JP3146744U - 調理用加熱容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素樹脂でコーティングされた調理用加熱容器において、こびりつき防止性能および耐久性能に優れ、かつコスト上有利な調理用加熱容器を提供する。
【解決手段】調理用加熱容器のコーティングが、耐熱樹脂を主成分樹脂、フッ素樹脂を補助成分樹脂、およびセラミックス微粒子13を主成分微粒子として含み、基材11上に位置する下層12と、フッ素樹脂を主成分樹脂、耐熱樹脂を補助成分樹脂、およびダイヤモンド微粒子15を主成分微粒子として含み、下層12上に位置する中間層14と、セラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子のいずれも含まないフッ素樹脂からなり、中間層14上に位置する上層16とを備える。
【選択図】図1

Description

本考案は、料理に用いられ、フッ素樹脂でコーティングされた調理用加熱容器に関する。
料理の原材料である肉、野菜、魚、食用油、および調味料といった被調理物を調理用加熱容器の中に投入し、焼いたり炒めたり煮詰めたりして料理を作るとき、被調理物が焦げ付いて調理用加熱容器の内面にこびりつかないよう、フッ素樹脂で容器内面をコーティングすることが一般的である。フッ素樹脂は硬度が小さいため傷が付き易く、剥がれやすい。このような剥がれや傷つきを防止する技術としては従来、特開平7−67784号公報(特許文献1)に示すものが知られている。
特許文献1の調理プレートは、ホットプレートといった電熱調理器具に備え付けられ、トップコートのフッ素樹脂の中にダイヤモンド粒子を含有させたものである。
特開平7−67784号公報
しかし、上記従来のような調理プレートにあっては、以下に説明するような2つの問題を生ずる。1つ目の問題として、ダイヤモンド粒子はモース硬度が最も大きく研摩材の成分であることから、ダイヤモンド粒子をたとえ細かい微粒子にしても、ダイヤモンド粒子がコーティングの表面に露出する従来の調理プレートでは、表面のこびりつき防止効果が損なわれてしまう。
2つ目の問題として、ダイヤモンド粒子は大変高価であり、コスト上改善の余地があった。
本考案は、上述の実情に鑑み、こびりつき防止効果および耐久性に優れ、かつコスト上有利な調理用加熱容器を提供する。
この目的のため第1の考案による調理用加熱容器は、加熱調理に用いられる金属製の容器であって、容器の内面のうち少なくとも底部内面が、ダイヤモンド微粒子を含む樹脂でコーティングされ、該コーティングは、フッ素樹脂およびダイヤモンド微粒子を含み、基材上に位置する下層と、ダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなり、前記下層上に位置する上層とを備える。
かかる第1の考案によれば、上層がダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなることから、ダイヤモンド微粒子が表面形成層である上層に露出することがなく、優れたこびりつき防止効果を得ることができる。しかも、下層および上層がともにフッ素樹脂を含むことから、これら2層が互いに強固に結合して基材から剥がれにくい。さらに、下層がダイヤモンド微粒子を含むことから、耐摩耗性を確保することができる。したがって第1の考案によれば、こびりつき防止効果および耐久性に優れる。
本考案は1実施形態に限られない。例えば、下層は、セラミックス微粒子をさらに含んでもよい。かかる実施形態によれば、ダイヤモンド微粒子の一部をセラミックス微粒子に置き換えてコーティング全体におけるダイヤモンド微粒子の含有率を従来よりも少なくすることができる。しかもセラミックス微粒子はモース硬度が大きい。したがってかかる実施形態によれば、耐摩耗性を確保しつつコスト上有利である。
また第2の考案による調理用加熱容器は、加熱調理に用いられる金属製の容器であって、容器の内面のうち少なくとも底部内面が、セラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子を含む樹脂でコーティングされ、該コーティングは、耐熱樹脂を主成分樹脂、フッ素樹脂を補助成分樹脂、およびセラミックス微粒子を主成分微粒子として含み、基材上に位置する下層と、フッ素樹脂を主成分樹脂、耐熱樹脂を補助成分樹脂、およびダイヤモンド微粒子を主成分微粒子として含み、下層上に位置する中間層と、セラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子のいずれも含まないフッ素樹脂からなり、中間層上に位置する上層とを備える。
かかる第2の考案によれば、上層がダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなることから、ダイヤモンド微粒子が表面形成層である上層に露出することがなく、優れたこびりつき防止効果を得ることができる。しかも上層、中間層および下層がフッ素樹脂を含むことから、これら3層が互いに強固に結合して基材から剥がれにくい。さらに、中間層がダイヤモンド微粒子を含むことから、耐摩耗性を確保することができる。そして下層は、モース硬度が大きいセラミックス微粒子を含むことから、コーティング全体におけるダイヤモンド微粒子の含有率を従来よりも少なくすることができ、耐摩耗性を確保しつつコスト上有利である。したがって第2の考案によれば、コスト面、こびりつき防止効果および耐久性に優れる。
本考案は中間層がセラミック樹脂を含む実施形態を排除するものではない。また下層がダイヤモンド微粒子を含む実施形態を排除するものではない。本考案は1実施形態に限られない。例えば、下層は、微粒子としてセラミックス微粒子のみを含んでいてもよい。あるいは、中間層は、微粒子としてダイヤモンド微粒子のみを含んでいてもよい。かかる実施形態であっても上述した理由によって、コスト面、こびりつき防止効果および耐久性に優れる。
他の実施形態として例えば、上層は、ガラス微粒子を含んでもよい。ガラス微粒子は光を乱反射するため、調理用容器の内面が美しく光り輝く。これにより調理者は、調理用加熱容器の内面にこびりつきがなく、コーティングが摩耗していないことを容易に視認することができる。
好ましくは、層体積に対する樹脂体積の割合が、下層よりも中間層が大きく、中間層よりも上層が大きい。これにより上層の体積に対する上層のフッ素樹脂の占有率が大きくなり、表面のこびりつき防止効果を一層高めることが可能になる。
例えば、基材は、アルミニウムまたはステンレスであってもよい。これにより、フライパン、たまご焼き器、両手なべ、片手なべ、といった調理用加熱容器を提供することができる。
このように第1の考案は、下層がフッ素樹脂およびダイヤモンド微粒子を含み、上層がダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなることから、コーティングのこびりつき防止効果および耐久性に優れる。
また第2の考案は、下層がセラミックス微粒子を主成分微粒子として含み、中間層がダイヤモンド微粒子を主成分微粒として含み、上層がセラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子のいずれも含まないフッ素樹脂からなり中間層上に位置することから、コーティングのこびりつき防止効果および耐久性を両立することが可能になる。しかもコスト上有利である。
これら第1考案および第2考案によれば、ガス火力で加熱され、金属製のフライパン返しおよびお玉が当接するなど、従来の電熱調理器具よりも物理的衝撃が加わる機会が多いフライパン、たまご焼き器、両手なべ、片手なべ、中華なべといった調理用加熱容器においても、内面コーティングの耐久性を一層向上させることができる。
以下、本考案の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。図1は、本実施例になる調理用加熱容器の底部内面を拡大して示す模式的な断面図である。
基材11は、アルミニウムあるいはステンレスで形成され、フライパン、たまご焼き器、両手なべ、あるいは片手なべといった調理用加熱容器の形状である。なお図示はしないが、アルミニウムで形状された基材11は、電磁加熱を可能とするために、その下面にステンレス板を備えていてもよい。調理用加熱容器の内面、少なくとも底部内面、は下層12、中間層14、および上層16を備えた3層構造のコーティングがなされる。
基材11の上面は、例えばサンドブラスト加工またはエッチング処理により肌理を粗くされ、プライマとしての下層12によりコーティングされる。あるいは他のプライマ層を介して下層12によりコーティングされる。このように肌理を粗くするすることで、アンカー効果(投錨効果)により基材11と下層12との接着性が向上する。
基材11上に位置する下層12は、セラミックス微粒子13を含む耐熱樹脂である。下層12の厚みは10μm〜20μmである。セラミックス微粒子13は硬質セラミックスからなりモース硬度が大きく耐摩耗性に優れる。なおセラミックス微粒子13は、その粒径が後述するダイヤモンド微粒子15よりも大きいが、下層12に位置することから調理用加熱容器の表面に露出することがない。
下層12の耐熱樹脂は一例としてポリアミドイミド樹脂である。ポリアミドイミド樹脂は基材11および後述する中間層14と強固に結合する。あるいはポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂あるいはポリアミド樹脂など、他のエンジニアリングプラスチィックであってもよい。もしくは、これらエンジニアリングプラスチィックの中から選択した2種類以上の耐熱樹脂の混合物であっても良い。
基材11に下層12を塗布した後、塗料(下層12)に含まれる溶剤の沸点よりも高い温度で8分間〜12分間乾燥する。本実施例では溶剤に水を使用して下層12を塗布することから120℃で10分間乾燥する。次に冷却して、粉体材料の中間層14を下層12上に塗布する。
中間層14は、ダイヤモンド微粒子15を含むフッ素樹脂である。フッ素樹脂としてはPTFE(ポリテトラフロロエチレン)、PFA(ポリテトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、またはFEP(ポリテトラフロロエチレン−ヘキサフロロエチレン共重合体)の粉体、またはこれら2〜3種の混合粉体でよい。中間層14の厚みは5μm〜20μmである。ダイヤモンド微粒子15は合成された工業ダイヤモンドでありモース硬度が最も大きく耐摩耗性に特に優れる。ダイヤモンド微粒子15の粒径は、1μm〜10μmであり、望ましくは1μm〜5μmである。
次に粉体材料の上層16を中間層14上に塗布する。上層16は、微粒子としてガラス微粒子17のみを含むフッ素樹脂であり、その他に顔料を含んでいてもよい。上層16はコーティングの表面を形成し、その厚みは5μm〜10μmである。ガラス微粒子17は、、好ましくは鱗片状のガラスフレークである。ガラス微粒子17は、二酸化ケイ素を主成分とし金属化合物を副成分とする非晶質固体(一般的なガラス)であって、可視光を散乱反射する。
中間層14および上層16を形成する塗料は、上述の粉体および微粒子が水または溶剤に分散されたものである。フッ素樹脂の粉体の粒子径は特に制限されない。
上層16の塗布後、予備乾燥を行い、次に360℃〜420℃、望ましくは380℃で15〜20分間本乾燥を行い、粉体材料の焼成処理により中間層14および上層16が成膜して、3層構造のコーティングが完成する。
上述した工程の他、中間層14を塗布する工程と上層16を塗布する工程との間に、乾燥の工程を介在させても良い。
本実施例のコーティングの全厚みは、25μm〜30μmであり、好ましい厚みとして、下層12が15μm、中間層14が10μm、上層16が8μmである。
ところで本実施例の3層構造コーティングによれば、中間層14がダイヤモンド微粒子15を含むことから、耐摩耗性に優れる。また本実施例によれば、下層12がセラミックス微粒子13を含むことから、耐摩耗性を確保しつつおよびコストを低減することができる。しかも、セラミックス微粒子13およびダイヤモンド微粒子15がコーティングの表面に露出することがなく、こびりつき防止効果が損なわれない。
また本実施例によれば、コーティングの表面を形成する上層16がフッ素樹脂を含むことから、こびりつき防止効果が高い。しかも中間層14がフッ素樹脂を含むことから、上層16と中間層14との結合が強くなり、剥がれや傷つきを防止することができる。
本実施例では、上層16がセラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子のいずれも含まないが、ガラス微粒子17を含むフッ素樹脂であってもよい。ガラス微粒子17は光を乱反射するため、調理用容器の内面が美しく光り輝く。これにより調理者は、調理用加熱容器の内面にこびりつきがなく、コーティングが摩耗していないことを容易に視認することができる。
あるいは本実施例では、下層12が微粒子としてセラミックス微粒子13を主成分微粒子として含み、補助成分微粒子として例えばダイヤモンド微粒子などを含んでいてもよい。また中間層14が微粒子としてダイヤモンド微粒子15を主成分微粒子として含み、補助成分微粒子として例えばセラミックス微粒子などを含んでいてもよい。この場合、セラミックス微粒子の単位体積当たりの占有率は、中間層14よりも下層12のほうが高く、ダイヤモンド微粒子の単位体積当たりの占有率は、下層12よりも中間層14のほうが高い。
あるいは本実施例では、下層12が耐熱樹脂を主成分樹脂、フッ素樹脂を補助成分樹脂として含み、中間層14がフッ素樹脂を主成分樹脂、耐熱樹脂を補助成分樹脂として含んでいてもよい。この場合、樹脂成分に対する耐熱樹脂の占有率は、中間層14よりも下層12のほうが高い。樹脂成分に対するフッ素樹脂の占有率は、下層12よりも中間層14のほうが高く、中間層14よりも上層16の方が高い。これにより中間層14の耐熱樹脂と下層12の耐熱樹脂とが互いに溶融して強固に結合する。さらに上層16が中間層14に強固に結合する。したがって、コーティングに被調理物がこびりつきにくく剥がれにくく、コスト上有利であって、フライパン、中華なべ、たまご焼き器、両手なべ、片手なべ、中華なべといった汎用的な調理用加熱容器のこびりつきを好適に防止することができる。
微粒子の体積および樹脂の体積の和になる層12,14,16の体積につき説明すると、下層12の体積に対する樹脂体積の割合と、中間層14の体積に対する樹脂体積の割合と、上層16の体積に対する樹脂体積の割合との関係(層体積に対する樹脂体積の割合)は、好ましくは、下層12よりも中間層14が大きく、中間層14よりも上層16が大きくなる。これにより上層16におけるフッ素樹脂の占有率が大きくなり、表面のこびりつき防止効果を一層高めることが可能になる。
上述した3層構造のコーティングの他、簡易な構成として図2の模式図に示すように、上述した下層12を省略して2層構造のコーティングとしてもよい。この実施例では、下層18が上述した中間層14と同一であり、共通する符号は上述したとおりである。つまりコーティングは、図2に示すようにフッ素樹脂およびダイヤモンド微粒子15を含み、基材11上に位置する下層18と、ダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなり、下層18上に位置する上層16とを備える。下層18は、セラミックス微粒子をさらに含んでもよい。上層16は、ガラス微粒子17を含んでもよい。
なお、中間層14(下層18)および上層16の少なくとも一方が、干渉マイカやアルミペースト等の光輝材を含んでいてもよい。これにより、コーティングの色調の自由度を広げることができる。
以上、図面を参照してこの考案の実施形態を説明したが、この考案は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この考案と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本考案は、フライパン、中華なべ、たまご焼き器、両手なべ、片手なべ、中華なべといった調理用加熱容器に適用可能である。
本考案の実施例を拡大して示す模式的な断面図である。 本考案の他の実施例を拡大して示す模式的な断面図である。
符号の説明
11 基材、12 下層、13 セラミックス微粒子、14 中間層、15 ダイヤモンド微粒子、16 上層、17 ガラス微粒子 18 下層。

Claims (8)

  1. 加熱調理に用いられる金属製の容器であって、
    前記容器の内面のうち少なくとも底部内面が、ダイヤモンド微粒子を含む樹脂でコーティングされ、
    前記コーティングは、
    フッ素樹脂およびダイヤモンド微粒子を含み、基材上に位置する下層と、
    ダイヤモンド微粒子を含まないフッ素樹脂からなり、前記下層上に位置する上層とを備える、調理用加熱容器。
  2. 前記下層は、セラミックス微粒子をさらに含む、請求項1に記載の調理用加熱容器。
  3. 加熱調理に用いられる金属製の容器であって、
    前記容器の内面のうち少なくとも底部内面が、セラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子を含む樹脂でコーティングされ、
    前記コーティングは、
    耐熱樹脂を主成分樹脂、フッ素樹脂を補助成分樹脂、およびセラミックス微粒子を主成分微粒子として含み、基材上に位置する下層と、
    フッ素樹脂を主成分樹脂、耐熱樹脂を補助成分樹脂、およびダイヤモンド微粒子を主成分微粒子として含み、前記下層上に位置する中間層と、
    セラミックス微粒子およびダイヤモンド微粒子のいずれも含まないフッ素樹脂からなり、前記中間層上に位置する上層とを備える、調理用加熱容器。
  4. 前記下層は、微粒子としてセラミックス微粒子のみを含む、請求項3に記載の調理用加熱容器。
  5. 前記中間層は、微粒子としてダイヤモンド微粒子のみを含む、請求項3または4に記載の調理用加熱容器。
  6. 前記上層は、ガラス微粒子を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の調理用加熱容器。
  7. 層体積に対する樹脂体積の割合が、下層よりも中間層が大きく、中間層よりも上層が大きい、請求項1〜6のいずれかに記載の調理用加熱容器。
  8. 前記基材は、アルミニウムまたはステンレスである、請求項1〜7のいずれかに記載の調理用加熱容器。

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