JP4721540B2 - 圧電トランス及び電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電トランス及び電源装置に関するもので、特に各種電子機器に用いられるコンバータやインバータなどに、好適に用いられる圧電トランス及びスイッチング電源装置に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、各種電子機器の小型化に対応して、スイッチング電源装置の小型及び低背化が重要な課題である。特に、小型低背化を図るうえにおいては、電圧の昇圧や降圧を行うトランスの小型低背化が重要となる。
【0003】
一般的には、回路の高周波化に伴い電磁トランスの小型化を図る方法、もしくは圧電トランスを用いることで小型化が図られている。特に低背化に際しては、電磁トランスでは小型化による損失の増大が起こるため、高い電力密度が得られる圧電トランスが有効な部品として使用されるようになってきている。例えば、液晶のバックライトに用いられる冷陰極管の点灯用インバータの昇圧用圧電トランスとして実用化されている。
【0004】
昇圧用圧電トランスの構造としては、従来、図10に示される長方形状圧電基板81の長手方向の約半分を1次側として、厚み方向に電極82、83が形成され且つ厚み方向に分極され、さらに残りの約半分を2次側として、長手方向端面に電極84が形成され且つ長手方向に分極された、ローゼン型圧電トランスが知られている。
【0005】
ローゼン型圧電トランスは、昇圧比が高く、且つ出力側インピーダンスが数100KΩの高インピーダンスであることから、インピーダンス整合がとりやすいバックライト点灯用インバータに適した特性を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ローゼン型圧電トランスでは、降圧特性が得られないという問題があった。特に、AC−DCコンバータやDC−DCコンバータ用降圧トランスとして用いる場合、負荷のインピーダンスが1KΩ未満程度と低インピーダンスであるため、インピーダンス整合をとることが困難であり、出力電力及び効率が低くなるといった問題があった。
【0007】
本発明は、低負荷時に高出力電力、高効率が得られる圧電トランス及び電源装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の圧電トランスは、長さL、幅Wの長方形である圧電基板の両主面に、前記圧電基板の長さ方向に、第1電圧入力部、電圧出力部、第2電圧入力部が順次形成され、前記第1電圧入力部及び前記第2電圧入力部にそれぞれ入力側電極、前記電圧出力部に出力側電極けられており、前記圧電基板の主面の長さLと幅Wの比(L/W)が1.1〜1.4であって、前記圧電基板がその厚さ方向に分極されているとともに前記圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmであり、前記圧電基板の長さ方向の振動及び幅方向の振動からなる複合モードの振動を利用する圧電トランスである。
【0009】
本発明では、上記圧電基板の構造と駆動周波数を採用することにより、低い負荷抵抗において大出力電力及び高効率特性を示し、かつ、周波数変動における、効率の変動がほとんどない圧電トランスが得られる。また、圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmを満足するように、駆動周波数Fを変化させることにより、圧電トランスの電圧出力部からの出力電力を変化させることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、圧電基板の長さ方向に、第1電圧入力部、電圧出力部、第2電圧入力部順次形成されている。さらに、本発明の圧電トランスは、第1電圧入力部、第2電圧入力部への入力電圧を、同振幅かつ同位相の交流信号で励振することで、大電力かつ高効率を得ることができる。
【0011】
さらに、本発明は、電圧入力部び電圧出力部における圧電基板の内部に、厚み方向に所定間隔をおいて入力側電極、出力側電極がそれぞれ複数形成されており、該入力側電極、出力側電極がそれぞれ交互に電気的に接続されていることが望ましい。このように、電圧入力部及び電圧出力部における圧電基板の内部に内部電極を形成することにより、静電容量を任意に変更することができ、昇降圧比を制御することができる。
【0012】
本発明の電源装置は、上記圧電トランスを具備するもので、圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmを満足するように、圧電トランスの駆動周波数Fを変化させることにより、前記圧電トランスの電圧出力部からの出力電力を変化させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の電源装置は、直流電源電圧を高周波の交流信号に変換するスイッチ部と、高周波交流信号を昇降圧する圧電トランスと、変圧された高周波信号を直流の出力電圧に変換する整流回路と、出力電圧を検出する電圧検出部と、該電圧検出部の出力に応じ前記スイッチ部の開閉を制御する制御部とを具備することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の単板型の圧電トランスは、図1に示すように、厚さ方向に分極され、主面が長さL、幅Wの長方形状の圧電基板11の長さ方向に、第1電圧入力部A1、電圧出力部B1、第2電圧入力部C1が順次形成されている。
【0015】
これらの第1電圧入力部A1、電圧出力部B1、第2電圧入力部C1における圧電基板11の上側の主面には、入力側電極12、出力側電極14、入力側電極13がそれぞれ形成されており、これらの電極12、13、14は、圧電基板11の長さ方向に所定間隔を置いて形成されている。また、圧電基板11の下側の主面には、入力側電極15、出力側電極17、入力側電極16が、圧電基板11の長さ方向に所定間隔を置いてそれぞれ形成されている。
【0016】
即ち、第1電圧入力部A1における圧電基板11の両主面には、入力側電極12、15が形成され、電圧出力部B1における圧電基板11の両主面には、出力側電極14、17が形成され、第2電圧入力部C1における圧電基板11の両主面には、入力側電極13、16が形成され、電極12〜17は、一辺が圧電基板11の主面の幅Wと同一長さとされ、他辺は主面の長さ方向にそれぞれ任意の長さ、例えばL1、L2、L3とされている。
【0017】
また、入力側電極12と入力側電極15が同一寸法とされ、出力側電極14と出力側電極17が同一寸法とされ、入力側電極13と入力側電極16が同一寸法とされている。
【0018】
そして、本発明の圧電トランスでは、圧電基板11の主面の長さLと幅Wの比(L/W)が1.1〜1.4であり、かつ圧電基板11の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmであることが重要である。
【0019】
圧電基板11の主面の長さLと幅Wの比(L/W)を1.1〜1.4とすることにより、高いエネルギー変換効率を有することができる。
【0020】
一方、圧電基板11の主面の長さLと幅Wの比(L/W)が1.1よりも小さい場合もしくは1.4よりも大きい場合には、出力電力が低下したり、効率が低下する。
【0021】
本発明では、圧電基板11の主面の長さLと幅Wの比(L/W)を1.1〜1.4とし、かつ圧電基板11の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)を4700〜6000kHz・mmとすることにより、圧電基板11の長さ方向に振動する基本波が主体となるが、幅方向振動も加わった複合モードの振動が圧電基板11に発生し、中央部に形成された電圧出力部においてもっとも大きな振動を生じさせることができ、例えば、幅方向に最も励振する振動を用いた場合よりも、電圧出力部に誘発される電荷量が多くなり、高出力電力を得ることができる。
【0022】
圧電基板11の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)は、高出力電力が得られるという点から4700〜6000kHz・mmであることが必要である。従って、高出力電力かつ高効率を得るためには、L/Wを1.1〜1.4とし、F×Lを4700〜6000kHz・mmとすることが必要である。
【0023】
従って、本発明では、上記した構造で、駆動周波数Fと主面の長さLとの積(F×L)を所定範囲に設定することにより、高いエネルギー変換効率を有し、かつ高入力電圧において用いることができる、高出力電力かつ高効率の圧電トランスを実現できる。
【0024】
本発明者らは、本発明の圧電トランスの振動解析を、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションにて行なった。解析条件としては、圧電材料としてチタン酸ジルコン酸鉛(以下PZT)系を用い、図1の圧電トランス形状において、圧電基板11の長さL=32.80mm、幅W=25.5mm、厚みt=3.0mmとした。電圧入力部と電圧出力部の間隔は1.2mmとした。第1及び第2電圧入力部に同振幅、同位相の電圧を与え、圧電基板の変位量の分布を求めた。
【0025】
図2は、駆動周波数Fとして69kHz(F×L=2263.2kHz・mm)の幅方向に最も励振する振動を用いた比較例であり、図3に駆動周波数Fを159kHz(F×L=5215.2kHz・mm)とした本発明の圧電トランスの変位分布を示した。
【0026】
比較例の圧電トランスでは、図2から理解されるように幅方向の振動が生じており、電圧出力部が形成される圧電基板の中央部では殆ど変位が生じていないことが判る。一方、本発明の圧電トランスでは、変位分布を示す図3からわかるように、電圧出力部に大きな変位が得られ、高い出力電力と高い効率が得られることが判る。
【0027】
即ち、圧電トランスのエネルギー伝達は、圧電基板11の振動によって行なわれるものであるから、同形状の圧電基板11では、同振幅の入力電圧にて変位量が大きいものほど、電圧出力部B1に誘発される電荷量が多くなるため、図2よりも圧電基板11の中央部の変位量が大きい図3の場合には、大出力電力が得られ、高い効率が得られることが判る。
【0028】
本発明の圧電トランスは、例えば、セラミックスからなる圧電基板11に、電極12〜17を形成した後、120℃のシリコーンオイル中にて、圧電基板11の上面の3個の電極12、13、14と、圧電基板11の下面の3個の電極15、16、17の間に直流電圧を印加して、約30分間分極処理することにより得られる。
【0029】
電極12〜17は、例えば、Ag粉末とガラスからなるペーストをスクリーン印刷した後、焼成して形成してもよい。また、蒸着、スパッタ等の手法を用いて形成しても良い。また、Ag以外の導電性材料を用いても良い。
【0030】
一方、インピーダンス整合となる負荷抵抗RL’は、駆動周波数をF、出力側静電容量をCd2とすると
RL’=1/(2πFCd2)
で決定される。本発明の圧電トランスでは、出力側の静電容量を容易に大きく出来るため、低インピーダンスにおいてインピーダンス整合がとれ、高出力電力及び高効率となる。
【0031】
また、本発明の圧電トランスは、分極方向が単一方向であるため、ローゼン型圧電トランスと比較して、基板の長さ方向について分極処理の必要がないため、製造工程を簡略化でき、厚さ方向に分極するため分極電圧を低くすることが可能であり、製造工程における安全性を向上できる。
【0032】
圧電トランスの電圧変換は、入力側電極間に交流電圧に印加することで生じた機械振動を用いて、強制的に出力側電極間を機械振動させて、再び出力側電極間で交流電圧を取り出す。本発明の圧電トランスでは、分極方向が圧電基板の主面に対して垂直に構成され、入力部では分極方向に垂直に振動を励振させて出力部に振動を伝搬し、出力部では伝搬された振動を、分極方向と同一方向に振動させる。このことから、本発明の圧電トランスに好適に用いられる材料としては、異方性が小さく、分極方向に対して垂直方向及び平行方向共に電気機会結合係数の大きな材料が望まれる。そのような材料として、例えば、PZT系の圧電セラミック材料が望ましい。
【0033】
上記圧電トランスを、スイッチング電源回路用トランスとして用いると、ある一定の周波数変動幅に対して効率が低下しない回路を作製できる。また、この特性を利用し、動作周波数を変えることで、効率が低下せずに目標とする出力電力が得られる回路を作製できる。
【0034】
図4は、本発明の積層型圧電トランスを示すもので、この積層型圧電トランスは、主面が長さL、幅Wの長方形状の圧電基板21に、その長さ方向に、第1電圧入力部A2、電圧出力部B2、第2電圧入力部C2が順次形成されている。
【0035】
これらの第1電圧入力部A2、電圧出力部B2、第2電圧入力部C2における圧電基板21の上側の主面には、入力側電極22a、出力側電極24a、入力側電極23aがそれぞれ形成されており、これらの電極22a、23a、24aは、圧電基板21の長さ方向に所定間隔を置いて形成されている。また、圧電基板21の下側の主面には、入力側電極22d、出力側電極24j、入力側電極23dが、圧電基板21の長さ方向に所定間隔を置いてそれぞれ形成されている。
【0036】
第1電圧入力部A2における圧電基板21の内部には、入力側電極22b、22cが形成され、電圧出力部B2における圧電基板21の内部には、出力側電極24b〜24iが形成され、第2電圧入力部C2における圧電基板21の内部には、入力側電極23b、23cが形成されている。
【0037】
入力側電極22a〜22dは同一寸法とされ、出力側電極24a〜24jは同一寸法とされ、入力側電極23a〜23dは同一寸法とされている。入力側電極22a、23a、出力側電極24aが圧電基板21の上側の主面において同一平面上に設けられ、入力側電極22b、23b、出力側電極24dが圧電基板21の内部において同一平面上に設けられ、入力側電極22c、23c、出力側電極24gが圧電基板21の内部において同一平面上に設けられ、さらに、入力側電極22d、23d、出力側電極24jが圧電基板21の下側の主面において同一平面上に設けられている。尚、図4の出力側電極については一部のみ符号を付した。
【0038】
入力側電極22a〜22dは、圧電基板21の両側面に形成された一対の外部電極25a1、25a2により交互に接続され、出力側電極24a〜24jは一対の外部電極25b1、25b2により交互に接続され、入力側電極23a〜23dは一対の外部電極25c1、25c2により交互に接続されている。
【0039】
そして、この圧電トランスにおいても、図1に示す圧電トランスと同様に、圧電基板21の主面の長さLと幅Wの比(L/W)が1.1〜1.4であり、かつ圧電基板21の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmであることが重要である。圧電基板21の主面の長さLと幅Wの比(L/W)、圧電基板の主面の長さLと幅Wの比(L/W)を所定範囲に設定した理由、特に望ましい範囲は、上記と同様である。
【0040】
このような積層型圧電トランスでは、図1に示す圧電トランスと同様の効果を得ることができるが、図4に示す積層型圧電トランスでは、さらに出力側電極の面積を増加できるため、同じ長さと幅を持つ単板型圧電トランスに比べて出力電流を大きく取ることができる。
【0041】
また、積層型圧電トランスにおけるインピーダンス整合となる負荷抵抗RL’は、単板型圧電トランスと比べて、出力側静電容量Cd2を大きく取ることができるため、より低インピーダンスにおいてインピーダンス整合をとることが可能である。
【0042】
また、圧電トランスにおける電圧の昇降圧比(=V2/V1)は、入力側静電容量をCd1とすると、V2/V1∝(Cd1/Cd2)1/2となることから、圧電トランスを積層化することでCd1、Cd2を制御し、昇降圧比を任意に設定することができる。即ち、本発明の圧電トランスは、昇降圧比を任意に決定することで、昇降圧コンバータもしくは昇降圧インバータに好適に用いることができる。尚、図9に示すように、電圧入力部に内部電極を形成しないものであっても良い。
【0043】
このような積層型圧電トランスの製造方法について説明する。所望の組成にて混合されたPZT系圧電セラミックを、900〜1100℃で仮焼成する。この仮焼成粉を粉砕し、バインダー、可塑材等を添加し、有機溶剤中に分散させてスラリーを作製する。得られたスラリーをドクターブレード法などを用いて、所望の厚さのセラミックグリーンシートとする。
【0044】
このセラミックグリーンシートの片面に、例えばAg−Pdペーストのような高耐熱性の導電ペーストをスクリーン印刷する。この場合に、図5に示すように、入力側電極となるパターン36と出力側電極となるパターン37が形成されたグリーンシート31と、出力側電極となるパターン37のみが形成されたグリーンシート32を作製し、これらを図5に示すように積層し、これを熱間プレスにより連結し、一体化させ、400〜500℃で加熱して脱脂を行った後、1100〜1300℃で焼結する。尚、図5には、一部のグリーンシートのみ記載した。
【0045】
次に焼結体の両側面に外部電極として導電ペーストを塗布する。入力側電極22a〜22dは、一対の外部電極25a1、25a2により一層毎に交互に接続されている。出力側電極24a〜24jは一対の外部電極25b1、25b2により一層毎に交互に接続されている。さらに、入力側電極23a〜23dは一対の外部電極25c1、25c2により交互に接続されている。即ち、入力側電極、出力側電極は、積層型コンデンサや積層型圧電アクチュエータのような構造であり、内部電極が外部電極により一層おきに接続されている。
【0046】
さらに、積層体を120℃のシリコーンオイル中にて、入力側電極22a〜22d、23a〜23d及び出力側電極24a〜24jに、各々直流電圧を印加して、約30分間分極処理することにより、積層型圧電トランスを得る。
【0047】
また、積層型圧電トランスの上下面を、外部との絶縁を取るために、同一組成からなる圧電セラミックスで覆ってもよい。また、圧電基板21の主面に入力側電極、出力側電極を形成せず、内部のみ形成しても良い。
【0048】
図6は、本発明の圧電トランスを用いたDC−DCコンバータからなる電源装置を示すもので、このDC−DCコンバータは、直流電源電圧を高周波の交流信号に変換するとともに、トランスへの入力電圧を制御するスイッチ部と、該高周波交流信号を昇降圧する圧電トランスと、変圧された高周波信号を直流の出力電圧に変換する整流回路と、出力電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部の出力に応じスイッチ部の開閉を制御する制御部とを具備するものである。
【0049】
制御部は、スイッチ部の開閉時間を変化させることにより、圧電トランスの駆動周波数Fを変化させ、主面の長さLと駆動周波数Fの積が4700〜6000kHz・mmとなるように変化させるものである。もしくは4700kHz・mm≦F×L≦6000kHz・mmの範囲でかつスイッチ開閉時間の時比率をも変化させるものである。スイッチ部では、高効率化のためにスイッチでの損失を抑えるべく、ソフトスイッチングの技術を導入することが望ましい。
【0050】
【実施例】
実施例1
先ず、PZT系材料からなる圧電基板を作製し、銀とガラスを主成分とする電極ペーストを圧電基板の両表面に塗布し、焼き付けることにより、図1に示す入力側電極及び出力側電極を有する単板型圧電トランスを作製した。
【0051】
圧電トランス形状は、長さL25.47mm、幅W19.8mm、厚み3.3mmとし、振動モードと、出力電力、出力電圧、効率の関係について調査した。測定回路は、図7に示すように、圧電トランスの入力側電極(1次側電極)を入力とし、出力側電極(2次側電極)を出力として、この出力側電極に負荷抵抗RLを接続した。ここではRL=500Ωとした。入力電圧は141Vppの正弦波とし、▲1▼幅方向に最も励振する振動の周波数84kHz〜94kHzのうち88.4kHz、▲2▼本発明の圧電トランスの周波数198kHz〜210kHzのうち202.6kHzを入力電源から入力側電極に印加し、入力電流(App)と電圧及び電流の位相差を測定することで電力を求めた。出力側電極からの出力電圧(Vpp)、出力電流(App)及び位相差を測定することで出力電力(W)を求めた。効率(%)は最大出力電力及び最大入力電力より求めた。結果を表1に記載した。
【0052】
【表1】
Figure 0004721540
【0053】
この表1から、本発明の圧電トランスでは、比較例の圧電トランスと比較して高い出力電力と高い効率が得られることが判る。図8は、本発明の圧電トランスの出力電力及び効率の周波数特性を示す図である。この図8から、本発明の圧電トランスでは、周波数の変動に対して効率が96%程度とほぼ一定であるため、出力電力の制御を周波数で容易に行なえることが判る。
実施例2
さらに、本発明者は、圧電トランスの形状と駆動周波数の関係について調査した。実施例1と同様の工程にて、幅W19.8mm、厚みはすべて3.3mmとし、長さLを20.79〜28.71mmまで変更した5種類の圧電トランスを用意した。次に、圧電トランスを120℃のシリコーンオイル中で1.6kV/mmの直流電圧を印加し、30分間分極を行い、圧電基板の厚み方向に分極した。
【0054】
測定回路は、図7に示すように、圧電トランスの入力側電極(1次側電極)を入力とし、出力側電極(2次側電極)を出力として、この出力側電極に負荷抵抗RLを接続した。ここではRL=500Ωとした。入力電圧として141Vpp、表2に示す周波数の正弦波を入力電源から入力側電極に印加し、入力電流(App)及び位相を測定することで電力を求めた。
【0055】
一方、出力側電極からの出力電圧(Vpp)、出力電流(App)及び位相を測定することで出力電力(W)を求めた。効率(%)は最大出力電力及び最大入力電力より求め、結果を表2に記載した。
【0056】
【表2】
Figure 0004721540
【0057】
この表2から、本発明の圧電トランスでは、本発明の圧電トランスでは、長さLと幅Wの関係が、1.1≦L/W≦1.4であり、かつ長さLと圧電トランスの駆動周波数Fが4700kHz・mm≦F×L≦6000kHz・mmである場合に、出力電力16W以上かつ効率92.6%以上となり、高い出力電力と高い効率が得られることが判る。
実施例3
図9の積層型圧電トランスを作製した。作製した圧電トランスは、実施例1と同じく、幅W19.8mm、厚みはすべて3.3mmとし、長さLが20.79〜28.71mmまで変更した5種類を用意した。入力側は1層、出力側が7層となるよう積層し、さらに積層体の上下面を同一組成の圧電セラミックスで覆った。一層あたりの圧電体の厚みは、入力側で3.3mm、出力側で471μmである。
【0058】
測定回路は実施例1と同じものを用い、出力側電極に負荷抵抗RL=10Ωを接続した。入力電圧として141Vpp、表3に示す周波数の正弦波を入力電源から入力側電極に印加し、入力電流(App)及び位相を測定することで電力を求めた。
【0059】
一方、出力側電極からの出力電圧(Vpp)、出力電流(App)及び位相を測定することで出力電力(W)を求めた。効率(%)は最大出力電力及び最大入力電力より求め、結果を表3に記載した。
【0060】
【表3】
Figure 0004721540
【0061】
この表3から、本発明の積層型圧電トランスでは、低負荷において、実施例1の単板トランスと同様に、長さLと幅Wの関係が1.1≦L/W≦1.4でかつ、長さLと圧電トランスの駆動周波数Fが4700kHz・mm≦F×L≦6000kHz・mmの範囲において、出力電力が1.5〜17.6Wかつ効率91.2%以上となり、歳代出力電力も17.6Wと高いことが判る。
【0062】
【発明の効果】
本発明の圧電トランスでは、圧電基板の主面の長さLと幅Wの比(L/W)を1.1〜1.4とし、圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)を4700〜6000kHz・mmとしたので、低い負荷抵抗において大出力電力及び高効率特性を示し、かつ、周波数変動における、効率の変動がほとんどない圧電トランスが得られる。また、圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmを満足するように、駆動周波数Fを変化させることにより、高い効率を維持した状態で、圧電トランスの電圧出力部からの出力電力を変化させることが可能となる。
【0063】
従って、1KΩ未満の低負荷インピーダンスにおいて高出力電力かつ高効率特性を示す、ACアダプタやDC−DCコンバータなどの電源装置の小型化及び高効率化に好適に用いられる圧電トランスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単板型圧電トランスを示す斜視図である。
【図2】幅方向に最も励振する振動を用いた比較例の圧電トランスの変位分布を示す図である。
【図3】圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)を5215.2kHz・mmとした本発明の圧電トランスの変位分布を示す図である。
【図4】電圧入力部に内部電極を有する本発明の積層型圧電トランスを示す斜視図である。
【図5】図4の積層型圧電トランスの製造方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明のDC−DCコンバータを示す説明図である。
【図7】本発明の圧電トランスの測定回路を示す説明図である。
【図8】実施例1における本発明の圧電トランスの出力電力と効率の周波数特性を示す図である。
【図9】電圧入力部に内部電極が形成されていない本発明の積層型圧電トランスを示す斜視図である。
【図10】従来のローゼン型圧電トランスを示す斜視図である。
【符号の説明】
11、21・・・圧電基板
12、13、15、16、22a〜d、23a〜d・・・入力側電極
24a〜j・・・出力側電極
L・・・主面の長さ
W・・・主面の幅
A1、A2・・・第1電圧入力部
B1、B2・・・電圧出力部
C1、C2・・・第2電圧入力部

Claims (5)

  1. 長さL、幅Wの長方形である圧電基板の両主面に、前記圧電基板の長さ方向に、第1電圧入力部、電圧出力部、第2電圧入力部が順次形成され、前記第1電圧入力部及び前記第2電圧入力部にそれぞれ入力側電極、前記電圧出力部に出力側電極が設けられており、前記圧電基板の主面の長さLと幅Wの比(L/W)が1.1〜1.4であって、前記圧電基板がその厚さ方向に分極されているとともに前記圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmであり、前記圧電基板の長さ方向の振動及び幅方向の振動からなる複合モードの振動を利用する圧電トランス。
  2. 前記第1電圧入力部、前記第2電圧入力部及び前記電圧出力部における前記圧電基板の内部に、厚み方向に所定間隔をおいて前記入力側電極、前記出力側電極がそれぞれ複数形成されており、前記入力側電極、前記出力側電極がそれぞれ交互に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電トランスを具備することを特徴とする電源装置。
  4. 前記圧電基板の主面の長さLと駆動周波数Fとの積(F×L)が4700〜6000kHz・mmを満足するように、前記圧電トランスの駆動周波数Fを変化させることにより、前記圧電トランスの前記電圧出力部からの出力電力を変化させることを特徴とする請求項3記載の電源装置。
  5. 直流電源電圧を高周波の交流信号に変換するスイッチ部と、高周波交流信号を昇降圧する前記圧電トランスと、変圧された高周波信号を直流の出力電圧に変換する整流回路と、出力電圧を検出する電圧検出部と、該電圧検出部の出力に応じ前記スイッチ部の開閉を制御する制御部とを具備することを特徴とする請求項3又は4記載の電源装置。
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