JP7200986B2 - 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ - Google Patents

磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ Download PDF

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Description

本技術は、磁気記録テープ等に関する。より詳しくは、磁気記録テープの環境要因等による変形(寸法変化)を抑制し、オフトラック現象を防止することができる磁気記録テープ、該テープが収容されたテープカートリッジ、および該テープの製造方法に関する。
近年、インターネットの普及、クラウドコンピューティング、ビッグデータの蓄積や解析が進んでいるため、長期的に記録すべき情報量が爆発的に増加している。このため、大量の情報をデータとしてバックアップし、あるいはアーカイブ化しておくための記録媒体には高記録容量化が求められている。この記録媒体の中でも「磁気記録テープ」(ときに「テープ」と略称)は、コスト、省エネルギー、長寿命、信頼性、容量などの観点から改めて注目されている。
この磁気記録テープは、磁気層を備える長尺状のテープがリールに巻かれた状態でケース内に収容されている。この磁気記録テープは、磁気抵抗型ヘッド(以下、磁気ヘッド)を用いて該テープが走行する方向に記録又は再生が行われる。2000年には、オープン規格のLTO(Linear-Tape-Open)が登場し、現在までその後世代の更新が進んできている。
磁気記録テープの記録容量は、磁気記録テープの表面積(テープ長×テープ幅)とテープの単位面積当たりの記録密度に依存している。該記録密度は、テープ幅方向のトラック密度と線記録密度(テープ長尺方向の記録密度)に依存している。すなわち、磁気記録テープの高記録容量化は、テープ長、トラック密度等をいかに増加させることができるかにかかっている。なお、テープ幅は、規格の関係から変えることは困難である。
前記トラック密度を高めた場合、磁気記録テープが高速走行する時のオフトラック現象の防止は、より重要な課題となる。このオフトラック現象は、磁気ヘッドが読み取るべきトラック位置に対象のトラックが存在しなかったり、間違ったトラック位置を読み取ってしまったりする現象を言う。
ここで、テープの高記録容量化のためにテープがより長くなり、テープ厚が一層薄くなると、テープ走行の際のテンション要因や湿度や温度の環境要因によるトラック幅方向(テープ幅方向)の変形(伸び)がさらに起こり易くなる。テープの変形が起こると、テープの走行性が不安定になり、また、磁気ヘッドとテープの間にスペーシングが起こってテープの記録再生特性が大きく低下してしまう。
特許文献1では、高温高湿度下で長時間保管してもデジタル記録信号が良好に再生できるようにするために、ポリエステルフィルムの表面に非磁性金属層又は金属酸化物層が設けられた構成を備える磁気記録媒体が開示されている。また、これら金属や金属酸化物層は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法などで形成できると開示されている。
特開平11-339250号公報。
本技術は、テープ製品の一巻当たりの記録容量を高める目的で、テープをより長くするためにテープの厚みを減少させた磁気記録テープに関する課題を解決する。具体的には、テープ走行時にテンションが加わった場合又は例えば温度及び/又は湿度の変化などの周囲環境における変化があった場合でも、テープ寸法の変化、特にはテープ幅方向の寸法変化を有効に抑制又は防止できる、磁気記録テープ等を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、テープの全厚が5.6μm以下となるように、厚みが薄く形成された磁気記録テープに関して、信号の記録又は再生時の磁気ヘッドに対向する側から、磁性層、非磁性層、ベース層、バック層を順に備えた層構造を有し、非磁性層の下層側に、金属又はその酸化物からなる蒸着膜層が設けられた構成を備えており、前記テープの縦方向(テープ長手方向)ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向ヤング率が15GPa以上である、磁気記録テープを提供する。本技術において、前記蒸着膜層は、例えば、ベース層とバック層の間に介在させる構成又はベース層と非磁性層の間に介在させる構成が採用されてよい。
また、本技術は、上記同様に、テープの全厚が5.6μm以下である前記磁気記録テープに関して、ベース層の一方の面側に少なくとも磁性層を形成する工程と、前記磁性層の下層側に金属又はその酸化物からなり、所定膜厚範囲の蒸着膜層を形成する補強膜形成工程を少なくとも行って、上記同様のヤング率を満たす磁気記録テープを得る、磁気記録テープの製造方法を提供する。
本技術により、テープの寸法変化、特にはテープ幅方向の寸法変化を有効に抑制することができる。
本技術に関わる磁気記録テープの第一実施形態例の基本的な層構造を示す図である。 同テープの第二実施形態例の基本的な層構造を示す図である。 テープT1(第一実施形態例)の場合の製造工程フロー図である。 テープT2(第二実施形態例)の場合の製造工程フロー図である。 本技術に関わる磁気記録テープカートリッジの一実施形態例を示す図である。
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術に好適な実施形態や変形形態を例示するものであるため、これらに狭く限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、以下の実施形態およびその変形例において挙げる構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、化合物等の化学式を挙げる場合は、この化学式は代表的なものであって、同じ化合物の一般名称であれば、記載された価数等に限定されない。また、以下に説明する実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。説明は、以下の順序で行う。
(1)本技術に係る第一実施形態例である磁気記録テープの基本的な層構造について
(2)第一実施形態例の各層の構成について
(2-1)磁性層
(2-2)非磁性層
(2-3)ベース層
(2-4)蒸着膜層
(2-5)バック層
(3)第二実施形態である磁気記録テープの基本的な層構造について
(3-1)絶縁層
(4)本技術に係る磁気記録テープの製造方法の一例について
(4-1)塗料調製工程
(4-2)蒸着膜形成工程
(4-3)塗布工程
(4-4)配向工程
(4-5)カレンダー工程
(4-6)裁断工程
(4-7)組み込み工程
(4-8)検査工程
(4-9)出荷
(1)本技術に係る磁気記録テープの基本層構造について。
図1は、本技術に係る磁気記録テープの第一実施形態例の基本的な層構造を示す図である。この図1に示す符号T1は、第一実施形態例の磁気記録テープ(以下、「テープT1」と称する)を表している。なお、本技術の磁気記録テープT1は、記録又は再生時のテープの速度が例えば4m/秒以上で高速走行されるものであってよい。すなわち、本技術の磁気記録テープT1は、4m/秒以上のテープ速度での記録又は再生のために用いられるものであってよい。このような高速走行が行われた場合、テープT1に加わるテンション(張力)が大きくなる。
このテープT1の全厚は、本技術が高記録容量化された磁気記録テープを対象としている観点から、5.6μm以下である。そして、該テープT1は、上から(記録又は再生時に磁気ヘッドに対向する側から)順に、磁性を備える磁性層1と、該磁性層1の下部に位置する非磁性層2と、該非磁性層2の下部に位置するベース層3と、該ベース層3の下部に位置している蒸着膜層Aと、該蒸着膜層Aの下部に位置し、最下層となるバック層4と、から構成されている。すなわち、テープT1は、計5層の基本層構造を備えている。なお、これらの5層に加えて、必要に応じて、他の層、例えば、磁性層1の上にさらに保護膜層や潤滑剤層を積層したり、磁性層1とベース層3の間に中間層などの層を介在させたり、必要な層を適切な箇所に設けることは自由である。なお、本技術の説明においては、層構造の上下方向は、図1等に示すように、磁性層1側を「上」、バック層4側を「下」として説明する。
(2)各層の構成や役割について
(2-1)磁性層
上記基本層構成を備えるテープT1において、表層に位置する磁性層1が信号記録層として機能する。なお、近年、テープT1に対する記録容量を高めることが重要な課題になっている。このため、例えば、テープT1をより薄くして(テープ全厚を低減して)、テープカートリッジ製品1巻き当たりのテープ長を増加させて記録面積(記録容量)を増やすことが求められている。なお、以下の本技術の説明において、テープT1(図1)についての説明に関して、該テープT2と共通する構成については、テープT2(図2)にも適用される。
磁性層1の厚みの好適な範囲は、20nm~100nmである。下限厚みの20nmは、磁性層1の塗布を均一に、かつ安定的に行うことができる限界厚みであり、上限厚みの100nmは、高記録密度テープのビット長の設定の観点から、この厚みを超える厚みは弊害となる。
磁性層1の平均厚みは、以下のようにして求めることができる。まず、テープT1を、その主面に対して垂直に薄く加工して試料片を作製し、その試験片の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)により観察を行う。装置および観察条件は、装置:TEM(日立製作所製H9000NAR)、加速電圧:300kV、倍率:100,000倍である。
次に、得られたTEM像を用い、テープT1の長手方向に少なくとも10点以上の位置で磁性層1の厚みを測定した後、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して磁性層1の平均厚みを求める。なお、測定位置は、試験片から無作為に選ばれるものとする。
磁性層1は、複数のサーボバンドと複数のデータバンドとを予め有していることが好ましい。複数のサーボバンドは、テープT1の幅方向に等間隔で設けられている。隣り合うサーボバンドの間には、データバンドが設けられている。サーボバンドには、磁気ヘッドのトラッキング制御をするためのサーボ信号が予め書き込まれている。データバンドには、ユーザデータが記録される。サーボバンドの数は、好ましくは5以上、より好ましくは5+4n(但し、nは正の整数である。)以上である。サーボバンドの数が5以上であると、テープT1の幅方向の寸法変化によるサーボ信号への影響を抑制し、オフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保できる。磁性層1のトラック密度は、テープ幅方向で1万本/inchインチ以上の高記録密度である。
磁性層1は、磁性粉(粉状の磁性粒子)が少なくとも含まれており、この磁性粉が長手配向(面内配向)又は垂直配向されている。磁性層1に対しては、公知の面内磁気記録方法(磁化の向きがテープ長手方向の方式)、あるいは公知の垂直磁気記録方式(磁化の向きが垂直方向の方式)を用いて、磁気によって磁性を変化させることにより信号の記録が行われる。
磁性層1のテープ垂直方向の垂直配向度は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上である。また、磁性層1のテープ長手方向の配向度に対するテープ垂直方向の垂直配向度の比は、例えば1.5以上であり、好ましくは1.8以上であり、より好ましくは1.85以上である。前記数値範囲内の垂直配向度及び/又は前記数値範囲内の比を有する磁気記録テープは、信頼性がより高い。
磁性層1の垂直方向の配向度は、以下のとおりに測定されてよい。
まず、テープT1から測定サンプルを切り出し、VSMを用いてテープT1の垂直方向(厚み方向)に、測定サンプル全体のM-Hループを測定する。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(非磁性層2、磁性層1、およびバック層3)を払拭し、ベース層3及び蒸着膜層Aのみを残してバックグラウンド補正用サンプルを得る。VSMを用いて、当該バックグラウンド補正用サンプルの垂直方向(テープの垂直方向)に、当該バックグラウンド補正用サンプルのM-Hループを測定する。その後、測定サンプル全体のM-Hループから当該バックグラウンド補正用サンプルのM-Hループを引き算して、バックグラウンド補正後のM-Hループを得る。得られたM-Hループの飽和磁化Ms(emu)および残留磁化Mr(emu)を以下の式に代入して、垂直配向度S1(%)を計算する。なお、上記のM-Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、M-Hループをテープの垂直方向に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。
垂直配向度S1(%)=(Mr/Ms)×100
また、長手方向の配向度は、測定サンプル全体のM-Hループの測定及びバックグラウンド補正用サンプルのM-Hループの測定がテープの長手方向(走行方向)に測定されること以外は、垂直配向度と同様にして測定される。
前者の面内磁気記録方式では、例えば、磁化機能を発揮する金属磁性粉を配合した磁性層1に対してテープ長手方向に記録する。後者の垂直磁気記録方式では、例えば、磁化機能を発揮するBaFe(バリウムフェライト)磁性粉などを配合した磁性層1に対してテープT1の垂直方向に対して磁気記録が行われる。なお、垂直磁気記録は、隣り合う磁気が互いに強め合い、高密度化が可能で、磁力を保持する力である保持力(Hc)も高い。いずれにしても、信号の記録は、磁気ヘッドから磁界が加えられることにより、磁性層1中の磁性粒子が磁化されることによって行われる。
磁性層1の磁性粉をなす磁性粒子は、例えば、イプシロン型酸化鉄(ε酸化鉄)、ガンマヘマタイト、マグネタイト、二酸化クロム、コバルト被着酸化鉄、六方晶フェライト、バリウムフェライト(BaFe)、Coフェライト、ストロンチウムフェライト、メタル(金属)などを挙げることができ、特に狭く限定されない。なお、ε酸化鉄はGaやAlのいずれかを含んでいてもよい。これらの磁性粒子については、磁性層1の製造方法、テープ規格、機能などに基づいて自由に選択される。
なお、磁性粒子の形状は、磁性粒子のその結晶構造に依拠している。例えば、BaFeは六角板状、ε酸化鉄は球状等、コバルトフェライトは立方状、メタルは紡錘状である。磁性層1は、テープT1の製造工程においてこれらの磁性粒子が配向される。なお、BaFeは、高温多湿環境でも抗磁力が落ちないなどの点からデータ記録の信頼性が高いため、本技術においても好適な磁性材料の一つとなり得る。
磁性粉は、例えば、ε酸化鉄を含有するナノ粒子(以下「ε酸化鉄粒子」という。)の粉末を使用できる。ε酸化鉄粒子は微粒子でも高保磁力を得ることができる。ε酸化鉄粒子に含まれるε酸化鉄は、テープT1の厚み方向(垂直方向)に優先的に結晶配向していることが好ましい。
ε酸化鉄粒子についてさらに詳しく説明する。このε酸化鉄粒子は、球状もしくはほぼ球状を有しているか、または立方体状もしくはほぼ立方体状を有している。ε酸化鉄粒子が上記のような形状を有しているため、磁性粒子としてε酸化鉄粒子を用いた場合、磁性粒子として六角板状のバリウムフェライト粒子を用いた場合に比べて、テープT1の厚み方向における粒子同士の接触面積を低減し、粒子同士の凝集を抑制することができるという利点がある。したがって、磁性粉の分散性を高め、より良好なSNR(Signal-to-Noise Ratio)を得ることができる。
ε酸化鉄粒子は、コアシェル型構造を有する。具体的には、ε酸化鉄粒子は、コア部と、このコア部の周囲に設けられた2層構造のシェル部とを備える。2層構造のシェル部は、コア部上に設けられた第1シェル部と、第1シェル部上に設けられた第2シェル部とを備える。コア部は、ε酸化鉄を含む。コア部に含まれるε酸化鉄は、ε-Fe結晶を主相とするものが好ましく、単相のε-Feからなるものがより好ましい。
第1シェル部は、コア部の周囲のうちの少なくとも一部を覆っている。具体的には、第1シェル部は、コア部の周囲を部分的に覆っていてもよいし、コア部の周囲全体を覆っていてもよい。コア部と第1シェル部の交換結合を十分なものとし、磁気特性を向上する観点からすると、コア部の表面全体を覆っていることが好ましい。
第1シェル部は、いわゆる軟磁性層であり、例えば、α-Fe、Ni-Fe合金またはFe-Si-Al合金等の軟磁性体を含む。α-Feは、コア部に含まれるε酸化鉄を還元することにより得られるものであってもよい。第2シェル部は、酸化防止層としての酸化被膜である。第2シェル部は、α酸化鉄、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む。α酸化鉄は、例えばFe、FeおよびFeOのうちの少なくとも1種の酸化鉄を含む。第1シェル部がα-Fe(軟磁性体)を含む場合には、α酸化鉄は、第1シェル部に含まれるα-Feを酸化することにより得られるものであってもよい。
ε酸化鉄粒子が、上述のように第1シェル部を有することで、熱安定性を確保するためにコア部単体の保磁力(Hc)を大きな値に保ちつつ、ε酸化鉄粒子(コアシェル粒子)全体としての保磁力を、記録に適した保磁力(Hc)に調製できる。
また、ε酸化鉄粒子が、上述のように第2シェル部を有することで、テープT1の製造工程およびその工程前において、ε酸化鉄粒子が空気中に暴露されて、粒子表面に錆び等が発生することにより、ε酸化鉄粒子の特性が低下することを抑制することができる。したがって、テープT1の特性劣化を抑制することができる。
ε酸化鉄粒子が2層構造のシェル部を有している場合について説明したが、ε酸化鉄粒子が単層構造のシェル部を有していてもよい。この場合、シェル部は、第1シェル部と同様の構成を有する。但し、ε酸化鉄粒子の特性劣化を抑制する観点からすると、上述した一実施形態におけるように、ε酸化鉄粒子が2層構造のシェル部を有していることが好ましい。
以上では、ε酸化鉄粒子のコアシェル構造に代えて添加剤を含んでいてもよいし、コアシェル構造を有すると共に添加剤を含んでいてもよい。この場合、ε酸化鉄粒子のFeの一部が添加剤で置換される。ε酸化鉄粒子が添加剤を含むことによっても、ε酸化鉄粒子全体としての保磁力(Hc)を、記録に適した保磁力(Hc)に調製できるため、記録容易性を向上することができる。添加剤は、鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl、GaおよびInのうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。
具体的には、添加剤を含むε酸化鉄は、ε-Fe2-x結晶(但し、Mは鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl、GaおよびInのうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。xは、例えば0<x<1である。)である。
磁性粉は、六方晶フェライトを含有するナノ粒子(以下「六方晶フェライト粒子」という。)の粉末を使用してもよい。六方晶フェライト粒子は、例えば、六角板状またはほぼ六角板状を有する。六方晶フェライトは、好ましくはBa、Sr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種、より好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種を含む。
六方晶フェライトは、具体的には、例えばバリウムフェライトまたはストロンチウムフェライトであってもよい。バリウムフェライトは、Ba以外にSr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。ストロンチウムフェライトは、Sr以外にBa、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
より具体的には、六方晶フェライトは、一般式MFe1219で表される平均組成を有する。但し、Mは、例えばBa、Sr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種の金属、好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種の金属である。Mが、Baと、Sr、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。また、Mが、Srと、Ba、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。上記一般式においてFeの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは50nm以下、より好ましくは10nm以上40nm以下、さらにより好ましくは15nm以上30nm以下である。
磁性粉は、Co含有スピネルフェライトを含有するナノ粒子(以下「コバルトフェライト粒子」という。)の粉末を使用してもよい。コバルトフェライト粒子は、一軸異方性を有することが好ましい。コバルトフェライト粒子は、例えば、立方体状またはほぼ立方体状を有している。Co含有スピネルフェライトが、Co以外にNi、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
Co含有スピネルフェライトは、例えば、以下の式(1)で表される平均組成を有する。
CoFe ・・・(1)
(但し、式(1)中、Mは、例えば、Ni、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種の金属である。xは、0.4≦x≦1.0の範囲内の値である。yは、0≦y≦0.3の範囲内の値である。但し、x、yは(x+y)≦1.0の関係を満たす。zは3≦z≦4の範囲内の値である。Feの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。)。磁性粉がコバルトフェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは25nm以下、より好ましくは23nm以下である。
ここで、既述した磁性粉の平均粒子サイズDは、以下のようにして求めることができる。まず、測定対象となるテープT1をFIB(Focused Ion Beam)法などにより加工して薄片を作製し、TEMにより薄片の断面観察を行う。次に、撮影したTEM写真から500個の磁性粉を無作為に選び出し、それぞれの粒子の最大粒子サイズdmaxを測定して、磁性粉の最大粒子サイズdmaxの粒度分布を求める。ここで、“最大粒子サイズdmax”とは、いわゆる最大フェレ径を意味し、具体的には、磁性粉の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のものをいう。その後、求めた最大粒子サイズdmaxの粒度分布から最大粒子サイズdmaxのメジアン径(50%径、D50)を求めて、これを磁性粉の平均粒子サイズ(平均最大粒子サイズ)Dとする。
ここで、磁性粉の平均アスペクト比は、好ましくは1以上2.5以下、より好ましくは1以上2.1以下、さらにより好ましくは1以上1.8以下である。磁性粉の平均アスペクト比が1以上2.5以下の範囲内であると、磁性粉の凝集を抑制することができると共に、磁性層1の形成工程において磁性粉を垂直配向させる際には、磁性粉に加わる抵抗を抑制することができる。すなわち、磁性粉の垂直配向性を向上することができる。
磁性粉の平均アスペクト比は、以下のようにして求めることができる。まず、測定対象となるテープT1をFIB法等により加工して薄片を作製し、TEMにより薄片の断面観察を行う。次に、撮影したTEM写真から、水平方向に対して75度以上の角度で配向した磁性粉を50個無作為に選び出し、各磁性粉の最大板厚DAを測定する。続いて、測定した50個の磁性粉の最大板厚DAを単純に平均(算術平均)して平均最大板厚DAaveを求める。次に、テープT1の磁性層1の表面をTEMにより観察を行う。次に、撮影したTEM写真から50個の磁性粉を無作為に選び出し、各磁性粉の最大板径DBを測定する。ここで、最大板径DBとは、磁性粉の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を意味する。続いて、測定した50個の磁性粉の最大板径DBを単純に平均(算術平均)して平均最大板径DBaveを求める。次に、平均最大板厚DAaveおよび平均最大板径DBaveから磁性粉の平均アスペクト比(DBave/DAave)を求める。
また、この磁性層1には、磁性粉以外に、該磁性層1の強度や耐久性を高める目的などで非磁性の添加剤が配合される。添加剤は、例えば、結着剤、潤滑剤、さらに必要に応じて、分散剤、導電性粒子、研磨剤、防錆剤等をさらに含んでいてもよい。この磁性層1には、潤滑剤を蓄えるための多数の孔部(図示せず。)を設けてもよい。多数の孔は、磁性層1の表面に対して垂直方向に延設されていることが好ましい。
この磁性層1は、磁性粉とこれらの選択された添加剤が配合された磁性塗料として調製され、下の層に対して塗布により形成される。あるいは、磁性層1は、スパッタ法や蒸着法によって形成してもよい。
磁性層1に配合される前記結着剤としては、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等に架橋反応を付与した構造の樹脂が好ましい。しかしながら、結着剤はこれらに限定されるものではなく、テープT1に対して要求される物性等に応じて、その他の樹脂を適宜配合してもよい。配合する樹脂としては、通常、塗布型のテープT1において一般的に用いられる樹脂であれば、特に限定されない。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル-塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル-塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル-塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル-塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル-エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂、または反応型樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
また、上述した各結着剤には、磁性粉の分散性を向上させる目的で、-SOM、-OSOM、-COOM、P=O(OM)等の極性官能基が導入されていてもよい。ここで、式中Mは、水素原子、またはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。さらに、極性官能基としては、-NR1R2、-NR1R2R3の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1R2の主鎖型のものが挙げられる。ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子、または炭化水素基であり、Xは弗素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオン、または無機もしくは有機イオンである。また、極性官能基としては、-OH、-SH、-CN、エポキシ基等も挙げられる。
磁性層1は、非磁性補強粒子として、酸化アルミニウム(α、βまたはγアルミナ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル型またはアナターゼ型の酸化チタン)等をさらに含んでいてもよい。
磁性層1の潤滑剤は、下記の一般式(2)で示される化合物、および下記の一般式(3)で示される化合物を含むことが好ましい。潤滑剤がこれらの化合物を含むことで、磁性層1の表面の動摩擦係数を特に低減することができる。したがって、テープTの走行性をさらに向上することができる。
CH(CHCOOH ・・・(2)
(但し、一般式(1)において、nは14以上22以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH(CHCOO(CHCH ・・・(3)
(但し、一般式(2)において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは2以上5以下の範囲から選ばれる整数である。)
テープT1の動摩擦係数は、テープT1の安定走行との関係で重要な要素である。テープT1に加わる張力が1.2Nであるときの磁性層1の表面と磁気ヘッドHの間の動摩擦係数μAと、テープT1に加わる張力が0.4Nであるときの磁性層1の表面と磁気ヘッドHの間の動摩擦係数μB との比率(μ/μ)が、好ましくは1.0以上で2.0以下であると、走行時の張力変動による動摩擦係数の変化を小さくできるためテープの走行を安定させることができる。
テープT1に加わる張力が0.6であるときの磁性層1の表面と磁気ヘッドの間の動摩擦係数μが走行5回目の値μ5と1000回目の値 μ1000との比率(μ1000/μ5)が、好ましくは1.0以上2.0以下、より好ましくは1.0以上1.7以下である。比率(μ/μ)が1.0以上で2.0以下であると、多数回走行による動摩擦係数の変化を小さくできるためテープの走行を安定させることができる。
(2-2)非磁性層
次に、磁性層1の下部に設けられる非磁性層2(図1参照)は、場合により、中間層や下地層とも称される場合もある。この非磁性層2は、磁性層1に対する磁力の作用を該磁性層1に留める目的や、磁性層1に求められる平坦性を確保する目的、磁性層1の配向特性を高める目的などのために設けられる層である。また、この非磁性層2は、磁性層1に添加される潤滑剤や非磁性層2自体に添加される潤滑剤を保持する役割も果たす。
この非磁性層2は、次に説明する「ベース層3」の上に、例えば、塗布によって形成することができる。この非磁性層2は、目的や必要に応じて複層構造としてもよい。この非磁性層2は、非磁性材料を使用することが重要である。その理由は、磁性層1以外が磁化してしまうとノイズの発生源となってしまうからである。
この非磁性層2は、非磁性粉および結着剤を含む非磁性の層である。非磁性層2は、必要に応じて、結着剤、潤滑剤、導電性粒子、硬化剤および防錆剤等のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいてもよい。非磁性層2に使用する結着剤は、上述の磁性層1と同様である。
非磁性粉は、例えば、無機粒子または有機粒子の少なくとも1種を含み、1種の非磁性粉を単独で用いてもよいし、2種以上の非磁性粉を組み合わせて用いてもよい。無機粒子は、例えば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物または金属硫化物等を含む。一例を挙げると、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化チタン、カーボンラック等を使用できる。非磁性粉の形状としては、例えば、針状、球状、立方体状、板状等の各種形状が挙げられるが、これに特に限定されるものではない。
この非磁性層2の平均厚みは、好ましくは0.8μm以上2.0μm以下であり、より好ましくは0.6μm以上1.4μm以下である。非磁性層2の平均厚みは、磁性層1の平均厚みと同様にして求められる。但し、TEM像の倍率は、非磁性層2の厚みに応じて適宜調製される。磁性層2の平均厚みが0.6μm未満であると、磁性層1や非磁性層2自体に配合される添加剤(例えば、潤滑剤)の保持機能が失われてしまい、一方、磁性層2の平均厚みが2.0μmを超えてしまうと、テープT1の全厚が過剰となってしまので、テープT1を薄くして高記録容量化を追求する流れに逆行する。
(2-3)ベース層
次に、図1等に示されたベース層3は、テープT1の土台となる層としての機能を主に果たしている。ベース層3は、ベースフィルム層、基体、あるいは非磁性支持体とも称されることがある。ベース層3は、非磁性層2や該磁性層2の上層の磁性層1等を支持する非磁性の支持体として主に機能し、テープT1全体に剛性を付与している。該ベース層3は、可撓性を備える長尺のフィルム状をなしている。
ベース層3の平均厚みの上限値は、4.5μm未満、より好ましくは4.2μm以下、より好ましくは3.6μm以下、さらにより好ましくは3.3μm以下である。ベース層3の平均厚みの上限値が3.6μm以下である。ベース層3がより薄くなるとテープ全厚も薄くなるので、一つのカートリッジ製品内に記録できる記録容量を一般的な磁気記録媒体よりも高めることができる。なお、ベース層3の下限の厚みは、フィルムの製膜上の限界や当該ベース層3の機能の観点から定められる。
ベース層3の平均厚みは、以下のようにして求めることができる。まず、1/2インチ幅のテープT1を準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。続いて、サンプルのベース層3以外の層をMEK(メチルエチルケトン)または希塩酸等の溶剤で除去する。次に、測定装置としてMitsutoyo社製レーザーホロゲージを用いて、サンプル(ベース層3)の厚みを5点以上の位置で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、ベース層3の平均厚みを算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。
ベース層3は、例えば、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、およびその他の高分子樹脂のうちの少なくとも1種を含む。ベースフィルム層3が上記材料のうちの2種以上を含む場合、それらの2種以上の材料は混合されていてもよいし、共重合されていてもよいし、積層されていてもよい。ポリエステル類は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、PEB(ポリエチレン-p-オキシベンゾエート)およびポリエチレンビスフェノキシカルボキシレートのうちの少なくとも1種を含む。ポリオレフィン類は、例えば、PE(ポリエチレン)およびPP(ポリプロピレン)のうちの少なくとも1種を含む。セルロース誘導体は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、CAB(セルロースアセテートブチレート)およびCAP(セルロースアセテートプロピオネート)のうちの少なくとも1種を含む。ビニル系樹脂は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPVDC(ポリ塩化ビニリデン)のうちの少なくとも1種を含む。その他の高分子樹脂は、例えば、PA(ポリアミド、ナイロン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド、アラミド)、PI(ポリイミド)、芳香族PI(芳香族ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、芳香族PAI(芳香族ポリアミドイミド)、PBO(ポリベンゾオキサゾール、例えばザイロン(登録商標))、ポリエーテル、PEK(ポリエーテルケトン)、ポリエーテルエステル、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PSF(ポリスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PC(ポリカーボネート)、PAR(ポリアリレート)およびPU(ポリウレタン)のうちの少なくとも1種を含む。
このベース層3の材料は、特に狭く限定はされないのであるが、磁気記録テープの規格によって定められる場合がある。例えば、LTO規格では、PENが指定されている。
(2-4)蒸着膜層
図1、図2に示された蒸着膜層Aは、薄く形成されたテープT1、T2の剛性を飛躍的に高めるための補強膜層として機能する。より詳しくは、テープT1,T2の記録密度を高めるために、磁性層1のトラック幅をより細くしてトラック密度を高める一方で、テープカートリッジ製品1巻あたりのテープの記録容量を高める目的でテープ長をより長くするために、テープの厚みをより薄くする技術傾向が強まっている。
テープT1の厚みがより薄くなってくると、テープ走行時にテープT1に加わるテンションの影響又は保管若しくは輸送時の環境条件の変化によって、テープ寸法の変化が生じ易くなる。特に、テープ幅方向の寸法変化、あるいは変形は、記録又は再生時の磁気ヘッドからの磁界がトラックから外れてしまう現象、いわゆる「オフトラック現象」を引き起こし易くする。蒸着膜層Aは、テープT1の寸法変化や変形を抑制し、オフトラック現象の発生を防止し、ひいてはSNR(シグナルノイズ比)の低下を防止する役割を果たす。
テープT1は、この蒸着膜層Aを備えているため、テープ走行速度が4m/秒以上の高速走行時の引っ張りテンション(張力)が加わった場合やトラック数がテープ幅方向で1万本/インチ以上の高密度な構成であっても、テープ幅方向の寸法変化や変形を抑制できるので、オフトラック現象の発生を有効に防止できる。
蒸着膜層Aは、金属やその酸化物からなる金属材料から形成されている。例えば、コバルト(Co)、酸化コバルト(CoO)、アルミニウム(Al)、酸化アルミニウム(Al)、銅(Cu)、酸化銅(CuO)、クロム(Cr)、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、ニッケルチタン(TiNi)、コバルトクロム(CoCr)、タングステン(W)、マンガン(Mn)のいずれかを使用することができ、好ましくは、Co、Al、Si、Cu、Crを使用することができる。
蒸着膜層Aは、これらの金属又は金属酸化物材料を蒸発させてベース層3に堆積させることにより形成することができる。蒸着方法は、誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法などを採用できる。中でも、電子ビーム蒸着法が好適である。電子ビーム蒸着法が好適な理由は、蒸発することが難しい高融点金属や融点の高い金属酸化物を蒸発させることが可能であり、また、電子ビームにより瞬時に加熱や出力を変更することができるため、より精密な膜厚制御が可能となるからである。また、電子ビーム蒸着法では、高融点材料を扱えるので、より剛性の高い材料選択が可能となる。さらに、電子ビーム蒸着法は、効率よく成膜できるので、生産性にも優れている。
蒸着膜層Aの厚みの上限は、600nm以下が望ましく、より好ましくは、500nm以下が好ましい。厚みが600nmを超えると、特に500nmを超えると、テープT1の全厚を抑制する技術傾向に反するとともに、かつ蒸着膜層Aを形成する際の生産性が悪化してしまう。一方、蒸着膜増Aの厚みの下限については、蒸着膜層Aの補強膜としての機能が発揮できることを条件に可能な限り薄くてよい。例えば、蒸着膜層Aの膜厚は、350nm以上が好ましい。
また、ベース層の厚みに対する蒸着膜層Aの厚みの比率(蒸着膜層の厚み/ベース層の厚み)は、好ましくは9%以上、より好ましくは10%以上である。これにより磁気記録テープの寸法安定性を高めることができる。また、当該比率は、テープ全厚の厚みが大きくなることを防ぐために、例えば18%以下、特には16%以下であってよい。
ここで、この蒸着膜層Aを設けることによって、磁気記録テープに対して、温度、湿度、張力に対する寸法変化を抑制できる特性を付与できる。この特性は、寸法安定性(TDS:Transversal Dimensional stability)で示すことができる。特に、TDS(温度、湿度)とTDS(張力)を合算して得られる合算TDS(ppm)によって前記特性を評価できる。TDS(温度、湿度)は、温度及び湿度の変化に対する寸法安定性(TDS)を意味する。TDS(張力)は、張力に対する寸法安定性(TDS)を意味する。本技術に係る磁気記録テープは、好ましくは合算TDSの値が300ppm未満である。合算TDSの値が300ppm未満であることにより、寸法安定性が良好である。なお、合算TDSの具体的な求め方は、後述の実施例において説明する。
また、テープ長手方向と幅方向のヤング率(単位:GPa)もテープの寸法安定性を評価できる数値として採用できる。特に、これらのヤング率はテープにテンションが加わった場合の寸法安定性を評価する場合に適している。これらのヤング率は引張試験機を用いて測定することができる。後述の実験で実証したように、本技術に係る磁気記録テープでは、該テープの縦方向(テープ長手方向)ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向ヤング率が15GPa以上であるため、寸法安定性が良好である。
さらに、蒸着密度は磁気記録テープの比抵抗値と相関している。具体的には蒸着密度が上がると比抵抗値が下がる関係にある。テープの比抵抗値が下がりすぎると(電気抵抗が下がりすぎると)、該テープを通じて、環境中の静電気が磁気ヘッドに伝導し易くなってしまい、該磁気ヘッドを壊してしまう原因となる。したがって、本技術では、適切な蒸着密度の上限を「比抵抗値」で特定する。後述の実験で実証したように、本技術に係る磁気記録テープは、比抵抗値が4.1×10-6Ω・m以下となる蒸着密度を備えており、このため、磁気ヘッドへの悪影響もない。
(2-5)バック層
図1等に示されたバック層4は、テープT1が磁気ヘッドに対向しながら高速走行する際に発生する摩擦を制御する役割、巻き乱れを防止する役割などを担っている。すなわち、テープT1を高速で安定走行させるための基本的な役割を担っている。
バック層4は、結着剤および非磁性粉を含んでいる。バック層4は、必要に応じて潤滑剤、硬化剤および帯電防止剤等のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいてもよい。結着剤および非磁性粉は、上述の非磁性層2の場合と同様である。帯電防止剤を添加すると、このバック層4にゴミや埃の付着を防止することができる。
バック層4に含有され得る非磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは10nm以上150nm以下、より好ましくは15nm以上110nm以下である。非磁性粉の平均粒子サイズは、上記の磁性粉の平均粒子サイズと同様にして求められる。非磁性粉が、2以上の粒度分布を有する非磁性粉を含んでいてもよい。
バック層4の平均厚みの上限値は、好ましくは0.6μm以下である。バック層4の平均厚みの上限値が0.6μm以下であると、テープT1の平均厚みが5.6μm以下である場合でも、テープT1の記録再生装置内での走行安定性を保つことができる。バック層4の平均厚みの下限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.2μm以上である。0.2μm未満であると、テープT1の記録再生装置内での走行安定性に支障をきたす恐れが生じる。
バック層4の平均厚みは、以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅のテープTを準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。次に、測定装置としてMitsutoyo社製レーザーホロゲージを用いて、サンプルの厚みを5点以上で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、テープT1の平均値t[μm]を算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。
続いて、サンプルのバック層4をMEK(メチルエチルケトン)または希塩酸等の溶剤で除去する。その後、再び上記のレーザーホロゲージを用いてサンプルの厚みを5点以上で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、バック層4を除去したテープTの平均値t[μm]を算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。その後、以下の式(4)によりバック層4の平均厚みt[μm]を求める。
[μm]=t[μm]-t[μm]・・・(4)
(3)第二実施形態である磁気記録テープの基本的な層構造について。
図2は、第二実施形態例である磁気記録テープの基本的な層構造を示している。この図2に示された符号T2は、第二実施形態例である磁気記録テープを示している。このテープT2の全厚は、第一実施形態例のテープ1(図1参照)と同様に高記録容量化された磁気記録テープとする観点から、5.6μm以下を前提とする。
また、テープT2を構成する磁性層1、非磁性層2、ベース層3、蒸着膜層A、バック層4のそれぞれの材料、組成、構造、形態、機能(役割)などは、既述した第一実施形態例(テープT1)と同様であるので、その説明については重複するので割愛する。また、第一実施形態例(テープT1)と共通する層については、同一の符号を使用して以下説明する。
第二実施形態例であるテープT2は、上から(記録又は再生時に磁気ヘッドに対向する側から)順に、磁性を備える磁性層1と、該磁性層1の下部に位置する非磁性層2と、該非磁性層2の下部に位置する絶縁層Bと、該絶縁層Bの下部に位置している蒸着膜層Aと、該蒸着膜層Aの下部に位置するベース層3と、最下層となるバック層4と、から構成されている。すなわち、テープT2は、計6層の基本層構造を備えている(図2再参照)。なお、これら6層に加えて、必要に応じて、他の層、例えば、磁性層1の上にさらに保護膜層や潤滑剤層を積層したり、磁性層1とベース層3の間に中間層などの層を介在させたり、必要な層を適切な箇所に設けることは自由である。
上述した第一実施形態例のテープT1においては、蒸着膜層Aをベース層3とバック層4の間に設けた構成である(図1再参照)。これに対して、この第二実施形態例のテープT2では、蒸着膜層Aをベース層3と非磁性層2の間に設けており、さらに、蒸着膜層Aと非磁性層2の間に絶縁層Bを設けている(図2参照)。
(3-1)絶縁層
第二実施形態であるテープT2では、ベース層3の磁性層1側の主面に、テープT1同様の構成及び方法により蒸着膜層Aを設けている。この構成では、磁性層1側の電気抵抗を下げないようにするために、該蒸着膜層Aと非磁性膜2の間に絶縁層Bを設ける工夫をしている。絶縁層Bを設けないと、磁性層1側の電気抵抗が下がりすぎて電流が流れやすくなり、記録又は再生時に磁気ヘッドを破壊する可能性が生じてしまうからである。
この絶縁層Bは、乾燥された蒸着膜層Aの上に、塗布によって形成することができる。一例を挙げると、絶縁層Bは、樹脂材料とシクロヘキサンからなる組成物を採用することができる。
この絶縁層Bの厚みは、0.3μm~0.6μmの範囲内にあることが望ましい。絶縁層Bの厚みが0.3μm未満であると、絶縁機能が低下してしまう一方、絶縁層Bの厚みが0.6μmを超えてしまうと、テープT2の全厚が増えてしまう。
(4)本技術に係る磁気記録テープの製造方法の一例について
まず、上述の構成を有するテープT1、T2の製造方法の全体の基本工程例を、図3、図4を用いて説明する。
まず、図3は、テープT1(第一実施形態例)の場合の製造工程フローを示している。図1の層構造を備えるテープT1の場合、まず、塗布によって形成することになる磁性層1、非磁性層2、バック層4のそれぞれの層形成用塗料を調製しておき(塗料調製工程)、ベース層3に対する蒸着膜層Aの形成を行う(蒸着膜層形成工程)。
次に、予め調製しておいた各塗料の塗布を積層順に行う(塗布工程)。ベース層3の蒸着膜層Aが設けられた面とは反対側の面に非磁性層形成用塗料を塗布し、これを乾燥する。続いて、非磁性層2に磁性層形成用塗料を塗布し、これを乾燥させるとともに、磁性粉を配向して磁性層1を形成する。磁性層1の配向が終了したら、蒸着膜層Aの反対面に、バック層3を塗布により形成する。これにより、計5層からなるテープT1(図1参照)が出来上がる。
続いて、カレンダー工程、硬化工程、裁断工程、切断工程、組み込み工程、検査工程を順に経て、テープカートリッジ製品(図5参照)を出荷する。カレンダー工程以降の各工程については、後で詳述する。
次に、図4には、テープT2(第二実施形態例)の場合の製造工程フローが示されている。図2に示された計6層の層構造を備えるテープT2の場合、まず、塗布により形成する磁性層1、非磁性層2、バック層4に加え、絶縁層B(図2参照)の各層形成用塗料を調製しておく(塗料調製工程)。
次に、ベース層3に対する蒸着膜層Aの形成を行う(蒸着膜形成工程)。次に、調製しておいた各層形成用塗料の塗布を蒸着膜層Aに対して順番に行なう(塗布工程)。具体的には、ベース層3の蒸着膜層Aが設けられた面に絶縁層形成用塗料を塗布し、これを乾燥する。続いて、この絶縁層Bに非磁性層形成用塗料を塗布して、これを乾燥する。次に、非磁性層2に磁性層形成用塗料を塗布して、上記テープT1と同様の手法で磁性粉の配向を行い、その後乾燥を行い、磁性層1を形成する。最後に、ベース層3の反対面にバック層形成用塗料を塗布によって形成する。これにより、計6層からなるテープT2(図2参照)が出来上がる。
続いて、上記テープT1と同様にテープT2についても、カレンダー工程、硬化工程、裁断工程、切断工程、組み込み工程、検査工程を経て、テープカートリッジ製品(図5参照)を出荷する。カレンダー工程以降の各工程についての詳細は、後述する。
以下、テープT1、T2の製造に関係する主要な各工程について、さらに詳しく説明する。なお、使用する膜形成用の塗料についてはその配合組成の一例についても示す。
(4-1)塗料調製工程
まず、非磁性粉、結着剤および潤滑剤等を溶剤に混練及び/又は分散させることにより「非磁性層形成用塗料」を調製する。次に、磁性粉、結着剤および潤滑剤等を溶剤に混練及び/又は分散させることにより「磁性層形成用塗料」を調製する。次に、結着剤および非磁性粉等を溶剤に混練及び/又は分散させることにより「バック層形成用塗料」を調製する。さらに、第二実施形態のテープT2を製造する場合は、絶縁材料と樹脂材料からなる組成により「絶縁層形成用塗料」を調製する。
前述した磁性層形成用塗料、非磁性層形成用塗料、バック層形成用塗料には、例えば、以下の溶剤を用いることができ、これらの塗料に加え、絶縁層形成用塗料の調製には、以下の分散装置および混練装置を用いることができる。
上述の塗料調製に用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2-エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
上述の塗料調製に用いられる混練装置としては、例えば、連続二軸混練機、多段階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニーダー等の混練装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。また、上述の塗料調製に用いられる分散装置としては、例えば、ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワーミル、パールミル(例えばアイリッヒ社製「DCPミル」等)、ホモジナイザー、超音波分散機等の分散装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。
<磁性層形成用塗料の調製工程>
例えば、「磁性層形成用塗料」については、例えば、以下のようにして調製することができる。まず、下記配合の第1組成物をエクストルーダで混練する。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第1組成物と、下記配合の第2組成物を加えて予備混合を行なう。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、磁性層形成用塗料を調製する。
(第1組成物)
・バリウムフェライト(BaFe1219)粒子の粉末(六角板状、アスペクト比2.8、粒子体積1950nm):100質量部
・塩化ビニル系樹脂(シクロヘキサノン溶液30質量%):10質量部(重合度300、Mn=10000、極性基としてOSOK=0.07mmol/g、2級OH=0.3mmol/gを含有する。)
・酸化アルミニウム粉末:5質量部
(α-Al、平均粒径0.2μm)
・カーボンブラック:2質量部(東海カーボン社製、商品名:シーストTA)
(第2組成物)
・塩化ビニル系樹脂:1.1質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
・n-ブチルステアレート:2質量部
・メチルエチルケトン:121.3質量部
・トルエン:121.3質量部
・シクロヘキサノン:60.7質量部
最後に、上述のようにして調製した磁性層形成用塗料に、硬化剤として、ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製):4質量部と、ミリスチン酸:2質量部とを添加する。
<非磁性層用塗料の調製工程>
次に、例えば、「非磁性層用塗料」の調製工程は、例えば、以下のようにして調製することができる。まず、下記配合の第3組成物をエクストルーダで混練する。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第3組成物と、下記配合の第4組成物を加えて予備混合を行う。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、非磁性層形成用塗料を調製する。
(第3組成物)
・針状酸化鉄粉末:100質量部
(α-Fe、平均長軸長0.15μm)
・塩化ビニル系樹脂:55.6質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
・カーボンブラック:10質量部
(平均粒径20nm)
(第4組成物)
・ポリウレタン系樹脂UR8200(東洋紡績製):18.5質量部
・n-ブチルステアレート:2質量部
・メチルエチルケトン:108.2質量部
・トルエン:108.2質量部
・シクロヘキサノン:18.5質量部
最後に、上述のようにして調製した非磁性層形成用塗料に、硬化剤として、ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製):4質量部と、ミリスチン酸:2質量部とを添加する。
<バック層形成用塗料の調製工程>
バック層形成用塗料は、例えば、以下のようにして調製することができる。下記原料を、ディスパーを備えた攪拌タンクで混合を行い、フィルター処理を行うことで、バック層形成用塗料を調製する。
・カーボンブラック粒子の粉末(平均粒径20nm):90質量部
・カーボンブラック粒子の粉末(平均粒径270nm):10質量部
・ポリエステルポリウレタン:100質量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:N-2304)
・メチルエチルケトン:500質量部
・トルエン:400質量部
・シクロヘキサノン:100質量部
なお、カーボンブラック粒子の粉末(平均粒径20nm)を80質量部、同粉末(平均粒径270nm):20質量部としてもよい。
<絶縁層形成用塗料の調製工程>
上記第二実施形態例のテープT2(図2参照)を製造する場合は、絶縁層形成用塗料を調製しておく。具体的には、以下の組成例を採用することができる。
・ポリエステル樹脂:1.0質量%
・シクロヘキサン:99.0質量%
以上のように、塗布によって形成する各層のそれぞれの塗料を調製しておくことができる。
(4-2)蒸着膜層形成工程
例えば、ロールtoロール方式の真空蒸着装置を用いて、蒸着膜形成を行うことができる。該真空蒸着装置は、内部が高真空状態とされた真空室内に、冷却されながら回転する冷却スキャンと、この冷却スキャンと対向する位置に配された蒸着源とを備える。該蒸着源は、坩堝などの容器に金属材料が収容された構成である。ベース層3を構成するフィルムを、冷却スキャンを介して連続で走行させる構成となっている。電子ビーム発生源から加速出射された電子ビームを坩堝内に照射して、上記金属材料を加熱蒸発させる。この加熱蒸発させた金属材料が、冷却スキャンに沿って走行する前記フィルム上に蒸着されることによって蒸着膜層Aを形成することができる。
(4-3)塗布工程
次に、調製してある非磁性層形成用塗料をベース層3の一方の主面に塗布して乾燥させることにより、例えば平均厚み1.0μm~1.1μmの非磁性層2を形成する。続いて、この非磁性層2上に、調製してある磁性層形成用塗料を塗布して、例えば平均厚み40nm~100nm磁性層1を形成する。そして、磁性層1を塗布により形成した後、この磁性層1について、次の配向工程を行ない、その直後に乾燥させる。そして、蒸着膜層Aの主面に、調製してあるバック層形成用塗料を塗布し、乾燥させる。
(4-4)配向工程
塗布形成された磁性層1を乾燥する前に、永久磁石を用いて、例えば、磁性層1中の磁性粉の磁場配向を行う。例えば、ソレノイドコイルにより、磁性層1中の磁性粉を垂直方向(即ち、テープ厚み方向)に磁場配向させる(垂直配向)。また、ソレノイドコイルにより、磁性粉をテープ走行方向(テープ長手方向)に磁場配向させるようにしてもよい。なお、磁性層1は、高記録密度化という点で、垂直配向が望ましいのであるが、場合によっては面内配向(長手配向)としてもよい。
配向度(角形比)は、例えばソレノイドコイルから出る磁界の強さ(例えば磁性粉の保持力の2~3倍)を調整することにより、磁性層形成用塗料の固形分を調整することにより、若しくは、乾燥条件(乾燥温度および乾燥時間)を調整することにより、又は、これらの調整の組み合わせにより、調整することができる。また、磁場中で磁性粉が配向するための時間を調整することによっても、配向度を調整することができる。例えば、配向度を高くするために、塗料中の磁性粉の分散状態をよくすることが好ましい。また、垂直方向の配向のために、配向器に入る前に事前に磁性粉を磁化させておく方法も有効であり、この方法が用いられてもよい。このような調整を行うことによって、垂直方向(磁気テープの厚み方向)及び/又は長手方向(磁気テープの長さ方向)における配向度を所望の値に設定することができる。
(4-5)カレンダー工程
次に、カレンダー処理を行い、磁性層1の表面を平滑化する。このカレンダー工程は、一般にカレンダーと称される多段式のロール装置を用いて鏡面加工する工程である。対向する金属製ロールにテープT1又はT2を挟み込みながら、必要な温度と圧力をかけて、磁性層1の表面を平滑に仕上げる。
(4-6)裁断工程
上述のようにして得られた幅広の磁気記録テープT1又はT2を、例えば、テープの品種の規格に合わせたテープ幅に裁断する。例えば、1/2インチ(12.65mm)幅に裁断し、所定のロールに巻き取る。これにより、目的のテープ幅を備える長尺状の磁気記録テープT1又はT2を得ることができる。この裁断工程で、必要な検査を行ってもよい。
(4-7)組み込み工程
所定の幅に裁断された磁気記録テープT(T1又はT2)を品種に合わせた所定の長さ切断し、図5に示したようなカートリッジテープ5の形態とする。具体的には、カートリッジケース51内に設けられたリール52に所定長の磁気記録テープを巻き付けて収容する。
(4-8)検査工程、(4-9)出荷
最終の製品検査工程を経て、梱包を行い出荷する。検査工程では、例えば、電磁変換特性、走行耐久性等の出荷前検査により、磁気記録テープの品質確認を行う。
本技術は、以下のような構成を採用することもできる。
(1)テープの全厚が5.6μm以下であり、磁性層、非磁性層、ベース層、バック層を順に備え、非磁性層の下層側に金属又はその酸化物からなる蒸着膜層が設けられており、テープの縦方向ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向・ヤング率が15GPa以上である、磁気記録テープ。
(2)前記蒸着膜層は、ベース層とバック層の間に形成されている、(1)記載の磁気記録テープ。
(3)前記蒸着膜層の厚みが500nm以下である、(1)又は(2)記載の磁気記録テープ。
(4)TDS(温度、湿度)とTDS(張力)を合算して得られる合算TDSが300ppm未満である、(1)から(3)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(5)前記蒸着膜層は、コバルト、酸化アルミニウム、ケイ素、銅、クロムのいずれから一つ選択された材料から形成されている、(1)から(4)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(6)前記蒸着膜層は、テープの比抵抗値が4.1×10-6Ω・m以下となる蒸着密度である、(1)から(5)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(7)前記蒸着膜層は、前記ベース層の直上に形成されており、該蒸着膜層と前記非磁性層の間に絶縁層がさらに設けられている、(1)から(6)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(8)前記磁性層のトラック密度がテープ幅方向で1万本/inchインチ以上である、(1)から(7)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(9)テープの走行速度が4m/秒以上で走行される、(1)から(8)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(10)前記ベース層の厚みが3.6μm以下である、(1)から(9)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(11)前記蒸着膜層は、電子ビーム蒸着法により形成された、(1)から(10)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(12)
テープ垂直方向の垂直配向度が60%以上である、(1)から(11)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(13)
テープ長手方向の配向度に対するテープ垂直方向の垂直配向度の比が、1.8以上である、(1)から(12)のいずれか一つに記載の磁気記録テープ。
(14)上記(1)から(13)のいずれか一つに記載の磁気記録テープがリールに巻き付けられた状態でケースに収容された構成である、磁気記録テープカートリッジ。
(15)テープの全厚が5.6μm以下であり、ベース層の一方の面側に少なくとも磁性層を形成する工程と、前記磁性層の下層側に金属又はその酸化物からなる、膜厚350~500nmの蒸着膜を形成する蒸着膜層形成工程を少なくとも行って、前記テープの縦方向ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向ヤング率が15GPa以上である磁気記録テープを得る、磁気記録テープの製造方法。
(16)前記蒸着膜層形成工程は、電子ビーム蒸着法によって行われる、(15)に記載の磁気記録テープの製造方法。
本発明者らは、蒸着膜層(図1、図2の符号A参照)を設けた磁気記録テープを作製した(実施例1~10、比較例1~5)。実施例1~5の磁気記録テープは、磁性層に対して垂直配向処理が行われたものである。実施例6~10の磁気記録テープは、磁性層に対して垂直配向処理が行われていないこと以外は、実施例1~5の磁気記録テープのそれぞれと同じである。比較例1~5の磁気記録テープは、磁性層に対して垂直配向処理が行われていないものである。
実施例1~10及び比較例1~5の磁気記録テープのそれぞれについて、テープ長手方向とテープ幅方向のヤング率を測定し、合算TDS(温度TDS、湿度TDS、張力TDSを合算したTDS値)を算出し、SNR(dB)の評価を行い、且つ、蒸着密度を測定した。また、これら磁気記録テープのそれぞれについて、垂直方向及び長手方向の配向度も測定した。
ヤング率(温度、湿度)は、引張試験機(MNB社製TCM-200CR)を用いて測定した。当該測定において、1/2インチ幅のサンプルテープが用いられた。
TDS(温度・湿度)は、恒温槽に設置したサンプルテープの、温度10℃湿度10%(相対湿度)から温度29℃湿度80%(相対湿度)まで変化させた場合の寸法変化を、レーザー変位計(キーエンス社製レーザー変位計LS-7000)を用いて測定し、次の(5)式により求めることができる。TDS(張力)は、張力を0.5Nから0.7Nまで変化させた場合の寸法変化を測定し、次の(6)式により求めることができる。そして、TDS(合算)は、次の(7)式により求めることができる。
・TDS(温度・湿度)ppm=(温度29℃湿度80%のテープ幅-温度10℃湿度10%のテープ幅)/(温度10℃湿度10%のテープ幅)・・・・・・(5)
・TDS(張力)ppm=(張力0.5Nのテープ幅-張力0.7Nのテープ幅)/(張力0.5Nのテープ幅)・・・・・・(6)
・TDS(合算)ppm=TDS(温度、湿度)ppm+TDS(張力)ppm・・・(7)
SNR評価に関しては、市販のMountain Engineering社製のテープ走行系を用いてサンプルテープを走行させ、1/2インチ固定ヘッド型ドライブの磁気ヘッドを用いて記録再生を行うことにより、SNRを求めた。次に、求めたSNRを以下の基準で判定した。A評価:SNRがLTO6メディアのリファレンステープ(MSRT)に対して-1.5dB以内となる。B評価:SNRがLTO6メディアのリファレンステープ(MSRT)に対して-2.5dB以内となる。C評価:SNRがLTO6メディアのリファレンステープ(MSRT)に対して-2.5dBを超える。
蒸着膜層の形成は、上述したロールtoロール方式の真空蒸着装置を用いて行われた。該真空蒸着装置は、内部が高真空状態とされた真空室内に、冷却されながら回転する冷却スキャンと、この冷却スキャンと対向する位置に配された蒸着源とを備えており、該蒸着源は、坩堝に金属材料を収容したものである。ベース層を構成するフィルムを、冷却スキャンを介して連続で走行させた。電子ビーム発生源から加速出射させた電子ビームを坩堝内に照射して、Co(実施例1)、Al(実施例2)、Si(実施例3)、Cu(実施例4)、Cr(実施例5)、CuO(比較例1)、Cu(比較例2)、CuO(比較例3)、又はAl(比較例4)からなる金属材料を加熱蒸発させた。この加熱蒸発させた各金属材料は、冷却スキャンに沿って走行する前記フィルム上に蒸着され、蒸着膜層が形成された。なお、比較例5は、蒸着膜層を形成しないテープの試験例である。
蒸着膜層の蒸着密度は、電気抵抗値により示される。電気抵抗値は、ロレスター測定機を用い、4端子法により測定することによって算出した。
垂直方向の配向度は、以下のとおりに測定された。
まず、各磁気記録テープから測定サンプルを切り出し、VSMを用いて当該テープの垂直方向(厚み方向)に、測定サンプル全体のM-Hループを測定した。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(非磁性層、磁性層、およびバック層)を払拭し、ベースフィルム層及び蒸着膜層のみを残してバックグラウンド補正用サンプルとした。VSMを用いて、当該バックグラウンド補正用サンプルの垂直方向(テープの垂直方向)に、当該バックグラウンド補正用サンプルのM-Hループを測定した。その後、測定サンプル全体のM-Hループから当該バックグラウンド補正用サンプルのM-Hループを引き算して、バックグラウンド補正後のM-Hループを得た。得られたM-Hループの飽和磁化Ms(emu)および残留磁化Mr(emu)を以下の式に代入して、垂直配向度S1(%)を計算する。なお、上記のM-Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、M-Hループをテープの垂直方向に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。
垂直配向度S1(%)=(Mr/Ms)×100
また、長手方向の配向度は、測定サンプル全体のM-Hループの測定及びバックグラウンド補正用サンプルのM-Hループの測定がテープの長手方向(走行方向)に測定されたこと以外は、垂直配向度と同様にして測定された。
以上の測定、計算、及び評価の結果を次の「表1」に示す。
Figure 0007200986000001
実施例1から10の磁気記録テープはいずれも、テープの縦方向(テープ長手方向)のヤング率が14GPa以上であり且つテープ幅方向ヤング率が15GPa以上であった。また、実施例1から10の磁気記録テープはいずれも、TDS(合算)がいずれも300ppm未満であった。そのため、実施例1から10の磁気記録テープはいずれも、良好な寸法安定性を有していることが分かる。
一方、比較例1~5の磁気記録テープはいずれも、テープの縦方向(テープ長手方向)のヤング率が14GPa未満であり且つテープ幅方向ヤング率が15GPa未満であった。また、比較例1から5の磁気記録テープはいずれも、TDS(合算)がいずれも300ppm以上であった。そのため、比較例1から5の磁気記録テープはいずれも、良好な寸法安定性を有していないことが分かる。
以上の結果より、本技術に従う磁気記録テープが良好な寸法安定性を有することが分かる。
また、実施例1~5の磁気記録テープと実施例6~10の磁気記録テープとの比較から、垂直配向処理を行うことによってSNRをA評価とすることができること及び垂直配向処理が寸法安定性に影響を及ぼさないことが分かる。比較例1~5のSNRの評価結果は、いずれもB又はCであった。
各実施例のテープ全厚は、すべて5.6μm以下であり、ベース層の厚みは3.3μm以下、蒸着膜層の厚みはすべて500nm以下としている。また、実施例1~5の蒸着密度は、比抵抗値で4.1×10-6Ω・m以下となっている。
比較例5は、第一実施形態の層構成を備える磁気記録テープにおいて蒸着膜層がない磁気記録テープである。すなわち、磁性層、非磁性層、ベース層、バック層の4層構造の磁気記録テープである。この比較例5は、長手方向と幅方向のヤング率が実施例1~5と比較してかなり低く(およそ50%程度)、TDS(合算)は、600ppmを超え、700ppmに迫る結果となった(表1参照)。
以上のように、実施例1~10の磁気記録テープは、ヤング率、TDS(合算)の評価からもわかるように、テープ走行時にテンションが加わった場合や温度・湿度などの変化があった場合でも、テープ寸法、特にテープ幅方向の寸法の変化を有効に抑制又は防止できる磁気記録テープである。
1 磁性層
2 非磁性層
3 ベース層
4 バック層
5 テープカートリッジ
51 カートリッジケース
52 リール
A 蒸着膜層
B 絶縁層
T1 磁気記録テープ(第一実施形態例)
T2 磁気記録テープ(第二実施形態例)

Claims (15)

  1. テープの全厚が5.6μm以下であり、磁性層、非磁性層、ベース層、バック層を順に備え、前記非磁性層の下層側に金属又はその酸化物からなる蒸着膜層が設けられており、前記テープの縦方向ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向ヤング率が15GPa以上であり、TDS(温度、湿度)とTDS(張力)を合算して得られる合算TDSが300ppm未満である、磁気記録テープ。
  2. 前記蒸着膜層は、ベース層とバック層の間に形成されている、請求項1記載の磁気記録テープ。
  3. 前記蒸着膜層の厚みが500nm以下である、請求項1記載の磁気記録テープ。
  4. 前記蒸着膜層は、コバルト、酸化アルミニウム、ケイ素、銅、クロムのいずれかから一つ選択された材料から形成されている、請求項1記載の磁気記録テープ。
  5. 前記蒸着膜層は、テープの比抵抗値が4.1×10-6Ω・m以下となる蒸着密度とされている、請求項1記載の磁気記録テープ。
  6. 前記蒸着膜層は、前記ベース層の直上に形成されており、該蒸着膜層と前記非磁性層の間に絶縁層がさらに設けられている、請求項1記載の磁気記録テープ。
  7. 前記磁性層のトラック密度が、テープ幅方向で1万本/inchインチ以上である、請求項1記載の磁気記録テープ。
  8. 速度が4m/秒以上で走行されるテープである、請求項1記載の磁気記録テープ。
  9. 前記ベース層の厚みが3.6μm以下である、請求項1記載の磁気記録テープ。
  10. 前記蒸着膜層は、電子ビーム蒸着法により形成された、請求項1記載の磁気記録テープ。
  11. テープ垂直方向の垂直配向度が60%以上である、請求項1に記載の磁気記録テープ。
  12. テープ長手方向の配向度に対するテープ垂直方向の垂直配向度の比が、1.8以上である、請求項1に記載の磁気記録テープ。
  13. 請求項1記載の磁気記録テープがリールに巻き付けられた状態でケースに収容された構成である、磁気記録テープカートリッジ。
  14. テープの全厚が5.6μm以下であり、ベース層の一方の面側に少なくとも磁性層を形成する工程と、前記磁性層の下層側に金属又はその酸化物からなる、膜厚350~500nmの蒸着膜を形成する蒸着膜層形成工程を少なくとも行って、前記テープの縦方向ヤング率が14GPa以上で、かつテープ幅方向ヤング率が15GPa以上であり、TDS(温度、湿度)とTDS(張力)を合算して得られる合算TDSが300ppm未満である、磁気記録テープを得る、磁気記録テープの製造方法。
  15. 前記蒸着膜層形成工程は、電子ビーム蒸着法によって行われる、請求項14記載の磁気記録テープの製造方法。
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