JP2005247484A - 記録用紙の除湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録用紙を無端状の加熱用ベルトに接触させて加熱させることで除湿する除湿装置として、その記録用紙の変形の発生を抑えつつ、記録用紙が加熱用ベルトから浮く現象の発生も極力抑制し、もって効率のよい良好な除湿を行うことができる除湿装置を提供する。
【解決手段】 除湿装置1は、複数の支持ロール3に張架されて回転する無端状の加熱用ベルト2と、この加熱用ベルトを加熱する加熱手段4と、この加熱手段で加熱される加熱用ベルト2の所定区間Eの外周面に接触させた状態で通過させる記録用紙Pをそのベルト外周面に押し付ける押圧部材5とを備えたものであって、加熱用ベルト2の少なくとも記録用紙Pが接触する外周面部分をゴム材料で形成してなるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式等を利用するプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置において乾式トナーからなる画像を記録するために使用される記録用紙を加熱してその含水率を下げる記録用紙の除湿装置に関するものである。特に、記録用紙を加熱用ベルトに接触させて加熱することにより除湿する場合に、その用紙に不要な変形が発生することを抑えつつ、より良好な除湿を行うことができる湿装置に関するものである。
電子写真方式等を採用した画像形成装置では、感光体等の像担持体に形成される静電潜像を乾式トナーにより現像してトナー像とした後、その未定着のトナー像を直接または中間転写体を介して記録用紙に転写し、最後にそのトナー像を加熱加圧して記録用紙に定着させることで画像の形成を行っている。
そして、このような画像形成時における未定着トナー像の記録用紙への転写は、コロトロン等のような非接触式の放電転写装置や、転写バイアスが印加される転写ロール等のような接触式の静電転写装置を用いて、記録用紙の収容部から給紙路を経て搬送される記録用紙に対して静電的な作用により移行させることで行われている。
また、その未定着トナー像の記録用紙への定着は、加熱ロールと加圧ロールにより形成されるロールニップ部に未定着トナー像が転写された記録用紙を導入して加熱加圧させることで定着させるロール定着方式や、加熱ロールに定着ベルトを所定の距離だけ接触させて形成されるベルトニップ部に未定着のトナー像が転写された記録用紙を導入して加熱加圧させることで定着させるベルト定着方式等を採用して行われている。
さらに、定着方式(装置)に関しては、近年、次のような新たなベルト定着方式も提案されている。すなわち、そのベルト定着方式は、複数の支持ロールに張架された状態で回転する定着ベルトと、この定着ベルトの支持ロール間の張架部分に所定の距離だけ張架部分にて接触しながら同じ方向に回転する張架状態の搬送支持ベルトを使用し、その定着ベルトと搬送支持ベルトが接触して形成されるベルトニップ部に対して未定着のトナー像が転写された記録用紙をその像担持面が定着ベルト側に接するように挟持させた状態で搬送し、その搬送途中で冷却した後に記録用紙を定着ベルトから剥離させることにより定着を行うものである。
なお、上記搬送支持ベルトの代わりに、支持ロールに支持された定着ベルトに圧接して定着ニップ部を形成する加圧ロールを設置し、その定着ニップ部に記録用紙を搬送導入して通過させ、その定着ベルトに密着させた状態で搬送する途中で冷却した後に定着ベルトから剥離するように構成したベルト定着方式も提案されている。
ところで、このような乾式トナーからなるトナー像の記録用紙への静電転写や定着の工程を経て画像が形成される画像形成装置においては、記録用紙がその使用に先立って吸湿して含水率の高い状態にあると、次のような問題が発生する。
すなわち、記録用紙が吸湿することにより、記録用紙が重送される等の搬送性の悪化や、トナー像を記録用紙への静電転写時に記録用紙の抵抗値が吸湿によりばらつくことで安定した転写が行われない等の転写不良や、記録用紙に転写されたトナー像を加熱加圧して定着する際に、吸湿している記録用紙内の水分が蒸発することで紙しわになる等の定着不良などが発生してしまう。
これに対し、従来においても、たとえばその記録用紙の吸湿により発生している種々の問題を解消するための以下に示すような解決手段が提案されている。
例えば、電子写真複写機における転写材(記録用紙)の送り出し手段と転写手段との間にその転写材を加熱するための転写前加熱装置を設けることを示し、またその具体例として、主に加熱ロールと加圧ロールとの間に形成するロールニップ部に転写材を通過させるように構成した転写前加熱装置を示す提案がある(特許文献1)。
また、複写機本体内の感光体と用紙トレイとの間の搬送路に用紙除湿装置としてのヒータを設けることを示し、またその具体例として、トランスポートの搬送ベルトの内部にヒータを設置し、その搬送ベルトにより搬送される用紙を加熱して除湿するように構成した用紙除湿装置を示す提案がある(特許文献2)。
特開昭50−43936号公報 特開昭61−26060号公報
しかしながら、近年、特に電子写真方式等を採用する複写機やプリンタのような画像形成装置にあっては、その画像形成の高速化や高画質化が進むとともに、その画像形成に使用する記録用紙の種類(普通紙や塗工紙、また厚紙や薄紙など)に依存しない適性が求められており、中でもオンデマンドパブリッシングをはじめとする軽印刷分野への汎用性が求められている。
このような要請がある状況のなかで上記したような記録用紙に対する従来の除湿(加熱)装置ではいずれも、その加熱による除湿を行った場合、加熱した記録用紙がその後の画像形成(画質)に支障となるほどに変形してしまったり、あるいは、効率よく加熱することができず記録用紙の含水率を短時間で十分に下げることが難しいなどの問題がある。このように高速で十分な除湿を行うことが困難であることから、特に上記した画像形成の高速化に対応することが難しい。
具体的に説明すると、前掲の特許文献1に示される転写前加熱装置の場合には、記録用紙を加熱ロールと加圧ロールで形成される短いロールニップに通過させるだけであるため記録材の水分を蒸発させるのに充分な加熱を行うことができず、その十分な加熱を行うようにするためには加熱ロールの加熱温度を高温に設定せざるを得ない。また、上記加熱装置では、そのロールニップの下流側となる搬送路上に熱源を設置して記録用紙を加熱できるようにしているが、かかる熱源による加熱では、開放された状態で搬送される記録用紙を加熱することになるため、その加熱時に発生する水蒸気により記録用紙がでこぼこ状に変形してしまう。
また、特許文献2に示される用紙除湿装置では、記録用紙の加熱を搬送用ベルトの内部に設置したヒータで行うものであることから、その記録用紙が搬送用ベルトで搬送されて通過する際には常に記録用紙のほかに搬送用ベルトも同時に加熱する必要があり、このため記録用紙を効率よく加熱することができない。また、記録用紙が搬送用ベルト上に載せられただけの開放状態で搬送されるなかで加熱されるため、その加熱により発生する水蒸気により記録用紙がでこぼこ状に変形してしまう。
また、特許文献2に示される除湿装置は、搬送用ベルトの外周面に記録用紙を広い面積でもって接触させた状態で加熱を行うため、記録用紙を僅かな幅のロールニップに通して加熱させる前者(特許文献1)の加熱装置に比べると、その加熱時間を長く確保することができ、この結果、記録用紙を十分に加熱させて効率のよい除湿が可能になる点で有利である。
しかし、後者(特許文献2)の除湿装置のように、記録用紙を無端状のベルトに接触させて加熱することにより除湿を行おうとした場合には、記録用紙が水蒸気の発生によりベルトから浮く(離れる)現象が発生して十分に加熱されず効率のよい良好な除湿ができなくなるという不具合がある。
すなわち、本発明者らの研究によれば、記録用紙はベルトとの接触により加熱されると、用紙内に含まれる水分が蒸発し水蒸気となって発生し、そのうち大半の水蒸気がベルトと接触していない側から抜け出ることで含水率の低下に寄与しているものと考えられるが、その水蒸気の一部がベルトと接触する側にも抜け出るため記録用紙がベルトから部分的に浮いた状態になることが確認されている。そして、その浮く現象によりベルトと記録用紙の間に隙間が形成され、その隙間に介在する空気層が熱抵抗になるため、その分ベルトの熱が記録用紙に伝わりにくくなり記録用紙が十分に加熱されなくなるものと推測される。なお、この記録用紙の浮く現象は、記録用紙を加熱する温度を高めるほど、より発生しやすくなる傾向にある。また、本発明者らの研究によれば、その浮く現象は、たとえば、ベルトに接触する記録用紙を押圧ロールでベルトに押し付ける対策を施した場合でも加熱温度が高いと解消されないときがあることが確認されている。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであり、記録用紙を無端状の加熱用ベルトに接触させて加熱させることで除湿する除湿装置として、その記録用紙の変形の発生を抑えつつ、記録用紙が加熱用ベルトから浮く現象の発生も極力抑制し、もって効率のよい良好な除湿を行うことができる記録用紙の除湿装置を提供するものである。
上記課題を解決し得る本発明の記録用紙の除湿装置は、複数の支持ロールに張架されて回転する無端状の加熱用ベルトと、この加熱用ベルトを加熱する加熱手段と、この加熱手段で加熱される前記加熱用ベルトの所定区間の外周面に接触させた状態で通過させる記録用紙をそのベルト外周面に押し付ける押圧部材とを備え、前記加熱用ベルトの少なくとも記録用紙が接触する外周面部分をゴム材料で形成してなることを特徴とするものである。
また、上記加熱用ベルトについては、無端ベルト状のフィルム部材の外周面に前記ゴム材料からなる表面層を形成したものにするとよい。
本発明の除湿装置によれば、記録用紙が、加熱手段で加熱される加熱用ベルトの所定区間の外周面に接触した状態で通過させられる。この際、記録用紙は、押圧部材により加熱用ベルトに押し付けられる。また、記録用紙は、加熱用ベルトのゴム材料で形成された外周面部分に接触することになる。特にゴム材料で形成された加熱用ベルトの外周面部分は、記録用紙との密着性が比較的高いものになる。これにより、記録用紙は、加熱される加熱用ベルトの外周面に押圧部材により押し付けられるとともに、その加熱用ベルトの当該外周面部分に密着性よく接触した状態に保たれる。この結果、記録用紙が加熱用ベルトに接触して加熱された際にも、その記録用紙から発生する水蒸気により加熱用ベルトから浮く現象が発生しにくくなり、加熱用ベルトに良好に接触し続けるようになる。
したがって、記録用紙は加熱用ベルトに接触し続けて効率よくかつ十分に加熱されるため、ほとんど変形することもなく効率よく除湿される。また、このような除湿装置では、記録用紙の高速の供給搬送が要求される画像形成装置の高速化にも十分に対応することが可能となる。高速の除湿処理としては、例えば、A4用紙横送りで80枚/分以上の処理速度が得られることが好ましい。
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る記録用紙の除湿装置1の概要を示す説明図である。図2は、この除湿装置1の上方位置から見たときの要部平面図である。
この実施の形態に係る除湿装置1は、基本的に、記録用紙Pを加熱するための無端状の加熱用ベルト2と、この加熱用ベルト2を矢印A方向に回転し得るように張架して支持する複数の支持ロール3A〜3Cと、加熱用ベルト2を加熱する加熱手段4と、記録用紙Pを加熱用ベルト2に押し付ける押圧部材5とを、少なくとも備えたものである。図中の矢付き一点鎖線は、記録用紙Pの搬送経路を示す。
加熱用ベルト2は、その全体が無端状のベルトとして形成されるものであり、少なくとも記録用紙Pと接触する外周面部分をゴム材料で形成したものである。また、この加熱用ベルト2は、除湿時に必要な加熱温度に耐え得る耐熱性や、加熱下での高速回転などに耐え得る機械的強度や、さらに、記録用紙を効率よく加熱するのみならず自らも効率よく加熱されてその熱を記録用紙に伝え得るような良好な熱伝導性を有するものであることが好ましい。前記ゴム材料は、記録用紙との密着性を有する耐熱性のあるゴムであればよく、たとえばシリコーンゴム、フッ素ゴム等である。
このような加熱用ベルト2としては、上記ゴム材料のみからなるベルトであっても構わないが、図3に示すように、無端ベルト状のフィルム部材2aの外周面に前記ゴム材料からなる表面層2bを形成したものを使用することができる。
この場合、フィルム部材2aとしては、アルミニウム、ステンレスなどの金属製薄膜シートや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリイミド、ポリイミドアミド等の樹脂製フィルムを適用することができる。このフィルム部材2aの厚さは、好ましくは30〜200μm、より好ましくは40〜150μm、さらに好ましくは50〜130μmである。この厚さが30μmよりも薄い場合は機械的強度が不足し耐久性に劣るものとなってしまい、反対に200μmよりも厚い場合は熱容量が高くなるため加熱手段4等により所定の温度に加熱するのに時間がかかってしまう。また、フィルム部材2aは、その幅(ベルト幅)が、少なくとも除湿対象となる記録用紙Pの送り方向幅の最大値以上であればよい。一方、表面層2bは、たとえば前記ゴム材料をフィルム部材2aの片面(外周面側になる側の面)に塗布手段等により塗布して形成することができる。表面層の厚2bさは10〜150μmであることが好ましく、この下限値よりも薄い場合は表面層(塗布層)の厚さを均一にすることが困難になる等の問題があり、その上限値を超える場合は加熱用ベルト2を所定の加熱温度まで加熱するに要する時間が増加してしまう等の問題がある。表面層2bは、通常フィルム部材2aの片面全面に形成されるが、場合によってはその片面のうち記録用紙Pが接触して通過する領域に限定して形成するようにしてもよい。
支持ロール3A〜3C(第1〜第3の支持ロール)は、加熱用ベルト2を張架して矢印A方向に回転させるように支持するものである。この複数の支持ロール3のうち、その1つはフィルム部材2を回転駆動させるための駆動ロールとして、その1つは加熱用ベルト2に張力を付与するテンションロールとして使用される。この例では、例えば、第2支持ロール3Bを駆動ロールとして使用するが、第1支持ロール3Aや第3支持ロール3Cを駆動ロールとして使用することも可能である。
また、支持ロール3の数は、この例のように3つ(本)に限らず、2本であっても、あるいは、4本以上であってもよい。3本以上の支持ロール3を使用する場合、その各支持ロールの配置パターンや離間距離などの条件については、それらの支持ロール3に張架する加熱用ベルト2における記録用紙Pの接触区間(E)などの構成内容に応じて適宜設定される。さらに、支持ロール3は、必要に応じて、そのロール内部やその外部に加熱源を備えた加熱ロールとして構成してもよい。例えば、記録用紙Pが加熱用ベルト2に接触を開始する位置(Q)に相当する第1支持ロール3Aを加熱ロールとして構成すると、加熱手段4とともに記録用紙Pが接触する前の加熱用ベルト2を加熱することが可能となり有効である。
加熱手段4は、加熱用ベルト2を除湿に必要な温度に均一に加熱することができるものであれば特に制約されるものではないが、回転移動する加熱用ベルト2を記録用紙Pと接触する手前の地点で少なくともその副方向全域にわたって均一に効率よく所定の温度まで加熱することができるものを少なくとも1つ採用することが好ましい。この加熱手段4による加熱は、記録用紙Pの導入タイミングに合わせて開始されるように設定されている。つまり、記録用紙Pが接触開始位置:Qに到達する時点で、加熱用ベルト2がすでに所定の温度に加熱されているようなタイミングで加熱を開始するようになっている。また、この例では、記録用紙Pの加熱用ベルト2への接触開始位置(Q)にある第1支持ロール3Aと第3支持ロール3Cの間に設置しているが、第2支持ロール3Bと第3支持ロール3Cとの間に単独であるいは追加して設置してもよい。さらには、第1支持ロール3Aと第2支持ロール3Bと間に設置してもよい(この場合、通常は加熱用ベルト2の内周面側に設置されることになる)。加熱手段4は、加熱用ベルト2の内周面側または外周面側の一方またはその双方に設置される。また、加熱手段4は、加熱用ベルト2に接して加熱する接触方式のものであっても、あるいは加熱用ベルト2に接しないで加熱する非接触方式のものであってもよい。
この加熱手段4としては、加熱用ランプ、(電熱)ヒータなどを備えた加熱器や加熱ロールや加熱板、フラッシュランプ、電磁誘導加熱方式による加熱器などが挙げられる。また、この加熱手段4は、加熱用ベルト2を所定温度に短時間で加熱することができる観点からすると、加熱手段4による加熱用ベルト2の加熱領域を長くすることが可能な接触式の加熱板や、加熱用ベルト2を掛け回す加熱ロールが有効である。
加熱手段4として加熱ロールを使用する場合、その加熱ロールは、良好な熱伝導性を確保できる観点からニッケル、アルミニウム、ステンレスなどの金属製ロール単体や、そのような金属製ロールの表面にパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などの樹脂材料をコーティングしたロール体が使用される。加熱ロールの肉厚は、薄すぎる場合には熱容量の不足により加熱用ベルト2を十分に加熱することができなくなる問題があり、厚すぎる場合には加熱ロールを加熱するのに時間がかかったり装置の重量が重くなるなどの問題があるため、2〜20mm程度が好ましい。
加熱手段4として接触式の加熱板を使用する場合、その加熱板は、良好な熱伝導性を確保できる観点等からアルミニウム、ステンレスなどの金属材料にて形成される板部材に、ラバーヒータ等の加熱源を付設したものである。また、その加熱板は、加熱用ベルト2との密着性を高める観点から、加熱用ベルト2と接触する面を一定の曲率からなる曲面にすることが望ましい。その接触面の曲率としては、曲率半径で30〜1500mmが好ましい。その曲率半径が30mmよりも小さい場合には加熱用ベルト2を張架した時のその加熱用ベルト2の引き回しが難しくなり、反対に1500mmを超えた場合には加熱用ベルト2との密着性を十分に確保することが難しくなる。この加熱板の肉厚も、上記加熱ロールの場合と同様の理由から、2〜20mm程度が好ましい。
押圧部材5は、回転する加熱用ベルト2に接触して搬送される記録用紙Pをその加熱用ベルト2に均一に押し付けるためのものである。この押圧部材5としては、一般にロール形態のものが使用されるが、加熱用ベルト2や記録用紙Pの回転や移動に支障がなく、しかも記録用紙から発生する水蒸気の放出先を塞ぐことなく上記押し付けが可能であれればこの形態のものに限定されない。押圧部材5の押圧力(押し付け荷重)については、例えば5〜50N程度に設定する。なお、この押し付け荷重は、後述する対向部材6を設置する場合を前提にしたものであるが、かかる対向部材6を設置しない場合であっても、加熱用ベルト2に通常20〜80N程度の張力を付与するため、その対向部材6が設置される場合の押し付け荷重と比べてもそれほど大差はないものになる。
この押圧部材5の数量は、複数であることが好ましいが、1つであってもよい。特に押圧部材5を1つ設置する場合は、その押圧部材5を、記録用紙Pが接触し始める加熱用ベルト2の接触開始位置(Q)かまたはその近傍の位置に設置することが望ましい。これにより、記録用紙が加熱されたフィルム部材に接して加熱された時点から発生する水蒸気がその紙先端部とフィルム部材との間に介在することにより、記録用紙がフィルム部材から部分的に浮かんだ状態になることが考えられるが、かかる記録用紙の浮き状態を初期のうちに押圧することで消失させることができ、もって記録用紙における加熱による変形の発生を的確に防止できるようになる。
上記接触開始位置(Q)は、押圧部材5(複数設置する場合には回転方向Aの最上流側に配置されるもの)の加熱用ベルト2と接するニップ部であるか、あるいは、記録用紙Pの搬送ガイド部材などで搬送姿勢が規制されて加熱用ベルト2に最初に接触するように設定される目標位置のいずれかである。また、上記近傍位置とは、その接触開始位置の前後側(フィルム部材の回転方向上流側および下流側)に少し(例えば10mm程度)ずれた位置である。
また、押圧部材5を複数設置する場合には、それらの押圧部材を加熱用ベルトの回転方向に配分した状態で複数設置するとよい。これにより、前記したような記録用紙の加熱用ベルト2からの浮き状態を複数箇所で押圧することで消失させることができるため、記録用紙の加熱による変形の発生を有効に防止できるようになる。押圧部材5を複数設置する場合にも、そのうちの1つは上記接触開始位置(Q)かまたはその近傍の位置に設置することが望ましい。この場合には、記録用紙の加熱による変形の発生を最も的確に防止できるようになる。
押圧部材5としてロール形態の押圧ロールを使用する場合には、その押圧ロールとしては、ニッケル、アルミニウム、ステンレスなどの金属製ロール単体や、そのような金属製ロールの表面にシリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料を被覆したゴムロールや、そのようなゴムロールの表面にパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などの樹脂材料を被覆したロール体などが使用される。押圧ニップの幅が広く取る観点からは、ゴム材料を被覆したゴムロールが好ましい。
また、押圧ロールの径は、好ましくはφ10〜80mm、より好ましくはφ15〜40mmである。このロール径がφ10mmより小さいと、その押圧ロールの押圧ニップの幅が小さくなるため押し付け効果が十分に得られず、反対にφ80mmを超えると、その押圧ロールを複数配置する場合における各ロールどうしの間隔設定の難しさやその押圧ロールの総重量が増加する等の問題が発生する。
上記被覆するゴム材料の硬度はJIS A10〜A80が好ましく、より好ましくはJIS A20〜A40である。その硬度がJIS A10よりも小さい場合には耐久性に問題があり、反対にJIS A80を超える場合には金属製ロール単体の場合と同様に押圧ニップの幅が狭く十分な押し付け効果が得られなくなる。また、そのゴム材料を被覆したときの層厚は、2mm以上が好ましく、より好ましくは4mm以上である。その層厚が2mm以下では押圧ニップの幅が狭く十分な押し付け効果が得られなくなる。
また、この除湿装置1においては、図1に二点鎖線で示すかまたは図4に示すように、加熱用ベルト2の少なくとも押圧部材5と対向する内周面部分に接してそのベルト2(の走行)を支持する対向部材6を設置することが望ましい。この対向部材6としては、一般にロール形状のものや板形状のものが使用される。ちなみに、押圧部材5を例えば第1支持ロール3Aと対向する位置に設置した場合には、その第1支持ロール3Aが対向部材6として機能することになる。このような対向部材6を設置した場合には、押圧部材5がその対向部材5で支持された加熱用ベルト2に圧接した状態となって押圧部材5による押圧効果が有効に発揮されるようになり、その結果、記録用紙が加熱用ベルトに確実に密着して良好に加熱されるようになる。
対向部材6としてロール形状からなる対向ロールを使用する場合、その対向ロールは、前記した押圧部材5としての押圧ロールと同じものを使用することができる。また、対向ロールの径についても、押圧ロールとほぼ同じ理由で同一の数値範囲であることが好ましい。さらに、この対向ロールも、押圧ニップの幅が広く取る観点からは、ゴム材料を被覆したゴムロールであることが好ましい。そのゴム材料の硬度やその被覆したときの層厚についても、前記押圧ロール5の場合とほぼ同様の理由(なお硬度および層厚の上限値を超えた場合にはいずれも、加熱用ベルト2を挟んだ状態での押圧部材5とのニップ幅が狭くなる問題がある)で同様の数値範囲であることが好ましい。
対向部材6として板形状からなる対向板を使用する場合、その対向板としては、ニッケル、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料にて形成される板状部材が使用できる。この対向板6は、その加熱用ベルト2の回転方向Aに沿う長さについて適宜設定されるが、前記接触区間Eの(ベルト2の回転移動方向の)長さと同じ長さであっても異なった長さであってもよい。
また、その対向板は、加熱用ベルト2との密着性を高める観点から、加熱用ベルト2と接触する接触面を加熱用ベルト2の回転方向Aに沿って一定の曲率からなる曲面(6a)にすることが望ましい(図4参照)。その接触面の曲率としては、曲率半径で100〜1500mmが好ましい。その曲率半径が100mmよりも小さい場合には加熱用ベルト2との接触幅(加熱用ベルト2の回転方向Aに沿う長さ)を十分に確保することが難しく、また、加熱用ベルト2もその曲率で湾曲した状態となるため、かかる加熱用ベルト2への記録用紙Pの密着性も劣ることになる。反対に1500mmを超えた場合には、その接触面の湾曲度合いが小さくなって加熱用ベルト2との密着性を十分に確保することが難しくなる。この対向板の肉厚も、上記加熱ロール(4)の場合とほぼ同様の理由から2〜20mm程度が好ましい。
さらに、対向部材6には、その部材を加熱するための加熱手段を設置することが好ましい。この加熱手段を設置することにより、加熱用ベルト2の記録用紙Pとの接触により熱が奪われて温度が低下することを防止することができる。この場合には、加熱用ベルト2の内周面に接する対向部材6自体も加熱されるため、記録用紙との接触により熱が奪われて温度が低下する加熱用ベルト2を対向部材が加熱することとなる。この結果、加熱用ベルトの温度が低下するおそれが少なくなり、記録用紙の加熱も安定して行われるようになる。
そして、この除湿装置1においては、図1に示すように、その第1支持ロール3Aと第2支持ロール3Bとの間で張架されている加熱用ベルト2の領域が記録用紙Pの接触区間(E)として形成されている。すなわち、除湿対象の記録用紙Pは、第1支持ロール3Aで支持されている加熱用ベルト2の部分から接触し始め(接触開始位置:Q)、第2支持ロール3Bに支持されている加熱用ベルト2の部分で剥離される(剥離位置:H)ようになっている。
この接触区間:Eの長さ(加熱用ベルト2の回転方向Aに沿う長さ)については、加熱用ベルト2の加熱設定温度やその回転速度の設定条件において、記録用紙Pを加熱してその含水率を確実に低下させることができる観点などから適宜変更することが可能である。
この例では、第1支持ロール3Aと第2支持ロール3Bとの離間距離を増減することで変更することができる。また、図1の二点鎖線で示すように、押圧部材5が加熱用ベルト2に接する部位(ニップ部)から記録用紙Pが加熱用ベルト2に接触を開始するように設定することで変更することも可能である。この場合は、その押圧部材5が接する加熱用ベルト2のニップ部が接触開始位置:Qとなる。さらに、対向部材6を設ける場合には、図3に例示するように、その対向部材6により加熱用ベルト2をその内周面側から持ち上げるように支持し、その対向部材6と接触する区間を接触区間:Eとするように構成することも可能である。図4中の符号6aは、対向部材における加熱用ベルト2に対する接触面を示す。
このような除湿装置1では、次のようにして記録用紙Pの除湿が行われる。
まず、その除湿を行うべき時期が到来すると、無端ベルト状の加熱用ベルト2が矢印A方向に所定の速度で回転するとともに、加熱用ベルト2が加熱手段4により所定の温度まで加熱される。加熱用ベルト2の回転速度は、要求される除湿処理速度に応じて適宜設定される。また、加熱用ベルト2を加熱する所定の温度は、例えば150〜190℃程度である。
次いで、記録用紙Pが加熱用ベルト2との接触開始位置Qに向けて搬送導入されて加熱用ベルト2に接触させられる。この記録用紙Pの搬送導入は、用紙搬送ロール対、用紙搬送ベルト等の用紙搬送装置にて行われる。この例では、記録用紙Pは第1支持ロール3A(最上部付近)で支持される加熱用ベルト2において接触し始め、これにより加熱された加熱用ベルト2による加熱も開始される。
この際、加熱用ベルト2による記録用紙Pの加熱は、加熱用ベルト2が記録用紙Pとの接触前に予め加熱手段4によって所定の温度まで加熱されているため、その加熱用ベルト2が既に有している十分な熱が記録用紙Pにその接触と同時にすぐに伝わることで行われる。また、この記録用紙Pとの接触により熱を奪われたフィルム部材領域は、その後、加熱手段4を通過する際に再度、所定の温度まで加熱される。さらに、加熱手段を有する対向部材6を設けた場合には、その対向部材6により加熱用ベルト2が加熱されるため、加熱用ベルト2が記録用紙Pとの接触により熱が奪われても加熱補完(保温)されるためその温度の低下割合が少なくなる。
また、記録用紙Pは、加熱用ベルト2のゴム材料で形成された部位に接触するため、かかるゴム材料で形成された加熱用ベルトの外周面部分による記録用紙との良好な密着性が得られる。これにより、加熱状態にある加熱用ベルト2に接触して加熱され始めた記録用紙Pからは、その内部に含まれる水分が水蒸気となって発生し、特に加熱用ベルト2との間にも発生する水蒸気により記録用紙Pが所々で加熱用ベルト2から浮いた状態になりやすいが、記録用紙はゴム材料で形成された加熱用ベルトの外周面部分に密着性よく接触した状態に保たれるため、浮きにくくなる。この結果、記録用紙が加熱用ベルトから浮くことで加熱不良となることが抑制されるようになる。
続いて、その記録用紙Pは、加熱用ベルト2の回転に伴ってその回転方向Aに送られ、その接触開始位置Qの少し下流側の近傍位置にある押圧部材5を通過する際に、加熱用ベルト2に押し付けられる。
これにより、前述したように加熱用ベルト2から浮いた状態になりやすい記録用紙Pが、その浮いた状態になる前または浮いた状態になり始めた記録用紙の部分が押圧部材5によって加熱用ベルト2に押し付けられるため、その浮いた部分が発生しないかまたは消失する。この結果、その浮いた状態の記録用紙部分が消失しないまま加熱用ベルト2から剥離されることで、除湿後の記録用紙Pがでこぼこ状に変形してしまうことが防止されるようになる。また、この際、押圧部材5の押し付け作用により、記録用紙Pから発生する水蒸気が押圧部材5によるニップ部の手前側に絞り出される効果も期待できる。
そして、記録用紙Pは加熱用ベルト2と接触している間は加熱され続け、その接触区間Eが終り、加熱用ベルト2からの剥離位置Hに到達したときに、加熱用ベルト2から剥離されて排出される。この結果、記録用紙Pは効率よく十分に加熱されることで、その含水率が低下して除湿される。
また、このような除湿装置1は、通常、前述した電子写真方式、静電記録方式等を採用する画像形成装置における記録用紙Pの収容部(画像形成装置内の用紙収容部や画像形成装置に外付けされる用紙収容部など)とその記録用紙Pにトナー像を転写する転写部との間に設置して使用されるが、必要に応じて、画像形成装置とは独立して単独の除湿装置1として使用してもよい。
さらに、この除湿装置1は、定着装置として、前記した新たなベルト定着装置(定着ベルトと搬送支持ベルトまたは加圧ロールとでベルトニップ部または定着ニップ部を形成し、記録用紙をそのいずれかのニップ部に通して定着ベルトに密着させたままで搬送する途上で冷却してから剥離する方式)を採用する画像形成装置に適用すると有効である。それは、主に上記ベルト定着方式を採用する定着装置では、その定着時に記録用紙から水蒸気が発生することでブリスター現象が起こるため、その定着物の光沢度が低下してしまう問題があるが、その除湿装置1で除湿した後の記録用紙を使用して定着を行うことになれば、上記ブリスター現象が発生することひいては光沢度の低下が起こることを抑制または防止できるようになるからである。
なお、この除湿装置に適用する記録用紙Pは、前述した乾式トナーによる画像が転写および定着等の工程を経て形成するために使用される記録媒体であり、そのような画像形成を行うための画像形成装置に使用することが可能なものである。具体的には、普通紙に限らず、吸湿して前述したような不具合を引き起こす可能性があるものすべてが含まれる。例えば、樹脂層を塗工した塗工紙(コート紙)等も含まれる。また、その普通紙、コート紙等にあっては、その薄め(65gsm程度)のものから厚め(256gsm程度)のものまで幅広く適用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
図5は、本発明の実施例に係る記録用紙の除湿装置10を示す説明図である。図6は、この除湿装置10の上方位置から見たときの要部平面図である。
この除湿装置10は、記録用紙Pを加熱するための無端状フィルムベルト20と、このフィルムベルト20を矢印A方向に回転し得るように張架して支持する3つの支持ロール31〜33と、フィルムベルト20を加熱する加熱板40と、記録用紙Pをフィルムベルト20に押し付ける2本の押圧ロール51、52と、対向板60とを少なくとも備えたものである。
フィルムベルト20としては、厚さ50μmのポリイミドフィルム(グンゼ社製)20aの片面に、シリコーンゴム(東レ・ダウ社製:DY35−796)を厚さ50μmとなるようにスクレーバーを用いた塗布方法により塗布してゴム表面層20bを形成した基材を、幅360mm、周長1300mmの無端ベルト状に成形したものを使用した(図3参照)。上記塗布方法は、たとえば上記ベルト状のフィルム表面に所定の隙間をあけてスクレーバーを設置し、そのスクレーバー付近のフィルム表面に液状のゴム材料を載せてベルト状のフィルムを移動させてゴム材料を薄塗りする方法である。
3つの支持ロール31〜33は、その互いの軸心を直線で結んだ形状がほぼ逆三角形になるような状態で配置した。すなわち、2つの支持ロール31、32を水平方向に間を開けて配置するとともに、残り1つの支持ロール33を2つの支持ロール31、32の中間位置から下方側にずれた位置に配置しており、その支持ロール31、33どうしの軸心間距離が530mm程度となり、支持ロール31、33どうしおよび支持ロール32、33どうしの軸心間距離がいずれも310mm程度となるように設置している。また、支持ロール33を図示しない回転駆動源の動力にて駆動する駆動ロールとして構成し、支持ロール32をテンション用ロールとして構成している。支持ロール32により付与する張力は8kgf(=80N)とした。さらに、支持ロール31は、フィルムベルト20を加熱する加熱ロールとして構成している。
加熱板40は、加熱ロールとしての支持ロール31と駆動ロールとしての支持ロール33との間に張架されたフィルムベルト20の内周面に接触した状態で設けられてフィルムベルト20を加熱するものである。この加熱板30は、幅400mm、全長400mm、厚さ3mmの寸法からなるアルミニウム製の板を本体とし、そのアルミニウム板のフィルムベルト20との接触面30aを曲率半径が900mmの曲面に成形しているとともに、この接触面20aの反対側になる裏面にアルミニウム板を所定の温度まで加熱するためのラバーヒータ41を取り付けている。
また、加熱ロールとしての支持ロール31は、φ45mm、肉厚3mm、長さ400mmの寸法からなるアルミニウム製の中空ロールを本体とし、その中空内部に中空ロールを所定の温度まで加熱するための加熱ランプ35を設置している。この他、支持ロール32は、φ45mm、肉厚3mm、長さ400mmの寸法からなるアルミニウム製の中空ロールである。また、駆動ロールとして使用する支持ロール33は、φ45mm、肉厚3mm、長さ400mmの寸法からなるアルミニウム製の中空ロールに、ポリウレタンからなる厚さ25μの弾性層を形成したものである。
押圧ロール51、52はいずれも、φ10mmのアルミニウムのロールに厚さ4mmのシリコーンゴム(JIS−A 30Hs)からなるゴム層を形成したゴムロール(金陽社製)を使用した。その1つの押圧ロール51は対向板60の先端部(フィルムベルト20の回転方向上流側の端部)と対向するフィルムベルト20の外周面の位置に配置し、もう1つの押圧ロール52は1本めの押圧ロール51の設置位置から回転方向下流側に80mmだけ離れた位置に配置している。また、押圧ロール51、52はいずれも、押し付け荷重が3kgf(約30N)となるようにフィルムベルト20にむけて圧接されている。
対向板60は、加熱ロールとしての支持ロール31とテンションロールとしての支持ロール32との間に張架されたフィルムベルト20の内周面に接触するとともにそのベルト部分を少し上方側に持ち上げるような状態で設けられるものである。この対向板60は、前記加熱板40とほぼ同様に、幅400mm、全長525mm、厚さ3mmの寸法からなるアルミニウム製の板を本体とし、そのアルミニウム板のフィルムベルト20との接触面20aを曲率半径が900mmの曲面に成形しているとともに、この接触面20aの反対側になる裏面にアルミニウム板を所定の温度まで加熱するためのラバーヒータ61を取り付けている。また、対向板60は、その先端部が支持ロール31の最上部からベルト回転方向下流側に5mmだけ離れた地点に位置する状態で設置されている。
そして、この除湿装置10は、第1の押圧ロール51のフィルムベルト20とのニップ部を記録用紙Pの接触開始位置:Q、フィルムベルト20の対向板60の後端部から回転方向下流側に5mmだけ離れた位置を記録用紙Pのフィルムベルト20からの剥離位置Hに設定しているとともに、その接触開始点:Qから剥離位置:Hまでのフィルムベルト20部分を接触区間:Eとしている。また、その除湿に際しては、フィルムベルト20を所定の速度で矢印A方向に回転させるとともに、加熱板40と加熱ロール31とによりフィルムベルト20を接触区間Eに達する前に所定の温度まで加熱するように設定されている。
この本実施例の除湿装置10では、まず記録用紙Pが、図5に一点鎖線で示すように接触開始位置:Qの押圧ロール51とフィルムベルト20との間のニップ部に導入される。これにより、記録用紙Pは、所定の温度まで既に加熱されて回転するフィルムベルト20に圧接されて加熱される。次いで、記録用紙Pは、フィルムベルト20の外周面に接した状態で加熱され、剥離位置:Hでフィルムベルト20から剥離される。この結果、記録用紙Pは、フィルムベルト20によって十分にかつ効率よく加熱され、もってその含水率が下げられて除湿される。
以下、この除湿装置10を用いて次のような各試験を行った。
<試験1>
試験1は、除湿装置10におけるフィルムベルト20の接触区間Eにおける表面温度の状況について調べた。このときの試験条件については、加熱板40と加熱ロール31の加熱温度をいずれも170℃とし、対向板60の加熱温度を170とした。また、フィルムベルト20を350mm/secの速度で回転させた。フィルムベルトの表面温度の測定は、フィルムベルト20の接触開始位置:Qから剥離位置:Hまでの接触区間:Eにおける各接触時間(接触開始位置を0秒としたときの移動時間)に相当する位置でのベルト表面の温度を赤外放射温度計で計測した。この試験結果を図7に示す。
また、試験1では、除湿装置に実際に記録用紙を導入し、フィルムベルト20に接触している間における記録用紙の表面温度の状況について調べた。試験条件等については試験1と同じ内容に設定した。記録用紙Pとしては、A4版サイズの両面コート紙(王子製紙社製:OKトップコート紙、坪量127.9g/m2)を使用した。これを横送り(長辺部を送り先端部として送る形態)で接触開始位置Qに導入した。また、記録用紙の表面温度の測定は、赤外放射温度計を用いてフィルムベルト20の表面温度測定の場合と同様にして測定作業を行った。さらに比較例として、上記除湿装置において、前記ゴム表面層20bを形成したフィルムベルト20に代えて、厚さ50μmのポリイミド(日東電工社製)のみからなる基材を同じベルトサイズからなる無端状ベルトとしたベルトを用いた点のみを異ならせた除湿装置を用意し、同様の試験を行った。このときの双方の試験結果を図7に併せて示す。ちなみに、この記録用紙Pの除湿に必要な加熱温度(所定の温度)は加熱時間等によっても異なるが、たとえば110℃程度である。
図7に示す結果から明らかなように、この実施例に係る除湿装置では、フィルムベルト20が接触開始位置:Qに達する前に加熱板40および加熱ロール31によって予め加熱されているため、その接触開始位置に到達した時点において既に設定加熱温度(170℃)に保たれている。これにより、その加熱されたフィルムベルト20に接する記録用紙Pを直ちに所定の温度で加熱し始めることができることがわかる。なお、比較例の除湿装置におけるベルトの表面温度についても温度測定したところ、ほぼ同じ170℃に加熱されていることが確認されている。
また、この除湿装置では、対向板60も加熱板40等と同じ温度で加熱されているため、フィルムベルト20が対向板60に接触して通過することによっても、その表面温度が低下せずにほぼ同じ温度に保たれるようになる。これにより、記録用紙Pが接触区間E(厳密には対向板60が存在する領域)では常に所定の温度で安定して加熱されるようになる。ちなみに、この除湿装置において対向板60に加熱手段を設置しない(取り外した)場合には、フィルムベルト20の表面温度は、接触開始位置:Qを通過して非加熱状態の対向板60に接触して通過するにつれてベルト側の熱が対向板60に奪われて次第にある程度の温度(120〜125℃程度)まで低下してしまうことが確認されている。
そして、図7に示す結果から明らかなように、実施例の除湿装置10では用紙を最大で約140℃の表面温度まで加熱することが可能であり、しかも、用紙の表面温度を120℃に加熱するまでの所要時間が約0.25秒(sec)という短い時間で済むことが確認された。これに対し、比較例の除湿装置10では用紙を最大で約120℃まで加熱することが限界であり、しかも、用紙の表面温度を120℃に加熱するまでの所要時間が約0.5秒というほぼ倍の時間を要することが確認された。これにより、実施例の除湿装置では記録用紙を効率よく加熱できることがわかる。
<試験2>
試験2は、上記実施例の除湿装置および比較例の除湿装置により実際に記録用紙の除湿をそれぞれ行い、そのときの除湿性能について調べた。除湿性能としては、初期の含水率が4.5%の上記用紙(両面コート紙)をその含水率が3.0%までに下げるために要する時間を測定することで調べた。含水率は、記録用紙をフィルムベルト20の接触開始位置Qに導入した後、その接触開始時から0.5秒、0.7秒、1.0秒および1.5秒の加熱時間(接触時間)の相当するフィルムベルト20の外周面上に設置した用紙剥離爪により、フィルムベルト20に接して搬送される記録用紙を強制的にそれぞれ剥離し、その各地点で剥離した記録用紙ごとに紙水分計(インフラレッド・エンジニアリング社製:モイストレックス)を用いて測定した。
この結果、含水率が3.0%になるまで除湿するのに、比較例の除湿装置では加熱板40等の加熱温度を前記したとおり170℃に設定した場合において1.0秒の時間を要したのに対し、実施例の除湿装置では当該加熱温度を170℃に設定した場合に0.7秒の時間を要し、当該加熱温度を150℃に設置した場合に1.0秒の時間を要したことが確認された。これにより、実施例の除湿装置では、短時間で除湿することができることがわかる。ちなみに、この除湿を行った後の記録用紙については、でこぼこ状の変形がほとんど発生していなかった。
<試験3>
試験3は、実施例の除湿装置におけるフィルムベルト20と比較例の除湿装置におけるベルトとの記録用紙に対する密着力について調べた。密着力は、上記記録用紙を幅2cmの短冊状に切断したものを試験片として用意し、その試験片を各ベルトの外周面に同じ加圧力(3kgf/cm2=0.29MPa)で圧着した後、その端部をベルトから上方に引き剥がすときに要する力をロードセルにて測定することで調べた。
この結果、比較例におけるポリイミドのみからなるベルトの密着力はほぼ0gであったのに対し、実施例におけるシリコーンゴム層を形成したベルトの密着力は約10gであることが確認された。これにより、実施例のようにシリコーンゴム層を形成したベルトを使用した除湿装置では、そのベルトの記録用紙に対する密着力が向上しており、このため、記録用紙のベルトからの浮きが発生しにくく、試験1の結果にも示されるように記録用紙がベルトによって十分に加熱されることが推認できる。
実施形態に係る除湿装置の概要を示す要部説明図である。 図1の除湿装置を上方側から見たときの状態を示す概略平面図である。 加熱用ベルトの概略断面図である。 図1の除湿装置に対向部材を設置した場合の状態を示す要部説明図である。 実施例に係る除湿装置を示す要部説明図である。 図5の除湿装置を上方側から見たときの状態を示す概略平面図である。 試験1の結果を示すグラフである。
符号の説明
1,10…除湿装置、2…加熱用ベルト、2a,20a…フィルム部材、2B,20B…ゴム材料からなる表面層、3A,3B,3C…支持ロール、4…加熱手段、5…押圧部材、20…フィルムベルト(加熱用ベルト)、31…加熱ロール(加熱手段)を兼ねた支持ロール、32,33…支持ロール、40…加熱板(加熱手段)、51,52…押圧ロール(押圧部材)、P…記録用紙、E…接触区間(所定区間)。

Claims (2)

  1. 複数の支持ロールに張架されて回転する無端状の加熱用ベルトと、
    この加熱用ベルトを加熱する加熱手段と、
    この加熱手段で加熱される前記加熱用ベルトの所定区間の外周面に接触させた状態で通過させる記録用紙をそのベルト外周面に押し付ける押圧部材とを備え、
    前記加熱用ベルトの少なくとも記録用紙が接触する外周面部分をゴム材料で形成してなることを特徴とする記録用紙の除湿装置。
  2. 前記加熱用ベルトは、無端ベルト状のフィルム部材の外周面に前記ゴム材料からなる表面層を形成したものである請求項1に記載の除湿装置。
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