JP6825540B2 - 親水性コーティング膜およびそれを備えた物品、並びに親水性コーティング膜の形成方法 - Google Patents

親水性コーティング膜およびそれを備えた物品、並びに親水性コーティング膜の形成方法 Download PDF

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Description

この発明は、親水性コーティング膜およびそれを備えた物品、並びに親水性コーティング膜の形成方法に関する。
各種計器のカバーや外壁、調理器具などの表面をフッ素樹脂でコーティングすることで高い防食性が得られる。しかし、フッ素樹脂は撥水性であるため、フッ素樹脂のコーティング膜では付着した水は球状(粒状)になり、乾燥後に水に含まれた不純物が汚れとして残留しやすいという問題があった。このようなフッ素樹脂の撥水特性による問題を解決するひとつの方法として、フッ素樹脂表面に親水性を付与する方法がある。
フッ素樹脂表面を親水化する方法として、フッ素樹脂表面に親水性を有する金属粉末を埋設させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−205131号公報(2−3頁、第2図)
しかしながら、従来のフッ素樹脂表面を親水化する方法では、コーティング膜の表面が他の部材との接触により磨耗されると金属粒子が脱離して親水性が低下するという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フッ素樹脂のコーティング膜において、フッ素樹脂が本来もつ特性である防食性に加えて親水性を付与し、かつその性能を長期間安定して維持できるコーティング膜を得ることを目的とする。
この発明に関わるコーティング膜においては、フッ素樹脂膜と、このフッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第1親水性粒子と、フッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第2親水性粒子とを備えており、第1親水性粒子は平均粒径が5μm以上925μm以下であるシリカ親水性粒子であり、第2親水性粒子は平均粒径が0.03μm以上3μm以下であるシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子であり、第2親水性粒子の100重量%に対して、第1親水性粒子は40重量%以上65重量%以下含有されているとしたものである。
この発明は、平均粒径が5μm以上925μm以下のシリカ親水性粒子である第1親水性粒子と、平均粒径が0.03μm以上3μm以下のシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子である第2親水性粒子とが、第2親水性粒子の100重量%に対して、第1親水性粒子は40重量%以上65重量%以下含有されており、一部が埋没し一部が露出した形でフッ素樹脂膜に配置されているので、防食性に加えて親水性を付与し、かつその性能を長期間安定させることができる。
この発明の実施の形態1に関わるコーティング膜の断面模式図である。 この発明の実施の形態1に関わるコーティング膜の形成方法の説明図である。 この発明の実施の形態1に関わるコーティング膜の特性図である。 この発明の実施の形態1に関わるコーティング膜の特性図である。 この発明の実施の形態2に関わるコーティング膜の特性図である。 この発明の実施の形態6に関わるコーティング膜の断面模式図である。 この発明の実施の形態6に関わるコーティング膜の形成方法の説明図である。 この発明の実施の形態7に関わる物品の模式図である。 この発明の実施の形態8に関わる物品の模式図である。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1を示すコーティング膜の断面模式図である。図1において、本実施の形態のコーティング膜1は、基材2の表面にフッ素樹脂膜3と、このフッ素樹脂膜3に一部が埋没し、一部が露出した第1親水性粒子4と、フッ素樹脂膜3に一部が埋没し、一部が露出した第2親水性粒子5とで構成されている。
第1親水性粒子4の平均粒径は25μm以上700μm以下であり、第2親水性粒子5の平均粒径は0.05μm以上2μm以下である。第1親水性粒子4は、フッ素樹脂膜3に離散的に配置されている。すなわち、第1親水性粒子4同士はある程度の間隔をもってフッ素樹脂膜3に配置されている。第2親水性粒子5は、第1親水性粒子4の間のフッ素樹脂膜3に配置されている。
基材2は、金属、樹脂など、各種計器のカバーや外壁、調理機器の構成部品などに用いられるものである。
<第1親水性粒子>
第1親水性粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、金属、またはこれらの混合物などが挙げられる。第1親水性粒子はこれらに限定されるものではなく、親水性粒子をフッ素樹脂膜に埋没させる加熱工程において、親水性を維持し、焼失、変形しないものが利用できる。
第1親水性粒子の形状として、特に限定されないが、球状および破砕形の親水性粒子が利用できる。親水性粒子の形状が球状であると、コーティング膜が磨耗されたときに引っかかりにくく力が加わりにくくなるため、とくに好ましい。また、多孔質性であると、加熱した際にフッ素樹脂が細孔に入り込みより強く固定されるため好ましい。
<第2親水性粒子>
第2親水性粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、金属、またはこれらの混合物などが挙げられる。第2親水性粒子はこれらに限定されるものではなく、親水性粒子をフッ素樹脂膜に埋没させる加熱工程において、親水性を維持し、焼失しないものが利用できる。
第2親水性粒子の形状として、特に限定されないが、球状、板状および破砕形の親水性粒子が利用できる。破砕形とは、親水性粒子を破砕した後の不定形状の粒子である。板状のものを用いると、その平坦面をフッ素樹脂膜の表面と平行に配向することで蓋の役割を果たし、フッ素樹脂膜の加熱時にフッ素成分が膜表面から揮発することを抑制し、第1親水性粒子および第2親水性粒子の表面にフッ素成分が付着し撥水化することを抑制できるため好ましい。
これらの親水性粒子の形状は、電子顕微鏡、光学顕微鏡、湿式フロー式親水性粒子形状分析装置などによる親水性粒子の直接観察によって確認できる。球状、破砕形の粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定された粒度分布の体積累積50%での粒径を意味する。板状粒子の粒子径は、鱗片状粒子を平面視したときの面積Sの平方根で表される値であり、走査電子顕微鏡で50個の鱗片状粒子の面積Sの平方根をとり、それを算術平均したものである。
<フッ素樹脂>
本実施の形態のフッ素樹脂膜を構成するフッ素樹脂として、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびこれらのフッ素樹脂に官能基を導入したものが利用できる。導入する官能基としては、反応性を有するものであっても、あるいは反応性を有さないものであってもよいが、反応性官能基を導入したフッ素樹脂を使用すると、フッ素樹脂と基材との密着性が向上する。反応性官能基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、ウレタン基、カルボニル基、アミノ基等が挙げられる。架橋剤の添加によっても同様の密着性向上効果が得られる。
フッ素樹脂膜の形成方法としては、これらのフッ素樹脂が溶媒に分散したものをスプレーなどで塗布、またはこれらのフッ素樹脂の粉体塗料を静電塗装した後に、これらのフッ素樹脂の流動性が得られる温度で加熱し冷却する方法などを採用することができる。
必要に応じて、フッ素樹脂膜の形成前に基材表面に対して脱脂や粗面化やプライマー処理を行うことで、基材に対するフッ素樹脂の密着性を向上させることができる。基板表面を脱脂することで、基板上の不純物を除去することができ、基材に対するフッ素樹脂の密着性を向上させることができる。また、基材表面を粗面化することで、基材上に凹凸を形成することができ、基材に対するフッ素樹脂の密着性を向上させることができる。あるいは、基材表面をプライマー処理することで、基材の表面の化学結合力を向上させることができ、基材に対するフッ素樹脂の密着性を向上させることができる。
次に、本実施の形態に関わるコーティング膜の形成方法について説明する。図2は、本実施の形態に関わるコーティング膜の形成方法を説明する説明図である。本実施の形態に関わるコーティング膜の形成方法は、ステップS1〜S3の工程を含んでいる。始めに、基材1を準備する(図2(a))。
ステップS1は、基材2の表面にフッ素樹脂膜を形成する工程である(図2(b))。フッ素樹脂膜を形成する方法は、上述のとおりスプレー塗布などの方法を採用することができる。必要に応じて、フッ素樹脂膜3の形成前に基材表面の脱脂や粗面化やプライマー処理を行ってもよい。
ステップS2は、フッ素樹脂膜3の上に親水性粒子層を形成する工程である(図2(c))。この工程においては、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5を含む分散液をフッ素樹脂膜3の上に塗布した後に乾燥させる。塗布方法としては、スプレーコーティング、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティングおよびロールコーティングなどが利用できる。た、別の方法としてパッド印刷を用いることもできる。パッド印刷であれば、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の配置をマスキングなどの作業を要することなく制御可能である。乾燥方法としては、塗布膜中の溶媒を蒸発させることができればとくに限定されず、室温で乾燥させても、加熱して乾燥させてもよい。
ステップ2において用いる分散液は、第1親水性粒子および第2親水性粒子と溶媒とを含んでいる。溶媒としては、とくに限定されず、水あるいはエタノールなどの有機溶媒が利用できる。必要に応じてバインダーとしての樹脂、増粘剤および界面活性剤などを添加することで、粘度や濡れ性を調整することができる。
親水性粒子の分散液は、ムラのない親水性粒子層を形成するために、塗布方法に合わせて分散液中の親水性粒子の割合を調整したり、樹脂や界面活性剤を添加したりすることができる。例えば、スプレーで分散液をフッ素樹脂膜上に塗布する場合は、分散液に界面活性剤を加えてフッ素樹脂に対する濡れ性を向上させることが好ましい。分散液全体に対する第1親水性粒子および第2親水性粒子の合計割合は、5質量%以上15質量%以下とすることが好ましい。5質量%以上であれば分散液の流動性が低いため塗布の際に液が垂れにくく、15質量%以下であればムラがない親水性粒子層を形成することができる。
第1親水性粒子および第2親水性粒子を含む分散液の調製方法は、特に限定されるものではないが、以下の方法で行うことが好ましい。
初めに、溶媒と界面活性剤を混合する。その後、第1親水性粒子を加えて混合し、さらに第2親水性粒子を加えて混合する。第1親水性粒子と第2親水性粒子を加える順番は逆にしてもよい。親水性粒子が液中に分散せず凝集する場合には、湿式の微粒化装置による処理を施すことが好ましい。湿式の微粒化装置では、親水性粒子を含む液体を高圧で細孔に通したり衝突させたりして、液中の親水性粒子に衝撃を与えることで強制的に分散させることができる。分散処理した液は、時間の経過とともに親水性粒子と溶媒とが分離する場合がある。この場合には、分散液を塗布する前に、上記の分散処理を再度施すことで、親水性粒子を均一に分離させることができる。
分散液の塗布方法として、パッド印刷を採用する場合は、分散液にバインダーとして樹脂を混合することが好ましい。バインダーの樹脂は、フッ素樹脂の加熱によって焼失するものを用いても、焼失しないものを用いてもよい。バインダーの樹脂としては、アクリル樹脂やウレタン樹脂などが利用できる。パッド印刷の場合は、分散液全体に対して第1親水性粒子および第2親水性粒子の合計が50質量%以下であると、粒子が凹版に残りにくく転写しやすい。
ステップS3は、フッ素樹脂膜3に親水性粒子を埋没させる工程である(図2(d))。ステップ2において、フッ素樹脂膜3の上に第1親水性粒子4および第2親水性粒子5を含む親水性粒子層が形成された基材をオーブンなどで加熱した後に冷却し、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の下部をフッ素樹脂膜3に埋没させる。このときの加熱温度は、フッ素樹脂が固体から液体状に変化して流動性が増加する温度である。フッ素樹脂の融点は、そのフッ素樹脂の組成により200℃〜400℃の範囲であるが、例えばその融点よりも約10℃高い温度を加熱温度として採用することができる。この工程では、加熱によって第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の隙間にフッ素樹脂が浸透し、その後に冷却することで、フッ素樹脂膜3に親水性粒子が埋没した膜を形成する。最後に、膜表面に残る余分な親水性粒子は、冷却後に水で洗い流す。
このような工程によって形成されるコーティング膜1は、次のような効果がある。
まず、フッ素樹脂膜3で基材が被覆されているので、防食性や防錆性が得られる。また、フッ素樹脂膜3に親水性粒子を埋没させることで、フッ素樹脂の防食性などに加えて親水性の効果が得られる。
さらに本実施の形態のコーティング膜では、平均粒径が異なる第1親水性粒子と第2親水性粒子とが組み合わされているので、膜表面が磨耗されても、両粒子の剥離を互いに抑制する効果が得られる。
第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果について説明する。第1親水性粒子4の粒径は第2親水性粒子5の粒径より大きいため、コーティング膜の表面では第1親水性粒子4が第2親水性粒子5よりも外部に突出する。コーティング膜の表面が磨耗された場合に磨耗させる物体が第1親水性粒子4と接触し第2親水性粒子5に直接接することが抑制され、第2親水性粒子5の剥離が抑制される。
第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果について説明する。本来フッ素樹脂はやわらかいため、粒子が埋没されていてもその粒子を固定する力が弱く、磨耗によって粒子がフッ素樹脂膜から剥離(離脱)する場合がある。本実施の形態で示すコーティング膜では、第1親水性粒子4の間に位置するフッ素樹脂膜3は、その中に埋没している第2親水性粒子5によって膜強度が向上しているため、膜表面が磨耗されて第1親水性粒子4に力が加わっても第1親水性粒子4の周囲のフッ素樹脂膜が変形しにくくなり、第1親水性粒子4の剥離が抑制される。
次に、本実施の形態のコーティング膜について、実施例、比較例を用いてさらに詳細に説明する。
フッ素樹脂としてのパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)(AGC旭硝子社製、P−65P)の粉末をガラス板上に塗布し、電気炉において380℃で15分間加熱することで、膜厚が約25μmのフッ素樹脂膜を形成した。
第1親水性粒子として、平均粒径が5〜925μmの範囲のシリカ親水性粒子、第2親水性粒子として平均粒径が0.03〜3μmの範囲のシリカ親水性粒子を各種用意する。表1は、本実施の形態で用いた、第1親水性粒子のシリカ親水性粒子および第2親水性粒子のシリカ親水性粒子の原材料を示す。
Figure 0006825540
溶媒としての水に添加剤として界面活性剤(AGCセイミケミカル製、S−231)を加えて軽く攪拌し、上記第1親水性粒子および第2親水性粒子を混合して、分散液を調整した。この分散液の調整には、湿式微粒化装置(吉田機械興業株式会社製、ナノヴェイタ(登録商標))を用いた。
親水性粒子分散液をスプレーでフッ素樹脂膜上に塗布して常温で乾燥させたのち、380℃で15分間加熱することで、コーティング膜を形成した。形成された膜は、図1に示すような、フッ素樹脂表面が第一の親水性粒子と第二の親水性粒子で覆われた白濁した膜であった。
コーティング膜の親水性を評価する方法として、接触角を測定した。接触角とは、静止液体の自由表面が固体面に接する場所で液面と固体面とのなす角(液の内部にある角をとる)で定義される。接触角が75°以下であれば親水性ありと判定し、75°以上であれば親水性が低下した(親水性なし)と判断した。
接触角の測定は、液体として水を用い、界面張力計(協和界面科学(株)製、PD−X型)を用いて接触角を5点測定し、その平均値を採用した。コーティング膜の親水性の評価として、コーティング膜が形成された初期の接触角と磨耗試験後の接触角とを測定した。磨耗試験には磨耗試験器((株)安田精機製作所製、No.416)を用いた。磨耗試験の条件は、コーティング膜の表面にナイロンスポンジを20g/cmの圧力で50往復させる条件である。
表2に本実施の形態におけるコーティング膜の実施例1〜6、および比較例1〜4を示す。表2に示す実施例、比較例において、分散液中の界面活性剤の濃度は0.2質量%、第2親水性粒子の含有量は5.0質量%、第1親水性粒子の含有量は2.5重量%、および第2親水性粒子の平均粒径は0.7μmの一定とし、第1親水性粒子の平均粒径を変えた。
Figure 0006825540
図3は、表2に示した実施例1〜6および比較例1〜4の結果を、横軸に第1親水性粒子の平均粒径、縦軸に接触角として示した特性図である。図3に示すように、実施例1〜6においては、磨耗試験後も接触角が75°以下であり親水性を保っている。これに対して、比較例1〜4においては、初期状態では接触角が75°以下であるが、磨耗試験後に接触角が75°を上回り親水性が損なわれることがわかる。
比較例1、2のように、第1親水性粒子の平均粒径が25μm未満の場合、第2親水性粒子の平均粒径との差が小さく、第1親水性粒子による第2親水性粒子を磨耗から保護する効果が低下する。また、比較例3、4のように、第1親水性粒子の平均粒径が700μmを上回る場合、磨耗されたときに第1親水性粒子に加わる力が増大し、第1親水性粒子が剥離しやすくなる。
これに対して、第1親水性粒子の平均粒径が25μm以上700μm以下であれば、上述の第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、初期状態でも磨耗試験後でも良好な親水性を発揮できる。したがって、第1親水性粒子の平均粒径は、25μm以上700μm以下が好ましい。
次に、表3に本実施の形態におけるコーティング膜の実施例7〜12および比較例5〜8を示す。表3に示す実施例、比較例において、分散液中の界面活性剤の濃度は0.2質量%、第2親水性粒子の含有量は5.0質量%、第1親水性粒子の含有量は2.5重量%、および第1親水性粒子の平均粒径は103μmの一定とし、第2親水性粒子の平均粒径を変えた。
Figure 0006825540
図4は、表3に示した実施例7〜12および比較例5〜8の結果を、横軸に第2親水性粒子の平均粒径、縦軸に接触角として示した特性図である。図4に示すように、実施例7〜12においては、磨耗試験後も接触角が75°以下であり親水性を保っている。これに対して、比較例5、6では初期状態でも接触角が75°以上であり親水性が発揮されない。また、比較例7、8では磨耗試験後に接触角が75°を上回り親水性が損なわれることがわかる。
比較例5、6のように、第2親水性粒子の平均粒径が0.05μm未満の場合、溶融成膜の加熱工程において、流動性が増加したフッ素樹脂膜の内部に第2親水性粒子が埋没しやすくなり、表面に露出する親水性粒子が少なくなるため、親水性の効果が低下してしまう。また、比較例7、8のように、第2親水性粒子の平均粒径が2μmを上回る場合、第1親水性粒子との粒径差が小さくなり、第2親水性粒子が第1親水性粒子によって磨耗から保護する効果が得られなくなる。
これに対して、第2親水性粒子の平均粒径が0.05μm以上2μm以下であれば、上述の第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、初期状態でも磨耗試験後でも良好な親水性を発揮できる。したがって、第2親水性粒子の平均粒径は、0.05μm以上2μm以下が好ましい。
上述のように、本実施の形態におけるコーティング膜は、フッ素樹脂膜と、このフッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第1親水性粒子と、フッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第2親水性粒子とを備えており、第1親水性粒子は平均粒径が5μm以上925μm以下であるシリカ親水性粒子であり、第2親水性粒子は平均粒径が0.03μm以上3μm以下であるシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子であり、第2親水性粒子の100重量%に対して、第1親水性粒子は40重量%以上65重量%以下含有されているとしたものであるので、防食性に加えて親水性が付与されており、かつその性能を長期間安定させることができる。
なお、本実施の形態におけるコーティング膜の形成方法では、ステップS1として基材の表面にフッ素樹脂膜を形成する工程が含まれているが、予めフッ素樹脂膜がコーティングされた基材を用いる場合は、この工程は省略してもよい。さらには、本実施の形態のコーティング膜は、フッ素樹脂膜が形成された基材ではなく、フッ素樹脂の板やフィルムそのものにも適用できる。
実施の形態2.
第2親水性粒子は、第1親水性粒子よりも細かい凹凸をコーティング膜表面に形成する。一般的に、水に対する接触角が90°以下である親水面においては、凹凸形成による表面積拡大にともない、水の接触角が低下する。そのため、第2親水性粒子の割合が大きいほど、膜の親水性は向上する。
実施の形態2においては、コーティング膜の構造は実施の形態1と同様であるが、第1親水性粒子と第2親水性粒子の混合比を変えた例を説明する。
表4に本実施の形態におけるコーティング膜の実施例13〜18、および比較例9〜12を示す。表4に示す実施例、比較例において、分散液中の界面活性剤の濃度は0.2質量%、第1親水性粒子の粒径は40μm、第2親水性粒子の粒径は0.7μm、および第2親水性粒子の含有量は一定とし、分散液中の第1親水性粒子の含有量を変えた。
Figure 0006825540
図5は、表4に示した実施例13〜18および比較例9〜12の結果を、横軸に第2親水性粒子に対する第1親水性粒子の含有量、縦軸に接触角として示した特性図である。図5に示すように、実施例13〜18においては、磨耗試験後も接触角が75°以下であり親水性を保っている。これに対して、比較例9〜12においては、初期状態では接触角が75°以下であるが、磨耗試験後に接触角が75°を上回り親水性が損なわれることがわかる。
比較例9、10のように、第2親水性粒子に対する第1親水性粒子の含有量が40質量%未満の場合、第1親水性粒子による第2親水性粒子を磨耗から保護する効果が低下する。また、比較例11、12のように、第2親水性粒子に対する第1親水性粒子の含有量が65質量%を上回る場合、第2親水性粒子によって形成される膜表面の凹凸が少なくなると共に、第1親水性粒子の周囲のフッ素樹脂膜の膜強度を向上させる効果が低下し、第1親水性粒子の剥離を抑制する効果が小さくなる。
これに対して、第2親水性粒子に対する第1親水性粒子の含有量が40質量%以上65質量%以下であれば、上述の第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、初期状態でも磨耗試験後でも良好な親水性を発揮できる。したがって、第2親水性粒子に対する第1親水性粒子の含有量は40質量%以上65質量%以下が好ましい。
実施の形態3.
実施の形態3においては、異なる粒子形状をもつ第1親水性粒子および第2親水性粒子を組み合わせたコーティング膜について説明する。
表5に本実施の形態におけるコーティング膜の実施例19〜22を示す。表5に示す実施例において、分散液中の界面活性剤の濃度は0.2質量%、分散液中の第1親水性粒子の含有量は2.5質量%、および第2親水性粒子の含有量は5.0質量%の一定とし、第1親水性粒子および第2親水性粒子の粒子形状を異なるものを使用した。また、表6に本実施の形態で使用した親水性粒子の材料名を示す。
Figure 0006825540
Figure 0006825540
このようにして形成されたコーティング膜は、実施の形態1の図1で示したコーティング膜と同様な構成となっており、フッ素樹脂膜の表面が第1親水性粒子および第2親水性粒子で覆われた構造であった。なお、第2親水性粒子に板状の粒子を用いた場合、その平坦面がフッ素樹脂膜の表面と平行に配向されていることがわかった。
本実施の形態の結果に示すように、コーティング膜に用いる親水性粒子は、球状でも板状でも不定形状であっても同様の効果が得られる。
とくに、実施例21に示したように、第2親水性粒子に板状の粒子を用いた場合、その平坦面がフッ素樹脂膜の表面と平行に配向することで蓋の役割を果たし、フッ素樹脂膜の加熱時にフッ素成分が膜表面から揮発することを抑制し、第1親水性粒子および第2親水性粒子の表面にフッ素成分が付着し撥水化することを抑制することができる。そのため、実施例21では、初期の接触角が55°と他の実施例よりも親水性が高くなった。
本実施の形態によれば、第1親水性粒子および第2親水性粒子は球状であっても板状であっても、実施の形態1の図1で示したコーティング膜と同様な構成であれば、第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、初期状態でも磨耗試験後でも良好な親水性を発揮できる。
実施の形態4.
実施の形態4におけるコーティング膜は、第2親水性粒子としてシリカ粒子とアルミナ粒子との混合粒子を用いたものである。
第1親水性粒子としてのシリカ親水性粒子(デンカ(株)製、FB−40R、平均粒径40μm)が2.5質量%、第2親水性粒子としてのシリカ粒子(デンカ(株)製、SFP−30M、平均粒径0.7μm、球状)が3質量%、およびアルミナ粒子(日本軽金属(株)製、微粒アルミナSA32、平均粒径1μm、破砕形)が2質量%となるように、添加剤として界面活性剤(AGCセイミケミカル製、S−231)を加えた水を溶媒として分散液を調合した。この分散液をスプレー塗布を用いてフッ素樹脂膜上に塗布、常温で乾燥させたのち、380℃で15分間加熱して本実施の形態のコーティング膜を形成した。
このようにして形成されたコーティング膜は、実施の形態1の図1で示したコーティング膜と同様な構成となっており、フッ素樹脂膜の表面が第1親水性粒子および第2親水性粒子で覆われた構造であった。
このようにして形成されたコーティング膜の接触角を、実施の形態1と同様に測定した。その結果、初期の接触角は57°、磨耗試験後の接触角は70°となり、磨耗試験後も親水性は維持されていることがわかった。
本実施の形態によれば、親水性粒子としてシリカとアルミナを混合したものであっても、実施の形態1の図1で示したコーティング膜と同様な構成であり、第1親水性粒子と第2親水性粒子の平均粒径が実施の形態1で示したものと同様であれば、第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、初期状態でも磨耗試験後でも良好な親水性を発揮できる。
実施の形態5.
実施の形態5におけるコーティング膜は、親水性粒子の粒子層を形成する方法として、パッド印刷を採用したものである。
第1親水性粒子としてのシリカ親水性粒子(デンカ(株)製、FB−40R、平均粒径40μm)が15質量%、第2親水性粒子としてのシリカ親水性粒子(デンカ(株)製、SFP−30M、平均粒径0.7μm)が30質量%となるように、アクリル樹脂塗料(DIC(株)製、アクリディック A−166、不揮発分45±1)に対して混合して塗布液を調整した。
この塗布液を均一パターンの凹版の上にスキージを用いて載せ、シリコンパッドを凹版に押し付けて凹版の上の塗布液をシリコンパッドに転写させる。この塗布液が転写されたシリコンパッドをフッ素樹脂膜に押し付けることで、フッ素樹脂膜の上に親水性粒子の粒子層を形成する。親水性粒子の粒子層が形成された基材を380℃で30分間加熱した後に冷却し、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の下部をフッ素樹脂膜3に埋没させる。
このようにして形成されたコーティング膜は、実施の形態1の図1で示したコーティング膜と同様な構成となっており、フッ素樹脂膜の表面が第1親水性粒子および第2親水性粒子で覆われた構造であった。なお、アクリル樹脂は焼失していた。
このようにして形成されたコーティング膜の接触角を、実施の形態1と同様に測定した。その結果、初期の接触角は57°、磨耗試験後の接触角は70°となり、磨耗試験後も親水性は維持されていることがわかった。
親水性粒子の粒子層を形成する方法としてパッド印刷を用いると、表面が平坦な基材だけでなく、表面に曲率をもつ基材や表面に凸凹をもつ基材にも均一に親水性粒子の粒子層を形成することができる。さらに、塗布液を載せる凹版に文字パターンなどのパターンを形成することができるので、基材に対して親水性の形状パターンを付与することもできる。
実施の形態6.
図6は、この発明を実施するための実施の形態6を示すコーティング膜の断面模式図である。図6において、本実施の形態のコーティング膜1は、実施の形態1と同様に、基材2の表面にフッ素樹脂膜3と、このフッ素樹脂膜3に一部が埋没し、一部が露出した第1親水性粒子4と、フッ素樹脂膜3に一部が埋没し、一部が露出した第2親水性粒子5とで構成されている。本実施の形態のコーティング膜1と実施の形態1のコーティング膜との違いは、第2親水性粒子5の粒子層が実施の形態1に比べて厚い点である。より具体的には、コーティング膜の形成方法において、親水性粒子の粒子層を多層化した点で異なっている。
本実施の形態で用いる、フッ素樹脂、分散液の溶媒および界面活性剤、第1親水性粒子および第2親水性粒子は、実施の形態1の実施例1と同様であるが、分散液中の親水性粒子の含有量が異なっている。
図7は、本実施の形態に関わるコーティング膜の形成方法を説明する説明図である。本実施の形態に関わるコーティング膜の形成方法は、ステップS1〜S5の工程を含んでいる。始めに、基材1を準備する(図7(a))。
ステップS1は、基材2の表面にフッ素樹脂膜を形成する工程である(図7(b))。フッ素樹脂膜を形成する方法は、実施の形態1と同様である。
ステップS2は、フッ素樹脂膜3の上に第2親水性粒子層を形成する工程である(図7(c))。この工程においては、第2親水性粒子5を含む分散液をフッ素樹脂膜3の上に塗布した後に乾燥させる。塗布方法は、実施の形態1と同様である。この工程における分散液中の親水性粒子の含有量は、特に制限されないが5質量%以上15質量%以下が好ましい。5質量%以上であれ分散液が液垂れしにくく、15質量%以下であればムラがない親水性粒子層を形成できる。
ステップS3は、フッ素樹脂膜3に第2親水性粒子5を埋没させる工程である(図7(d))。ステップ2においてフッ素樹脂膜3の上に第2親水性粒子5を含む親水性粒子層が形成されたものオーブンなどで加熱した後に冷却し、第2親水性粒子5の下部をフッ素樹脂膜3に埋没させる。
ステップS4は、第2親水性粒子5が埋没されたフッ素樹脂膜3の上に親水性粒子層を形成する工程である(図7(e))。この工程においては、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5を含む分散液をフッ素樹脂膜3の上に塗布した後に乾燥させる。塗布方法や乾燥方法、および分散液中の親水性粒子の含有量は実施の形態1と同様である
ステップS5は、フッ素樹脂膜3に親水性粒子を埋没させる工程である(図2(f))。ステップ2において、第2親水性粒子5が埋没されたフッ素樹脂膜3の上に第1親水性粒子4および第2親水性粒子5を含む親水性粒子層が形成されたものオーブンなどで加熱した後に冷却し、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の下部をフッ素樹脂膜3に埋没させる。最後に、膜表面に残る余分な親水性粒子は、冷却後に水で洗い流す。
このように構成されたコーティング膜1は、フッ素樹脂膜3のより深部まで第2親水性粒子5が含有されるため膜の強度が増し、磨耗されたときに第1親水性粒子4が剥離しにくくなる効果が得られる。さらに、第1親水性粒子4および第2親水性粒子5の混合分散液において第2親水性粒子5の割合を小さくすることができるので、膜表面に効率的に第1親水性粒子4を配置することができる。
なお、本実施の形態では、ステップS4において第1親水性粒子4および第2親水性粒子5を含む分散液をフッ素樹脂膜3の上に塗布したが、ステップS2において第2親水性粒子層を形成しているので、ステップS4では第1親水性粒子4のみを含む分散液を塗布してもよい。
実施の形態7.
実施の形態7では、実施の形態1〜6で説明したコーティング膜を適用した物品について説明する。図8は、本実施の形態の物品のひとつの例である炊飯器の内釜の断面模式図である。図8において、内釜10は、円筒状の側壁部および底部で構成された鉄やアルミニウムといった金属または炭素材料を主成分とする釜基材11と、その釜基材11の内側の表面に形成されたコーティング膜12とを備えている。このコーティング膜12は、実施の形態1〜6で説明したコーティング膜である。
従来の内釜は、釜基材11の表面がフッ素樹脂のみでコーティングされていた。フッ素樹脂表面は撥水性であるため、加熱中に発生した気泡が剥離しにくく、側壁部や底部に空気の断熱層が形成されてしまう。その結果、従来の内釜で炊飯した場合、内釜内で部分的に熱の加わり方が異なり、炊き上がりが不均一であった。
本実施の形態のように、内釜の表面を親水性を付与したフッ素樹脂膜でコーティングしているので、沸騰で発生した気泡が内釜の表面から離脱しやすく、側壁部や底部に空気の断熱層が形成されないので、この内釜で炊飯した場合、内釜内で均一に熱が加わり、米が均一に炊き上がる。また断熱層の解消により、同じ電力で効率的な加熱が可能となる。
また、炊飯器の内釜はしゃもじなどで磨耗されるが、本実施の形態のコーティング膜では、第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、長期間使用しても良好な親水性を維持できる。
実施の形態8.
実施の形態8では、実施の形態1〜6で説明したコーティング膜を適用した別の物品について説明する。図9は、本実施の形態の物品のひとつの例である魚焼き器具の断面模式図である。このような魚焼き器具は、熱源としてヒータを用いた電気魚焼き器や、渦電流を利用して金属製の調理器具そのものを発熱させる誘導加熱調理器などで用いられている。
図9において、魚焼き器具13は、側壁部および底部で構成された受け皿14と、この受け皿14の上に載せる網15とで構成されている。網15の上に食品を置いて調理する。受け皿14の内側表面にコーティング膜16を備えている。このコーティング膜は、実施の形態1〜6で説明したコーティング膜である。
従来の魚焼き器具は、受け皿14の表面がフッ素樹脂のみでコーティングされていた。フッ素樹脂表面は撥水性であるため、魚焼き器具を使用中に受け皿の中の水が蒸発により減少して少量となると、受け皿の中で水がはじかれ、水が局所的に集まってしまう。その結果、受け皿の内側において水で被覆されない部分が発生し、その部分に網に載せられた食品から落ちる油などが付着して、汚れ固着の原因となっていた。
本実施の形態のように、受け皿の表面に親水性を付与したフッ素樹脂膜でコーティングしていると、受け皿中の水が蒸発して減少しても、受け皿の内側全面が水で覆われるため、汚れの固着を抑制できる。
また受け皿の内側は洗浄時にスポンジで磨耗されるが、本実施の形態のコーティング膜では、第1親水性粒子によって第2親水性粒子の剥離を抑制する効果と第2親水性粒子によって第1親水性粒子の剥離を抑制する効果とのバランスがよく、長期間使用しても良好な親水性を維持できる。
なお、実施の形態7および8では、コーティング膜を適用した物品として炊飯器の内釜および魚焼き器具の例をそれぞれ説明したが、別の物品に対しても適用可能である。このようなコーティング膜を適用する物品としては、各種計器のカバーや外壁などがある。このような親水性が付与されたコーティング膜のその外面に適用することにより、表面に付着した水は球状(粒状)にならずに流れ落ちるので、乾燥後に水に含まれた不純物が汚れとして残留することを防ぐことができる。
1 コーティング膜、 2 基材、 3 フッ素樹脂膜、 4 第1親水性粒子、 5 第2親水性粒子、 10 内釜、 11 釜基材、 12コーティング膜、 13 魚焼き器具、 14 受け皿、 15 網、 16 コーティング膜

Claims (5)

  1. フッ素樹脂膜と、
    このフッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第1親水性粒子と、
    前記フッ素樹脂膜に一部が埋没し、一部が露出した第2親水性粒子と
    を備えた親水性コーティング膜であって、
    前記第1親水性粒子は平均粒径が5μm以上925μm以下であるシリカ親水性粒子であり、
    前記第2親水性粒子は平均粒径が0.03μm以上3μm以下であるシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子であり、
    前記第2親水性粒子の100重量%に対して、前記第1親水性粒子は40重量%以上65重量%以下含有されている
    ことを特徴とする親水性コーティング膜。
  2. 前記第1親水性粒子が球状粒子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の親水性コーティング膜。
  3. 請求項1または2に記載された親水性コーティング膜が基材の表面に形成されたことを特徴とする物品。
  4. フッ素樹脂膜の表面に、平均粒径が5μm以上925μm以下のシリカ親水性粒子である第1親水性粒子と、平均粒径が0.03μm以上3μm以下のシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子である第2親水性粒子とが、前記第2親水性粒子の100重量%に対して、前記第1親水性粒子は40重量%以上65重量%以下含有され、分散された分散液を塗布する
    ステップと、
    前記フッ素樹脂膜の融点まで加熱した後に冷却するステップと
    を備えたことを特徴とする親水性コーティング膜の形成方法。
  5. フッ素樹脂膜の表面に、平均粒径が0.03μm以上3μm以下のシリカ親水性粒子またはシリカ親水性粒子とアルミナ粒子との混合粒子である第2親水性粒子が分散された分散液を塗布するステップと、
    前記分散液が塗布された前記フッ素樹脂膜を、前記フッ素樹脂膜の融点まで加熱した後に冷却するステップと、
    前記第2親水性粒子の100重量%に対して40重量%以上65重量%以下含有され、平均粒径が5μm以上925μm以下のシリカ親水性粒子である第1親水性粒子が分散された分散液を塗布するステップと、
    前記フッ素樹脂膜の融点まで加熱した後に冷却するステップと
    を備えたことを特徴とする親水性コーティング膜の形成方法。
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