JP2009194226A - 積層型圧電素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い放射音圧をもち音圧の周波数帯域の広帯域化を実現し、例えば、医療用、計測用超音波センサとしても用いることが可能な積層型圧電素子を提供する。
【解決手段】積層型圧電素子は、面積が徐々に変化する内部電極を配設(S3)した圧電グリーンシートを積層した積層体を作製し(S5)、積層体の上面に整合層を圧縮一体化し(S7)、一体化した積層体及び整合層を一体として焼成し(S9)、側面の所定位置に電極と導通する一対の外部電極を形成し(S11)、その後積層体側面の外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラスペーストを塗布して塗布膜を形成し(S13)、塗布膜が形成された積層体を加熱処理してガラス被膜を形成し(S16)、積層体の下面にバッキング層を接着一体化(S18)した後に、リード線を取り付け(S21)、分極処理をして(S22)製造される。
【選択図】図1
【解決手段】積層型圧電素子は、面積が徐々に変化する内部電極を配設(S3)した圧電グリーンシートを積層した積層体を作製し(S5)、積層体の上面に整合層を圧縮一体化し(S7)、一体化した積層体及び整合層を一体として焼成し(S9)、側面の所定位置に電極と導通する一対の外部電極を形成し(S11)、その後積層体側面の外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラスペーストを塗布して塗布膜を形成し(S13)、塗布膜が形成された積層体を加熱処理してガラス被膜を形成し(S16)、積層体の下面にバッキング層を接着一体化(S18)した後に、リード線を取り付け(S21)、分極処理をして(S22)製造される。
【選択図】図1
Description
本発明は圧電素子と電極とが交互に積層される積層型超音波振動子及びその製造方法に関するものである。
従来の樹脂で接着して積層型超音波振動子を製作する方法は、平面研磨されたセラミックス振動子間を有機樹脂系接着剤で接合していた。しかしながら 、セラミックスの平行度、表面粗さの影響を受けて理想的な接着が難しかった。
一方、ボルト締めして積層する構造では、振動子の一体化振動を阻害する要素が多く、主振動の前後に不規則な副共振が出て振動振幅特性がバラツク欠点を有していた。
一方、特許文献1の積層型セラミック振動子は、医療機器に用いられるものであるが、圧電素子と内部電極とが交互に積層され、圧電素子と内部電極を同時に焼成するため上記の欠点は解決できるが圧電振動子に印加する数十〜数百KHzのサイン波又は数百マイクロ秒で立ち上げるパルス波を繰り返し印加すると積層体の内部電極界面で剥離しやすい問題が生じていた。
特開昭61−69300号公報
又、医療用、計測用超音波センサでは、積層方向に材料定数を徐々に変化させる傾斜機能構造をもつ超音波振動子が開発されてきており、今まで発生しなかった偶数時の高調波を出現させて広帯域化を実現している。
しかしながらこの方法では、異なる材料を積層化し組成的な勾配をつけなくてはならないため材料組成のコントロールが困難であり、品質ばらつきが大きく、製造コストが高いことがネックになっている。
しかしながらこの方法では、異なる材料を積層化し組成的な勾配をつけなくてはならないため材料組成のコントロールが困難であり、品質ばらつきが大きく、製造コストが高いことがネックになっている。
本発明は、上記の課題を解決し、高い放射音圧をもち音圧の周波数帯域を広く取ること(広帯域化)を実現することを目的として成されたもので、例えば、医療用、計測用超音波センサとしても用いることが可能な積層型圧電素子を提供することを目的とする。
かかる目的を達成する一手段として以下の構成を備える。
即ち、圧電素子と電極とが交互に積層され、隣り合う圧電素子に互いに逆向きとなる電界を印加することによって前記圧電素子に変位を生じさせる積層型圧電素子であって、前記圧電素子を略同一の材料で構成すると共に各圧電素子表面に必要に応じて電極パターンを形成し、前記電極パターンの形成された必要数の前記圧電素子を積層して一体化した圧電素子積層体を形成後に焼成し、前記焼成した圧電素子積層体の側面の外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラス被膜層を形成してなることを特徴とする。
即ち、圧電素子と電極とが交互に積層され、隣り合う圧電素子に互いに逆向きとなる電界を印加することによって前記圧電素子に変位を生じさせる積層型圧電素子であって、前記圧電素子を略同一の材料で構成すると共に各圧電素子表面に必要に応じて電極パターンを形成し、前記電極パターンの形成された必要数の前記圧電素子を積層して一体化した圧電素子積層体を形成後に焼成し、前記焼成した圧電素子積層体の側面の外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラス被膜層を形成してなることを特徴とする。
そして例えば、積層する圧電素子表面の前記電極パターン形成は、電極パターン面積を徐々に変えて厚み方向で圧電性が傾斜した圧電素子積層体とすることを特徴とする。
又は、圧電素子を略同一の材料で構成すると共に各圧電素子表面に必要に応じて電極パターンを形成し、前記電極パターンの形成された必要数の前記圧電素子を該圧電素子と電極とが交互になるように積層して一体化した圧電素子積層体を形成後に焼成し、隣り合う圧電素子に互いに逆向きとなる電界を印加することによって前記圧電素子に変位を生じさせる積層型圧電素子であって、積層する圧電素子表面の前記電極パターン形成は、電極パターン面積を徐々に変えて厚み方向で圧電性が傾斜した圧電素子積層体とすることを特徴とする。
そして例えば、前記焼成した圧電素子積層体の側面の前記外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラス被膜層を形成してなることを特徴とする。
また例えば、前記圧電素子積層体に整合層を一体化した積層体を形成後に焼成してなることを特徴とする。あるいは、前記圧電素子積層体の片面に更にバッキング層を接着してなることを特徴とする。
さらに例えば、前記電極パターンには、隣接する電極パターンには互いに反対側面端部まで延びる外部電極接続パターンが配設されると共に、両側面に前記外部電極接続パターンに接続される外部電極パターンが配設されていることを特徴とする。
また例えば、前記圧電素子積層体の一方端の圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子部に比し長くした受信専用の圧電素子部を設けたことを特徴とする。
また例えば、前記圧電素子積層体の一方端の圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子部に比し長くした受信専用の圧電素子部を設けたことを特徴とする。
さらに例えば、前記分極軸方向の長さの長い圧電素子に縦方向スリットを形成して複数に分割することを特徴とする。あるいは、前記内部電極は、少なくとも前記圧電素子表面の60%以上の面積を有することを特徴とする。
又は、積層型圧電素子の製造方法であって、圧電素子と電極とが交互に積層された積層体を製作する第1工程と、前記第1工程で製作された積層体を焼成する第2工程と、側面の所定位置に前記電極と導通する一対の外部電極を形成する第3工程と、前記積層体側面の前記外部電極配設部分を除く積層体側部略全面にガラスペースト膜を形成する第4工程と、前記ガラスペースト膜が形成された積層体を加熱処理してガラス被膜を形成する第5工程と、前記ガラス被膜を形成した積層体の一方面に整合層を接着する第6工程と、前記整合層を接着した積層体を焼成する第7工程と、前記整合層と一体化した積層体にバッキング層を接着する第8工程とを有する積層型圧電素子の製造方法とすることを特徴とする。
又は、積層型圧電素子の製造方法であって、積層型圧電素子の製造方法であって、略同一の材料で構成された圧電素子を製作する第1工程と、前記第1工程で製作された圧電素子表面に面積を徐々に変えた電極パターンを形成する第2工程と、前記第2工程で一体化した積層体を一体として焼成する第3工程と、積層体の一方面に整合層を一体化するとともに側面の所定位置に前記電極と導通する一対の外部電極を形成する第4工程と、外部電極が形成された積層体にバッキング層を接着する第5工程とを有する積層型圧電素子の製造方法とすることを特徴とする。
そして例えば、前記第1工程において、一方端部の圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子より長く形成する積層型圧電素子の製造方法とすることを特徴とする。
あるいは、更に、一方端部の圧電素子は縦方向にスリットを形成して複数に分割する積層型圧電素子の製造方法とすることを特徴とする。
あるいは、更に、一方端部の圧電素子は縦方向にスリットを形成して複数に分割する積層型圧電素子の製造方法とすることを特徴とする。
本発明によれば、高い放射音圧をもち音圧の周波数帯域を広く取ること(広帯域化)ができる積層型圧電素子を提供することができる。
そして例えば、側面部をガラス封止することにより、厚み縦閉じ込め振動を効率良く励振させることができる。
そして例えば、側面部をガラス封止することにより、厚み縦閉じ込め振動を効率良く励振させることができる。
[第1の実施の形態例]
以下、図面を参照して本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。本実施の形態例の積層型圧電素子は、例えば全体的に見て円柱状あるいは角柱状に形成し、各層の振動子は円板あるいは角板を積み重ねた構造とすることが望ましい。
以下、図面を参照して本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。本実施の形態例の積層型圧電素子は、例えば全体的に見て円柱状あるいは角柱状に形成し、各層の振動子は円板あるいは角板を積み重ねた構造とすることが望ましい。
以下の説明はドクターブレード法(doctor brade method)によりグリーンシート化し、さらに内部電極を塗布してから内部電極と圧電グリーンシートを圧着成形して一体化し、一体化してから焼成する一体焼結法で製造する例を図1を参照して説明する。図1は一体焼結法による製造方法を説明するためのフローチャートである。
まずステップS1において、圧電グリーンシートを作成する。具体的には、ドクターブレード法を用いて作成する場合は仮焼した圧電材料を微粉砕して酢酸ビニルエマルジョン等のバインダ、分散剤等を入れて攪拌、分散しスラリー化してドクターブレード装置の受け口に流し込む。ドクターブレードの刃の隙間を調節して、刃の底部にあるキャリアシートを一定速度で滑らせて厚みの均一なグリーンシート(又はセラミック形成体)を作成する。
一方、押出成型法を用いて作成する場合は微粉砕した圧電仮焼粉にメチルセルロース等のバインダを入れて混練し、粘土状にして押出装置の口金からシート状に押し出してグリーンシート化する。
圧電材料としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系を用いることが出来る。しかし、以上の例に限定されるものではなく、他にチタン酸鉛(PT)系、チタン酸ビスマス(BNT)系等の無鉛系の圧電材料を使用しても良い。またドクターブレード法や押出成形法によって作成されるシートの膜厚は例えば、100μm〜5000μm程度とすることが望ましい。
続いてステップS3において、ステップS1で作成したグリーンシートに例えばスクリーン印刷法によって内部電極パターンを印刷する。内部電極パターンは、積層するグリーンシートの一方端面の内部電極パターンから徐々に面積が小さくなるように(または徐々に面積が大きくなるように)内部電極パターンを印刷する。
同時に内部電極から側面の外部電極配設位置とを電気的に接続する接続導電パターンが交互に反対側の側面に順番に配列されるように印刷する。
次にステップS5において、ステップS3の処理で内部電極及び接続導電パターンの印刷されたグリーンシートをパンチング打ち抜き装置で内部電極の大きさ、外部電極の引き出し方向が異なるパターンとなるように指定された順番で打ち抜く。
内部電極のパターン例を図2(A)〜図2(I)に示す。なお、接続導電パターンは図2(A)〜図2(I)中に符号aで示す。図2に示すように、第1層の内部電極から互いに逆方向に接続導電パターンaが配設され、かつ内部電極の面積が徐々に減少していくように配設する。このように形成することにより、厚み方向で圧電性が傾斜した圧電素子積層体とすることができる。
次にステップS7において、指定枚数(本例では8枚)を積み重ねた後、仮圧着する。この圧電素子を仮圧着した積層圧電体の例を図3に示す。図3において、101は第1層のグリーンシート、102は第2層のグリーンシート、103は第3層のグリーンシート、104は第4層のグリーンシート、105は第5層のグリーンシート、106は第6層のグリーンシート、107は第7層のグリーンシート、108は第8層のグリーンシートである。
又、201は第1層グリーンシート101の表面に配設された第1層内部電極、202は第2層グリーンシート102の表面に配設された第2層内部電極、203は第3層グリーンシート103の表面に配設された第3層内部電極、204は第4層グリーンシート104の表面に配設された第4層内部電極、205は第5層グリーンシート105の表面に配設された第5層内部電極、206は第6層グリーンシート106の表面に配設された第6層内部電極、207は第7層グリーンシート107の表面に配設された第7層内部電極、208は第8層グリーンシート108の表面に配設された第8層内部電極、209は第8層グリーンシート108の裏面に配設された第9層内部電極である。
そして、積層型圧電素子が音波を出す対象媒体との音響インピーダンスを合わせるため、例えばグリーンシートと略同じ圧電材料等で多孔質化した音響整合層(ポーラスなセラミックス整合層)300を一体化させた後、油圧プレス機、静水圧プレス機等で所定の圧力(例えば、1〜3トン/cm3)を印加して本圧着して一体化する。
次にステップS9において、ステップS7で一体化した積層体を例えば1000℃以上の高温で2時間程度焼成する。 本実施の形態例では、このように一体焼結法を用いたため、積層圧電体を焼成した後に整合層を接着する場合と異なり界面が理想的接着状態になるため、音波の反射、ロスを少なくできる。
なお、圧電グリーンシートと内部電極は一緒に焼成するため、内部電極ペーストは高温の焼成に耐えられる材料であることが不可欠である。一般的に圧電材料は1000℃以上の高温で焼成されるために、内部電極ペーストとしては安価な銀/パラジウムペーストを用いるのが好ましい。
続くステップS11において、焼成された積層体の側面まで延出している内部電極のプラス側とマイナス側にリード線を半田付けするための外部電極パターンを塗布して焼成する。具体的には、プラス側内部電極201,203,205,207,209が導通するように、積層体の側面の所定位置に不図示のプラス側外部電極となる外部電極ペーストを印刷し、マイナス側内部電極202,204,206,208が導通するように、積層体の側面の所定位置に不図示のマイナス側外部電極となる外部電極ペーストを印刷し、所定の温度で焼成する。外部電極ペーストとしては、グリーンシートの焼成温度よりも低い800℃程度で焼成が可能な銀ペーストを用いることが好ましい。
更に、ステップS13において、積層体の側面略全体にガラスペーストを塗布して薄いガラス膜を形成する。ガラスペーストの塗布膜の厚みは焼成後に形成されるガラス被膜の機械的特性並びに積層型圧電素子の音波面の面積(発生力)を考慮して定められるが、ガラス被膜はできるだけ薄くして、圧電素子と熱膨張係数を合すことでガラスにクラックが入る事を防止し、圧電素子に電圧を印加した時の変位阻害量を小さくする事ができる。具体的には、数μm〜100μmの厚みのガラス被膜が得られるように、ガラスペーストの塗布膜の厚みを調節することが好ましい。
そして続くステップS16において、ステップS13で塗布したガラスペースト膜を焼成する。焼成温度は400〜800℃が好ましい。このとき、外部電極パターン部はリード線が取り付けられる部分なのでリード線の取り付け予定部分にはガラスペーストを塗布しない。ガラスペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷やディッピング、刷毛塗り等種々の塗布方法を用いることができる。
このガラス被膜を形成した積層圧電体の概略断面を図4に示す。図4の10,20が側面ガラス被膜である。圧電グリーンシートを図2に示すように円形に形成した場合には、ガラス被膜10,20はリード線取り付け予定部分を除き周囲に連続して円柱形に形成される。
次にステップS18において、ステップS16ガラスペースト塗布膜の焼成された積層体のグリーンシート側端面(図4の内部電極209配設面)に、例えば有機物と重金属の混合物で形成したバッキング層500を接着する。バッキング層は、後方への音を吸収して多重反射成分を抑え、波形のシンプル化とパルス幅を短くする効果がある。
整合層と共に一体焼成した積層圧電体にバッキング層を接着する前の状態が図4に示す状態である。図4において、300が第1層内部電極201面に一体焼成された整合層、500がこれから一体焼成された積層圧電体に接着されるバッキング層である。
そしてステップS20において、側面に形成されている外部電極パターンのリード線取り付け部分に半田付け等によりリード線を取り付ける。最後にステップS22において、公知の分極処理を行う。分極処理は、例えば、80℃のシリコン絶縁油中で3kV/mmの電界を圧電セラミックスの各層に印加することにより行い、その後にエージング処理を行うことで、本実施の形態例の積層型圧電素子を作製することができる。
上記したように、本実施の形態例では、圧電グリーンシートによる超音波振動子101乃至108は、略同一材料組成を使い、内部電極201乃至209の大きさを徐々に変えることにより、厚み閉じ込め振動の励振振幅が徐々に変化し、材料定数を傾斜させながら変える従来の傾斜型積層振動子と同様な効果が得られる。その結果、単層圧電素子の上下面の電極のみ備える従来の構造に比べて、多層にして徐々に電極面積を変えることにより、電極面に集中する応力が徐々に緩和されて主振動の偶数高調波も励振されるようになるため発振周波数の広帯域化が実現できる。
また、積層構造は急峻なパルス波形を繰り返し印加すると積層面が層状剥離する欠点があるが、外部電極取出し部(リード線取り付け部)を除いた積層振動子の側面を低膨張率のガラス粉末を焼成してガラス封止する事により、分極処理で薄いガラス膜に引っ張り応力がかかり、分極後は積層型圧電素子に残留圧縮応力を掛け続けた状態になるため、信頼性・耐久性を向上することができる。
本実施の形態例によれば、内部電極の大きさを徐々に変えた振動子を積層して側面部をガラス封止することにより、厚み縦閉じ込め振動を励振させることができる。更に、積層型超音波圧電振動子とすることで、低い印加電圧で高い音圧が放射でき、耐久性、信頼性が極めて良い超音波センサの製作が可能となると共に、周波数に対する音圧の帯域が広い超音波センサを提供することができる。
更に主振動の近傍に副振動(スプリアス)がないため、波形がシンプルとなり超音波機器の計測、解析制御の精度、分解能を上げることができる。
また、風向、風量計に用いる気体用超音波センサの場合には高電圧(500〜2000V)でパルス駆動されるため、大電流を流せるフォトMOSリレーがなく、回路の小型化、切り替えノイズが問題になっていたが、本実施の形態例では、積層振動子の一層の厚みを薄くして一層あたりの振動子に印加する電圧を大幅に下げることができるため、電子部品の選定が広がり、回路の小型化、切り替えノイズ発生の問題点が解消できるという優れた作用効果を得ることが出来る。
〔第2の実施の形態例〕
〔第2の実施の形態例〕
以上の説明は整合層を一層のみ形成したが、積層圧電体の音響インピーダンスと超音波放射媒体との音響インピーダンスの差が大きい場合には、1層ではなく、更に多層として徐々に音響インピーダンスを調整することにより、整合性をより向上させることが可能となる。
このように整合層を多層化した本発明に係る第2の実施の形態例を図6を参照して以下に説明する。図6において、400及び450がそれぞれ整合層であり、整合層400は積層圧電体の音響インピーダンスと超音波放射媒体とのインピーダンスの差を3等分した積層圧電体との差が略1/3の音響インピーダンスをもつ第1整合層、450は超音波放射媒体とのインピーダンスの差が略1/3の音響インピーダンスをもつ第2整合層である。
第2の実施の形態例によれば、上述した第1の実施の形態例の図1に示すステップS7の圧電グリーンシート積層体と整合層との圧縮一体化ステップにおいて、整合層が1種類の1層ではなく、それぞれ音響インピーダンスの異なる複数(例えば2層)の整合層を準備し、それぞれを有機物の接着層を介さないで単に重ね合わせて圧縮一体化する。
その後ステップS9で圧縮一体物の焼成を行う。その他については上述した第1の実施の形態例と略同様であるため、詳細説明を省略する。
以上説明したように第2の実施の形態例によれば、積層圧電体の音響インピーダンスと、超音波を放出する放射媒体のインピーダンスとを徐々に近づけて整合させることができ、効率の良い超音波放射が可能となる。
第2の実施の形態例においても、整合層1(400)をポーラスなセラミックスで形成し、整合層2(450)を有機物を含む材料で形成した構成とする事により、広帯域の、且つ効率のより向上した超音波発振素子が提供できる。この場合には、まず、整合層1(400)を積層体と一体焼成した後に、整合層2(450)を接着などで一体化すればよい。
なお、整合層はポーラスなセラミック材料と有機物を含む材料とで構成する例に限定されるものではなく、整合層を有機物を含む材料のみで構成することもできる。このように整合層を有機物を含む材料で構成した場合には、整合層をすべてバッキング層と同様に接着材で接着して一体化することになる。
〔第3の実施の形態例〕
〔第3の実施の形態例〕
第1、第2の実施形態例の説明は、1個の積層圧電体で送信と受信を兼用する超音波振動子の例である。しかし、1個の積層圧電体で送信と受信を分けることもできる。第3の実施の形態例は積層圧電体を送信部と受信部に分けた構造例である。
図7は本発明に係る第3の実施の形態例を説明するための図である。図7の例は、超音波を送信する超音波振動子の積層数を4層にし、積層体全体の厚さを受信用の圧電素子を形成しない場合と同様の共振周波数になるようにした例である。
圧電素子に外部から超音波が到達すると、その圧電素子が振動する。このため、外部から与えられた振動を圧電効果により電圧に変換することで、振動を電気的に検出することができる。
第3の実施の形態例の製造方法は上述した第1の実施の形態例と基本的に異なることがない。まず、圧電グリーンシートの厚さは第1の実施の形態例と同じ送信用の圧電グリーンシート4枚と、このグリーンシートを4枚重ねた厚さ(圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子部に比しほぼ4倍長くした)の受信用の圧電グリーンシートを用意し、それぞれのグリーンシートを挟み込むようにそれぞれ面積の異なる内部電極を配設し、それぞれを積層して積層圧電体を形成する。
この積層圧電体を一体化した状態を図7に示す。図7における150が受信用に適した十分な厚さを確保した圧電素子、101〜104は上述した各実施の形態例と同様の送信用に適した圧電素子、201〜206は内部電極である。
第3の実施の形態例においても、基本的な製造方法は上述した第1及び第2の実施の形態例とほぼ同様な製造方法で製造することができる。又、整合層とバッキング層の組み合わせも上述した第1及び第2の実施の形態例とほぼ同様にできる。第3の実施の形態例の製造工程は、上述した第1及び第2の実施の形態例と同様であるため、詳細説明を省略する。
〔第4の実施の形態例〕
〔第4の実施の形態例〕
以上に説明した第3の実施の形態例の説明は、積層圧電体の形状をほぼ円板状に成形した例を説明し、また、受信用に適した圧電素子は他の送信用に適した圧電素子と似た形状で構成した例を説明した。第4の実施の形態例は受信性能を向上させる他の手段として、受信用圧電素子の分極軸に平行な方向に分割スリットを形成して、受信圧電素子を細分化することにより、分極軸方向の長さと上下電極面の横軸長さの比が大きくなり厚み縦振動の電気機械結合係数が大きくなることにより、受信性能を更に向上させる効果がある。
受信用の圧電素子に縦方向にスリットを形成した本発明に係る第4の実施の形態例を図8を参照して以下に説明する。図8は本発明に係る第4の実施の形態例の具体的構成を説明するための斜視図である。
第4の実施の形態例では各圧電素子を断面略四角形に形成した例を説明する。
このときの状態は、圧電グリーンシートが断面略円形形状ではなく、角形形状である点を除き第3の実施の形態例の図7に示す状態と同様である。但し、図8に示す例ではそれぞれの圧電グリーンシートの全体形状を小型化しており、断面面積に比し厚さが厚くなっている。
このときの状態は、圧電グリーンシートが断面略円形形状ではなく、角形形状である点を除き第3の実施の形態例の図7に示す状態と同様である。但し、図8に示す例ではそれぞれの圧電グリーンシートの全体形状を小型化しており、断面面積に比し厚さが厚くなっている。
そしてステップS5の処理に続いて一体化した受信用に適した圧電グリーンシートを例えば4分割するように切り込み(スリット)1600を形成し、受信用の圧電素子に適した圧電グリーンシートを4分割して4本の柱状の受信用圧電素子1151,1152,1153,1154とする。なお、以上の説明では4分割した例を挙げたが、2分割でも、3分割でもよく、5分割、6分割など更に多分割しても良い。
スリット部は、柔らかいシリコン樹脂等で充填することにより細長い圧電素子の副振動を抑えることができる。
そしてその後に図1に示すステップS7以下の処理を実行する。その後の製造過程は上述した各実施の形態例と同様であるため、詳細説明を省略する。なお、図8では不図示だが受信用の圧電素子1151〜1154の上面略全面に内部電極が配設されている。
以上に説明した様に第4の実施の形態例によれば、受信用の圧電素子の厚さを厚くするのみならず、スリットを形成して多分割したため、受信感度を大幅に向上させることが可能となり、非常に高性能な超音波送信装置、超音波検出装置が提供できる。
101〜108,150,1101〜1104、1151〜1154 圧電グリーンシート(圧電振動子)
201〜209,216,1201,1203,1205 内部電極
300,400,450 整合層
500 バッキング層
10,20 ガラス被膜層
201〜209,216,1201,1203,1205 内部電極
300,400,450 整合層
500 バッキング層
10,20 ガラス被膜層
Claims (14)
- 圧電素子と電極とが交互に積層され、隣り合う圧電素子に互いに逆向きとなる電界を印加することによって前記圧電素子に変位を生じさせる積層型圧電素子であって、
前記圧電素子を略同一の材料で構成すると共に各圧電素子表面に必要に応じて電極パターンを形成し、前記電極パターンの形成された必要数の前記圧電素子を積層して一体化した圧電素子積層体を形成後に焼成し、
前記焼成した圧電素子積層体の側面の外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラス被膜層を形成してなることを特徴とする積層型圧電素子。 - 積層する圧電素子表面の前記電極パターン形成は、電極パターン面積を徐々に変えて厚み方向で圧電性が傾斜した圧電素子積層体とすることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
- 圧電素子を略同一の材料で構成すると共に各圧電素子表面に必要に応じて電極パターンを形成し、前記電極パターンの形成された必要数の前記圧電素子を該圧電素子と電極とが交互になるように積層して一体化した圧電素子積層体を形成後に焼成し、隣り合う圧電素子に互いに逆向きとなる電界を印加することによって前記圧電素子に変位を生じさせる積層型圧電素子であって、
積層する圧電素子表面の前記電極パターン形成は、電極パターン面積を徐々に変えて厚み方向で圧電性が傾斜した圧電素子積層体とすることを特徴とする積層型圧電素子。 - 前記焼成した圧電素子積層体の側面の前記外部電極パターン配設部分を除く略全面にガラス被膜層を形成してなることを特徴とする請求項3記載の積層型圧電素子。
- 前記圧電素子積層体に整合層を一体化した積層体を形成後に焼成してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の積層型圧電素子。
- 前記圧電素子積層体の片面に更にバッキング層を接着してなることを特徴とする請求項5記載の積層型圧電素子。
- 前記電極パターンには、隣接する電極パターンには互いに反対側面端部まで延びる外部電極接続パターンが配設されると共に、両側面に前記外部電極接続パターンに接続される外部電極パターンが配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の積層型圧電素子。
- 前記圧電素子積層体の一方端の圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子部に比し長くした受信専用の圧電素子部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の積層型圧電素子。
- 前記分極軸方向の長さの長い圧電素子に縦方向スリットを形成して複数に分割することを特徴とする請求項8に記載の積層型圧電素子。
- 前記内部電極は、少なくとも前記圧電素子表面の60%以上の面積を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の積層型圧電素子。
- 積層型圧電素子の製造方法であって、
圧電素子と電極とが交互に積層された積層体を製作する第1工程と、
前記第1工程で製作された積層体を焼成する第2工程と、
側面の所定位置に前記電極と導通する一対の外部電極を形成する第3工程と、
前記積層体側面の前記外部電極配設部分を除く積層体側部略全面にガラスペースト膜を形成する第4工程と、
前記ガラスペースト膜が形成された積層体を加熱処理してガラス被膜を形成する第5工程と、前記ガラス被膜を形成した積層体の一方面に整合層を接着する第6工程と、
前記整合層を接着した積層体を焼成する第7工程と、
前記整合層と一体化した積層体にバッキング層を接着する第8工程と
を有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。 - 積層型圧電素子の製造方法であって、
略同一の材料で構成された圧電素子を製作する第1工程と、
前記第1工程で製作された圧電素子表面に面積を徐々に変えた電極パターンを形成する第2工程と、
前記第2工程で一体化した積層体を一体として焼成する第3工程と、
積層体の一方面に整合層を一体化するとともに側面の所定位置に前記電極と導通する一対の外部電極を形成する第4工程と、
外部電極が形成された積層体にバッキング層を接着する第5工程と
を有することを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。 - 前記第1工程において、一方端部の圧電素子の分極軸方向の長さを他の圧電素子より長く形成することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の積層型圧電素子の製造方法。
- 更に、一方端部の圧電素子は縦方向にスリットを形成して複数に分割することを特徴とする請求項13記載の積層型圧電素子の製造方法。
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