JP2006012281A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非磁性支持体1の少なくとも一の主面上に、下層非記録層2と、磁性層3とが積層形成されてなり、磁性層3の乾燥状態における膜厚をT(nm)とし、配向処理後における磁性層3中の磁性粒子の磁性層面内方向の長さをL(nm)とし、膜厚方向における長さをD(nm)としたとき、下記式(1)に示す関係を満たすものとした磁気記録媒体10を提供する。
(20×T)/(L×D)≧1・・・(1)
【選択図】図1
Description
これに伴い磁気記録装置に供される磁気記録媒体においては、短波長出力、及び電磁変換特性を向上させるために、磁性層の薄層化、及び表面の平滑化が図られてきた。
これに関し、薄層の磁性層の表層を拡大観察した結果、磁性層を構成する磁性粒子がミクロレベルで抜ける箇所が生じて下層が露出した状態となる、いわゆるピンホール現象が発生し、これにより記録抜けが生じることに起因することが判明した。
(20×T)/(L×D)≧1・・・(1)
本発明の一例の磁気記録媒体は、図1の概略構成図に示すように非磁性支持体1の一主面上に、下層非記録層2と磁性層3とが積層形成されており、他の主面にバックコート層4が形成された構成を有しているものとする。以下、これら各層について説明する。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
非磁性支持体の形態は、最終的に目的とする磁気記録媒体に応じて適宜選定することとし、フィルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれでも良い。
下層非記録層2は、少なくとも結合剤樹脂、無機粒子、及び各種添加剤を、有機溶剤を用いて混合、調製した塗料を塗布することによって形成されたものである。
例えば、アルミナ、酸化鉄、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、ゲータイト、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、これらを単独、または組合せで使用することができる。
無機粒子の形状は、針状、球状、板状、サイコロ状のいずれでもよい。
また、下層非記録層2には、適用する高感度型磁気ヘッド(例えばMRヘッド)の静電破壊を抑制するため、導電剤を添加することが好ましい。導電剤は公知のものいずれも使用可能であり、たとえば、カーボンブラックや導電性酸化チタン等が挙げられる。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
特に、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらは、イソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしても良い。
磁性層3は、少なくとも磁性粉末と結合剤樹脂とを、有機溶剤を用いて混合、調製した塗料を塗布することによって形成されたものとする。
例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、今日磁性バリウムフェライト、強磁性合金粉末、強磁性白金鉄、窒化鉄等が挙げられる。
(20×T)/(L×D)≧1・・・(1)
このように特定することにより、電磁変換特性に関して実用上著しい劣化を来たすようなサイズのピンホール(例えば、2.1μm×1.7μm=3.57μm2以上程度の磁性粉末のミクロ的な抜けの箇所の面積合計)を効果的に低減化できることが確かめられた。
また、磁性粉末11の長軸長は60nm以下であることが好ましい。長軸長が60nmを超える磁性粉末を用いた場合において磁性層を薄層化させると、ピンホール現象が発生しやすくなり、電磁変換特性が劣化するためである。
磁性層の膜厚が0.1μmを超えると、PW50(孤立再生波のピークの50%でのパルス幅)が大きくなり、高密度記録特性が低下するためである。また、MRヘッドを使用したシステムで信号再生をする場合、磁性層の膜厚が0.1μmを超えると、磁性層の飽和磁化Brが0.25T以上となり、MRヘッドの諸元(MR素子の飽和磁束密度、膜厚及びSAL膜の飽和磁束密度、膜厚)によって、MRヘッドが飽和してしまい、電磁変換特性が劣化する。
なお、バックコート層4に代えて、上述した下層非記録層2及び磁性層3を積層形成することにより、両主面に記録層を有する大容量型の磁気記録媒体を作製することもできる。
先ず、所定の非磁性支持体1を用意する。次に、下層非記録層2用の塗料、及び磁性層3用の塗料を調製する。
これらの塗料は、上述した各材料を所定の溶剤とともに混練分散して作製する。混練分散方法は、公知の方法をいずれも適用でき、特に制限されるものではないが、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
下層非記録層2及び磁性層3は、それぞれの塗料を、例えばグラビアコート、押出コート、エアードクターコート、リバースロールコート等の従来の塗布方法により塗布することによって積層形成される。
また、下層非記録層2上に磁性層3を形成する際には、塗料を順次塗布して乾燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用いてもよく、湿潤状態にある下層非記録層2を形成するための塗料の上に磁性層3を形成するための塗料を重ねて塗布する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いてもよい。
その後、必要に応じてバックコート層4を形成することにより、本発明の磁気記録媒体が得られる。
なお、磁性粉末、結合剤樹脂、無機粒子、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等の添加剤、塗料調製用の有機溶剤は、従来公知のものがいずれも適用可能であり、何ら限定されるものではない。
先ず、下記に示す組成の、磁性塗料を調製した。
磁性塗料は、下記表1に示す磁性粒子から所定のものを選定し、磁性層用の分散液を調製した。
磁性粉末(上記表1に示す。):100重量部
第1の結合剤:9重量部
(塩化ビニル系共重合体(平均重合度300))
第2の結合剤:9重量部
(ポリエステル系ポリウレタン樹脂(量平均分子量41200、Tg40℃))
潤滑剤:ステアリン酸:1重量部
ステアリン酸ブチル:2重量部
溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
トルエン:20重量部
シクロヘキサノン:10重量部
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を、磁性粉末100重量部に対して4重量部添加し、攪拌して磁性層形成用の塗料を調製した。
〔下層非記録層用の分散液組成〕
第1の無機粒子:α−酸化鉄(長軸長50nm、BET値87m2/g):100重量部
第2の無機粒子:カーボンブラック:24重量部
(粒径20nm、DBP吸油量120ml/100g)
第1の結合剤:塩化ビニル系共重合体(平均重合度300):9重量部
第2の結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:9重量部
(量平均分子量41200、Tg40℃)
潤滑剤:ブチルステアレート:2重量部
ステアリン酸:1重量部
有機溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
トルエン:20重量部
シクロヘキサノン:10重量部
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を、上記第1の無機粒子100重量部に対して3重量部添加し、下層非記録層用の塗料を調製した。
その後、下記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層4を形成した。
無機粉末(カーボンブラック):100重量部
(粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g)
結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:13重量部
(量平均分子量71200)
結合剤:フェノキシ樹脂(平均重合度100):43重量部
結合剤:ニトロセルロース樹脂(平均重合度90):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン:500重量部
トルエン:500重量部
サンプル磁気記録テープについて、それぞれ磁性層形成面側の電子顕微鏡(SEM)による表面観察、及び電磁変換特性の測定を行い、評価を行った。
各測定方法を下記に示す。
各サンプル磁気テープに対し、記録用磁気ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm)を取り付けた固定電特機を用いて、波長0.3μmの信号を記録後、再生用ヘッドに磁気抵抗効果型磁気ヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った。
なお、各単一周波数の出力及び再生された信号から、±2MHzのところをノイズレベルとした際のC/N特性を測定した。
磁性層表面を、電子顕微鏡(SEM)により5万倍で観察し、(2.1μm×1.7μm=3.57μm2)以上のサイズのピンホール、すなわち磁性粉末がミクロ的に抜けており、下層がむき出しになっている箇所の面積の合計値を計算し、磁性層表面において占める面積の割合をパーセント表示した。なお、ピンホールは、20%以下程度であれば実用上良好なものとして評価した。
なお、電磁変換特性については、比較例3の値を基準値とし、これとの相対値で表した。
一方、磁性層の膜厚を制御して(20×T)/(L×D)≧1となるように特定した実施例16〜19においては、ピンホールの発生が効果的に低減化され、良好な電磁変換特性が得られた。
一方、磁性層の膜厚を制御して(20×T)/(L×D)≧1となるように特定した実施例20〜22においては、ピンホールの発生が効果的に低減化され、良好な電磁変換特性が得られた。
Claims (3)
- 非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、無機粒子を結合剤中に分散した下層非記録層と、
磁性粉末を結合剤中に分散した磁性層とが積層形成された磁気記録媒体であって、
前記磁性層の、乾燥状態における膜厚をT(nm)とし、
配向処理後における、前記磁性粒子の、磁性層面内方向における長さをL(nm)とし、膜厚方向における長さをD(nm)としたとき、
下記式(1)に示す関係を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
(20×T)/(L×D)≧1・・・(1) - 前記磁性層の、乾燥状態における膜厚Tが、100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性粒子の長軸長が、60nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
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