JP2010272626A - モノモルフアクチュエータの製造方法 - Google Patents

モノモルフアクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミックスと金属板等との接合時に生じる反り変形を抑えるとともに、金属板等に接合された状態の圧電セラミックスに電圧を印加した後に生じる残留変形を低減することが可能なモノモルフアクチュエータの製造方法を提供する。
【解決手段】本実施例のモノモルフアクチュエータの製造方法は、セラミックス3aに対し、その厚みが増加する向きに直流電圧を加えて分極処理を行う工程(ステップS5)と、このようにして得られた圧電セラミックス3bを金属板2の片面にエポキシ系接着剤やポリイミド系接着剤などの熱硬化型接着剤によって接合する工程(ステップS6)とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電セラミックスと基板等によって構成される圧電アクチュエータに係り、特に、圧電セラミックスと基板等との接合時に生じる反り変形を抑えることが可能なモノモルフアクチュエータの製造方法に関する。
圧電アクチュエータは電気エネルギーと機械的なエネルギーとを相互に変換するデバイスの総称であり、例えば、薄い金属板の片面に圧電セラミックスが貼り付けられた簡単な構造からなるモノモルフアクチュエータが知られている。圧電セラミックスの多くは、一般的な組成がABOで表わされる結晶構造を有している強誘電体セラミックスであり、これを分極処理することにより機械電気特性が得られ、機械的エネルギーを加えると電気エネルギーを発生し、電気エネルギーを加えると機械的エネルギーを発生するという特徴を有している。具体的には、圧電セラミックスに対して分極方向に電圧を加えた場合、厚みが増加するとともに厚みに垂直な方向に収縮し、分極方向と逆向きに電圧を加えた場合、厚みが減少するとともに厚みに垂直な方向に伸長する。
モノモルフアクチュエータでは、前述のとおり、圧電セラミックスの片面に金属板が貼り付けられており、厚みに垂直な方向への変形が拘束されている。従って、圧電セラミックスが収縮あるいは伸長した場合、曲げモーメントが発生する。これにより、金属板は屈曲変形する。
圧電セラミックスと金属板の接合には、例えば、エポキシ系接着剤やポリイミド系接着剤などの熱硬化型接着剤が用いられる。この接着剤を用いて圧電セラミックスと金属板を接合する場合、一旦、両者は常温よりも高い温度まで加熱される。その後、加熱された圧電セラミックスと金属板は、常温に戻る過程で収縮する。そして、圧電セラミックスと金属板は熱膨張率が異なるため、熱応力に伴って発生する曲げモーメントにより、金属板に反り変形が生じる。
このような課題に対処する技術について、従来、盛んに研究や開発がなされている。そして、それに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「圧電素子の製造方法」という名称で、圧電素子の内部歪みにより、破壊したり接合面に反りや剥離が生じたりすることのない圧電素子を製造する方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、圧電セラミックスと基板の接合時において分極による自発的な収縮や伸びに伴って発生する圧縮応力や引っ張り応力が、圧電セラミックスと基板との熱膨張率の差に起因する熱応力に等しくなるように、所定の熱膨張率を有する圧電セラミックスと基板を使用することを特徴とする。
このような製造方法によれば、圧電セラミックスの分極処理の際の体積変化に伴う内部歪みにより、圧電セラミックスと基板との接合面に反りや剥離が生じたり、圧電素子が破壊したりすることを防ぐことができる。
また、特許文献2には、「液滴吐出ヘッドの製造方法」という名称で、圧電素子が接合された振動板を加振することにより、液体を加圧して吐出させる液滴吐出ヘッドを製造する方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、圧電素子をキュリー温度以上に加熱して分極を消去した後、振動板と加熱固着することを特徴とする。
このような製造方法によれば、圧電素子と振動板の接合時に両者の熱膨張率の差に起因して生じる熱応力を、圧電素子の分極により発生する残留歪みを利用して低減することができる。
特開平6−196770号公報 特開2003−136736号公報
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1及び特許文献2に開示された発明では、圧電セラミックス(圧電素子)と振動板(基板)の接合時に生じる残留歪みに起因する初期変形を低減させることはできるものの、圧電セラミックス(圧電素子)を分極処理する際に生じる残留変形を十分に低減することができないという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、セラミックスと金属板等との接合時に生じる初期変形を抑えるとともに、セラミックスを分極処理して圧電セラミックスを形成する際に発生する残留変形を低減することが可能なモノモルフアクチュエータの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、分極処理を施された薄板状のセラミックスによって形成される圧電セラミックスと,薄板状の弾性体からなるモノモルフアクチュエータの製造方法において、分極前のセラミックスに対し,実使用時の最大電圧を印加する工程と、この工程によって形成される圧電セラミックスを弾性体の片面に接合する工程とを備えたことを特徴とするものである。
このようなモノモルフアクチュエータの製造方法によれば、弾性体に接合された状態の圧電セラミックスに対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形が、セラミックスの分極処理時に発生する残留歪みの影響を受けないという作用を有する。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のモノモルフアクチュエータの製造方法において、セラミックスの熱膨張率が弾性体の熱膨張率よりも小さい場合に、セラミックスがその厚みに垂直な方向に収縮する向きに電圧が印加されることを特徴とするものである。
このようなモノモルフアクチュエータの製造方法によれば、圧電セラミックスと金属板の接合後に両者の熱膨張率の差に起因して発生する反り変形が、金属板に接合された状態の圧電セラミックスに対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形によって緩和されるという作用を有する。
以上説明したように、本発明の請求項1記載のモノモルフアクチュエータの製造方法によれば、弾性体に接合された状態の圧電セラミックスに対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形を低減することができる。
本発明の請求項2記載のモノモルフアクチュエータの製造方法によれば、圧電セラミックスを弾性体に接合した後に、両者の熱膨張率の差に起因して発生する反り変形を抑えることができる。
本発明の実施の形態に係るモノモルフアクチュエータの実施例の製造手順を示す工程図である。 (a)乃至(f)は本実施例のモノモルフアクチュエータの各製造工程における変形状態を示す模式図である。 (a)及び(b)は本実施例のモノモルフアクチュエータの製造方法において金属板の先端部の変位量と圧電セラミックスに対する印加電圧との関係を示す図である。 (a)乃至(d)は金属板の先端部の変位量の測定方法を示した模式図である。 (a)乃至(d)はモノモルフアクチュエータの変形状態を示す模式図である。 (a)及び(b)はモノモルフアクチュエータにおける金属板の先端部の変位量と圧電セラミックスに対する印加電圧との関係を示す図である。
本発明の実施の形態に係るモノモルフアクチュエータの製造方法について図1乃至図6を用いて説明する。
まず、モノモルフアクチュエータにおいて圧電セラミックスに電圧を印加した場合の動作について図5及び図6を用いて説明する。
図5(a)乃至(d)はモノモルフアクチュエータの変形状態を示す模式図であり、図6(a)及び(b)はモノモルフアクチュエータにおける金属板の先端部の変位量と圧電セラミックスに対する印加電圧との関係を示す図である。なお、図5(a)乃至(d)に示すように、モノモルフアクチュエータ1は、一端を固定された片持ち梁状の金属板2と、この金属板2の片面にエポキシ系接着剤等によって接合されるセラミックス3a(圧電セラミックス3b)と、セラミックス3a(圧電セラミックス3b)の両面にそれぞれ形成される一対の電極(図示せず)によって構成されている。また、図5(a)のモノモルフアクチュエータ1は図6(a)の点Oに対応している。
図5(a)の状態のモノモルフアクチュエータ1において、直流電源4を用いてセラミックス3aに直流電圧を印加する。これにより、セラミックス3aは分極して圧電セラミックス3bとなる。そして、圧電セラミックス3bの厚みが増加する向きに直流電圧を加えると、圧電セラミックス3bが厚みに垂直な方向に収縮し、モノモルフアクチュエータ1は湾曲して図5(b)に示す状態となる。この場合、金属板2の先端部の変位量dは、図6(a)の破線10に沿って点Aまで変化する。
その後、圧電セラミックス3bに対する印加電圧を取り除く。これにより、圧電セラミックス3bは厚みが減少するとともに、厚みに垂直な方向へ伸長し、金属板2の先端部の変位量dは、図6(a)の実線11に沿って点Bまで変化する。このとき、図5(c)に示すようにモノモルフアクチュエータ1の変形は完全には回復されないため、図6(a)に示すような残留変形xが生じる。
次に、図5(c)のモノモルフアクチュエータ1において、圧電セラミックス3bに対して厚みが増加する向きに再び直流電圧を加えると、圧電セラミックス3bは厚みに垂直な方向に収縮し、モノモルフアクチュエータ1は湾曲する。そして、圧電セラミックス3bに図6(a)の点Aに対応する電圧を印加すると、金属板2の先端部の変位量dは図6(a)の実線12に沿って点Aまで変化し、モノモルフアクチュエータ1は再び図5(b)に示す状態になる。
このように、図6(a)において点Aに対応する電圧をセラミックス3aに印加して圧電セラミックス3bを形成した後、点Aから点Bまでの範囲内の電圧を圧電セラミックス3bに印加すると、金属板2の先端部の変位量dは実線11,12に沿って点Aと点Bの間で変化する。
すなわち、図5(a)のモノモルフアクチュエータ1においてセラミックス3aに図6(a)の点Aに対応する電圧を印加した場合の金属板2の先端部の変位量dは、その印加電圧を一旦取り除いた後、分極したセラミックス3a(圧電セラミックス3b)に図6(a)の点Aに対応する電圧を再び印加した場合に比べて残留変形xに相当する分だけ大きい。これは、圧電セラミックス3bに電圧を印加していない状態において、既にモノモルフアクチュエータ1が湾曲状態に変形していることを意味する。なお、前述したとおり、この現象は特許文献2に記載されたような従来技術によっては解消することができない。
図5(a)に示すようにセラミックス3aを金属板2に接合した場合、セラミックス3aと金属板2の熱膨張差に起因して発生する熱応力によって、モノモルフアクチュエータ1は湾曲状態に変形する。すなわち、セラミックス3aに電圧が印加される前のモノモルフアクチュエータ1は、図5(d)に示すように、上に凸となるように湾曲している。このとき、金属板2の先端部の変位量dは図6(b)の点Cで示される。以下、金属板2の先端部の点Cに対応する変位量dを初期変形xという。
この状態のモノモルフアクチュエータ1に対し、セラミックス3aに図6(a)の場合と同様に、点Aに対応する直流電圧を印加すると、分極したセラミックス3a(圧電セラミックス3b)が厚みに垂直な方向に収縮し、モノモルフアクチュエータ1は湾曲する。この場合、金属板2の先端部の変位量dは、図6(b)の破線13に沿って点Aまで変化する。
次に、圧電セラミックス3bに対する印加電圧を取り除くと、圧電セラミックス3bは厚みに垂直な方向へ伸長し、金属板2の先端部の変位量dは、図6(b)の実線14に沿って点Bまで変化する。すなわち、図6(a)に示す残留変形xは、図6(b)に示すように初期変形xの分だけ低減されて残留変形xとなる。なお、図6(b)の点Bの状態で点Aに対応する電圧を圧電セラミックス3bに印加すると、圧電セラミックス3bの収縮に伴ってモノモルフアクチュエータ1が湾曲し、金属板2の先端部の変位量dは図6(b)の実線15に沿って点Aまで変化する。
次に、本実施例のモノモルフアクチュエータの製造方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るモノモルフアクチュエータの実施例の製造手順を示す工程図であり、図2(a)乃至(f)は本実施例のモノモルフアクチュエータの各製造工程における変形状態を示す模式図である。また、図3(a)及び(b)は本実施例のモノモルフアクチュエータの製造方法において金属板の先端部の変位量と圧電セラミックスに対する印加電圧との関係を示す図である。なお、図5に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1に示すように、まず、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTiO)やチタン酸バリウム(BaTiO)などのような組成の原料粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の有機バインダとエタノール(COH)等の分散剤とジオクチフタレート等の可塑剤を加えた後、スプレードライヤーで造粒し、プレス成形によって所望のブロック形状に押し固める(ステップS1)。そして、1000〜1300℃程度で焼成(ステップS2)した後、切断や研磨等の加工を施す(ステップS3)。さらに、両面に焼き付け等によって電極を形成し、図2(a)に示すセラミックス3aを得る(ステップS4)。
次に、図2(b)に示すように、直流電源4を用いてセラミックス3aに直流電圧を印加する。これにより、セラミックス3aは分極して圧電セラミックス3bとなる。このとき、圧電セラミックス3bに対し、その厚みが増加する向きに直流電圧を加えると、圧電セラミックス3bは厚みに垂直な方向に収縮する。その後、印加電圧を取り除くと、圧電セラミックス3bは厚みが減少するとともに、厚みに垂直な方向へ伸長し、図2(c)の状態になる(ステップS5)。
このようにして得られた圧電セラミックス3bを金属板2の片面にエポキシ系接着剤やポリイミド系接着剤などの熱硬化型接着剤によって接合する(ステップS6)。このとき、圧電セラミックス3bと金属板2の熱膨張差に起因して熱応力が発生するため、モノモルフアクチュエータ1は図2(d)に示すように湾曲状態に変形する。この状態で、圧電セラミックス3bに対して厚みが増加する向きに再び直流電圧を加えると、圧電セラミックス3bは厚みに垂直な方向に収縮する(ステップS7)。
ここで、図2(d)において、モノモルフアクチュエータ1に反り変形が生じておらず、図3(a)の点Oにおけるモノモルフアクチュエータ1が図2(e)の状態であるものと仮定する。このとき、圧電セラミックス3bに図6(a)の点Aに対応する電圧を印加すると、金属板2の先端部の変位量dは図3(a)の破線5に沿って点Aまで変化し、モノモルフアクチュエータ1は図2(f)に示す状態になる。
その後、印加電圧を取り除くと、圧電セラミックス3bは厚みが減少するとともに、厚みに垂直な方向へ伸長し、金属板2の先端部の変位量dは、図3(a)の実線6に沿って点Bまで変化する。そして、図3(a)に示すように残留変形xが生じる。
しかしながら、圧電セラミックス3bを金属板2に接合する過程において、モノモルフアクチュエータ1には図2(d)に示すような反り変形が生じる。そして、本実施例のモノモルフアクチュエータ1の製造方法においては、金属板2の先端部の初期変形xが残留変形xに略等しくなるように、予め圧電セラミックス3bと金属板2の材料として所定の熱膨張率を有するものを選定している。従って、図2(d)のモノモルフアクチュエータ1には、図3(b)の点Cが対応する。
図3(b)の点Cにおけるモノモルフアクチュエータ1に対し、図3(a)の場合と同様に、点Aに対応する直流電圧を圧電セラミックス3bに印加すると、厚みに垂直な方向に対して圧電セラミックス3bが収縮し、モノモルフアクチュエータ1は湾曲する。このとき、金属板2の先端部の変位量dは、図3(b)の破線7に沿って点Aまで変化する。次に、印加電圧を取り除くと、圧電セラミックス3bが厚みに垂直な方向へ伸長し、これに伴って金属板2の先端部の変位量dは、図3(b)の実線8に沿って点Bまで変化する。このとき、初期変形xは残留変形xによって相殺されるため、点Bは点Oと略一致する。そして、図3(b)の点Bの状態で点Aに対応する電圧を圧電セラミックス3bに印加すると、圧電セラミックス3bの収縮に伴ってモノモルフアクチュエータ1が湾曲し、金属板2の先端部の変位量dは図3(b)の実線9に沿って点Aまで変化する。
このような製造方法においては、セラミックス3aを金属板2に接合する前に、セラミックス3aに対して実使用時の最大電圧を印加して分極処理を施すため、金属板2に接合された状態のセラミックス3a(この場合は圧電セラミックス3b)に対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形が、セラミックス3aの分極処理時に発生する残留歪みの影響を受けないという作用を有する。また、この分極処理では、セラミックス3aが厚みに垂直な方向に収縮する向きに電圧が印加されることから、圧電セラミックス3bと金属板2の接合後に両者の熱膨張率の差に起因して発生する反り変形が、金属板2に接合された状態の圧電セラミックス3bに対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形によって緩和されるという作用を有する。
すなわち、本発明のモノモルフアクチュエータの製造方法によれば、圧電セラミックス3bと金属板2の接合後に発生する反り変形を抑えるとともに、金属板2に接合された状態の圧電セラミックス3bに対して最初に電圧を印加した後に生じる残留変形を低減することができる。
次に、本実施例の製造方法によって製造したモノモルフアクチュエータ1について、金属板2の先端部の変位量を測定した結果について図4及び表1,2を用いて説明する。
図4(a)乃至(d)は金属板2の先端部の変位量の測定方法を示した模式図である。なお、図5に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
まず、予め厚み方向に250Vの電圧を印加して分極処理したセラミックス3a(長さ23mm×幅7mm×厚み0.15mm)をSUS製の金属板2(長さ31mm×幅7mm×厚み0.1mm)の片面にエポキシ系接着剤を用いて接着し、40℃の雰囲気温度下で24時間かけて接着剤を硬化させた。このようにして得られた3組の発明品のサンプルについて、図4(a)及び(b)に示すようにそれぞれ1組ずつ背中あわせに配置して、隙間d,dを測定した。次に、すべての発明品のサンプルについて、図4(c)に示すように各圧電セラミックス3bに対してそれぞれ250Vの電圧を印加した後、電圧を取り除いて再び1組ずつ背中あわせに配置して隙間d,dを測定した。さらに、発明品のサンプルについて1組ずつ、一端をスポット溶接した状態で図4(d)に示すように各圧電セラミックス3bに対して250Vの電圧を繰り返し複数回印加した後、電圧を取り除いて再び隙間d,dを測定した。
比較のため、分極処理していないセラミックス3aを金属板2に接着して3組の従来品のサンプルを製造し、発明品のサンプルと同様の方法で隙間d,dを測定した。表1に従来品の測定結果を示し、表2に発明品の測定結果を示す。なお、従来品において、接着後の状態は図6(b)の点Cに対応し、通電後及び動作後の状態は図6(b)の点Bに対応する。また、発明品において、接着後の状態は図3(b)の点Cに対応し、通電後及び動作後の状態は図3(b)の点Bに対応する。
表1及び表2に示すように、セラミックス3a(圧電セラミックス3b)と金属板2の接着後は、従来品と発明品のいずれにおいても図4(a)に示すように金属板2のセラミックス3a(圧電セラミックス3b)との接着面側が凸になるような反り変形が生じている。そして、従来品ではセラミックス3aに対する通電により金属板2のセラミックス3a(圧電セラミックス3b)との接着面側が凹になるような反り変形(図4(b)参照)が生じ、しかも、印加電圧を取り除いても残留変形(図6(b)の残留変形xに対応)が解消されていない。一方、発明品では圧電セラミックス3bに通電することにより、従来品と同様に図4(b)に示すような反り変形が生じるものの、表2の通電後及び動作後の測定結果に示されるように、印加電圧を取り除いた場合には残留変形がほとんど生じていない。このことは、本発明のモノモルフアクチュエータの製造方法が、圧電セラミックス3bの形成時に生じる残留変形の低減と、圧電セラミックス3bと金属板2との接合時に生じる初期変形の抑制のいずれに対しても有効であることを示している。
本実施例のモノモルフアクチュエータは、金属板に圧電セラミックスが接合された構造となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、金属板でなくとも薄板状の弾性体であれば良いため、例えば、金属板の代わりに樹脂基板等の薄い絶縁板を用いることもできる。ただし、セラミックスが接合される部材の熱膨張率がセラミックスの熱膨張率よりも大きい場合には、両者の熱膨張率の差に起因して発生する反り変形を抑制するという前述の効果は発揮されないため、注意を要する。また、圧電セラミックスの原料は、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムに限らず、例えば、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛系、ニッケルニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛系であっても良い。
請求項1及び請求項2に記載された発明は、モノモルフ型に限らず、バイモルフ型や積層型など金属板に圧電セラミックスが接合された構造の各種の圧電アクチュエータに対して適用可能である。
1…モノモルフアクチュエータ 2…金属板 3a…セラミックス 3b…圧電セラミックス 4…直流電源 x…初期変形 x〜x…残留変形

Claims (2)

  1. 分極処理を施された薄板状のセラミックスによって形成される圧電セラミックスと,薄板状の弾性体からなるモノモルフアクチュエータの製造方法において、
    分極前の前記セラミックスに対し,実使用時の最大電圧を印加して分極処理を行う工程と、
    この工程によって形成される前記圧電セラミックスを前記弾性体の片面に接合する工程とを備えたことを特徴とするモノモルフアクチュエータの製造方法。
  2. 前記セラミックスの熱膨張率が前記弾性体の熱膨張率よりも小さい場合に、
    前記セラミックスがその厚みに垂直な方向に収縮する向きに前記最大電圧を印加することを特徴とする請求項1記載のモノモルフアクチュエータの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111908896A (zh) * 2020-06-29 2020-11-10 华南理工大学 一种场诱应变微位移致动器及其制备方法与应用

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