JP2006013304A - 圧電素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より低い分極電圧で所望の配向度を有するように厚み方向に分極処理することができ、従って分極に際してのクラックが生じ難い圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 セラミックグリーンシート1の上面及び下面に金属材料を密着する工程と、金属材料2,3が上面及び下面に密着されたセラミックグリーンシート1を焼成し、セラミック焼結体1Aを得る焼成工程と、セラミック焼結体1Aから金属材料2,3を除去する除去工程と、焼成工程よりも後に行われ、セラミック焼結体1Aの上面及び下面の間に電圧を印加して分極する分極工程とを備える、圧電素子の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 セラミックグリーンシート1の上面及び下面に金属材料を密着する工程と、金属材料2,3が上面及び下面に密着されたセラミックグリーンシート1を焼成し、セラミック焼結体1Aを得る焼成工程と、セラミック焼結体1Aから金属材料2,3を除去する除去工程と、焼成工程よりも後に行われ、セラミック焼結体1Aの上面及び下面の間に電圧を印加して分極する分極工程とを備える、圧電素子の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば超音波センサなどに用いられる、圧電セラミックスを利用した圧電素子の製造方法に関し、より詳細には、焼成後に圧電セラミックスを分極する工程を備えた、圧電素子の製造方法に関する。
物体との距離等を測定するために、超音波センサが広く用いられている。この種の超音波センサは、圧電セラミックスからなるセラミック焼結体を用いて構成されている。すなわち、従来の超音波センサは、セラミック焼結体の両主面に電極が形成された圧電素子と、圧電素子の一方面に接着された振動板と、上記圧電素子及び振動板を覆うように取り付けられたカバーとを有する。
超音波センサでは、上記圧電素子に交流電圧が印加され、それによってセラミック焼結体が伸縮する。その結果、振動板が屈曲し、振動板の屈曲振動により生じた超音波が送信される。
ところで、上記圧電素子の製造に際しては、セラミック材料を焼成してセラミック焼結体を得た後に、該セラミック焼結体を分極処理する。すなわち、直流高電圧を印加して分極処理を行うことにより、セラミック中の結晶粒子内に存在する自発分極の分極方向が特定の方向に配向される。このような分極処理を行うことにより、上記圧電効果による伸縮振動を効果的に発現させることができる。
ところで、上記分極処理では、一般に、3.5kV/mm程度の非常に高い直流電圧をセラミック焼結体に印加する。他方、通常は、セラミック焼結体内には空孔がいくらかの割合で存在する。従って、上記のような非常に高い直流電圧がセラミック焼結体に印加されると、上記空孔部分からクラックが生じるおそれがあった。
また、圧電素子では、その厚みが薄いほど、低電圧で大きな振動を得ることができる。従って、用途によっては、圧電素子の厚みは、10μm以下と非常に薄くされる。しかしながら、厚みが薄くなればなるほど、上記空孔がセラミック焼結体表面近くに存在する確率が高くなり、分極に際してのクラックがより一層生じ易くなることになる。
上記のようなクラックの発生を防止するために、例えば下記の特許文献1には、分極処理前に予め分極温度よりも高い温度にセラミック焼結体を加熱する方法が開示されている。
特開平6−151996号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、分極処理前に、分極温度よりも高い温度に加熱することにより、分極に際しての結晶粒子内の自発分極の分極方向を変化させることが容易とされるものの、加熱しただけでは、配向度自体は高められる訳ではない。従って、分極処理に際して印加する直流電圧の大きさをさほど低めることができなかった。よって、分極処理に際し、やはりクラックが発生せざるを得なかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、分極に際して、より低い電圧を印加して所望の配向度を実現することを可能とする工程を備え、従って分極処理に際してのクラックの発生が生じ難い圧電素子の製造方法を提供することにある。
本願の第1の発明は、セラミックグリーンシートを用意する工程と、前記セラミックグリーンシートの上面及び下面に金属材料を密着させる工程と金属材料が上面及び下面に密着されたセラミックグリーンシートを焼成し、セラミック焼結体を得る焼成工程と、前記セラミック焼結体から前記金属材料を除去する除去工程と、前記焼成工程よりも後に行われ、前記セラミック焼結体の上面及び下面の間に電圧を印加して分極する分極工程とを備えることを特徴とする、圧電素子の製造方法である。
第1の発明のある特定の局面では、前記除去工程後に、前記金属材料を除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成する工程がさらに備えられており、前記分極工程が、前記上部外部電極及び下部外部電極を形成した後に、上部外部電極と下部外部電極との間で電圧を印加することにより行われる。
第1の発明の他の特定の局面では、前記分極工程が、前記焼成工程後に、セラミック焼結体の上面及び下面の金属材料を介して電圧を印加することにより行われ、分極工程後に前記除去工程が行われ、前記除去工程後に、前記金属材料が除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極を形成する工程がさらに備えられている。
本願の第2の発明は、セラミックグリーンシートを用意する工程と、前記セラミックグリーンシートを焼成し、セラミック焼結体を得る焼成工程と、前記セラミック焼結体の上面及び下面に金属材料を密着させる工程と、上面及び下面に金属材料が密着されたセラミック焼結体を熱処理する工程と、前記熱処理されたセラミック焼結体から前記金属材料を除去する除去工程と、前記焼成工程よりも後に行われ、前記セラミック焼結体の上面と下面との間に電圧を印加して分極する分極工程とを備えることを特徴とする、圧電素子の製造方法である。
第2の発明のある特定の局面では、前記除去工程後に、前記セラミック焼結体の上面及び下面に外部電極を形成する工程がさらに備えられており、前記分極工程が、前記上部外部電極及び下部外部電極を介してセラミック焼結体に電圧を印加することにより行われる。
第2の発明の他の特定の局面では、前記分極工程が、前記熱処理工程後に、セラミック焼結体の上面及び下面に密着されている金属材料を介してセラミック焼結体に電圧を印加することにより行われ、前記除去工程後に、前記金属材料が除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に、上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成する工程がさらに備えられている。
第1,第2の発明(以下、第1,第2の発明を総称して本発明とする)のある特定の局面では、前記金属材料として、白金を主成分とする材料が用いられる。
また、本願の第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記セラミック材料として、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスが用いられ、前記熱処理工程に際しての熱処理温度が300℃〜800℃の範囲の温度とされる。
第1の発明に係る圧電素子の製造方法では、セラミックグリーンシートの上面及び下面に金属材料を密着させ、その状態で焼成工程が行われる。従って、セラミック材料の熱収縮速度と、金属材料の熱収縮速度との差により、焼成時の昇降温過程においてセラミックスに収縮応力が加わることになる。この収縮応力により、セラミックス中の結晶粒子内に存在する自発分極の分極方向が上面及び下面を結ぶ厚み方向に配向しようとし、厚み方向の配向度が予め高められる。よって、上記焼成工程よりも後に行われる分極工程において、セラミック焼結体の上面及び下面の間に電圧を印加して分極するに際し、予め配向度が高められているため、より低い電圧を印加した場合であっても、所望とする厚み方向配向度を得ることができる。
すなわち、第1の発明の製造方法は、上記のように分極工程より前に、金属材料をセラミックグリーンシートの上面及び下面に密着させて焼成することにより、セラミックスの配向度を予め高めた状態とし、それによって、分極処理における印加電圧の低減を果たしたことに特徴を有する。従って、分極に際してのクラックの発生を抑制できる。また、圧電素子の薄型化を進めることができる。
なお、第1の発明においては、セラミック焼結体から金属材料を除去する除去工程が実施されるが、この除去工程は焼成工程よりも後であれば上記分極工程の前に行われてもよく、分極工程の後に行われてもよい。
上記除去工程が分極工程の前に行われる場合には、好ましくは、除去工程後に金属材料を除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成し、分極工程において、上部外部電極及び下部外部電極との間で電圧を印加すればよい。
また、除去工程が分極工程後に行われる場合には、分極工程に際し、セラミック焼結体の上面及び下面の金属材料を介して電圧を印加して分極を行えばよい。そして、分極後に、金属材料を除去すればよく、すなわち上面及び下面の金属材料を分極用電極として用いればよい。そして、除去工程後に金属材料が除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極を形成すればよい。
第2の発明に係る圧電素子の製造方法では、セラミック焼結体を得る焼成工程を実施した後に、セラミック焼結体の上面及び下面に金属材料が密着される。そして、上面及び下面に金属材料が密着されたセラミック焼結体を熱処理する。従って、この熱処理時の昇降温過程において、収縮速度の差によりセラミックスに収縮応力が加わり、セラミックスの厚み方向に沿う配向度が予め高められる。すなわち、第1の発明の場合と同様に、分極工程に先立ってセラミックスの厚み方向に沿う配向度が予め高められる。
従って、熱処理工程よりも後に分極する場合、より低い電圧を印加して分極処理を行ったとしても、所望の厚み方向配向度を得ることができる。
第2の発明においても、上記のように分極に先立ってセラミックスの配向度が上記熱処理工程が予め高められているため、より低い電圧で大きな配向度を実現することができる。従って、第1の発明の場合と同様に、第2の発明においても、分極に際してのセラミック焼結体におけるクラックの発生を効果的に抑制することができる。
第2の発明においても、上記分極工程は、上記金属材料を除去する除去工程の前に行われてもよく、後に行われてもよい。
分極工程が除去工程後に行われる場合には、除去工程後にセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極を形成し、上部外部電極及び下部外部電極を介してセラミック焼結体に電圧を印加することにより分極工程を行えばよい。
他方、分極工程が除去工程前に行われる場合には、上記熱処理工程後に、セラミック焼結体の上面及び下面に密着されている金属材料を分極用電極として用い、セラミック焼結体に電圧を印加すればよい。そして、分極工程後に除去工程を実施し、しかる後、改めてセラミック焼結体の上面及び下面に、上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成すればよい。
本発明において、金属材料として白金を主成分する材料を用いた場合には、セラミックスとの熱収縮速度の差により、分極に先立ってセラミック焼結体の配向度をより一層効果的に高めることができる。従って、より低い電圧で分極工程を実施することができ、セラミック焼結体におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
第2の発明において、セラミック材料としてチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを用い、熱処理工程に際しての熱処理温度を300〜800℃の範囲の温度とした場合には、上記熱処理により、セラミック焼結体の配向度を予め効果的に高めることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
(実施例1)
チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを主成分とするセラミック粉末に、バインダー、水及び分散剤を混合し、セラミックスラリーを用意した。このセラミックスラリーを用い、ドクターブレード法によりシート成形し、厚み50μmのセラミックグリーンシートを得た。図1(a)に示すように、上記セラミックグリーンシート1の上面及び下面に、白金ペースト2,3を乾燥後に3μmの厚みとなるように塗布した。
チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを主成分とするセラミック粉末に、バインダー、水及び分散剤を混合し、セラミックスラリーを用意した。このセラミックスラリーを用い、ドクターブレード法によりシート成形し、厚み50μmのセラミックグリーンシートを得た。図1(a)に示すように、上記セラミックグリーンシート1の上面及び下面に、白金ペースト2,3を乾燥後に3μmの厚みとなるように塗布した。
しかる後、白金ペースト2,3を乾燥した後、空気中にて1100℃の温度に60分間維持し、焼成した。このようにして、図1(b)に示すセラミック焼結体1Aを得た。
しかる後、白金ペースト2,3の焼付けにより形成された、金属材料としての白金層2A,3Aを研磨により除去した。このようにして、図1(c)に示すセラミック焼結体1Aを得た。得られたセラミック焼結体1Aの結晶構造をX線回折法により調べた。結果を図2に実線Aで示す。
比較のために、白金ペースト2,3を塗布しなかったことを除いては上記と同様にしてセラミックグリーンシートを焼成し、セラミック焼結体を得た。この比較のためのセラミック焼結体を比較例1のセラミック焼結体とする。比較例1のセラミック焼結体の結晶構造をX線回折法により測定した。結果を図2に実線Bで示す。
図2の実線Aと実線Bから明らかなように、実施例1のセラミック焼結体では、(001)面への配向度と、(100)面への配向度とがほぼ同じであるのに対し、比較例1のセラミック焼結体では、(100)面への配向度が(001)面の配向度よりもかなり大きいことがわかる。
なお、(001)面への配向度とは、図1(d)の矢印で示すように、セラミック焼結体1Aの厚み方向への配向度であり、(100)面への配向度とは、セラミック焼結体1Aの面方向、特に長さ方向への配向度をいう。
セラミック焼結体1Aを厚み方向に分極した場合、分極方向は(001)面への配向方向となる。実施例1で用意されたセラミック焼結体の(001)面への配向度割合を、(001)面配向度/{(001)面配向度+(100)面配向度}(%)として求めた。従って、(001)面配向度割合が高いほど、(001)面配向度が高いことになる。その結果、実施例1では、(001)面への配向度割合が51%であり、比較例1では、25%であった。
以上のように、実施例1のセラミック焼結体1Aでは、比較例1のセラミック焼結体に比べて、(001)への配向度割合が十分に高いため、分極工程における印加すべき電圧値を低減することができる。これをより具体的に説明する。
上記セラミック焼結体1Aと、比較例1のセラミック焼結体を10mm×10mm×0.03mmの寸法に切り出し、厚み方向すなわち、セラミック焼結体1Aの上面及び下面に相当する部分にそれぞれAgからなる分極用電極を形成した。そして、上面の分極用電極と下面の分極用電極との間に電圧を印加し、分極処理を行い、その場合の厚み縦振動の電気機械結合係数の分極電界依存性を調べた。結果を図3に示す。
図3の横軸は、分極電圧を示し、縦軸は、厚み縦振動の電気機械結合係数(%)を示す。
図3から明らかなように、比較例1では、3kV/mm以上の電圧を印加しなければ、電気機械結合係数が飽和しなかった。これに対して、実施例1のセラミック焼結体では、約1.5kV/mm以上の電圧を印加した場合に、電気機械結合係数が飽和し、しかもより大きな電気機械結合係数を得ることができた。
従って、図3から明らかなように、実施例1のように、予め金属材料である白金層2A,3Aをセラミックグリーンシート1に密着させた状態で焼成工程を実施した場合には、予めセラミック焼結体1Aの厚み方向の配向度が効果的に高められ、それによって分極に際しての印加電圧を低め得ることがわかる。よって、分極電圧を低め得るため、分極に際してのセラミック焼結体1Aにおけるクラックも生じ難い。
なお、上記実施例1では、分極に先立ち、白金層2A,3Aを除去し、分極用電極4,5を改めて形成していたが、分極用電極として、白金層2A,3Aをそのまま用いてもよい。すなわち、本発明における金属材料を、分極用電極として用いてもよい。
また、上記実施例1のセラミック焼結体1は、例えば図4に示す超音波センサに好適に用いられる。図4に示す超音波センサ11は、振動板12と、振動板12上に貼り付けられた圧電素子13とを有する。振動板12は、適宜の金属により構成されている。圧電素子13は、上記セラミック焼結体1Aの両主面に上部外部電極14及び下部外部電極15を形成した構造を有する。上部外部電極14及び下部外部電極15は、Agなどの適宜の金属材料により構成され得る。
上部外部電極14及び下部外部電極15は、前述した分極工程に際して形成した分極用電極を兼ねていてもよい。あるいは、分極用電極を除去した後に、上部外部電極14及び下部外部電極15を別途形成してもよい。
図4に戻り、上記圧電素子13の上部外部電極14には、リード線16が接続されている。振動板12には、リード線17が接続されている。すなわち、リード線17は、振動板12を介して、下部外部電極15に電気的に接続されている。また、圧電素子13を覆うように、下方に開口を有するケース18が振動板12の上面に接合されている。リード線16,17は、ケース18の外部に引き出されている。ケース18は、合成樹脂や金属などの適宜の材料で構成され得る。
なお、上記セラミック焼結体1Aは、圧電素子13に限らず、セラミック焼結体1Aの厚み方向への分極を利用する様々な圧電素子に用いることができる。従って、超音波センサ11以外の様々な圧電装置に、本発明による圧電素子を用いることができる。
(実施例2)
実施例1と同様にして、厚み50μmのセラミックグリーンシートを用意した。図5(a)は、用意されたセラミックグリーンシート21を示す正面断面図である。
実施例1と同様にして、厚み50μmのセラミックグリーンシートを用意した。図5(a)は、用意されたセラミックグリーンシート21を示す正面断面図である。
上記セラミックグリーンシート21を、空気中にて1100℃の温度で60分間維持して焼成し、図5(a)に示すセラミック焼結体21Aを得た。
次に、セラミック焼結体21Aの上面及び下面に、Ag/Pdペーストを乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥した。次に、空気中、800℃の条件で60分間加熱する熱処理工程を行った。このようにして、図5(c)に示すように、セラミック焼結体21Aの上面にAg/Pdからなる金属材料層22が、下面にAg/Pdからなる金属材料層23が形成されている構造を得た。
得られたセラミック焼結体21Aの結晶構造をX回折法により測定した。結果を図6の実線Cで示す。
比較のために、比較例2として、上記セラミック焼結体21Aの熱処理工程前のセラミック焼結体を取り出し、X線回折法により結晶構造を求めた。結果を図6の実線Dで示す。
図6から明らかなように、上記熱処理工程を実施する前の比較例2のセラミック焼結体では、(100)面への配向度に対し、(001)面への配向度がかなり低いことがわかる。これに対し、上記熱処理工程後には、(001)面への配向度が効果的に高められることがわかる。
実施例1の場合と同様にして、(001)面への配向度割合を求めたところ、実施例2では、48%であり、比較例2では、25%であった。
従って、分極前の状態で、(001)面への配向度が高いことが望ましい。従って、実施例2において、上記熱処理工程を実施することにより、予めセラミック焼結体の(001)面への配向度が高められているため、分極工程においては、より低い電圧を印加した場合であっても、厚み方向に所望の配向度を有するように分極し得ることがわかる。よって、実施例2においても、分極に際しての印加電圧を低めることができるため、セラミック焼結体におけるクラックの発生を効果的に抑制することができる。
(実施例3)
実施例1と同様にして、厚み20μmのセラミックグリーンシートを用意した。得られたセラミックグリーンシートの上面に白金ペーストを乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、乾燥した。図7(a)に示すように、このようにして、セラミックグリーンシート31の上面に白金ペースト32が印刷されたセラミックグリーンシート31を用意した。
実施例1と同様にして、厚み20μmのセラミックグリーンシートを用意した。得られたセラミックグリーンシートの上面に白金ペーストを乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、乾燥した。図7(a)に示すように、このようにして、セラミックグリーンシート31の上面に白金ペースト32が印刷されたセラミックグリーンシート31を用意した。
上記セラミックグリーンシート31を100枚積層し、剛体プレスにより厚み方向に加圧した。このようにして、図7(b)に略図的に示す積層体33を得た。
得られた積層体33を350℃の温度に10時間維持することにより、脱バインダー工程を実施した。しかる後、アルミナからなるセッタに積層体33を載置し、空気中にて、1100℃の温度で120分間維持して焼成した。しかる後、500℃の温度に120分間維持する熱処理を行った。
このようにして、図7(c)に示す積層型のセラミック焼結体34を得た。
上記セラミック焼結体34のセラミックス部分の結晶構造をX線回折法により測定した。
また、比較のために、上記500℃及び120分の熱処理工程を実施していないことを除いては、上記と同様にしてセラミック焼結体を得、結晶構造をX線回折法により測定した。
さらに、上記熱処理工程を実施した積層型セラミック焼結体34、熱処理工程を実施していない積層型セラミック焼結体から、それぞれ、白金層に挟まれたセラミック層のみを取り出し、結晶構造をX線回折法により測定した。上記のようにして測定された結晶構造に基づき、実施例1と同様にして、(001)面配向度割合を求めた。結果を下記の表1に示す。
これに対して、熱処理工程を実施していない積層型圧電体では、白金層を剥離した場合及び剥離していない場合のいずれにおいても、(001)面配向度割合は37%及び35%と低かった。
従って、実施例3の結果から、上記500℃の温度で熱処理することにより、(001)面の配向度を効果的に高め得ることがわかる。
(実施例4)
実施例3で焼成後の熱処理工程の温度を種々異ならせ、同様に積層型のセラミック焼結体を得た。このようにして得られた複数のセラミック焼結体のセラミックス部分の結晶構造をX線回折法により測定し、(001)面配向度割合を実施例1と同様にして求めた。結果を図8に示す。
実施例3で焼成後の熱処理工程の温度を種々異ならせ、同様に積層型のセラミック焼結体を得た。このようにして得られた複数のセラミック焼結体のセラミックス部分の結晶構造をX線回折法により測定し、(001)面配向度割合を実施例1と同様にして求めた。結果を図8に示す。
図8から明らかなよう、熱処理温度が300℃の場合、(001)面配向度割合が最小となり、熱処理温度が300℃より高くなるにつれて高くなり、800℃程度で(001)面配向度割合がほぼ飽和することがわかる。従って、好ましくは、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミック材料を用いる場合、上記熱処理工程の温度を300〜800℃の範囲とすることが望ましいことがわかる。
1…セラミックグリーンシート
1A…セラミック焼結体
2,3…白金ペースト
2A,3A…白金層(金属材料)
4,5…分極用電極
11…超音波センサ
12…振動板
13…圧電素子
14…上部外部電極
15…下部外部電極
16,17…リード線
18…ケース
21…セラミックグリーンシート
21A…セラミック焼結体
22,23…電極
31…セラミックグリーンシート
32…白金ペースト
33…積層体
34…積層型セラミック焼結体
1A…セラミック焼結体
2,3…白金ペースト
2A,3A…白金層(金属材料)
4,5…分極用電極
11…超音波センサ
12…振動板
13…圧電素子
14…上部外部電極
15…下部外部電極
16,17…リード線
18…ケース
21…セラミックグリーンシート
21A…セラミック焼結体
22,23…電極
31…セラミックグリーンシート
32…白金ペースト
33…積層体
34…積層型セラミック焼結体
Claims (8)
- セラミックグリーンシートを用意する工程と、
前記セラミックグリーンシートの上面及び下面に金属材料を密着させる工程と、
金属材料が上面及び下面に密着されたセラミックグリーンシートを焼成し、セラミック焼結体を得る焼成工程と、
前記セラミック焼結体から前記金属材料を除去する除去工程と、
前記焼成工程よりも後に行われ、前記セラミック焼結体の上面及び下面の間に電圧を印加して分極する分極工程とを備えることを特徴とする、圧電素子の製造方法。 - 前記除去工程後に、前記金属材料を除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成する工程をさらに備え、
前記分極工程が、前記上部外部電極及び下部外部電極を形成した後に、上部外部電極と下部外部電極との間で電圧を印加することにより行われる、請求項1に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記分極工程が、前記焼成工程後に、セラミック焼結体の上面及び下面の金属材料を介して電圧を印加することにより行われ、
分極工程後に前記除去工程が行われ、
前記除去工程後に、前記金属材料が除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に上部外部電極及び下部外部電極を形成する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の圧電素子の製造方法。 - セラミックグリーンシートを用意する工程と、
前記セラミックグリーンシートを焼成し、セラミック焼結体を得る焼成工程と、
前記セラミック焼結体の上面及び下面に金属材料を密着させる工程と、
上面及び下面に金属材料が密着されたセラミック焼結体を熱処理する工程と、
前記熱処理されたセラミック焼結体から前記金属材料を除去する除去工程と、
前記焼成工程よりも後に行われ、前記セラミック焼結体の上面と下面との間に電圧を印加して分極する分極工程とを備えることを特徴とする、圧電素子の製造方法。 - 前記除去工程後に、前記セラミック焼結体の上面及び下面に外部電極を形成する工程をさらに備え、
前記分極工程が、前記上部外部電極及び下部外部電極を介してセラミック焼結体に電圧を印加することにより行われる、請求項4に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記分極工程が、前記熱処理工程後に、セラミック焼結体の上面及び下面に密着されている金属材料を介してセラミック焼結体に電圧を印加することにより行われ、
前記除去工程後に、前記金属材料が除去されたセラミック焼結体の上面及び下面に、上部外部電極及び下部外部電極をそれぞれ形成する工程をさらに備える、請求項4に記載の圧電素子の製造方法。 - 前記金属材料として、白金を主成分とする材料を用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記セラミック材料として、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを用い、前記熱処理工程に際しての熱処理温度が300℃〜800℃の範囲の温度である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004191138A JP2006013304A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 圧電素子の製造方法 |
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JP2006013304A true JP2006013304A (ja) | 2006-01-12 |
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JP (1) | JP2006013304A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016522582A (ja) * | 2013-06-18 | 2016-07-28 | シァーメン ナイル エレクトロニックス カンパニー リミテッド | 高温用圧電素子の電極の製造方法および高温用圧電素子の構造 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5570082A (en) * | 1978-11-20 | 1980-05-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Preparation of piezo-electric porcelain |
JPH04286169A (ja) * | 1991-03-14 | 1992-10-12 | Hitachi Metals Ltd | 電歪効果素子の製造方法 |
JPH05160464A (ja) * | 1991-12-06 | 1993-06-25 | Murata Mfg Co Ltd | 圧電体の分極方法 |
JPH07131086A (ja) * | 1993-09-13 | 1995-05-19 | Ngk Insulators Ltd | 圧電膜型素子及びその処理方法並びにその駆動方法 |
JP2002355981A (ja) * | 2001-03-29 | 2002-12-10 | Brother Ind Ltd | 圧電トランスデューサおよび液滴噴射装置の製造方法 |
-
2004
- 2004-06-29 JP JP2004191138A patent/JP2006013304A/ja active Pending
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