JP2006015115A - 調理機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材の内面にフッ素樹脂コートを形成した調理用の鍋、プレート、庫内において、フッ素樹脂コートの厚膜化を伴わずに耐摩耗性の改善を可能とし、しかも、調理物に対する高い非粘着性を維持し、なお且つ、フッ素樹脂コートの下地処理上に処理された表示の視認性をも十分に確保できる器や庫内を備えた調理機器を提供する。
【解決手段】基材内面にフッ素樹脂コート14を形成し、フッ素樹脂コート14のトップコート17内部の表層側には添加材粒子18として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子を偏在させ、他方、トップコート17の下層側には炭化珪素やダイヤモンドの添加材粒子18が全く、あるいはほとんど存在しないクリア層19を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】基材内面にフッ素樹脂コート14を形成し、フッ素樹脂コート14のトップコート17内部の表層側には添加材粒子18として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子を偏在させ、他方、トップコート17の下層側には炭化珪素やダイヤモンドの添加材粒子18が全く、あるいはほとんど存在しないクリア層19を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、基材の内面にフッ素樹脂コートを形成した鍋、プレート、あるいは、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器に関するものである。
従来、広く世間一般に市販されている炊飯器等の調理機器に用いられる鍋は、その基材がアルミニウム単体から形成されるか、または、アルミニウムとステンレスの張り合わせ材、あるいは、アルミニウムとステンレスと銅の張りあわせ材等、複合材料を基材として製造されているものが主流である。
炊飯器用の鍋を一例として述べると、これら金属製の炊飯器用鍋は、通常は調理物であるご飯が強く付着することを防止するために、その内面にフッ素樹脂コートが処理されており、ご飯に対する非粘着性を向上させている。
鍋の内面に処理されるフッ素樹脂コートは、1層構造をとるものから2層、あるいは、3層となっているのが通常であるが、良好な非粘着性、高い耐久性および外観性を得る観点から2層以上のフッ素樹脂コートとすることが好ましい。
2層のフッ素樹脂コートでは、基材のサンドブラスト処理等で基材に適度な表面粗さを得た後に、プライマと呼ばれる接着層を成膜後膜厚が10μm前後となるように基材上に塗装した上で、その上層にトップコートを成膜後膜厚が50μm前後となるように塗装処理し、400℃付近で約20分間焼成することにより成膜化してフッ素樹脂コートとなる。
プライマにはフッ素樹脂の他、接着樹脂や顔料、光輝材を含み、接着機能の他、所望の色や光輝感を呈する役割を果たし、他方、トップコートはポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロエチレン=パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフロロエチレン=ヘキサフロロエチレン共重合体(FEP)といったフッ素樹脂を単独かあるいは混合で用い、場合によってはこれらのフッ素樹脂に顔料や光輝材を添加して用いることもあるが、トップコートに多量の添加物を混入すると非粘着性が悪化するので、通常炊飯器に用いる鍋の場合にはトップコートはフッ素樹脂単体で使用するか、極微量の顔料や光輝材の添加にとどめている。
また、炊飯器用鍋の場合には水位線表示部があり、米の分量に合わせた水量調節用の水位表示の他、文字、数字、記号等の表示がなされており、これらは鍋に刻印されている場合もあるが、2層のフッ素樹脂コートではプライマ上にプライマとは異なる色で水位線表示部を印刷し、その上に透明なトップコートを処理していることが多く、この構成により、水位線表示部が摩耗等の物理的負荷から免れるとともに、水位線表示部上に透明なトップコートを設けているので、水位線の視認性が確保できる。
しかしながら、水位線表示部上に塗装されるトップコートに何らかの添加物を混合してしまうと、その添加物で光が遮られるために水位線表示部の視認性が悪化することになり、この意味からもトップコートには添加物を極力混合しないことが望ましい。
以上、2層のフッ素樹脂コートを中心に述べたが、3層の場合においては、プライマ塗装後、中間コートを塗装し、その上層にトップコートを塗装するものであり、2層コートと同様に、トップコートには非粘着性の確保や水位線表示部の視認性確保の観点から顔料や光輝材等の添加物を極力加えないことが一般的である一方、中間コートにおいては非粘着性の確保が目的ではないため多少の添加物を加えることもある。
ここで、フッ素樹脂コートとしての基本性能を考察してみると、ご飯の非粘着性の確保や水位線の視認性は重要な観点であるが、実使用の観点からさらに詳細に検討してみた場合、炊飯器の鍋内部で米を研ぐ、いわゆる洗米と言われ米が強くフッ素樹脂コートに押し付けられる負荷や、鍋洗浄時にナイロンたわしなど摩耗性のある洗浄具による擦れ負荷等、フッ素樹脂コートは高い摩耗環境に置かれることを想定しなければならない。
一般的に、フライパン等に用いられるフッ素樹脂コートの耐摩耗性を向上する手段としては、トップコートにセラミックス粒子等、無機充填材を多量に添加してトップコートの硬度を向上するといった手法がとられてきたが(例えば、特許文献1参照)、前述のように炊飯器用鍋のフッ素樹脂コートにおいては、非粘着性や水位線表示部の視認性確保の観点から同様な手法を採用することは難しい。
そこで、従来、炊飯器用鍋等においては、フッ素樹脂コートの耐摩耗性を向上する手段としては、トップコートを極力厚膜化して膜厚をかせぐことにより耐摩耗性の向上を図ってきたが、厚膜化の手法としてはフッ素樹脂の粉体塗料を限界まで厚く塗装するか、前述の中間コートでも厚さをかせぎ、トップコートの厚さとの相加効果を持たせたものがあった。
通常は30〜50μm程度の厚さのフッ素樹脂コートはこの厚膜化により100μm程度にすることが可能であり、厚さに応じて耐摩耗性の向上が期待できる。
特開2001−218684号公報
上述のように、炊飯器用鍋のフッ素樹脂コートに高い非粘着性、水位線の良好な視認性、高い耐摩耗性といった機能を付与しようとすれば、トップコートはセラミックス等の添加材を含有せず、フッ素樹脂コートは100μmもの厚膜とする必要がある。
しかしながら、フッ素樹脂は高価な材料であり、工業製品である炊飯器の大量生産を考慮した場合、極力使用量を抑えて厚さを薄くすることが望ましい。
フッ素樹脂コートの厚さを薄く抑えるにはトップコートに硬度の高い物質を多量に入れることも可能ではあるが、耐摩耗性の向上に効果のある程度まで添加材をトップコートに添加すると、前述のように、非粘着性が悪化する上、水位線の視認性も悪くなり、炊飯器用の鍋としての機能を十分に果たさない。
これらの諸事情は炊飯器用鍋にとどまらず、グリル鍋、ホットプレート、焼肉プレートに使用される鍋やプレートのフッ素樹脂コートやジャーポット、電子レンジ、ホームベーカリー、オーブントースター、フィッシュロースターの庫内に処理されるフッ素樹脂コートでも同様である。
また、炊飯器等の鍋に塗装されたフッ素樹脂コートの場合には、フッ素樹脂コート自体が強い撥水性を有することから、鍋に水を入れて加熱したときに生じる泡がなかなかフッ素樹脂コート表面から離脱せずに大きく成長する傾向にあり、このため鍋内の調理物への熱の受け渡しがスムーズにいかずに良好な対流を生じにくく、調理結果に不具合をもたらす場合がある。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、厚膜化を伴わずに耐摩耗性の改善を可能とし、しかも、調理物に対する非粘着性を維持し、さらに、フッ素樹脂コートのプライマ上に印刷された表示の視認性をも十分に確保できる鍋、プレート、庫内を備えた調理機器を提供し、また、鍋においては、フッ素樹脂コート面から調理物への熱の受け渡しをスムーズにし、良好な調理結果をもたらすことを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、基材内面にフッ素樹脂コートを形成し、フッ素樹脂コートのトップコート内部の表層側には添加材粒子として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子を偏在させ、他方、トップコートの下層側には炭化珪素やダイヤモンドの添加材粒子が全く、あるいはほとんど存在しないクリア層を設けたものである。
これにより、大幅な膜厚化を伴わなくとも高い耐摩耗性を有し、なおかつ、調理物の非粘着性とプライマ上の印刷表示の視認性をも十分に確保されたフッ素樹脂コートを処理した鍋、プレート、庫内を備えた調理機器とすることができる。
本発明の調理機器に備えられる鍋、プレート、および庫内は、基材に形成したフッ素樹脂コートのトップコート内部の表層側に添加材粒子として炭化珪素やダイヤモンドを偏在させることにより、大幅な膜厚化を伴わなくとも高い耐摩耗性を有し、耐久性に優れ、しかも調理物の非粘着性と水位線の視認性をも十分に確保することができる。
第1の発明は、基材内面にフッ素樹脂コートを形成し、前記フッ素樹脂コートのトップコート内部の表層側には添加材粒子として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子を偏在させ、他方、トップコート内部の下層側には炭化珪素やダイヤモンドの添加材粒子が全く、あるいはほとんど存在しないクリア層を設けたものであり、トップコート表層に添加材粒子として偏在する炭化珪素やダイヤモンドの存在により耐摩耗性を向上することができるとともに、比較的低濃度の添加材粒子がトップコート内部の表層に存在するのみであれば調理物に対する非粘着性は維持しつつ、トップコートの可視光透過性も高いので、プライマ上に印刷された表示部の視認性も良好となり、さらには、耐食性も維持することができる。
また、フッ素樹脂は極めて低い熱伝導率であるのに対しダイヤモンドは極めて高い熱伝導性を有することから、特に、ダイヤモンド粒子を添加材粒子とした場合はダイヤモンド粒子が沸騰核になって熱の放出点となり加熱時に細かな泡を生じやすくなる結果、鍋内の調理物に良好な対流を生じ、良好な調理結果をもたらすことができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素の量は、1平方メートル当たり0.1〜1gとしたものであり、この範囲でトップコート内部の表層側に偏在させることにより、調理物に対する高い非粘着性を維持することができとともに、トップコートの可視光透過性も高いままなので、プライマ上に印刷された表示部の視認性も良好となり、耐摩耗性を向上することができる。
第3の発明は、上記第1の発明において、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させるダイヤモンドの量は、1平方メートル当たり0.01〜1gとしたものであり、この範囲でトップコート内部の表層側に偏在させることにより、調理物に対する高い非粘着性を維持することができるとともに、トップコートの可視光透過性も高いままなので、プライマ上に印刷された表示部の視認性も良好となる上に耐摩耗性を向上することができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンドの平均粒径は、トップコートの厚さの3〜50%としたものであり、添加材粒子の粒径をこの大きさの範囲にすることにより、添加材粒子はトップコート内部の表層付近に存在しやすくなり、良好な耐摩耗性を発揮することができるとともに、添加材粒子がトップコートを貫通して存在することを防止できるため、水分や調味料等の腐食促進物質が添加材粒子を伝わってフッ素コート内奥部にまで到達することを極力防止できるので、耐食性が高い鍋、プレート、および庫内を備えた調理機器とすることができる。
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、フッ素樹脂粉体に添加材粒子として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子をマイクロカプセル化した粉体塗料をクリア層上に塗装することによりトップコート内部の表層側に添加材粒子が偏在するようにしたものであり、マイクロカプセル化により添加材粒子がフッ素樹脂粉体に包み込まれた状態になっているため、フッ素樹脂粉体塗料の塗装時に両者が分離することがなく、常に一定濃度の添加材粒子を含む均質な塗膜を得られることと、塗膜においても添加材粒子がフッ素樹脂に覆い包まれているために実使用時に添加材粒子の脱落を防止することができる。
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子は、鍋底面に集中して存在し、鍋側面上部になるほど添加材粒子が少なくなるように塗装したものであり、特に米研ぎなどの摩耗負荷がかかりやすい炊飯器用鍋底面に添加材粒子が集中して存在することにより、底面部に高い耐摩耗性を持たせることができるとともに、摩耗負荷が比較的少ない側面部には添加剤粒子が少なく、添加剤粒子が側面部の印刷表示を遮蔽することもないので、良好な視認性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、調理機器として炊飯器等を例にとり、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における炊飯器用鍋を具備した炊飯器の断面図、図1(b)は同炊飯器用鍋の拡大断面図、図1(c)は同炊飯器用鍋の要部拡大断面図を示すものである。
図1(a)は本発明の実施の形態1における炊飯器用鍋を具備した炊飯器の断面図、図1(b)は同炊飯器用鍋の拡大断面図、図1(c)は同炊飯器用鍋の要部拡大断面図を示すものである。
図1(a)に示すように、炊飯器本体1は、鍋2(炊飯器用鍋)を着脱自在に収納し、鍋2の底部および側底部に対向して電磁誘導加熱コイル3を設け、鍋2を電磁誘導加熱により加熱するように構成している。この電磁誘導加熱コイル3の外方に防磁用のフェライト4を設けている。蓋5は、鍋2の上方開口部を開閉自在に覆い、この蓋5の内面に内蓋6を着脱自在に設置している。
鍋底温度検知センサー8は、鍋の底部に対向して設け、鍋2の温度を検知するもので、その出力を加熱制御基板9に入力している。加熱制御基板9は、マイクロコンピュータや、電磁誘導加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ回路などを有し、基板冷却ファン7により冷却されながら動作して、操作部10からの入力に基づいて、マイクロコンピュータによるプログラム制御により炊飯および保温工程を実行するよう構成している。なお、11は蒸気キャップである。
ここで、鍋2は、図1(b)に示すように、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレス12に厚さ1.0mmのアルミニウム13を接合したクラッド材を基材としたものであり、フェライト系ステンレス12側を外面にしてプレス加工して鍋形状にしたものである。
鍋2の内面のアルミニウム13面には2層構成のフッ素樹脂コート14を処理している。以下、このフッ素樹脂コートの処理について、トップコート内部の表層側に添加材粒子として炭化珪素を偏在させる場合について、図1(c)を参照しながら説明する。
基材を鍋形状にプレス成形し洗浄した後、鍋内面のアルミニウム13の表面にサンドブラストをかけ、表面粗さRaが3〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し、100℃で20分間乾燥した。
プライマ15の乾燥が終了し、十分に基材温度が下がったところで鍋側面部のプライマ15上にプライマ15の色とは異なる色のインクを用いて水位線表示部16をパッド印刷により印刷し、その後、下部トップコート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマ15および水位線表示部16の上に成膜後膜厚35μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPTFE:PFA=2:8の混合粉体である。
ついで、添加材粒子18として平均粒径5μmの炭化珪素をマイクロカプセル化し、炭化珪素を含有するPFA粉体塗料を成膜後膜厚が5μmとなるように塗装し、前述のプライマ15上に塗装したPTFE:PFA=2:8の混合粉体塗料35μm分と合計してトップコート17が計40μmとなるようにし、その後380℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コートに成膜した。
このとき、最後に塗布する5μm厚さ相当のPFA粉体塗料に含有する炭化珪素量により、トップコート17の表層に偏在する炭化珪素量が決まるが、表層に偏在する炭化珪素量とフッ素樹脂コートの性能は(表1)のように変化する。
(表1)において、*1は、市販の研磨粒子入りナイロンたわしに1kgの荷重をかけてフッ素樹脂コート面を摩耗し、基材が露出するまでの往復回数を比較し、×は基準と同等の耐久性、△は基準の1.5〜2.0倍の耐久性、○は基準の2.1〜5.0倍の耐久性、◎は5倍を超える耐久性を有するものである。
また、*2は、5合の米を炊飯し、炊飯終了後に鍋2を上下逆さまにしてひっくり返したときに、鍋2から落ちずにフッ素樹脂コート面に残存したご飯重量で判断し、×は基準よりも50%以上多く残存、△は基準よりも20%以上多く残存、○は基準と同等レベル残存したものである。
また、*3は、水位線を目視確認し、○は基準とほぼ同等の視認性、△は基準よりやや見にくい、×は水位線が確認しづらいものである。
本実施の形態では、平均粒径5μmの炭化珪素をマイクロカプセル化したPFA粉体塗料を成膜後膜厚が5μmとなるように下部トップコートに上層しているので、炭化珪素の粒子はトップコート17の内部の表層に偏って存在することになる。
炭化珪素はダイヤモンドと炭化ホウ素に次いでモース硬度が高い物質であるとともに、高温に耐え、酸やアルカリに対しても安定性が高いので、炊飯時の高温、ご飯のおねばや各種調味料に曝される鍋2のフッ素樹脂コートに添加して耐摩耗性を向上するには好適な材料であり、特に、耐摩耗性の効果を発揮するにはフッ素樹脂コートのトップコート17の表層付近に存在することが重要である。
実使用において、鍋2を洗浄するときには、市販のナイロンたわしでフッ素樹脂コート面が擦られ、フッ素樹脂コートが摩滅劣化していく現象が散見されるが、これはナイロンたわしに含有される研磨材による摩耗作用が大きく関与している。一般的には、ナイロンたわしに含有される研磨材はアルミナ粒子であり、本実施の形態では、アルミナ粒子よりも硬度が高い炭化珪素を用いたことにより、ナイロンたわしに対して高い耐摩耗性が得られたものである。
ここで、(表1)に示すように、トップコート17中の炭化珪素量に着目すると、炭化珪素の存在量は、1平方メートル当たり0.1g未満では十分な耐摩耗性が期待できない可能性が高く、1平方メートル当たり1gを超えるとご飯の非粘着性が悪化することと、トップコート17の透明性が低くなるために水位線の視認性が悪くなることから、炭化珪素はトップコート17内の表層付近に、1平方メートル当たり0.1〜1gの割合で存在していることが望ましい。
また、本実施の形態では、トップコート17にPTFE:PFA=2:8の混合粉体を使用しており、PFA単体よりも焼成時の流動性を低くしてあるが、これは上層するPFAに含まれる炭化珪素の比重が約3.25とフッ素樹脂の比重約2.2よりも高く、焼成中にトップコート17内で炭化珪素が沈み込むのを防止する目的であり、これにより炭化珪素がトップコート17の表層に偏在することを促進する作用がある。
具体的には、本実施の形態では、PTFE:PFA=2:8混合粉体塗料の372℃におけるメルトフローレート(MFR)は5kg荷重下で7g/10分であり、流動性が低いのに比べ、これに上層するPFA粉体塗料のMFRは14g/10分であり、流動性を比較的高くしており、トップコート17の表層で炭化珪素がきれいに分散するのを助ける。
さらに、トップコート17の表層付近に炭化珪素が偏在しており、図1(c)に示すように、炭化珪素はトップコート17の最表面から10μm程度の厚さの中に集中して存在する構成となっており、その下層に炭化珪素をほとんど含まないクリア層19が約30μm存在している。
表層の炭化珪素を含有する層は炭化珪素がフッ素樹脂と比較して親水性であるために水分の浸入を許し、耐食性の劣化等の悪影響を生じる恐れがあるが、この下層に炭化珪素をほとんど含まないクリア層19が一定以上の厚さで存在することによって、水分や調味料等の腐食促進物質が基材まで侵入しにくく、基材の腐食を抑制することができる。
(表2)にクリア層の厚さと耐食性の関係を示す試験結果を開示するが、これは、1平方メートル当たり0.5gの炭化珪素を含有する約10μm厚の層の下層に形成するクリア層の厚さを変更して作製したフッ素樹脂コート鍋に、2%塩水、1%クエン酸混合水溶液を満たして60℃で30日間保温したときの耐食性を確認したものである。
(表2)において、○、×は判定基準を示しており、○は異常なし、×はブリスタ発生を示している。
(表2)より、炭化珪素を全く含まないか、あるいはほとんど含まないクリア層19の厚さは20μmよりも薄くなると水分等の侵入が多くなり、耐食性が劣化するが、20μm以上では良好な耐食性を有することが判明したため、クリア層19は20μm以上とすることが望ましい。
つぎに、トップコート17内部の表層側に偏在させる炭化珪素の平均粒径を変更したフッ素樹脂コートの耐食性と耐摩耗性を調べた結果を(表3)に示す。このときの炭化珪素のトップコート表層における存在量は、1平方メートル当たり0.3gとした。
(表3)において、*1は、トップコート総厚さを40μmとした。また、*2の評価基準は(表2)と同じであり、*3の評価基準は(表1)と同じである。
(表3)より、炭化珪素の平均粒径はトップコート17厚さの3〜50%の範囲であれば、良好な耐食性と耐摩耗性を確保できることを確認できたため、実用的には炭化珪素の平均粒径をこの範囲とすることが望ましい。
なお、本実施の形態では、炭化珪素を粉体塗料にマイクロカプセル化して用いたが、炭化珪素を液体塗料に分散して塗装してもよく、この場合は添加材粒子を含有しないフッ素樹脂コートのクリア層を塗装、焼成後に炭化珪素を添加した液体塗料を吹き付け塗装し、焼成すればよい。
(実施の形態2)
図1(c)に示す添加材粒子18として、ダイヤモンドを偏在させる場合について説明する。
図1(c)に示す添加材粒子18として、ダイヤモンドを偏在させる場合について説明する。
ここで、鍋2は、上記実施の形態1と同様に、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレス12に厚さ1.0mmのアルミニウム13を接合したクラッド材を基材とした炊飯器用鍋であり、フェライト系ステンレス12側を外面にしてプレス加工して鍋形状にしたものである。鍋2の内面のアルミニウム13面には2層構成のフッ素樹脂コート14を処理している。
基材を鍋形状にプレス成形し洗浄した後、鍋内面のアルミニウム13の表面にサンドブラストをかけ、表面粗さRaが3〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し、100℃で20分間乾燥した。
プライマ15の乾燥が終了し十分に基材温度が下がったところで鍋側面部のプライマ15上にプライマの色とは異なる色のインクを用いて水位線表示部16をパッド印刷により印刷し、その後、下部トップコート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマ15および水位線表示部16の上に成膜後膜厚35μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPTFE:PFA=3:7の混合粉体である。
ついで、添加材粒子18として平均粒径4μmのダイヤモンドをマイクロカプセル化し、ダイヤモンドを含有するPFA粉体塗料を成膜後膜厚が5μmとなるように塗装し、前述のプライマ上に塗装したPTFE:PFA=3:7の混合粉体塗料35μm分と合計してトップコート総厚さが計40μmとなるようにし、その後、380℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コートに成膜した。
このとき、最後に塗布する5μm厚さ相当のPFA粉体塗料に含有するダイヤモンド量により、表面に偏在するダイヤモンド量とフッ素樹脂コートの性能は(表4)のように変化する。
(表4)において、*1、*2、*3の評価基準は(表1)と同じである。
本実施の形態では、平均粒径5μmのダイヤモンドをマイクロカプセル化したPFA粉体塗料を成膜後膜厚が5μmとなるようにトップコート17に上層しているので、ダイヤモンドはトップコート17内部の表層に偏って存在することになる。
ダイヤモンドはモース硬度が最も高い物質であるとともに、高温に耐え、酸やアルカリに対しても安定性が高いので、炊飯時の高温やご飯のおねば、各種調味料に曝される炊飯器用鍋のフッ素樹脂コートに添加して耐摩耗性を向上するには好適な材料であり、特に、耐摩耗性の効果を発揮するにはダイヤモンドがフッ素樹脂コートのトップコート表層付近に存在することが重要である。
また、本実施の形態では、トップコート17にPTFE:PFA=3:7の混合粉体を使用しているが、これは上層するPFAに含まれるダイヤモンドの比重が約3.5とフッ素樹脂の比重約2.2よりも高く、さらに、上記実施の形態1で用いた炭化珪素の比重よりも重いので、実施の形態1よりもPTFEの混合比率を増加し、流動性をさらに低下させ、トップコート17内でダイヤモンドが沈み込むのを防止し、ダイヤモンドがトップコート17の表層に偏在することを促進している。
実使用において、鍋2を洗浄するときには市販のナイロンたわしでフッ素樹脂コート面を擦られ、フッ素樹脂コートが摩滅劣化していく現象が散見されるが、これはナイロンたわしに含有される研磨材による摩耗作用が大きく関与している。一般的には、ナイロンたわしに含有される研磨材はアルミナ粒子であり、本実施の形態では、アルミナ粒子よりも硬度が高いダイヤモンドを用いたことにより、ナイロンたわしに対して高い耐摩耗性が得られた。
ここで、(表4)に示すように、ダイヤモンドのトップコート17中の存在量に着目すると、ダイヤモンドの存在量は、1平方メートル当たり0.01g未満では十分な耐摩耗性が期待できない可能性が高く、1平方メートル当たり1gを超えるとご飯の非粘着性が悪化することと、トップコート17の透明性が低くなるために水位線の視認性が悪くなることから、ダイヤモンドはトップコート17内の表層付近に、1平方メートル当たり0.01〜1gの割合で存在していることが望ましい。
また、耐食性を考慮すれば、ダイヤモンドを含有するトップコート17の表層の下に、ダイヤモンドを全く含有しない、あるいはほとんど含有しないクリア層19を、上記実施の形態1と同様に20μm以上設けることが望ましく、さらに、ダイヤモンドの平均粒径はトップコート17厚さの3〜50%の範囲であることが望ましい。
なお、上記実施の形態1および本実施の形態2においては、それぞれ添加材粒子として炭化珪素、ダイヤモンドを用いているが、両者を混合して用いてもよいし、これらの粒子とアルミナ、シリカ等のセラミックス材料やカーボン、光輝材あるいは、マイカ等を混合して用いても何ら問題はなく、前述の通り、ご飯の非粘着性とプライマ上の印刷表示の視認性に対する検討を行った上でこれら添加物の添加量を決定することが重要である。
また、本発明においては、トップコート内部の表層側に添加材粒子を偏在させることが容易となり、前述のように、耐摩耗性の向上等の効果が得られる他、トップコート内部の表層側に偏在した粒子が沸騰核になって、調理時に細かな泡が多く発生し、良好な対流を発生させる結果、良好な調理結果をもたらすというも生じるが、以下この点について概説する。
フッ素樹脂は熱伝導率が低く、強い疎水性物質であり撥水性が高いため、フッ素樹脂をコーティングした鍋に水を入れて加熱すると、沸騰して生じてきた泡がなかなか表面から離脱せずに大きくなり、これが伝熱を妨げ対流を阻害する結果、調理結果に不具合をもたらすことがあった。
この点を改善するためには本来は親水性の物質をフッ素樹脂コートに添加して撥水性を下げることが考えられるが、親水性の物質を添加した場合には非粘着性が低下するなどの悪影響も懸念される。
一方、ダイヤモンドは疎水性物質であり、ダイヤモンドとのなじみもよく、非粘着性の悪化、表面からの脱落、吸水するといった悪影響の可能性も少ない。
また、フッ素樹脂の熱伝導率はW/m・kと極めて低いのに対し、本実施の形態で添加したダイヤモンドの熱伝導率は約2000W/m・kと極めて高く、この値は熱伝導率が高い金属とされるアルミニウムの約9倍、銅の約5倍である。
したがって、ダイヤモンドは極めて高い熱伝導率を有することから、特に、ダイヤモンド粒子を添加材粒子とした場合にはダイヤモンド粒子が沸騰核になって熱の放出点となり加熱時に細かな泡を生じやすくなる結果、鍋内の調理物に良好な対流を生じ、良好な調理結果をもたらすことができる。
(実施の形態3)
図2に示すように、添加材粒子が多い部位20は、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子が集中して存在する部位で、鍋2の底面に形成し、鍋2の側面上部になるほど添加材粒子が少なくなるように塗装して、添加材粒子が少ない部位21を形成している。他の構成は上記実施の形態1または2と同じである。
図2に示すように、添加材粒子が多い部位20は、トップコート内部の表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子が集中して存在する部位で、鍋2の底面に形成し、鍋2の側面上部になるほど添加材粒子が少なくなるように塗装して、添加材粒子が少ない部位21を形成している。他の構成は上記実施の形態1または2と同じである。
ここで用いられる鍋2は、上記実施の形態1と同様に、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレスに厚さ1.0mmのアルミニウムを接合したクラッド材を基材としたものであり、フェライト系ステンレス側を外面にしてプレス加工して鍋形状にしたものである。
鍋2の内面のアルミニウム面には2層構成のフッ素樹脂コートが処理されているが、以下、このフッ素樹脂コートの処理について説明する。
基材を鍋形状にプレス成形し洗浄した後、鍋内面のアルミニウム表面にサンドブラストをかけ表面粗さRaが3〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し100℃で20分間乾燥した。
プライマの乾燥が終了し十分に基材温度が下がったところで側面部のプライマ上にプライマの色とは異なる色のインクを用いて水位線表示部をパッド印刷により印刷し、その後、下部トップコート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマおよび水位線表示部の上に成膜後膜厚35μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPFA粉体である。
ついで、添加材粒子として平均粒径10μmのダイヤモンドを1重量%含有したPFAドライブレンド粉体塗料を塗装する。ここで、図2に示すように、鍋2の底面と側面下部に成膜後膜厚が約5μmとなるように集中的に塗装し、側面部にはほとんど塗料が付着しないようにし、その後380℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コートに成膜した。
上述のように塗装することで、添加材粒子であるダイヤモンドは鍋底面に集中して存在し、側面上部になるほどこれら添加材粒子が少なくなるので、米研ぎや洗浄による摩耗負荷がかかりやすい底面部に高い耐摩耗性を持たせることができるとともに、摩耗負荷が比較的少ない側面部には添加材粒子が少なく、添加材粒子が側面部の印刷表示を遮蔽することもないので、良好な視認性を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、添加材粒子としてダイヤモンドを用いたが、アルミナ、シリカ等のセラミックス材料やカーボン、光輝材あるいは、マイカ等を混合して用いても何ら問題はなく、前述の通り、ご飯の非粘着性とプライマ上の印刷表示の視認性に対する検討を行った上でこれら添加物の添加量を決定することが重要である。
また、本発明においては、トップコート内部の表層側に添加材粒子を偏在させることが容易となり、前述のように、耐摩耗性の向上等の効果が得られる他、トップコート内部の表層側に偏在した粒子が沸騰核になって、調理時に細かな泡が多く発生し、良好な対流を発生させる結果、良好な調理結果をもたらすという副次的な効果も生じる。
(実施の形態4)
図3(a)は本発明の実施の形態4におけるプレートを具備したホットプレートの断面図、図3(b)は同プレートの拡大断面図を示すものである。
図3(a)は本発明の実施の形態4におけるプレートを具備したホットプレートの断面図、図3(b)は同プレートの拡大断面図を示すものである。
ホットプレートは本体内部に加熱ヒータ22を備え、加熱ヒータより発せられる熱がプレート23に伝わり調理が遂行されるものであるが、プレート表面には焼肉などの調理物がこびりつかないようにフッ素樹脂コート24が処理されている。
本実施の形態のプレート23は基材がアルミニウム25であり、基材表面にブラスト処理を行ない、ポリアミドイミドとPTFEを主成分とし、これに2%の球状ガラス粒子26と3%の六チタン酸カリウムウイスカ27を添加したプライマ28を厚さ20μmに成膜した後、PTFEを粉体塗装で成膜後30μmとなるように上層した。
次いで、平均粒径4μmのダイヤモンド粒子をPTFEにマイクロカプセル化した混合粉体を塗装し、トップコート内部表層にダイヤモンド29の量が1平方メートル当たり1g存在するようにした。
この構成により、本実施の形態のプレートは、(表4)に示した結果と同様に、トップコート30の表層にダイヤモンドが存在することにより、耐摩耗性が向上し、ナイロンたわしによる洗浄などの摩耗負荷に対して極めて高い耐久性を有するが、プライマ中の球状ガラス粒子と六チタン酸カリウムウイスカによってさらに高い耐摩耗効果が得られる。
(実施の形態5)
図4(a)は本発明の実施の形態5における庫内を具備した電子レンジの正面図であり、図4(b)は同庫内用基材の拡大断面図を示すものである。
図4(a)は本発明の実施の形態5における庫内を具備した電子レンジの正面図であり、図4(b)は同庫内用基材の拡大断面図を示すものである。
電子レンジ庫内36は、図4(b)に示すように、厚さ0.5mmの鋼板31を基材としたものであり、庫内内面には2層構成のフッ素樹脂コート32を処理している。以下、このフッ素樹脂コートの処理について、トップコート内部の表層側に添加材粒子としてダイヤモンド粒子33を偏在させる場合について、図4(b)を参照しながら説明する。
基材を庫内形状に成形し洗浄した後、鍋内面の鋼材表面にサンドブラストをかけ、表面粗さRaが3〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し、100℃で20分間乾燥しプライマ層34を形成した。
プライマの乾燥が終了し、十分に基材温度が下がったところで、下部トップコート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマ34の上に成膜後膜厚20μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPTFE粉体である。
ついで、添加材粒子として平均粒径3μmのダイヤモンド粒子をPTFEにマイクロカプセル化し、ダイヤモンド粒子を含有するPTFE粉体塗料を成膜後膜厚が10μmとなるように塗装し、前述のプライマ34上に塗装したPTFE粉体塗料20μm分と合計してトップコート35が計30μmとなるようにし、その後380℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コートに成膜した。
本実施の形態においてはトップコートの表層部に存在するダイヤモンド粒子は1平方メートル当たり0.5gとした。
電子レンジにおいては、その実使用時にはさまざまな調理物が庫内に投入され、これらがマイクロ波で調理される際には、汁分の沸騰などにより庫内壁面にいろいろな調理物が強固にこびりつく。
これらこびりついた調理物を取り除き、庫内を清浄に保つには場合によっては、ナイロンたわしなどの摩耗力の高い洗浄具で付着した調理物が擦り除かれる場合もあるが、通常のフッ素樹脂コートでは耐摩耗性がそれほど高くはなく、すぐに摩耗してしまうのであるが、本実施例の場合のように、フッソ樹脂コートの表層部にダイヤモンド粒子が存在することにより、耐摩耗性が向上されるため耐久性が高い庫内とすることができる。
以上のように、本発明にかかる調理機器は、鍋、プレート、庫内の基材に形成したフッ素樹脂コートのトップコート内部表層側に添加材粒子として炭化珪素やダイヤモンドを偏在させることにより、大幅な膜厚化を伴わなくとも高い耐摩耗性を有し、耐久性に優れ、しかも調理物の非粘着性と水位線の視認性をも十分に確保することができるので、基材の表面にフッ素樹脂コートを形成した誘導加熱式調理器具の天板としても有用である。
12 フェライト系ステンレス(基材)
13 アルミニウム(基材)
14 フッ素樹脂コート
17 トップコート
18 添加材粒子
19 クリア層
13 アルミニウム(基材)
14 フッ素樹脂コート
17 トップコート
18 添加材粒子
19 クリア層
Claims (6)
- 基材内面にフッ素樹脂コートを形成し、前記フッ素樹脂コートのトップコート内部表層側には添加材粒子として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子を偏在させ、他方、トップコート内部下層側には炭化珪素やダイヤモンドの添加材粒子が全く、あるいはほとんど存在しないクリア層を設けた鍋、プレート、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器。
- トップコート内部表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素の量は、1平方メートル当たり0.1〜1gとした請求項1記載の鍋、プレート、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器。
- トップコート内部表層側に添加材粒子として偏在させるダイヤモンドの量は、1平方メートル当たり0.01〜1gとした請求項1記載の鍋、プレート、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器。
- トップコート内部表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンドの平均粒径は、トップコートの厚さの3〜50%とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍋、プレート、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器。
- フッ素樹脂粉体に添加材粒子として炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子をマイクロカプセル化した粉体塗料をクリア層上に塗装することによりトップコート内部の表層側に添加材粒子が偏在するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の鍋、プレート、庫内のうち少なくともいずれか一つを備えた調理機器。
- トップコート内部表層側に添加材粒子として偏在させる炭化珪素かダイヤモンド、あるいはこれらの混合粒子は、底面に集中して存在し、側面上部になるほど添加材粒子が少なくなるように塗装した請求項1〜5のいずれか1項に記載の鍋を備えた調理機器。
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