与する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(I)架橋点間の分子量を大きくする方法
(II)架橋密度を小さくする方法
(III)軟質分子構造を導入する方法
(IV)可塑剤を添加する方法
(V)相互侵入網目(IPN)構造を導入する方法
(VI)ゴム状粒子を分散導入する方法
(VII)ミクロボイドを導入する方法
前記(I)の方法は、予め分子鎖の長いエポキシモノマーおよび/または硬化剤を用いて反応させることにより、架橋点の間の距離が長くなり可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えばポリプロピレンジアミン等が用いられる。
前記(II)の方法は、官能基の少ないエポキシモノマーおよび/または硬化剤を用いて反応させることにより、一定領域の架橋密度を小さくして可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば2官能アミン等、エポキシモノマーとして、例えば1官能エポキシ等が用いられる。
前記(III)の方法は、軟質分子構造をとるエポキシモノマーおよび/または硬化剤を導入して可撓性を発現させる方法である。硬化剤として、例えば複素環状ジアミン等、エポキシモノマーとして、例えばアルキレンジグリコールジグリシジルエーテル等が用いられる。
前記(IV)の方法は、可塑剤として非反応性の希釈剤、例えば、DOP、タール、石油樹脂等を添加する方法である。
前記(V)の方法は、エポキシ樹脂の架橋構造に別の軟質構造をもつ樹脂を導入する相互侵入網目(IPN)構造で可撓性を発現させる方法である。
前記(VI)の方法は、エポキシ樹脂マトリックスに液状または粒状のゴム粒子を配合分散させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとしてポリエステルエーテル等が用いられる。
前記(VII)の方法は、1μm以下のミクロボイドをエポキシ樹脂マトリックスに導入させることにより、可撓性を発現させる方法である。エポキシ樹脂マトリックスとして、分子量1000〜5000のポリエーテルが添加される。
前記エポキシ樹脂の剛性、可撓性を調整することによって、硬い板状物から柔軟性を有するシートの成形が可能となる。
前記熱膨張性無機物としては、例えば、加熱時に膨張する熱膨張性層状無機物である、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等が挙げられる。これらの中でも、熱膨張性黒鉛およびバーミキュライトが好ましい。
熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
前記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
前記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。前記アルカ
リ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、十分な耐火断熱層が得られず、また、粒度が20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、熱可塑性樹脂またはエポキシ樹脂と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
前記中和処理された熱膨張性黒鉛については、例えば、東ソー株式会社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGurad160」、「GRAFGurad220」等のものを市販品として入手することができる。
前記バーミキュライトについては、例えば、キンセイマテック株式会社製「バーミキュライト」等のものを市販品として入手することができる。
また、難燃性を向上させるために加えられるリン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン等のリンの同素体類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル類、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩類、ポリリン酸アンモニウム類等や、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、および、下記式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
式(1)
Figure 2006029023

式(1)中、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。Rは、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
前記赤リンは、少量の添加で難燃効果を向上する。前記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
前記ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、難燃性、安全性、コスト等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウムは、例えば、ヘキスト株式会社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業株式会社製「スミセーフP」、チッソ株式会社製「テラージュC60」、「テラージュC70」、「
テラージュC80」等のものを市販品として入手することができる。
前記式(1)で表される化合物としては、特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
前記無機充填材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩類、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩類、シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥などが挙げられる。これらの中でも、含水無機物および金属炭酸塩が好ましい。
前記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点で燃焼残渣の強度が向上するので好ましい。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用することにより脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られるので、併用することが好ましい場合もある。
前記金属炭酸塩は、リン化合物との反応で燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成すると考えられる。特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に燃焼後に形状保持性の高い残渣を形成する。
前記金属炭酸塩の中でも、さらに、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩類、炭酸亜鉛等の周期律表IIb金属の炭酸塩類等が好ましい。
一般的に、前記無機充填材は、骨材的な働きをすることから、熱容量の増大に寄与すると考えられる。前記無機充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機充填材の粒径としては、0.5〜400μmが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。無機充填材の添加量が少ないときは、分散性を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、粒径が0.5μm未満になると二次凝集が起こり分散性が悪くなる。また、無機充填材の添加量が多いときは、高充填が進につれて樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることにより樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。しかし、粒径が400μm
を超えると成形体の表面性、樹脂組成物の力学的性質が低下する。
また、粒径の大きい充填材と粒径の小さい充填材とを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることにより、耐火性シートの力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
前記水酸化アルミニウムの市販品としては、例えば、粒径1μmの「H−42M」(昭和電工株式会社製)、粒径18μmの「H−31」(昭和電工株式会社製)等を入手することができ、前記炭酸カルシウムの市販品としては、例えば、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工株式会社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工株式会社製)等を入手することができる。
また、本発明に使用する熱膨張性材料には、その物性を損なわない範囲で、更にフェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
本発明に使用する熱膨張性材料における、無機充填材の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内にあることが好ましい。無機充填材の配合量が50重量部未満では、燃焼後の残渣量が減少するため、十分な耐火断熱性が得られない。また、可燃物の比率が増加するため、難燃性が低下する。一方、400重量部を超えると、樹脂成分の配合比率が減少するため、機械的物性の低下が大きく使用に耐えない。
本発明に使用する熱膨張性材料における、熱膨張性無機物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、20〜350重量部の範囲内にあることが好ましい。熱膨張性無機物の配合量が20重量部未満では、膨張倍率が不足し、十分な耐火、防火性能が得られない。一方、350重量部を超えると、凝集力が不足するため、成形品としての強度が得られない。
また、硬くまとまりのある残渣を必要とする場合は、熱膨張性無機物とリン化合物の合計量が樹脂成分100重量部に対して、20〜350重量部の範囲内にあることが好ましい。熱膨張性無機物とリン化合物の合計量が20重量部未満であると、膨張断熱層が形成されないため、十分な耐火性が得られず、350重量部を超えると機械的物性の低下が大きく使用に耐えない。より好ましくは20〜200重量部の範囲である。
さらに、熱膨張性無機物とリン化合物との重量比(熱膨張性無機物/リン化合物)は、0.01〜9の範囲内にあることが好ましい。熱膨張性無機物とリン化合物との重量比の範囲を0.01〜9とすることによって、膨張断熱層の形状保持性と高い耐火性能を得ることが可能となる。熱膨張性無機物の配合比率が多すぎると、燃焼時に膨張した熱膨張性無機物、特に黒鉛が飛散し、十分な膨張断熱層が形成されない。一方、リン化合物の配合比率が多すぎると、膨張断熱層の膨張倍率が小さくなり、十分な耐火性能が発揮されない。
本発明に使用する熱膨張性材料からなるシート状成形体は、粘着性を有することが好ましい。粘着性を有するとは、仮止め固定が可能となるような性質を有することを意味し、広く粘着性および/または接着性を有することをいう。前記のシート状成形体が粘着性を有することにより、後述する耐火被覆材において、面材との積層が容易になり、耐火被覆材の仮止め固定が可能となるため施工性が向上する。
前記のシート状成形体に粘着性を付与するためには、例えば、前記熱膨張性材料に粘着付与剤を添加する方法が挙げられる。粘着付与剤としては、特に限定されず、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物等が挙げられる。
前記粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル樹脂、コーパル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記可塑剤は、単独で前記耐火シートに粘着性を付与することは難しいが、粘着付与樹脂と併用することにより、粘着性を向上させることができる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エシテル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等が挙げられる。
前記油脂類は、可塑剤と同様の作用を有し、可塑性付与と粘着調整剤の目的で用いることができる。油脂類としては、例えば、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等が挙げられる。
前記高分子低重合物は、粘着性付与以外に、耐寒性向上、流動性調整等の目的で用いることができる。高分子低重合物としては、例えば、前記のゴム物質の低重合体やポリ(1−)ブテン系樹脂の低重合体が挙げられる。
本発明に使用する熱膨張性材料は、前記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール、ライカイ機等の公知の混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。本発明に使用するシート状成形体は、前記熱膨張性材料を用い、例えば、プレス成形、押出成形、カレンダー成形、SMC成形等の従来公知の成形方法によりシート状に成形して得られる。
前記のシート状成形体の厚み、幅、長さは、このシート状成形体を設置する前記スリーブの形状等に応じて適宜決定されるが、通常その厚みは0.3〜6mmの範囲である。その幅は通常防火区画貫通部の厚みに対して25〜150%の範囲である。長さは、通常は前記スリーブの内周に対し、50〜150%の範囲である。
前記のシート状成形体は重ねて使用してもよい。この場合、シート状成形体の全体の厚みは通常前記媒体の1本の外径または2本以上の総外径に対して0.5〜20%の範囲であることが好ましい。
シート状成形体の全体の厚みが0.5%未満の場合には、火災発生時にシート状成形体が十分に膨張しない傾向にあり、20%を超える場合には、防火区画貫通部構造の施工作業性に劣る傾向がある。
本発明に使用する熱膨張性材料からなるシート状成形体は、先に説明した、建築物の仕切り部に設けられた防火区画を貫通するスリーブの内部において、前記スリーブと前記媒体との間に空間を設けて設置されていることが必要である。
前記シート状成形体が前記スリーブの内部に設置されている態様としては、例えば、
(a)前記スリーブを挿通している媒体外面に前記シート状成形体が設置されている態様
(b)前記スリーブ内壁面に前記シート状成形体が設置されている態様
(c)媒体外面と前記スリーブ内壁面との両面に前記シート状成形体が設置されている態様
以上、(a)〜(c)等の態様が挙げられる。
前記スリーブと前記媒体との間に空間を設ける上で、前記シート状成形体は上記(b)に例示される様に、前記スリーブ内壁面に設置されていることが好ましい。前記スリーブとして金属材料からなるものを用いた場合、スリーブを通じて前記シート状成形体に熱が伝わり易いことからその膨張を促進し、耐火断熱性を向上することができる。
さらに上記(b)において、前記シート状成形体は、前記スリーブ内壁面の全部または一部の面に設置されていてもよいが、本発明の防火区画貫通部構造の施工作業性の面から前記スリーブ内壁面の一部の面に設置されていることが好ましい。
前記スリーブ内壁面の一部の面に前記シート状成形体が設置されている態様には、例えば、図4に示される様に前記スリーブの両端部内壁面に前記シート状成形体が貼着されている場合、図5に示される様に前記スリーブの中央部内壁面に前記シート状成形体が貼着されている場合、前記スリーブのいずれか一方の端部内壁面に前記シート状成形体が貼着されている場合、図6に示される様に前記スリーブの内壁面長手方向の一部だけに前記シート状成形体が貼着されている場合等を例示することができる。
本発明の防火区画貫通部構造の施工作業性に優れることや、防火区画のいずれの側で火災等が発生した場合でも他方への延焼を阻止することができること等から、前記シート状成形体は、例えば図4に示される様に、前記スリーブの両端部内壁面に前記シート状成形体が貼着されていることがさらに好ましい。
なお、本発明の防火区画貫通部構造においては、前記スリーブの少なくとも一方の端部にブッシングを備えることができる。ブッシングはケーブル保護の観点から、前記スリーブの両端に設置することが好ましい。
本発明の防火区画貫通部構造にブッシングを設けた場合、前記スリーブ内壁面に前記シート状成形体が設置されている態様としては、例えば、図1に示される様に、前記スリーブ内壁面に直接前記シート成形体が設置されている場合のみならず、図2に例示されるように、前記スリーブに取り付けられたブッシング内面に設置されている場合も含まれる。
本発明の防火区画貫通部構造は、その少なくとも一方の端部にシール部材を備えることができる。
この様なシール部材としては、例えば、アルミガラスクロステープ、アルミテープ、ガムテープ等が挙げられる。
火災発生時の延焼防止の観点から、本発明の防火区画貫通部構造は、例えば、図1〜3に示される様に、その両端にシール部材を備えていることが好ましい。
火災発生時には、本発明の防火区画貫通構造に含まれる前記シート状成形体は火災等による熱により膨張する。例えば、具体的には前記シート状成形体が200℃以上の高温にさらされた場合には、その成形体はその厚み方向に5〜40倍程度膨張する。この結果、前記スリーブ内部と、電線ケーブルや光ファイバーケーブル等の媒体との空間は膨張した前記シート状成形体により閉塞される。この作用により、建築物の仕切部の一方で火災が発生した場合でも、前記スリーブを伝わって炎や煙等が他方へ広がることを防ぐことができる。
次に本発明の防火区画貫通部構造を施工する方法について説明する。
前記施工方法においては、建築物の仕切り部に設けられた防火区画を貫通する孔に、スリーブを固定する工程(1)が必要である。
この工程(1)は、前記防火区画を貫通する孔に、先に説明したスリーブを挿入し固定する方法により実施することができる。
前記防火区画を貫通する孔を開ける方法は、特に限定されず、いずれの方法により実施しても良い。
前記の孔に、先に説明したスリーブを挿入し固定する方法は、特に限定されないが、例えば、前記スリーブと前記の孔の隙間をモルタル等の不燃固定材で埋め戻して固定する方法等が挙げられる。
次に、前記施工方法においては、前記スリーブ内部に、先に説明した媒体を挿通する工程(2)が必要である。
前記スリーブ内部に前記媒体を挿通する方法は、特に限定されず、いずれの方法により実施してもよい。
前記スリーブ内部に挿通させる前記媒体は1本、もしくは2本以上のいずれでもよく、2本以上の場合には、同じ種類のものでも異なる種類のものであってもよい。
次に、本発明の施工方法においては、先に説明した熱膨張性材料からなるシート状成形体を前記スリーブ内部に設置する工程(3)が必要である。
前記シート状成形体は、前記スリーブ内部に設置されればよく、この工程(3)の具体例としては、例えば、
(イ)前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を前記スリーブ内壁面に貼着する工程
(ロ)前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を前記媒体外面に貼着する工程
(ハ)前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を、前記媒体と前記スリーブ内壁面との双方に貼着する工程
(ニ)前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を、前記媒体と前記スリーブ内壁面とのいずれにも貼着することなく、前記シート状成形体を前記媒体と前記スリーブ内壁面との間に挿入する工程
等の工程を挙げることができる。これらの工程は1種もしくは2種以上を併用して行うことができる。
前記(イ)〜(ハ)のそれぞれの工程は、例えば、一方または双方の面に粘着性を付与した前記シート状成形体を用いて、前記スリーブ内壁面等に、前記粘着性を付与した面を重ねて貼着すること等により実施することができる。
前記(イ)〜(ハ)のいずれかの工程において、接着剤、接着テープ等の接着手段を用いて、前記シート状成形体を前記スリーブ内壁面等に貼着してもよい。
前記(ニ)の工程は、例えば図3に示される様に、前記スリーブ内壁面および媒体外面の間隙に、前記シート状成形体を挿入する方法等により実施される。前記(ニ)の工程によれば粘着性が付与されていない前記シート状成形体を用いた場合等には、前記スリーブ内部に簡単に前記シート状成形体を設置することができることから好ましい。
前記(イ)〜(ニ)の工程のうち、工程(イ)または(ニ)が前記媒体と前記熱膨張性材料からなるシート状成形体との間に空間を設ける上で好ましく、さらには工程(イ)が、本発明の防火区画貫通部構造の施工作業性に優れることからより好ましい。工程(イ)において前記スリーブとして金属材料からなるものを用いた場合、スリーブを通じて前記シート状成形体に熱が伝わり易いことからその膨張を促進し、耐火断熱性を向上することができる。
工程(イ)には、例えば、前記スリーブ内壁面の全面に前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を貼着する場合や前記スリーブ内壁面の一部の面に前記熱膨張性材料からなるシート状成形体を貼着する場合が含まれる。具体的には、先に説明した場合と同様、例えば、図4〜図6等に示される様に、前記スリーブ内壁面の一部に前記シート状成形体を貼着する場合が挙げられる。
本発明の防火区画貫通部構造の施工作業性に優れることや、防火区画のいずれの側で火災等が発生した場合でも他方への延焼を容易に阻止することができること等から、前記シート状成形体は、例えば図4に示される様に、前記スリーブの両端部内壁面に前記シート状成形体を貼着することが好ましい。
なお、本発明においては、前記スリーブの少なくとも一方の端部にブッシングを設けることができる。ブッシングはケーブル保護の観点から、前記スリーブの両端に設置することが好ましい。なお、前記工程(イ)の場合には、前記スリーブ内壁面に直接前記シート成形体を貼着する場合のみならず、例えば、図2に示されるように、前記スリーブに取り付けられたブッシング内面に貼着する場合も含まれる。
さらに必要に応じて、本発明の施工方法では、前記(1)〜(3)の各工程に加えて、(4)前記スリーブの少なくとも一方の端部をシール部材によりシールする工程を実施することができる。
この工程(4)は、例えば図2に示される様に、前記スリーブに挿通された媒体と、前記スリーブの少なくとも一方の端部との間隙をアルミガラスクロステープ、アルミテープ、ガムテープ等のシール部材でシールすることにより実施される。
火災発生時の延焼防止の観点から、本発明の防火区画貫通部構造を施工する際には、例えば図1〜図3に示される様に、その両端をシール部材によりシールすることが好ましい。
なお、本発明の施工方法では、工程(1)〜(3)を含む場合にはいずれの工程から実施してもよいし、工程(1)〜(4)を含む場合にもいずれの工程から実施してもよい。
本発明の防火区画貫通部構造を挿通する前記媒体に不具合が生じた場合の交換作業や、新たな前記媒体の増設等の保守作業は、例えば、前記シール部材を剥がしてから、防火区画貫通部構造を挿通する前記媒体を除去する等し、新たな前記媒体を挿通した後、必要に応じて前記スリーブの少なくとも一方の端部と前記媒体との間隙を前記シール部材でシールする等の方法により実施することができる。
ビスフェノールF型エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン株式会社製「エピコート807」)60重量部、脂肪族ポリアミン系硬化剤(ジャパンエポキシレジン株式会社製「エピキュアFL052」)40重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー株式会社製「フレームカットGREP−EG」)50重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント株式会社製「EXOLIT AP422」100重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「ハイジライトH−31」)50重量部および炭酸カルシウム(備北粉加工株式会社製「BF300」)100重量部を混練ロールで混練して、熱膨張性材料を得た。次いで、この熱膨張性材料をプレス金型に投入して100℃で30分間加熱して硬化させ、アクリル系粘着層を塗工し、厚み2mmのシート状成形体を作製した。
あらかじめコンクリート壁(厚さ100mm)に設けた孔に埋設した長さ300mmのスリーブ(外径104mm)に電線ケーブル(CVT250mm)を挿通した。前記シート状成形体(幅50mm、長さ340mm)を前記スリーブの内壁に貼着し、前記スリーブの一方の端部と前記電線ケーブルとの間隙をアルミガラスクロステープ(幅100mm)を用いてシールした。同様にして、前記スリーブの他方の端部と前記電線ケーブルとの間隙をアルミガラスクロステープ(幅100mm)を用いてシールして、防火区画貫通部構造1を得た。
ISO834の加熱条件に従い、1時間の耐火試験を実施したところ、前記防火区画貫通部構造1では、コンクリート壁裏面への火炎の噴出および炉内への貫通は確認されなかった。
ブチルゴム(エクソンモービル化学社製「ブチル#065」)42重量部、ポリブテン(出光石油化学株式会社製「ポリブテン#100R」)50重量部、石油樹脂(エクソンモービル化学社製#5320)8重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント株式会社製「EXOLIT AP422」100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー株式会社製「フレームカットGREP−EG」)30重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「ハイジライトH−31」)50重量部および炭酸カルシウム(備北粉加工株式会社製「BF300」)100重量部をニーダーを用いて混練した後、得られた熱膨張性材料をカレンダー成形により、片面にアルミニウム箔離型紙を積層させ、長さ6m、幅1000mm、厚み4mmのシート状成形体を作製した。
あらかじめコンクリート壁(厚さ100mm)に設けた孔に埋設した長さ200mmの
スリーブ(直径75mm)にブッシングを施工し、電線ケーブル(CVT100mm)を挿通した。前記シート状成形体(幅50mm、長さ240mm)を前記スリーブの内壁に貼着し、前記スリーブの一方の端部と前記電線ケーブルとの間隙をアルミガラスクロステープ(幅100mm)を用いてシールした。同様にして、前記スリーブの他方の端部と前記電線ケーブルとの間隙をアルミガラスクロステープ(幅100mm)を用いてシールして、防火区画貫通部構造2を得た。
ISO834の加熱条件に従い、1時間の耐火試験を実施したところ、前記防火区画貫通部構造2では、コンクリート壁裏面への火炎の噴出および炉内への貫通は確認されなかった。
実施例1の防火区画貫通部構造1を示す模式断面図である。 実施例2の防火区画貫通部構造2を示す模式断面図である。 防火区画貫通部構造内部の熱膨張性材料からなるシート状成形体が、媒体外面とスリーブ内壁面との間隙に挿入された状態を示す模式断面図である。 スリーブに熱膨張性材料からなるシート状成形体が貼着された状態を示す模式斜視図である。 スリーブに熱膨張性材料からなるシート状成形体が貼着された状態を示す模式斜視図である。 スリーブに熱膨張性材料からなるシート状成形体が貼着された状態を示す模式斜視図である。
符号の説明
1 防火区画
2 モルタル、不燃固定材
3 スリーブ
4 熱膨張性材料からなるシート状成形体
5 媒体
6 シール部材
7 ブッシング

Claims (3)

  1. 建築物の仕切り部に設けられた防火区画を貫通する孔に固定されたスリーブと、
    前記スリーブ内部に挿通された媒体と、
    前記スリーブ内部において前記媒体との間に空間を設けて設置された熱膨張性材料からなるシート状成形体と、
    を備えた防火区画貫通部構造。
  2. 前記に加えて、前記スリーブの少なくとも一方の端部にシール部材が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通部構造。
  3. 前記熱膨張性材料からなるシート状成形体が、前記スリーブの両端部内壁面に貼着されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の防火区画貫通部構造。
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