JP2006209882A - 磁気記録媒体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非磁性支持体1上に、少なくとも無機粒子と結合剤樹脂とを含有する下層非磁性層2と、少なくとも磁性粉末と結合剤樹脂とを含有する、膜厚100nm以下の磁性層3とが積層形成された構成を有する磁気記録媒体10を作製する際、下層非磁性層形成用の塗料を塗布し、乾燥処理を施した後に、この乾燥処理後の状態を維持したままで、磁性塗料を塗布することにより磁性層3を形成する。
【選択図】図1
Description
これに伴い、特に高感度型の再生用磁気ヘッド(MRヘッドやGMRヘッド)を具備するシステムに供される磁気記録媒体においては、短波長出力、及び電磁変換特性(C/N特性)を向上させるために、磁気特性を改善し、かつスペーシングロスやモジュレーションノイズを低減化するべく、磁性層の薄層化、及び表面の平滑化が図られてきた。
このような薄層の磁性層(記録層)を有する磁気記録媒体として、支持体上に下層非磁性層と、磁性層とが積層された構成のものが開発、商品化されてきた。
この成膜方法は、生産性やコストの面から優れているが、下層非磁性層と、上層の磁性層の塗布液の粘弾性特性が近似していないと重層塗布が良好に実施できず、塗布欠陥や磁性層表面状態の劣化を招来し、優れた表面性を有する磁気記録媒体が得られないという問題を有している。
このような問題を解決するために、従来種々の検討が行われてきたが、下層非磁性層が湿潤状態において、上層を塗布するウェット・オン・ウェット塗布方式は、下層非磁性層と磁性層との間の界面の乱れによる塗布欠陥が不可避的に生じてしまうという課題が残されていた。塗布欠陥はノイズ発生の原因となり、電磁変化特性の劣化を招来し、今後、更なる記録層の薄層化を図る上での課題となっていた。
この方法は、上述したようなウェット・オン・ウェット方式と異なり、下層非磁性層を乾燥状態とした後に磁性塗料を塗布するので、下層非磁性層と磁性層との層間の界面の乱れによる塗布欠陥が生じにくく、特に極めて磁性層を薄層に形成する超高密度型の磁気記録媒体において、磁性層に微小ピンホールが現われ難いという利点を有している。
従来においては、磁性層(記録層)形成面の反対側の主面に、所定の分散液を塗布することによりバックコート層を予め設けておき、このバックコート層が湿潤状態にあるうちに、非磁性支持体上に既に設けられた下層非磁性層上に上層の磁性層を塗布形成するという方法が提案された(例えば、特許文献3、4参照。)。
更には、バックコート層の湿潤性を利用して磁性層の乾燥速度を抑制しようとすると、長尺形状の磁気記録媒体を巻回することによってバックコート層が磁性層の表面に転写してしまうことにより、表面性の劣化を招来し、電磁変換特性の悪化してしまうという問題も生じる。
本発明の磁気記録媒体は、信号再生用磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)、若しくは巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)を適用する、高密度記録型のものであり、図1の一例の概略構成図に示すように、非磁性支持体1の一主面上に、下層非磁性層2と磁性層3とが積層形成されており、他の主面にバックコート層4が形成された構成を有しているものとする。
以下、これら各層について説明する。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非磁性支持体の形態は、最終的に目的とする磁気記録媒体に応じて適宜選定することとし、フィルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれでも良い。
下層非磁性層2は、無機粒子、結合剤樹脂、その他各種添加剤を、有機溶剤を用いて混合、調製した塗料を塗布することによって形成されたものである。
具体的には、アルミナ、酸化鉄、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、ゲータイト、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機粒子の形状は、針状、球状、板状、サイコロ状のいずれでもよい。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
特に、柔軟性を付与する効果のあるポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と、剛性を付与する効果のあるセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらは、イソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させてもよい。
なお、この場合、下層非磁性層2に対して、カレンダー処理や、熱硬化処理、電子線照射処理等の各種表面効果処理は行わず、乾燥処理後の膜状態が維持されたまま、後工程の磁性層成膜を行う。
カレンダー処理や、表面硬化処理を施すと、これらの処理を施すと、下層非磁性層2の膜中に存在する微細孔が押し潰されてしまい、磁性塗料中の有機溶剤を吸収することができなくなるからである。
磁性層3は、少なくとも磁性粉末と結合剤樹脂とを、有機溶剤を用いて、混合、調製した塗料を、塗布することによって形成される。
磁性粉末としては、従来塗布型の磁気記録媒体用に適用されている強磁性粒子をいずれも適用可能である。
例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性バリウムフェライト、強磁性合金粉末、強磁性白金鉄、強磁性窒化鉄等が挙げられる。
本発明は極めて高密度記録型の磁気記録媒体を作製することを目的とするものであり、磁性層3の膜厚が100nmを超えると、PW50(孤立再生波のピークの50%でのパルス幅)が大きくなり、高密度記録特性が低下してしまう。
また、高感度型の再生用磁気ヘッド(MRヘッド、GMRヘッド)を用いて信号再生をする場合、磁性層の膜厚が100nmを超えると、磁性層の飽和磁化Brが0.25T以上となり、再生ヘッドの諸元(MR素子の飽和磁束密度、膜厚、及びSAL(Soft-Adjacent-Layer)膜の飽和磁束密度、膜厚等)の条件によっては飽和してしまい、電磁変換特性(C/N)が劣化するためである。
なお、バックコート層4に代えて、上述した下層非磁性層2及び磁性層3を積層形成することにより、両主面に記録層を有する大容量型の磁気記録媒体を作製することもできる。
先ず、最終的に目的とする磁気記録媒体に応じた所定の非磁性支持体1を用意する。
次に、下層非磁性層2形成用の塗料、及び磁性層3形成用の塗料を調製する。
これらの塗料は、上述した各材料を所定の溶剤とともに混練分散して作製する。
混練分散方法は、公知の方法をいずれも適用でき、特に制限されるものではないが、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
その後、磁性塗料中の磁性粒子が自由度を有する程度に未乾燥である状態で配向装置において磁場配向が行われ、続いて乾燥装置において乾燥処理が施される。
更に、カレンダー処理、及び表面硬化処理を施し、その後、必要に応じてバックコート層4を形成することにより、本発明の磁気記録媒体10が得られる。
下記に示す組成の、磁性塗料を調製した。
磁性塗料は、下記表1に示す磁性粒子から所定のものを選定し、磁性層用の分散液を調製した。
磁性粉末(表1から任意のものを選定する):100重量部
第1の結合剤:9重量部
(塩化ビニル系共重合体(平均重合度300))
第2の結合剤:9重量部
(ポリエステル系ポリウレタン樹脂(量平均分子量41200、Tg40℃))
潤滑剤:ステアリン酸:1重量部
:ステアリン酸ブチル:2重量部
溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
:トルエン:20重量部
:シクロヘキサノン:10重量部
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を4重量部添加し、攪拌して磁性層形成用の塗料を調整した。
〔下層非磁性層用の分散液組成〕
第1の無機粒子:α−酸化鉄(長軸長50nm、BET値87m2/g):100重量部
第2の無機粒子:カーボンブラック:24重量部
(粒径20nm、DBP吸油量120ml/100g)
第1の結合剤:塩化ビニル系共重合体(平均重合度300):9重量部
第2の結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:9重量部
(量平均分子量41200、Tg40℃)
潤滑剤:ブチルステアレート:2重量部
:ステアリン酸:1重量部
有機溶剤:メチルエチルケトン:20重量部
:トルエン:20重量部
:シクロヘキサノン:10重量部
その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を、上記第1の無機粒子100重量部に対して3重量部添加し、下層非記録層用の塗料を調製した。
非磁性支持体として、膜厚5.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この上に、上記下層非磁性層用の塗料を、所定の膜厚(下記表2参照。)となるように塗布し、続いて乾燥処理を施した。
次に、乾燥処理後の状態が維持された状態で、上記磁性層形成用の塗料を所定の膜厚(100nm以下、下記表2参照。)となるように塗布した。
その後、下記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
無機粉末(カーボンブラック):100重量部
(粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g)
結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂:13重量部
(量平均分子量71200)
結合剤:フェノキシ樹脂(平均重合度100):43重量部
結合剤:ニトロセルロース樹脂(平均重合度90):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン:500重量部
:トルエン:500重量部
上記下層非磁性層用の塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)となるように塗布し、乾燥処理を行った後、カレンダリング処理(ロール温度:100℃、線厚300kgf/cm)により表面を平滑化させる処理を行った。
次に、60℃で24時間の硬化処理を行った。
次に、下層非磁性層上に、上記磁性塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)に塗布した。この磁性層形成の前工程を、下記表2においてα工程と示す。
その後、磁場配向処理を行い、さらに乾燥処理を行った後、巻取りを行った。続いて、カレンダー処理、硬化処理を行った。
その後、上記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記下層非磁性層用の塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)となるように塗布し、乾燥処理を行った後、カレンダリング処理(ロール温度:100℃、線厚300kgf/cm)により表面を平滑化させる処理を行った。
次に、上記磁性塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)に塗布した。この磁性層形成の前工程を、下記表2においてβ工程と示す。
その後、磁場配向処理を行い、さらに乾燥処理を行った後、巻取りを行った。続いて、カレンダー処理、硬化処理を行った。
その後、上記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記下層非磁性層用の塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)となるように塗布し、乾燥処理を行った後、60℃で24時間の硬化処理を行った。
次に、上記磁性塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)に塗布した。この磁性層形成の前工程を、下記表2においてγ工程と示す。
その後、磁場配向処理を行い、さらに乾燥処理を行った後、巻取りを行った。続いて、カレンダー処理、及び硬化処理を行った。
その後、上記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記下層非磁性層用の塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)となるように塗布し、これが湿潤状態となっている間に、上記磁性塗料を、いわゆるウェット・オン・ウェット方式により、所定の膜厚(下記表3参照。)に塗布した。
その後、磁場配向処理を行い、さらに乾燥処理を行った後、巻取りを行った。続いて、カレンダー処理、及び硬化処理を行った。
その後、上記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記下層非磁性層用の塗料を所定の膜厚(下記表3参照。)となるように塗布し、乾燥処理を行った。
その後、乾燥処理後の状態が維持された状態で、上記磁性塗料を膜厚150nmとなるように塗布した。
その後、磁場配向処理を行い、さらに乾燥処理を行った後、巻取りを行った。続いて、カレンダー処理、硬化処理を行った。
その後、上記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加して作製したバックコート層用塗料を、磁性層形成面の反対側の主面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層を形成した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記磁性塗料を、磁性層の膜厚が110nmとなるように塗布した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
上記磁性塗料を、磁性層の膜厚が3nmとなるように塗布した。
その他の工程は、上記実施例1〜15と同様としてサンプル磁気記録テープを作製した。
各サンプル磁気テープに対し、それぞれ長手方向に10枚のサンプリングを行い、サンプリングされた各サンプル磁気テープのそれぞれの試料片を、ミクロトーム法を用いて、それぞれ長手方向に平行に切断した。
次に、磁気テープの切断面を、日本電子製−透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−200CXにて60000倍以上の倍率で観察し、各試料片の切断面上、20点以上のそれぞれの位置における磁性層の膜厚を測定した。
各試料片それぞれから測定した20点以上の磁性層の膜厚の平均値を算出し、その磁気テープサンプルの磁性層膜厚とした。磁性層の膜厚は下記表2、表3に示す。
各試料片から測定された20点以上の『厚(0−p値)』について、測定値の分布について調べ、最小値と最大値の差と、磁性層膜厚との比を、『上下層界面ゆらぎ度』として、算出した。
この『上下層界面ゆらぎ度』が、比較例2を基準値とし、これと比較した場合に、1.15倍以下のものは○、1.15〜1.25のものは△、1.25〜1.4のものは×、1.4を超えるものは××として評価した。
評価結果を下記表2、表3に示す。
東英工業製サンプル振動型磁化測定装置 VSM(P−15AUTO)を用いて、最大印加磁界1.5Tにより、各サンプルを、サンプルの長手方向に平行になるように印加磁界を加えてヒステリシス曲線を求めた。
得られたヒステリシス曲線から、最大印加磁界での磁化量をMs、印加磁界が0のときの磁化量をMrとしたときの比Rs=Ms/Mrを求め、この値を配向度とした。
各サンプル磁気テープの配向度を下記表2、表3に示す。
ディジタルインスツルメント社製原子間力顕微鏡:Nano Scope IIIa / D-3000を使用して各サンプル磁気テープの磁性層形成面の、50×50μm2の範囲を、10回以上、測定場所を変更しながら粗度の測定を行った。
なお、一回の測定における各方向の分解能は、256分割×256分割とした。
一回の測定に際し、各分割点を用い、所定の演算を行うことで、表面性を表す指標、即ち平均表面粗さSRa〔nm〕を算出し、各回におけるSRaを平均化したものを、各磁気記録媒体におけるSRaの真値とした。
各サンプル磁気テープのSRaの値を、下記表2、表3に示す。
各サンプル磁気テープに対し、記録用ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm)と、再生用ヘッド(GMR、ギャップ0.15μm)を装着した固定電特機を用い、評価を行った。
波長0.25μmの信号を記録後、再生出力とノイズを、スペクトラムアナライザーを用いて測定した。
また、再生信号から±2MHzの周波数成分の大きさをノイズレベルと定義し、ノイズ出力の再生信号出力比をC/N特性とした。
比較例2のサンプル磁気テープにおけるC/N特性の基準値(0.0dB)とし、これとの相対値を、それぞれのC/N特性とした。
各サンプル磁気テープのSRaの値を、下記表2、表3に示す。
各サンプル磁気テープを、8mmデータカートリッジに組み込み、測定サンプルとした。
各測定サンプルを8mm走行装置を用いて走行させ、温度25℃、湿度50%の環境下、波長0.25μmの信号を10分間記録した。
信号の再生を行い、再生出力のエンベロープを基準とし、−6dB以上の出力劣化が0.3μsec以上継続したものをドロップアウトとし、1分間当たりの発生回数を計測した。
10分間のうちに得られた10個のデータの平均値を、ドロップアウトの真値とした。
比較例2のサンプルテープにおけるドロップアウトとの比較において、0.9倍以下のものを○、0.9〜1.5倍のものを△、1.5倍以上のものを×として評価した。
各サンプル磁気テープのドロップアウトの評価を、下記表2、表3に示す。
また、比較例1、5、11においては、磁性層の膜厚を150nmと、他のサンプルよりも厚く形成したため、磁性層の乾燥速度は抑制でき、配向効果も上がり、高い角形比は得られたが、本例においては、高感度再生ヘッド(GMRヘッド)を用いて信号の再生を行ったため、ノイズが増大してしまい、電磁変換特性(C/N)が劣化した。
一方、磁性層の膜厚を、使用する磁性塗料中の磁性粉末の軸長よりも薄層とした比較例25においては、磁性層の乾燥速度が極めて速く、塗りぬけが生じてしまい、ドロップアウトの増加が著しくなった。すなわち、磁性層の膜厚は、適用する磁性粉末の最短径以上100nm以下が好適であることが確かめられた。
Claims (4)
- 非磁性支持体の少なくとも一主面上に、少なくとも無機粒子と結合剤樹脂とを含有する下層非磁性層と、
少なくとも磁性粉末と結合剤樹脂とを含有する、膜厚100nm以下の磁性層とが積層形成された磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、前記下層非磁性層形成用の塗料を塗布し、乾燥処理を施した後に、当該乾燥処理後の下層非磁性層の膜状態を維持したまま、磁性塗料を塗布することにより形成されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。 - 信号再生用磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)、若しくは巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)を適用するものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、少なくとも無機粒子と結合剤樹脂とを含有する下層非磁性層と、
少なくとも磁性粉末と結合剤樹脂とを含有する、膜厚100nm以下の磁性層とが積層形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
非磁性支持体の少なくとも一主面上に、少なくとも無機粒子を結合剤樹脂中に分散させた非磁性塗料を塗布する工程と、
乾燥処理を行い、下層非磁性層を形成する工程と、
前記乾燥処理後、当該乾燥処理後の膜状態を維持した下層非磁性層上に、少なくとも磁性粉末を結合剤樹脂中に分散した磁性塗料を塗布して磁性層を形成する工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 最終的に得られる磁気記録媒体が、信号再生用磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)、若しくは巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)を適用するものであることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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