JP4872225B2 - 画像定着装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式を利用した画像形成装置において未定着トナー像を加熱定着する画像定着装置に関し、特に被記録材を高速で熱定着することが可能なベルトニップ方式の画像定着装置に関する。
従来の定着装置としては、図11に模式断面図で示されように、一対の加熱されたロール間の圧接領域に未定着トナー像を有する被記録材を通過させることにより定着を行ういわゆる加熱加圧ロール型定着装置が多用されている(以下これをロールニップ方式と言う)。図11において、101は定着ロール、102は加圧ロールである。定着ロール101は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属の中空ロール103の表面に耐熱性と離型性を有するテフロン(登録商標)の被覆層104が形成されたものであり、中空ロール103の内部には加熱源としてハロゲンランプ105が配置されている。
定着ロール101表面に設けた温度センサ106の信号により、図示しない温度制御回路においてハロゲンランプ105をオン・オフ制御して、定着ロール101表面がある一定温度になるように調整されている。また、定着時に記録紙(被記録材)107表面に形成された未定着トナー108の一部が定着ロール101に転移する(以下、かかる現象を「オフセット」と言う。)のを防止するために、一定量のシリコーンオイルを定着ロール101表面に供給するオイル供給装置109が設けられている。
一方、加圧ロール102は、芯金ロール110にシリコーンゴム等の比較的厚い耐熱弾性体111が被覆されたものである。この耐熱弾性体111の弾性変形によって定着ロール101、加圧ロール102の圧接部が形成される(以下、これを「ニップ」と言う。)。このニップ領域に未定着トナー像を通過させ、圧力と熱エネルギーの作用により定着するものである。ニップを通過した記録紙107は、トナーの粘着性のため定着ロール101に巻きついてくるので、それを剥がすための剥離爪112が設けられている。
しかし、前記定着方式を用いてより高速に定着しようとした場合、トナーと紙に低速の場合と同じだけの熱エネルギーと圧力を与えなければならない。そのためにはニップ幅を定着速度に比例して広くする必要がある。ニップ幅を広くするのに、両ロール間の荷重を大きくする方法、弾性体の厚さを厚くする方法と、ロール径を大きくする方法等がある。
荷重を大きくする方法や弾性体の厚さを大きくする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になったり、定着むらや紙しわが発生するため、荷重と弾性体厚みには自ずと限界がある。また、ロール径を大きくする方法は、前記のような品質上の問題点はないが、装置が大型になり、またロールを室温から定着可能温度まで上昇させるまでの時間(以下、「ウォームアップタイム」と言う。)が長くなってしまうという問題点を有する。
これらの問題点を解決し、より高速化に対応できるようにするため、この発明の出願人が提案し、特許文献1に開示された画像定着装置の模式断面図を図12に示す。図12において、符号121は回転可能に配置された加熱定着ロールを示す。この加熱定着ロール121は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属で形成された円筒状のコア123を有し、その表面に弾性体からなる被覆層124を形成したものである。被覆層124は、コア123の表面に直接被覆されたHTV(High Temperature Vulcanization)シリコーンゴムからなる下地層140と、その外側に被覆されたRTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴムからなるトップコート層141とを積層したものである。
コア123の内部には、加熱源としてハロゲンランプ125が配置されている。また、加熱定着ロール121の表面には温度センサ126が配置され、この表面の温度を計測する。そして、温度センサ126の計測信号により、図示しない温度コントローラが作動されハロゲンランプ125の点滅が制御されて、加熱定着ロール121の表面が所定の温度に調節されるようになっている。また、加熱定着ロール121の表面には、オイル供給装置129によって離型剤であるシリコーンオイルが供給されており、これにより記録シート127に未定着のトナー128の像を定着する際に、トナー128の一部が加熱定着ロール121にオフセットするのを防止するようになっている。
さらにこの定着装置においては、圧力ロール145が、圧縮コイルスプリング146によって加熱定着ロール121に対して押圧されている。また、加熱定着ロール121に向けて圧力補助ロール149が押圧されている。そして、圧力ロール145および圧力補助ロール149の周囲には、ロール142,143,144が配置されており、ロール142,143,144、圧力ロール145、圧力補助ロール149にはエンドレスベルト135が巻回されている。
圧力ロール145および圧力補助ロール149が加熱定着ロール121に対して圧接させられていることによって、エンドレスベルト135は加熱定着ロール121に接触して、加熱定着ロール121とエンドレスベルト135との間が、記録シート127を通過させるためのニップ(ベルトニップ)となる。そして加熱定着ロール121およびエンドレスベルト135が、矢印に示される方向に回転すると共に、回転する加熱定着ロール121とエンドレスベルト135との間のニップに記録シート127が搬送され、この記録シート127がニップを通過する際に、ニップに作用する圧力とハロゲンランプ125から加熱定着ロール121を通じて与えられる熱により未定着のトナー128が記録シート127表面に定着されるようになっている。
このようなベルトニップ方式の構成を採用することにより、記録シート127がニップの幅(図12の例では圧力ロール145と圧力補助ロール149とで押さえられているエンドレスベルト135の長さ)に対応する時間加熱されるようになるので、加熱定着ロールと圧力ロールのみを圧接させてエンドレスベルト115を使用しない、通常のロールニップ方式の場合に比べると、記録シート127の搬送速度を大きくしても十分な定着時間を確保することが可能になるという利点がある。また、同じ搬送速度であれば、ベルトニップ方式の方が、エンドレスベルト135を使用しない方式よりも加熱時間が長くなり、トナーにより多量の熱を与えることができるため、ベルトニップ方式は特に多層のトナーを所望の色に発色させる高速対応のカラー複写機の定着に適している。
また、この画像定着装置においては、加熱定着ロール121の表面に弾性体であるシリコーンゴムからなる被覆層124が形成されており、この被覆層124が圧力ロール145の圧接力を受けて当該圧接領域において局所的に歪むようになっている。すなわち、被覆層124の表面速度が局所的に大きくなるため、圧力ロール145の圧接領域においてシートと被覆層124との間に微小なズレが生じる。また、高温状態のトナー128は被覆層124へ付着しようとする傾向があるが、このときのズレによってトナー128と被覆層124との界面に微小なスリップが生じ、その付着が防止されていると考えられる。
これによって、記録シート127は、トナー128と加熱定着ロール121との付着力に抗して加熱定着ロール121から剥離される。溶融されたトナー128と加熱定着ロール121との表面の付着力は両者の界面化学的な材料物性値にも左右されるので、記録シート127が剥離する挙動はトナーの種類や被覆層124の材質に応じて異なるが、この画像定着装置によると、剥離爪などの剥離手段を使用しなくても、記録シート127を加熱定着ロール121から剥離することができる(以下、これを「セルフストリッピング」と言う。)。このため、腰が弱くて剥離しにくい薄紙や、多量のトナーが付着した用紙でも、セルフストリッピングさせることができる。
その他、ベルトニップ方式を採用した画像定着装置については、特許文献2〜特許文献12に記載されたものがある。なお、従来のベルトニップ方式の定着装置を「BNF」と省略して呼称する。
しかしながら、近年の印刷機に匹敵するような高速化要求に応えていくためには、ベルトニップ方式よりさらにニップ幅を広くする技術が必要であり、ニップ幅を広くするのに、大幅の効果が望めない両ロール間の荷重を大きくする方法や弾性体の厚さを厚くする方法、大型化するロール径を大きくする方法以外で実現することが望まれる。
また、ワイドニップ化の問題には水蒸気問題がある。ここで言う水蒸気問題を図12に示される画像定着装置を用いて説明する。
画像定着装置の加熱の際には、暖まった記録シート127の繊維の間隙やトナー128の粒子同士の間隙から空気が熱膨張したり水蒸気が蒸発したりする。このような空気や水蒸気は、記録シート127がニップ内で加熱されることにより発生し、記録シート127がニップを通過するまでニップ内、具体的には記録シート127と加熱定着ロール121またはエンドレスベルト135との間に気泡となって介在し、記録シート127がニップを通過し終えると同時に外部に排出される。
図12に示される定着装置のニップ領域における圧力分布を、図13にグラフにて示す。図13に示されるグラフ中、圧力P0(Tn/T0−1)とは、ニップ領域において空気や水蒸気による体積膨張に打つ勝つために必要な圧力のことを指し、本発明において、当該圧力のことを「規定圧力」と称する。
図13に示されるように、圧力ロール125による押圧部と圧力補助ロール149による押圧部との間に、圧接力(圧力P)の小さい領域が広く存在しており、この領域に気泡が介在すると、加熱定着ロール121とエンドレスベルト135との間にギャップが生じることがある。このようなギャップが生じると、ニップ内にある記録シート127表面のトナー128の全てがまだ定着していない状態では、未定着のトナー128が、気泡が動き回ることによって移動してしまうことがある。このため、画像のニジミやズレ、乱れなどが発生するという問題点がある。
これを解決する手段として、ベルトを介して幅広のパッドとロールとでニップを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献12参照)。しかし、かかる技術を具備するBNFを更なる高速領域で使いこなそうとすると、画質の欠陥が生じるという新たな課題が明らかになった。すなわち、高速化により用紙などの未定着トナー像を形成した記録シートの単位長さあたり単位時間内に与える熱量が多くなり、パッドとロールと間の領域(ニップ)での押圧力の落ち込みの影響がよりセンシティブになり、用紙やトナー内の空気や水蒸気がベルト張力に打ち勝ちことができず、画質欠陥の原因を生み出すことがあることがわかった。
すなわち、ベルトの張力だけでニップを形成する領域があると、このような画質欠陥が生じる可能性が高く、これはベルトの張力だけでニップを形成する領域を少なくするだけでは解決することができない。
特開平5−150679号公報 特開昭62−14675号公報 特開平2−222982号公報 特開平2−308287号公報 特開平4−50885号公報 特開平4−115279号公報 実開平2−30961号公報 実開平3−86374号公報 実開平3−92661号公報 実開平4−50864号公報 特開平9−34291号公報 特開平11−2979号公報
したがって、本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、その目的は、従来のベルトニップ方式のさらなる高速化課題の解決とともに、広くニップを形成した方式においても、空気の膨張や水蒸気の発生によるトナー像の乱れを防止しながら、トナー像を定着させることができる画像定着装置を提供することである。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 回転可能に支持された定着用回転体と、
該定着用回転体を所定の温度に加熱する加熱手段と、
前記定着用回転体の外周面に沿って外周面が接触し、前記定着用回転体に従動ないし連動して回転すると共に、未定着トナー像を担持した記録シートが挿通されるニップを前記定着用回転体との間に形成するエンドレスベルトと、
該エンドレスベルトの内側かつ前記ニップ位置に配置され、当該エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面を面で押圧するパッド状の圧力付与部材と、
前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力付与部材のエンドレスベルト回転方向上流および/または下流かつ前記ニップ位置に配置され、当該エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面を押圧する押圧ロールと、
を含み、前記圧力付与部材の前記押圧ロール側の端部に、前記エンドレスベルトと前記押圧ロールとの空隙を埋める形状の楔部を有し、該楔部が前記エンドレスベルトおよび前記押圧ロールの双方と接触して摺擦されると共に、前記押圧ロールによる押圧力が前記楔部および前記エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面に作用することで、前記楔部による押圧力が生じ、前記定着用回転体の表面に下記を満たす規定圧力以上の押圧力をニップ領域の全域にわたって与えるように構成されてなることを特徴とする画像定着装置である。
・規定圧力=P o (T n /T o −1)
上記式中、T n は定着用回転体の表面温度、T o は定着用回転体から十分離れた位置における空気の温度、P o は大気圧をそれぞれ表す。
> 前記圧力付与部材の少なくとも前記楔部が弾性体からなり、前記押圧ロールによる押圧力で当該楔部が弾性変形する反力によって、前記楔部による押圧力が生じることを特徴とする<>に記載の画像定着装置である。
> 前記楔部の前記押圧ロールとの摺擦面が、弾性変形時に、前記押圧ロールの外周面に沿って略一致する形状に湾曲することを特徴とする<>に記載の画像定着装置である。
> 前記楔部の前記エンドレスベルトないし前記押圧ロールとの摺擦面が、自己潤滑性のある材料で形成されていることを特徴とする<1>〜<>のいずれかに記載の画像定着装置である。
> 前記定着用回転体が、無端ベルト状であることを特徴とする<1>〜<>のいずれかに記載の画像定着装置である。
<6> 前記無端ベルト状の定着用回転体が、少なくとも加熱ロールと押圧補助ロールとに張架されており、
前記圧力付与部材が、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して前記加熱ロールを押圧する位置に配され、
前記圧力付与部材のエンドレスベルト回転方向上下流双方、かつ、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して前記加熱ロールを押圧する位置にそれぞれ前記押圧ロールが配され、
前記押圧補助ロールが、前記押圧ロールのうちエンドレスベルト回転方向下流に位置する下流側押圧ロールに前記定着用回転体を巻きつけつつ、当該下流側押圧ロール表面を当該定着用回転体および前記エンドレスベルトを介して押圧するように配され、
前記定着用回転体の内側で、前記加熱ロールと前記押圧補助ロールとの間に、前記定着用回転体および前記エンドレスベルトを介して前記下流側押圧ロールを面で押圧するパッド状の第2圧力付与部材と、
を含み、前記押圧ロールのうちエンドレスベルト回転方向上流に位置する上流側押圧ロールと前記加熱ロールとが対向する位置から、前記下流側押圧ロールと前記押圧補助ロールとが対向する位置までの間に、未定着トナー像を担持した記録シートが挿通されるニップが形成されると共に、
前記第2圧力付与部材の前記加熱ロール側および前記押圧補助ロール側の端部に、前記定着用回転体と前記加熱ロールまたは前記押圧補助ロールとの空隙を埋める形状の楔部を有し、該楔部が前記定着用回転体、および前記加熱ロールまたは前記押圧補助ロールと接触して摺擦されると共に、前記下流側押圧ロールによる押圧力が前記楔部、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して、前記加熱ロールおよび前記押圧補助ロールの表面に作用することで、前記楔部による押圧力が生じ、前記加熱ロールおよび前記押圧補助ロールの表面に、前記規定圧力以上の押圧力をニップ領域の全域にわたって与えるように構成されてなることを特徴とする<5>に記載の画像定着装置である。
> 前記下流側押圧ロールが、その表面を加熱するための熱源を備えることを特徴とする<>に記載の画像定着装置である。
本発明の画像定着装置によれば、押圧ロールやパッド状の圧力付与部材等の押圧部材を複数配設することによって形成される幅広のニップについて、これに作用する押圧力を規定圧力以上となるように構成したので、ニップ領域におけるトナー層からの空気や水蒸気の生成による気体の体積膨張を抑えることが可能となり、これらの影響に起因するトナー像の乱れを防止しながら、トナー像を定着させることができる。
したがって、高速化と高画質とを高い次元で両立させることができ、特に高速化に対応可能なカラー用複写機の定着装置に採用することにより、記録シートの種類に関係なく最適な画像定着を行うことができる。
本発明を好ましい実施形態を挙げて、図面に基づき詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の例示的一態様である第1の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。図1において、符号1は矢印A方向に回転可能に配置された加熱定着ロール(定着用回転体)を示し、内部には、加熱手段としてハロゲンランプ11が配置されている。加熱定着ロール1と当接してニップを形成するエンドレスベルト2は、張架ロール3,4および押圧ロール5に張架されており、加熱定着ロール1の回転に応じて矢印B方向に従動回転するようになっている。また、押圧ロール5は、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱定着ロール1に対して押圧されている。
さらに、エンドレスベルト2の内側であって、加熱定着ロール1とのニップ領域には、エンドレスベルト2を介して加熱定着ロール1を押圧する固定パッド(圧力付与部材)9が配されている。したがって、未定着のトナー8が形成された記録シート7が通過するニップの幅は、エンドレスベルト2における固定パッド9により押圧され始めている部位から、押圧ロール5で押圧されている部位までの広い領域となり、幅広のニップが形成されている。
前工程の不図示の転写工程で未定着のトナー8が形成された記録シート7は、矢印E方向に搬送されると、前記ニップに挿通されて、表面のトナー8が溶融し定着され、押圧ロール5の押圧力によるセルフストリッピング性と爪状の剥離部材6とにより加熱定着ロール1表面から引き剥がされ、トナー画像が定着された状態で排紙される。
本実施形態では、固定パッド9が本発明に特徴的な構成を有している。すなわち、固定パッド9は、従来からのベルトニップ方式の画像定着装置において固定パッドとして機能する弾性体層12および摩擦層13とからなる押圧パッド(圧力付与固定部材)14の他、エンドレスベルト2と押圧ロール5との空隙を埋める形状の楔部を構成する押圧楔部材10が、ホルダ15に固定されている。この押圧楔部材10は、加熱定着ロール1と押圧ロールとがエンドレスベルト2を介して当接しているニップにおける、エンドレスベルト2と押圧ロール5との隙間に楔状に嵌合し、押圧ロール5に接触し摺擦されながら、エンドレスベルト2を加熱定着ロール1に押し付ける機能を有している。このようにして、押圧楔部材10の先端部の剛性の弱さを押圧ロール5で支えることで、押圧パッド14と押圧ロール5との間の隙間を規定圧力以上に押圧可能となる。
図2に、図1における押圧楔部材10周辺の模式拡大図を示す。押圧ロール5は、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱定着ロール1に向けて押圧力Cの力で押圧されている。この押圧力Cは、主として加熱定着ロール1に対して直接(勿論エンドレスベルト2を介して)押圧力C1の力で作用するが、押圧楔部材10と接触している摺動面においても押圧力C2の力で押圧楔部材10の摺擦面に作用する。そして、当該押圧力C2の力は押圧楔部材10を介して加熱定着ロール1表面を押圧力Dの力で押圧する。
つまり、加熱定着ロール1の回転方向(矢印A方向)における押圧パッド14下流の、エンドレスベルト2と押圧ロール5との空隙を埋めると共に、その部分での押圧力が小さくなるのを、押圧楔部材10による押圧力Dの力の押圧力が作用し、ニップ領域全域で適切な押圧力が付与された状態となる。
また、押圧楔部材10の押圧ロール5との摺擦部の面形状は、押圧ロール5の曲率と略一致させ、エンドレスベルト2との摺擦部の面形状は、加熱定着ロール1の曲率と略一致させ、押圧ロール5との接触面における押圧ロール5からの支持力により、エンドレスベルト2を押圧する力が大きくなり、空気や水蒸気に打ち勝つ圧力を作用させることが可能となっている。
図3に、本実施形態の画像定着装置のニップ領域における圧力分布をグラフにて示す。また、比較のため、本実施形態の画像定着装置から押圧楔部材10を除した、従来技術の画像定着装置の模式断面図を図4に、さらにそのニップ領域における圧力分布を示すグラフを図5に、それぞれ示す。図4の画像定着装置は、本実施形態における固定パッド9に代えて、押圧楔部材10を除した固定パッド9’を用いていること以外は本実施形態の画像定着装置と同一であるため、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図5のグラフを見てもわかるように、ニップ領域内に、図4の画像定着装置では規定圧力Po(Tn/To−1)に達しない箇所があるのに対し、本実施形態の画像定着装置では、図3のグラフからわかるように、その箇所の押圧力を押圧楔部材10の作用により効果的に増大させ、ニップ領域の全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上を実現している。
ここで、押圧力Dの力の適切な大きさ、すなわち既述の規定圧力Po(Tn/To−1)について、検討する。
本発明では、エンドレスベルト2と加熱定着ロール1との間のギャップの発生を防止するためには、固定パッド(圧力付与部材)9によってエンドレスベルト2を加熱定着ロール1に押え付け、ニップ内の圧力Pnを上昇させて、空気ないし水蒸気の体積の増大を抑止している。この圧力Pnは、具体的には式(1)に示すように設定することにより実現できると考えられる。
n≧Po(Tn/To−1) ・・・(1)
ここで、Tnは加熱定着ロール1の表面温度、Toは加熱定着ロール1から十分離れた位置における空気の温度(環境温度とする)、Poは大気圧である。
式(1)は、次のように導かれる。
まず、理想気体の状態方程式(2)は次の通りである。
PV=nRT ・・・(2)
これより以下の式(3)(4)が導かれる。
(Po+Pn)Vn=nRTn ・・・(3)
oo=nRTo ・・・(4)
ここで、Vnはニップ内の空気の体積、Voはニップ外の空気の体積である。ベルトニップ内の空気の膨張を抑制するには、Vn≦Voでなければならない。
このことから、下記式(5)が導かれる。
n/(Po+Pn)≦To/Po ・・・(5)
上記式(5)を変形することで、既述の式(1)が導かれる。
なお、Tnについては、便宜上「加熱定着ロール1の表面温度」と規定しているが、上記式(1)が理想的に成り立つのは、対象となる体積膨張を来たす気体ごとに、それぞれその存在する場所の温度をTnとした場合である。それぞれの気体の存在箇所を考慮して規定圧力を計算するのは実際的ではなく、また近似的に求めるのであれば、代表される1点に絞って規定するのが便宜なので、上記規定としている。
ニップにおける加熱定着ロール1の表面温度と、それぞれの気体の存在箇所との間には、熱伝導のタイムラグ等の理由から開きがある。そのため、加熱定着ロール1の表面温度をそのまま代入するのではなく、適宜補正した値としてから代入することが好ましい。
本実施形態において押圧楔部材10としては、金属や合金であってもよいし、樹脂であってもよい。金属を選択するのであれば、ばね鋼やステンレス鋼などが好ましく、樹脂を選択するのであれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの自己潤滑性の高い摩擦係数の小さい樹脂が望ましい。これら押圧楔部材10の好ましい材質については、本実施形態に限らず、本発明の押圧楔部材の材質全般について同様である。
また、本実施形態において押圧楔部材10は、その楔部の先端部を境界として、エンドレスベルト2側の摺擦面と、押圧ロール5側の摺擦面とが存在するので、それぞれの摺擦面で異なる部材とした複合部材であってもよい。エンドレスベルト2側の摺擦面は、エンドレスベルト2を介して、ニップに挿通される記録シート7表面の未定着トナー画像(トナー8)を押圧する面であるので、弾性に富んだ部材でトナー層を包み込むようであることが望ましく、樹脂の基材表面にゴムなどの弾性体層を設けて、さらに低摩擦係数の保護シート(特許文献12中の図4における符号45に相当する部材)を被せてもよい。
以上のように、本実施形態の画像定着装置によれば、高速定着に要求される幅広のニップを確保しつつ、当該ニップ領域の全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上の押圧力が付与されるので、空気の膨張や水蒸気の発生による記録シートの浮きを効果的に防止することができ、トナー像の乱れを生じさせず、良好な画質の定着画像を形成することができる。
なお、特許文献12中の図6〜8に示されるように、加圧パッド(圧力付与部材)の加圧ロール(押圧ロール)側端部に突出部を設ける技術が開示されている。しかし、かかる突起部は先端に行くほど剛性が弱くなるため、形状保持部材などで突出部の支持をしても十分にベルトを押し付けることは困難であり、加熱定着ロール表面に十分な圧力を作用させることができない。
それに比して、本実施形態の画像定着装置では、上記の通り、押圧楔部材10の先端部(楔部)が、エンドレスベルト2を介した加熱定着ロール1と押圧ロール5とが作るニップの始点近傍に向かって楔状に成形されており、押圧ロール5に摺擦されながら支持されることにより、押圧ロール5とエンドレスベルト2との隙間をほとんど埋め尽くしている。そして、剛性の弱くなりがちな押圧楔部材10の先端部においても、両ロールの曲率に沿って接触支持されているので、この部分においてもエンドレスベルト2を加熱定着ロール1表面にしっかりと押圧することが可能となる。
すなわち、単にエンドレスベルトと押圧ロールとの空隙を埋める形状の楔部に相当する部位が存在するだけでは十分ではなく、当該楔部によりニップ領域の全域にわたって既述の規定圧力Po(Tn/To−1)以上の押圧力を作用させることが、本発明において肝要であり、本実施形態は、それを実現するための構成の一例であると言うことができる。
勿論、上記楔部によって、ニップ領域の全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上の押圧力を作用させることが、可能であるならば、本実施形態の構成によらずとも本発明の範疇に含まれえると共に、本発明の作用・効果も問題なく達成される。ただし、押圧ロール5の押圧力を楔部が中継して定着用回転体表面に作用させる構成が、最も簡素、低コストであるため好ましい。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の他の例示的一態様である第2の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。本実施形態の画像定着装置は、第1の実施形態の画像定着装置とは異なり、圧力付与部材の前後にそれぞれ押圧ロールが配された構成となっている。
定着用回転体としての加熱定着ロール21の内部には、加熱手段としてのハロゲンランプ31が配置され、矢印F方向に回転する。加熱定着ロール21表面に当接してニップを形成するエンドレスベルト22は、回転可能な2つの押圧ロール(第1の押圧ロール24および第2の押圧ロール25)およびテンションロール23で張架されており、加熱定着ロール21の回転に応じて矢印G方向に従動回転するようになっている。また、第1の押圧ロール24および第2の押圧ロール25は、圧縮コイルスプリング37および38によってそれぞれ、加熱定着ロール21に対して押圧されている。
さらに、エンドレスベルト22の内側であって、第1の押圧ロール24および第2の押圧ロール25の間には、エンドレスベルト22を介して加熱定着ロール21を押圧する固定パッド(圧力付与部材)29が配されている。固定パッド29は、圧縮コイルスプリング36によって加熱定着ロール21に対して押圧されている。
本実施形態では、固定パッド29が本発明に特徴的な構成を有しており、しかも第1の実施形態の構成とも異なっている。すなわち、第1の実施形態と同様、固定パッド29は、固定パッドとして機能する押圧パッド(圧力付与固定部材)34の他、エンドレスベルト22と第1,第2の押圧ロール24,25とのそれぞれの空隙を埋める形状の楔部を構成する押圧楔部材30a,30bが、ホルダ35に固定されている。つまり、ニップの入口側の第1の押圧ロール24については、そのプロセス方向下流に、ニップの出口側の第2の押圧ロール25については、そのプロセス方向上流に、それぞれ空隙が生ずるが、これを埋めるような形で2つの押圧楔部材30a,30bが配されている。その押圧楔部材30a,30bがそれぞれ、第1の実施形態において図2を用いて説明した作用と同様にして、第1,第2の押圧ロール24,25の押圧力を加熱定着ロール21表面に伝えるように構成されている。
すなわち、押圧楔部材30a,30bは、その先端の一面が第1,第2の押圧ロール24,25と接触して摺擦され、その押圧力により弾性変形すると共に、その裏面がエンドレスベルト22に接触して摺擦される。エンドレスベルト22と接触する部位は、エンドレスベルト22の背後に加熱定着ロール21があり、言い換えれば、押圧楔部材30a,30bは、エンドレスベルト22を介して加熱定着ロール21表面を押圧している。
押圧楔部材30a,30bの第1,第2の押圧ロール24,25およびエンドレスベルト22との接触面形状は、それぞれ第1,第2の押圧ロール24,25表面の曲率、および加熱定着ロール21表面の曲率に略一致するように成形されている。また、押圧楔部材30a,30bは、第1,第2の押圧ロール24,25の押圧力を連続的に受け渡すために、第1,第2の押圧ロール24,25と加熱定着ロール21表面との間にエンドレスベルト22を介して形成されるニップに干渉しないように構成されている。そして、押圧楔部材30a,30bの弾性変形による反力と、押圧楔部材30a,30bにおける第1,第2の押圧ロール24,25の摺動面に支持された反作用力で、エンドレスベルト22を効果的に押圧する。
その他、押圧楔部材30a,30bの構成に基づく作用・効果は、第1の実施形態における押圧楔部材10の構成で説明した通りである。
図8に、本実施形態の画像定着装置のニップ領域における圧力分布をグラフにて示す。また、当該図8には、比較のため、本実施形態の画像定着装置から押圧楔部材30a,30bを除した構成の画像定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフも書き加えている(比較例)。当該比較例の画像定着装置の模式断面図を図7に示す。図7の画像定着装置は、本実施形態における固定パッド29に代えて、押圧楔部材30a,30bを除した固定パッド29’を用いていること以外は本実施形態の画像定着装置と同一であるため、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図8のグラフを見てもわかるように、ニップ領域内に、比較例の画像定着装置では、第1,第2の押圧ロール24,25と押圧パッド34との間に規定圧力Po(Tn/To−1)に達しない箇所があるのに対し、本実施形態の画像定着装置では、当該箇所の押圧力を押圧楔部材30a,30bの作用により効果的に増大させ、ニップ領域の全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上を実現している。
以上のように、本実施形態の画像定着装置によれば、第1,第2の押圧ロール24,25により形成されるそれぞれのニップと、押圧パッド34により形成されるニップとの間で、押圧楔部材30a,30bの作用により押圧力を連続的に受け渡すことが可能となる。押圧楔部材30a,30bにおける第1,第2の押圧ロール24,25との接触摺擦部は、弾性変形で接触する先端部付近の一部だけであるため、摺擦による摩擦抵抗はそれほど大きくない。また、押圧楔部材30a,30bにおける摺擦面の材料として、自己潤滑性材料を用いれば、摺擦による摩擦抵抗をより低減させることができる。さらに、エンドレスベルト22の内周にオイル等の潤滑剤を介在させておけば、摺擦による摩擦抵抗が問題を生じさせるレベルには到底及ばないものとなる。
以上の如き本実施形態の画像定着装置において、未定着のトナー28が形成された記録シート27が通過するニップの幅は、エンドレスベルト22における第1の押圧ロール24により押圧され始めている部位から、第2の押圧ロール25で押圧されている部位までの広い領域となり、幅広のニップが形成されている。そして、本実施形態の画像定着装置は、その幅広のニップ領域全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上の押圧力で加熱定着ロール21表面を押圧するようになっている。そのため、空気の膨張や水蒸気の発生による記録シートの浮きを効果的に防止することができ、トナー像の乱れを生じさせず、良好な画質の定着画像を形成することができる。
(本発明の効果確認試験)
本実施形態の画像定着装置および図8に示す比較例の画像定着装置を用い、実際に未定着トナー像(トナー28)を担持した用紙(記録シート27)を熱定着させて、本発明の効果を確認する試験を行った。
具体的には、実際に記録シートである用紙表面に未定着トナー像を担持させて、これをサンプルとしてそれぞれの画像定着装置により熱定着させて、その定着性を官能評価を中心に像乱れとして評価した。熱定着の際には、定着速度(プロセススピード)を200mm/s〜400mm/sまで高速化させて、試験を行った。また、試験には、普通紙およびコート紙の2種類を用紙(記録シート)として用いたが、これらのうち、コート紙の方は通気性が低いため像乱れが生じやすい傾向にある。
評価には、光沢度変化や像ずれ、ブリスター(微小な火脹れや噴火のような画像ディフェクト)等の発生の有無を総合して判断した。結果を下記表1に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
○:問題なし
△:軽度の画像乱れあり(定着画像として許容限度範囲内)
×:画像乱れあり(定着画像として許容限度範囲を超える程度のもの)
Figure 0004872225
表1の結果からわかるように、本実施形態の画像定着装置では、全ての高速化条件で、いずれの用紙において画像乱れが何ら生じないことが確認された。一方、比較例の画像定着装置では、プロセススピードを高速化させていくと、コート紙の場合に高い頻度で画像乱れが発生することが確認された。このように、本実施形態の画像定着装置では、ニップ領域の全域にわたって既述の規定圧力Po(Tn/To−1)以下となっているため、記録シート(用紙)表面の未定着トナー像が画像乱れを起こすことがなかった。
<第3の実施形態>
図9は、本発明のさらに他の例示的一態様である第3の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。本実施形態の画像定着装置は、第1の実施形態や第2の実施形態の画像定着装置とは異なり、圧力付与部材が2つ配され、そのそれぞれに押圧楔部材が配された構成となっている。
本実施態様の画像定着装置は、主として、ベルト回転体(定着用回転体)41のモジュールである定着ベルトモジュール46と、ベルト回転体42のモジュールである加圧ベルトモジュール56とで構成されている。
定着ベルトモジュール46は、主として、ベルト回転体41の他、内部に加熱手段としてのハロゲンランプ51が配されて矢印I方向に回転する第1のロールである加熱ロール61と、第4のロールである定着側加圧ロール(押圧補助ロール)48と、ベルト回転体41の内周から補助的な加熱を行う第1外部加熱ロール53と、ベルト回転体41を介して第1外部加熱ロール53に対向配置され、ベルト回転体41の外周から補助的な加熱を行う第2外部加熱ロール54と、から構成される。ベルト回転体41は、加熱ロール61、定着側加圧ロール48および第1外部加熱ロール53に巻回され、かつ、第2外部加熱ロール54に外周から押圧されて、これら4つのロールによってテンションが掛けられて張架されており、定着側加圧ロール48に従動して、矢印J方向に回転する。
ベルト回転体41は、不図示の温度センサと温度コントロールとによって、その表面が所定の温度になるようにコントロールされる。このとき、ベルト回転体41の加熱源は、加熱ロール61のみならず、補助的に表裏から加熱する第1外部加熱ロール53および第2外部加熱ロール54もあり、高い効率で加熱されて温度低下が防止される。すなわち、プロセススピードの高速化に対しても高い適応性を示す。
一方、加圧ベルトモジュール56は、主として、ベルト回転体42の他、これとベルト回転体41とを介して加熱ロール61表面に押圧される第2のロールである加圧側加圧ロール(上流側押圧ロール)45と、ベルト回転体42およびベルト回転体41を介して加熱ロール61表面と定着側加圧ロール48表面の双方に押圧される第3のロールである加圧側加熱ロール(下流側押圧ロール)44と、張架ロール43と、から構成される。ベルト回転体42は、加圧側加圧ロール45および加圧側加熱ロール44の2つの押圧ロールと張架ロール43とに巻回され、張架されている。
加熱ロール61と加圧側加圧ロール45との押圧部がニップ入口を形成しており、当該部位から加熱ロール61と加圧側加熱ロール44との押圧部までの間、ベルト回転体41およびベルト回転体42は重なり合いながらニップを形成しつつ加熱ロール61に巻き付いた状態となっている。さらに、加熱ロール61と加圧側加熱ロール44との押圧部から定着側加圧ロール48と加圧側加熱ロール44との押圧部までの間、ベルト回転体41およびベルト回転体42は重なり合いながらニップを形成しつつ加圧側加熱ロール44に巻き付いた状態となっている。
そして、定着側加圧ロール48と加圧側加熱ロール44との押圧部がニップ出口を形成しており、未定着のトナー58が形成された記録シート57が通過するニップの幅は、前記ニップ入口から当該ニップ出口までの非常に広い領域となり、極めて幅広のニップが形成されている。
また、加圧側加熱ロール44の内部には、加熱源としてのハロゲンランプ71が配されており、幅広のニップにおける加熱ロール61から熱が供給されない領域に対して補助的に熱を与えて、ニップ領域の全域にわたって十分な熱が供給されるように構成されている。
つまり、本実施形態の画像定着装置では、極めて高レベルの高速定着に適した極めて幅広のニップが形成されているものの、それにより不十分になりがちの熱を、加熱ロール61のみに頼るのではなく、第1外部加熱ロール53、第2外部加熱ロール54および加圧側加熱ロール44により、適切なタイミングで補助的にニップ領域に供給しており、定着に必要かつ十分な熱エネルギーを未定着のトナー58が形成された記録シート57に与えることを可能としている。
このような極めて幅広のニップが形成される本実施形態においても、ベルト回転体41およびベルト回転体42が加熱ロール61や加圧側加熱ロール44に巻き付いた状態となっている領域は、何ら圧力が外部から付与されずベルトのテンションのみでニップを形成している状態のままでは、ニップ内で発生する空気や水蒸気、およびそれらの体積膨張による定着画像の乱れを生じてしまいかねない。
そこで、まずベルト回転体41およびベルト回転体42が加熱ロール61に巻き付いた状態となっている領域(加圧側加圧ロール45と加圧側加熱ロール44との間)には、第1の固定パッド(圧力付与部材)49が両ベルトをベルト回転体42の周内から加熱ロール61表面に付勢して、当該領域における押圧力を高めている。
また、ベルト回転体41およびベルト回転体42が加圧側加熱ロール44に巻き付いた状態となっている領域(加熱ロール61と定着側加圧ロール48との間)には、第2の固定パッド(第2圧力付与部材)59が両ベルトをベルト回転体41の周内から加圧側加熱ロール44表面に付勢して、当該領域における押圧力を高めている。
そして、本発明の構成を具備しない場合、これら第1の固定パッド49および第2の固定パッド59においても、その前後の各ロールとの間に僅かな間隙が生じ、押圧力が既述の規定圧力PoPo(Tn/To1)に達しない領域が存在する可能性が高い。
そこで、本実施形態においては、第1の固定パッド49および第2の固定パッド59として、第2の実施形態で用いた固定パッド(圧力付与部材)29と同一の機能の部材、すなわち圧力付与部材としての主たる部分を構成する圧力付与固定部材(第2の実施形態における押圧パッド34)と、楔部を構成する押圧楔部材(第2の実施形態における30a,30b)との別体で構成されており、かかる押圧楔部材が各ロールとベルトとの間隙を埋めると共に、ニップ圧を全ての領域において規定圧力Po(Tn/To1)以上になるようにしている。
その他、第1の固定パッド49および第2の固定パッド59の有する押圧楔部材の構成に基づく作用・効果は、第1の実施形態における押圧楔部材10や第2の実施形態における押圧楔部材30a,30bの構成で説明した通りである。
図10に、本実施形態の画像定着装置のニップ領域における圧力分布をグラフにて示す。
図10のグラフを見てもわかるように、本実施形態の画像定着装置では、各パッドとロールとの境目部分での押圧力を、押圧楔部材の作用により効果的に増大させ、ニップ領域の全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上を実現している。
以上のように、本実施形態の画像定着装置によれば、各ロールにより形成されるそれぞれのニップと、各パッドにより形成されるニップとの間で、押圧楔部材の作用により押圧力を連続的に受け渡すことが可能となる。そのときの押圧楔部材による作用・効果は、第1の実施形態や第2の実施形態で説明した通りである。
以上の如き本実施形態の画像定着装置において、未定着のトナー58が形成された記録シート57が通過するニップの幅は、既述の如く極めて幅広であり、しかも各種補助加熱により、高速化によって懸念される加熱エネルギーの不足にも十分に対策が採られている。そして、本実施形態の画像定着装置は、その幅広のニップ領域全域にわたって規定圧力Po(Tn/To−1)以上の押圧力で加熱定着ロール21表面を押圧するようになっている。そのため、空気の膨張や水蒸気の発生による記録シートの浮きを効果的に防止することができ、トナー像の乱れを生じさせず、良好な画質の定着画像を形成することができる。
本実施形態の画像定着装置を用い、第2の実施形態の画像定着装置について行った効果確認試験を同様に行ったところ、より高速定着の条件で、第2の実施形態の画像定着装置と同様の結果が得られた。
以上、本発明の画像定着装置について、3つの実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれら構成に限定されるものではない。本発明は、本発明における必須の構成要件を具備するものであれば問題なく、当業者は、公知の知見により種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では全て、圧力付与部材が、前記楔部を構成する押圧楔部材と、それ以外の部位の圧力付与固定部材との別体で構成されてなる態様を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧力付与部材において、楔部としての機能を奏することを条件として、これが一体的に成形された部材であっても何ら問題ない。
本発明の例示的一態様である第1の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。 図1の画像定着装置における押圧楔部材周辺を示す模式拡大図である。 図1の画像定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフである。 図1の画像定着装置から押圧楔部材を除した、従来技術の画像定着装置の模式断面図である。 図4の画像定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフである。 本発明の他の例示的一態様である第2の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。 図6の画像定着装置から押圧楔部材を除した、従来技術の画像定着装置の模式断面図である。 図6および図7の画像定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフである。 本発明のさらに他の例示的一態様である第3の実施形態の画像定着装置の模式断面図である。 図9に示される画像定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフである。 従来の加熱加圧ロール型定着装置を示す模式断面図である。 従来のベルトニップ型定着装置を示す模式断面図である。 図12に示される定着装置のニップ領域における圧力分布を示すグラフである。
符号の説明
1,21:加熱定着ロール(定着用回転体)、 2,22:エンドレスベルト、 3,4:張架ロール、 5,24,25:押圧ロール、 6:剥離部材、 7,27,57:記録シート、 8,28,58:トナー、 9,29,49:固定パッド(圧力付与部材)、 10,30a,30b :押圧楔部材、 11,31,51:ハロゲンランプ(加熱手段)、 12:弾性体層、 13:摩擦層、 14,34:押圧パッド(圧力付与固定部材)、 15:ホルダ、 23:テンションロール、 35:ホルダ、 36,37:圧縮コイルスプリング、 41:ベルト回転体(定着用回転体)、 42:ベルト回転体(エンドレスベルト)、 43:張架ロール、 44:加圧側加熱ロール(下流側押圧ロール)、 45:加圧側加圧ロール(上流側押圧ロール)、 46:定着ベルトモジュール、 48:定着側加圧ロール(押圧補助ロール)、 53:第1外部加熱ロール、 54:第2外部加熱ロール、 56:加圧ベルトモジュール、 59:固定パッド(第2圧力付与部材)、 61:加熱ロール、 71:ハロゲンランプ(加熱源)、 101:定着ロール、 102:加圧ロール、 103:中空ロール、 104:被覆層、 105,125:ハロゲンランプ、 106,126:温度センサ、 107:記録紙、 108:未定着トナー、 109:オイル供給装置、 110:芯金ロール、 111:耐熱弾性体、 112:剥離爪、 115:エンドレスベルト、 121:加熱定着ロール、 123:コア、 124:被覆層、 125:圧力ロール、 127:記録シート、 128:トナー、 129:オイル供給装置、 135:エンドレスベルト、 140:下地層、 141:トップコート層、 142,143,144:ロール、 145:圧力ロール、 146:圧縮コイルスプリング、 149:圧力補助ロール

Claims (7)

  1. 回転可能に支持された定着用回転体と、
    該定着用回転体を所定の温度に加熱する加熱手段と、
    前記定着用回転体の外周面に沿って外周面が接触し、前記定着用回転体に従動ないし連動して回転すると共に、未定着トナー像を担持した記録シートが挿通されるニップを前記定着用回転体との間に形成するエンドレスベルトと、
    該エンドレスベルトの内側かつ前記ニップ位置に配置され、当該エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面を面で押圧するパッド状の圧力付与部材と、
    前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力付与部材のエンドレスベルト回転方向上流および/または下流かつ前記ニップ位置に配置され、当該エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面を押圧する押圧ロールと、
    を含み、前記圧力付与部材の前記押圧ロール側の端部に、前記エンドレスベルトと前記押圧ロールとの空隙を埋める形状の楔部を有し、該楔部が前記エンドレスベルトおよび前記押圧ロールの双方と接触して摺擦されると共に、前記押圧ロールによる押圧力が前記楔部および前記エンドレスベルトを介して前記定着用回転体の表面に作用することで、前記楔部による押圧力が生じ、前記定着用回転体の表面に下記を満たす規定圧力以上の押圧力をニップ領域の全域にわたって与えるように構成されてなることを特徴とする画像定着装置。
    ・規定圧力=P o (T n /T o −1)
    上記式中、T n は定着用回転体の表面温度、T o は定着用回転体から十分離れた位置における空気の温度、P o は大気圧をそれぞれ表す。
  2. 前記圧力付与部材の少なくとも前記楔部が弾性体からなり、前記押圧ロールによる押圧力で当該楔部が弾性変形する反力によって、前記楔部による押圧力が生じることを特徴とする請求項に記載の画像定着装置。
  3. 前記楔部の前記押圧ロールとの摺擦面が、弾性変形時に、前記押圧ロールの外周面に沿って略一致する形状に湾曲することを特徴とする請求項に記載の画像定着装置。
  4. 前記楔部の前記エンドレスベルトないし前記押圧ロールとの摺擦面が、自己潤滑性のある材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像定着装置。
  5. 前記定着用回転体が、無端ベルト状であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像定着装置。
  6. 前記無端ベルト状の定着用回転体が、少なくとも加熱ロールと押圧補助ロールとに張架されており、
    前記圧力付与部材が、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して前記加熱ロールを押圧する位置に配され、
    前記圧力付与部材のエンドレスベルト回転方向上下流双方、かつ、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して前記加熱ロールを押圧する位置にそれぞれ前記押圧ロールが配され、
    前記押圧補助ロールが、前記押圧ロールのうちエンドレスベルト回転方向下流に位置する下流側押圧ロールに前記定着用回転体を巻きつけつつ、当該下流側押圧ロール表面を当該定着用回転体および前記エンドレスベルトを介して押圧するように配され、
    前記定着用回転体の内側で、前記加熱ロールと前記押圧補助ロールとの間に、前記定着用回転体および前記エンドレスベルトを介して前記下流側押圧ロールを面で押圧するパッド状の第2圧力付与部材と、
    を含み、前記押圧ロールのうちエンドレスベルト回転方向上流に位置する上流側押圧ロールと前記加熱ロールとが対向する位置から、前記下流側押圧ロールと前記押圧補助ロールとが対向する位置までの間に、未定着トナー像を担持した記録シートが挿通されるニップが形成されると共に、
    前記第2圧力付与部材の前記加熱ロール側および前記押圧補助ロール側の端部に、前記定着用回転体と前記加熱ロールまたは前記押圧補助ロールとの空隙を埋める形状の楔部を有し、該楔部が前記定着用回転体、および前記加熱ロールまたは前記押圧補助ロールと接触して摺擦されると共に、前記下流側押圧ロールによる押圧力が前記楔部、前記エンドレスベルトおよび前記定着用回転体を介して、前記加熱ロールおよび前記押圧補助ロールの表面に作用することで、前記楔部による押圧力が生じ、前記加熱ロールおよび前記押圧補助ロールの表面に、前記規定圧力以上の押圧力をニップ領域の全域にわたって与えるように構成されてなることを特徴とする請求項5に記載の画像定着装置。
  7. 前記下流側押圧ロールが、その表面を加熱するための熱源を備えることを特徴とする請求項に記載の画像定着装置。
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