JP2007065092A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ベルト部材を用いた定着装置において、高い定着性能を維持しながら、記録紙をベルト部材から安定的に剥離する。
【解決手段】 定着ロール611と張架ロール612と張架ロール613とによって定着ベルト610が張架されるとともに、用紙Pを剥離する剥離パッド64を有する定着ベルトモジュール61と、定着ベルト610を介して定着ロール611を押圧するように配置された加圧ロール62とを備え、定着ロール611と加圧ロール62との圧接部N1と、加圧ロール62と剥離パッド64との圧接部N2Tとの間の境界領域N2Sでのニップ圧Pnが、所定の圧力値以上に設定される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関し、より詳しくは回動可能なベルト部材を備えた定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、次のように画像形成が行われる。まず、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)の表面が帯電装置によって一様に帯電される。帯電された感光体ドラムは、画像情報に基づいて制御された光により走査露光され、その表面に静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム上に形成された静電潜像は現像装置により可視像(トナー像)化され、その後、トナー像は感光体ドラムの回転に伴って転写部まで搬送されて、記録紙上に静電転写される。そして、記録紙上に担持されたトナー像は定着装置によって定着処理が施されて、トナー画像が完成する。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置としては、2ロール方式と呼ばれる構成が従来より広く一般に利用されている。この2ロール方式の定着装置は、内部に加熱源(ヒータ)が配設された円筒状の芯金の表面に、耐熱性弾性層と離型層とが積層されて形成された定着ロールと、芯金に耐熱性弾性層と耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層とが積層されて形成された加圧ロールとが互いに圧接されて構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの圧接領域(ニップ部)に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させ、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことにより、トナー像を定着している。
ところで、近年、画像形成装置の高生産性化やカラー化が急速に進展するとともに、両面印刷機構を備えたものも多く普及するに至っている。そのため、画像形成装置に搭載される定着装置においても、高速化への対応を一段と進める必要が生じている。
ところが、従来の2ロール方式の定着装置は、高速で連続して送られてくる多数枚の記録紙に対しては、充分な定着処理を行うことが困難であるという問題を有している。すなわち、2ロール方式の定着装置においては、定着ロールを構成する芯金や芯金に被覆されたシリコーンゴム等からなる弾性層等が熱的抵抗体として作用する。そのため、2ロール方式の定着装置では、記録紙が定着ロールの表面から奪う熱量に対応した熱量を、定着ロールの内部に配置したヒータから即応的に、かつ充分に供給することが構造的に難しい。
その結果、2ロール方式の定着装置に高速で連続して記録紙が送られると、定着ロールの表面温度が漸次低下し、次第に定着性能が低下するという不都合が生じる。また、画像形成装置の立ち上がり時において、定着ロールの表面温度が一時的に落ち込む所謂「温度ドループ現象」が発生し易くなる。特に、記録紙として熱容量の大きい厚紙等が使用される場合においては、定着ロールの表面から奪われる熱量が大きくなるので、定着性能の低下や温度ドループが大きくなり、定着不良に基づく画像品質の劣化を生じさせる結果となる。
かかる状況から、2ロール方式の定着装置を用いた場合に生じる上記した問題点を解消し、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現する技術が開発されている。例えば、記録紙を加熱する加熱部材が、複数の張架ロールによって張架されたフィルム状のベルト部材(定着ベルト)で構成された定着装置に関する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
このような定着ベルトを用いた定着装置では、ニップ部に進入する前に予め張架ロール内に配設されたヒータによって定着ベルトを充分に加熱しておき、ニップ部においては加熱された定着ベルトから記録紙およびトナー像に熱を加えることでトナー像を定着している。そのため、定着ベルトが定着処理の間に記録紙によって熱を奪われても、定着ベルト自体の熱容量が小さいことから、定着ベルトは張架ロール内のヒータにより短時間で所定の定着可能温度まで回復させることが可能である。それにより、加熱部材として定着ベルトを用いた定着装置では、ニップ部内に進入する際の定着ベルトの温度を所定値に維持することが容易となり、画像形成装置が高速化されても、ニップ部に充分な熱量を供給することが可能である。
しかし、定着ベルトを用いた定着装置においても、記録紙の表面にはトナー像が担持されているため、定着ベルトの熱によってトナー像が溶融した際に、トナー像が接着剤となって記録紙と定着ベルトとの間に付着力が作用する。そのため、従来の2ロール方式の定着装置と同様に、定着ベルト表面から記録紙を剥離する機構を設ける必要がある。特に、画像形成装置の高速化が図られた場合には、定着装置において一旦剥離不良が生じて紙詰まり(ジャム)が生じると、その影響を受けて損傷する後続の記録紙の枚数も多くなることから、ニップ部を高速で通過した記録紙を定着ベルト側から安定的かつ確実に剥離する必要がある。
記録紙を定着ベルト表面から剥離する機構としては、上記した特許文献1に記載されたように、従来よりニップ部の下流側に定着ベルトに当接して分離爪を配設する構成が用いられている。また、定着ロールと加熱ロールとに張架された定着ベルトに対して加圧ロールが圧接して配設された構成の定着装置においては、ニップ部の出口部(最下流部)に対応した位置の定着ベルトの内側に、かかる出口部における定着ベルトの曲率を大きく設定するための固定部材を設け、定着ベルトの曲率の変化により記録紙を剥離する構成も用いられる(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−133871号公報(第4頁、図3) 特開2003−5566号公報(第6−8頁、図4)
しかしながら、定着ベルトを用いた定着装置において、記録紙を定着ベルト表面から剥離する機構として分離爪を用いる場合には、記録紙を定着ベルト側から安定的に剥離するために、分離爪を定着ベルトに当接させて配設する必要がある。そのために、分離爪を用いると、定着ベルト表面は分離爪によって磨耗され易くなる。そして、定着ベルト表面に分離爪による磨耗が生じると、定着画像上に定着ベルト表面の磨耗痕に対応した定着ムラが発生して画像品質を低下させる場合がある。また、磨耗痕上にオフセットしたトナーが次第に付着堆積して、定着画像上に汚れを生じさせることもある。さらには、定着ベルト表面の磨耗が進んだ場合には、薄層の定着ベルトは最終的に破断にまで至り、定着装置の機能が損なわれるおそれもある。
また、記録紙を定着ベルト表面から剥離する機構として、ニップ部の出口部に定着ベルトの曲率を大きく形成するための固定部材を設ける場合には、定着ロールと加圧ロールとが圧接されるニップ部の入口部と、固定部材が配設される出口部との間のニップ中間領域においては、定着ベルトは定着ベルトの張力のみによって加圧ロールに圧接されることとなる。そのために、ニップ中間領域でのニップ圧は、比較的低いものとなる。そして、このような低ニップ圧領域において記録紙やトナーが加熱されると、記録紙中の水分が気化して水蒸気となったり、トナー中の空気が熱膨張するなどして、定着ベルトと加圧ロールとの間にエアーギャップ(気泡)が生じることがある。このようなエアーギャップが生じた場合には、ニップ部内に存在する記録紙上のトナーが未だ完全に定着されていない状態にあると、気泡が動き回ることによって未定着トナーが乱され易くなる。その結果、定着画像にムラ等の画像不良が発生し、画像品質の低下を招くという大きな問題が生じる。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ベルト部材を用いた定着装置において、記録紙をベルト部材から安定的に分離することにある。
また、他の目的は、画像形成装置の高速化を図った場合においても、高い定着性能を維持することができる定着装置を提供することにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動可能な定着ロールと、定着ロールに張架されるベルト部材と、ベルト部材を張架する張架ロールと、定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、定着ロールと加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、ベルト部材の外表面を加圧部材に押圧する剥離部材と、定着ロールと加圧部材との圧接部と、加圧部材と剥離部材との圧接部との間の中間領域にて、ベルト部材の外表面を加圧部材に圧接させる圧接部材とを備えたことを特徴としている。
ここで、圧接部材は、バネ弾性を有する板状部材で構成されたことを特徴とすることができる。また、剥離部材は、断面が略円弧状に形成されたブロック部材で構成されたことを特徴とすることもできる。さらに、剥離部材は、定着ロール側に面する側面が定着ロールの表面形状に倣った略円弧状に形成されたことを特徴とすることもできる。
加えて、剥離部材は、加圧部材に面し、ベルト部材の進行方向に沿って所定の幅を持った押圧面と、定着ロール側とは反対側に位置し、ベルト部材の進行方向を屈曲するように変化させる形状に形成された剥離面とを備えたことを特徴とすることができる。特に、剥離部材の押圧面は、平面または加圧部材の表面形状に倣った曲面で形成することができる。また、圧接部材は、剥離部材の押圧面により加圧部材側に向けて押圧されることを特徴とすることもできる。さらに、圧接部材は、剥離部材の剥離面にて固定支持されたことを特徴とすることもできる。
また、圧接部材は、ベルト部材の進行方向上流側端部が自由端に設定されたことを特徴とすることもできる。さらに、圧接部材は、ベルト部材の進行方向上流側端部が定着ロールに当接して配置されたことを特徴とすることもできる。
また、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動可能な定着ロールと、定着ロールに張架されるベルト部材と、ベルト部材を張架する張架ロールと、定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、定着ロールと加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、ベルト部材の外表面を加圧部材に押圧する剥離部材とを備え、定着ロールと加圧部材との圧接部と、加圧部材と剥離部材との圧接部との間の中間領域でのニップ圧Pnが、所定の圧力値以上に設定されたことを特徴としている。
ここで、中間領域のニップ圧Pnは、ベルト部材の絶対温度をTn、周辺環境の絶対温度をTo、大気圧をPoとして、
Pn≧Po×(Tn/To−1)
を満たすことを特徴とすることができる。
また、定着ロールと加圧部材との圧接部の最下流部から加圧部材と剥離部材との圧接部の最下流部に至る領域のニップ圧は、ベルト部材の進行方向に向けて単調減少するように設定されたことを特徴とすることができる。加えて、加圧部材は、定着ロールとの圧接部での凹み量が定着ロールとの圧接部での定着ロールの凹み量よりも大きいことを特徴とすることもできる。
さらに、中間領域にてベルト部材を加圧部材に圧接させる圧接部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。特に、圧接部材は、剥離部材と一体的に構成することができる。また、圧接部材は、ベルト部材の進行方向上流側端部が定着ロールと加圧部材とで画成されるくさび状領域内に配置されることを特徴とすることができる。
加えて、加圧部材は、表面に弾性層が形成されたロール部材であることを特徴とすることができる。さらには、定着ロールは内部に加熱部材が配設され、張架ロールは内部に加熱部材が配設されたことを特徴とすることもできる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動可能な定着ロールと、定着ロールに張架されるベルト部材と、ベルト部材を張架する張架ロールと、定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、定着ロールと加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、ベルト部材の外表面を加圧部材に押圧する剥離部材と、定着ロールと加圧部材との圧接部と、加圧部材と剥離部材との圧接部との間の中間領域にて、ベルト部材の外表面を加圧部材に圧接させる圧接部材とを備え、中間領域でのニップ圧Pnが、所定の圧力値以上に設定されたことを特徴としている。
ここで、定着手段の加圧部材は、複数の張架ロールによってベルト部材が張架された加圧ベルトモジュールで形成されたことを特徴とすることもできる。
本発明によれば、画像形成装置の高速化を図った場合においても、記録紙をベルト部材から安定的に剥離することが可能となる。また、高い定着性能を安定して維持することができるので、良質な画像を短時間で大量に提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとしては、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34が配設されている。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性体層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上に重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性体層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの現像器14によって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性と逆極性(プラス極性)の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性と同極性(マイナス極性)の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における搬送速度に合わせて、用紙Pを最適な搬送速度で定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴って搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は本実施の形態の定着装置60の概略構成を示す側断面図である。この定着装置60は、加熱部材の一例としての定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に対して圧接して配置された加圧部材の一例としての加圧ロール62とで主要部が構成されている。
定着ベルトモジュール61は、ベルト部材の一例としての定着ベルト610、定着ベルト610を張架しながら回転駆動する定着ロール611、内側から定着ベルト610を張架する張架ロール612、外側から定着ベルト610を張架する張架ロール613、定着ロール611と張架ロール612との間で定着ベルト610の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール614、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接する領域であるニップ部N内の下流側領域であって、定着ロール611の近傍位置に配置された剥離部材の一例としての剥離パッド64、剥離パッド64が配置されたニップ部N内下流側領域にて、定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する圧接部材の一例としての圧接プレート67、ニップ部Nの下流側において定着ベルト610を張架する張架ロール615により主要部が構成されている。
定着ベルト610は、周長314mm、幅340mmのフレキシブルなエンドレスベルトである。そして、厚さ80μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層の表面側(外周面側)に積層された厚さ200μmのシリコーンゴムからなる弾性体層と、さらに弾性体層上に被覆された厚さ30μmのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)チューブからなる離型層とで構成されている。ここでは、弾性体層は、特にカラー画像に対する画質向上のために設けられたものである。なお、定着ベルト610の構成は、使用目的や使用条件等の装置設計条件に応じて、材質・厚さ・硬度等を適宜選択することができる。
定着ロール611は、外径65mm、長さ360mm、厚さ10mmのアルミニウムからなる円筒状のコアロール(芯金)に、コアロール表面の金属磨耗を防止する保護層として、厚さ400μmのフッ素樹脂が皮膜して形成されたハードロールである。ただし、定着ロール611は、この構成に限られるものではなく、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する際に、加圧ロール62からの押圧力に対して殆ど変形を生じない充分にハードなロールとして機能する構成であればよい。そして定着ロール611は、図示しない駆動モータからの駆動力を受けて、350mm/sの表面速度で矢印C方向に回転する。
また、定着ロール611の内部には、加熱源として定格900Wのハロゲンヒータ616aが配設され、定着ロール611の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置の制御部40(図1参照)が定着ロール611の表面温度を150℃に制御している。
張架ロール612は、外径30mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。そして、張架ロール612の内部には加熱源として定格1000Wのハロゲンヒータ616bが配設されており、温度センサ617bと制御部40(図1参照)とによって、表面温度が190℃に制御されている。したがって、張架ロール612は、定着ベルト610を張架する機能とともに、定着ベルト610を内周面側から加熱する機能をも併せ持っている。
また、張架ロール612の両端部には定着ベルト610を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設され、定着ベルト610全体の張力を15kgfに設定している。その際に、定着ベルト610の張力を幅方向に亘って均一にするとともに、定着ベルト610の軸方向の変位をできる限り小さく抑えるため、張架ロール612は、外径が端部よりも中央部のほうを100μmだけ大きくした所謂クラウン形状で形成されている。
張架ロール613は、外径25mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。また、張架ロール613の表面には厚さ20μmのPFAからなる離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト610の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が張架ロール613に堆積するのを防止するために形成されるものである。また、張架ロール613も張架ロール612と同様に、外径が端部よりも中央部の方を100μmだけ大きくしたクラウン形状で形成されている。なお、張架ロール612と張架ロール613の双方をクラウン形状で形成する場合のみならず、張架ロール612または張架ロール613のいずれか一方のみをクラウン形状で形成してもよい。
張架ロール613の内部には、加熱源としての定格1000Wのハロゲンヒータ616cが配設されており、温度センサ617cと制御部40(図1参照)とによって、表面温度が190℃に制御されている。したがって、張架ロール613は、定着ベルト610を張架する機能とともに、定着ベルト610を外周面側から加熱する機能をも併せ持っている。したがって、本実施の形態では、定着ロール611と張架ロール612および張架ロール613とによって定着ベルト610が加熱される構成を採用している。
姿勢矯正ロール614は、外径15mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円柱状ロールである。姿勢矯正ロール614の近傍には、定着ベルト610のエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配置されている。そして、姿勢矯正ロール614には、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて定着ベルト610の軸方向における当接位置を変位させる軸変位機構が配設され、定着ベルト610の蛇行(ベルトウォーク)を制御するように構成されている。
剥離パッド64は、断面が略円弧形状のブロック部材であり、例えばSUS等の金属や剛性の高い樹脂等といった剛体で形成されている。そして、加圧ロール62が定着ベルト610を介して定着ロール611に圧接される領域(「ロールニップ部N1」:後段の図3参照)の下流側近傍位置において、定着ロール611の軸方向全域に亘って固定配置されている。また剥離パッド64は、圧接プレート67を介して定着ベルト610を加圧ロール62に所定の荷重(例えば、10kgf)で均一に押圧するように設置されており、後段で述べる「剥離パッドニップ部N2」(後段の図3参照)を形成している。
圧接プレート67は、SUS等の金属で形成された、厚さ0.1mm程度の板状部材である。そして、圧接プレート67は剥離パッド64の加圧ロール62に面する側の側面に固定配置され、剥離パッド64からの押圧力により、剥離パッドニップ部N2において定着ベルト610を加圧ロール62に圧接させている。
また、張架ロール615は、外径12mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円柱状ロールである。そして、剥離パッドニップ部N2を通過した定着ベルト610が定着ロール611に向けて円滑に回動するように、剥離パッド64の定着ベルト610進行方向下流側近傍に配置されている。
次に、加圧ロール62は、直径45mm、長さ350mmのアルミニウムからなる円柱状ロール621を基体として、基体側から順に、ゴム硬度30°(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層622と、膜厚100μmのPFAチューブからなる離型層623とが積層されて構成されたソフトロールである。そして、加圧ロール62は、定着ベルトモジュール61に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール61の定着ロール611が矢印C方向へ回転するのに伴い、定着ロール611に従動して矢印E方向に回動する。その進行速度は、定着ロール611の表面速度と同じ350mm/sである。
次に、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接されたニップ部Nについて説明する。
図3は、ニップ部Nの近傍領域を表す概略断面図である。図3に示したように、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接されたニップ部Nには、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられた(ラップされた)領域内において、加圧ロール62が定着ベルト610の外周面に圧接するように配置されることにより、ロールニップ部(定着ロール611と加圧ロール62との圧接部)N1が形成されている。
ここで、本実施の形態の定着装置60では、上述したように、ロールニップ部N1を形成する一方のロールである定着ロール611は、アルミニウムの芯金(コアロール)の表面に耐熱性樹脂(フッ素樹脂)を被覆して構成されたハードロールであって、定着ロール611には弾性層は被覆されていない。また、ロールニップ部N1を形成する他方のロールである加圧ロール62は、弾性層622が被覆されたソフトロールである。
このような定着ロール611と加圧ロール62との構成により、本実施の形態のロールニップ部N1では、加圧ロール62の弾性層622が変形することでロールニップ部N1が形成されており、加圧ロール62側がニップを形成するロール(NIP Forming Pressure Roll)として機能している。すなわち、ロールニップ部N1では、定着ロール611には凹みが殆ど生じず、加圧ロール62表面のみが大きく凹んだ状態(加圧ロール62の凹み量>定着ロール611の凹み量)が形成されることで、定着ベルト610の進行方向に所定の幅を持ったニップ領域を作り出している。
このように、本実施の形態の定着装置60では、ロールニップ部N1において定着ベルト610がラップされている側の定着ロール611は殆ど変形せず、円筒形状が維持されている。そのため、定着ベルト610は定着ロール611表面の円周面に沿って回動し、その回動半径に変動が生じることがないので、進行速度を一定に維持しながらロールニップ部N1を通過することができる。それにより、定着ベルト610がロールニップ部N1を通過する際にも、定着ベルト610にはシワや歪みが極めて発生し難い。その結果、ロールニップ部N1を用紙Pが通過する際に、定着画像に定着ベルト610のシワや歪みに起因するトナー像の乱れの発生が抑えられ、良質の定着画像を安定的に提供することができる。なお、本実施の形態の定着装置60では、ロールニップ部N1は定着ベルト610の進行方向に沿って15mmの幅に設定されている。
次に、ロールニップ部N1の下流側近傍には剥離パッド64が配設されており、剥離パッド64は圧接プレート67を介して定着ベルト610を加圧ロール62表面に押圧している。それにより、ロールニップ部N1の下流側には、ロールニップ部N1に連続して、定着ベルト610が加圧ロール62表面にラップされた剥離パッドニップ部(第2ニップ部)N2が形成されている。
図3に示したように、剥離パッドニップ部N2を形成する剥離パッド64は、断面が略円弧形状に形成され、ロールニップ部N1の下流側近傍にて定着ロール611の軸方向に沿って配置されている。そして、剥離パッドニップ部N2を通過した後の定着ベルト610は、剥離パッド64の側面に倣って回動する。それにより、定着ベルト610の進行方向は剥離パッド64によって張架ロール615方向に屈曲するように急激に変化する。そのため、ロールニップ部N1および剥離パッドニップ部N2を通過した用紙Pは、剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610の進行方向の変化に追随できなくなり、用紙Pは自身の所謂「コシ」によって定着ベルト610から剥離される。このようにして、剥離パッドニップ部N2の出口部において、用紙Pに対する曲率分離が安定的に行なわれる。なお、本実施の形態の定着装置60では、剥離パッドニップ部N2は定着ベルト610の進行方向に沿って2.5mmの幅に設定されている。
ここで、剥離パッド64および圧接プレート67により形成される剥離パッドニップ部N2について詳述する。
剥離パッド64および圧接プレート67は、上述したようにロールニップ部N1の下流側近傍に配設されている。それにより、ロールニップ部N1および剥離パッドニップ部N2からなるニップ部N内においては、ロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置(後段の図7参照)から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至るまでの領域で、ニップ圧が所定値以下に落ち込む谷間の領域が発生することが抑制され、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定することが可能となる。そのため、本実施の形態の定着装置60では、安定的な用紙分離を実現できると同時に、画像ムラ等といった画像不良のない高品質の定着画像を提供することが可能となる。以下に、ロールニップ部N1の下流側近傍に配設された剥離パッド64および圧接プレート67により、ニップ圧が所定値以下に落ち込む谷間の領域が発生することが抑制され、ニップ部N内でニップ圧が連続的に単調減少するように設定される点について説明する。
まず、本実施の形態の定着装置60では、加熱部材として定着ベルト610が定着ロール611を含む複数のロールで張架されて構成された定着ベルトモジュール61を用いている。このような定着ベルトモジュール61を用いた構成は、後段で述べるように、画像形成装置の高速化が図られた場合にも、定着装置60において所定の定着温度を常に維持することができ、また、高速定着動作の開始時に定着温度が落ち込む所謂「温度ドループ現象」の発生を抑制することができるという優れた特長を有している。
しかし、かかる定着ベルトモジュール61を用いた定着装置60においても、用紙Pの表面にはトナー像が担持されているため、定着ベルト610の熱によってトナー像が溶融した際に、トナー像が接着剤となって用紙Pと定着ベルト610との間に付着力が働く。そのため、従来の定着装置と同様に、定着ベルト610表面から用紙Pを剥離する機構を設ける必要がある。特に画像形成装置の高速化を図った場合には、定着装置60において一旦剥離不良が生じて紙詰まり(ジャム)が生じると、その影響を受けて損傷する後続の用紙Pの枚数も多くなることから、ニップ部Nを高速で通過した用紙Pを定着ベルト610側から安定的に、かつ確実に剥離する必要がある。
その際に、用紙Pを定着ベルト610表面から剥離する機構として従来からの分離爪を用いるとすると、用紙Pを定着ベルト610側から安定的に剥離するために、分離爪を定着ベルト610に当接させて配設する必要がある。そのために、分離爪を用いた場合には定着ベルト610表面が分離爪によって磨耗され易くなり、次のような問題が発生する可能性が高い。すなわち、定着ベルト610表面に分離爪による磨耗痕が生じ、定着画像上に定着ベルト610表面の磨耗痕に対応した定着ムラが発生して画像品質を低下させる場合がある。また、磨耗痕上にオフセットしたトナーが次第に付着堆積して、定着画像上に汚れを生じさせることもある。さらには、定着ベルト610表面の磨耗が進むと、薄層の定着ベルト610は最終的に破断するに至り、定着装置60の機能が損なわれるおそれもある。そのため、定着ベルト610を用いる定着ベルトモジュール61において用紙分離を行うには、上述したように、分離爪のような当接部材を必要としない、曲率分離による剥離機構が最適である。
そこで、本実施の形態の定着ベルトモジュール61では、ニップ部Nの下流部に定着ベルト610の進行方向を急激に変化させる部材、すなわち剥離パッド64を配設している。
ここで図4は、剥離パッド64のみをロールニップ部N1から所定の距離だけ離して配設した場合の剥離パッド64の周辺領域を表した図である。図4に示したように、剥離パッド64のみをロールニップ部N1から所定の距離だけ離して配設した場合にも、上述したのと同様に、ロールニップ部N1の下流側に、ロールニップ部N1に連続して剥離パッドニップ部N2が形成される。ところが、この場合の剥離パッドニップ部N2の領域内には、ロールニップ部N1と、剥離パッド64が配設された領域(剥離パッド64と加圧ロール62との圧接部)N2Tとの間に、定着ベルト610を定着ロール611および加圧ロール62のいずれにも直接押圧する部材が存在しない境界領域(中間領域)N2Sが形成される。そのため、この境界領域N2Sでは、定着ベルト610は定着ベルト610の張力のみによって加圧ロール62に圧接されることとなり、この境界領域N2Sでのニップ圧は定着ベルト610の張力のみで形成されることとなる。そのために、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側端部N1E(図3も参照)から所定の距離以上に離隔して配設すると、境界領域N2Sのニップ圧は、ロールニップ部N1のニップ圧と剥離パッド64が配設された領域N2Tでのニップ圧との狭間となって、ニップ圧の落ち込み(ニップ圧の谷間)が生じる。すなわち、剥離パッドニップ部N2内の上流側領域(ロールニップ部N1との境界領域N2S)に、ニップ圧Pnが後段で述べる所定のニップ圧Pn1よりも低い領域が形成される。
ここで図5は、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側端部N1Eから所定の距離以上に離隔して配設した場合のニップ部N(ロールニップ部N1および剥離パッドニップ部N2)のニップ圧分布の概略を示した図である。図5に示したように、この場合には、剥離パッドニップ部N2において、ロールニップ部N1側の境界領域N2Sにニップ圧Pnが所定のニップ圧Pn1よりも低く落ち込んだ谷間の領域が形成されることとなる。
ところで、本実施の形態の定着装置60による定着プロセスでは、トナー像を担持した用紙Pは、ロールニップ部N1において加熱および加圧されてトナーが溶融圧着される。その際に、ロールニップ部N1内において熱を受けた用紙Pやトナーからは、用紙P中の水分が気化して水蒸気を発生させたり、トナー中の空気が熱膨張しようとする。ところが、ロールニップ部N1では高いニップ圧が印加されているため、定着ベルト610と加圧ロール62との間に水蒸気や膨張した空気によるエアーギャップ(気泡)が生じることはない。
しかし、剥離パッドニップ部N2内のロールニップ部N1側の境界領域N2Sにおいてニップ圧Pnが所定のニップ圧Pn1よりも低い状態が形成されていると、ロールニップ部N1で抑え込まれていた気泡が境界領域N2Sにおいては抑止されずに発生する。そして、気泡が発生した状態で、用紙Pが剥離パッド64の配設されたニップ圧の高い領域N2Tに進入すると、境界領域N2Sにおいて発生した気泡がその高いニップ圧によって用紙Pの表面上を動き回ることとなる。そうすると、用紙P上のトナー像は、ロールニップ部N1を通過した直後であって、溶融したトナーが未だ完全に固化されていない状態にあるため、気泡が動き回ることによってトナー像が乱される現象が生じる。その結果、定着画像にムラ等の画像不良が発生するという事態が招来することとなる。
そこで、本実施の形態の定着装置60では、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側近傍に配設するとともに、剥離パッドニップ部N2の領域内のロールニップ部N1との境界領域N2Sにおいて、定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する部材としての圧接プレート67を配設している。
図6は、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側近傍に配設するとともに、圧接プレート67を配設した場合の剥離パッド64の周辺領域を表した図である。図6に示したように、このように剥離パッド64および圧接プレート67を配設することで、剥離パッドニップ部N2内におけるロールニップ部N1と剥離パッド64が配設された領域N2Tとの間の境界領域N2Sの幅を極力狭く設定することが可能となる。それと同時に、境界領域N2Sにおいて、圧接プレート67によって定着ベルト610を加圧ロール62に対して直接的に押圧することが可能となる。それにより、定着ベルト610が定着ベルト610の張力のみによって加圧ロール62に圧接される領域を極めて狭くすることができる。
そのため、図7(剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側近傍に配設するとともに、圧接プレート67を配設した場合のニップ圧分布の概略を示した図)に示したように、境界領域N2Sにおいてニップ圧Pnが所定のニップ圧Pn1よりも低く落ち込む谷間の領域が発生することを抑制することができる。すなわち、境界領域N2Sのニップ圧Pnを所定のニップ圧Pn1よりも高く設定できる。そして、ニップ部N内におけるロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至る領域において、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定することが可能となる。
このように、境界領域N2Sのニップ圧Pnを所定のニップ圧Pn1よりも高く設定できるので、境界領域N2Sにおいて気泡の発生を抑止することができる。さらには、ロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至るまで、ニップ圧を連続的に単調減少するように設定することにより、ロールニップ部N1において高いニップ圧により抑え込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気は、剥離パッドニップ部N2を通過するまでの経路で徐々に開放されることとなる。そのため、上記したような気泡が動き回る現象の発生を抑制することが可能となるため、未だ完全に固化されていない状態のトナー像が乱されることが殆ど無くなり、定着画像に画像ムラ等といった画像不良が発生するのを抑制することができる。
ここで、境界領域N2Sにおいて気泡が発生するのを抑止するためには、境界領域N2S内の圧力(ニップ圧)Pnが次の(1)式を満たすことが必要である。
Pn≧Po×(Tn/To−1) ……(1)
すなわち、上記した所定のニップ圧Pn1は、
Pn1=Po×(Tn/To−1)
となる。
なお、Tnは定着ベルト610の絶対温度、Toは定着ロール611から充分に離れた位置における空気の絶対温度(環境温度)、Poは大気圧である。
(1)式は、次のように導かれる。まず、理想気体の状態方程式は次の(2)式で表される。
PV = nRT ……(2)
なお、Pは圧力、Vは体積、nはモル数、Rは気体定数、Tは絶対温度である。
したがって、次の(3)式および(4)式が導かれる。
(Po+Pn)×Vn = nRTn ……(3)
PoVo = nRTo ……(4)
なお、Vnは境界領域N2S内の気泡の体積、Voは大気圧下での気泡の体積である。 境界領域N2S内で気泡の発生を抑制するには、Vn≦Voなる条件を満たせばよい。そこで、(3)式および(4)式より、次の(5)式が導かれる。
Tn/(Po+Pn)≦To/Po ……(5)
さらに(5)式を変形すると、上記した式(1)が導かれる。
そして、圧接プレート67は、式(1)を満たすニップ圧Pnを実現するように、定着ベルト610を加圧ロール62に圧接させることとなる。
次に、ロールニップ部N1の下流側近傍に配設可能となる剥離パッド64の形状について述べる。
図6に示したように、剥離パッド64には、主として定着ロール611側に面する内側面64a、剥離パッドニップ部N2を通過した定着ベルト610の進行方向を急激に変化させる外側面64b、圧接プレート67を介して定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する押圧面64cが形成されている。
剥離パッド64の内側面64aは、剥離パッド64を定着ロール611側に極力近接させて(例えば、剥離パッド64と定着ロール611とのギャップを0.5mm)配置するために、定着ロール611の周面に倣った湾曲面で形成されている。すなわち、図6に示した境界領域N2Sを極力狭く設定するためには、剥離パッド64は、ロールニップ部N1(図3も参照)の下流側近傍であって、定着ロール611と加圧ロール62とで画成されたくさび状領域Qにおいて、加圧ロール62表面を押圧するように配置する必要がある。そのため、内側面64aの上流側端部(押圧面64cの上流側端部)64pをロールニップ部N1の下流側端部N1Eの近傍、すなわち上記したくさび状領域Q内の定着ロール611に近接した位置に設置できるように、内側面64aは定着ロール611の周面に倣った湾曲面に形成している。なお、本実施の形態の剥離パッド64では、内側面64aは曲率半径33mmの略円周面で形成している。
また、内側面64aの上流側端部64pをくさび状領域Q内の定着ロール611に近接した位置に設置できるようにするために、内側面64aと押圧面64cとのなす角度θ1は、20〜50°に設定するのが好適である。
剥離パッド64の外側面64bは、用紙Pを定着ベルト610から安定的に剥離できるように、外側面64bの上流側端部領域(定着ベルト610が加圧ロール62から離隔する領域)Rにおいて、加圧ロール62の接線と外側面64bの接線とのなす角θ2(図6参照)が40°以上となるように設定されている。また、外側面64bの形状は、定着ベルト610が加圧ロール62から離隔した後、円滑に張架ロール615および定着ロール611の方向に進行するように、張架ロール615に向けて傾斜した平面で形成されている。また、この場合に、外側面64bは外側(定着ベルト610側)に向けて湾曲した曲面で形成することもできる。
剥離パッド64の押圧面64cは、圧接プレート67を介して定着ベルト610を加圧ロール62に均一に押圧するために平面で形成されている。また、押圧面64cは、より押圧力の均一化を図るために、加圧ロール62の円周面に倣った凹状曲面で形成することもできる。
次に、圧接プレート67について説明する。
圧接プレート67は、上述したように、SUS等の金属薄板(厚さ0.1mm程度)で形成された板状部材であり、図6に示したように、剥離パッド64の外側面64bおよび押圧面64cにほぼ倣う形状に加工されている。そして、剥離パッド64の外側面64bにおいて剥離パッド64に固定される一方、剥離パッド64の押圧面64cにおいては、圧接プレート67は固定されず、上流側端部67pは自由端に設定されている。また、圧接プレート67の上流側端部67pは、剥離パッド64の上流側端部64pよりも突出するように形成されている。さらには、剥離パッド64が加圧ロール62側に押圧されない状態において、圧接プレート67と剥離パッド64の押圧面64cとの間にギャップが生じるように設定されている。すなわち、剥離パッド64が定着装置60から取り外された状態にあると想定した場合に、圧接プレート67の押圧面64c側に位置する部分は、押圧面64cの下流側端部領域64qを支点として、バネ弾性が作用するような状態に設定されている。
そして、剥離パッド64が加圧ロール62側に押圧するように配設されることで、圧接プレート67は加圧ロール62側に押し付けられる。その場合に、圧接プレート67は金属薄板からなる板状部材で形成されているため、定着ロール611と加圧ロール62とで画成された狭小なくさび状領域Qに容易に進入することができる。そして、押圧面64cの下流側端部領域64qが支点となって、圧接プレート67のバネ弾性により、剥離パッドニップ部N2のロールニップ部N1側の境界領域N2Sを含む略全域に亘って、圧接プレート67は定着ベルト610を加圧ロール62に圧接させることとなる。それにより、境界領域N2Sのくさび状領域Qの奥深くまでも、上記した(1)式を満たすニップ圧Pnを形成することが可能となる。
ところで、図6に示した構成では、圧接プレート67の一方の面(剥離パッド64の外側面64bに位置する部分)を剥離パッド64に固定した所謂「片持ち支持」によって、圧接プレート67のバネ弾性を作用させ、定着ベルト610を加圧ロール62に圧接させている。一方、このような構成に代えて、圧接プレート67の上流側端部67pを定着ロール611に接触するように設定し、上流側端部67pが定着ロール611からの押圧力をも受けるように構成する、所謂「両端支持」とすることもできる。このように構成することで、境界領域N2Sにおいて、圧接プレート67は上流側を定着ロール611から押圧され、下流側を剥離パッド64から押圧されることとなり、境界領域N2Sでのニップ圧Pnをより安定的に形成することもできる。
図8は、圧接プレート67の上流側端部67pを定着ロール611に接触するように設定して、両端支持を実現する構成を示した図である。図8に示したように、この場合には、圧接プレート67の上流側端部67pは、くさび状領域Qの最深部を埋めるように、くさび形状で形成されている。このように、圧接プレート67の上流側端部67pをくさび形状に形成することで、定着ロール611からの押圧力を安定して受けることができると同時に、定着ロール611と摺擦しても、上流側端部67pおよび定着ロール611表面に磨耗が生じ難くなる。そのため、長期に亘って圧接プレート67の機能を維持することが可能である。
なお、剥離パッドニップ部N2における定着ベルト610の回動を円滑に行うため、圧接プレート67の定着ベルト610と接触する面に、摩擦係数の小さく、かつ耐摩耗性の高い材質、例えばテフロン(登録商標)等のシートを被覆するのが好ましい。
また、本実施の形態の定着装置60では、圧接プレート67と剥離パッド64とを別体に構成し、圧接プレート67を剥離パッド64に固定支持させて構成しているが、圧接プレート67と剥離パッド64とを一体的に成型して構成することも可能である。
このように、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接される領域には、ロールニップ部N1と剥離パッドニップ部N2とからなるニップ部Nが形成される。そして、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側近傍に配設するとともに、剥離パッドニップ部N2内のロールニップ部N1との境界領域N2Sにおいて、定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する部材としての圧接プレート67を配設している。それにより、ニップ部N内において、ニップ圧が落ち込む谷間の領域が発生することを抑制し、境界領域N2Sにおいても、上記した(1)式を満たすニップ圧Pnを形成することが可能となる。また、それにより、ニップ部N内におけるロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至る領域において、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定することが可能となる。
このように、境界領域N2Sにおいて所定のニップ圧Pnを設定することで、境界領域N2Sでの気泡の発生を抑止することができる。さらに、ニップ圧を連続的に単調減少するように設定することにより、ロールニップ部N1において高いニップ圧により抑え込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気を、剥離パッドニップ部N2を通過するまでの経路で徐々に開放することが可能となる。それにより、水蒸気や熱膨張した空気が気泡となってニップ内で動き回る現象の発生を抑制することができため、未だ完全に固化されていない状態のトナー像が乱されることが殆ど無くなり、定着画像に画像ムラ等の画像ディフェクトの発生を抑制することが可能となる。
さらに、剥離パッドニップ部N2を形成する剥離パッド64は断面が略円弧形状に形成されているために、剥離パッドニップ部N2を通過した定着ベルト610は、その進行方向が屈曲するように急激に変化させられる。そのため、ロールニップ部N1および剥離パッドニップ部N2を通過した用紙Pは、剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610から剥離され、用紙Pに対する曲率分離を安定的に行うことが可能となる。
ここで、本実施の形態の定着装置60における用紙分離性能および画像品質(画像ズレの発生の有無)に関する評価を行った。本評価試験では、定着装置60のプロセススピードを350mm/s、440mm/sに設定し、それぞれの場合について10000枚の通紙(ランニング)を行って評価した。使用する用紙Pとしては、王子製紙(株)製のOK中質コート紙(59gsm紙)を用いた。さらに、用紙P上に形成するトナー画像としては、先端余白幅3mmとしたトナー密度13g/mのベタ画像を用いた。このような坪量の小さい用紙Pを用い、先端余白幅が狭いベタ画像を形成するといった本評価試験での評価条件は、用紙分離に対して厳しい条件であることから採用したものである。
なお、比較例として、剥離パッド64および圧接プレート67を配設しない構成、すなわちニップ部Nがロールニップ部N1だけで構成された従来の定着装置を用い、同様の評価試験を行った。
その評価結果を表したものが図9である。図9に示したように、本実施の形態の定着装置60では、プロセススピードが350mm/sおよび440mm/sのいずれの場合にも、良好な用紙分離が行われ、ジャムの発生は認められなかった。これに対し、従来の定着装置では、いずれもランニング初期より用紙Pの分離不良が頻発し、1000枚の通紙で本評価試験の中止を余儀なくされた。特に、プロセススピードが440mm/sの方が、350mm/sよりも発生頻度が高いという傾向が見られた。
一方、画像ズレの発生は、本実施の形態の定着装置60および従来の定着装置のいずれにおいても認められなかった。これは、本実施の形態の定着装置60では、上述したように、境界領域N2Sにおいてニップ圧Pnを所定のニップ圧Pn1以上に設定することで、境界領域N2Sでの気泡の発生を抑止することができるからである。また、ロールニップ部N1中央部から剥離パッドニップ部N2に至る領域で、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定されているため、ロールニップ部N1において高いニップ圧により抑え込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気は、剥離パッドニップ部N2を通過するまでの経路で徐々に開放されるからである。そしてその結果として、定着画像に画像ムラ等といった画像不良が発生するのが抑制されたものと考えられる。
また、従来の定着装置では、ロールニップ部N1しか形成されておらず、ロールニップ部N1内の中央部からニップ出口に至る領域では、ニップ圧が連続的に単調減少する構成が形成されているからであると推測される。
次に、本実施の形態の定着装置60における定着動作について説明する。
画像形成装置の二次転写部20(図1参照)において未定着トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト55および定着入口ガイド56により、定着装置60のニップ部Nに向けて(図2参照:矢印F方向)搬送されてくる。そして、ニップ部Nを通過する用紙P表面の未定着トナー像は、主としてロールニップ部N1に作用する圧力と熱とにより用紙Pに定着される。
このとき、本実施の形態の定着装置60では、ニップ部Nに作用する熱は、主として定着ベルト610によって供給される。定着ベルト610は、定着ロール611の内部に配置されたハロゲンヒータ616aから定着ロール611を通じて供給される熱と、張架ロール612の内部に配置されたハロゲンヒータ616bから張架ロール612を通じて供給される熱と、張架ロール613の内部に配置されたハロゲンヒータ616cから張架ロール613を通じて供給される熱とによって加熱されるように構成されている。そのため、主に張架ロール612および張架ロール613から適切かつ速やかに定着ベルト610に熱エネルギーを補給することができるので、ニップ部Nにおいては、プロセススピードが350mm/sという高速であっても充分な熱量を確保することができる。
すなわち、本実施の形態の定着装置60では、直接的な加熱部材として機能する定着ベルト610は、極めて熱容量を小さく形成することができる。加えて、定着ベルト610は、熱供給部材である定着ロール611と、張架ロール612および張架ロール613とに広いラップ面積(大きなラップ角度)で接触するように構成されている。そのため、定着ベルト610が1回転する短かい期間に、定着ロール611や張架ロール612および張架ロール613から充分な熱量が供給されるので、定着ベルト610を必要な定着温度に短時間で復帰させることが可能となる。それにより、ニップ部Nにおいては、定着装置60が高速化されても、所定の定着温度を常に維持することができる。
その結果、本実施の形態の定着装置60においては、連続通紙時においても定着温度を略一定に維持することが可能となる。また、高速定着動作の開始時に定着温度が落ち込む温度ドループ現象の発生を抑制することが可能となる。特に、熱容量の大きな厚紙等に対する定着においても、定着温度の維持および温度ドループの発生を抑制することができる。さらには、紙種に対応させて定着温度を途中で切り替える(定着温度のアップおよびダウンの双方を含む。)必要がある場合にも、定着ベルト610は熱容量が小さいので、ハロゲンヒータ616a、さらにはハロゲンヒータ616b、ハロゲンヒータ616cの出力調整により、所望の温度への切り替えを容易、かつ速やかに行うことも可能となる。
また、本実施の形態の定着装置60では、ロールニップ部N1を形成する一方のロールである定着ロール611は、アルミニウムの芯金(コアロール)の表面に耐熱性樹脂(フッ素樹脂)を被覆して構成されたハードロールであって、定着ロール611には弾性層は被覆されていない。また、ロールニップ部N1を形成する他方のロールである加圧ロール62は、弾性層622が被覆されたソフトロールである。
そのため、本実施の形態のロールニップ部N1においては、定着ベルト610がラップされている側の定着ロール611は殆ど変形しない構成が実現されている。それにより、定着ベルト610は、ロールニップ部N1を通過する際に、その進行速度を一定に維持することが可能となり、ロールニップ部N1において定着ベルト610にシワや歪みが生じることを抑制することができる。その結果、ロールニップ部N1を用紙Pが通過する際に、定着ベルト610のシワや歪みに起因するトナー像の乱れの発生が抑えられ、良質の定着画像を安定的に提供することが可能となる。
続いて、ロールニップ部N1を通過した後、用紙Pは剥離パッドニップ部N2に搬送される。剥離パッドニップ部N2は、加圧ロール62に圧接プレート67を介して剥離パッド64が押圧され、定着ベルト610が加圧ロール62に圧接するように形成されている。したがって、図3に示したように、ロールニップ部N1は定着ロール611の曲率によって下に凸である湾曲した形状を有するのに対し、剥離パッドニップ部N2は加圧ロール62の曲率によって上に凸である湾曲した形状を有している。
そのため、ロールニップ部N1において定着ロール611の曲率のもとで加熱加圧された用紙Pは、剥離パッドニップ部N2において加圧ロール62による相反する方向に向いた曲率に進行方向が変化させられる。その際に、用紙P上のトナー像と定着ベルト610表面との間で微小なマイクロスリップが生じる。それによって、トナー像と定着ベルト610との付着力が弱められ、用紙Pは定着ベルト610から剥離され易い状態が形成される。このように、剥離パッドニップ部N2は、最終の剥離工程で確実に剥離が行なわれるための準備工程としても位置付けられる。
そして、剥離パッドニップ部N2の出口では、定着ベルト610は圧接プレート67が固定された剥離パッド64に巻き付くように搬送されるので、定着ベルト610の搬送方向はそこで急激に変化する。すなわち、定着ベルト610は剥離パッド64の外側面64bに沿って移動するため、定着ベルト610の屈曲は大きなものとなる。そのため、剥離パッドニップ部N2内において定着ベルト610との付着力が予め弱められた用紙Pは、用紙P自身が有している紙のコシによって定着ベルト610から確実にセルフストリップすることが可能となる。
このようにして、用紙Pは剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610から剥離され、安定的に、かつ確実に曲率分離される。
そして、定着ベルト610から分離された用紙Pは、排紙ガイド65および排紙ロール66によって機外に排出されて、定着処理が完了する。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60は、加熱部材として定着ベルト610が定着ロール611を含む複数のロールで張架されて構成された定着ベルトモジュール61を用いているので、画像形成装置が高速化されても、定着装置60において所定の定着温度を常に維持することができる。さらには、高速定着動作の開始時に定着温度が落ち込む温度ドループ現象の発生を抑制することが可能となる。そのため、高品質な定着画像を短時間で大量に提供することが可能となる。
それとともに、ニップ部Nは、ロールニップ部N1と、ロールニップ部N1の下流側に、ロールニップ部N1に連続して形成された剥離パッドニップ部N2とで構成されている。そして、剥離パッドニップ部N2を形成する剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側近傍に配設するとともに、剥離パッドニップ部N2内のロールニップ部N1との境界領域N2Sにおいて、定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する部材としての圧接プレート67を配設している。それにより、境界領域N2Sにおいて、上記した(1)式を満たすニップ圧Pnを設定することで、ニップ圧が落ち込む谷間の領域が発生することを抑制し、境界領域N2Sでの気泡の発生を抑止することができる。
さらに、ロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至る領域で、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定することが可能となる。
このように、本実施の形態の定着装置60では、境界領域N2Sでの気泡の発生を抑止するとともに、ニップ圧を連続的に単調減少するように設定することにより、ロールニップ部N1において高いニップ圧により押さえ込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気を、剥離パッドニップ部N2を通過するまでの経路において徐々に開放することが可能となり、水蒸気や熱膨張した空気が気泡となってニップ内で動き回る現象の発生を抑制することができる。そのため、未だ完全に固化されていない状態のトナー像が乱されることが殆ど無くなり、定着画像に画像ムラ等の画像ディフェクトの発生を抑制することが可能となる。
さらに、剥離パッドニップ部N2を形成する剥離パッド64は断面が略円弧形状に形成されているために、剥離パッドニップ部N2を通過した定着ベルト610は、その進行方向が屈曲するように急激に変化させられる。そのため、ロールニップ部N1および剥離パッドニップ部N2を通過した用紙Pは、剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610から剥離され、用紙Pに対する曲率分離を安定的に行うことが可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、画像形成装置に搭載される定着装置60において、定着ベルトモジュール61に対して圧接して配置される加圧部材として、加圧ロール62を用いた構成について説明した。実施の形態2では、加圧部材として複数のロールにより加圧ベルト700が張架された加圧ベルトモジュール70を用いた構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図10は、本実施の形態に係る定着装置90の構成を示す側断面図である。本実施の形態の定着装置90の構成は、上記した実施の形態1の定着装置60において、加圧ロール62に代え、加圧部材として加圧ベルトモジュール70を配設した点が異なることを除いては、実施の形態1の定着装置60と同様である。
本実施の形態の加圧ベルトモジュール70は、加圧ロール701、インレットロール702および張架ロール703の3本のロールにより張架された加圧ベルト700、加圧ベルト700および定着ベルト610を介して定着ロール611に付勢される状態で配置される押圧部材としての圧力パッド704により主要部が構成されている。そして、加圧ベルトモジュール70は定着ベルトモジュール61に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール61の定着ロール611が矢印C方向へ回転するのに伴い、加圧ベルト700は定着ロール611に従動して矢印G方向に回動する。その進行速度は、定着ロール611の表面速度と同じ300mm/sである。
加圧ベルトモジュール70と定着ベルトモジュール61とが圧接されたニップ部Nには、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられたラップ領域内において、加圧ベルト700が定着ベルト610の外周面に圧接するように形成されたベルトニップ部N3が設定されている。
本実施の形態に係る定着装置90では、加圧ベルト700の内側に圧力パッド704が加圧ベルト700を介して定着ロール611側に向けて付勢された状態で配置され、加圧ベルト700を定着ロール611のラップ領域に押圧している。また、ベルトニップ部N3の最下流部では、加圧ロール701が、加圧手段としての圧縮コイルスプリング(不図示)によって、加圧ベルト700および定着ベルト610を介して定着ロール611の中心軸に向けて付勢されており、定着ロール611および定着ベルト610の当接部に局所的な高圧を生じさせている。
そのため、ベルトニップ部N3を幅広く形成することができるので、用紙P上のトナー像に対するさらなる安定した定着性能を実現することが可能となる。また、加圧ロール701による局所的な高圧によって溶融したトナー像に効率的に圧力を加えるので、高い定着性を保持するとともに、トナー像表面を平滑にしてカラー画像に良好な画像光沢を付与することができる。
ここで、加圧ベルトモジュール70に配設される加圧ベルト700は、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のような耐熱強度の高い樹脂で形成されたベース層で構成されている。ベース層の厚さとしては、例えば50〜125μm程度に形成される。また、加圧ベルト700は、ベース層の定着ロール611側の表面または両面に離型層が被覆された構成を採ることもできる。その場合の離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要に応じてベース層と離型層との間に弾性層が形成された積層構造を採ることもできる。その場合、弾性層としては、厚さが100〜200μmのシリコーンゴム等を使用することができる。 本実施の形態の定着装置90においては、加圧ベルト700として、厚さ75μm、幅350mm、周長240mmのポイリミドフィルムのベース層のみにより構成されている。
また、加圧ベルト700を張架する3個のロールは、スチールコアに弾性層としてシリコーンゴムが被覆された加圧ロール701と、ステンレス製のインレットロール702と、ステンレス製の張架ロール703とで構成され、10kgfの張力で加圧ベルト700を張架している。それぞれの外径は、加圧ロール701が25mm、インレットロール702が22mm、張架ロール703が20mmであり、長さは360mmである。また、インレットロール702の内部には、加熱源としてハロゲンヒータ705が配設されている。そして、図示しない温度センサおよび制御部40(図1参照)によりその表面温度は120℃に制御され、加圧ベルト700に予熱を与えている。
加圧ロール701は、加圧手段としての圧縮コイルスプリング(不図示)によって、加圧ベルト700および定着ベルト610を介して定着ロール611の中心軸に向けて付勢されており、定着ロール611および定着ベルト610の当接部に局所的な高圧を生じさせている。その場合、この定着ロール611および定着ベルト610に対する局所的な高圧を低荷重で効率良く付与するために、加圧ロール701は定着ロール611より小径に形成されている。
なお、加圧ロール701、インレットロール702および張架ロール703のいずれかのロールには、加圧ベルト700のベルトエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構と、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて加圧ベルト700の軸方向における当接位置を変位させる軸変位機構とを配設し、加圧ベルト700の蛇行(ベルトウォーク)を制御するように構成することも可能である。
押圧部材としての圧力パッド704は、幅の広いベルトニップ部N3を確保するための弾性体部材と、弾性体部材が加圧ベルト700の内周面と接触する面に設けられた低摩擦層とで構成され、金属等からなるホルダ(不図示)に保持されている。低摩擦層を表面に有する弾性体部材は、定着ロール611側がほぼ定着ロール610の外周面に倣う凹形状に形成され、定着ロール611に対して押圧されて配置され、定着ロール611のラップ領域に形成されたベルトニップ部N3の入口側領域を形成している。
圧力パッド704の弾性体部材としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。弾性体部材上に形成された低摩擦層は、加圧ベルト700内周面と圧力パッド704との摺動抵抗を小さくするために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性のある材質であることが望ましい。具体的には、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
さらに、本実施の形態の定着装置90においても、ベルトニップ部N3の下流側近傍には剥離パッド64が配設され、ベルトニップ部N3に連続して、定着ベルト610が加圧ロール701側にラップされた剥離パッドニップ部N2を形成している。さらに、剥離パッドニップ部N2内のベルトニップ部N3との境界領域において、定着ベルト610を加圧ロール701側に押圧する部材としての圧接プレート67が配設されている。
そして、剥離パッド64および圧接プレート67により設定された剥離パッドニップ部N2では、実施の形態1の定着装置60と同様に、剥離パッドニップ部N2内のベルトニップ部N3との境界領域でのニップ圧Pnが所定値以上(上記した(1)式参照)に設定されている。それにより、ニップ圧が落ち込む谷間の領域が発生することが抑制され、かかる領域での気泡の発生が抑止される。また、ベルトニップ部N3内でニップ圧がピークとなる位置から剥離パッドニップ部N2の最下流位置に至る領域で、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定されている。そのため、ベルトニップ部N3において高いニップ圧により押さえ込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気を、剥離パッドニップ部N2を通過するまでの経路で徐々に開放することが可能となり、水蒸気や熱膨張した空気が気泡となってニップ部N内で動き回る現象の発生を抑制することができる。そのため、未だ完全に固化されていない状態のトナー像が乱されることが殆ど無くなり、定着画像に画像ムラ等の画像ディフェクトが発生するという問題を抑制することが可能となる。
加えて、剥離パッドニップ部N2を形成する剥離パッド64は断面が略円弧形状に形成されている。そのために、剥離パッドニップ部N2を通過した定着ベルト610は、その進行方向が屈曲するように急激に変化させられる。それにより、ベルトニップ部N3および剥離パッドニップ部N2を通過した用紙Pは、剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610から剥離され、用紙Pに対する曲率分離を安定的に行うことが可能となる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェット方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の概略構成を示す側断面図である。 ニップ部の近傍領域を表す概略断面図である。 剥離パッドのみをロールニップ部から所定の距離だけ離して配設した場合の剥離パッドの周辺領域を表した図である。 剥離パッドをロールニップ部の下流側端部から所定の距離以上に離隔して配設した場合のニップ部のニップ圧分布の概略を示した図である。 剥離パッドをロールニップ部の下流側近傍に配設するとともに、圧接プレートを配設した場合の剥離パッドの周辺領域を表した図である。 剥離パッドをロールニップ部の下流側近傍に配設するとともに、圧接プレートを配設した場合のニップ圧分布の概略を示した図である。 圧接プレートの両端支持を実現する構成を示した図である。 用紙分離性能および画像品質(画像ズレの発生の有無)に関する評価結果を示した図である。 実施の形態2に係る定着装置の概略構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ベルトモジュール、62,701…加圧ロール、64…剥離パッド、67…圧接プレート、610…定着ベルト、611…定着ロール、616a,616b,616c,705…ハロゲンヒータ、612,613,615,703…張架ロール、700…加圧ベルト、702…インレットロール、704…圧力パッド

Claims (24)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動可能な定着ロールと、
    前記定着ロールに張架されるベルト部材と、
    前記ベルト部材を張架する張架ロールと、
    前記定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、前記ベルト部材の外表面を前記加圧部材に押圧する剥離部材と、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部と、当該加圧部材と前記剥離部材との圧接部との間の中間領域にて、前記ベルト部材の外表面を前記加圧部材に圧接させる圧接部材と
    を備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記圧接部材は、バネ弾性を有する板状部材で構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記剥離部材は、断面が略円弧状に形成されたブロック部材で構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記剥離部材は、前記定着ロール側に面する側面が当該定着ロールの表面形状に倣った略円弧状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記剥離部材は、前記加圧部材に面し、前記ベルト部材の進行方向に沿って所定の幅を持った押圧面と、前記定着ロール側とは反対側に位置し、当該ベルト部材の進行方向を屈曲するように変化させる形状に形成された剥離面とを備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  6. 前記剥離部材の前記押圧面は、平面または前記加圧部材の表面形状に倣った曲面で形成されたことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  7. 前記圧接部材は、前記剥離部材の前記押圧面により前記加圧部材側に向けて押圧されることを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  8. 前記圧接部材は、前記剥離部材の前記剥離面にて固定支持されたことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  9. 前記圧接部材は、前記ベルト部材の進行方向上流側端部が自由端に設定されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  10. 前記圧接部材は、前記ベルト部材の進行方向上流側端部が前記定着ロールに当接して配置されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  11. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動可能な定着ロールと、
    前記定着ロールに張架されるベルト部材と、
    前記ベルト部材を張架する張架ロールと、
    前記定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、前記ベルト部材の外表面を前記加圧部材に押圧する剥離部材とを備え、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部と、前記加圧部材と前記剥離部材との圧接部との間の中間領域でのニップ圧Pnが、所定の圧力値以上に設定されたことを特徴とする定着装置。
  12. 前記中間領域のニップ圧Pnは、前記ベルト部材の絶対温度をTn、周辺環境の絶対温度をTo、大気圧をPoとして、
    Pn≧Po×(Tn/To−1)
    を満たすことを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  13. 前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部の最下流部から前記加圧部材と前記剥離部材との圧接部の最下流部に至る領域のニップ圧は、前記ベルト部材の進行方向に向けて単調減少するように設定されたことを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  14. 前記加圧部材は、前記定着ロールとの圧接部での凹み量が当該定着ロールとの圧接部での前記定着ロールの凹み量よりも大きいことを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  15. 前記中間領域にて前記ベルト部材を前記加圧部材に圧接させる圧接部材をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  16. 前記圧接部材は、前記剥離部材と一体的に構成されたことを特徴とする請求項15記載の定着装置。
  17. 前記圧接部材は、前記ベルト部材の進行方向上流側端部が前記定着ロールと前記加圧部材とで画成されるくさび状領域内に配置されることを特徴とする請求項15記載の定着装置。
  18. 前記加圧部材は、表面に弾性層が形成されたロール部材であることを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  19. 前記定着ロールは内部に加熱部材が配設され、前記張架ロールは内部に加熱部材が配設されたことを特徴とする請求項11記載の定着装置。
  20. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動可能な定着ロールと、
    前記定着ロールに張架されるベルト部材と、
    前記ベルト部材を張架する張架ロールと、
    前記定着ロールに押圧するように配置された加圧部材と、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部の下流側近傍にて、前記ベルト部材の外表面を前記加圧部材に押圧する剥離部材と、
    前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部と、前記加圧部材と前記剥離部材との圧接部との間の中間領域にて、前記ベルト部材の外表面を前記加圧部材に圧接させる圧接部材とを備え、
    前記中間領域でのニップ圧Pnが、所定の圧力値以上に設定されたことを特徴とする画像形成装置。
  21. 前記中間領域のニップ圧Pnは、前記ベルト部材の絶対温度をTn、周辺環境の絶対温度をTo、大気圧をPoとして、
    Pn≧Po×(Tn/To−1)
    を満たすことを特徴とする請求項20記載の画像形成装置。
  22. 前記定着ロールと前記加圧部材との圧接部の最下流部から前記加圧部材と前記剥離部材との圧接部の最下流部に至る領域のニップ圧は、前記ベルト部材の進行方向に向けて単調減少するように設定されたことを特徴とする請求項20記載の画像形成装置。
  23. 前記定着手段の前記加圧部材は、ロール部材で形成されたことを特徴とする請求項20記載の画像形成装置。
  24. 前記定着手段の前記加圧部材は、複数の張架ロールによってベルト部材が張架された加圧ベルトモジュールで形成されたことを特徴とする請求項20記載の画像形成装置。
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