JP2006028440A - ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム Download PDF

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誉之 渡部
Atsushi Koyamamatsu
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Abstract

【課題】透明性、特に波長365nm近辺の平行光線透過率、及び波長365nmでのHaze値、引裂性、滑り性、巻き取性、解像度、そしてリサイクル性を満足するドライフィルムフォトレジスト用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】365nmにおける平行光線透過率が80%以上で、365nmにおけるHaze値が6.0%以下である、厚みが10μm以上25μm以下の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は二軸配向ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは透明性、滑り性、巻き取性、解像度およびリサイクル性に優れ、フォトレジストから剥離するに際し、破れのないドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
近年、印刷配線回路板などの製造方法として、ドライフィルムレジスト(以下DFRと略記することがある)法が用いられるようになってきている。DFR法に用いるフォトレジスト積層体は、一般に、支持体層、フォトレジスト層、保護層をこの順に積層した積層構造体であり、この支持体層として、機械的、化学的、光学的特性に優れたポリエステルフィルムが用いられている。
DFR法とは、まず上記構造のフォトレジスト積層体の保護層を剥離し、露出したフォトレジスト層を、基板に貼り付けた導電性基材の上に密着させた後、フォトレジストフィルム支持体層の上に、電子回路を印刷したガラス板を密着させる。次いで、このガラス板側から波長365nm近辺の紫外線を照射して、フォトレジスト層を構成する感光性樹脂を露光、硬化させた後、ガラス板と支持体層を除き、フォトレジスト層の未硬化部分を溶剤などで除去する。更に酸などでエッチングを行うと感光性樹脂が除去されて露出した導電性基材が溶解し、逆に感光性樹脂が反応して除去されなかった部分の導電性基材はそのまま残ることになる。その後、残ったフォトレジスト層を適当な手段で除去すれば、基板上に導電性基材層が回路として形成される。
上記DFR法において支持体層として用いられるポリエステルフィルムは、波長365nm近辺の光に対する透明性、特に平行光透過率が高いことが要求される。フォトレジスト層を露光する場合、光は支持体層を通過するので、支持体層の365nmにおける全光線透過率が高くても、365nmにおける平行光線透過率が低かったり、365nmにおけるHaze値が高すぎると、光が散乱しフォトレジスト層が十分に露光されなかったり、解像度が悪化するなどの問題が生ずる。
近年、携帯電話、PHS、パソコンの需要が増大し、それらに用いる電子回路を製造するため、フォトレジスト用フィルムの生産性の向上も要求されるようになってきた。
フォトレジスト用フィルムを製造する際の取扱い性、あるいはフォトレジストフィルム自体の取扱い性が良好なものとするために、支持体層のポリエステルフィルムは、適度な滑り性と巻取り性および引裂き強度を有していることが要求される。従来、滑り性、巻取り性を満足させようとして、ポリエステルフィルム中に微細粒子を含有させ、フィルム表面に微細な突起を形成させる方法が用いられている。例えば、特開平7−333853号公報には、少なくとも片側の最外層に、平均粒径0.01〜3.0μmの粒子(球状または不定形シリカ粒子、球状架橋高分子粒子等)を含有し、該最外層表面のRa(中心線平均粗さ)が0.005μm以上、Rt(最大高さ)が1.5μm未満であり、かつフィルムヘイズ値が1.5%以下であるフォトレジスト用二軸配向積層ポリエステルフィルムが提案されている。
特開平7−333853号公報
しかしながらこのポリエステルフィルムの用途では、レジストを感光する際に使用する波長365nm近辺の平行光線透過率が不十分な場合がある。すなわち通常ヘイズメーター等で用いられている光源はJIS K7136では、A、C、D65光源のため、フォトレジストの解像度を見極めるのに不十分である。その結果ヘイズ値は十分低くても、実際の解像度は満足な特性が得られず、細密な回路パータンが得られ難いという問題がある。
また、上記のように、支持体層として用いられるポリエステルフィルムは、感光後にフォトレジストから剥離される。従来からこの作業は手作業で行われていたが、近年では工程の機械化が進み、機械によりこの剥離作業が行われるようになってきた。
従来、手作業でフィルムを剥がす作業においてはエレメンドルフ引裂き強度が重視されてきた。エレメンドルフ引裂き強度を上げるためにはフィルムの熱処理温度を下げて製膜すれば良いことが知られている。これはフィルム中の結晶部分の割合を減らして、手作業による衝撃的な剥離強さに耐えうる柔軟なフィルムとすることが目的である。これに対し、機械による剥離作業においてはフィルムの一端に傷をつけて持ち上げ、その隙間から空気を吹き込むという手法が広く用いられる。この時、最初につけた傷の部分からポリエステルフィルムが引裂けてしまい、部分的に銅板上にポリエステルフィルムが残るために、不良品が発生するという問題が発生している。
フィルムが傷部分から裂けないようにするためには、フィルムの厚み方向の屈折率(nz)を上げると良いことが見出されている。nzの上昇は結晶、非晶の配向緩和を意味し、その結果ランダムな状態に近づいた分子が引裂きの伝播を妨げていると推定される。nzを上昇させるには通常、熱処理温度を上げる、または面倍率を下げるといった手法がとられるが、この前者の方法は前述のエレメンドルフ引裂き強度を低下させるという問題があり、後者の方法は、厚み斑の悪化、生産性の悪化等の問題がある。
以上の如く、エレメンドルフ引裂き強度と、引裂き伝播性は相反する物性であり、これまでのフィルムはどちらか一方の物性が満たされているに過ぎないため、ドライフィルムレジストを用いてフレキシブルプリント回路を製造する側からみると、手作業時あるいは機械作業時での使い分けが必要となり、扱いにくいものであった。
最近家電リサイクル法の制定により、電気製品およびそれを製造するための製品のリサイクルを促進するため、それらを構成する材料は、アンチモン、錫、鉛が含まれないことが要求されている。従来、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルポリマーを製造するための重縮合触媒としてアンチモン化合物が用いられているが、アンチモン化合物以外の重縮合触媒を用いることが望まれている。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、良好な透明性、特に波長365nm近辺の平行光線透過率、波長365nmのHaze値を備えるとともに、滑り性、巻き取性、解像度、エレメンドルフ引裂き強度およびリサイクル性を満足するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、波長365nmの平行光線透過率が80%以上で、波長365nmにおけるHaze値が6.0%以下あるドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムである。
このドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムは、好ましくは、平均粒径が0.8〜2.5μmの不活性粒子(I)を0.001〜0.3重量%および平均粒径が0.25〜0.5μmの不活性粒子(II)を0.1〜0.8重量%含有し、表面の高さ0.58μm以上の粗大突起の数Nについて下記式(1)を満足する表層を備える、少なくとも2層から構成される。
0≦N≦10(個/10cm2)・・・(1)
本発明によれば、透明性、特に波長365nm近辺の平行光線透過率、波長365nmのHaze値、滑り性、巻き取性、解像度、エレメンドルフ引裂き強度そしてリサイクル性を満足するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステル]
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーまたはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合体である。ポリエチレンテレフタレートホモポリマーは、特に機械的強度が高く、短波長可視光線やそれに近い近紫外線の透過率が高い点で、DFR用フィルムに適している。
本発明において、共重合ポリエステルを用いる場合、共重合ポリエステルの共重合成分は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。これらの中では、イソフタル酸が透明性、引裂き強度が共に高く、特に好ましい。
共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果として、ポリマー融点が245〜258℃(ホモポリマーの融点)の範囲になる割合である。融点が245℃未満では耐熱性が劣ることになる。また熱収縮率が大きく、フィルムの平面性が低下する。ここで、ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
ポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合には引裂き強度が不足することがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超える場合には、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれる。
本発明におけるポリエチレンテレフタレートまたは共重合ポリエステルは、例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、共重合ポリエステルの場合は更に共重合成分を加えてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエチレンテレフタレート、または共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法で製造することができる。あるいはテレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコールを、共重合ポリエステルの場合は更に共重合成分を加えてエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエチレンテレフタレート、または共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法で製造してもよい。
また、上記の方法(溶融重合)により得られたポリエチレンテレフタレートまたは共重合ポリエチレンテレフタレートは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとしてもよい。
前記ポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤などの添加剤を加えてもよい。
[触媒]
前記重縮合反応に使用する触媒としては、好ましくはチタン化合物(Ti化合物)を用いる。重縮合触媒は、チタン元素として好ましくは2〜100ミリモル%、さらに好ましくは2〜80ミリモル%、特に好ましくは2〜70ミリモル%の量を用いる。
ポリエステルの重縮合触媒として金属成分が100ミリモル%を超えると、触媒が凝集しやすくなり、波長365nm近辺の平行光線透過率が、80%未満になり易く好ましくない。ポリエステルの重縮合触媒を100ミリモル%以下にするためには、重合上、アンチモン系以外の触媒を選択する必要があるが、その方が家電リサイクル法の見地からも好ましい。2ミリモル%未満であると完全に重合が進まず、フィルムに適応することができない。
好ましい重縮合触媒の具体例としては、チタン化合物、例えばチタンテトラブトキシド、酢酸チタンを挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液を挙げることができる。
このような触媒によりポリエステルが重合されるため、本発明においてポリエステルは、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン金属元素として2〜10ミリモル%含有することになる。
このポリエステルは、好ましくは下記式(2)および/または(3)を満足する。
1≦P/Ti≦15 ・・・(2)
10≦Ti+P≦100 ・・・(3)
(ここで、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリモル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。)
P/Tiが1未満であるとTi触媒の作用が強く適度な重合度合いで反応を停止させることができず、15を超えるとTi触媒が、Pによって失活されすぎてしまい、反応が十分進まないことから好ましくない。Ti+Pが10未満であると触媒が少なすぎて十分な重合作用がはたらかず、100を超えると触媒が多すぎて凝集しやすくなり、波長365nm近辺の平行光線透過率が、80%未満になり易く好ましくない。
ポリエステルはチタン以外の触媒起因の金属元素を実質的に含まないことが好ましい。
[不活性粒子]
巻き取性と透明性を追求するためには2種類の平均粒径をもつ不活性粒子をそれぞれ適量添加することが好ましい。本発明ではこれらの粒子を便宜上不活性粒子I、不活性粒子IIと表記する。不活性粒子Iは、平均粒径が0.8〜2.5μm、好ましくは0.8〜2.0μm、さらに好ましくは0.8〜1.7μmで、平行光線透過率に悪影響を及ぼさない範囲という観点から、添加量は0.001〜0.3重量%、好ましくは0.005〜0.3wt%、さらに好ましくは0.005〜0.25wt%の割合で用いる。不活性粒子IIは平均粒径が0.25〜0.5μm、好ましくは0.25〜0.4μm、さらに好ましくは0.25〜0.35μmで、かつ不活性粒子Iの平均粒径(dI)と不活性粒子IIの平均粒径(dII)との間にdI>dIIの関係を満足し、巻き取性を確保するという観点から、添加量は0.1〜0.8重量%、好ましくは0.1〜0.6wt%、さらに好ましくは0.1〜0.4wt%の割合で用いる。
平均粒径が相対的に小さい不活性粒子IIは、フィルムに地肌の突起を形成せしめ、特にフィルムを巻き取る際の滑り性を確保する。不活性粒子IIの平均粒径が0.25μm未満であると、フィルムの滑り性が低下し、他方平均粒径が0.5μmを超えると、光線透過率や巻き取性が低下する。不活性粒子の添加量が上記以下の範囲だと、フィルムの表面性が極めて平坦化し、フィルム−フィルム間のエア抜けが悪くなると同時に、滑り性が低下し、フィルムを巻き取る際しわになったり、フィルムロールより巻き出す際フィルム同士がこすれ合い表面にキズが発生することがある。他方、添加量が上記範囲を超えると、フィルムの光線透過率が低下し、回路形成の感度や解像度が低下する。
不活性粒子IおよびIIの好ましい例としては、それぞれAl、Si、CaおよびMgから選ばれた少なくとも1種以上の元素を含むものである。かかる不活性粒子IおよびIIとしては、例えば前記金属元素の酸化物、炭酸塩、有機系滑剤を挙げることができる。不活性粒子IおよびIIの好ましい例として、以下のものが挙げられる。すなわち、二酸化珪素(水和物、ケイ砂、石英等を含む)、各種結晶形態のアルミナ、SiOを30重量%以上含有する珪酸塩(例えば非晶質あるいは結晶質の粘土鉱物)、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等、CaおよびMgの炭酸塩、MgAl等のスピネル型酸化物やアルミナと他の酸化物からなる変性スピネル型酸化物、また有機系滑剤としてはシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が挙げられる。これらのなかでも好ましくは、Si、Alの1種以上よりなる酸化無機不活性粒子、例えばSiO、Al、SiO−Al、シリコーン樹脂粒子であり、フィルムの製造コストを下げてフィルム特性を確実に確保できる点において、SiOや多孔質シリカおよび/またはそれらの凝集粒子、アルミノシリケートであるカオリンが特に好ましい。
本発明に用いる不活性粒子IおよびIIの粒度分布はシャープなものが好ましい。すなわち、本発明のフィルムにおいては、前述の如く特定範囲の平均粒径を持つ粒子は含有されないた、可能な限り少ない。不活性粒子IおよびIIの粒度分布がブロードであると、平均粒径を一見しただけでは判らないが、実際には平均粒径からかなり外れた粒径を持つ粒子も含まれており、好ましくない。また、これらに用いられる不活性粒子は粗大(例えば10μm以上)凝集粒子を形成することが有り、粗大凝集粒子の個数が多いと解像度低下や破れの原因となる。シャープな粒度分布を得て粗大凝集粒子の個数を減らすために、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜30μm、好ましくは13〜28μm、更に好ましくは15〜25μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが好ましい。
[フィルム特性]
本発明のフィルムは、前記ポリエステルからなる層を2層以上積層した構成でもよい。その際は、芯層に、芯層より厚みが薄く滑剤を含有する表層を積層した構成が好ましい。さらに、芯層の滑剤濃度を可能な限り低くし、滑り性を維持しつつヘイズの上昇を抑制した構成が好ましい。また、表層のポリエステルの固有粘度は芯層のポリエステルの固有粘度より高いことが好ましい。
本発明の積層フィルムの芯層および表層に用いるポリエステルは特に限定されないが、表層にバージンポリマーを用い、芯層に再生ポリマーまたはバージンポリマーと再生ポリマーの組成物を用いることが工業的に有利である。
従来から再生ポリマーでフィルムを製造する方法は、製造コストの低減に寄与する点から広く採用されてきた。再生ポリマーを利用する方法の一つとして、再生ポリマーとバージンポリマーを混合した組成物からフィルムを製造する方法が一般に用いられている。しかし、この方法では再生ポリマーの固有粘度が低い場合、フィルム全体の固有粘度が低下することにより、そのフィルムをドライフォトレジストに用いると、エレメンドルフ引裂き強度が維持できない問題がある。
これに対し、片側に再生ポリマーを用い、もう一方にバージンポリマーを用いる方法は、少なくとも1層はバージンポリマーからなる層であるので、製造コストを低減できる効果とエレメンドルフ引裂き強度が維持できる効果がある。かかる層構成としては、芯層の両面に表層を設けた3層構造が好ましい。
本発明のフィルムは、好ましくは少なくとも2層、さらに好ましくは3層から構成される。3層の場合、通常は芯層の両面に表層を備える積層フィルムである態様をとる。本発明のフィルムは、好ましくは表面の高さ0.58μm以上の粗大突起の数Nについて下記式
0≦N≦10(個/10cm2
を満足する表層を備える。Nが10を超えると表面が荒れすぎて、フォトレジスト塗工時に欠点の基点となりやすく、好ましくない。
本発明のフィルムは、芯層の厚み(Tc)が各表層の厚み(Ts1、Ts2)の合計より厚いことが好ましい。この構成をとることによりUV透過率の良好な透明性の高いフィルムを得ることができる。この場合、層厚みの関係は、芯層の厚みをT、両表層の厚みをTs1、Ts2としたとき、以下の関係を満足することが好ましい。なお、下記式中、nが2、さらに3、特に4であることが好ましい。
>n×(Ts1+Ts2)/2
また、本発明のフィルムの破断時のフィルムの伸びは、好ましくは3%以上である。3%未満であるとフィルムが簡単に裂けやすく、製造上好ましくない。
[フィルム厚み]
本発明のフィルムの厚みは、好ましくは10μm以上25μm以下、さらに好ましくは11μm以上25μm以下、特に好ましくは12μm以上25μm以下である。25μmを超えると解像度が低下するので好ましくない。厚み10μm未満では強度が不足し、特に剥離作業時の破れが頻発し好ましくない。
[平行光線透過率、波長365nmのHaze値]
本発明のフィルムは、波長365nmの平行光透過率が80%以上であることが必要である。平行光透過率が80%未満であると、レジスト層の露光、硬化工程が円滑に完了しないことがある。また、鮮明な回路パターンを得るためには高い解像度が要求されるため、波長365nmのHaze値は6.0%以下、好ましくは5.5%以下、さらに好ましくは5.0%以下である。
なお、365nmのヘイズ値は次のように定義される。
Hz365(%)=(Td365/Tt365)×100
Td365=Tt365―Tp365
Tt365:365nmの全光線透過率
Tp365:365nmの並行光線透過率
Td365:365nmの拡散光透過率
Hz365:365nmのヘイズ値
[エア抜け速度]
本発明のフォトレジスト用フィルムは、フィルム−フィルム間のエア抜け速度が10〜120mmHg/hrであることが好ましい。エア抜け速度が、上記範囲を外れるとフィルムの巻取り性が低下するので好ましくない。
なお、フィルム−フィルム間のエア抜け速度は、あらかじめ8cm×5cmに切り取ったフィルム片を20枚重ね、うち下19枚には中央に1辺2mmの正三角形の穴を明け、デジタルベック平滑度試験機(東洋精機製)を用いて単位時間あたり何mmHg低下するかを測定した値である。かかるエア抜け速度を得るためには、添加微粒子の項で述べた粒径および量の不活性粒子をポリエステルに添加し、二軸配向させることによって得られる。
[屈折率]
本発明の、フィルムの厚み方向の屈折率(nz)は、好ましくは1.493以上である。厚み方向の屈折率nzが1.493未満であると、引裂き伝播強度が不足し易く、支持体層であるポリエステルフィルムを機械剥離するとき、破れが発生することがあり好ましくない。
本発明のフィルムの面配向係数は、好ましくは0.162以上である。面配向係数が0.162未満であると手剥ぎのとき裂け易く好ましくない。手剥ぎは急速剥離であり、エレメンドルフ引裂き強度が低いと裂け易い。
本発明の特性を得る製膜法については製膜法の項で述べる。
[引き裂き強度]
フィルムのエレメンドルフ引裂き強度は、縦方向または横方向のいずれか一方が0.06N以上であることが好ましく、縦横方向いずれもが0.06N以上であることがさらに好ましい。エレメンドルフ引裂き強度が縦横方向いずれも0.06 N未満であると、手作業による剥離工程でフィルムの破れが発生しやすく好ましくない。
[熱収縮率]
本発明のフォトレジスト用フィルムは、150℃で測定した縦方向の熱収縮率が1.0〜5.0%であることが好ましい。縦方向の熱収縮率を1.0%未満に抑えると、フィルムの平面性が悪化し易く、また透明性が低下することがあり、フォトレジストフィルムの製造工程や電子回路製造工程で不具合を生じる原因となり、また、縦方向の熱収縮率が5.0%を超えると、各工程での熱や溶剤によって収縮変形を生じ易く、不適当であり、好ましくない。
[易滑層]
本発明のポリエステルフィルムの片面または両面に、易滑性の塗膜を形成させることができる。特に滑剤としての不活性粒子の平均粒径が小さい領域にあり、且つ添加量が少ない場合、滑り性が不足する場合がある。このような場合には、易滑性の塗膜を形成することが好ましい。
易滑性の塗膜は特定されないが、例えば、(A)ガラス転移点が40〜80℃であり、基−SOM(ここで、Mは−SOと同当量の金属原子、アンモニウム基、第4級アミンまたは第4級ホスホニウム基を示す)を有するジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分の8〜20モル%を占める共重合ポリエステル、(B)ガラス転移点が25〜70℃のアクリル系樹脂および(C)滑剤としての微粒子を主成分としてなる塗膜を挙げることができる。より具体的には、例えば、テレフタル酸−イソフタル酸−5−Naスルホイソフタル酸(全ジカルボン酸成分の13モル%を占める)−エチレングリコール−ネオぺンチレングリコール共重合P(Tg=49℃)を56重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸一メタクリルアミド−N一メチロールアクリルアミド共重合体S(Tg:42℃)を25重量部、架橋アクリル樹脂フィラー(40nm径)を10重量部およびエチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体を9重量部の割合で含む4%濃度水性液(塗液)を上記フィルムの片面にロールコーターで塗布することができる。膜厚は0.05μm近辺が好適である。以上は一例であってこの組成に限定するものではない。
[フィルムの製膜方法]
本発明のフィルムは、従来から知られている方法に準拠して製造することができるが、本発明の要件を満足するためには製造条件の選択が必要である。従来から知られている製造方法としては、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法等が挙げられる。好ましい製造方法の例として逐次二軸延伸法による一般的な製造方法の概略を以下に記述する。すなわち、ポリエチレンテレフタレートに前述の不活性粒子を混合し、乾燥後溶融し、ダイ(例えばTダイ、Iダイ等)から冷却ドラム上に押出し冷却して未延伸フィルムとし、引続き70〜120℃で3〜5倍に縦延伸し、3〜5倍横延伸後、200〜250℃で熱固定して一般的な二軸配向フィルムを製造することができる。
より詳細に記述すると、エレメンドルフ引き裂き特性を満足させるためには、延伸倍率は3.2〜4.2倍、横延伸倍率は3.4〜4.5倍が好ましい。延伸倍率が小さいと厚み斑が大きくなり、倍率が大きすぎると引裂き伝播強度が低下する。また、必要に応じて上記工程中、例えば縦延伸後にフィルムの片面または両面に、水分散性の塗剤を塗布し、フィルムに易滑性の、または易滑性で且つ易接着性の0.01〜0.1μmの皮膜を形成させることができる。塗工法は限定されないが、リバースロールコーターによる塗工が好ましい。
熱固定温度は205〜220℃が好ましい。熱固定温度が低いと熱収縮率が大きくなり、高すぎるとエレメンドルフ引裂き強度が低下する。熱固定しつつレール幅を狭めて(トウイン)幅弛緩を与えると熱収縮率を低下させ、引裂き強度をさらに上げることができる。但し過度に弛緩させると平面性を悪くする。弛緩率は1〜10%が好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお、本発明における種々の物性値および特性は、以下の如く測定されたものであり、かつ定義される。
(1)ポリマー中のポリエステルに可溶な成分の定量分析
フィルムを240℃で溶融成形して5cmφ、厚み3mmのプレートを作成し、蛍光X線(理学電機工業株式会社製3270E型)にて測定して定量分析する。チタン以外の金属元素を実質的に含まないとは、この分析方法でチタン以外の金属元素が定量限界以下であることを意味する。又、艶消剤として酸化チタンを添加したポリエステル組成物中のチタン元素量については、サンプルをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について日立製作所製Z−8100形原子吸光光度計を用いて定量を行った。ここで0.5規定塩酸抽出後の抽出液中に酸化チタンの分散が確認された場合は遠心分離機で酸化チタン粒子を沈降させ、傾斜法により上澄み液のみを回収して、同様の操作を行った。これらの操作によりポリエステル組成物中に酸化チタンを含有していてもポリエステルに可溶性のチタン元素の定量が可能となる。
(2)粒子の平均粒径
(株)島津製作所製CP−50型セントリフューグル パーティクルサイズアナライザー(Centrifugal Particle Analyzer)を用いて測定する。得られた遼心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその残存量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径を読みとり、この値を上記平均粒径とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
なお、添加した滑剤としての不活性微粒子が1次粒子の凝集による2次粒子である場合は上記に示す方法での平均粒径測定で得られた粒径は実際の平均粒径より小さくなる場合があるため、下記方法を採用する。
粒子を含有したフィルムを断面方向に厚さ100nmの超薄切片とし、透過電子顕微鏡(例えば日本電子製JEM−1200EX)を用いて、1万倍程度の倍率で粒子を観察し、凝集粒子(2次粒子)を観察した。この写真を用いて、個々の粒子の、円面積相当の直径を、画像解析装置等を用いて粒子1000個について測定し、数平均した粒子径を平均2次粒径とする。なお、粒子種の同定はSEM−EPMA(XMA)、ICPによる金属元素の定量分析などを使用して行うことができる。平均1次粒径は透過電子顕微鏡の倍率を10万〜100万倍にて撮影するほかは平均2次粒径粒径測定の方法に準じて測定する。
(3)フィルム厚み
外付マイクロメータで100点測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとする。
(4)フィルムのエア抜け速度
フィルムの巻取り性は重なった時の空気の抜け時間で表す。空気抜け速度はあらかじめ8cm×5cmに切り取ったフィルム片を20枚重ね、うち下19枚には中央に1辺2mmの正三角形の穴を明け、デジタルベック平滑度試験機(東洋精機製)を用いて単位時間あたり何mmHg低下するかを測定する。
(5)分光透過率(全光線透過率、平行光線透過率)
(株)島津製作所製の分光光度計MPC−3100を用いて波長365nmの全光線透過率、平行光線透過率を測定する。そのときの測定条件は、スリット:20mm、スキャン速度:中速、サンプリングピッチ:1nm、である。
(6)ヘイズ値
日本電色工業社製のヘイズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘイズ値を測定する。JIS K−7136に準拠して測定する。
(7)エレメンドルフ引裂き強度
JIS K7128−2に準じて測定する。測定値に9.80665(kg・m/s2)を乗じて単位はN(ニュートン)に変換できる。
(8)融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法によった。なお、サンプル量は約20mgとする。
(9)厚み方向の屈折率(nz)
アッベ屈折計(株式会社アタゴ製)を用い、光源にはNa−D線を用いて、25℃にてフィルム厚み方向の屈折率を測定する。フィルムサンプルの表裏両面について測定し、その平均値を屈折率nzとする。
(10)面配向係数(ns)
アッベ屈折計(同上)の接眼側に偏光板アナライザーを取り付け、マウント液にヨウ化メチレンを用い、測定温度25℃にて単色光NaD線でフィルムの横方向屈折率(nx)、縦方向屈折率(ny)および厚さ方向屈折率(nz)を測定し、下記式により面配向係数nsを求める。
ns=[(nx+ny)/2]−nz
1.フォトレジスト(感光性樹脂)フィルム特性評価用サンプルの作製
実施例及び比較例におけるフォトレジスト(感光性樹脂)積層体は次のようにして作製した。以下、フォトレジストを感光性樹脂と記述する場合もある。
<フォトレジスト積層体の作成>
表1に示す組成のフォトレジスト組成物を調製し、実施例・比較例のPETフィルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、90℃の乾燥機中で2分間乾燥してフォトレジスト層を形成した。
フォトレジスト層のPETフィルムを積層していない表面上に23μm厚みのポリエチレンフィルムを張り合わせてフォトレジスト積層体を得た。フォトレジスト層の厚みは10μmと20μmの2種類を準備し、厚み10μmのものは、後述する現像後にエッチングを施す場合に使用し、厚み20μmのものは、後述する現像後にめっきを施す場合に使用した。表1にフォトレジスト層の成分配合量を示す。
Figure 2006028440
<基板の前処理>
(現像後にエッチングを施す場合)ポリイミド樹脂上に9μmの銅箔を積層したCOF(チップ オン フレキ)用フレキシブル基板(以下エッチング用基板という)に、室温のソフトエッチング液(メック製CB801)を20秒スプレーし、水洗・乾燥した。
(現像後にめっきを施す場合)絶縁樹脂上に無電解めっき層を2μm積層した全厚み1mmの基板(以下めっき用基板)を、室温の10wt%硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗・乾燥した。
<ラミネート>
フォトレジスト積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、前処理した基板にホットロールラミネーター(旭化成製AL−70)により、ロール温度95℃でラミネートした。ラミネーターのロール圧力はエアゲージ表示で0.30MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。
<露光>
フォトレジスト層に、評価に必要なマスクフィルムを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所社製:HMW−801)により60mJ/cmで露光した。
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液を所定時間スプレーし、フォトレジスト層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分のフォトレジストが完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
<エッチング>
現像後のエッチング用基板に、下記に示す50℃のエッチング水溶液を16秒スプレーし、レジストパターンが形成していない部分の銅箔を溶解除去した。エッチング水溶液の組成は次のとおりとした。
塩化第2銅 : 120g/L
塩 酸 : 3.4mol/L
<めっき前処理>
現像後のめっき用基板を40℃の酸性脱脂FRX(10wt%水溶液、アトテックジャパン社製)浴に4分浸漬した。水洗後さらに、室温の10wt%硫酸水溶液に2分浸漬した。
<硫酸銅めっき>
めっき前処理後のめっき用基板を、下記に示す室温の硫酸銅めっき浴組成の液に浸漬し、硫酸銅めっきを施した。電流密度は1.5A/dmとし、めっき時間は40分とした。硫酸銅めっき液浴組成は次のとおりとした。
純水 : 58.9%
硫酸銅コンク(メルテックス社製):30%
濃硫酸: 10%
濃塩酸: 0.1%
カッパークリーム125(メルテックス社製):1%
2.評価方法
(1)レジストライン解像性
ラミネート後15分経過したエッチング用基板を、露光の際の露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンを通して、露光した。最小現像時間の2.5倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅をレジストライン解像性の値とした。この解像性により次の様にランク分けした。
◎ : 15μm以下
○ : 15μmを超え25μm以下
× : 25μmを超える
(2)レジストラインの欠陥数
ラミネート後15分経過したエッチング用基板を、露光の際の露光部と未露光部の幅が25μm:25μmの比率のラインパターンを通して、露光した。露光後、最小現像時間の2.5倍の現像時間で現像し、得られた基板の3cm×3cm角のエリアを光学顕微鏡で100倍の倍率(対物レンズ10倍、接眼レンズ10倍)で観察し、支持層に含まれる直径10μm以上の、金属含有粒子またはその凝集体に由来するレジストラインの欠陥(欠け、断線)の個数を測定した。20カ所のエリアで測定を行ない、レジストラインの欠陥の個数の平均を求め、下記の様にランク分けした。
○ : 0.1個/9cm以下
△ : 0.1個/9cmを超え、0.25個/9cm未満
× : 0.25個/9cm以上
[実施例1]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル交換触媒、重合触媒として酸化チタンを、安定剤としてリン化合物を、さらに滑剤として不活性製粒子Iとして平均粒径1.2μmの架橋シリコーン粒子をポリマーに対して0.01重量%、不活性製粒子IIとして平均粒径0.3μmの真球状シリカ粒子をポリマーに対して0.15重量%になるように添加して常法により重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレートAを得た。
また、滑剤を添加しない以外は、上記と同じ方法で滑剤を含有しないPETのペレットを製造した。このPETペレットと表層用PETペレットAとを混合し、滑剤濃度を表層用PETの1/8とした芯層用PETペレットBを準備した。この芯層用PETの滑剤濃度は、工業規模での生産時にフィルム屑の再生ペレットを用いることを想定して定めたものである。
次に、得られた表層用PETペレットA、芯層用PETペレットBをそれぞれ170℃において3時間乾燥後、2台の押出機のホッパーに供給し、溶融温度290℃で溶融し、線径12μmのステンレス細線よりなる平均目開き20μmの不織布型フィルターでろ過し、マルチマニホールドダイで合流させて冷却ドラム上にキャストし、次いで得られた未延伸フィルムを縦方向に3.1倍延伸した。続いてステンターに供給し、横方向に3.7倍延伸し、220℃で熱処理して厚さ16μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの片面に、フォトレジスト層および保護層を積層して、プリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1に準じて、ポリエチレンテレフタレートからなる18μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムに、フォトレジスト層および保護層を積層して、プリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の触媒量を表1の量加え、縦延伸終了後のフィルムの片面に易滑性塗剤として下記の塗液を乾燥横延伸後0.05μmになるように塗布し、以下実施例1に準じて16μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの片面に、フォトレジスト層および保護層を積層して、プリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表1に示す。
塗液:
テレフタル酸−イソフタル酸−5−Naスルホイソフタル酸(全ジカルボン酸成分の13モル%を占める)−エチレングリコール−ネオぺンチレングリコール共重合P(Tg=49℃)を56重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸一メタクリルアミド−N一メチロールアクリルアミド共重合体S(Tg:42℃)を25重量部、架橋アクリル樹脂フィラー(40nm径)を10重量部およびエチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体を9重量部の割合で含む4%濃度水性液。
[実施例4]
イソフタル酸3モル%共重合ポリエチレンテレフタレートを用い、表1に示す滑剤を添加して実施例1に準じて16μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムに、フォトレジスト層および保護層を積層して、プリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表1に示す。
[実施例5〜12]
以下同様にして表1中の条件にてフィルムを作成した。結果を表1中に示す。
[比較例1]
実施例1において、縮合触媒に三酸化アンチモンを使用した以外は実施例1と同様にして厚み16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの片側に、フォトレジスト層および保護層を積層して、プリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表2に示す。このフィルムは、フォトレジスト支持体フィルムに用いた場合、解像度が不足し、プリント基板の品質を低下させるものであった。
[比較例2〜8]
表2に示す条件にて実施例1に準じ、表2に示す厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムに、フォトレジスト層および保護層を積層してプリント回路を作成し、その特性を評価した。その結果およびフィルム単体の特性を表2に示す。比較例8のフィルムは厚みが過小であり、レジストと剥離する際に破れが多発し、プリント回路を作成できなかった。
[比較例9〜11]
表2に示す条件にて実施例1に準じ、表2に示す厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを得たが、触媒量が適正でなく、透明性が失われていた。
[比較例12]
イソフタル酸23モル%共重合ポリエチレンテレフタレートを用い、表2に示す触媒を用いる他は実施例1に準じてフィルム作成を試みた。しかし、製膜中の切断が多く、プリント回路を作成することが困難であった。
Figure 2006028440
Figure 2006028440
本発明のフィルムは、ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムとして好適に使用することができる。
本発明によれば、紫外線透過性、巻取りや搬送の作業性を同時に満足し、ファインパターン用フォトレジストに用いた場合、解像度が高く回路を欠陥なく形成でき、高い生産歩留まりを得ることが可能となり、その工業的価値は高い。

Claims (5)

  1. 波長365nmの平行光線透過率が80%以上で、波長365nmにおけるHaze値が6.0%以下であるドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 平均粒径が0.8〜2.5μmの不活性粒子(I)を0.001〜0.3重量%および平均粒径が0.25〜0.5μmの不活性粒子(II)を0.1〜0.8重量%含有し、表面の高さ0.58μm以上の粗大突起の数Nについて下記式(1)
    0≦N≦10(個/10cm2)・・・(1)
    を満足する表層を備える、少なくとも2層から構成される請求項1記載のフィルム。
  3. 10〜25μmの厚みで、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、ポリエステル中に可溶なチタン化合物をチタン金属元素として2〜10ミリモル%含有し、下記式(2)および/または(3)を満足し、更に該ポリエステルに含有されるチタン以外の触媒起因の金属元素を実質的に含まない、請求項1記載のフィルム。
    1≦P/Ti≦15 ・・・(2)
    10≦Ti+P≦100 ・・・(3)
    (ここで、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリモル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。)
  4. 縦方向、横方向のいずれか一方のエレメンドルフ引裂強度が0.06N以上、かつ縦方向、横方向のいずれか一方の引裂き伝播性試験において、破断時のフィルムの伸びが3%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. フィルムが芯層の両面に表層を備える積層フィルムであって、かつ芯層の厚み(T)が各表層の厚み(Ts1、Ts2)の合計より厚い請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
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