JP2004198897A - 加圧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに圧接回転する一対の回転体の不適切な加圧力による弊害を、簡単な構成により未然に防ぐようにしたものである。
【解決手段】互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有するものである。
【選択図】 図2a
【解決手段】互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有するものである。
【選択図】 図2a
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに圧接回転する一対の回転体によってシート状の記録媒体を挟持搬送させる加圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセス方式を応用した画像形成装置としてレーザプリンタ等が知られている。この種の画像形成装置は記録紙、転写紙等のシート状の記録媒体(以下、転写材と称する)を、互いに圧接回転する一対の回転体で挟持搬送させて、転写材に形成された未定着トナー画像を該転写材に定着する定着装置が備えられている。
【0003】
この定着装置として、圧接回転する一対の回転体の加圧力の強い(500N程度)定着装置には、加圧力変更部材たる加圧力変更レバーを設置している事が多い(例えば、特許文献1、2,3参照)。この定着装置においては、未定着像たるトナー像を担持する転写材に該トナー像を定着処理するために、互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体、他方を加圧回転体とし、熱及び圧力を転写材上のトナーに付与させて定着処理する熱ローラ定着装置が使われることが多い。その理由は保存性に優れ、低速機から高速機まで対応できトナーの選択幅が広い等のメリットが多いためである。
【0004】
上記熱ローラ定着装置は、定着体(加熱回転体)たる定着ローラと、加圧体(加圧回転体)たる加圧ローラから構成される。加圧力変更レバーを手動で切り替えることで、定着ローラと加圧ローラの軸間距離を広げたり縮めたりでき、加圧力を増減する事が出来る。加圧力を軽減する主な理由は、封筒を印字する際のシワ防止、ジャム処理しやすくするユーザビリティー向上である。
【0005】
更に、最近では自動加圧力変更装置つまり、加圧力変更レバーが自動化されている定着装置もある。このような自動加圧力変更装置を備えた定着装置は、普通の転写材では加圧力を自動的に大きくし、封筒のように厚みがあり幅の狭い転写材では加圧力を自動的に小さくする。また、転写材通過時のみ加圧し、その他の時には自動的に加圧を弱めることで、ジャム処理しやすくなるとともに、Cセット防止に有効となる。
【0006】
Cセットとは、長期にわたりプリンタ本体を使用せず、定着ローラと加圧ローラを圧接状態で放置しておくと、加圧ローラの弾性層が圧縮により不可逆な変形を生じ、加圧力を変更しても弾性層の形状が戻らず、ニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象である。
【0007】
このCセットしたローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる。そのため、プリント時以外においては、加圧力を自動的に弱めておくことで、Cセット防止が有効に働く。
【特許文献1】
特開平6−337612号公報
【特許文献2】
特開平10−123877号公報
【特許文献3】
特開平10−333386号公報
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、上記のような従来の構成では次に示すような課題があった。
【0009】
ユーザが、加圧力変更レバーを手動操作して加圧力を変更する定着装置においては、ユーザが加圧力変更レバーをジャム処理のために加圧力が弱い状態に変更した後、プリントする前に元の加圧力が強い状態まで戻さなければならない。万一、加圧力変更レバーを戻し忘れたままプリントを行うと、未定着画像が有する転写材が通過すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発し、場合によっては定着装置がトナーにより汚れ通紙不可能の定着器故障になる事もあった。
【0010】
また、ユーザの戻し忘れが発生しない自動加圧力変更装置を有する定着装置においても、加圧力軽減した状態で自動加圧力変更装置が故障した場合、上述した状況と同様に定着装置が汚れてしまう可能性がある。
【0011】
さらに、定着ローラおよび加圧ローラを所定短時間だけ回転させることでクリーニング転写材を短距離ステップ搬送し、所定時間停止させてから、再び短距離ステップ搬送し、所定時間停止させることを繰り返すことで、定着ローラや加圧ローラのトナー汚れをクリーニング転写材に吸着させてクリーニングを行う定着装置においては、加圧力を強めた状態ではクリーニング効果が大きいが、加圧力を弱めた状態では効果が薄れる。
【0012】
そのため、ユーザが加圧力変更レバーを加圧力が弱い状態にしたままのときや、自動加圧力変更装置の故障によって加圧力が弱い状態になったままのときには、クリーニングを行っても、十分なクリーニング効果が得られず、クリーニング不良になってしまう可能性があるという課題があった。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、必要最小限の部品で加圧力変更レバーの戻し忘れを検知あるいは、自動加圧力変更装置の故障を検知することでユーザに警告し、上記のような弊害を事前に防止できる加圧装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記一対の回転体を回転させる回転駆動手段と、上記一対の回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする加圧装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の加圧装置を構成する互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体(以下、定着ローラと称する)、他方を加圧回転体(以下、加圧ローラと称する)とした定着装置(以下、熱ローラ定着装置、熱定着装置とも称する)であって、定着ローラを所定短時間だけ回転駆動させたときの該定着ローラの回転量から加圧状態を判別し、その加圧力を3段階に変更出来る機能を有するものである。
【0017】
図1は、本実施形態の定着装置を適用した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図中1は、画像情報に応じて発信されるレーザー光を照射及び走査する光学手段と走査手段を有したスキャナユニットである。
【0018】
10は主たる画像形成手段を内蔵したプロセスカートリッジであって、潜像保持部材の感光ドラム3、半導電性のゴムからなるローラ帯電器4、トナー6を感光ドラム3上に現像する現像装置5、及び廃トナーを感光ドラム3上から除去するクリーナー8から構成される。
【0019】
このプロセスカートリッジ10内の感光ドラム3は、矢印方向に回転しており、ローラ帯電器4により、その表面を一様に帯電された後、スキャナユニット1で発信されたレーザー光がミラー2を介して照射されることにより、その表面上に静電潜像が形成されるようになっている。そして、この静電潜像は、現像装置5によりトナーが供給され、トナー像として可視像化される。
【0020】
一方、給紙カセット11内の転写材S(秤量64〜199g)は給紙ローラ13により、一枚ずつ分離されて給送され、給紙された転写材Sは、上下ガイド14に沿って、一対のレジストローラ15に搬送される。このレジストローラ15は、転写材Sが来るまで停止しており、これに転写材Sの先端が突き当たることにより、転写材Sの斜行を補正する。次いで、レジストローラ15は、上記感光ドラム3上に形成された画像の先端と同期するように、転写材Sを転写部へと搬送する。
【0021】
なお、このレジストローラ15の近くに給紙センサ12が設置されており、通紙状態やジャム、転写材Sの長さを検知する。上述のようにして転写部に搬送された転写材Sは、転写ローラ7からトナーと逆極性の電荷を転写材Sの裏側から与えられ、上記感光ドラム3上に形成されたトナー像が上記転写材Sに転写される。このトナー像を転写された転写材Sは、搬送ローラ17及び搬送ガイド16により定着装置18に搬送され、上記定着装置18は転写材S上の未定着トナー像を熱及び圧力で、転写材S上に溶解、固着させることにより記録画像とする。
【0022】
画像定着後の転写材Sはフラッパ19により選択され、各搬送ローラを経て2つの排出トレイ20又は21に排出される。また、手差しトレイ9には、主に封筒などの転写材をユーザが積載し、レジストローラ対15により給紙搬送し、上記と同様にトナー像を転写し、定着装置18で定着され、排出トレイ20又は21に排出される。
【0023】
以下、熱定着装置18を図2に基づいて詳しく説明する。図2(a)、(b)、(c)は、熱定着装置18の概略構成を示す断面図である。この熱定着装置18は、定着体たる定着ローラ22と、加圧体たる加圧ローラ23と、定着ローラ22のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ24と、定着ローラ22用の温度検知手段たる温調サーミスタ26と、定着ローラ22に当接した転写材分離手段たる分離爪33と、加圧ローラ23に当接した転写材分離手段たる分離爪34と、定着入り口ガイド30とを備えている。そして、上記温調サーミスタ26は非画像領域に設置している。
【0024】
本実施形態で用いる定着装置の駆動は不図示のDCモータ(回転駆動手段、短時間回転駆動手段)により定着ローラ22を駆動し、加圧ローラ23は定着ローラに圧接して従動回転する。そして、定着ローラ22にはロータリエンコーダ40を設け、このロータリエンコーダ(回転量検出手段)40を回転量を検知する制御部41に接続している。制御部41は、ROM、RAM、タイマ、カウンタ、信号入出力回路などを有するマイクロコンピュータ(加圧状態判別手段、クリーニング手段)を用いている。
【0025】
また、定着排紙前センサ(記録材検出手段)25および定着排紙後センサ(記録材検出手段)27を備え、搬送される転写材の状態を監視し、ジャムを検知したり、定着器内の残留紙を検知したりできるようにしてある。
【0026】
この定着装置は、A3(297mm)幅を最大通紙サイズとする転写材を装置の通紙中心を基準として搬送する中央基準の例である。ヒータ24は120V入力時に1000Wの定格出力が出るものを使用し、ヒータ配光も通紙基準に対して対称な分布になっている。
【0027】
定着ローラ22はアルミニウムを芯金28とする直径52mm、厚さ3.0mmのローラであり、表層にはPFAの離型層29を被膜している。加圧ローラ23はステンレス芯金37上にシリコンスポンジの弾性層31、表層にPFAの離型層であるPFA樹脂チューブ32を有し、直径48mm、製品硬度60°のものを用いている。この加圧ローラ23の熱伝導率は0.7×103W/℃・Cmで、PFA樹脂チューブ32は加圧ローラ23へのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・Cmとなるようにカーボンを混合したものを用いている。この構成においてA4横送りで50枚/分のプリントが可能である。
【0028】
本実施形態における定着装置には加圧力を変更する手段である加圧力変更レバー36を設けている。そして、図2(a)の状態においては、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラ22との間に8.0mmのニップ幅を作る。図2(b)の状態のように、加圧力変更レバー36を手動により1段階押し下げると、加圧バネ35による加圧力は200N程度になり、定着ニップ幅が約4mm程度になる。図2(c)の状態のように、加圧力変更レバー36を手動により2段階押し下げると、加圧力は10N程度になり、定着ニップ幅が約1mm程度になる。このように、3段階の加圧力を切り替えられるようにしてある。
【0029】
通常のプリント時には、加熱・加圧定着に必要な加圧力を得るため、加圧力が最も大きい図2(a)の状態とする。そして、封筒等をプリントする際には加圧力を軽減して転写材を通紙させる事でしわを軽減するため、加圧力が中程度の図2(b)の状態とする。そしてジャム処理時には、定着装置に挟まった転写材を安全かつ容易に取り出せるようにするため、加圧力が最も小さい図2(c)の状態とする。
【0030】
このように加圧力変更レバー(加圧力変更手段)36を手動で切り替えることにより、ジャム処理時のユーザビリティー向上、封筒のシワ防止等が可能となる。但し、ユーザが加圧力変更レバー36をジャム処理目的として加圧力を小さくしたまま、戻し忘れてプリントを行う事が起こり得る。
【0031】
万一、加圧力変更レバー36を戻し忘れたまま未定着画像を通紙すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発する。そして、場合によっては定着装置がトナーにより汚れ通紙不可能になる事もある。これに鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで、加圧力変更レバー36の戻し忘れを未然に防止する。
【0032】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転量を以下の表1に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0033】
【表1】
【0034】
常温放置状態の際、定着ローラ22および加圧ローラ23を回転駆動させる起動時にかかる負荷トルクは、加圧力や定着ニップに大きく依存する。
【0035】
そして、本実施例における3段階の加圧力状態において、表1に示したように、加圧力大で3.0N・Cm、加圧力中で0.5N・Cm、加圧力小で0.05N・Cmといったように差異がある。そのため、モータを所定短時間30mS駆動することで、定着ローラ22が回転起動したときに、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。
【0036】
ここで、所定短時間30mSとしているのは、定常速度回転に至る時間200mSより短い時間に設定してある。定常速度で回転している状態では、回転量が加圧力状態に依らず一定であり、回転量からは加圧力状態の判別ができない。回転起動時には、加圧力状態の違いによる負荷トルクの違いで回転量に差異が出る特長を利用して、定常速度に至らない回転起動時の短時間の駆動を行うことで判別を可能としている。
【0037】
回転起動時に加圧力状態による負荷トルクの違いで回転量に差異が出ることについて、以下に説明する。駆動元としてのDCモータにおいては、駆動開始して定常速度に至るまでの間は最大トルクで駆動し、定常速度に至った後にはトルクを落として駆動する。
【0038】
そして、定常速度に至るまでの速度上昇の傾きおよび到達時間は、負荷トルクに依存して変化し、負荷トルクが小さければ速度上昇も早く到達時間も短くなり、負荷トルクが大きければ速度上昇も遅く到達時間も長くなる。従って、加圧力状態による負荷トルクの違いから、定常速度に至るまでの速度上昇に変化を生じ、その間の回転量も速度に応じて変化するので、回転量を検知することで、回転量の値から加圧力状態を判別可能となる。
【0039】
定着ローラ22の回転量を、ロータリエンコーダ40によって所定角度回転する度にオンオフするパルス波形を出力するようにしておき、その信号が供給された制御部41でパルス数をカウントしたときのカウント数(パルス数)で示すと、表1のように、加圧力大で10パルス、加圧力中で50パルス、加圧力小で150パルスとなる。このように回転量は、加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によりばらつくので、マージンを見て、検知した回転量としてのパルス数において、30パルス未満を加圧力大の状態、30パルス以上100パルス未満を加圧力中の状態、100パルス以上を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0040】
図3のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、プリントを行う時に実施するものとしてある。
【0041】
まず、回転量測定用のカウンタをクリアし、タイマをスタートさせる(ステップS101)。そして、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させる(ステップS102)。ロータリエンコーダ40からのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS103)。タイマにて30mS経過するまでカウントアップを続ける(ステップS104)。
【0042】
そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させる(ステップS105)。30mSの短時間駆動で回転した回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が100以上であれば(ステップS106)、加圧力状態が小と判断する(ステップS107)。この加圧力状態が小(つまり図2(c)の状態)は、ジャム処理用に加圧力を弱めた状態であり、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生するため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS108)。
【0043】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段としての操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が30未満であれば(ステップS109)、加圧力が大と判断する(ステップS110)。この加圧力状態が大(つまり図2(a)の状態)は、普通紙のプリント用に加圧力が高めてある状態であるので、普通紙のプリントかどうか判断して(ステップS111)、普通紙であればプリントを開始する(ステップS113)。加圧力が大で、普通紙ではない封筒のときには、このままプリントすると封筒にシワが発生するので、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS112)。
【0044】
カウンタ値が30以上で100未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS114)。この加圧力状態が中(つまり図2(b)の状態)は、封筒のシワ防止のために加圧力を中程度にした状態であるので、封筒のプリントかどうか判断して(ステップS115)、封筒であればプリントを開始する(ステップS113)。加圧力状態が中で、封筒ではない普通紙のときには、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生するため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS116)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では3段階に加圧力を変更できる加圧力可変装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転駆動させたときの回転量を検知することで、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、定着装置故障等の弊害を事前に回避する事が出来る。回転量検知手段としてロータリエンコーダという簡単な部品の追加だけで、加圧力状態の判断を可能とした。
【0046】
また、この実施形態では、プリントを開始する時に加圧力状態を判別し警告を行う例としているが、電源投入時やドアクローズ時などに実施してもかまわない。もちろん、加圧力の状態を3段階の可変としているが、さらに多段階の可変とした定着装置でも良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態も第1の実施形態と同様に3段階に加圧力を自動的に変更出来る加圧力自動変更機能を有する定着装置であり、定着ローラを定常速度で回転させた状態から回転駆動を停止させたときに、停止するまでの期間の定着ローラの回転量から加圧状態を判別するようにした例である。
【0048】
本実施形態の定着装置を適用する画像形成装置も前記図1に示したものと同様であり、重複説明を省略する。図4は本実施形態における熱定着装置18の概略構成を示す断面図であり、図4(a)、(b)、(c)に基づいて詳しく説明する。この熱定着装置18は、第1の実施形態である熱定着装置18(図2)と異なるのは、加圧力自動変更機能として、ソレノイド42および加圧力変更用カム43が追加されている点にあり、第1の実施形態と同じ部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0049】
図4(a)の状態においては、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させ、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラとの間に8.0mmのニップ幅を作る。図4(a)の状態は、第1の実施形態での加圧力が大きい状態である図2(a)に相当する。
【0050】
図4(b)の状態のように、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させることで、加圧バネ35による加圧力は200N程度になり、定着ニップ幅が約4mm程度になる。図4(b)の状態は、第1の実施形態での加圧力が中程度の状態である図2(b)に相当する。
【0051】
そして、図4(c)の状態のように、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させることで、加圧力は10N程度になり、定着ニップ幅が約1mm程度になる。この図4(c)の状態は、第1の実施形態での加圧力が小さい状態である図2(c)に相当する。
【0052】
このように、ソレノイド42を駆動して加圧力変更用カム43を回転させて位置を変えることで、3段階の加圧力を自動的に切り替えられるようにしてある。普通紙のプリント時には、加熱・加圧定着に必要な加圧力を得るため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も大きい図4(a)の状態とする。
【0053】
そして、封筒等をプリントする際には加圧力を軽減して転写材を通紙させる事でしわを軽減するため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が中程度の図4(b)の状態とする。そして、ジャム処理時に、定着装置に挟まった転写材を安全かつ容易に取り出せるようにするため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も小さい図4(c)の状態とする。また、自動的に加圧力を切り替えできることから、プリントを行わない時にも、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も小さい図4(c)の状態としておくことで、Cセット防止にも有効となる。
【0054】
Cセットとは前述のように、長期にわたりプリンタ本体を使用せず、定着ローラ22と加圧ローラ23を圧接状態で放置しておくと、加圧ローラ23の弾性層31が圧縮により不可逆な変形が生じ、加圧力を変更しても弾性層31の形状が戻らず、ニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象である。
【0055】
このCセットしたローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる。第1の実施形態のように、ユーザが、加圧力変更レバー36を、プリントを開始する度に加圧力を強め、プリントが終了する度に加圧力を弱めるといった動作を毎回行うことは、ユーザビリティー上、期待できない。
【0056】
本実施形態では自動加圧力変更手段を有するので、プリント開始時に自動で加圧力を大きくし、プリント終了時に自動で加圧力を小さくすることが容易にでき、Cセット防止に有効である。このように自動加圧力変更装置により自動的に加圧力を切り替えることにより、ジャム処理時のユーザビリティー向上、Cセット防止、封筒のシワ防止等が可能となる。
【0057】
しかし、ユーザの戻し忘れが発生しない自動加圧力変更装置においても、加圧力軽減した状態で自動加圧力変更装置が故障した場合、未定着画像を通紙すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発し、場合によっては定着装置がトナーにより、汚れ通紙不可能になる等の不都合がある。これに鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで、上記の不都合を未然に防止するようにした。
【0058】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、定常回転からモータ停止させて回転停止するまでの定着ローラの回転量を以下の表2に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0059】
【表2】
【0060】
負荷トルクおよび摩擦力は、加圧力や定着ニップに大きく依存する。そして、本実施形態における3段階の加圧力状態において、表2に示したように、加圧力大で3.0N・Cm、加圧力中で0.5N・Cm、加圧力小で0.05N・Cmといったように差異がある。
【0061】
そのため、定着ローラ22および加圧ローラ23が定常回転した後に、モータの駆動を停止させ、実際に定着ローラ22の回転が停止するまでの、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。定常速度で回転している状態では、回転量が加圧力状態に依らず一定であり、回転量からは加圧力状態の判別ができない。しかし、回転停止時には、加圧力状態の違いによる摩擦力の違いで回転量に差異が出る特長を利用して、定常速度から回転駆動停止し、実際に回転停止するまでの回転量を検知することで判別を可能としている。
【0062】
回転停止時に加圧力状態による摩擦力の違いで回転量に差異が出ることについて、以下に説明する。このようなDCモータにおいては、定常速度で回転している時には慣性モーメントは、加圧力状態に依らず同じである。しかし、定常速度から回転駆動を停止して、実際に回転が停止するまで速度降下の傾きおよび到達時間は、摩擦力に依存して変化し、加圧力大で摩擦力が大きければ速度下降も早く到達時間も短くなり、加圧力小で摩擦力が小さければ速度下降も遅く到達時間も長くなる。
【0063】
従って、加圧力状態による摩擦力の違いから、定常速度から駆動停止してから実際に停止するまでの到達時間に変化を生じ、その間の回転量も到達時間に応じて変化するので、この回転量を検知することで、この回転量の値から加圧力状態が判別可能となる。
【0064】
定着ローラ22の回転量を、ロータリエンコーダ40によって所定角度回転する度にオンオフするパルス波形を出力するようにしておき、その信号が接続された制御部41でパルス数をカウントしたときのカウント数(パルス数)で示すと、表2のように、加圧力大で20パルス、加圧力中で100パルス、加圧力小で300パルスとなる。この違いから、加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によりこの回転量はばらつくので、マージンを見て、検知した回転量としてのパルス数において、60パルス未満を加圧力大の状態、60パルス以上200パルス未満を加圧力中の状態、200パルス以上を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0065】
図5のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この判別および警告の制御は、プリントを行う時に実施するものとする。
【0066】
まず、プリントを行うべき用紙が、封筒か普通紙かを判断し(ステップS201)、封筒でなければ(普通紙であれば)、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力大に自動設定する(ステップS202)。封筒であれば、シワを防止したプリントを行うべく、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力中に自動設定する(ステップS203)。その後、定着駆動モータを駆動し、定着ローラ22および加圧ローラ23を定常回転させる(ステップS204)。
【0067】
そして、定常回転後に、定着駆動モータを停止させ(ステップS205)、回転量検知用のパルス計測カウンタをクリアする(ステップS206)。そして、ロータリエンコーダ40からのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS207)。その後、ロータリエンコーダ40からの回転パルス信号が無くなるまで(つまり定着ローラ22の回転が停止するまで)(ステップS208)、回転のパルス信号をカウントアップする。
【0068】
定常回転後、定着駆動モータを駆動停止させ、実際に定着ローラの回転が停止するまでの回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が200以上であれば(ステップS209)、加圧力状態が小と判断する(ステップS210)。この加圧力状態が小(つまり図4(c)の状態)は、ジャム処理およびCセット防止のために加圧力を弱めた状態であり、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生してしまう。
【0069】
また、プリントのため加圧力状態を自動加圧力変更機構によって加圧力大(ステップS202)もしくは加圧力中(ステップS203)に設定したにもかかわらず、加圧力小の状態であるため、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS211)。
【0070】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段としての操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が60未満であれば(ステップS212)、加圧力が大と判断する(ステップS213)。
【0071】
この加圧力状態が大(つまり図4(a)の状態)は、普通紙のプリント用に加圧力が高めてある状態である。検知した加圧力状態が加圧力大なので、自動加圧力変更機構による設定が加圧力大だったかどうか判断して(ステップS214)、一致していれば普通紙のプリントを開始する(ステップS216)。
【0072】
検知した加圧力状態が加圧力大にもかかわらず、自動加圧力変更機構による設定が加圧力中であった場合には、このままプリントすると封筒にシワが発生してしまうのと、自動加圧力変更機構が故障しているので、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS215)。
【0073】
カウンタ値が60以上で200未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS218)。この加圧力状態が中(つまり図4(b)の状態)は、封筒のシワ防止のために加圧力を中程度にした状態である。検知した加圧力状態が加圧力中なので、自動加圧力変更機構による設定が加圧力中だったかどうか判断して(ステップS219)、一致していれば封筒のプリントを開始する(ステップS216)。
【0074】
検知した加圧力状態が加圧力中にもかかわらず、自動加圧力変更機構の設定が加圧力大であった場合には、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生することと、自動加圧力変更機構が故障していることから、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS220)。
【0075】
また、検知した加圧力状態と、自動加圧力変更機構の設定が一致した場合、プリントを開始して(ステップS216)、プリントが終了したら自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力小に設定して(ステップS217)、Cセット防止やジャム処理がしやすいようにする。
【0076】
以上説明したように、3段階に自動的に加圧力を変更できる自動加圧力変更機構を有する熱ローラ定着装置においては、定着ローラおよび加圧ローラを定常回転した後に、定着モータの駆動を停止させ、実際に定着ローラの回転が停止するまでの回転量を検知し、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに自動加圧力変更機構の故障を警告する事で、未定着トナーによる汚れなどの弊害を事前に回避する事が出来た。
【0077】
また、この実施形態では、プリントを開始する時に加圧力状態を判別し警告を行う例としているが、電源投入時やドアクローズ時などに実施してもかまわない。もちろん、加圧力状態を3段階としているがさらに多段階に変更できる自動加圧力変更機能を有しても良いし、熱ローラ定着装置だけでなく、IH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0078】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では3段階に加圧力を変更出来る加圧力可変装置を有する定着装置において、定着ローラおよび加圧ローラにニップ間で所定短期間ステップ搬送しては停止させるクリーニング手段(定着クリーニング手段)を有し、このクリーニング手段中の所定短期間の定着ローラの回転量から加圧状態を判別した例について述べる。
【0079】
図1に示す画像形成装置に適用した図2に示す熱定着装置の構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転量との関係については、前記表1と同様であるので、重複説明を省略する。
【0080】
クリーニング手段は、用紙(転写材)先端が定着装置18の定着排紙前センサ25に検知されたことをもって開始し、用紙後端が定着装置18の定着前センサ25を抜けたことを検知したことをもって終了する例とする。そして、クリーニングは、加圧力状態として加圧力を大とし、所定短時間30mSだけ定着駆動モータを回転駆動させることで用紙を2mm分ステップ搬送し、定着駆動モータを10S停止させてから、再び30mS駆動してステップ搬送し、再び10S停止して、これを繰り返す例とする。
【0081】
このように、搬送停止を繰り返すことで、ローラに付着したトナーが、熱加圧された定着ローラと加圧ローラに加圧され挟まれた用紙に、吸着されることで、ローラ付着のトナー汚れを除去することが可能となる。
【0082】
但し、このクリーニングは、加圧力を弱めた状態では、効果が薄れ、クリーニング不良が発生することがある。そのため、ユーザが加圧力変更レバー36を、加圧力状態が小さい状態にして戻し忘れているときには、クリーニング不良になってしまう。これを鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することでクリーニング不良を未然に防ぐようにした。
【0083】
図6のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、クリーニングを行う時に実施するものとしてある。
【0084】
まず、定着駆動モータを駆動し、クリーニング用の用紙を定常速度で搬送し、用紙先端が定着排紙前センサ25に到達するのを待つ(ステップS301)。用紙先端が定着排紙前センサ25に到達したら、定着駆動モータを停止する(ステップS302)。回転量測定用のカウンタをクリアし、タイマをスタートさせる(ステップS303)。
【0085】
そして、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させる(ステップS304)。ロータリエンコーダからのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS305)。タイマにて30mS経過するまでカウントアップを続ける(ステップS306)。
【0086】
そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させるとともにタイマを再スタートさせる(ステップS307)。30mSの短時間駆動で回転した回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が100以上であれば(ステップS308)、加圧力状態が小と判断する(ステップS309)。この加圧力状態が小(つまり図2(c)の状態)は、加圧力を弱めた状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS312)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS316)。
【0087】
警告の報知方法としては、操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。
【0088】
カウンタ値が30未満であれば(ステップS310)、加圧力が大と判断する(ステップS110)。この加圧力状態が大(つまり図2(a)の状態)は、加圧力が高めてある状態であるので、クリーニングに適しておりクリーニングを継続する。タイマが10S経過するのを待ち(ステップS314)、用紙後端が定着排紙前センサ25をぬけるまで(ステップS315)、ステップS303に戻って、30mSの定着駆動モータの駆動と、10Sの定着モータの駆動停止を繰り返して、クリーニングを行う。用紙後端が定着排紙前センサ25を抜けたら、定着駆動モータを駆動して用紙を排出してクリーニングを終了する(ステップS316)。
【0089】
カウンタ値が30以上で100未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS311)。この加圧力状態が中(つまり図2(b)の状態)は、加圧力を中程度にした状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS312)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS316)。
【0090】
以上説明したように、3段階に加圧力を変更できる加圧力可変装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転させ、所定時間だけ定着ローラおよび加圧ローラの回転を停止させることを繰り返してクリーニングを行う。
【0091】
そして、このクリーニングを行っている最中に、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転駆動させたときの回転量を検知することで、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、クリーニング不良を回避する事が出来た。もちろん、加圧力の状態を3段階の可変としているがさらに多段階の可変とした定着装置でも良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0092】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は3段階に加圧力を自動的に変更出来る自動加圧力変更装置を有する定着装置において、定着ローラおよび加圧ローラにニップ間で所定短期間ステップ搬送しては停止させるクリーニング手段を有し、クリーニング手段中のステップ搬送時の搬送距離から加圧状態を判別する例である。
【0093】
本実施形態の定着装置を適用する画像形成装置も前記図1に示したものと同様であり、重複説明を省略する。図7は本実施形態における熱定着装置18の概略構成を示す断面図であり、図7(a)、(b)、(c)に基づいて詳しく説明する。この熱定着装置18は、第1の実施形態である熱定着装置18(図4)と異なるのは、定着ローラ22の回転量を測定するためのロータリエンコーダ40が無い点にあり、第2の実施形態と同じ部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0094】
加圧力状態については、図7(a)は第2の実施形態の図4(a)と同じで、図7(b)は第2の実施形態の図4(b)と同じで、図7(c)は第2の実施形態の図4(
c)と同じである。
【0095】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転によって搬送される転写材の搬送距離を以下の表3に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0096】
【表3】
【0097】
第1の実施形態である表1にて説明した通り、モータを所定短時間30mS駆動することで、定着ローラ22が回転起動したときに、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。その時に定着ローラ22および加圧ローラ23で挟持されて搬送される転写材の搬送距離は、回転量に応じて差異を生じ、表3のように、加圧力大で2mm、加圧力中で10mm、加圧力小で30mmとなる。
【0098】
そこで、所定距離を、この1回のステップ搬送を何回行うことで搬送できるかに着目して、加圧力状態を判別するようにした。具体的には、用紙先端が、定着排紙前センサ25から定着排紙後センサ27まで搬送される所定距離60mmを、何回のステップ搬送で搬送できるかを数えて、その回数(回転量)で見分ける。
【0099】
所定距離60mmを搬送するのに必要なステップ搬送の回数は、加圧力大では60mm/2mm=30回、加圧力中では60mm/10mm=6回、加圧力小では60mm/30mm=2回となる。加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によるこのステップ搬送距離のばらつきと、定着排紙前センサ25および定着排紙後センサ27での用紙検出のばらつきを含め、マージンを見て、検知したステップ搬送の回数において、18回以上を加圧力大の状態、4回以上18回未満を加圧力中の状態、4回未満を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0100】
クリーニング手段は、第3の実施形態にて説明した方法と同じとする。用紙先端が定着装置18の定着排紙前センサ25に検知されたことをもって開始し、用紙後端が定着装置18の定着前センサ25を抜けたことを検知したことをもって終了する例とする。
【0101】
そして、この実施形態では自動加圧力変更機能を有しているので、クリーニングは、自動加圧力変更機能によって自動的に加圧力を大の状態に設定し、所定短時間30mSだけ定着駆動モータを回転駆動させることで用紙を2mm分ステップ搬送し、定着駆動モータを10S停止させてから、再び30mS駆動してステップ搬送し、再び10S停止して、これを繰り返す。
【0102】
このように、繰り返すことで、ローラに付着したトナーが、熱加圧された定着ローラと加圧ローラに加圧され挟まれた用紙に吸着されることで、ローラ付着のトナー汚れを除去することが可能となる。但し、自動加圧力変更機能が加圧力を弱めた状態で故障している場合には、クリーニングの効果が薄れ、ユーザはクリーニングしたつもりでも、実際にはクリーニング不良となっている可能性がある。これに鑑みて、本実施形態では、前述したように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで未然に防ぐようにした。
【0103】
以下、図8のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、クリーニングを行う時に実施するものとしてある。
【0104】
まず、クリーニングを効果的に実施するため、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力大に自動的に設定する(ステップS401)。次に、定着駆動モータを駆動し、クリーニング用の用紙を定常速度で搬送し、用紙先端が定着排紙前センサ25に到達するのを待つ(ステップS402)。用紙先端が定着排紙前センサ25に到達したら、定着駆動モータを停止する(ステップS403)。
【0105】
ステップ搬送回数測定用のカウンタをクリアし(ステップS404)、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させてタイマを開始する(ステップS405)。タイマにて30mS経過するまで待つ(ステップS406)。そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させるとともにタイマを再スタートさせる(ステップS407)。
【0106】
用紙先端が定着排紙後センサ27に到達しているかどうか判断し(ステップS408)、到達していなければステップ搬送回数測定用のカウンタを1カウントアップする(ステップS409)。そして、タイマが10S経過するのを待ち(ステップS415)、用紙後端が定着排紙前センサ25をぬけるまで(ステップS416)、ステップS405に戻って、30mSの定着駆動モータの駆動と、10Sの定着モータの駆動停止を繰り返して、クリーニングを行う。
【0107】
クリーニング途中で、用紙先端が定着排紙後センサ27に到達しているときには(ステップ408)、用紙先端が定着排紙前センサ25から定着排紙後センサ27に到達するまでの距離60mmを、何回のステップ搬送で搬送されたかを測定したカウンタ値により、カウンタ値が18以上であれば(ステップS410)、加圧力状態が小と判断する(ステップS411)。この加圧力状態が小(つまり図7(c)の状態)は、加圧力を弱めた状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS417)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS418)。
【0108】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段として操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が4未満であれば(ステップS412)、加圧力が大と判断する(ステップS414)。この加圧力状態が大(つまり図7(a)の状態)は、加圧力が高めてある状態であるので、クリーニングに適しておりクリーニングを継続する。そして、用紙後端が定着排紙前センサ25を抜けたら(ステップS416)、定着駆動モータを駆動して用紙を排出してクリーニングを終了する(ステップS418)。
【0109】
カウンタ値が4以上で18未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS413)。この加圧力状態が中(つまり図7(b)の状態)は、加圧力を中程度にした状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS417)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS418)。
【0110】
以上説明したように、3段階に加圧力を変更できる自動加圧力変更装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転させ(ステップ搬送)、所定時間だけ定着ローラおよび加圧ローラの回転を停止させることを繰り返してクリーニングを行う。
【0111】
そして、このクリーニングを行っている最中に、所定距離を搬送するのに要したステップ搬送の回数を検知することで、このステップ搬送の回数から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、クリーニング不良を回避する事が出来た。
【0112】
この実施形態での加圧力状態判別手段には、第1,2,3の実施形態で用いた回転量検知手段としてのロータリエンコーダ部品も不要であり、コストアップとならない利点がある。もちろん、加圧力状態を3段階としているがさらに多段階に変更できる自動加圧力変更機能を有しても良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0113】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられてた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0114】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0115】
(実施形態1) 互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記一対の回転体を回転させる回転駆動手段と、上記一対の回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする加圧装置。
【0116】
(実施形態2) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体・他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記加熱回転体もしくは加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0117】
(実施形態3) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度で回転駆動させた後に回転駆動を停止させ、定常速度から回転駆動停止させて回転が停止するまでの間に上記加熱回転体もしくは加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0118】
(実施形態4) 前記回転量検出手段としてエンコーダを用いることを特徴とすることを特徴とする実施形態2又は3記載の定着装置。
【0119】
(実施形態5) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段によって記録媒体の搬送を繰返し行い、記録媒体を所定量搬送するために要した前記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0120】
(実施形態6) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段による記録媒体の搬送を繰返し行い、前記記録媒体検出手段により記録媒体を検出しながら該記録媒体を所定量搬送するために要した、上記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0121】
(実施形態7) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体の下流に配置した記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段による記録媒体の搬送を繰返し行い、下流の記録媒体検出手段により記録媒体が検出されるまでの所定量搬送に要した、前記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0122】
(実施形態8) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、上記トナー画像を担持した記録媒体を加熱及び加圧することにより該トナー画像を該記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置として実施形態2〜7のいずれかに記載の定着手段を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0123】
(実施形態9) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により上記記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、上記所定短時間の回転駆動によって上記加熱回転体及び加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0124】
(実施形態10) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、上記記録媒体を所定量搬送するために要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0125】
(実施形態11) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、クリーニング開始からクリーニング終了までの上記記録媒体の搬送に要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0126】
(実施形態12) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体の下流に配置された記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、下流の記録媒体検出手段により記録媒体が検出されるまでの所定量搬送に要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0127】
(実施形態13) 前記加圧状態判別手段によって判別された上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態と、記録媒体の画像形成に最適な上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態が異なるときには警告を報知する手段を有することを特徴とする実施形態8〜12のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【0128】
(実施形態14) 加圧力変更手段は自動の加圧力変更機能を有し該自動加圧力変更機能によって設定された加圧力の状態と、前記加圧状態判別手段によって判別された上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態が異なるときには自動加圧力変更機能の故障警告を報知する手段を有することを特徴とする実施形態8〜12のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、互いに圧接回転する一対の回転体を
回転駆動させたときの回転量から上記一対の回転体の加圧力の状態を判断するように構成したので、不適切な加圧力のときはユーザに警告する事で、不適切な加圧力による弊害を未然に防ぐことを可能とした加圧装置を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧装置を定着装置として適用した画像形成装置の概略。
【図2a】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図2b】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図2c】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図3】第1の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図4a】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図4b】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図4c】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図5】第2の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図6】第3の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図7a】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図7b】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図7c】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図8】第4の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【符号の説明】
1 スキャナユニット、2 ミラー、3 感光ドラム、4 ローラ帯電器、5現像装置、6 トナー、18 定着装置、(熱定着装置)、22 定着ローラ(加熱回転体)、23 加圧ローラ(加圧回転体)、40 ロータリエンコーダ(回転量検出手段)、41 制御部(加圧状態判断手段、クリーニング手段)、35 加圧バネ、36 加圧力変更レバー(加圧力変更手段)、42 ソレノイド、43 加圧力変更用カム(加圧力変更手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに圧接回転する一対の回転体によってシート状の記録媒体を挟持搬送させる加圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセス方式を応用した画像形成装置としてレーザプリンタ等が知られている。この種の画像形成装置は記録紙、転写紙等のシート状の記録媒体(以下、転写材と称する)を、互いに圧接回転する一対の回転体で挟持搬送させて、転写材に形成された未定着トナー画像を該転写材に定着する定着装置が備えられている。
【0003】
この定着装置として、圧接回転する一対の回転体の加圧力の強い(500N程度)定着装置には、加圧力変更部材たる加圧力変更レバーを設置している事が多い(例えば、特許文献1、2,3参照)。この定着装置においては、未定着像たるトナー像を担持する転写材に該トナー像を定着処理するために、互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体、他方を加圧回転体とし、熱及び圧力を転写材上のトナーに付与させて定着処理する熱ローラ定着装置が使われることが多い。その理由は保存性に優れ、低速機から高速機まで対応できトナーの選択幅が広い等のメリットが多いためである。
【0004】
上記熱ローラ定着装置は、定着体(加熱回転体)たる定着ローラと、加圧体(加圧回転体)たる加圧ローラから構成される。加圧力変更レバーを手動で切り替えることで、定着ローラと加圧ローラの軸間距離を広げたり縮めたりでき、加圧力を増減する事が出来る。加圧力を軽減する主な理由は、封筒を印字する際のシワ防止、ジャム処理しやすくするユーザビリティー向上である。
【0005】
更に、最近では自動加圧力変更装置つまり、加圧力変更レバーが自動化されている定着装置もある。このような自動加圧力変更装置を備えた定着装置は、普通の転写材では加圧力を自動的に大きくし、封筒のように厚みがあり幅の狭い転写材では加圧力を自動的に小さくする。また、転写材通過時のみ加圧し、その他の時には自動的に加圧を弱めることで、ジャム処理しやすくなるとともに、Cセット防止に有効となる。
【0006】
Cセットとは、長期にわたりプリンタ本体を使用せず、定着ローラと加圧ローラを圧接状態で放置しておくと、加圧ローラの弾性層が圧縮により不可逆な変形を生じ、加圧力を変更しても弾性層の形状が戻らず、ニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象である。
【0007】
このCセットしたローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる。そのため、プリント時以外においては、加圧力を自動的に弱めておくことで、Cセット防止が有効に働く。
【特許文献1】
特開平6−337612号公報
【特許文献2】
特開平10−123877号公報
【特許文献3】
特開平10−333386号公報
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、上記のような従来の構成では次に示すような課題があった。
【0009】
ユーザが、加圧力変更レバーを手動操作して加圧力を変更する定着装置においては、ユーザが加圧力変更レバーをジャム処理のために加圧力が弱い状態に変更した後、プリントする前に元の加圧力が強い状態まで戻さなければならない。万一、加圧力変更レバーを戻し忘れたままプリントを行うと、未定着画像が有する転写材が通過すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発し、場合によっては定着装置がトナーにより汚れ通紙不可能の定着器故障になる事もあった。
【0010】
また、ユーザの戻し忘れが発生しない自動加圧力変更装置を有する定着装置においても、加圧力軽減した状態で自動加圧力変更装置が故障した場合、上述した状況と同様に定着装置が汚れてしまう可能性がある。
【0011】
さらに、定着ローラおよび加圧ローラを所定短時間だけ回転させることでクリーニング転写材を短距離ステップ搬送し、所定時間停止させてから、再び短距離ステップ搬送し、所定時間停止させることを繰り返すことで、定着ローラや加圧ローラのトナー汚れをクリーニング転写材に吸着させてクリーニングを行う定着装置においては、加圧力を強めた状態ではクリーニング効果が大きいが、加圧力を弱めた状態では効果が薄れる。
【0012】
そのため、ユーザが加圧力変更レバーを加圧力が弱い状態にしたままのときや、自動加圧力変更装置の故障によって加圧力が弱い状態になったままのときには、クリーニングを行っても、十分なクリーニング効果が得られず、クリーニング不良になってしまう可能性があるという課題があった。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、必要最小限の部品で加圧力変更レバーの戻し忘れを検知あるいは、自動加圧力変更装置の故障を検知することでユーザに警告し、上記のような弊害を事前に防止できる加圧装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記一対の回転体を回転させる回転駆動手段と、上記一対の回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする加圧装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の加圧装置を構成する互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体(以下、定着ローラと称する)、他方を加圧回転体(以下、加圧ローラと称する)とした定着装置(以下、熱ローラ定着装置、熱定着装置とも称する)であって、定着ローラを所定短時間だけ回転駆動させたときの該定着ローラの回転量から加圧状態を判別し、その加圧力を3段階に変更出来る機能を有するものである。
【0017】
図1は、本実施形態の定着装置を適用した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図中1は、画像情報に応じて発信されるレーザー光を照射及び走査する光学手段と走査手段を有したスキャナユニットである。
【0018】
10は主たる画像形成手段を内蔵したプロセスカートリッジであって、潜像保持部材の感光ドラム3、半導電性のゴムからなるローラ帯電器4、トナー6を感光ドラム3上に現像する現像装置5、及び廃トナーを感光ドラム3上から除去するクリーナー8から構成される。
【0019】
このプロセスカートリッジ10内の感光ドラム3は、矢印方向に回転しており、ローラ帯電器4により、その表面を一様に帯電された後、スキャナユニット1で発信されたレーザー光がミラー2を介して照射されることにより、その表面上に静電潜像が形成されるようになっている。そして、この静電潜像は、現像装置5によりトナーが供給され、トナー像として可視像化される。
【0020】
一方、給紙カセット11内の転写材S(秤量64〜199g)は給紙ローラ13により、一枚ずつ分離されて給送され、給紙された転写材Sは、上下ガイド14に沿って、一対のレジストローラ15に搬送される。このレジストローラ15は、転写材Sが来るまで停止しており、これに転写材Sの先端が突き当たることにより、転写材Sの斜行を補正する。次いで、レジストローラ15は、上記感光ドラム3上に形成された画像の先端と同期するように、転写材Sを転写部へと搬送する。
【0021】
なお、このレジストローラ15の近くに給紙センサ12が設置されており、通紙状態やジャム、転写材Sの長さを検知する。上述のようにして転写部に搬送された転写材Sは、転写ローラ7からトナーと逆極性の電荷を転写材Sの裏側から与えられ、上記感光ドラム3上に形成されたトナー像が上記転写材Sに転写される。このトナー像を転写された転写材Sは、搬送ローラ17及び搬送ガイド16により定着装置18に搬送され、上記定着装置18は転写材S上の未定着トナー像を熱及び圧力で、転写材S上に溶解、固着させることにより記録画像とする。
【0022】
画像定着後の転写材Sはフラッパ19により選択され、各搬送ローラを経て2つの排出トレイ20又は21に排出される。また、手差しトレイ9には、主に封筒などの転写材をユーザが積載し、レジストローラ対15により給紙搬送し、上記と同様にトナー像を転写し、定着装置18で定着され、排出トレイ20又は21に排出される。
【0023】
以下、熱定着装置18を図2に基づいて詳しく説明する。図2(a)、(b)、(c)は、熱定着装置18の概略構成を示す断面図である。この熱定着装置18は、定着体たる定着ローラ22と、加圧体たる加圧ローラ23と、定着ローラ22のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ24と、定着ローラ22用の温度検知手段たる温調サーミスタ26と、定着ローラ22に当接した転写材分離手段たる分離爪33と、加圧ローラ23に当接した転写材分離手段たる分離爪34と、定着入り口ガイド30とを備えている。そして、上記温調サーミスタ26は非画像領域に設置している。
【0024】
本実施形態で用いる定着装置の駆動は不図示のDCモータ(回転駆動手段、短時間回転駆動手段)により定着ローラ22を駆動し、加圧ローラ23は定着ローラに圧接して従動回転する。そして、定着ローラ22にはロータリエンコーダ40を設け、このロータリエンコーダ(回転量検出手段)40を回転量を検知する制御部41に接続している。制御部41は、ROM、RAM、タイマ、カウンタ、信号入出力回路などを有するマイクロコンピュータ(加圧状態判別手段、クリーニング手段)を用いている。
【0025】
また、定着排紙前センサ(記録材検出手段)25および定着排紙後センサ(記録材検出手段)27を備え、搬送される転写材の状態を監視し、ジャムを検知したり、定着器内の残留紙を検知したりできるようにしてある。
【0026】
この定着装置は、A3(297mm)幅を最大通紙サイズとする転写材を装置の通紙中心を基準として搬送する中央基準の例である。ヒータ24は120V入力時に1000Wの定格出力が出るものを使用し、ヒータ配光も通紙基準に対して対称な分布になっている。
【0027】
定着ローラ22はアルミニウムを芯金28とする直径52mm、厚さ3.0mmのローラであり、表層にはPFAの離型層29を被膜している。加圧ローラ23はステンレス芯金37上にシリコンスポンジの弾性層31、表層にPFAの離型層であるPFA樹脂チューブ32を有し、直径48mm、製品硬度60°のものを用いている。この加圧ローラ23の熱伝導率は0.7×103W/℃・Cmで、PFA樹脂チューブ32は加圧ローラ23へのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・Cmとなるようにカーボンを混合したものを用いている。この構成においてA4横送りで50枚/分のプリントが可能である。
【0028】
本実施形態における定着装置には加圧力を変更する手段である加圧力変更レバー36を設けている。そして、図2(a)の状態においては、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラ22との間に8.0mmのニップ幅を作る。図2(b)の状態のように、加圧力変更レバー36を手動により1段階押し下げると、加圧バネ35による加圧力は200N程度になり、定着ニップ幅が約4mm程度になる。図2(c)の状態のように、加圧力変更レバー36を手動により2段階押し下げると、加圧力は10N程度になり、定着ニップ幅が約1mm程度になる。このように、3段階の加圧力を切り替えられるようにしてある。
【0029】
通常のプリント時には、加熱・加圧定着に必要な加圧力を得るため、加圧力が最も大きい図2(a)の状態とする。そして、封筒等をプリントする際には加圧力を軽減して転写材を通紙させる事でしわを軽減するため、加圧力が中程度の図2(b)の状態とする。そしてジャム処理時には、定着装置に挟まった転写材を安全かつ容易に取り出せるようにするため、加圧力が最も小さい図2(c)の状態とする。
【0030】
このように加圧力変更レバー(加圧力変更手段)36を手動で切り替えることにより、ジャム処理時のユーザビリティー向上、封筒のシワ防止等が可能となる。但し、ユーザが加圧力変更レバー36をジャム処理目的として加圧力を小さくしたまま、戻し忘れてプリントを行う事が起こり得る。
【0031】
万一、加圧力変更レバー36を戻し忘れたまま未定着画像を通紙すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発する。そして、場合によっては定着装置がトナーにより汚れ通紙不可能になる事もある。これに鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで、加圧力変更レバー36の戻し忘れを未然に防止する。
【0032】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転量を以下の表1に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0033】
【表1】
【0034】
常温放置状態の際、定着ローラ22および加圧ローラ23を回転駆動させる起動時にかかる負荷トルクは、加圧力や定着ニップに大きく依存する。
【0035】
そして、本実施例における3段階の加圧力状態において、表1に示したように、加圧力大で3.0N・Cm、加圧力中で0.5N・Cm、加圧力小で0.05N・Cmといったように差異がある。そのため、モータを所定短時間30mS駆動することで、定着ローラ22が回転起動したときに、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。
【0036】
ここで、所定短時間30mSとしているのは、定常速度回転に至る時間200mSより短い時間に設定してある。定常速度で回転している状態では、回転量が加圧力状態に依らず一定であり、回転量からは加圧力状態の判別ができない。回転起動時には、加圧力状態の違いによる負荷トルクの違いで回転量に差異が出る特長を利用して、定常速度に至らない回転起動時の短時間の駆動を行うことで判別を可能としている。
【0037】
回転起動時に加圧力状態による負荷トルクの違いで回転量に差異が出ることについて、以下に説明する。駆動元としてのDCモータにおいては、駆動開始して定常速度に至るまでの間は最大トルクで駆動し、定常速度に至った後にはトルクを落として駆動する。
【0038】
そして、定常速度に至るまでの速度上昇の傾きおよび到達時間は、負荷トルクに依存して変化し、負荷トルクが小さければ速度上昇も早く到達時間も短くなり、負荷トルクが大きければ速度上昇も遅く到達時間も長くなる。従って、加圧力状態による負荷トルクの違いから、定常速度に至るまでの速度上昇に変化を生じ、その間の回転量も速度に応じて変化するので、回転量を検知することで、回転量の値から加圧力状態を判別可能となる。
【0039】
定着ローラ22の回転量を、ロータリエンコーダ40によって所定角度回転する度にオンオフするパルス波形を出力するようにしておき、その信号が供給された制御部41でパルス数をカウントしたときのカウント数(パルス数)で示すと、表1のように、加圧力大で10パルス、加圧力中で50パルス、加圧力小で150パルスとなる。このように回転量は、加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によりばらつくので、マージンを見て、検知した回転量としてのパルス数において、30パルス未満を加圧力大の状態、30パルス以上100パルス未満を加圧力中の状態、100パルス以上を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0040】
図3のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、プリントを行う時に実施するものとしてある。
【0041】
まず、回転量測定用のカウンタをクリアし、タイマをスタートさせる(ステップS101)。そして、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させる(ステップS102)。ロータリエンコーダ40からのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS103)。タイマにて30mS経過するまでカウントアップを続ける(ステップS104)。
【0042】
そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させる(ステップS105)。30mSの短時間駆動で回転した回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が100以上であれば(ステップS106)、加圧力状態が小と判断する(ステップS107)。この加圧力状態が小(つまり図2(c)の状態)は、ジャム処理用に加圧力を弱めた状態であり、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生するため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS108)。
【0043】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段としての操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が30未満であれば(ステップS109)、加圧力が大と判断する(ステップS110)。この加圧力状態が大(つまり図2(a)の状態)は、普通紙のプリント用に加圧力が高めてある状態であるので、普通紙のプリントかどうか判断して(ステップS111)、普通紙であればプリントを開始する(ステップS113)。加圧力が大で、普通紙ではない封筒のときには、このままプリントすると封筒にシワが発生するので、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS112)。
【0044】
カウンタ値が30以上で100未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS114)。この加圧力状態が中(つまり図2(b)の状態)は、封筒のシワ防止のために加圧力を中程度にした状態であるので、封筒のプリントかどうか判断して(ステップS115)、封筒であればプリントを開始する(ステップS113)。加圧力状態が中で、封筒ではない普通紙のときには、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生するため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知しプリントは行わない(ステップS116)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では3段階に加圧力を変更できる加圧力可変装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転駆動させたときの回転量を検知することで、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、定着装置故障等の弊害を事前に回避する事が出来る。回転量検知手段としてロータリエンコーダという簡単な部品の追加だけで、加圧力状態の判断を可能とした。
【0046】
また、この実施形態では、プリントを開始する時に加圧力状態を判別し警告を行う例としているが、電源投入時やドアクローズ時などに実施してもかまわない。もちろん、加圧力の状態を3段階の可変としているが、さらに多段階の可変とした定着装置でも良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態も第1の実施形態と同様に3段階に加圧力を自動的に変更出来る加圧力自動変更機能を有する定着装置であり、定着ローラを定常速度で回転させた状態から回転駆動を停止させたときに、停止するまでの期間の定着ローラの回転量から加圧状態を判別するようにした例である。
【0048】
本実施形態の定着装置を適用する画像形成装置も前記図1に示したものと同様であり、重複説明を省略する。図4は本実施形態における熱定着装置18の概略構成を示す断面図であり、図4(a)、(b)、(c)に基づいて詳しく説明する。この熱定着装置18は、第1の実施形態である熱定着装置18(図2)と異なるのは、加圧力自動変更機能として、ソレノイド42および加圧力変更用カム43が追加されている点にあり、第1の実施形態と同じ部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0049】
図4(a)の状態においては、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させ、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラとの間に8.0mmのニップ幅を作る。図4(a)の状態は、第1の実施形態での加圧力が大きい状態である図2(a)に相当する。
【0050】
図4(b)の状態のように、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させることで、加圧バネ35による加圧力は200N程度になり、定着ニップ幅が約4mm程度になる。図4(b)の状態は、第1の実施形態での加圧力が中程度の状態である図2(b)に相当する。
【0051】
そして、図4(c)の状態のように、加圧力変更用カム43が図のような位置になるように制御部41よりソレノイド42を駆動させることで、加圧力は10N程度になり、定着ニップ幅が約1mm程度になる。この図4(c)の状態は、第1の実施形態での加圧力が小さい状態である図2(c)に相当する。
【0052】
このように、ソレノイド42を駆動して加圧力変更用カム43を回転させて位置を変えることで、3段階の加圧力を自動的に切り替えられるようにしてある。普通紙のプリント時には、加熱・加圧定着に必要な加圧力を得るため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も大きい図4(a)の状態とする。
【0053】
そして、封筒等をプリントする際には加圧力を軽減して転写材を通紙させる事でしわを軽減するため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が中程度の図4(b)の状態とする。そして、ジャム処理時に、定着装置に挟まった転写材を安全かつ容易に取り出せるようにするため、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も小さい図4(c)の状態とする。また、自動的に加圧力を切り替えできることから、プリントを行わない時にも、自動加圧力変更機能を働かせて、加圧力が最も小さい図4(c)の状態としておくことで、Cセット防止にも有効となる。
【0054】
Cセットとは前述のように、長期にわたりプリンタ本体を使用せず、定着ローラ22と加圧ローラ23を圧接状態で放置しておくと、加圧ローラ23の弾性層31が圧縮により不可逆な変形が生じ、加圧力を変更しても弾性層31の形状が戻らず、ニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象である。
【0055】
このCセットしたローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる。第1の実施形態のように、ユーザが、加圧力変更レバー36を、プリントを開始する度に加圧力を強め、プリントが終了する度に加圧力を弱めるといった動作を毎回行うことは、ユーザビリティー上、期待できない。
【0056】
本実施形態では自動加圧力変更手段を有するので、プリント開始時に自動で加圧力を大きくし、プリント終了時に自動で加圧力を小さくすることが容易にでき、Cセット防止に有効である。このように自動加圧力変更装置により自動的に加圧力を切り替えることにより、ジャム処理時のユーザビリティー向上、Cセット防止、封筒のシワ防止等が可能となる。
【0057】
しかし、ユーザの戻し忘れが発生しない自動加圧力変更装置においても、加圧力軽減した状態で自動加圧力変更装置が故障した場合、未定着画像を通紙すると、未定着オフセットトナーにより画像不良が発生し、ジャムが多発し、場合によっては定着装置がトナーにより、汚れ通紙不可能になる等の不都合がある。これに鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで、上記の不都合を未然に防止するようにした。
【0058】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、定常回転からモータ停止させて回転停止するまでの定着ローラの回転量を以下の表2に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0059】
【表2】
【0060】
負荷トルクおよび摩擦力は、加圧力や定着ニップに大きく依存する。そして、本実施形態における3段階の加圧力状態において、表2に示したように、加圧力大で3.0N・Cm、加圧力中で0.5N・Cm、加圧力小で0.05N・Cmといったように差異がある。
【0061】
そのため、定着ローラ22および加圧ローラ23が定常回転した後に、モータの駆動を停止させ、実際に定着ローラ22の回転が停止するまでの、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。定常速度で回転している状態では、回転量が加圧力状態に依らず一定であり、回転量からは加圧力状態の判別ができない。しかし、回転停止時には、加圧力状態の違いによる摩擦力の違いで回転量に差異が出る特長を利用して、定常速度から回転駆動停止し、実際に回転停止するまでの回転量を検知することで判別を可能としている。
【0062】
回転停止時に加圧力状態による摩擦力の違いで回転量に差異が出ることについて、以下に説明する。このようなDCモータにおいては、定常速度で回転している時には慣性モーメントは、加圧力状態に依らず同じである。しかし、定常速度から回転駆動を停止して、実際に回転が停止するまで速度降下の傾きおよび到達時間は、摩擦力に依存して変化し、加圧力大で摩擦力が大きければ速度下降も早く到達時間も短くなり、加圧力小で摩擦力が小さければ速度下降も遅く到達時間も長くなる。
【0063】
従って、加圧力状態による摩擦力の違いから、定常速度から駆動停止してから実際に停止するまでの到達時間に変化を生じ、その間の回転量も到達時間に応じて変化するので、この回転量を検知することで、この回転量の値から加圧力状態が判別可能となる。
【0064】
定着ローラ22の回転量を、ロータリエンコーダ40によって所定角度回転する度にオンオフするパルス波形を出力するようにしておき、その信号が接続された制御部41でパルス数をカウントしたときのカウント数(パルス数)で示すと、表2のように、加圧力大で20パルス、加圧力中で100パルス、加圧力小で300パルスとなる。この違いから、加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によりこの回転量はばらつくので、マージンを見て、検知した回転量としてのパルス数において、60パルス未満を加圧力大の状態、60パルス以上200パルス未満を加圧力中の状態、200パルス以上を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0065】
図5のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この判別および警告の制御は、プリントを行う時に実施するものとする。
【0066】
まず、プリントを行うべき用紙が、封筒か普通紙かを判断し(ステップS201)、封筒でなければ(普通紙であれば)、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力大に自動設定する(ステップS202)。封筒であれば、シワを防止したプリントを行うべく、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力中に自動設定する(ステップS203)。その後、定着駆動モータを駆動し、定着ローラ22および加圧ローラ23を定常回転させる(ステップS204)。
【0067】
そして、定常回転後に、定着駆動モータを停止させ(ステップS205)、回転量検知用のパルス計測カウンタをクリアする(ステップS206)。そして、ロータリエンコーダ40からのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS207)。その後、ロータリエンコーダ40からの回転パルス信号が無くなるまで(つまり定着ローラ22の回転が停止するまで)(ステップS208)、回転のパルス信号をカウントアップする。
【0068】
定常回転後、定着駆動モータを駆動停止させ、実際に定着ローラの回転が停止するまでの回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が200以上であれば(ステップS209)、加圧力状態が小と判断する(ステップS210)。この加圧力状態が小(つまり図4(c)の状態)は、ジャム処理およびCセット防止のために加圧力を弱めた状態であり、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生してしまう。
【0069】
また、プリントのため加圧力状態を自動加圧力変更機構によって加圧力大(ステップS202)もしくは加圧力中(ステップS203)に設定したにもかかわらず、加圧力小の状態であるため、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS211)。
【0070】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段としての操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が60未満であれば(ステップS212)、加圧力が大と判断する(ステップS213)。
【0071】
この加圧力状態が大(つまり図4(a)の状態)は、普通紙のプリント用に加圧力が高めてある状態である。検知した加圧力状態が加圧力大なので、自動加圧力変更機構による設定が加圧力大だったかどうか判断して(ステップS214)、一致していれば普通紙のプリントを開始する(ステップS216)。
【0072】
検知した加圧力状態が加圧力大にもかかわらず、自動加圧力変更機構による設定が加圧力中であった場合には、このままプリントすると封筒にシワが発生してしまうのと、自動加圧力変更機構が故障しているので、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS215)。
【0073】
カウンタ値が60以上で200未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS218)。この加圧力状態が中(つまり図4(b)の状態)は、封筒のシワ防止のために加圧力を中程度にした状態である。検知した加圧力状態が加圧力中なので、自動加圧力変更機構による設定が加圧力中だったかどうか判断して(ステップS219)、一致していれば封筒のプリントを開始する(ステップS216)。
【0074】
検知した加圧力状態が加圧力中にもかかわらず、自動加圧力変更機構の設定が加圧力大であった場合には、このままプリントすると良好な定着が得られず、未定着オフセットトナーによるジャム、分離爪汚れ、ローラ汚れが発生することと、自動加圧力変更機構が故障していることから、ユーザに自動加圧力変更機構の故障警告を報知しプリントは行わない(ステップS220)。
【0075】
また、検知した加圧力状態と、自動加圧力変更機構の設定が一致した場合、プリントを開始して(ステップS216)、プリントが終了したら自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力小に設定して(ステップS217)、Cセット防止やジャム処理がしやすいようにする。
【0076】
以上説明したように、3段階に自動的に加圧力を変更できる自動加圧力変更機構を有する熱ローラ定着装置においては、定着ローラおよび加圧ローラを定常回転した後に、定着モータの駆動を停止させ、実際に定着ローラの回転が停止するまでの回転量を検知し、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに自動加圧力変更機構の故障を警告する事で、未定着トナーによる汚れなどの弊害を事前に回避する事が出来た。
【0077】
また、この実施形態では、プリントを開始する時に加圧力状態を判別し警告を行う例としているが、電源投入時やドアクローズ時などに実施してもかまわない。もちろん、加圧力状態を3段階としているがさらに多段階に変更できる自動加圧力変更機能を有しても良いし、熱ローラ定着装置だけでなく、IH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0078】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では3段階に加圧力を変更出来る加圧力可変装置を有する定着装置において、定着ローラおよび加圧ローラにニップ間で所定短期間ステップ搬送しては停止させるクリーニング手段(定着クリーニング手段)を有し、このクリーニング手段中の所定短期間の定着ローラの回転量から加圧状態を判別した例について述べる。
【0079】
図1に示す画像形成装置に適用した図2に示す熱定着装置の構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転量との関係については、前記表1と同様であるので、重複説明を省略する。
【0080】
クリーニング手段は、用紙(転写材)先端が定着装置18の定着排紙前センサ25に検知されたことをもって開始し、用紙後端が定着装置18の定着前センサ25を抜けたことを検知したことをもって終了する例とする。そして、クリーニングは、加圧力状態として加圧力を大とし、所定短時間30mSだけ定着駆動モータを回転駆動させることで用紙を2mm分ステップ搬送し、定着駆動モータを10S停止させてから、再び30mS駆動してステップ搬送し、再び10S停止して、これを繰り返す例とする。
【0081】
このように、搬送停止を繰り返すことで、ローラに付着したトナーが、熱加圧された定着ローラと加圧ローラに加圧され挟まれた用紙に、吸着されることで、ローラ付着のトナー汚れを除去することが可能となる。
【0082】
但し、このクリーニングは、加圧力を弱めた状態では、効果が薄れ、クリーニング不良が発生することがある。そのため、ユーザが加圧力変更レバー36を、加圧力状態が小さい状態にして戻し忘れているときには、クリーニング不良になってしまう。これを鑑みて、本実施形態では、後述するように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することでクリーニング不良を未然に防ぐようにした。
【0083】
図6のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、クリーニングを行う時に実施するものとしてある。
【0084】
まず、定着駆動モータを駆動し、クリーニング用の用紙を定常速度で搬送し、用紙先端が定着排紙前センサ25に到達するのを待つ(ステップS301)。用紙先端が定着排紙前センサ25に到達したら、定着駆動モータを停止する(ステップS302)。回転量測定用のカウンタをクリアし、タイマをスタートさせる(ステップS303)。
【0085】
そして、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させる(ステップS304)。ロータリエンコーダからのパルス信号にて、カウンタをカウントアップさせる(ステップS305)。タイマにて30mS経過するまでカウントアップを続ける(ステップS306)。
【0086】
そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させるとともにタイマを再スタートさせる(ステップS307)。30mSの短時間駆動で回転した回転量に相当するカウンタ値により、カウンタ値が100以上であれば(ステップS308)、加圧力状態が小と判断する(ステップS309)。この加圧力状態が小(つまり図2(c)の状態)は、加圧力を弱めた状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS312)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS316)。
【0087】
警告の報知方法としては、操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。
【0088】
カウンタ値が30未満であれば(ステップS310)、加圧力が大と判断する(ステップS110)。この加圧力状態が大(つまり図2(a)の状態)は、加圧力が高めてある状態であるので、クリーニングに適しておりクリーニングを継続する。タイマが10S経過するのを待ち(ステップS314)、用紙後端が定着排紙前センサ25をぬけるまで(ステップS315)、ステップS303に戻って、30mSの定着駆動モータの駆動と、10Sの定着モータの駆動停止を繰り返して、クリーニングを行う。用紙後端が定着排紙前センサ25を抜けたら、定着駆動モータを駆動して用紙を排出してクリーニングを終了する(ステップS316)。
【0089】
カウンタ値が30以上で100未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS311)。この加圧力状態が中(つまり図2(b)の状態)は、加圧力を中程度にした状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS312)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS316)。
【0090】
以上説明したように、3段階に加圧力を変更できる加圧力可変装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転させ、所定時間だけ定着ローラおよび加圧ローラの回転を停止させることを繰り返してクリーニングを行う。
【0091】
そして、このクリーニングを行っている最中に、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転駆動させたときの回転量を検知することで、回転量から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、クリーニング不良を回避する事が出来た。もちろん、加圧力の状態を3段階の可変としているがさらに多段階の可変とした定着装置でも良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0092】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は3段階に加圧力を自動的に変更出来る自動加圧力変更装置を有する定着装置において、定着ローラおよび加圧ローラにニップ間で所定短期間ステップ搬送しては停止させるクリーニング手段を有し、クリーニング手段中のステップ搬送時の搬送距離から加圧状態を判別する例である。
【0093】
本実施形態の定着装置を適用する画像形成装置も前記図1に示したものと同様であり、重複説明を省略する。図7は本実施形態における熱定着装置18の概略構成を示す断面図であり、図7(a)、(b)、(c)に基づいて詳しく説明する。この熱定着装置18は、第1の実施形態である熱定着装置18(図4)と異なるのは、定着ローラ22の回転量を測定するためのロータリエンコーダ40が無い点にあり、第2の実施形態と同じ部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0094】
加圧力状態については、図7(a)は第2の実施形態の図4(a)と同じで、図7(b)は第2の実施形態の図4(b)と同じで、図7(c)は第2の実施形態の図4(
c)と同じである。
【0095】
以上のような構成において、各加圧力状態と、各加圧力状態におけるニップ幅、回転負荷トルク、所定短時間30mS間モータ駆動させた場合の定着ローラの回転によって搬送される転写材の搬送距離を以下の表3に示す。以下の値は常温(24℃)、24VのDCモータを用いた時の値である。
【0096】
【表3】
【0097】
第1の実施形態である表1にて説明した通り、モータを所定短時間30mS駆動することで、定着ローラ22が回転起動したときに、定着ローラ22が回転する回転量にも差異を生じる。その時に定着ローラ22および加圧ローラ23で挟持されて搬送される転写材の搬送距離は、回転量に応じて差異を生じ、表3のように、加圧力大で2mm、加圧力中で10mm、加圧力小で30mmとなる。
【0098】
そこで、所定距離を、この1回のステップ搬送を何回行うことで搬送できるかに着目して、加圧力状態を判別するようにした。具体的には、用紙先端が、定着排紙前センサ25から定着排紙後センサ27まで搬送される所定距離60mmを、何回のステップ搬送で搬送できるかを数えて、その回数(回転量)で見分ける。
【0099】
所定距離60mmを搬送するのに必要なステップ搬送の回数は、加圧力大では60mm/2mm=30回、加圧力中では60mm/10mm=6回、加圧力小では60mm/30mm=2回となる。加圧力や定着ニップ量や定着ローラ温度によるこのステップ搬送距離のばらつきと、定着排紙前センサ25および定着排紙後センサ27での用紙検出のばらつきを含め、マージンを見て、検知したステップ搬送の回数において、18回以上を加圧力大の状態、4回以上18回未満を加圧力中の状態、4回未満を加圧力小の状態といったように、加圧力状態を判別する。
【0100】
クリーニング手段は、第3の実施形態にて説明した方法と同じとする。用紙先端が定着装置18の定着排紙前センサ25に検知されたことをもって開始し、用紙後端が定着装置18の定着前センサ25を抜けたことを検知したことをもって終了する例とする。
【0101】
そして、この実施形態では自動加圧力変更機能を有しているので、クリーニングは、自動加圧力変更機能によって自動的に加圧力を大の状態に設定し、所定短時間30mSだけ定着駆動モータを回転駆動させることで用紙を2mm分ステップ搬送し、定着駆動モータを10S停止させてから、再び30mS駆動してステップ搬送し、再び10S停止して、これを繰り返す。
【0102】
このように、繰り返すことで、ローラに付着したトナーが、熱加圧された定着ローラと加圧ローラに加圧され挟まれた用紙に吸着されることで、ローラ付着のトナー汚れを除去することが可能となる。但し、自動加圧力変更機能が加圧力を弱めた状態で故障している場合には、クリーニングの効果が薄れ、ユーザはクリーニングしたつもりでも、実際にはクリーニング不良となっている可能性がある。これに鑑みて、本実施形態では、前述したように、加圧力状態を検知する手段を設け、警告を報知することで未然に防ぐようにした。
【0103】
以下、図8のフローチャートを用い、加圧力状態の判別および警告の制御について説明する。この実施形態では、判別および警告の制御は、クリーニングを行う時に実施するものとしてある。
【0104】
まず、クリーニングを効果的に実施するため、自動加圧力変更機構により加圧力状態を加圧力大に自動的に設定する(ステップS401)。次に、定着駆動モータを駆動し、クリーニング用の用紙を定常速度で搬送し、用紙先端が定着排紙前センサ25に到達するのを待つ(ステップS402)。用紙先端が定着排紙前センサ25に到達したら、定着駆動モータを停止する(ステップS403)。
【0105】
ステップ搬送回数測定用のカウンタをクリアし(ステップS404)、定着駆動モータを駆動させて定着ローラおよび加圧ローラを回転起動させてタイマを開始する(ステップS405)。タイマにて30mS経過するまで待つ(ステップS406)。そして、タイマにて30mS経過したら、定着駆動モータを停止させるとともにタイマを再スタートさせる(ステップS407)。
【0106】
用紙先端が定着排紙後センサ27に到達しているかどうか判断し(ステップS408)、到達していなければステップ搬送回数測定用のカウンタを1カウントアップする(ステップS409)。そして、タイマが10S経過するのを待ち(ステップS415)、用紙後端が定着排紙前センサ25をぬけるまで(ステップS416)、ステップS405に戻って、30mSの定着駆動モータの駆動と、10Sの定着モータの駆動停止を繰り返して、クリーニングを行う。
【0107】
クリーニング途中で、用紙先端が定着排紙後センサ27に到達しているときには(ステップ408)、用紙先端が定着排紙前センサ25から定着排紙後センサ27に到達するまでの距離60mmを、何回のステップ搬送で搬送されたかを測定したカウンタ値により、カウンタ値が18以上であれば(ステップS410)、加圧力状態が小と判断する(ステップS411)。この加圧力状態が小(つまり図7(c)の状態)は、加圧力を弱めた状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS417)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS418)。
【0108】
警告の報知方法としては、警告を報知する手段として操作パネル(不図示)への表示やブザー(不図示)での警告音でも良いし、プリンタと接続されているPC(不図示)の画面上への表示でも良い。カウンタ値が4未満であれば(ステップS412)、加圧力が大と判断する(ステップS414)。この加圧力状態が大(つまり図7(a)の状態)は、加圧力が高めてある状態であるので、クリーニングに適しておりクリーニングを継続する。そして、用紙後端が定着排紙前センサ25を抜けたら(ステップS416)、定着駆動モータを駆動して用紙を排出してクリーニングを終了する(ステップS418)。
【0109】
カウンタ値が4以上で18未満であれば、加圧力状態が中と判断する(ステップS413)。この加圧力状態が中(つまり図7(b)の状態)は、加圧力を中程度にした状態であり、このままクリーニングを行っても良好なクリーニング効果が得られないため、ユーザに加圧力状態の異常警告を報知し(ステップS417)、クリーニングを中止して定着駆動モータを駆動して用紙を排出する(ステップS418)。
【0110】
以上説明したように、3段階に加圧力を変更できる自動加圧力変更装置を有する熱ローラ定着装置において、所定短時間だけ定着ローラおよび加圧ローラを回転させ(ステップ搬送)、所定時間だけ定着ローラおよび加圧ローラの回転を停止させることを繰り返してクリーニングを行う。
【0111】
そして、このクリーニングを行っている最中に、所定距離を搬送するのに要したステップ搬送の回数を検知することで、このステップ搬送の回数から加圧状態を認識し、ユーザに警告する事で、クリーニング不良を回避する事が出来た。
【0112】
この実施形態での加圧力状態判別手段には、第1,2,3の実施形態で用いた回転量検知手段としてのロータリエンコーダ部品も不要であり、コストアップとならない利点がある。もちろん、加圧力状態を3段階としているがさらに多段階に変更できる自動加圧力変更機能を有しても良いし、熱ローラ定着装置だけでなくIH定着装置等の加圧力可変機構が設けられている定着装置に応用できる事は言うまでもない。
【0113】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられてた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0114】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0115】
(実施形態1) 互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記一対の回転体を回転させる回転駆動手段と、上記一対の回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする加圧装置。
【0116】
(実施形態2) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体・他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記加熱回転体もしくは加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0117】
(実施形態3) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度で回転駆動させた後に回転駆動を停止させ、定常速度から回転駆動停止させて回転が停止するまでの間に上記加熱回転体もしくは加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0118】
(実施形態4) 前記回転量検出手段としてエンコーダを用いることを特徴とすることを特徴とする実施形態2又は3記載の定着装置。
【0119】
(実施形態5) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段によって記録媒体の搬送を繰返し行い、記録媒体を所定量搬送するために要した前記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0120】
(実施形態6) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段による記録媒体の搬送を繰返し行い、前記記録媒体検出手段により記録媒体を検出しながら該記録媒体を所定量搬送するために要した、上記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0121】
(実施形態7) 互いに圧接回転する一対の回転体の一方を加熱回転体で他方を加圧回転体とし、未定着画像を担持する記録媒体を、上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、上記加熱回転体及び加圧回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体の下流に配置した記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段による記録媒体の搬送を繰返し行い、下流の記録媒体検出手段により記録媒体が検出されるまでの所定量搬送に要した、前記短時間回転駆動の繰返し回数により、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする定着装置。
【0122】
(実施形態8) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、上記トナー画像を担持した記録媒体を加熱及び加圧することにより該トナー画像を該記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置として実施形態2〜7のいずれかに記載の定着手段を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0123】
(実施形態9) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記加熱回転体もしくは加圧回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により上記記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、上記所定短時間の回転駆動によって上記加熱回転体及び加圧回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0124】
(実施形態10) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、上記記録媒体を所定量搬送するために要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0125】
(実施形態11) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、クリーニング開始からクリーニング終了までの上記記録媒体の搬送に要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0126】
(実施形態12) 記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成手段と、トナー画像を担持した記録媒体を互いに圧接回転する上記加熱回転体及び加圧回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧することにより、上記トナー画像を上記記録媒体に定着させる定着装置とを有する画像形成装置において、上記定着装置は、上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体の下流に配置された記録媒体の搬送状態を検出する記録媒体検出手段と、上記加熱回転体及び加圧回転体を回転させる回転駆動手段と、上記回転駆動手段により上記加熱回転体及び加圧回転体定着を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させる短時間回転駆動手段と、上記短時間回転駆動手段により記録媒体を搬送しては停止することを繰返し行うことで上記加熱回転体及び加圧回転体のクリーニングを行うクリーニング手段と、上記クリーニング手段によるクリーニング動作中に、下流の記録媒体検出手段により記録媒体が検出されるまでの所定量搬送に要した上記短時間回転駆動の繰返し回数を数え、繰返し回数の値により上記加熱回転体及び加圧回転体の加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0127】
(実施形態13) 前記加圧状態判別手段によって判別された上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態と、記録媒体の画像形成に最適な上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態が異なるときには警告を報知する手段を有することを特徴とする実施形態8〜12のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【0128】
(実施形態14) 加圧力変更手段は自動の加圧力変更機能を有し該自動加圧力変更機能によって設定された加圧力の状態と、前記加圧状態判別手段によって判別された上記加熱回転体及び加圧回転体の互いの加圧力の状態が異なるときには自動加圧力変更機能の故障警告を報知する手段を有することを特徴とする実施形態8〜12のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、互いに圧接回転する一対の回転体を
回転駆動させたときの回転量から上記一対の回転体の加圧力の状態を判断するように構成したので、不適切な加圧力のときはユーザに警告する事で、不適切な加圧力による弊害を未然に防ぐことを可能とした加圧装置を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧装置を定着装置として適用した画像形成装置の概略。
【図2a】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図2b】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図2c】本発明の加圧装置により構成した第1の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図3】第1の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図4a】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図4b】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図4c】本発明の加圧装置により構成した第2の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図5】第2の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図6】第3の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【図7a】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図7b】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図7c】本発明の加圧装置により構成した第4の実施形態の熱ローラ定着装置の概略図。
【図8】第4の実施形態で用いた加圧力状態の判別制御フローチャート。
【符号の説明】
1 スキャナユニット、2 ミラー、3 感光ドラム、4 ローラ帯電器、5現像装置、6 トナー、18 定着装置、(熱定着装置)、22 定着ローラ(加熱回転体)、23 加圧ローラ(加圧回転体)、40 ロータリエンコーダ(回転量検出手段)、41 制御部(加圧状態判断手段、クリーニング手段)、35 加圧バネ、36 加圧力変更レバー(加圧力変更手段)、42 ソレノイド、43 加圧力変更用カム(加圧力変更手段)。
Claims (1)
- 互いに圧接回転する一対の回転体と、この一対の回転体の当接圧力を複数段階に変更できる加圧力変更手段と、上記一対の回転体を回転させる回転駆動手段と、上記一対の回転体の回転量を検出する回転量検出手段と、上記回転駆動手段により上記一対の回転体を定常速度まで至らない所定短時間だけ回転駆動させ、上記所定短時間中における回転駆動によって上記一対の回転体が回転した回転量を上記回転量検出手段によって検出し、検出した回転量により上記一対の回転体の互いの加圧力の状態を判別する加圧状態判別手段とを有することを特徴とする加圧装置。
Priority Applications (1)
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JP2002369654A JP2004198897A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 加圧装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004198897A true JP2004198897A (ja) | 2004-07-15 |
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Family Applications (1)
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JP2002369654A Pending JP2004198897A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 加圧装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-12-20 JP JP2002369654A patent/JP2004198897A/ja active Pending
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