JP2006023224A - ガス検知素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感応部と基板とが強固に密着しているとともに、極めて低濃度の揮発性有機化合物(VOC)を検知する高感度の感応部を有するガス検知素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 揮発性有機化合物を検知するガス検知素子1は、基板10と、前記基板上に設けられた金属酸化物を主成分とするガス感応部30とを含んでなり、前記金属酸化物が、高周波誘導プラズマ溶射法により溶射された後、熱処理されたものであることを特徴とする。揮発性有機化合物を検知するガス検知素子1の製造方法は、高周波誘導プラズマ溶射法により基板10上に金属酸化物を溶射する工程と、この溶射された金属酸化物を熱処理する工程とを含んでなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス検知素子及びその製造方法に関し、詳しくは、低濃度であっても揮発性有機化合物(VOC)を検知することができるガス検知素子及びその製造方法に関する。
大気中に存在するガスの濃度を検知する手法としては、酸化スズなどの金属酸化物半導体からなるガスセンサを用いればよいことが知られており、これまでにバルクタイプや厚膜タイプのセンサが製造されている。最近では生産性の良さから厚膜タイプのセンサに重点が置かれており、検知材料としては酸化スズが最も一般的である。
しかし、酸化スズは難焼易性の性質であるため、そのままでは基板上に密着性よく成膜することが困難であった。仮に成膜できても、基板との反応性が低いためすぐに剥離してしまう。こういった間題を解決するために厚膜タイプのセンサでは、原料にガラスなどの無機バインダーを添加し、感応部と基板との密着性や感応部の膜強度を高める工夫がなされてきた。
また、感応部を所定の形状にパターニングするためには、原料にビークルなどの有機バインダーを加えペースト化し、これをスクリーン印刷法によりセラミック基板などに印刷して焼成する手法が一般的である。しかしながら、無機バインダーのガラス成分や有機バインダーに含まれる不純物は、感応部を溶融したりセンサ特性を劣化して長期の信頼性に悪影響を及ぼしていた。
さらに、厚膜タイプのセンサをホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)のガス検知に使う場合には、これらのガスに関する環境基準が極めて低いため(例えば、ホルムアルデヒドでは80ppbと定められている)、従来のセンサでは検知が難しいという問題があった。
こうしたことから、金属酸化物にGdなどの添加剤を加えたり(特開平10−246714号公報)、各種の貴金属系触媒を担持するなど増感処理による問題解決が図られている。しかし、このような増感処理では、原料の調製やセンサ特性の制御に大変な手間がかかり、さらには添加物の不均一などに起因する特性歩留まり悪さなど問題点も多く、その効果も十分ではない。
また、近年では、スパッタ法やCVD法などによる薄膜タイプのガスセンサも検討がされている。薄膜タイプのセンサは、ガラスなどの無機バインダーやビークルなどの有機バインダーを必要としないため、高い感度特性が得られる。しかしながら、この薄膜タイプも厚膜タイプと同様に、薄膜表面に吸着する水分や雑ガス成分を取り除くために加熱クリーニングを行ったり、ガス感度の向上を図るために感応部を200〜500℃の高温に加熱して用いられる。そのため、薄膜の感応材料は焼結の進行が早いためクラックが発生したり、熱膨張係数の違いから感応部と基板との界面にクラックが発生するなどの問題があり、未だ実用化に至っていないのが現状である。
そこで、特開2003−65989号公報では、高周波誘導プラズマ溶射法により金属酸化物半導体のガスセンサを作製することが試みられている。本公報には、このような方法により作製されたガスセンサがNO2に対して優れたガス感度を示したことが記載されている。
特開平10−246714号公報 特開2003−65989号公報
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、感応部と基板とが強固に密着しているとともに、極めて低濃度の揮発性有機化合物(VOC)を検知する高感度の感応部を有するガス検知素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る揮発性有機化合物を検知するガス検知素子は、基板と、前記基板上に設けられた金属酸化物を主成分とするガス感応部とを含んでなり、前記金属酸化物が、高周波誘導プラズマ溶射法により溶射された後、熱処理されたものであることを特徴とする。
前記熱処理の温度は100〜1200℃の範囲が好ましい。また、前記高周波誘導プラズマ溶射法における溶射パワーは7kW〜l00kWの範囲が好ましい。さらに、前記ガス検知素子の動作温度は200〜500℃の範囲が好ましい。前記ガス感応部は、前記金属酸化物に、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の金属又はその酸化物が添加されたものが好ましく、前記添加された金属又はその酸化物は、前記金属酸化物とともに高周波誘導プラズマ溶射法により溶射されたものであることが好ましい。
また、本発明は、別の態様として、揮発性有機化合物を検知するガス検知素子の製造方法であって、高周波誘導プラズマ溶射法により基板上に金属酸化物を溶射する工程と、この溶射された金属酸化物を熱処理する工程とを含んでなることを特徴とする。
前記熱処理の温度は100〜1200℃の範囲が好ましい。また、前記高周波誘導プラズマ溶射法における溶射パワーは7kW〜l00kWの範囲が好ましい。さらに、前記金属酸化物とともに、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の金属又はその酸化物を高周波誘導プラズマ溶射法により溶射することが好ましい。
このように、高周波誘導プラズマ溶射法を用いて検知材料である金属酸化物を主成分とするガス感応部を作製することにより、ガラスなどの無機バインダーやビークルなどの有機バインダーを添加することなく、ガス感応部を基板に強固に密着させることができる。そして、高周波誘導プラズマ溶射法を用いて作製されたガス感応部を熱処理することで、極めて低濃度のVOCを検知する高感度のガス感応部を得ることができる。
また、熱処理の温度を100〜1200℃の範囲とすることで、ガス感応部のVOC感度をより向上させることができる。高周波誘導プラズマ溶射法における溶射パワーを7kW〜l00kWの範囲にすることで、ガス感応部を均一に形成し、VOC感度をより向上させることができる。さらに、ガス検知素子の動作温度を200〜500℃の範囲にすることで、ガス感応部のVOC感度をより向上させることができる。加えて、金属酸化物とともに、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の金属又はその酸化物を高周波誘導プラズマ溶射法により溶射することで、ガス感応部のVOC感度を更に向上させることができる。
したがって、本発明によれば、感応部と基板とが強固に密着しているとともに、極めて低濃度のVOCを検知する高感度の感応部を有するガス検知素子及びその製造方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明に係るガス検知素子の一実施形態を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示すガス検知素子の側面図である。なお、図2において図1と同一の構成については同一の符号を付した。図1及び図2に示すように、ガス検知素子(センサチップ)1は、基板10と、基板10上に設けられ電極間隔21を有する一対の電極20a、20bと、電極20a、20b間にわたって基板10上に設けられたガス感応部30とから主に構成されている。なお、基板10には、電極20の反対側にヒータ(図示省略)を設けることができる。
基板10としては、絶縁体であれば特に限定されないが、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、石英(SiO2)等の無機材料を用いることが好ましい。電極20としては、導電体であれば特に限定されないが、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の金属材料を用いることが好ましい。電極間隔21は、例えば、蒸着法によりメタルマスクを用いて形成することができる。
感応部30は、検知材料である金属酸化物を主材とするものであって、高周波誘導プラズマ溶射装置を用いて金属酸化物の溶射膜を所定の形状に成膜し、さらにこの溶射膜を熱処理したものである。検知材料である金属酸化物としては、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化チタン(TiO2)等、ガス検知材料として従来使用されている金属酸化物を用いることができる。以下に、感応部30を形成する方法について具体的に説明する。
原料となる金属酸化物は、先ず、高周波誘導プラズマ溶射装置の粉末導入プローブからトーチ部に投入される。投入された原料はトーチ内で発生する高周波誘導プラズマにより溶融・蒸発反応を引き起こしながらチャンバー内を飛行し、電極20を施した基板10上に到達後、急速に凝固して基板10と強固に密着する。
高周波誘導プラズマ溶射装置を用いて金属酸化物を成膜する際、最適な溶射のパワーはトーチ部の直径により異なるが、75mmφのトーチを用いた場合には、溶射パワーは7kW〜100kWが好ましく、20〜85kWがより好ましい。ここで、溶射パワーが7kWより小さいと、プラズマを連続的に維持するのが難しく、感応部30を連続的に成膜する観点から好ましくない。また、100kWより大きいと、感応部30の一部又は全てが還元されて純金属が膜内に析出し、均質な感応部30を成膜する観点から好ましくない。なお、直径75mmφのトーチを用いた場合を例に記載したが、トーチの直径を小さくすれば、溶射パワーも小さくできる。
また、高周波誘導プラズマ装置を用いて金属酸化物を成膜する際、基板温度を500℃以下に保持することが好ましい。これは高周波誘導プラズマで活性化された原料を成膜するとき、基板10の温度は上昇する傾向にあり、基板温度が500℃を超えると、金属酸化物は純金属に還元されて膜内に析出するため、均一な感応部30を成膜する観点から好ましくないためである。基板温度を500℃以下に保持する方法としては、例えば、基板10に温度検知器と加熱・冷却装置(図示省略)を設け、温度コントローラーを用いて制御する方法があるが、基板温度を500℃以下に保持できるのであれぱ他の方法でも構わない。
本発明で用いる高周波誘導プラズマ方式は無電極プラズマを応用したものであり、従来の直流プラズマ方式で必要とされる電極を用いないため、電極からの不純物成分が感応部30に混入する恐れもなく、高いガス感度が得られ、かつ、ガス感度特性の制御や再現性などにも優れるといった特徴がある。また、高周波誘導プラズマ溶射法は、感応部30の小型化が容易でかつ生産性が高い。さらに、高周波誘導プラズマによる溶射法を用いれば、原料にガラスなどの無機バインダーやビークルなどの有機バインダーを添加しなくても、実用上十分な密着力が得られるとともに、これらバインダーに起因するガス検知特性の劣化も解消されて、長期間にわたって安定的に動作するという高い信頼性を得ることができる。
なお、感応部30の原料としては、上記の金属酸化物の他、ガス感度を向上させるために、添加物として増感剤を加えることもできる。増感剤としては、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)の金属元素又はその化合物が好ましい。これら金属元素の中でも、ガス感度の向上効果が特に優れている点で、Sr、In、Baがより好ましい。また、これら金属元素は、2種類以上添加しても良い。化合物としては、酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物などが好ましい。増感剤の添加量は、金属換算で、0.1〜50原子%の範囲が好ましい。添加量が0.1原子%未満であると、ガス感度を向上する効果が認められない。一方、添加量が50原子%を超えると、検知材料である金属酸化物のガス感度が低下するので好ましくない。検知材料である金属酸化物に増感剤を添加する方法としては、物理混合法、含浸法、共沈法等が好ましい。そして、この増感剤を添加した金属酸化物を、高周波誘導プラズマ溶射装置の粉末導入プローブに投入することで、基板10上に増感剤を含有した溶射膜を成膜することができる。
続いて、高周波誘導プラズマ法にて成膜された溶射膜を電気炉にて100〜1200℃、好ましくは400〜900℃で熱処理(焼成)することにより、感応部30と基板10がより強固に密着するとともに、極めて低濃度の揮発性有機化合物(VOC)を検知することができる高感度の感応部30を得ることができる。ここで、焼成温度が100℃より低いと、VOCに対するガス感度が低く、極めて低濃度のVOCを検知する観点から好ましくない。また、1200℃より高いと、電極が導通不良を起こしてしまうため、正常な機能を維持する観点から好ましくない。なお、熱処理時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましい。
このように、本発明に係るガス検知素子1は、VOCに対して優れた感度を有するものである。ここで、本明細書において、揮発性有機化合物(VOC)とは、特に明記する場合を除いて広義に解し、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの沸点50℃以下の高揮発性有機化合物(VVOC)、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、テトラデカン、ダイアジノン、フェノブカルブなどの沸点50〜260℃の範囲の狭義の揮発性有機化合物(VOC)、及びクロロピリホス、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどの沸点260〜380℃の範囲の半揮発性有機化合物(SVOC)を含む概念である。これらの内、本発明に係るガス検知素子1の被検ガスとしては、VVOC及び狭義のVOCがより好ましく、VVOCがさらにより好ましい。また、ガス検知素子1の動作温度は、VOCに対する感度向上の観点から、200〜500℃の範囲が好ましく、250〜350℃の範囲がより好ましい。例えば、基板10の下面に設けられたヒータ(図示省略)により、ガス検知素子1を上記動作温度まで加熱することができる。
(実施例1)
アルミナ基板と高周波誘導プラズマ溶射膜との密着性を調べるために、溶射パワーを変化させて、アルミナ基板に酸化スズを溶射して溶射膜を作製し、この溶射膜とアルミナ基板との密着性をテープ剥離試験にて評価した。表1にその結果を示す。また、比較試験として、印刷法で作製した酸化スズ厚膜についても同様に試験し、その結果を併記した。
比較例としては、酸化スズにビークルだけを加えてペースト化したもの(比較例1)と、5.0wt%のガラスとビークルを加えてペースト化したもの(比較例2)を作製した。ペースト化した酸化スズは、スクリーン印刷法でアルミナ基板に印刷し、150℃で乾燥後、800℃で焼成してセンサチップとした。
Figure 2006023224
表1に示すように、ガラスを含まない比較例1の酸化スズ厚膜は、焼成後に多数のクラックが発生し、テープ剥離試験でも簡単に剥離してしまった。また、ガラスを添加した比較例2の酸化スズ厚膜は、クラックの発生、密着性試験ともに改善が見られたが、十分ではなかった。
一方、高周波誘導プラズマ溶射膜の方は、溶射パワーが5kW未満ではプラズマが安定せず、連続して膜を成膜することができなかったが、5kWではプラズマも安定し、連続して膜が成膜できた。しかし、5kWでは、クラックの発生は見られなかったものの、テープ剥離試験では一部が剥離してしまった。溶射パワーが7kW〜100kWの場合では、溶射膜にクラックの発生もなく、テープ剥離試験でも膜が剥離することはなかった。特に20〜110kWでは溶射膜の強固な密着性が確認できた。ところが、110kWでは酸化スズが還元し、溶射膜の中に金属粒が析出してしまい、均質な膜を得ることはできなかった。
(実施例2)
図1及び図2に示す構成のセンサチップを以下の工程にて作製した。先ず、基板厚0.30mmのアルミナ基板10の片面に金をスパッタ法で成膜し、これを電極20とした。この時のスパッタ膜の膜厚は5000Åであった。その後、アルミナ基板10を3.5×3.5mmに分割し、スパッタ膜の中央部をレーザートリミング装置でカットして電極間隔21を形成した。作製したセンサチップの中央部にカーボンマスクを用いて1×1mmの酸化スズからなる感応部30を溶射した。なお、本実施例では75mmφのトーチを用いて80kWの溶射パワーで成膜した。
そして、センサチップを800℃で1時間にわたり焼成した後、ホルムアルデヒドの感度を調べた。センサ特性はセンサチップをホットプレート上にセットし、所定の温度でのセンサ抵抗を測定して評価した。また、ホルムアルデヒドの感度は、清浄大気中でのセンサ抵抗Rairと、ホルムアルデヒド2ppm中でのセンサ抵抗Rgasとの比(Rgas/Rair)で評価した。ホルムアルデヒドとセンサ温度との開係を調べると、図3の結果が得られた。
図3に示すように、溶射法で作製したセンサチップのホルムアルデヒド感度は、センサの動作温度に依存し、センサの動作温度が300℃付近で最大感度になることが分かった。また、センサ感度はRgas/Rair=0.20と極めて高い感度が出現することを確認できた。一方、印刷法で作製した比較例2のセンサチップの感度は、300℃でもRgas/Rair=0.90とほとんど感度が得られなかった。このように溶射法は、従来の成膜方法に比べ極めて優れた方法であるといえる。なお、後述する実施例においては、動作温度を300℃で一定にしてホルムアルデヒド感度を測定した。
(実施例3)
感応部を成膜する際に溶射パワーを変化させたこと以外は、実施例2と同様の工程にて、センサチップを作製した。本実施例にて作製したセンサチップのホルムアルデヒド感度と溶射パワーとの関係を調べると、図4の結果が得られた。
図4に示すように、ホルムアルデヒドの感度は、溶射パワーが60kWぐらいで最大感度になることが分かった。なお、図4は75mmφのトーチを用いた場合の結果であるが、当然、トーチの寸法が異なれば最適なパワーも変動することは容易に推測できる。
(実施例4)
センサチップを焼成する際に焼成温度を200〜1000℃まで変化させたこと以外は、実施例2と同様の工程にてセンサチップを作製した。本実施例にて作製したセンサチップのホルムアルデヒド感度と焼成温度との関係を調べると、図5の結果を得た。
図5に示すように、ホルムアルデヒドの感度は、600℃〜800℃の焼成温度で最大感度が得られることが分かった。溶射膜の感応部を200〜1200℃の温度で熱処理することで、センサ表面が鋭敏化され、その結果としてホルムアルデヒド感度が増感するものと考えられる。
一方、比較例2についても、本実施例と同様に焼成温度を変化させてセンサチップを作製し、ホルムアルデヒド感度を調べた。その結果を図5に併記した。図5に示すように、比較例2では、焼成温度を変化させてもRgas/Rairは向上せず、ホルムアルデヒド感度はほとんど得られなかった。このように高周波誘導プラズマ溶射法では成膜後の熱処理が重要であり、印刷法では見られない特異的な現象であるといえる。
(実施例5)
実施例2で作製したセンサチップについて、ホルムアルデヒドのガス感度とガス濃度との関係を調べた。すなわち、ホルムアルデヒドの濃度を0.1〜10.0ppmに変化させて、その時のセンサ抵抗Rgasとしたこと以外は、実施例2と同様の手順にてホルムアルデヒド感度(Rgas/Rair)を算出した。その結果を図6に示す。図6に示すように、800℃で焼成したセンサは、ホルムアルデヒドの濃度を0.1ppmまで低くしても、ホルムアルデヒド感度(Rgas/Rair)の大幅な変化を示した。さらに、環境基準である80ppbのホルムアルデヒドについても試験を行った結果、Rgas/Rair=0.62であり、80ppbという極めて低濃度ホルムアルデヒドであっても十分に検知できることを確認した。
一方、比較例3として、焼成しなかったこと以外は実施例2と同様の工程にてセンサチップを作製し、このセンサについても同様にホルムアルデヒド感度を調べた。その結果を図6に併記した。図6に示すように、未焼成である比較例3のセンサでは80ppbの検知は困難であり、焼成による熱処理効果は非常に重要であることが再確認された。
(実施例6)
溶射膜の原料として、酸化スズに含浸法で表2に示す金属を0.5原子%添加したものを使用したこと、及びホルムアルデヒドの濃度を40ppbと80ppbに設定したこと以外は、実施例2と同様の工程にてセンサチップを作製し、これらセンサについてホルムアルデヒド感度(Rgas/Rair)を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2006023224
表2に示すように、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、セリウム(Ce)、タングステン(W)の各金属元素を添加した場合は、添加物を含有しない酸化スズのみの場合と比べて、ほぼ同等のガス感度か又は低いガス感度しか得られなかった。一方、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)を添加した場合は、添加物を含有しなかった場合と比べて、ガス感度が著しく向上した。なお、添加物によるガス感度向上の効果をわかりやすく示すため、インジウムを添加した場合を図6に併記した。図6に示すように、検知材料である金属酸化物に所定の添加物を加えることで、80ppb以下の更なる低濃度のホルムアルデヒドであっても安定して検知できることがわかる。
本発明に係るガス検知素子の一実施形態を示す平面図である。 本発明に係るガス検知素子の一実施形態を示す側面図である。 動作温度に対するホルムアルデヒド感度の変化を示すグラフである。 溶射パワーに対するホルムアルデヒド感度の変化を示すグラフである。 焼成温度に対するホルムアルデヒド感度の変化を示すグラフである。 ガス濃度に対するホルムアルデヒド感度の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 ガス検知素子
10 アルミナ基板
20 Auスパッタ電極
21 電極間隔
30 ガス感応部

Claims (9)

  1. 揮発性有機化合物を検知するガス検知素子であって、基板と、前記基板上に設けられた金属酸化物を主成分とするガス感応部とを含んでなり、前記金属酸化物が、高周波誘導プラズマ溶射法により溶射された後、熱処理されたものであるガス検知素子。
  2. 前記熱処理の温度が100〜1200℃の範囲である請求項1に記載のガス検知素子。
  3. 前記高周波誘導プラズマ溶射法における溶射パワーが7kW〜l00kWの範囲である請求項1又は2に記載のガス検知素子。
  4. 前記ガス検知素子の動作温度が200〜500℃の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のガス検知素子。
  5. 前記ガス感応部は、前記金属酸化物に、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素又はその化合物が添加されたものであり、前記添加された金属元素又はその化合物は、前記金属酸化物とともに高周波誘導プラズマ溶射法により溶射されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のガス検知素子。
  6. 揮発性有機化合物を検知するガス検知素子の製造方法であって、高周波誘導プラズマ溶射法により基板上に金属酸化物を溶射する工程と、この溶射された金属酸化物を熱処理する工程とを含んでなる製造方法。
  7. 前記熱処理の温度が100〜1200℃の範囲である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記高周波誘導プラズマ溶射法における溶射パワーが7kW〜l00kWの範囲である請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記金属酸化物とともに、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウム及びランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素又はその化合物を高周波誘導プラズマ溶射法により溶射する請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
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