JP5927421B2 - 炊飯器 - Google Patents

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本発明は、電磁誘導加熱式炊飯器に用いられる鍋に関するものである。
従来、広く世間一般に市販されている炊飯器用鍋は、アルミニウム、ステンレス、チタン、鉄、銅、あるいはこれら金属を組み合わせた複合材を基材として製造されている。
特に、電磁誘導加熱式の炊飯器に用いられる鍋においては、フェライト系ステンレス等の磁性金属を鍋基材の外層に配し、その内側にアルミニウムを積層する、あるいは、さらにその内面にステンレスや銅を積層しているものなどがある。
電磁誘導加熱の特性として比透磁率の高い材料の方が電磁誘導による発熱性が高いことから鍋の外層にはフェライト系ステンレス等の磁性金属がよく用いられており、また、鍋の内層には熱拡散を素早く行い、調理物に均一に熱を加える目的により熱伝導率の高いアルミニウムや銅などがよく用いられる。
また、近年、電磁誘導加熱式の炊飯器用鍋としては金属を基材に用いるものの他、炭素材料を基材とするものや陶磁器を基材とし、これに発熱材料を印刷して電磁誘導加熱に対応しているものなどがある。
さらに、これら金属製あるいは、非金属製の炊飯器用鍋は、通常は調理物であるご飯が強く付着することを防止するために、その内面にフッ素樹脂コートが処理されており、ご飯に対する非粘着性を向上させている。
鍋の内面に処理されるフッ素樹脂コートは、1層であるものから2層、あるいは、3層となっているのが通常であるが、良好な非粘着性、高い耐久性および良好な外観を得る観点から、プライマ層を含めて2層以上のフッ素樹脂コートとすることが好ましい。
炊飯器においてはご飯の食味を改善することが大きな課題であり、その課題可決のために、従来炊飯器の鍋においては、熱を均一に分布させるために基材の厚肉化を図ったり、基材を多層に積層させたりする例があった。
しかしながら、炊飯したご飯の食味向上の面から論ずると、鍋を厚肉化したり、多層化したりして熱回りを均一にすることも重要な条件の一つではあるが、それとは別に、米粒に対して大量の熱を素早く均一に熱を伝え、その結果として、ふっくらとした甘みのあるご飯を調理することも重要である。
その手段としては、鍋内の対流を活発化することが考えられるが、従来の技術としては、炊飯器本体内に具備される電磁誘導加熱コイルを内外2重構成にして最適な配置とすること、内外2重構成のコイルに交互に電流を流すこと、あるいは、鍋外面の磁性金属層に凹凸を多数設けて磁力線の部分的強弱を付ける(例えば、特許文献1)こと、などによる対流の活発化手段が知られている。
また、調理中の米粒に素早く熱を伝えると言う意味においては、鍋で発生した熱をスムーズに鍋内の米粒、あるいは、水へ伝えなくてはならない。
しかしながら、鍋内面に処理されたフッ素樹脂は熱伝導率が0.2〜0.25W/m/kと低く、熱良導性物質とは言えず、熱をスムーズに鍋内の米粒、あるいは、水に伝えるという作用を起こしにくいという課題がある。
この課題を解決する手法として、従来例としては、フッ素樹脂コートの内部に熱伝導率の極めて高いダイヤモンド粒子をフッ素樹脂コートの表層部分に適量添加し、沸騰核を形成するもの(例えば、特許文献2)、鍋内面に凹部を設けて表面積を増加することにより伝熱面積を増加させる(例えば、特許文献3)といったものであり、これらの処方によってフッ素樹脂コート面からの熱伝達性が向上し、鍋から米粒や水への熱伝達がスムーズに素早くなされるものである。
しかしながら、フッ素樹脂は前述のように熱良伝導性物質ではないため、以上の手法をもってしても不十分であり、フッ素樹脂コート面から鍋内部の水や調理物に対してさらに良好に熱伝達を実施し、同時にさらに活発な対流を鍋内に生じせしめ、均一な熱回りを実現する技術が必要とされていた。
特開2003−79510号公報 特開2006−15114号公報 特開2004−261278号公報
本願発明の目的は、これら従来の問題を解決することであり、電磁誘導加熱式炊飯器の鍋で発生した熱がフッ素樹脂コート面を介して素早く、効率的に鍋内の水と調理物に伝達され、なお且つ、鍋内に活発な対流を生じせしめることによって、米一粒一粒への熱回りを良化して、その結果として、ふくらみが大きく甘みの強いおいしいご飯を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために、電磁誘導加熱式炊飯器用の鍋に用いられる基材にプライマを処理した上でフッ素樹脂コート層を設ける構成において、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子を10重量%以上、50重量%以下含有した高熱伝導フッ素樹脂層を3μm以上の厚さでフッ素樹脂コートに上層した部位を複数設けることを特徴としたものである。
高熱伝導フッ素樹脂層には熱伝導性の高い非金属粒子が高濃度で存在するので、高熱伝導フッ素樹脂層処理部に熱が集中し、なお且つ、核沸騰の起点となるのでこの部位に集中的に水蒸気の発泡が生じることになる。
これにより、鍋で発生した熱がフッ素樹脂コート面を介して素早く、効率的に鍋内の水と調理物に熱伝達され、なお且つ、鍋内に活発な対流を生じることができる。
本発明の電磁式誘導加熱式炊飯器は、鍋で発生した熱がフッ素樹脂コート面を介して素早く、効率的に鍋内の水と調理物に伝達され、なお且つ、鍋内に活発な対流を生じせしめることによって、米一粒一粒への熱回りを良化して、その結果として、ふくらみが大きく甘みの強いおいしいご飯を提供することができる。
本発明の実施の形態における電磁誘導加熱式炊飯器用の鍋を具備した炊飯器の断面図 本発明の実施の形態における炊飯器用鍋とその部分拡大断面図 本発明の実施の形態1における鍋内表面付近の詳細断面模式図 本発明の実施の形態における鍋の立体模式図 本発明の実施の形態2における鍋内表面付近の詳細断面模式図
第1の発明は、基材に粗面化処理を施し、当該粗面化面にプライマを処理した上でフッ素樹脂コート層を設ける構成において、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子を10重量%以上、50重量%以下含有した高熱伝導フッ素樹脂層を3μm以上の厚さでフッ素樹脂コートに上層した部位を複数個所設けることを特徴とした鍋を有する電磁誘導加熱式炊飯器である。
まず、アルミナ粒子などによるブラスト処理により鍋の基材を平均表面粗さRa2.0μm以上に粗面化し、その上でフッ素樹脂コートの接着や色調出しの機能を有するプライマ層を塗装、乾燥する。
その後、フッ素樹脂コートとしてフッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフロロエチレン)、PFA(ポリテトラフロロエチレン=パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)などがプライマ層に上層され約400℃の焼成工程を経て成膜する。
このとき、十分な密着性や耐食性、意匠性を有するためにプライマ層は約10μmの厚さとし、フッ素樹脂コートは耐食性や耐摩耗性を十分とするために30〜50μm程度にすることが望ましい。
次いで、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子を含有するフッ素樹脂系塗料、または、インクを調整し、フッ素樹脂コートに上層し、高熱伝導フッ素樹脂層を形成するものであるが、高熱伝導フッ素樹脂層は特に、本体の誘導加熱コイルに対向する部位に集中して複数個所配置することが望ましい。
高熱伝導フッ素樹脂層は塗装、印刷後、焼成により成膜化され、その最終膜厚は耐摩耗性や塗装、印刷性を考慮し3〜20μm程度とすることが望ましい。
また、高熱伝導フッ素樹脂層に含有される非金属粒子は平均粒径が高熱伝導フッ素樹脂層の10〜100%とすることが望ましいが、これは、膜の厚さよりも粒子が極端に小さいと非金属粒子がフッ素樹脂の中に埋没してしまい、沸騰核を形成しにくいという問題があり、他方、粒子径が巨大でありすぎると粒子が脱落しやすいといった問題が生じることを考慮したものである。
さらに、高熱伝導フッ素樹脂層は図4に示すように点状でもよいし、格子形状、渦巻き形状等さまざまな形状でも差し支えないが、非金属物質が多量に添加されているのであまりに面積を広げるとご飯がこびりつくようになるなどの不具合が生じる恐れがあるので、鍋内面の面積比で高熱伝導フッ素樹脂層が処理されている部位は30%以下にすることが望ましく、また、高熱伝導フッ素樹脂層は本体内部に配置される電磁誘導加熱コイルの直上部分に適度に配置されることが効率的な熱伝達の観点から重要である。
本構成によれば、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子が高濃度で存在する高熱伝導フッ素樹脂層がフッ素樹脂コートの上層に複数ヶ所、あるいは、鍋内面の面積比30%以下存在するので、この部位が沸騰核となり、素早く、効率的に鍋内の水と調理物に熱伝達され、なお且つ、鍋内に活発な対流を生じることができる。
第2の発明は、基材には部分的に最大深さ0.1mm以上の複数の凹部を設け、当該凹部の内部にはフッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子を10重量%以上、50重量%以下含有した高熱伝導フッ素樹脂層を設けることを特徴とした鍋を有する電磁誘導加熱式炊飯器である。
当該凹部は基材が金属であればプレス加工、刻印、切削などによって形成できる他、キャスティングによる成形や陶磁器の場合は金型形状などにより形成できるものである。
この凹部には印刷、あるいは、塗装技術を用いて高熱伝導フッ素樹脂層を形成するものであり、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子を含有するフッ素樹脂系のインク、または、塗料を調整し、フッ素樹脂コートに上層し、高熱伝導フッ素樹脂層を形成するものであるが、凹部は特に、本体の電磁誘導加熱コイルに対向する部位に集中して複数個所配置することが望ましい。
凹部の配置や形状は図4に示すように点状でもよいし、格子状でも渦巻き上でも差し支えないが、非金属物質が多量に添加されているのであまりに面積を広げるとご飯がこびりつくようになるなどの不具合が生じる恐れがあるので、鍋内面の面積比で高熱伝導フッ素樹脂層が処理されている部位は30%以下にすることが望ましい。
また、凹部の幅は極力小さくした方が洗浄時にナイロンたわしなどによる摩耗を受けにくくなるので、幅や直径は5mm以内を目安とすることが望ましい。
本構成によれば、高熱伝導フッ素樹脂層が凹部に形成されているので、洗浄などによる摩耗にも強いので、沸騰核を形成して、素早く、効率的に鍋内の水と調理物に熱伝達され、なお且つ、鍋内に活発な対流を生じる性能を長期間に渡り維持することができる。
なお、本構成においては鍋に凹部を形成しているので、凹部が形成する段差によっても沸騰核が形成されやすくなり、高熱伝導フッ素樹脂層の存在による沸騰核形成効果との相加効果がある。
第3の発明は、上記第1及び2の発明において、フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子はダイヤモンド、炭化珪素、アルミナ、窒化アルミニウムのいずれかであることを特徴としたものである。
これら粒子の熱伝導率の代表値は、ダイヤモンドが2000、炭化珪素が300、アルミナが50、窒化アルミニウムが400W/m/kと、全てフッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率がある。本構成によれば、これらの非金属粒子を高濃度で含有する高熱伝導フッ素樹脂層を鍋基材に形成した凹部に形成しているので、沸騰核を形成しやすく、素早く、効率的に鍋内の水と調理物に熱伝達を行うことに優れている。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、電磁誘導加熱式の炊飯器を例にとり、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態における電磁誘導加熱式炊飯器用の鍋を具備した炊飯器の断面図、図2は同炊飯器用鍋とその部分拡大断面図、図3は鍋内表面付近の詳細断面模式図、図4は本発明の実施の形態における鍋の立体模式図である。
図1に示すように、炊飯器本体1は、鍋9を着脱自在に収納し、鍋9の底部および側面下部に対向して電磁誘導加熱コイル3を設け、鍋9を電磁誘導加熱により加熱するように構成している。この電磁誘導加熱コイル3の外方に防磁用のフェライト4を設けている。蓋2は、鍋9の上方開口部を開閉自在に覆い、この蓋2の内面に内蓋7を着脱自在に設置している。
鍋底温度検知センサー8は、鍋の底中心部に対向して設け、鍋9の温度を検知するもので、その出力を加熱制御基板5に入力している。加熱制御基板5は、マイコンや、電磁誘導加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ回路などを有し、基板冷却ファン10により冷却されながら動作して、操作部6からの入力に基づいて、マイコンによるプログラム制御により炊飯および保温工程を実行するよう構成している。なお、11は蒸気キャップである。
ここで、鍋9は、図2に示すように、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレスを磁性金属層17として、これに厚さ1.0mmのアルミニウム18を接合したクラッド材を基材としたものであり、磁性金属層17側を外面にしてプレス加工して鍋形状にしたものである。
鍋9の内面のアルミニウム18表面にはフッ素樹脂コート層19を処理している。
基材を鍋形状にプレス成形し洗浄した後、鍋内面のアルミニウム18の表面にサンドブラストをかけ、表面粗さRaが2〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し、100℃で20分間乾燥した。
プライマ塗料の乾燥が終了し、十分に基材温度が下がったところで鍋側面部のプライマ層20上にプライマ層の色とは異なる色のインクを用いて水位線表示部をパッド印刷により印刷し、その後、フッ素樹脂コート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマ層および水位線表示部の上に成膜後膜厚35μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPFA粉体であり、この粉体塗料を塗装した後に400℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コート層19に成膜した。
次いで、非金属粒子22として平均粒径4μmのダイヤモンド粒子が成膜後濃度30%となるようにPFA主体の粉体塗料を調整したが、ダイヤモンドとPFAが別々のままでは塗装時に分離してしまうので、PFAを熱溶融してPFAがダイヤモンドを包含するマイクロカプセル化粉体塗料とすることが望ましい。
鍋内面に上記粉体塗料を所定の部位に塗装するために、マスキング治具を用意して鍋内面にセットした後に成膜後膜厚が10μmとなるように粉体塗装し、焼成して所定の部位に高熱伝導フッ素樹脂層21を成膜した。
マスキング治具は本実施の形態においては鍋底面にφ3mmの円形穴を複数設けたものになっており、穴部位は非マスキング部位となり、穴部位を粉体塗料が通過できるので、マスキングしていないフッ素樹脂コート部位にのみ高熱伝導フッ素樹脂層が塗装されているため、図4に示すような外観となる。
本実施の形態の構成を有する電磁誘導加熱式の炊飯器に使用される鍋で炊飯を実施した場合、高熱伝導フッ素樹脂層形成部位に熱が集中する結果、沸騰核を形成し、この部位より強力な発泡現象が生じ、良好な対流を生じることができる。
なお、本実施の形態では、高熱伝導フッ素樹脂層を鍋底面にφ3mmの点状模様で複数設けたものとしているが、形状、数、部位はこれに限定されるものではなく、本体内に配置される電磁誘導加熱コイルの配置、鍋形状、発生熱量などを考慮した上で、食味を向上させるべく良好な熱伝達と対流を生じせしめる最適な形状、数、部位を決定する事が望ましい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図2、4及び図5を用い、説明するが、本実施の形態は実施の形態1で示したものと同様の電磁誘導加熱式の炊飯器に使用される鍋である。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
鍋9は、実施の形態1と同様に図2に示す通り、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレスを磁性金属層17として、これに厚さ1.0mmのアルミニウム18を接合したクラッド材を基材としたものであり、磁性金属層17側を外面にしてプレス加工して鍋形状にしたものである。
ここで、鍋9の底面には、図5に示すように、直径3mm、最大深さ0.1〜0.3mmの凹部23を複数設けているが、これらの凹部は上記クラッド材を鍋形状に加工した後に内面からのプレス加工によって鍋底面に形成したものであり、凹部の配置は実施の形態1の図4で示した高熱伝導フッ素樹脂処理部の配置と同様なものとした。
次いで、鍋9の内面のアルミニウム18表面にはフッ素樹脂コート層19を処理する。
基材を鍋形状にプレス成形し洗浄した後、鍋内面のアルミニウム18の表面にサンドブラストをかけ、表面粗さRaが2〜5μmとなるように調整し、その後、フッ素樹脂と接着成分、顔料、光輝材を塗膜構成成分とした液状のプライマ塗料を成膜後膜厚が約10μmとなるよう塗装し、100℃で20分間乾燥した。
プライマ塗料の乾燥が終了し、十分に基材温度が下がったところで鍋側面部のプライマ層20上にプライマ層の色とは異なる色のインクを用いて水位線表示部をパッド印刷により印刷し、その後、フッ素樹脂コート処理として顔料や光輝材等の添加物を含有しないフッ素樹脂の粉体塗料をプライマ層および水位線表示部の上に成膜後膜厚35μmとなるように塗装した。このとき、使用したフッ素樹脂はPFA粉体であり、この粉体塗料を塗装した後に400℃で20分間焼成処理してフッ素樹脂コートに成膜した。
次いで、非金属粒子22として平均粒径5μmの炭化珪素粒子を成膜後濃度30%となるように、アクリル樹脂とPFA樹脂を混合した溶剤系インクを調整した。
次に、パッド印刷法を用いて鍋底の凹部23に上記インクを成膜後膜厚が約5μmとなるように印刷処理し、再び焼成を実施して高熱伝導フッ素樹脂層を形成した。この焼成時に上記インクの溶剤とアクリル成分は蒸発、分解し、PFAと炭化珪素のみになる。
パッド印刷処理前に凹部のフッ素樹脂コート表面をブラストなどにより適度に粗らしておくことにより、インクの密着性が向上してパッド印刷性を向上することができる。
本実施の形態の構成を有する電磁誘導加熱式の炊飯器に使用される鍋で炊飯を実施した場合、高熱伝導フッ素樹脂層形成部位に熱が集中する結果、沸騰核を形成し、この部位より強力な発泡現象が生じ、良好な対流を生じることができる上、高熱伝導フッ素樹脂層形成部位は凹部に形成されているため、洗浄時の摩耗にも強く、耐久性にも優れたものとなる。
なお、本実施の形態では、鍋底面にφ3mm、最大深さ0.1〜0.3mmの凹形状の点状模様を複数設け、これにパッド印刷によって高熱伝導フッ素樹脂層を形成しているが、凹部の深さは0.1mmよりも浅いと高熱伝導フッ素樹脂層が薄く10μm以下の場合には洗浄時の耐摩耗性が不利になり、0.3mmを超えるとご飯粒が入り込みこびりつきやすいなどといった不具合を考慮したものである。
また、凹部の形状、数、部位はこれに限定されるものではなく、本体内に配置される電磁誘導加熱コイルの配置、鍋形状、発生熱量などを考慮した上で、食味を向上させるべく良好な熱伝達と対流を生じせしめる最適な形状、数、部位を決定する事が望ましい。
以上のように、本発明にかかる電磁誘導加熱式炊飯器の鍋は、高い熱伝導率を有する非金属粒子を高濃度に含有した高熱伝導フッ素樹脂層をフッ素樹脂コートに上層した部位を設けるので、熱伝達と対流が良化するので調理性能が向上し、なお且つ、高い耐久性をも有するため、他の電磁誘導加熱式調理器具の鍋としても有用である。
19 フッ素樹脂コート層
20 プライマ層
21 高熱伝導フッ素樹脂層
22 非金属粒子
23 凹部

Claims (3)

  1. 基材と、
    前記基材表面に設けられたフッ素樹脂コート層と、
    前記フッ素樹脂コート層の上層の一部に3μm以上の厚さで複数個所上層されており、熱伝導率がフッ素樹脂の100倍以上の非金属粒子を10重量%以上、50重量%以下含有した高熱伝導フッ素樹脂層とを
    有した鍋を備えた電磁誘導加熱式炊飯器。
  2. 基材と、
    前記基材表面に設けられたフッ素樹脂コート層と、
    前記基材に部分的に設けられた深さ0.1mm以上の複数の凹部と、
    前記凹部の内部のフッ素樹脂コート層の上層のみ設けられており、熱伝導率がフッ素樹脂の100倍以上の非金属粒子を10重量%以上、50重量%以下含有した高熱伝導フッ素樹脂層とを
    有した鍋を備えた電磁誘導加熱式炊飯器。
  3. フッ素樹脂の100倍以上の熱伝導率を有する非金属粒子はダイヤモンド、炭化珪素、アルミナ、窒化アルミニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁誘導加熱式炊飯器。
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