JP2003065989A - 金属酸化物半導体ガスセンサ - Google Patents
金属酸化物半導体ガスセンサInfo
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Abstract
に、経時変化などによる影響を受け難い金属酸化物半導
体ガスセンサを提供する。 【解決手段】 基板10上に電極15を形成し、その
後、基板を載置するための断熱板22を内蔵した減圧タ
ンク21および減圧タンクに接続され且つ粉末導入プロ
ーブ26と高周波コイル25とを具備したプラズマトー
チ24からなる誘導プラズマ溶射装置20を用い、基板
を断熱板上に載置し、粉末導入プローブの基板側先端と
基板との間隔を1,000mm以下に設定し、減圧タンク
を減圧するとともに高周波コイルにより高周波誘導プラ
ズマを発生させつつ、粉末導入プローブから金属酸化物
粉末を供給して、基板表面に粒径の大きい大粒部および
大粒部の周面に形成された多数の小粒部からなる金属酸
化物を堆積させた金属酸化物半導体ガスセンサ得る。
Description
り詳しくは、本発明は、基板上に酸化スズ(Sn
O2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO
3)等の金属酸化物の薄膜を形成して金属酸化物に吸着
したガスによる電気伝導度の変化によりガスの存在や濃
度を検出するようにした金属酸化物半導体ガスセンサに
関する。
(認識機能)と、それを電気(光)信号に変換する機能
(変換機能)を持っているものである。ガスセンサとし
ては、ガスの検出機能が高いこととともに、長期間に亘
り安定した検出が行えることが要求される。
度は素子の微細構造と密接に関係している。従来の薄膜
センサにおいては、ガスセンサの感度を高めるために
は、センサを構成している金属酸化物の粒子をできるだ
け小さくし且つ一様のものにしようとしている。しかし
ながら、粒の小さい金属酸化物のみを基板上に形成した
のでは、金属酸化物を堆積すると、多数の小さい粒子が
互いに隙間がない状態に密に堆積されてしまい、検知さ
れるべきガスの流入が阻害されるため、結局、ガスセン
サの検知性能を高めることができない。また、この粒度
の小さい金属酸化物のみを堆積させたのでは、膜の機械
的強度が充分ではなく、また使用による特性の変化が生
じ易い。
サが提案されている。例えば、特公昭62−28420
号公報には、不純物による汚染の少ない安定した特性を
有する高信頼性のセンサを提供するものとして、電気絶
縁性基体と、該基体上に形成された電極と、前記基体表
面の被測定物質のガスを検知する部分に位置し、前記電
極と電気的に接触するガス感応膜を有するセンサにおい
て、前記ガス感応膜が粒径25μm以下のペロブスカイ
ト構造の酸化物半導体の溶射皮膜からなり、且つ該皮膜
表面にプラズマ溶射後の冷却過程で形成された多数の微
細クラックを有することを特徴とするセンサが開示され
ている。
に高さ0.1〜10μ、直径0.02〜1μの繊維状微
細突起を単位面積当り2.5×105〜6.25×10
8個/mm2の範囲の個数密度で密生させておき、この突
起上にスパッタリング法、真空加熱蒸着法、又はイオン
プレーティング法により酸化物半導体を析出させながら
隣接する突起が互いに接触するまで成長させて微粒子配
向膜としたガス感応膜の製造方法が提案されている。
間の使用によりガス感応物質である金属酸化物半導体の
結晶粒が増大し、ガス感度が低下することを防止するた
めに、ガス感応物質の層である金属酸化物半導体の層
を、その形態を異にする複層構造とすることが提案され
ている。すなわち、従来のガスセンサにおいては、基板
上の金属酸化物をできるだけ均一な形状とすることによ
りガスのセンサ感度を高めようとしていたのに対し、こ
の方法では充分に対応しきれないために、特開平4−2
12048号公報においては、基板上に形態の異なる複
数の膜を複層構造に形成するものである。
案がされている。しかし、特公昭62−28420号公
報のセンサは、特殊構造の皮膜を有するセンサであるた
めに、その製造が難しく、また安定性が不充分である。
特公平7−31146号公報に提案の方法では、基板に
特殊加工を行うため、その製造が非常に難しい。
しての感度が極めて高いとともに、経時変化などによる
影響を受け難いセンサを提供することを目的とする。
の目的を、基板上に金属酸化物を形成した半導体ガスセ
ンサにおいて、前記金属酸化物は、粒径の大きい大粒部
および該大粒部の周面に形成された多数の小粒部からな
ることを特徴とする金属酸化物半導体ガスセンサによ
り、達成する。
積し形成される金属酸化物は、粒径の大きい大粒部と多
数の小粒部からなっている。そして、この小粒部は大粒
部の周面に形成されているものである。これにより粒度
の小さい多数の小粒部は、ガスに接触する表面積が大き
く、ガスセンサとして良好な検知を行い、結果として極
めて高いガス検知特性が実現できる。一方、この多数の
小粒部は大粒部の周面に形成されているために、金属酸
化物が堆積して形成された膜の機械的強度は大粒部によ
って維持される。また、大粒部間の隙間が充分に保持さ
れ、その隙間にガスが容易に侵入できるので、膜内部に
形成された小粒部もセンサ機能を発揮し、全体としてセ
ンサの感度が高い状態で保たれるとともに、長期に亘り
安定した特性を発揮することができる。
センサにおいては、大粒部の周面に多数の小粒部が形成
されている状態は、金属酸化物半導体ガスセンサの表面
を電子顕微鏡で観察することにより、確認できる。
粒部の粒径は大粒部の粒径の1/5以下、より好ましく
は1/8以下とすることにより、多数の小粒部が大粒部
の周りに形成されるようにすることが好ましい。
は、金属酸化物半導体ガスセンサの表面を適宜の倍率
(例えば、5万倍)の電子顕微鏡で観察することによ
り、確認できる。
においては、粒径が0.3μm以上の粒子の周面に、粒
径が0.1μm以下の多数の微粒子が存在している。こ
のように、粒径が0.3μm以上の粒子の周面に、粒子
が0.1μm以下の多数の微粒子が存在することによ
り、極めて高いガス感度が得られる。
を製造する方法を提供するものであり、本発明によれ
ば、基板上に電極を形成し、その後、前記基板を載置す
るための断熱板を内蔵した減圧タンクおよび該減圧タン
クに接続され且つ粉末導入プローブと高周波コイルとを
具備したプラズマトーチからなる誘導プラズマ溶射装置
を用い、前記基板を前記断熱板上に載置し、前記粉末導
入プローブの基板側先端と前記基板との間隔を1,00
0mm以下に設定し、前記減圧タンクを減圧するととも
に、前記高周波コイルにより高周波誘導プラズマを発生
させつつ、前記粉末導入プローブから金属酸化物粉末を
供給して、前記基板表面に金属酸化物を堆積させること
を特徴とする金属酸化物半導体ガスセンサの製造方法が
提供される。この発明においては、基板上の金属酸化物
の形成は高周波誘導プラズマ溶射装置を用いて形成され
る。これにより粉末導入プローブから導入された金属酸
化物は高周波誘導プラズマにより溶融・蒸発し、しかも
粒子同士は衝突を繰り返し、基板上に例えば10m/s
ec以下の低速度で到達するために、従来の直流プラズ
マ溶射装置の如く溶融金属酸化物粒子が基板に極めて高
速で直撃されるものではない。
た金属酸化物粉末は高温のプラズマにより、その一部は
表面で溶融・蒸発し、飛行中に衝突を繰り返し互いに付
着して大粒となる。粒子の一部は粒子同士が衝突せずエ
ネルギーを失わずに基板上で急速に凝固する。また、プ
ラズマフレーム内で蒸発を免れた一部粒子は原料粉末オ
ーダー程度の粒子となる。更に、金属酸化物粉体の一部
はプラズマの高温エネルギにより、更に細かく分解され
る。これらにより種々の大きさの粒子が、キャリアガス
(例えば、アルゴンガス)とともに基板に搬送される
が、基板に大きな速度で衝突するのではなく、低速度で
基板上に到達する。このため、本発明に係る金属酸化物
半導体ガスセンサでは、大粒部と、大粒部の周面に付着
した小粒部から構成される。
雰囲気中で長時間滞在させると、粉末状の金属酸化物が
均一の小粒となるため、基板とプローブの基板側先端の
間隔を1,000mm以下に設定することにより、誘導プ
ラズマ内での粒子の滞在時間を長過ぎないようにして、
この本発明に係る金属酸化物半導体ガスセンサでは大粒
部と大粒部の周面に付着した小粒部からなる金属酸化物
が確実に堆積されるようにしている。
℃以下に保持して上述した高周波誘導プラズマ溶射を行
うことを特徴としている。このように基板温度を比較的
低温に保持することによって、本発明に係る金属酸化物
半導体ガスセンサにおける金属酸化物のように大粒部と
小粒部の構造が確実に得ることができる。
しては、基板を載置する断熱板内部に熱電対のような温
度検知器と冷却装置とを設け、基板の表面温度が250
℃以下になるように制御してもよいし、または、基板を
載置する断熱板内部に熱電対のような温度検知器を設け
て基板温度が250℃を越えないように誘導プラズマの
溶射をオン、オフするようにしてもよいし、或いは誘導
プラズマ装置のコイルに流れる電流の強弱を制御しても
よい。
参照して、本発明を詳細に説明する。本発明に係る金属
酸化物半導体ガスセンサの一実施例の製造においては、
基板を作製し、基板を所定の大きさに裁断し、その上に
櫛形電極を作製し、このようにして作製した櫛形電極の
上に金属酸化物(本実施例においては酸化スズ)を溶射
堆積するものである。
チャートを参照して説明する。本発明に係る金属酸化物
半導体ガスセンサの一実施例の製造においては、図1
(a)の左側に示すように、基板10としてアルミナ基
板10を用いている。先ず、基板10を作製するための
アルミナ基板10として、本実施例においては、厚さ
0.8mmの純度96%のアルミナ板を用いた。このアル
ミナ板の大きさは50×100mmである。
の膜の厚さが、例えば10μm程度と薄い場合には、こ
のアルミナ基板上に直接金属酸化物を膜状に堆積しても
よい。
スズ)膜とアルミナとの密着性を高め、熱膨脹係数の違
いによる膜の剥離を防止するために、アルミナ基板10
上に粉末ガラスを塗布している。
ズの粉とを乳鉢で混練し、この混練物をビヒクルで溶か
してペースト状にし、刷毛でアルミナ基板10上に塗
り、その後、ビヒクルを200℃で乾燥し、950℃で
5時間焼成して厚さ100μmの下地11を形成した。
このように形成したガラス層の成分は、ガラスが7.5
wt%、アルミナが27.5wt%、酸化スズが65wt%で
ある。
10の原材料を所定の基板10の大きさに裁断する。本
実施例においては、15×25mmに裁断し、このように
して形成した基板10の上にカプトンテープを貼付け
て、電極15の幅および電極15間の距離が約0.5mm
となるように櫛形状にマスキングし、この状態で98wt
%Au−Pd合金を膜厚約0.5μmでスパッタコーテ
ィングした。図1(b)はこのようにして電極を形成し
た基板の平面図であり、図1(c)は図1(b)のc−
c断面図である。
基板10の上に、金属酸化物を高周波プラズマ溶射によ
り堆積するものであり、金属酸化物としては酸化スズ
(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン
(WO3)等を用いることができる。金属酸化物とし
て、できるだけ粒径の小さいものを用いることがよい。
この粒径の程度により、得られる金属酸化物のうちの特
に小粒部の粒径が影響される。この金属酸化物は、取扱
いが容易なように、造粒して使用する。この造粒は、本
実施例においては図1(a)のフローチャートの右側に
を示すように行った。すなわち、PVA10%水溶液、
約200ccに酸化スズ50gを攪拌混合し、水分を乾燥
し、乳鉢で粉砕し、65μm以下に篩分けをし、このよ
うにして得られたものを誘導プラズマ溶射装置20の粉
末導入プローブから供給した。
0を、図2を参照して説明する。この誘導プラズマ溶射
装置20には、内容積が約700Lの減圧タンク21
(主コーティング室)があり、その内部に前述のように
して作製した基板10を載置するグラファイトブロック
などからなる断熱板22が設けられている。
L/minの水封ポンプ(図示せず)が接続されていて、
内部を減圧することができるようになっている。
3が設けられていて、基板10の温度を検出することが
できるようになっている。
トーチ24が設けられている。プラズマトーチ24に
は、高周波電流を供給する高周波コイル25が設けられ
ており、高周波電流が供給されるようになっている。
5の取り囲む空間の内部に向けて、粉末導入プローブ2
6が延びており、粉末導入プローブ26から基板10上
に堆積させる金属酸化物を供給するようになっている。
この供給に際しては、金属酸化物(本実施例においては
酸化スズ)をキャリアガスとしてアルゴンを用いて供給
するようにしている。この場合に本発明において重要な
ことは、粉末導入プローブ26の基板10側先端と断熱
板22上の基板10との間隔を1,000mm以下に設定
することであり、好ましくは300〜600mm程度に設
定する。更に、プラズマトーチ24には、プラズマ用ガ
ス導入口27から、アルゴンなどの不活性ガスがラジア
ルとスワールの2成分で導入されるようになっている。
供給される金属酸化物の粉末としては、好ましくは、例
えば、シーアイ化成株式会社からナノ粉末SnO2とし
て市販されている酸化スズ(平均粒径が1/100μm
オーダー)が好ましいが、関東化学株式会社から試薬S
nO2として販売されている酸化スズ(平均粒径がミク
ロンオーダー)でも用いることができる。
は、高周波コイル25によって高周波プラズマが発生さ
れる。この高周波プラズマ中にキャリアガスであるアル
ゴンに載った状態で酸化スズが供給され、この酸化スズ
の粒子はプラズマ中でプラズマ粒子と相互作用をしつつ
基板10上に堆積されていく。すなわち、粉末導入プロ
ーブ26から導入された金属酸化物粉末は高温のプラズ
マにより、その一部は表面が溶融され、溶融した粒子同
士が互いに付着して大粒となったり、互いに付着しない
粒子は原料粒子オーダー程度の粒子となる。更に、上述
した粒子の一部はプラズマの高温エネルギにより、更に
細かく分解される。これら種々の大きさの粒子は、キャ
リアガス(アルゴンガス)とともに基板10に搬送され
るが、基板に大きな速度で衝突するのではなく、低速度
態で基板10上に到達する。
トーチ24との間に放電によってプラズマが発生され、
この発生したプラズマへは外部回路から高周波コイル2
5を通してエネルギーが供給され、プラズマ状態が維持
される。また粉末導入プローブ26から供給される金属
粉末はキャリアガスのアルゴンによって搬送され、粉末
導入プローブ26と減圧タンク21内部との圧力差によ
って運ばれる。
到達圧力は約6700Paであった。また高周波コイル
25に供給されるパワーは36.3KW(5.5KV×
6.6A)であった。金属酸化物粉末として酸化スズを
0.1g/minで粉末導入プローブ26から供給した。
また、粉末導入プローブ26からキャリアガスとしてア
ルゴン10L/minを供給し、更に、プラズマ用ガス導
入口27からアルゴンガスを55L/minで供給した。
電対22を温度検知器として設けて基板10の温度が2
50℃を越えないように誘導プラズマの溶射をオン、オ
フし、これにより、基板10の温度を250℃以下に保
持した。堆積時間は5分間とした。このようにして基板
10上に金属酸化物を堆積し、金属酸化物は、その後、
600℃の温度で大気中で100分間熱処理をし、本発
明に係る金属酸化物半導体ガスセンサを得た。
の断面構造を図3に示す。図3に示すように、このガス
センサはアルミナ基板10の上にガラス層11が形成さ
れ、その上に電極15が形成され、その電極15の上を
覆うようにして酸化スズ膜17が形成されている。
導体ガスセンサのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示
す。図4(a)は供給粉末がナノ酸化スズ(シーアイ化
成株式会社販売で平均粒径が1/100μmオーダー)
であり、56μmの厚さのガラス層の上に168μmの
酸化スズ層が形成されていた。また図4(b)は試薬S
nO2(関東化学株式会社販売で平均粒径がミクロンオ
ーダー)を用いたものであり、同様にガラス層48μm
の上に酸化スズ層(116μm)が形成されていた。図
4(a)、(b)には、白い部分として酸化スズの研磨
した大粒が表れている。なお、電極は見えない。
た形成した金属酸化物半導体ガスセンサ表面の顕微鏡写
真であり、図5(a)は倍率が5万倍であり、図5
(b)は倍率が30万倍である。
10表面には比較的大きな粒径2μm程度の大粒部が画
面全体に見えている。この大粒部をよく見ると、その表
面には60〜120nmの小径の小粒部が多数付着して
いる。図5(a)においては、粒径が0.3μm以上の
粒子の周面に、粒径が0.1μm以下の多数の微粒子が
存在していることが分かる。この状態を更に拡大して見
ると、図5(b)の写真に示すように、粒径が60〜1
20nm程度の大粒部の表面には10〜30nm程度の
小粒部が幾つも形成されている。このように、本発明の
金属酸化物半導体ガスセンサにおいて、金属酸化物は単
純に大粒部、小粒部の2種類ではなく、構造としては大
粒部の周面に小粒部が形成され、この構造が多段階に構
成されており、言わばフラクタル状に形成されているも
のである。
2を用いた場合にも観察される(図6(a)および図6
(b)参照)。なお、図6(a)は倍率が1万倍、図6
(b)は倍率が10万倍のSEM写真である。図6
(a)においては、粒径が3〜4μmの粒子の周面に粒
径が0.1〜1μmの多数の小粒子が存在しており、こ
の小粒子を拡大した図6(b)によれば、粒径が約0.
6μmの粒子の周面に、粒径が0.1μm以下の多数の
微粒子が存在しており、粒径が0.3μm以上の粒子の
周面に、粒径が0.1μm以下の多数の微粒子が存在し
ていることが分かる。
導体ガスセンサ表面の金属酸化物は粒の大きい大粒部と
小さい小粒部とからなっており、小粒部は大粒部の周面
に形成されている。これにより小粒部はガスの検知機能
を担持し、これに対し大粒部は粒が大きいために充分な
強度を維持するとともに、その粒間の充分な空隙を確保
することにより、金属酸化物半導体ガスセンサの機能を
充分に保証する。
の特性を示す。図7は本発明の金属酸化物半導体ガスセ
ンサ(ナノ酸化スズの膜をガラス層上に形成したガスセ
ンサ)を用いて、285℃において種々の濃度のNO2
の検知実験を行ったものである。約500秒の時点にお
いて、NO2を導入したときの抵抗変化を検出して検知
濃度をテストしたものであり、抵抗値測定機器として、
株式会社アドバンテスト社製のデンタルマルチメータT
R6878を用いた。このテストによれば、導入したN
O2濃度は、図7(a)においては10ppm、図7
(b)においては0.18ppm、図7(c)においては
0.074ppmであり、本発明の金属酸化物半導体ガス
センサによれば、実に、0.074ppmのNO2をも検
知できることが分かった。
体ガスセンサを用いて、285℃において、種々の濃度
のNO2を連続的に供給したときの金属酸化物半導体ガ
スセンサの出力状況を示したものであり、抵抗値測定機
器として、図7に示した場合と同様に、株式会社アドバ
ンテスト社製のデンタルマルチメータTR6878を用
いた。NO2として、74ppbから110、370、7
40、1100、5800ppbの濃度のものを順次供給
・停止を繰返したところ、これら濃度に応じて出力が確
実に変化するとともに、ガスを止めると素子の抵抗はガ
ス投入前の値にほぼ復帰している。これにより本発明に
よりセンサの繰返し性能およびそれによる濃度に対する
感度が十分であり、且つ安定していることが示されてい
る。
属酸化物半導体ガスセンサは室温(25℃)において
も、50ppmNO2を検知できた。
末として、酸化スズ(SnO2)を用いていた。しか
し。本発明においては酸化スズ(SnO2)に代えて、
酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)等の
金属酸化物を金属酸化物粉末として用いてもよい。更
に、酸化スズを主成分として、これに、パラジウム、白
金、アンチモン、ジルコニウムまたはランタンを金属ま
たは金属酸化物の形で混合、造粒して本発明の金属酸化
物粉末として用いてもよい。なお、造粒方法は前述した
実施例と同様に行うことができる。また、全金属酸化物
に占めるパラジウム、白金、アンチモン、ジルコニウム
またはランタンの添加量の割合は10%程度位までとす
る。
wt%添加し、造粒した金属酸化物粉末を本発明方法に従
い溶射堆積して得たガスセンサ素子のガス特性と、酸化
スズのみを造粒した金属酸化物粉末を本発明方法に従い
溶射堆積して得たガスセンサ素子のガス特性とを比較し
た線図である。すなわち、測定温度300℃で、上述し
た2種類のセンサ素子につきNO2ガスの吸着・脱離を
繰返し、NO2ガスを止めたときの素子抵抗値(素子抵
抗の零点)を繰返し回数に対してプロットしたものであ
る。
れたガスセンサ素子は、酸化スズのみのガスセンサ素子
に比べて素子抵抗が安定していること、すなわち、NO
2ガスを止めたときの素子抵抗値の変化が小さいことが
分かる。
あるいは金属酸化物の形で混合すると素子抵抗が安定す
る。同様に、酸化スズに、パラジウムまたはジルコニウ
ムを金属または金属酸化物の形で混合するとガスセンサ
素子としての感度が増す(増感する)。また、酸化スズ
に、アンチモンを金属または金属酸化物の形で混合する
と素子の低抵抗化が図れる。
いる酸化スズなどの金属酸化物を粒径の大きい大粒部
と、その大粒部の周面に形成された小粒部とによって構
成している。これにより大粒部は強度面を担持しつつ大
粒部間の隙間を保持することによりセンサとして必要な
強度とガスに対する目詰まりをなくすようにしている。
一方、大粒部の周面に形成された小粒部によってセンサ
として必要な表面積を確保することにより十分なセンサ
機能を発揮するようにしている。これにより本発明によ
れば極めて感度の優れた、そして安定性のよい金属酸化
物半導体ガスセンサが提供される。
ンサの製造過程を示すフローチャートであり、(b)は
電極を形成した基板の平面図、(c)は(b)のc−c
断面図である。
である。
面図である。
ンサのSEM(走査型電子顕微鏡)写真であり、(a)
はナノSnO2を供給粉末として用いたもの、(b)は
試薬SnO2を供給粉末として用いたものである。
係る金属酸化物半導体ガスセンサ表面のSEM(走査型
電子顕微鏡)写真であり、(a)は倍率が5万倍、
(b)は倍率が30万倍である。
係るセンサのSEM(走査型顕微鏡)写真であり、
(a)は倍率が5万倍、(b)は倍率が10万倍であ
る。
子を用い酸化スズ膜をガラス層上に形成したガスセン
サ)を用いて、285℃において行なった種々の濃度の
NO2の検知実験の結果を示す線図であり、(a)にお
いては10ppm、(b)においては0.18ppm、(c)
においては0.074ppmののNO2を供給した。
いて、285℃において、種々の濃度のNO2を連続的
に供給したときの金属酸化物半導体ガスセンサの出力状
況を示す線図である。
いて、室温(25℃)において行なった50ppmNO2
の検知結果を示す線図である。
属酸化物粉末を用いたガスセンサ素子と、酸化スズのみ
を用いたガスセンサ素子のガス特性の比較線図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 基板上に金属酸化物を形成した半導体ガ
スセンサにおいて、前記金属酸化物は粒径の大きい大粒
部および該大粒部の周面に形成された多数の小粒部から
なることを特徴とする金属酸化物半導体ガスセンサ。 - 【請求項2】 前記小粒部の粒径が前記大粒部の粒径の
1/5以下であることを特徴とする請求項1に記載の金
属酸化物半導体ガスセンサ。 - 【請求項3】 粒径が0.3μm以上の粒子の周面に、
粒子が0.1μm以下の多数の微粒子が存在しているこ
とを特徴とする金属酸化物半導体ガスセンサ。 - 【請求項4】 基板上に電極を形成し、その後、前記基
板を載置するための断熱板を内蔵した減圧タンクおよび
該減圧タンクに接続され且つ粉末導入プローブと高周波
コイルとを具備したプラズマトーチからなる誘導プラズ
マ溶射装置を用い、前記基板を前記断熱板上に載置し、
前記粉末導入プローブの基板側先端と前記基板との間隔
を1,000mm以下に設定し、前記減圧タンクを減圧す
るとともに前記高周波コイルにより高周波誘導プラズマ
を発生させつつ、前記粉末導入プローブから金属酸化物
粉末を供給して、前記基板表面に金属酸化物を堆積させ
ることを特徴とする金属酸化物半導体ガスセンサの製造
方法。 - 【請求項5】 前記基板温度を250℃以下に保持する
ことを特徴とする請求項4に記載の金属酸化物半導体ガ
スセンサの製造方法。 - 【請求項6】 前記金属酸化物粉末として、酸化スズ
に、パラジウム、白金、アンチモン、ジルコニウムまた
はランタンを金属または金属酸化物の形で混合、造粒し
たものを用いることを特徴とする請求項4または5記載
の金属酸化物半導体ガスセンサの製造方法。
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