JP2002355981A - 圧電トランスデューサおよび液滴噴射装置の製造方法 - Google Patents

圧電トランスデューサおよび液滴噴射装置の製造方法

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JP2002355981A
JP2002355981A JP2002080283A JP2002080283A JP2002355981A JP 2002355981 A JP2002355981 A JP 2002355981A JP 2002080283 A JP2002080283 A JP 2002080283A JP 2002080283 A JP2002080283 A JP 2002080283A JP 2002355981 A JP2002355981 A JP 2002355981A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分極工程が煩雑とならず、しかもクロストー
クのない圧電トランスデューサおよび液滴噴射装置の製
造方法を提供する。 【解決手段】 圧電材料板1の各液室5に対応する位置
において両表面近くに、その厚さ方向とほぼ直交する面
方向に間隔を置いた複数の分極用電極を形成し、その分
極用電極に電圧を印加することにより、圧電材料板を面
方向にほぼ平行に分極する。その後、圧電材料板を前記
圧電材料板を両側から研磨して前記分極用電極を除去す
る。圧電材料板の両表面に圧電材料板の分極方向に対し
て交差する電界をかけるための駆動用電極2,3を形成
する。この圧電材料板1を複数の液室5にまたがって共
通に用いられ、圧電材料板の厚さ方向の変形を利用して
各液室の容積を変化させることにより液室内の液体を噴
射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電トランスデュ
ーサおよび液滴噴射装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットタイプのプリンタに用い
られるインクジェットヘッドとして、圧電トランスデュ
ーサを用いたものが知られている。このようなインクジ
ェットヘッドでは、インク液室を覆う壁部に圧電材料か
らなる板状の部材(圧電材料板)を使用する。この圧電
材料板に駆動電圧を印加することにより上記壁部を変形
させ、インク液室内のインク圧力を変動させる。これに
より、インク液室に連続するノズルからインクを吐出す
るものである。
【0003】このような圧電材料板を駆動変形させるモ
ードとして、通常、ダイレクトモードと、シェアーモー
ドとがある。ダイレクトモードでは、駆動電圧の印加に
ともなう駆動電界の方向は圧電材料板の分極方向に沿っ
た方向であり、圧電材料板の分極方向に沿った伸縮変形
を利用する。シェアーモードでは、上記駆動電界の方向
と圧電材料板の分極方向とが略直交し、圧電材料板のせ
ん断方向の変形を利用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらのモードのう
ち、とくにシェアモードでは通常、各インク液室に対し
て繰り返しパターンとなるように分極の向きが頻繁に変
化する構成が採用される。このため、分極工程が煩雑な
ものとなりがちである。また、分極工程を容易なものと
するため、分極に利用する電極をあらかじめ圧電材料板
内に形成しておく方法も考えられるが、この場合には、
圧電材料板内の電極によりインク液室間のクロストーク
の原因となる可能性がある。
【0005】本発明は、分極工程が煩雑とならず、しか
も性能面での悪影響を与えることがない圧電トランスデ
ューサおよび液滴噴射装置の製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電トランスデ
ューサの製造方法は、圧電材料板の厚さ方向に対向する
両表面近くに、その厚さ方向とほぼ直交する面方向に間
隔をおいた複数の分極用電極を形成する工程と、前記圧
電材料板に形成された前記分極用電極に電圧を印加する
ことにより、前記圧電材料板を、前記面方向にほぼ平行
に分極する工程と、前記圧電材料板の分極後に、前記圧
電材料板を前記圧電材料板の片側または両側から研磨し
て前記分極用電極の少なくとも一部を除去する工程と、
前記分極用電極の少なくとも一部を除去する工程の後
に、前記圧電材料板の両表面に前記圧電材料板の前記分
極部分に対して電界をかけるための駆動用電極を形成す
る工程とを備えることを特徴とする。
【0007】この圧電トランスデューサによれば、圧電
材料板の表面近くに形成した分極用電極により圧電材料
板の分極を行った後に、圧電材料板に対し研磨加工を施
すことで分極用電極を除去し、その後、駆動用電極を形
成するので、分極工程が煩雑とならず、しかも駆動用電
極から駆動用の電界を印加したとき分極用電極によるク
ロストークのない圧電トランスデューサを得ることがで
きる。
【0008】また、前記駆動用電極は、前記分極部分を
挟む位置の前記圧電材料板の両表面に形成することで、
効果的に圧電材料板を変形させることができる位置に駆
動用電極を形成できる。さらにその際、駆動用電極は、
前記分極用電極を除去した部分を含む前記圧電材料板の
両表面に形成することで、一層効果的に圧電材料板を変
形させることができるようになる。
【0009】また、前記圧電材料板を構成する複数のシ
ート状材料を形成する工程と、その複数のシート状材料
を積層する工程と、その積層体を焼成する工程とをさら
に備え、前記分極用電極を形成する工程は、前記複数の
シート状材料のうち前記圧電材料板の表面近くに位置す
るシート状材料に形成することで、圧電材料板および分
極用電極の製作を容易にすることができる。さらにこの
際に、前記積層する工程は、前記分極用電極を形成した
シート状材料の外側にさらにシート状材料を積層する工
程を含み、前記分極用電極の除去工程は、前記外側に積
層したシート状材料を前記分極用電極とともに除去する
ことで、分極工程において、外部への放電をなくし効率
よく分極することができる。
【0010】なお、分極用電極を除去する工程は、すべ
ての前記分極用電極を除去するようにしてもよいが、前
記圧電材料板の一方の表面近くの前記分極用電極を除去
し、他方の表面近くの前記分極用電極を残すようにして
もよい。
【0011】また、本発明の液滴噴射装置の製造方法
は、圧電材料板が複数の液室について共通に用いられ、
前記圧電材料板の厚さ方向の変形を利用して前記複数の
液室のそれぞれの容積を変化させることにより前記液室
内の液体を噴射するものにおいて、前記圧電材料板の各
液室に対応する位置において厚さ方向に対向する両表面
近くに、その厚さ方向とほぼ直交する面方向に間隔をお
いた複数の分極用電極を形成する工程と、前記圧電材料
板に形成された前記分極用電極に電圧を印加することに
より、前記圧電材料板を、前記面方向にほぼ平行に分極
する工程と、前記圧電材料板の分極後に、前記圧電材料
板を前記圧電材料板の片側または両側から研磨して前記
分極用電極の少なくとも一部を除去する工程と、前記分
極用電極の少なくとも一部を除去する工程の後に、前記
圧電材料板の両表面に前記圧電材料板の前記分極部分に
対して電界をかけるための駆動用電極を前記液室に対応
する位置に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】この製造方法によれば、圧電材料板の表面
近くに各液室に対応して形成した分極用電極により圧電
材料板の分極を行った後に、圧電材料板に対し研磨加工
を施すことで分極用電極を除去し、その後、駆動用電極
を形成するので、各液室ごとに分極部分を形成でき、し
かも分極工程が煩雑とならず、駆動用電極から駆動用の
電界を印加したとき分極用電極によるクロストークのな
い液滴噴射装置を得ることができる。
【0013】好ましくは、前記圧電材料板の一方の表面
近くの分極用電極は、前記液室の中央に対応する位置に
形成することで、液室に対して圧電材料板を有効に変形
させ、効率のよい液噴射をすることができる。
【0014】さらに、前記圧電材料板の他方の表面近く
の分極用電極は、前記液室の外周に対応する位置に形成
することで、液室に対応する圧電材料板の広い面を有効
に変形させ、一層効率のよい液噴射をすることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】−第1の実施形態− 以下、図1〜図10を参照して、本発明の圧電トランス
デューサおよび液滴噴射装置の製造方法をインクジェッ
トヘッドに適用した第1の実施形態について説明する。
【0016】図1に示すように、インクジェットヘッド
200は、圧電トランスデューサ100と液室形成ユニ
ット220とで構成され、液室形成ユニット220は、
液室プレート6と、スペーサプレート7と、ノズル8を
有するノズルプレート9とで構成されている。
【0017】インクを収容する液室5は、液室プレート
6に穿設した開口の上下を圧電トランスデューサ100
とスペーサプレート7とで覆って作られ、図4に示すよ
うに、複数行、複数列をなして平面状に配列され、隣接
する液室5とは隔壁51で隔てられている。液室5の長
さ方向の一端は、スペーサプレート7に穿設した連通孔
71を介してノズルプレート9のノズル8に連通し、他
端は、図示しないインク供給源に連通している。液室5
は、例えば幅(図において左右方向)0.375mm、
長さ(図において紙面と直交する方向)2.000mm
の大きさで、図において左右方向に0.508mmのピ
ッチ(50DPI)で形成されている。
【0018】圧電トランスデューサ100は、チタン酸
ジルコン酸鉛系(PZT)のセラミックス材料からなる
圧電材料板1からなる。さらに、圧電材料板1は、複数
のシート状の圧電セラミックス層1a〜1dを積層して
構成され、その圧電材料板1の液室側の表面(図1にお
いて下面)上に第1の駆動用電極2と、液室5と反対側
の表面(図1において上面)上に第2の駆動用電極3と
が形成されている。第1の駆動用電極2は、圧電材料板
1下面全体に沿って延び各液室5に共通に設けられる。
第2の駆動用電極3は各液室5に対応して設けられ、各
液室5の形状にほぼ対応した形状に形成される。圧電セ
ラミックス層1a〜1dの1層の厚みは0.015mm
である。第1および第2の駆動用電極2,3はAg−P
d系の金属材料からなり、厚みは約0.002mmであ
る。
【0019】図1において圧電材料板1の内部に描かれ
た矢印Aは、圧電材料板1の分極方向を示す。圧電材料
板1は各液室5の中央部分から両側の隔壁51に向かう
方向につまり中央部分に対して対称に分極されている。
それぞれの分極方向は、圧電材料板1の上面および下面
に沿う方向でかつ厚み方向に対して傾いているが、圧電
材料板1の面方向の成分を有する。第1の駆動用電極2
と第2の駆動用電極3は、この各液室5に対応する2つ
の分極部分を上下から挟むように対向している。つま
り、圧電材料板1の各液室5に対応する部分が、後述す
るように変形する部分すなわち動作部分を構成する。
【0020】第1の駆動用電極2と第2の駆動用電極3
は、この各分極部分のみに対応して分割して設けられて
てもよいが、上記のように第1の駆動用電極2はすべて
連続して、第2の駆動用電極3は同時に電圧を印加する
単位つまり液室ごとに形成することが製造上好ましい。
【0021】次に、図1〜図3を参照して、液滴を噴射
する動作について説明する。図1に示すように、最初に
液室5の内部にインクを充填する。このとき、第1の駆
動用電極2および第2の駆動用電極3はいずれもグラン
ドGND(0V)に接続されている。次に、図2に示す
ように、第1の駆動用電極2をグランドGNDに接続し
たまま、液滴を噴射しようとする液室5の第2の駆動用
電極3に正の駆動電圧(例えば20V〜30V)を印加
する。このとき、第1の駆動用電極2および第2の駆動
用電極3の間に発生する電界Eの向きと、圧電材料板1
の分極方向Aとがほぼ直交しているため、液室5に対応
する2つの分極部分はそれぞれシェアモードで変形す
る。つまり、両分極部分は、それぞれ隔壁51の上方部
分をほぼ支点とし、かつ液室5の中央を挟んで対称にそ
れぞれ平行四辺形状に変形して、第2の駆動用電極3が
形成された圧電材料板1の領域が圧電材料板1の面方向
に対して直交する方向、すなわち図2において上方に膨
らむように移動し、液室5の容積が増加する。この状態
を、このとき生じた圧力波の液室5内での片道伝播時間
Tだけ維持する。この容積の増加によって、図示しない
インク供給源から液室5にインクが供給される。なお、
上記片道伝播時間Tは液室5内の圧力波が、液室5の長
手方向(図中、紙面に垂直な方向)に伝播するのに必要
な時間であり、液室5の長さLとこの液室5内部のイン
ク中での音速aによりT=L/aと決まる。
【0022】圧力波の伝播理論によると、上記の電圧の
印加からほぼT時間がたつと液室5内の圧力が逆転し、
正の圧力に転じるが、このタイミングに合わせてに第1
の駆動用電極2をグランドGNDに接続したまま第2の
駆動用電極3の電位をグランドGND(0V)に戻す
と、圧電材料板1の形状が図1と同様の変形前の状態に
戻り、液室5内のインクに圧力が加えられる。そのと
き、前記正に転じた圧力と、圧電材料板1が変形前の状
態に戻ることにより発生した圧力とが加え合わされ、比
較的高い圧力が液室5に連通するノズル8付近の部分に
生じて、図3に示すように、液室5内のインクがノズル
8からインク滴10として噴射される。
【0023】次に、図5〜図9を参照して、上記インク
ジェットヘッドの製造方法について説明する。
【0024】図5に示すように、上記の圧電材料板1を
構成する4枚のセラミックス材料のグリーンシート1a
〜1dの上下面にさらに1枚ずつのグリーンシート1
e,1fが積層され、上記の圧電材料板1を構成する部
分と追加したグリーンシート1e,1fの間には、第1
の分極用電極11および第2の分極用電極12がそれぞ
れ形成される。
【0025】具体的には、図6に示すように、上から2
番目のグリーンシート1aに、第1の分極用電極11と
して、各液室5の中央部分に対応する張出し部11a
と、各張出し部11aを互いに接続するとともに、第1
の分極用電極11をグリーンシート1aの端部まで引き
出す引出部11bとを、導電性ペースト材料を使用して
スクリーン印刷または導電材料の蒸着により形成する。
最下層のグリーンシート1fに、第2の分極用電極12
を、隔壁51と対応する位置に、各液室5に対応した部
分を開口12aとして除いて、グリーンシート1aの端
部に引き出す引出部12bとともに上記のようにスクリ
ーン印刷または蒸着により形成する。第1の分極用電極
11および第2の分極用電極12はいずれもAg−Pd
系の金属材料からなり、厚みは約0.002mmであ
る。
【0026】これらの分極用電極11,12を形成した
グリーンシート1a,1fを、電極のない他のグリーン
シート1e、1b,1c,1dとともに積層して焼成
し、一体化する。なお、図6には、第2の分極用電極1
2の開口12aと、第1の分極用電極11との位置関係
を示す。
【0027】次に、上記の圧電トランスデューサを、1
30℃程度のシリコンオイルなどの絶縁オイルが満たさ
れた図示しないオイルバス中に浸し、引出部12bを介
して第2の分極用電極12をグランドGND(0V)に
接続し、引出部11bを介して第1の分極用電極11に
正の分極用電圧を印加して、張出し部11aと第2の分
極用電極12との間には、圧電材料板の面方向および厚
み方向に対して斜め方向に2.5kV/mm程度の電界を発
生させる。図5に示すように、圧電材料板1はこの電界
方向にしたがった方向(矢印A)に分極される。
【0028】その後、図8に示すように、圧電材料板1
を両面から研磨し、第1の分極用電極11および第2の
分極用電極12を含むシート1e,1f部分を取り除
く。圧電材料板1には研磨面1Aおよび研磨面1Bが形
成される。次に、図9に示すように、圧電材料板1の研
磨面1B全体にわたって第1の駆動用電極2を、圧電材
料板の研磨面1Aの液室5に対応した分極位置に第2の
駆動用電極3を、それぞれ上記のようにスクリーン印刷
または蒸着により形成する。
【0029】そして、上記のように形成された圧電材料
板1と、あらかじめ積層した液室プレート6、スペーサ
プレート7およびノズルプレート9からなる液室ユニッ
ト220とを、第2の駆動用電極3および分極部分が液
室5に対応するように、接合することにより、インクジ
ェットヘッド200が作製される。
【0030】上記のように、第1の実施の形態のインク
ジェットヘッド200では、第1の分極用電極11およ
び第2の分極用電極12を各液室5に対して共通のパタ
ーンとして形成しておき、第1の分極用電極11および
第2の分極用電極12を利用して、圧電材料板1の分極
を行っている。このため、複雑な操作を要することな
く、各液室について同時に分極を行うことができる。ま
た、圧電材料板1の分極後に、圧電材料板1に対し研磨
加工を施すことにより、第1の分極用電極11および第
2の分極用電極12を除去している。このため、圧電ト
ランスデューサ100の駆動に際して、内部に残ってい
る分極用の電極を介して駆動電界が漏れるなどして所定
の液室5の駆動が他の液室に与える影響(クロストー
ク)を排除することができる。
【0031】また、上記のように圧電材料板1の面方向
および厚み方向に対して傾斜して分極しているので、圧
電材料板1の両表面近くに分極用電極11,12を、圧
電材料板1の厚さ方向に互いに重ならないようにして傾
斜方向に対向配置して分極を行うことができる。そし
て、駆動用電極2,3を圧電材料板の両面に対向配置す
ることで、傾斜した分極方向に対して実質的に直交する
電界をかけ、少ない電極数で効率よく変形させることが
できる。
【0032】なお、圧電材料板1を分極するための第1
の分極用電極11および第2の分極用電極12を、上記
実施の形態のように、セラミックス材料の積層体の内部
に形成することで、分極時の放電を少なくして効率よく
分極することができるが、外部に形成あるいは外表面に
接触させることで分極を行うこともできる。また、第1
の分極用電極11と第2の分極用電極12に印加する分
極用の直流電圧の向きを逆にして分極方向を逆にし、あ
るいは駆動用電極2,3の位置を上下逆に入れ替えて駆
動電圧の向きを逆にすることで、圧電材料板1を液室5
の容積を減少させるように変形してインクを噴射するこ
とも可能である。
【0033】−第2の実施形態− 以下、図10〜図11を参照して、本発明の第2の実施
の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態
と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】図10に示すように、第2の実施の形態の
圧電トランスデューサ102は、圧電材料板21の内部
に、分極に用いた第2の分極用電極12を残して完成品
としている。その他の部分の構成は第1の実施の形態と
同じである。このように、第2の分極用電極12を除去
していないが、電極12は各液室5の周囲に位置付けら
れているため、クロストークに関して大きな影響を与え
ることなく、前記第1の実施の形態と同様に動作するこ
とができる。
【0035】第2の実施の形態のインクジェットヘッド
の動作は、第1の実施の形態と同様に、第1の駆動用電
極2をグランドGND(0V)に接続しておき、インク
を噴射しようとする液室に対応する第2の駆動用電極3
に正の駆動電圧を印加する。これにより、第1の駆動用
電極2および第2の駆動用電極3の間に発生する電界の
向きと、圧電材料板21の両分極方向とが略直交してい
るため、圧電材料板21はシェアモードで変形、すなわ
ち両分極部分は液室5のほぼ中央を挟んで対称にそれぞ
れ平行四辺形状に変形する。この状態は図示しないが、
図2と同様である。そして、第2の駆動用電極23の電
位をグランドGND(0V)に戻すと、圧電材料板21
の形状が図10と同様の状態に戻り、液室25から所定
量のインク10が噴射される。
【0036】第2の実施の形態のインクジェットヘッド
の製造方法は、第1の実施の形態とほぼ同じであり、第
1の分極用電極11および第2の分極用電極12を形成
したグリーンシート1a,1fを、電極のない他のグリ
ーンシート1e、1b,1c,1dとともに積層して焼
成し、図5の積層体と同じものを製作する。そして、第
2の分極用電極12および第1の分極用電極11間に上
記のように直流電圧を印加し、圧電材料板21の各動作
部分を傾斜方向に分極する。第2の実施の形態では、図
11に示すように圧電材料板21を上面から研磨し、第
1の分極用電極11を含むシート1e部分を取り除き、
第2の分極用電極12を含むシート1f部分を残す。そ
して、図9と同様に、圧電材料板21の上面および下面
に、第1の駆動用電極2、第2の駆動用電極3をそれぞ
れ形成する。
【0037】−インクジェットプリンタ− 以下、図12を参照して、上記インクジェットヘッドを
搭載したインクジェットプリンタについて説明する。
【0038】図12に示すプラテン110は、軸112
によりフレーム113に回転可能に取り付けられてお
り、モータ114によって駆動される。プラテン110
には紙111がセットされており、プラテン110に対
向してインクジェットヘッド200が設けられている。
インクジェットヘッド200は、インク供給装置116
とともにキャリッジ118上に載置されている。キャリ
ッジ118はプラテン110の軸線に平行に配設された
2本のガイドロッド120に摺動可能に支持されるとと
もに、一対のプーリ122に巻き掛けられたタイミング
ベルト124が結合させられている。そして、一方のプ
ーリ122がモータ123によって回転させられ、タイ
ミングベルト124が送られることによりキャリッジ1
18ヘプラテン110に沿って移動させられる。
【0039】なお、上記各実施形態においては、圧電材
料板はシェアーモードで駆動されていたが、内部電極の
配列のしかたによってはダイレクトモードでも駆動しう
る。すなわち、図1において、第1の電極2を、第1の
液室プレート6の隔壁51の上面に相当する位置にのみ
設け、第2の電極3の幅を狭くすることにより、駆動電
界と分極との交差角は小さくなり、ダイレクトモードで
動作する。
【0040】また、本発明の液滴噴射装置は、インクジ
ェットプリンタへの適用に限定されず、各種印字装置や
各種塗布装置に対しても適用できる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、圧電材料板の表面近く
に形成した分極用電極により圧電材料板の分極を行った
後に、圧電材料板に対し研磨加工を施すことで分極用電
極を除去し、その後、駆動用電極を形成するので、分極
工程が煩雑とならず、しかも駆動用電極から駆動用の電
界を印加したとき分極用電極によるクロストークのない
圧電トランスデューサおよび液滴噴射装置を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の液滴噴射装置を示
す断面図で、図4のX−X線位置の断面に相当する。
【図2】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置の動作状
態を説明する断面図である。
【図3】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置の動作状
態を説明する断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置の液室の
配置状態を説明する平面図である。
【図5】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置に係る圧
電トランスデューサの製造工程を示す断面図である。
【図6】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置に係る圧
電トランスデューサの製造工程を示す図で、グリーンシ
ートの1つの平面図である。
【図7】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置に係る圧
電トランスデューサの製造工程を示す図で、グリーンシ
ートの他の1つの平面図である。
【図8】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置に係る圧
電トランスデューサの製造工程を示す断面図である。
【図9】上記第1の実施の形態の液滴噴射装置に係る圧
電トランスデューサの製造工程を示す断面図である。
【図10】上記第2の実施の形態の液滴噴射装置を示す
断面図である。
【図11】上記第2の実施の形態の液滴噴射装置に係る
圧電トランスデューサの製造工程を示す図で、グリーン
シートの1つの平面図である。
【図12】インクジェットプリンタの要部を示す斜視
図。
【符号の説明】
1 圧電材料板 1a〜1f グリーンシート(シート状材料) 1A 研磨面 1B 研磨面 2、3 駆動用電極 11、12 分極用電極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料板の厚さ方向に対向する両表面
    近くに、その厚さ方向とほぼ直交する面方向に間隔をお
    いた複数の分極用電極を形成する工程と、 前記圧電材料板に形成された前記分極用電極に電圧を印
    加することにより、前記圧電材料板を、前記面方向にほ
    ぼ平行に分極する工程と、 前記圧電材料板の分極後に、前記圧電材料板を前記圧電
    材料板の片側または両側から研磨して前記分極用電極の
    少なくとも一部を除去する工程と、 前記分極用電極の少なくとも一部を除去する工程の後
    に、前記圧電材料板の両表面に前記圧電材料板の前記分
    極部分に対して電界をかけるための駆動用電極を形成す
    る工程とを備えることを特徴とする圧電トランスデュー
    サの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記駆動用電極は、前記分極部分を挟む
    位置の前記圧電材料板の両表面に形成することを特徴と
    する請求項1に記載の圧電トランスデューサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記駆動用電極は、前記分極用電極を除
    去した部分を含む前記圧電材料板の両表面に形成するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の圧電トランスデューサ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記圧電材料板を構成する複数のシート
    状材料を形成する工程と、その複数のシート状材料を積
    層する工程と、その積層体を焼成する工程とをさらに備
    え、 前記分極用電極を形成する工程は、前記複数のシート状
    材料のうち前記圧電材料板の表面近くに位置するシート
    状材料に形成するものであることを特徴とする請求項1
    に記載の圧電トランスデューサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記積層する工程は、前記分極用電極を
    形成したシート状材料の外側にさらにシート状材料を積
    層する工程を含み、 前記分極用電極の除去工程は、前記外側に積層したシー
    ト状材料を前記分極用電極とともに除去することを特徴
    とする請求項4に記載の圧電トランスデューサの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記分極用電極を除去する工程は、すべ
    ての前記分極用電極を除去することを特徴とする請求項
    1に記載の圧電トランスデューサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記分極用電極を除去する工程は、前記
    圧電材料板の一方の表面近くの前記分極用電極を除去
    し、他方の表面近くの前記分極用電極を残すことを特徴
    とする請求項1に記載の圧電トランスデューサの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 圧電材料板が複数の液室について共通に
    用いられ、前記圧電材料板の厚さ方向の変形を利用して
    前記複数の液室のそれぞれの容積を変化させることによ
    り前記液室内の液体を噴射する液滴噴射装置の製造方法
    において、 前記圧電材料板の各液室に対応する位置において厚さ方
    向に対向する両表面近くに、その厚さ方向とほぼ直交す
    る面方向に間隔をおいた複数の分極用電極を形成する工
    程と、 前記圧電材料板に形成された前記分極用電極に電圧を印
    加することにより、前記圧電材料板を、前記面方向にほ
    ぼ平行に分極する工程と、 前記圧電材料板の分極後に、前記圧電材料板を前記圧電
    材料板の片側または両側から研磨して前記分極用電極の
    少なくとも一部を除去する工程と、 前記分極用電極の少なくとも一部を除去する工程の後
    に、前記圧電材料板の両表面に前記圧電材料板の前記分
    極部分に対して電界をかけるための駆動用電極を前記液
    室に対応する位置に形成する工程とを備えることを特徴
    とする液滴噴射装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記圧電材料板の一方の表面近くの分極
    用電極は、前記液室の中央に対応する位置に形成するこ
    とを特徴とする請求項8に記載の液滴噴射装置の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記圧電材料板の他方の表面近くの分
    極用電極は、前記液室の外周に対応する位置に形成する
    ことを特徴とする請求項9に記載の液滴噴射装置の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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