JP4609116B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが発生する等といった画像品質上の問題が生じる。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
特に、ベルトニップ方式の定着装置では、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量が小さいために、定着ロールから伝達される熱も発散され難い。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は比較的少なく、熱をトナーの溶融に利用する効率が高まることから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
また、ニップ領域の最下流部において大きな圧力を局部的に加える加圧ロールは、トナー像の表面を平滑化する作用を有するので、トナー画像に適度な光沢を付与することもできる。さらに、かかる加圧ロールは定着ロールの表面に局所的に凹部を形成する。それによって、この凹部を通過する記録紙にはダウンカールが形成されるので、記録紙を定着ロールから容易に剥離することも可能である。
さらに、ロール部材の少なくとも1つは回動部材を押圧可能な加圧ロールで構成され、加圧ロールは、ベルト部材が回動部材に当接される際に、ベルト部材のロール部材をラップしていない領域が回動部材に当接した後に、回動部材に押圧されることを特徴とすることができる。また、ベルト部材を内側から回動部材に押圧可能な押圧部材をさらに備え、押圧部材は、ベルト部材が回動部材に当接される際に、ベルト部材のロール部材をラップしていない領域が回動部材に当接した後に、回動部材に押圧されることを特徴とすることができる。
加えて、回動部材は、内部に加熱源が配設された定着ロールと、定着ロールに張架される定着ベルトと、定着ベルトを張架する張架ロールとを有することを特徴とすることができる。また、回動部材は、弾性体層が被覆されたロール状部材であることを特徴とすることもできる。
ここで、定着手段のベルト部材は、ロール部材をラップしていない領域が最初に回動部材に当接されることを特徴とすることができる。また、定着手段は、ベルト部材と回動部材とを当接させる際に、ベルト部材のロール部材をラップしていない領域が回動部材に当接した後に、ロール部材の1を回動部材に当接させることを特徴とすることもできる。さらには、定着手段は、ベルト部材と回動部材とを当接させる際に、ベルト部材のテンションを周方向に亘って略均等に維持することを特徴とすることもできる。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。この定着装置60は、加熱手段の一例としての定着ベルトモジュール(回動部材)61と、定着ベルトモジュール61に対して接離可能に構成された加圧手段の一例としての加圧ベルトモジュール62とで主要部が構成されている。
定着ベルトモジュール61は、矢印A方向に回転する定着ロール610、内部に加熱部材としてのハロゲンヒータ616aが配設された張架ロール615、同様に内部に加熱部材としてのハロゲンヒータ616bが配設された張架ロール618、定着ロール610と張架ロール615との間で定着ベルト614の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール619、ニップ部Nの最下流部に配置された剥離ロール66、定着ロール610と張架ロール615と張架ロール618、さらには姿勢矯正ロール619と剥離ロール66とに張架されて矢印D方向に移動する定着ベルト614によって主要部が構成されている。
また、定着ロール610の内部には加熱源として定格1000Wのハロゲンヒータ613が配設され、定着ロール610の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置の制御部40(図1参照)が定着ロール610の表面温度を160℃に制御している。
なお、弾性層612の材質としては、シリコーンゴムに限定されず、例えばフッ素ゴムのような従来公知の各種材質を用いることができ、また、シリコーンゴムとフッ素ゴムからなる複数層が積層された弾性層612を用いてもよい。さらに、定着ロール610としては、弾性層612のない、所謂ハードロールを用いることができ、この場合には、定着ロール610から定着ベルト614への熱供給がさらに効率化される。
定着ベルト614は、厚さ80μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層の表面側(外周面側)に積層された厚さ50μmのシリコーンゴムからなる弾性層と、さらに弾性層の上に、厚さ10μmのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)で形成された表面離型層とからなる多層構造で構成されている。ここでは、弾性層は、特にカラー画像に対する画質向上のために設けられたものであり、本実施の形態ではゴム硬度が20°(JIS−A)のシリコーンゴムを使用している。なお、定着ベルト614の構成は、使用目的や使用条件等の装置設計条件に応じて、材質・厚さ・硬度等を適宜選択することができる。
また、張架ロール615は、定着ベルト614の軸方向の変位をできる限り小さくするため、および、定着ベルト614に作用する張力を幅方向に亘って均一にするため、外径が端部よりも中央部のほうを100μmだけ大きくした所謂クラウン形状で形成している。
さらに、張架ロール615の近傍には、定着ベルト614のエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配置されている。そして、張架ロール615は、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて定着ベルト614の軸方向における当接位置を変位させる軸変位機構が配設され、定着ベルト614の蛇行(ベルトウォーク)を制御するように構成されている。また、張架ロール615は、ベルトテンショナ75により定着ベルト614全体が張力(テンション)10kgfとなるように荷重を印加する荷重ロールとしての機能をも有している。
さらに、張架ロール618には、張架ロール618の表面に当接して、定着ベルト614の外周面から張架ロール618の表面に付着したオフセットトナーや紙粉を拭き取るためのクリーニングウェブ機構70が配設されている。
さらに、姿勢矯正ロール619は、定着ロール610と張架ロール615との間に配設されている。そして、ニップ部Nに進入する前の定着ベルト614の姿勢を矯正して、定着ベルト614とニップ部Nに搬送される用紙Pとの位置関係を安定化させている。
さらに、第1ニップ部N1の下流側には、加圧ロール622に加圧ベルト620が巻き付けられたラップ領域内であって、加圧ロール622が定着ロール610を圧接する領域から、剥離ロール66が加圧ロール622を圧接している領域までの範囲において、第1ニップ部N1に連続するように、定着ベルト614が加圧ロール622のラップ領域に圧接するように形成された第2ニップ部N2が設定されている。
そして、トナー像を担持した用紙Pは、このニップ部N(第1ニップ部N1および第2ニップ部N2)を通過する際に、主として第1ニップ部N1において加熱および加圧され、トナー像が用紙Pに定着される。また、第2ニップ部N2では、用紙Pを定着ベルト614から確実に剥離するための準備工程が行なわれる。
また、加圧ベルト620は、ベース層の定着ロール610側の表面または両面に表面離型層が被覆された構成を採ることもできる。その場合の表面離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要に応じてベース層と離型層との間に弾性層が形成された積層構造を採ることもできる。その場合、弾性層としては、厚さが100〜200μmのシリコーンゴム等を使用することができる。
本実施の形態の定着装置60においては、加圧ベルト620として、厚さ50μm、幅340mm、周長280mmのポリイミドフィルムのベース層に、厚さ10μmのPFAからなる表面離型層を積層して形成した2層構造で構成されている。
また、張架ロール623の近傍には、加圧ベルト620のエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配設されている。そして、張架ロール623は、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて加圧ベルト620の軸方向における当接位置を変位させる軸変位機構が配設され、加圧ベルト620の蛇行(ベルトウォーク)を制御するように構成されている。また、張架ロール623は、ベルトテンショナ76により加圧ベルト620全体が張力(テンション)10kgfとなるように荷重を印加する荷重ロールとしての機能をも有している。
なお、押圧部材としては、本実施の形態のようなロール状の押圧ロール63のほか、パッド状に成型されたシリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。その場合には、押圧部材上には低摩擦層を形成し、加圧ベルト620内周面と押圧部材との摺動抵抗を小さくすることが望ましい。具体的には、低摩擦層として、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
画像形成装置の二次転写部20(図1参照)において未定着トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト55および定着入口ガイド56により、定着装置60の第1ニップ部N1に向けて(矢印C方向)搬送されてくる。第1ニップ部N1を通過する用紙P表面の未定着トナー像は、第1ニップ部N1に作用する圧力と熱とにより用紙Pに定着される。本実施の形態の定着装置60では、上述したように、押圧ロール63と加圧ロール622とを押圧させながら、定着ベルト614がラッピングされた定着ロール610と加圧ベルト620とを当接させた構成により、第1ニップ部N1を広く設定することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
このとき、第1ニップ部N1に作用する熱は、主として定着ベルト614によって供給される。定着ベルト614は、定着ロール610の内部に配置されたハロゲンヒータ613から定着ロール610を通じて供給される熱と、張架ロール615の内部に配置されたハロゲンヒータ616aから張架ロール615を通じて供給される熱と、張架ロール618の内部に配置されたハロゲンヒータ616bから張架ロール618を通じて供給される熱とによって加熱されるように構成されている。そのため、定着ロール610のみでは熱エネルギーが不充分である場合においても、張架ロール615から適切かつ速やかに熱エネルギーを補給することができるので、ニップ部Nにおいては、プロセススピードが400mm/sという高速であっても充分な熱量を確保することができる。
その結果、本実施の形態の定着装置60においては、高速定着動作の開始時に定着温度が低下する温度ドループ現象の発生を抑制することが可能となる。特に、熱容量の大きな厚紙等に対する定着においても、温度ドループの発生を抑制することができる。さらには、紙種に対応させて定着温度を途中で切り替える(定着温度のアップおよびダウンの双方を含む。)必要がある場合にも、定着ベルト614は熱容量が小さいので、ハロゲンヒータ613、さらにはハロゲンヒータ616a、ハロゲンヒータ616bの出力調整により、所望の温度への切り替えを容易、かつ速やかに行うことも可能となる。
したがって、図3に詳細に示したように、第1ニップ部N1は定着ロール610の曲率によって下に凸である湾曲した形状を有するのに対し、第2ニップ部N2は加圧ロール622の曲率によって上に凸である湾曲した形状を有している。そのため、第1ニップ部N1において定着ロール610の曲率のもとで加熱加圧された用紙Pは、第2ニップ部N2において加圧ロール622による相反する方向に向いた曲率に進行方向が変化させられる。その際に、用紙P上のトナー像と定着ベルト614表面との間で微小なマイクロスリップが生じる。そのため、用紙Pが第2ニップ部N2を通過する際にトナー像と定着ベルト614との付着力が弱められることとなる。それにより、用紙Pを定着ベルト614から剥離することが容易となる。このように、第2ニップ部N2は、最終の剥離工程で確実に剥離が行なわれるための準備工程が行なわれる領域として位置付けられる。
特に、第2ニップ部N2は加圧ロール622の曲率によって上に凸である湾曲した形状を有しているため、用紙Pにはダウンカールを形成することができるので、定着ベルト614からのセルフストリップを促進させることができる。
また、第1ニップ部N1の最下流部においては、定着ロール610の中心軸に向けて付勢されて配置された加圧ロール622が、局所的な高圧によって溶融したトナー像に効率的に圧力を加えている。それにより、高い定着性を保持するとともに、トナー像表面を平滑にしてカラー画像に良好な画像光沢を付与することができる。
さらには、第1ニップ部N1の下流側には、第1ニップ部N1の曲率とは向きの異なる曲率で形状された第2ニップ部N2を配設している。そして、第2ニップ部N2を用紙が通過することにより、トナー像と定着ベルト614との付着力が弱められる。そのため、剥離ロール66による定着ベルト614の大きな屈曲によって、用紙Pは定着ベルト614から確実に剥離することが可能となる。
図4は、加圧ベルトモジュール62を定着ベルトモジュール61に対して接離させるリトラクト機構について説明する図である。まず、加圧ベルトモジュール62側の構成について述べる。加圧ベルトモジュール62には、その両側部に支持フレーム100が配設されている。そして、加圧ベルト620を張架する3つのロール、すなわちインレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623は、支持フレーム100に回転自在に支持されている。具体的には、図4に示すように、支持フレーム100には、インレットロール621の回転軸621aを回転自在に支持する第1の支持孔101、加圧ロール622の回転軸622aを回転自在に支持する第2の支持孔102、張架ロール623の回転軸623aを回転自在に支持する第3の支持孔103が設けられ、それぞれインレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623を互いの相対位置関係が変動しないように支持している。
その場合に、支持フレーム100は、加圧ベルト620が回動状態にある場合でも、インレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623の相対位置関係が互いに変動しないように、高い剛性を持った材料が用いられ、また撓み等の変形が生じないような構造で形成されている。
加えて、支持フレーム100には、加圧ベルトモジュール62を定着ベルトモジュール61に接離させる方向に移動させる際の作用点となる2つの円筒状凸部、すなわち第1の円筒状凸部121と第2の円筒状凸部122とが設けられている。第1の円筒状凸部121は、支持フレーム100の中心位置よりも用紙Pの移動方向上流側(インレットロール621側)に配設されている。また、第2の円筒状凸部122は、支持フレーム100の中心位置よりも用紙Pの移動方向下流側(加圧ロール622側)に配設されている。
そして、加圧ベルトモジュール62全体は、例えば、支持フレーム100に配設された第1の円筒状凸部121および第2の円筒状凸部122が定着装置60の本体フレーム(不図示)によって移動可能に支持されている。それにより、定着装置60内において、加圧ベルトモジュール62は定着ベルトモジュール61に対して接離する方向に移動可能に構成されている。
加えて、定着装置60の本体フレームには、駆動モータ(不図示)からの駆動を加圧ベルトモジュール62側に伝達する駆動ギヤ134が設けられている。
まず、加圧ベルトモジュール62が定着ベルトモジュール61から離隔(リトラクト)される場合について述べる。加圧ベルトモジュール62が定着ベルトモジュール61からリトラクトされる際には、第1の偏心カム131、第2の偏心カム132、および第3の偏心カム133は、短径方向がそれぞれ第1の円筒状凸部121、第2の円筒状凸部122および押圧ロール63の回転軸63aを向くように回転する。すると、第1の円筒状凸部121、第2の円筒状凸部122および押圧ロール63の回転軸63aは、それぞれに作用する第1のバネ部材114、第2のバネ部材115および第3のバネ部材116によって、定着ベルトモジュール61から離隔する方向に移動する。そのため、加圧ベルトモジュール62全体が定着ベルトモジュール61からリトラクトされる。
なお、この場合には、定着ベルトモジュール61においても同様に、定着ベルト614を所定の定着可能温度まで均一に上昇させる動作が行われる。
本実施の形態の定着装置60では、加圧ベルトモジュール62が定着ベルトモジュール61に圧接される際に、まず、図5に示したように、加圧ベルト620におけるインレットロール621と加圧ロール622とに張架された間の領域G、すなわち定着ベルトモジュール61側に面し、インレットロール621および加圧ロール622をラップしていない加圧ベルト620の領域Gが、定着ベルトモジュール61との間で第1ニップ部N1(図2参照)を形成する領域周辺に当接するように、加圧ベルトモジュール62を移動させる(第1の圧接動作)。具体的には、第1の偏心カム131を180°回転させ、第1の円筒状凸部121を定着ベルトモジュール61側に移動させる(図中矢印)ことで、加圧ベルト620の領域Gを定着ロール610のラップ領域内で第1ニップ部N1が形成される領域周辺に当接させる。
ここで、第2の圧接動作が完了するまでは、駆動ギヤ134は加圧ベルトモジュール62の移動に追従して移動する。そして、伝達ギヤ622bと駆動ギヤ134との結合状態を維持し、駆動モータからの駆動力を加圧ロール622に伝達し続けて回転させ、加圧ベルト620の回動状態を維持する。その後、第2の圧接動作が完了した時点で駆動ギヤ134は伝達ギヤ622bから離間し、加圧ロール622への駆動力の伝達を停止する。第2の圧接動作が完了して、伝達ギヤ622bからの駆動力の伝達が停止した後は、加圧ベルト620は、定着ベルトモジュール61の定着ベルト614からの駆動力を受けて、定着ベルト614に従動回転することとなる。
このように、本実施の形態の定着装置60では、上記したリトラクト機構により第1の圧接動作から第3の圧接動作に至る一連の動作を行うことで、加圧ベルトモジュール62を定着ベルトモジュール61に圧接させている。
ここで、例えば加圧ベルト620の領域Gを圧接させる際に加圧ロール622が定着ロール610に圧接されていたと仮定する。この場合には、加圧ロール622と定着ロール610との間に生じる圧接力が加圧ベルト620に対して摩擦力として作用するため、加圧ベルト620のテンションの分散が加圧ロール622と定着ロール610との当接部で妨げられることとなる。そのため、例えば加圧ベルト620の領域Gと定着ロール610との圧接部と、加圧ロール622と定着ロール610との圧接部との間の領域で、テンションの上昇分が閉じ込まれることとなり、この領域でテンションが局所的に上昇する。それによって、加圧ベルト620には高いせん断力が作用して加圧ベルト620に破損が発生する可能性が生じる。一方、それ以外の領域、例えば加圧ベルト620の領域Gと定着ロール610との圧接部と、インレットロール621との間の領域では、加圧ベルト620のテンションが低くなり、それにより加圧ベルト620に弛みが生じて、加圧ベルト620に座屈が発生する可能性もある。
実施の形態1では、定着装置60が搭載された画像形成装置であって、定着装置60に用いる加熱手段として、補助加熱部材としての張架ロール615および張架ロール618と、定着ロール610とを含む複数のロールによって無端状の定着ベルト614が張架された定着ベルトモジュール61と、加圧手段としてインレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623により加圧ベルト620が張架された加圧ベルトモジュール62とを用いた構成について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置90であって、定着装置90に用いる加熱手段として定着ロール610を用い、加圧手段として実施の形態1と同様な加圧ベルトモジュール62を用いた定着装置90について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
このような圧接動作を行うことで、定着ロール610が加圧ベルト620の内側に進入するように加圧ベルト620を押圧することで、加圧ベルト620のテンションが上昇しても、その上昇分は加圧ベルト620の全体に亘って均等に分散することが可能となる。そのため、定着ロール610と加圧ベルトモジュール62とを接離するリクラクト動作を行う定着装置90において、加圧ベルトモジュール62の加圧ベルト620に破損や座屈等が発生するといった定着処理に支障をきたす事態の発生を抑え、長期に亘って安定した定着性を確保することが可能となる。
実施の形態1では、定着装置60が搭載された画像形成装置であって、定着装置60に用いる加熱手段として、補助加熱部材としての張架ロール615および張架ロール618と、定着ロール610とを含む複数のロールによって無端状の定着ベルト614が張架された定着ベルトモジュール61と、加圧手段としてインレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623により加圧ベルト620が張架された加圧ベルトモジュール62とを用いた構成について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置91であって、定着装置91に用いる加熱手段として実施の形態1と同様な定着ベルトモジュール61を用い、加圧手段として加圧ロール65を用いた定着装置91について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
ここで、加圧ロール65は、芯材としての金属製の円筒状部材と、円筒状部材の表面にシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性を有する弾性層と、最外表面の表面離型層とで構成されている。そして、加圧ロール65は、定着ベルトモジュール61の定着ベルト610に従動して回転する。
Claims (17)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
回動部材と、
前記回動部材に対して当接状態と離隔状態とが切替可能に設定された無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架するとともに、前記回動部材を押圧可能な加圧ロールと、
前記加圧ロールとともに前記ベルト部材を張架するロール部材と、
前記加圧ロールと前記ロール部材との間に設けられ、前記ベルト部材の内側から当該ベルト部材を介して前記回動部材を押圧可能な押圧部材とを備え、
前記ベルト部材が前記離隔状態から前記当接状態に切り替えられる際に、当該ベルト部材のうち前記加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が前記回動部材に当接した後に、前記加圧ロールが当該回動部材を押圧して、その後に、前記押圧部材が当該ベルト部材を介して当該回動部材を押圧することを特徴とする定着装置。 - 前記ベルト部材は、前記離隔状態から前記当接状態に切り替えられる際に、回動しながら前記回動部材に当接されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、当該ベルト部材の前記加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が前記回動部材に当接し、当該加圧ロールが当該回動部材を押圧する際に、駆動されて回動することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材が前記当接状態から前記離隔状態に切り替えられる際に、前記押圧部材が前記回動部材への押圧を解除した後に、前記加圧ロールが当該回動部材への押圧を解除し、その後、当該ベルト部材のうち当該加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が当該回動部材から離隔することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回動部材は、内部に加熱源が配設された定着ロールと、当該定着ロールに張架される定着ベルトと、当該定着ベルトを張架する張架ロールとを有することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回動部材は、弾性体層が被覆されたロール状部材であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回動部材は、加熱源を有し、前記ベルト部材から離隔された状態にて所定の温度に加熱されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ロール部材は、前記加圧ロールよりも前記記録材搬送方向上流側に配置されるとともに、加熱源が配設されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記加圧ロールおよび前記ロール部材とともに前記ベルト部材を張架し、当該ベルト部材に係る張力が一定となるように荷重を印加する他のロール部材をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
回動部材と、
前記回動部材に対して当接状態と離隔状態とが切替可能に設定された無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架するとともに、前記回動部材を押圧可能な加圧ロールと、
前記加圧ロールとともに前記ベルト部材を張架するロール部材と、
前記加圧ロールと前記ロール部材との間に設けられ、前記ベルト部材の内側から当該ベルト部材を介して前記回動部材を押圧可能な押圧部材とを備え、
前記ベルト部材が前記離隔状態から前記当接状態に切り替えられる際に、当該ベルト部材のうち前記加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が前記回動部材に当接した後に、当該加圧ロールが当該回動部材を押圧して、その後に、前記押圧部材が当該ベルト部材を介して当該回動部材を押圧することを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着手段は、前記ベルト部材と前記回動部材とを当接させる際に、当該ベルト部材のテンションを周方向に亘って略均等に維持することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記ベルト部材は、当該ベルト部材の前記加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が前記回動部材に当接し、当該加圧ロールが当該回動部材を押圧する際に、駆動されて回動することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記ベルト部材が前記当接状態から前記離隔状態に切り替えられる際に、前記押圧部材が前記回動部材への押圧を解除した後に、前記加圧ロールが当該回動部材への押圧を解除し、その後、当該ベルト部材のうち当該加圧ロールおよび前記ロール部材をラップしていない領域が当該回動部材から離隔することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記回動部材は、内部に加熱源が配設された定着ロールと、当該定着ロールに張架される定着ベルトと、当該定着ベルトを張架する張架ロールとを有することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記回動部材は、弾性体層が被覆されたロール状部材であることを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記ロール部材は、前記加圧ロールよりも前記記録材搬送方向上流側に配置されるとともに、加熱源が配設されることを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記加圧ロールおよび前記ロール部材とともに前記ベルト部材を張架し、当該ベルト部材に係る張力が一定となるように荷重を印加する他のロール部材をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
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