JP2004103137A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたC/N特性と走行安定性との両立を図った磁気記録媒体を得る。
【解決手段】磁性層3の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体であって、磁性層3の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁性層3の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体であって、磁性層3の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル記録の普及により、磁気記録媒体の高密度化、短波長記録化への要求がますます高まってきている。これに伴い、短波長出力およびC/N特性を向上させるために、磁気特性の改善はもちろんのこと、記録再生信号を劣化させるスペーシングロスやモジュレーションノイズの低減化を図るために高密度磁気記録媒体の磁性層を薄層化したり、表面を平滑化したりしている。
【0003】
このような磁気記録媒体の高密度化、短波長記録化への要求の高まりとともに、強磁性金属材料をメッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)によって、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着させて薄層の磁性層が形成された磁気記録媒体が実用化されてきた。
【0004】
そして今後においてもさらなる短波長記録化に対応し、再生用の磁気ヘッドとして高感度な磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を搭載した記録再生システムが主流になると考えられ、磁気記録媒体のモジュレーションノイズの低減化、および磁性層表面の平滑化を向上させることが必要になってくるものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、高密度記録に用いられる薄層の磁性層を有する磁気記録媒体においては、表面形状の変動がC/N特性に大きく影響する。しかしながら、磁性層表面の平滑化は同時に実質的な磁気ヘッドとの接触面積が大きくなることから、凝着現象いわゆるハリツキが起こり易くなったり、表面摩擦が著しく上昇したりすることから、磁気記録媒体の耐久性や磁気ヘッドの走行性等が劣化するという問題を生じる。
【0006】
従来、磁性層表面の平滑性の指標として、いわゆる平均中心粗度Ra等が適用されており、表面の平滑化とは、この指標を向上させることであった。
一方近年では、磁性層の表面性を、表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)に着目し、ある単一の、もしくは複数の波長成分のPSDの大きさや、これらの平均値に着目した指標をもって捕らえる方法もあり、このような磁気記録媒体に関しての提案もなされている。
しかしながら、従来技術では、特に高密度記録の磁気記録媒体において、良好なC/N特性と優れた走行安定性との双方の特性を兼ね備えたものは得られていない。
【0007】
そこで本発明者らは、特に膜厚0.3μm以下の薄層の磁性層が形成された高密度記録の磁気記録媒体の表面性について鋭意研究を行った結果、上記問題点の解決を図る特異的な磁性層表面形状を見出すに至り、磁気ヘッド走行面の表面形状を特定し、良好なC/N特性を維持しつつ、同時に走行安定性や耐久性に優れた磁気記録媒体およびその製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面に、膜厚0.3μm以下の磁性層が形成された構成を有し、磁性層表面の50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体を提供する。
【0009】
本発明によれば、磁性層の表面性に関しての改善を行った結果、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、良好なC/N特性を実現しつつ、走行安定性や耐久性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について具体的な例を挙げて説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
【0011】
図1に本発明の磁気記録媒体の概略構成図を示す。磁気記録媒体10は、非磁性支持体1の一主面側に、下層非磁性層2を介して膜厚0.3μm以下の磁性層3が形成され、反対側の主面側にバック層4が形成された構成を有している。
【0012】
非磁性支持体1形成用の材料としては、通常公知の磁気記録媒体用の支持体として使用されているものをいずれも適用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
また、非磁性支持体1の形態としては、フィルム状、テープ状、シート状、ディスク状、カード状、ドラム状等、従来公知の各種形状を適用できる。
【0013】
下層非磁性層2は、最終的に得られる磁気記録媒体3の表面性を制御し、あるいは磁気記録媒体の耐久性やその他の機能を付与するために形成するものとし、非磁性粉末、結合剤、各種添加剤および有機溶剤を混合した塗布液を非磁性支持体1上に塗布することによって成膜する。
【0014】
磁性層3は、磁性粉末、結合剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、硬化剤および有機溶剤等を用いて、これらを従来公知の方法によって調整した磁性塗料を非磁性支持体1上に塗布することによって形成される。なお、本発明においては、高密度型の磁気記録媒体とするため、磁性層は膜厚0.3μm以下であるものとし、実用上0.05μm〜0.3μm程度に形成する。
【0015】
下層非磁性層2形成用の非磁性粉末としては、例えばα−Fe2O3、カーボンブラック、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイド、BN、α−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられ、これらを単独あるいは複数を組み合わせて適用することができる。
非磁性粉末の形状は、針状、サイコロ状等、任意の形状とすることができる。
【0016】
磁性層3形成用の磁性粉末としては、例えば強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性合金粉末、窒化鉄等が挙げられ、いわゆる塗布型の磁気記録媒体の磁性層形成用塗料に適用されるものであれば、従来公知のものをいずれも適用できる。これらは、単独で用いてもよく、あるいは複数を混合して用いてもよい。
【0017】
下層非磁性層2および磁性層3形成用の結合剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を混合して用いてもよい。
なお、これらのなかでも柔軟性を付与することのできるポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と、剛性を付与することのできるセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。これらはイソシアネート化合物を架橋剤として、より耐久性を向上させたり、あるいは適当な極性基を導入して表面性を改善させたりしてもよい。
【0018】
下層非磁性層2および磁性層3形成用の溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0019】
さらに、必要に応じてアルミナ等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、分散剤、潤滑剤、各種防錆剤等の添加剤が磁性層3に加えられてもよい。これらの添加剤は、従来公知の材料をいずれも使用可能であり、何ら限定されるものではない。
【0020】
研磨剤としては、溶融アルミナ、α−アルミナ等の各種アルミナ、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化クロム、コランダム、人造コランダム、人造ダイヤモンド、シリカ等がいずれも使用可能である。
特に湿式法やケイ酸のゲル化により得られる合成シリカ等の各種シリカを0.1〜0.5重量%含有させたものが好適な例として挙げられる。
【0021】
帯電防止剤のカーボンブラックとしては、公知のものをいずれも適用可能である。DBP給油量は通常30〜150ml/100gであるが、50〜150nm/100gのものが好ましい。DBP給油量が30ml/100g未満あるいは150ml/100gを越えると、分散性が悪化する。
カーボンブラックの平均粒子径は通常5〜150nmであるが、15〜50nmのものが好ましい。カーボンブラックの平均粒子径が小であるほど分散時間が大となるが、磁性層3の表面性を良好にするためには有効である。
また、カーボンブラックのBET法による比表面積は通常40〜300m2/gであるが、100〜250m2/gが好適である。さらに、タップ密度は、0.1〜1g/cm3、pHは2.0〜10が好適である。
なお、本発明の磁気記録媒体は、磁性層3の表面性について制御したものであることを特徴とするものであり、磁性層形成用塗料中のカーボンブラックの含有量は、0.1〜0.5重量部に選定することが好適である。
【0022】
上述したような条件を満たすカーボンブラックは、具体的に、コロンビアカーボン社製のRAVEN1250(平均粒径23nm、BET値135m2/g、DBP給油量58.0ml/100g)、RAVEN1255(平均粒径23nm、BET値125m2/g、DBP給油量58.0ml/100g)、RAVEN1020(平均粒径27nm、BET値95m2/g、DBP給油量60.0ml/100g)、RAVEN1080(平均粒径28nm、BET値78m2/g、DBP給油量65.0ml/100g)、RAVEN1035、RAVEN1040、RAVEN1060、RAVEN3300、RAVEN450、RAVEN780、CONDUCTEX SC(平均粒径20nm、BET値220m2/g、DBP給油量115.0ml/100g)、粒径が350nmと大であるMTカーボン、サーマックスMT等が挙げられる。
その他、旭カーボン社製♯80(平均粒径23nm、BET値117m2/g、DBP給油量113.0ml/100g)、三菱化成社製の♯22B(平均粒径40nm、BET値5.0m2/g、DBP給油量131.0ml/100g)、♯20B(平均粒径40nm、BET値56.0m2/g、DBP給油量115.0ml/100g)等が挙げられる。
また、キャボット社製のBLACK PEARLS L(平均粒径24nm、BET値250.0m2/g、DBP給油量60.0ml/100g)、BLACK PEARLS800(平均粒径17nm、BET値240.0m2/g、DBP給油量75.0ml/100g)、BLACK PEARLS1000、BLACK PEARLS1100、BLACK PEARLS700、BLACK PEARLS905等が挙げられる。
【0023】
分散剤としては、従来公知のものをいずれも使用可能であり、何ら限定されるものではない。例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
【0024】
潤滑剤としては、通常この種の磁気記録媒体において用いられるものをいずれも適用可能である。例えば、脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。また脂肪酸エステルとしては、カプリン酸ブチル、カプリン酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸−2−エチルペンチル、ステアリン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル等が挙げられる。これらを単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0025】
さらに、脂肪酸および脂肪酸エステル以外の化合物を潤滑剤として用いる場合には、前述した所定の有機溶媒に溶解する化合物であれば、通常この種の記録媒体に用いられる化合物をいずれも使用可能である。
例えばソルビタン、グリセリン等の多価アルコールの脂肪酸エステル、多塩基酸のエステル化物、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、モノアルキルフォスフェート、ジアルキルフォスフェート、トリアルキルフォスフェート等のリン酸エステル、パラフィン類、シリコーンオイル、脂肪酸変性のシリコン化合物、フッ素系オイル、パーフルオロアルキル基をもつエステル、動植物油、鉱油、脂肪族アミン等が挙げられる。これらの化合物は、単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、耐久性を向上させる目的で、磁性層3を構成する磁性塗料中に硬化性樹脂を添加してもよい。具体的には、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物等の熱硬化性樹脂や電子線反応型硬化樹脂等が挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
磁性層3を形成するには、先ず、強磁性金属粉末、結合剤、潤滑剤、研磨剤、有機溶剤を混練、分散し、その後SiO2を好ましくは0.1〜0.5重量部、およびカーボンを好ましくは0.1〜0.5重量部混合、分散して磁性塗料を作製する。
【0028】
このような磁性層形成用の磁性塗料を作製する場合に用いる分散機や混練機は、従来公知のものがいずれも使用可能である。
具体的には、原料にまず攪拌処理を施し、次いで混練処理することにより製造される。攪拌処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ケミカルミキサー、ヘンシルミキサー、2軸ミキサー等従来公知の攪拌機が使用できる。
また、混練処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ケミカルミキサー、オープンニーダー、加圧ニーダー、連続ニーダー、二軸押し出し機、3本ロール等の従来公知の混練機を使用できる。
また、混練物の希釈処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ストーンミル、ディゾルバー等の従来公知の装置を使用できる。
【0029】
上記のようにして調整された塗料の分散処理には、横型サンドミル、ピン型ミル、アトライター、ウルトラディスクミル等の従来公知の装置が使用される。
【0030】
上述のようにして得られた磁性層形成用の塗料を、非磁性支持体1上あるいは下層非磁性層2上に塗布し、乾燥、カレンダー処理を行う。塗布方法としては、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その方法は特に限定されない。具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、ダイコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、スピンコート等が使用可能である。また、必要に応じて磁場配向や乾燥処理を同時または逐次行うこともできる。
【0031】
カレンダー処理する方法としては、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その方法は特に限定されない。具体的には、カレンダー処理ロールとして、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用することもでき、金属ロール同士で処理することもできる。
【0032】
本発明の磁気記録媒体においては、磁性層3を両主面に形成してもよく、一主面にのみ磁性層3を形成し、他の主面にバック層4を形成した構成としてもよい。バック層4は、磁気記録媒体10の走行性の向上や、磁性層表面に対する転写防止等を図るものである。
バック層4は、非磁性粉末、結合剤、およびその他潤滑剤等の従来公知の各種添加剤等を含有したものとすることができる。これらの添加成分を有機溶媒に分散させたバック層用の塗料を形成し、非磁性支持体1上に塗布、乾燥してバック層4が形成される。
【0033】
バック層4形成面の表面粗度Raは、6.5nm≦Ra≦10nmであることが望ましい。表面粗度Raが6.5nm未満であると表面が平滑すぎ、走行性が悪化するからであり、表面粗度Raが10nmよりも大きいと、磁性層3の表面にバック層4の凹凸が転写してしまい、C/N特性が劣化するためである。
【0034】
本発明の磁気記録媒体10においては、特に磁性層3形成面側の表面形状について、以下のように特定する。
すなわち、磁性層3の表面の、50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2であるものとする。
【0035】
本発明の磁気記録媒体10は、磁性層3の表面性に関し、先ず表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の、広い範囲における最大値PmaxについてPmax≦10nm2と規定しておき、これよりも短い、中間波長領域である0.7μm以上0.9μm未満の範囲、およびさらに短い波長領域である0.4μm以上0.5μm以下の範囲のそれぞれの平均値Pave(L)および平均値Pave(S)を上記のように規定した。
このように、磁気記録媒体の磁性層3の表面性について、上記のように複数の波長領域においてPSDを規定することによって、優れたC/N特性と良好な走行安定性の両立が図られる磁気記録媒体が実現できることを見出したものである。
【0036】
上記のような磁性層3の表面性については、例えば、商品名:Nano Scope IIIa/D−3000(ディジタルインスツルメント社製)を使用して測定できる。
【0037】
なお、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)は、Pave(S)≦0.6nm2であるものとすることにより、さらに走行安定性の向上が図られる。
【0038】
なお、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体1の表面形状、下層非磁性層2の表面形状、さらには磁性層3の表面形状に関しては、最終的に得られる磁気記録媒体10の磁性層表面が上記のようになるように選定する。すなわち下層非磁性層2や磁性層3に含有される各種材料や、表面転写処理、表面研磨処理等の各種方法によって表面性の制御を行うものとする。
【0039】
上述したような本発明の磁気記録媒体10は、高感度再生ヘッドを用いた磁気記録システムに好適なものである。この場合、高感度の磁気ヘッドとしては、磁気抵抗効果型のMRヘッド、GMRヘッド等が挙げられる。
但しこれらに限定されるものではなく、高感度で充分なC/N特性が得られるものであれば、薄膜インダクティブヘッドのような再生用磁気ヘッドも同様に適用することができる。
【0040】
MRヘッドとしては、MR素子をシールドで挟み込んだシールド型のMRヘッド、高透磁率材で挟み込んだヨーク型MRヘッド等がある。これらのヘッドを固定したリニア記録システムに使用してもよいし、ビデオシステムのような回転ドラムに搭載したヘリカルスキャン記録システムに適用してもよい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の磁気記録媒体10について、具体的な実施例および比較例を挙げて説明する。
【0042】
先ず、以下の組成による磁性層形成用の塗料を調整した。
【0043】
【0044】
上記磁性層用塗料分散液をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散処理を行った。
サンドミル分散中の分散液を、下記のように分類した。
分散液A:上記分散液を引き続きサンドミル分散処理した。
分散液B:シリカ(粒径0.05nm)0.1重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液C:シリカ(粒径0.05nm)0.3重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液D:シリカ(粒径0.05nm)0.5重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液E:シリカ(粒径0.05nm)0.7重量部添加しサンドミル分散処理した。
【0045】
分散液F:上記分散液Bにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.5重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液G:上記分散液Cにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.3重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液H:上記分散液Dにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.1重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液I:上記分散液Cにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.8重量部添加しサンドミル分散処理した。
【0046】
上記分散液A〜Iにポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)4重量部添加し、攪拌した。
【0047】
同時に、上記の下層非磁性層用塗料分散液をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散した。この下層非磁性層用塗料分散液を非磁性支持体1上に、1.3μmの膜厚で塗布し、その直後に磁性層3を塗布形成した。
【0048】
但し、非磁性支持体1は、非磁性支持体α〜εの5種類用意し、各々の表面形状が異なっているものとする。
【0049】
上述のようにして作製される磁気記録媒体は、非磁性支持体の種類、磁性層形成用塗料の種類の選定の仕方に応じて、それぞれ磁性層形成面、およびバック層形成面の表面粗度が異なるものとなる。
これら各々の非磁性支持体の磁性層形成面側に、上記それぞれの磁性層形成用塗料を、下記表1に示すように塗布した。その後磁場配向処理を行い、乾燥処理後巻き取った。この乾燥時の温度は、80℃、90℃、100℃の3条件とし、この条件についても下記表1に示した。
【0050】
上記乾燥処理後、カレンダー処理を行った。このカレンダー処理の処理時の温度は、80℃、90℃、100℃の3条件とし、この条件についても下記表1に示した。
【0051】
カレンダー処理後、さらに硬化処理してから、下記組成のバック層形成用の分散液に、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加し、磁性層3とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.5μmとなるようにしてバック層4を形成した。
【0052】
〔バック層形成用の分散液〕
無機粉末:カーボンブラック :100重量部
(粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g)
結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 :13重量部
(量平均分子量71200)
結合剤:フェノキシ樹脂(平均重合度100):43重量部
結合剤:ニトロセルロース樹脂(平均重合度90):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン:500重量部
溶剤:トルエン:500重量部
【0053】
上述のようにして作製した広幅の磁気テープを12mm幅にスリットし、これをサンプルの磁気テープとした。
【0054】
【表1】
【0055】
上記表1に示す条件により作製された実施例および比較例の磁気テープについて、それぞれ磁性層表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラム、C/N特性を測定し、走行安定性を評価した。下記にそれぞれの測定方法を示す。
【0056】
〔表面形状プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラム測定〕
商品名:Nano Scope IIIa/D−3000(ディジタルインスツルメント社製)を使用して50×50μm2の範囲を測定した。
測定分解能については、測定範囲の一辺を256分割し、即ちプロファイリングにおける一辺のsampling ratioを、50/256μmとした。
プロファイルされた表面粗さ曲線をフーリエ変換し、パワースペクトラムを得た。このパワースペクトラムとは、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分に対するパワースペクトラムデンシティーの集合である。
【0057】
サンプルの磁気テープの磁性層表面の表面プロファイルデータから、上記の方法によって得られたパワースペクトラムデンシティー(PSD)に関して、以下のパラメータを定義した。
波長0.4μm以上10μm以下の範囲における計121個のPSDのうち、最大値をPmaxとした。
波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲に該当する0.704225μm〜0.892857μmまでの測定値の計16個のPSDの加算平均値をPave(L)とした。
波長0.4μm以上0.5μm以下の範囲における計26個のPSDの加算平均値をPave(S)とした。
上記それぞれのパラメータの測定結果を下記表2、表3に示す。
【0058】
〔電磁変換特性〕
各磁気テープは、記録用磁気ヘッド(MIG 磁気キャップ長0.15μm)を取り付けたドラムテスターを用い、波長0.5μmの信号を記録後、再生出力とノイズを、スペクトラムアナライザーを用いて測定した。
なお、再生用磁気ヘッドとして積層アモルファスヘッドおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いた。
また、再生信号から±2MHzの周波数成分の大きさをノイズレベルと定義し、このノイズ出力の再生信号出力比をC/N特性とした。
積層アモルファスヘッドでの測定結果を下記表2に、MRヘッドでの測定結果を表3に示した。なお、いずれにおいても比較例1のサンプルの値を基準とし、基準となるC/N値を0.0dBとしたときの各サンプル磁気テープの相対的なC/N値を示した。
下記表2に積層アモルファスヘッドを用いた場合の測定結果を示し、下記表3に磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いた場合の測定結果を示す。
【0059】
〔走行安定性〕
LTO1Ultrium drive(Seagate社製 Viper200改造機)を用いて、室温状態(20℃、湿度50%)にて走行安定性を評価した。具体的には、各々のサンプル磁気テープをドライブにてシャトル試験を行った。シャトル試験の詳細は以下の通りである。すなわち、任意の100GB記録部位のうち、20GB目から50GB目の間を賞味25000回往復せて試験を行った。走行中の磁気テープ状態を観察し、その結果を下記表2、表3に示した。
規定回数走行中に磁気テープがガイドやヘッドに貼り付いた場合、ガイドからずれて磁気テープにダメージが生じた場合、あるいは走行中に磁気テープが破断した場合には走行不安定とみなして×とし、上記のような走行に際して不安定な状態が生じなかった場合には○とし、実用上不都合のない走行性が得られたものを△として記載した。
但し、測定ドライブには、MRヘッドが搭載されているが、ここで着目する走行安定性は、ヘッド種が誘導型、MR型を問わず、同一のシステムで評価できるものとする。従って、本測定で使用したドライブが、MRヘッド搭載型のみであっても、この評価結果は実際のシステムが誘導型ヘッド搭載である場合の評価結果をも反映しているものと言うことができる。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
上記表2に示すように、磁性層の膜厚が0.3μm以下のサンプル磁気テープにおいて、上述した方法によって測定されるパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、PSDの波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である実施例1〜13の磁気テープは、C/N特性、および走行安定性ともに実用上良好な結果を示した。
【0063】
特に、上記0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、0.2nm2≦Pave(S)≦0.6nm2である実施例1、実施例3〜実施例13は、さらに良好なC/N特性と優れた走行安定性が実現できた。
【0064】
また、実施例7〜実施例13の磁気テープについて、C/N特性および走行安定性のいずれもが良好であることから、磁性層3中に含有されるシリカ(SiO2)は0.1〜0.5重量部とし、カーボンは0.1〜0.5重量部とすることによって、磁性層の表面性の向上が図られることがわかった。
【0065】
上記実施例に対して、比較例1の磁気テープは、Pmax、Pave(L)、およびPave(S)が、いずれも上記条件を満たさず、C/N特性および走行安定性ともに実用上良好な結果が得られなかった。
【0066】
Pave(L)、およびPave(S)が、上記条件を満たさない比較例2の磁気テープは、C/N特性および走行安定性ともに実用上良好な結果が得られなかった。
【0067】
Pave(S)が上記条件を満たさない比較例3の磁気テープは、C/N特性については良好な結果が得られたが、走行安定性について良好な結果が得られなかった。
【0068】
Pmaxが、上記条件を満たさない比較例4の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0069】
Pmax、およびPave(L)が、上記条件を満たさない比較例5の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0070】
比較例6の磁気テープは、Pmax、Pave(L)、およびPave(S)が、いずれも上記条件を満たし、磁性層の表面性については良好な状態であるが、磁性層の膜厚は0.5μmと厚く形成されているため、ノイズが増加してしまい、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0071】
Pmax、およびPave(L)が、上記条件を満たさない比較例7〜9の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0072】
比較例10の磁気テープにおいては、磁性層形成面側とは反対側のバック層の表面粗度Raが小さく、平滑過ぎて走行安定性が劣化した。
【0073】
上述したことから、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体であって、磁性層の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体は、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、良好なC/N特性と、走行安定性とを兼ね備えたものとすることができた。
【0074】
さらには、上記0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≦0.6nm2の条件を満たすようにしたことにより、さらに優れたC/N特性と走行安定性とを実現できる磁気記録媒体を得ることができた。
【0075】
なお、磁性層3の膜厚を0.05μm、0.1μm程度に形成した磁気記録媒体についても、磁性層の表面形状を上記のように特定することにより、上記各実施例に挙げた磁気記録媒体と同様に、優れたC/N特性と良好な走行安定性が両立できた。このことから、本発明は、特に薄層の磁性層を有する高密度記録の磁気記録媒体の特性向上を図るために極めて有効であることがわかった。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体において、磁性層の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2であるものとしたことにより、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような、高感度磁気ヘッドに適用した際に、C/N特性と走行安定性との双方の特性の向上が図られた。
【0077】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体の磁性層表面状態を極めて良好にすることができ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような、高感度磁気ヘッドに適用した際にも優れたC/N特性と走行安定性との双方の特性を満足する磁気記録媒体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……下層非磁性層、3……磁性層、4……バック層、10……磁気記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル記録の普及により、磁気記録媒体の高密度化、短波長記録化への要求がますます高まってきている。これに伴い、短波長出力およびC/N特性を向上させるために、磁気特性の改善はもちろんのこと、記録再生信号を劣化させるスペーシングロスやモジュレーションノイズの低減化を図るために高密度磁気記録媒体の磁性層を薄層化したり、表面を平滑化したりしている。
【0003】
このような磁気記録媒体の高密度化、短波長記録化への要求の高まりとともに、強磁性金属材料をメッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)によって、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着させて薄層の磁性層が形成された磁気記録媒体が実用化されてきた。
【0004】
そして今後においてもさらなる短波長記録化に対応し、再生用の磁気ヘッドとして高感度な磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を搭載した記録再生システムが主流になると考えられ、磁気記録媒体のモジュレーションノイズの低減化、および磁性層表面の平滑化を向上させることが必要になってくるものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、高密度記録に用いられる薄層の磁性層を有する磁気記録媒体においては、表面形状の変動がC/N特性に大きく影響する。しかしながら、磁性層表面の平滑化は同時に実質的な磁気ヘッドとの接触面積が大きくなることから、凝着現象いわゆるハリツキが起こり易くなったり、表面摩擦が著しく上昇したりすることから、磁気記録媒体の耐久性や磁気ヘッドの走行性等が劣化するという問題を生じる。
【0006】
従来、磁性層表面の平滑性の指標として、いわゆる平均中心粗度Ra等が適用されており、表面の平滑化とは、この指標を向上させることであった。
一方近年では、磁性層の表面性を、表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)に着目し、ある単一の、もしくは複数の波長成分のPSDの大きさや、これらの平均値に着目した指標をもって捕らえる方法もあり、このような磁気記録媒体に関しての提案もなされている。
しかしながら、従来技術では、特に高密度記録の磁気記録媒体において、良好なC/N特性と優れた走行安定性との双方の特性を兼ね備えたものは得られていない。
【0007】
そこで本発明者らは、特に膜厚0.3μm以下の薄層の磁性層が形成された高密度記録の磁気記録媒体の表面性について鋭意研究を行った結果、上記問題点の解決を図る特異的な磁性層表面形状を見出すに至り、磁気ヘッド走行面の表面形状を特定し、良好なC/N特性を維持しつつ、同時に走行安定性や耐久性に優れた磁気記録媒体およびその製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面に、膜厚0.3μm以下の磁性層が形成された構成を有し、磁性層表面の50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体を提供する。
【0009】
本発明によれば、磁性層の表面性に関しての改善を行った結果、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、良好なC/N特性を実現しつつ、走行安定性や耐久性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について具体的な例を挙げて説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
【0011】
図1に本発明の磁気記録媒体の概略構成図を示す。磁気記録媒体10は、非磁性支持体1の一主面側に、下層非磁性層2を介して膜厚0.3μm以下の磁性層3が形成され、反対側の主面側にバック層4が形成された構成を有している。
【0012】
非磁性支持体1形成用の材料としては、通常公知の磁気記録媒体用の支持体として使用されているものをいずれも適用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
また、非磁性支持体1の形態としては、フィルム状、テープ状、シート状、ディスク状、カード状、ドラム状等、従来公知の各種形状を適用できる。
【0013】
下層非磁性層2は、最終的に得られる磁気記録媒体3の表面性を制御し、あるいは磁気記録媒体の耐久性やその他の機能を付与するために形成するものとし、非磁性粉末、結合剤、各種添加剤および有機溶剤を混合した塗布液を非磁性支持体1上に塗布することによって成膜する。
【0014】
磁性層3は、磁性粉末、結合剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、硬化剤および有機溶剤等を用いて、これらを従来公知の方法によって調整した磁性塗料を非磁性支持体1上に塗布することによって形成される。なお、本発明においては、高密度型の磁気記録媒体とするため、磁性層は膜厚0.3μm以下であるものとし、実用上0.05μm〜0.3μm程度に形成する。
【0015】
下層非磁性層2形成用の非磁性粉末としては、例えばα−Fe2O3、カーボンブラック、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイド、BN、α−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられ、これらを単独あるいは複数を組み合わせて適用することができる。
非磁性粉末の形状は、針状、サイコロ状等、任意の形状とすることができる。
【0016】
磁性層3形成用の磁性粉末としては、例えば強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性合金粉末、窒化鉄等が挙げられ、いわゆる塗布型の磁気記録媒体の磁性層形成用塗料に適用されるものであれば、従来公知のものをいずれも適用できる。これらは、単独で用いてもよく、あるいは複数を混合して用いてもよい。
【0017】
下層非磁性層2および磁性層3形成用の結合剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を混合して用いてもよい。
なお、これらのなかでも柔軟性を付与することのできるポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と、剛性を付与することのできるセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。これらはイソシアネート化合物を架橋剤として、より耐久性を向上させたり、あるいは適当な極性基を導入して表面性を改善させたりしてもよい。
【0018】
下層非磁性層2および磁性層3形成用の溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0019】
さらに、必要に応じてアルミナ等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、分散剤、潤滑剤、各種防錆剤等の添加剤が磁性層3に加えられてもよい。これらの添加剤は、従来公知の材料をいずれも使用可能であり、何ら限定されるものではない。
【0020】
研磨剤としては、溶融アルミナ、α−アルミナ等の各種アルミナ、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化クロム、コランダム、人造コランダム、人造ダイヤモンド、シリカ等がいずれも使用可能である。
特に湿式法やケイ酸のゲル化により得られる合成シリカ等の各種シリカを0.1〜0.5重量%含有させたものが好適な例として挙げられる。
【0021】
帯電防止剤のカーボンブラックとしては、公知のものをいずれも適用可能である。DBP給油量は通常30〜150ml/100gであるが、50〜150nm/100gのものが好ましい。DBP給油量が30ml/100g未満あるいは150ml/100gを越えると、分散性が悪化する。
カーボンブラックの平均粒子径は通常5〜150nmであるが、15〜50nmのものが好ましい。カーボンブラックの平均粒子径が小であるほど分散時間が大となるが、磁性層3の表面性を良好にするためには有効である。
また、カーボンブラックのBET法による比表面積は通常40〜300m2/gであるが、100〜250m2/gが好適である。さらに、タップ密度は、0.1〜1g/cm3、pHは2.0〜10が好適である。
なお、本発明の磁気記録媒体は、磁性層3の表面性について制御したものであることを特徴とするものであり、磁性層形成用塗料中のカーボンブラックの含有量は、0.1〜0.5重量部に選定することが好適である。
【0022】
上述したような条件を満たすカーボンブラックは、具体的に、コロンビアカーボン社製のRAVEN1250(平均粒径23nm、BET値135m2/g、DBP給油量58.0ml/100g)、RAVEN1255(平均粒径23nm、BET値125m2/g、DBP給油量58.0ml/100g)、RAVEN1020(平均粒径27nm、BET値95m2/g、DBP給油量60.0ml/100g)、RAVEN1080(平均粒径28nm、BET値78m2/g、DBP給油量65.0ml/100g)、RAVEN1035、RAVEN1040、RAVEN1060、RAVEN3300、RAVEN450、RAVEN780、CONDUCTEX SC(平均粒径20nm、BET値220m2/g、DBP給油量115.0ml/100g)、粒径が350nmと大であるMTカーボン、サーマックスMT等が挙げられる。
その他、旭カーボン社製♯80(平均粒径23nm、BET値117m2/g、DBP給油量113.0ml/100g)、三菱化成社製の♯22B(平均粒径40nm、BET値5.0m2/g、DBP給油量131.0ml/100g)、♯20B(平均粒径40nm、BET値56.0m2/g、DBP給油量115.0ml/100g)等が挙げられる。
また、キャボット社製のBLACK PEARLS L(平均粒径24nm、BET値250.0m2/g、DBP給油量60.0ml/100g)、BLACK PEARLS800(平均粒径17nm、BET値240.0m2/g、DBP給油量75.0ml/100g)、BLACK PEARLS1000、BLACK PEARLS1100、BLACK PEARLS700、BLACK PEARLS905等が挙げられる。
【0023】
分散剤としては、従来公知のものをいずれも使用可能であり、何ら限定されるものではない。例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
【0024】
潤滑剤としては、通常この種の磁気記録媒体において用いられるものをいずれも適用可能である。例えば、脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。また脂肪酸エステルとしては、カプリン酸ブチル、カプリン酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸−2−エチルペンチル、ステアリン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル等が挙げられる。これらを単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0025】
さらに、脂肪酸および脂肪酸エステル以外の化合物を潤滑剤として用いる場合には、前述した所定の有機溶媒に溶解する化合物であれば、通常この種の記録媒体に用いられる化合物をいずれも使用可能である。
例えばソルビタン、グリセリン等の多価アルコールの脂肪酸エステル、多塩基酸のエステル化物、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、モノアルキルフォスフェート、ジアルキルフォスフェート、トリアルキルフォスフェート等のリン酸エステル、パラフィン類、シリコーンオイル、脂肪酸変性のシリコン化合物、フッ素系オイル、パーフルオロアルキル基をもつエステル、動植物油、鉱油、脂肪族アミン等が挙げられる。これらの化合物は、単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、耐久性を向上させる目的で、磁性層3を構成する磁性塗料中に硬化性樹脂を添加してもよい。具体的には、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物等の熱硬化性樹脂や電子線反応型硬化樹脂等が挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
磁性層3を形成するには、先ず、強磁性金属粉末、結合剤、潤滑剤、研磨剤、有機溶剤を混練、分散し、その後SiO2を好ましくは0.1〜0.5重量部、およびカーボンを好ましくは0.1〜0.5重量部混合、分散して磁性塗料を作製する。
【0028】
このような磁性層形成用の磁性塗料を作製する場合に用いる分散機や混練機は、従来公知のものがいずれも使用可能である。
具体的には、原料にまず攪拌処理を施し、次いで混練処理することにより製造される。攪拌処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ケミカルミキサー、ヘンシルミキサー、2軸ミキサー等従来公知の攪拌機が使用できる。
また、混練処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ケミカルミキサー、オープンニーダー、加圧ニーダー、連続ニーダー、二軸押し出し機、3本ロール等の従来公知の混練機を使用できる。
また、混練物の希釈処理には、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、ストーンミル、ディゾルバー等の従来公知の装置を使用できる。
【0029】
上記のようにして調整された塗料の分散処理には、横型サンドミル、ピン型ミル、アトライター、ウルトラディスクミル等の従来公知の装置が使用される。
【0030】
上述のようにして得られた磁性層形成用の塗料を、非磁性支持体1上あるいは下層非磁性層2上に塗布し、乾燥、カレンダー処理を行う。塗布方法としては、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その方法は特に限定されない。具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、ダイコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、スピンコート等が使用可能である。また、必要に応じて磁場配向や乾燥処理を同時または逐次行うこともできる。
【0031】
カレンダー処理する方法としては、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その方法は特に限定されない。具体的には、カレンダー処理ロールとして、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用することもでき、金属ロール同士で処理することもできる。
【0032】
本発明の磁気記録媒体においては、磁性層3を両主面に形成してもよく、一主面にのみ磁性層3を形成し、他の主面にバック層4を形成した構成としてもよい。バック層4は、磁気記録媒体10の走行性の向上や、磁性層表面に対する転写防止等を図るものである。
バック層4は、非磁性粉末、結合剤、およびその他潤滑剤等の従来公知の各種添加剤等を含有したものとすることができる。これらの添加成分を有機溶媒に分散させたバック層用の塗料を形成し、非磁性支持体1上に塗布、乾燥してバック層4が形成される。
【0033】
バック層4形成面の表面粗度Raは、6.5nm≦Ra≦10nmであることが望ましい。表面粗度Raが6.5nm未満であると表面が平滑すぎ、走行性が悪化するからであり、表面粗度Raが10nmよりも大きいと、磁性層3の表面にバック層4の凹凸が転写してしまい、C/N特性が劣化するためである。
【0034】
本発明の磁気記録媒体10においては、特に磁性層3形成面側の表面形状について、以下のように特定する。
すなわち、磁性層3の表面の、50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2であるものとする。
【0035】
本発明の磁気記録媒体10は、磁性層3の表面性に関し、先ず表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の、広い範囲における最大値PmaxについてPmax≦10nm2と規定しておき、これよりも短い、中間波長領域である0.7μm以上0.9μm未満の範囲、およびさらに短い波長領域である0.4μm以上0.5μm以下の範囲のそれぞれの平均値Pave(L)および平均値Pave(S)を上記のように規定した。
このように、磁気記録媒体の磁性層3の表面性について、上記のように複数の波長領域においてPSDを規定することによって、優れたC/N特性と良好な走行安定性の両立が図られる磁気記録媒体が実現できることを見出したものである。
【0036】
上記のような磁性層3の表面性については、例えば、商品名:Nano Scope IIIa/D−3000(ディジタルインスツルメント社製)を使用して測定できる。
【0037】
なお、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)は、Pave(S)≦0.6nm2であるものとすることにより、さらに走行安定性の向上が図られる。
【0038】
なお、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体1の表面形状、下層非磁性層2の表面形状、さらには磁性層3の表面形状に関しては、最終的に得られる磁気記録媒体10の磁性層表面が上記のようになるように選定する。すなわち下層非磁性層2や磁性層3に含有される各種材料や、表面転写処理、表面研磨処理等の各種方法によって表面性の制御を行うものとする。
【0039】
上述したような本発明の磁気記録媒体10は、高感度再生ヘッドを用いた磁気記録システムに好適なものである。この場合、高感度の磁気ヘッドとしては、磁気抵抗効果型のMRヘッド、GMRヘッド等が挙げられる。
但しこれらに限定されるものではなく、高感度で充分なC/N特性が得られるものであれば、薄膜インダクティブヘッドのような再生用磁気ヘッドも同様に適用することができる。
【0040】
MRヘッドとしては、MR素子をシールドで挟み込んだシールド型のMRヘッド、高透磁率材で挟み込んだヨーク型MRヘッド等がある。これらのヘッドを固定したリニア記録システムに使用してもよいし、ビデオシステムのような回転ドラムに搭載したヘリカルスキャン記録システムに適用してもよい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の磁気記録媒体10について、具体的な実施例および比較例を挙げて説明する。
【0042】
先ず、以下の組成による磁性層形成用の塗料を調整した。
【0043】
【0044】
上記磁性層用塗料分散液をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散処理を行った。
サンドミル分散中の分散液を、下記のように分類した。
分散液A:上記分散液を引き続きサンドミル分散処理した。
分散液B:シリカ(粒径0.05nm)0.1重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液C:シリカ(粒径0.05nm)0.3重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液D:シリカ(粒径0.05nm)0.5重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液E:シリカ(粒径0.05nm)0.7重量部添加しサンドミル分散処理した。
【0045】
分散液F:上記分散液Bにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.5重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液G:上記分散液Cにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.3重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液H:上記分散液Dにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.1重量部添加しサンドミル分散処理した。
分散液I:上記分散液Cにカーボン粒子(粒径0.04nm)を0.8重量部添加しサンドミル分散処理した。
【0046】
上記分散液A〜Iにポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)4重量部添加し、攪拌した。
【0047】
同時に、上記の下層非磁性層用塗料分散液をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散した。この下層非磁性層用塗料分散液を非磁性支持体1上に、1.3μmの膜厚で塗布し、その直後に磁性層3を塗布形成した。
【0048】
但し、非磁性支持体1は、非磁性支持体α〜εの5種類用意し、各々の表面形状が異なっているものとする。
【0049】
上述のようにして作製される磁気記録媒体は、非磁性支持体の種類、磁性層形成用塗料の種類の選定の仕方に応じて、それぞれ磁性層形成面、およびバック層形成面の表面粗度が異なるものとなる。
これら各々の非磁性支持体の磁性層形成面側に、上記それぞれの磁性層形成用塗料を、下記表1に示すように塗布した。その後磁場配向処理を行い、乾燥処理後巻き取った。この乾燥時の温度は、80℃、90℃、100℃の3条件とし、この条件についても下記表1に示した。
【0050】
上記乾燥処理後、カレンダー処理を行った。このカレンダー処理の処理時の温度は、80℃、90℃、100℃の3条件とし、この条件についても下記表1に示した。
【0051】
カレンダー処理後、さらに硬化処理してから、下記組成のバック層形成用の分散液に、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加し、磁性層3とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.5μmとなるようにしてバック層4を形成した。
【0052】
〔バック層形成用の分散液〕
無機粉末:カーボンブラック :100重量部
(粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g)
結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 :13重量部
(量平均分子量71200)
結合剤:フェノキシ樹脂(平均重合度100):43重量部
結合剤:ニトロセルロース樹脂(平均重合度90):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン:500重量部
溶剤:トルエン:500重量部
【0053】
上述のようにして作製した広幅の磁気テープを12mm幅にスリットし、これをサンプルの磁気テープとした。
【0054】
【表1】
【0055】
上記表1に示す条件により作製された実施例および比較例の磁気テープについて、それぞれ磁性層表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラム、C/N特性を測定し、走行安定性を評価した。下記にそれぞれの測定方法を示す。
【0056】
〔表面形状プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラム測定〕
商品名:Nano Scope IIIa/D−3000(ディジタルインスツルメント社製)を使用して50×50μm2の範囲を測定した。
測定分解能については、測定範囲の一辺を256分割し、即ちプロファイリングにおける一辺のsampling ratioを、50/256μmとした。
プロファイルされた表面粗さ曲線をフーリエ変換し、パワースペクトラムを得た。このパワースペクトラムとは、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分に対するパワースペクトラムデンシティーの集合である。
【0057】
サンプルの磁気テープの磁性層表面の表面プロファイルデータから、上記の方法によって得られたパワースペクトラムデンシティー(PSD)に関して、以下のパラメータを定義した。
波長0.4μm以上10μm以下の範囲における計121個のPSDのうち、最大値をPmaxとした。
波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲に該当する0.704225μm〜0.892857μmまでの測定値の計16個のPSDの加算平均値をPave(L)とした。
波長0.4μm以上0.5μm以下の範囲における計26個のPSDの加算平均値をPave(S)とした。
上記それぞれのパラメータの測定結果を下記表2、表3に示す。
【0058】
〔電磁変換特性〕
各磁気テープは、記録用磁気ヘッド(MIG 磁気キャップ長0.15μm)を取り付けたドラムテスターを用い、波長0.5μmの信号を記録後、再生出力とノイズを、スペクトラムアナライザーを用いて測定した。
なお、再生用磁気ヘッドとして積層アモルファスヘッドおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いた。
また、再生信号から±2MHzの周波数成分の大きさをノイズレベルと定義し、このノイズ出力の再生信号出力比をC/N特性とした。
積層アモルファスヘッドでの測定結果を下記表2に、MRヘッドでの測定結果を表3に示した。なお、いずれにおいても比較例1のサンプルの値を基準とし、基準となるC/N値を0.0dBとしたときの各サンプル磁気テープの相対的なC/N値を示した。
下記表2に積層アモルファスヘッドを用いた場合の測定結果を示し、下記表3に磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いた場合の測定結果を示す。
【0059】
〔走行安定性〕
LTO1Ultrium drive(Seagate社製 Viper200改造機)を用いて、室温状態(20℃、湿度50%)にて走行安定性を評価した。具体的には、各々のサンプル磁気テープをドライブにてシャトル試験を行った。シャトル試験の詳細は以下の通りである。すなわち、任意の100GB記録部位のうち、20GB目から50GB目の間を賞味25000回往復せて試験を行った。走行中の磁気テープ状態を観察し、その結果を下記表2、表3に示した。
規定回数走行中に磁気テープがガイドやヘッドに貼り付いた場合、ガイドからずれて磁気テープにダメージが生じた場合、あるいは走行中に磁気テープが破断した場合には走行不安定とみなして×とし、上記のような走行に際して不安定な状態が生じなかった場合には○とし、実用上不都合のない走行性が得られたものを△として記載した。
但し、測定ドライブには、MRヘッドが搭載されているが、ここで着目する走行安定性は、ヘッド種が誘導型、MR型を問わず、同一のシステムで評価できるものとする。従って、本測定で使用したドライブが、MRヘッド搭載型のみであっても、この評価結果は実際のシステムが誘導型ヘッド搭載である場合の評価結果をも反映しているものと言うことができる。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
上記表2に示すように、磁性層の膜厚が0.3μm以下のサンプル磁気テープにおいて、上述した方法によって測定されるパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、PSDの波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である実施例1〜13の磁気テープは、C/N特性、および走行安定性ともに実用上良好な結果を示した。
【0063】
特に、上記0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、0.2nm2≦Pave(S)≦0.6nm2である実施例1、実施例3〜実施例13は、さらに良好なC/N特性と優れた走行安定性が実現できた。
【0064】
また、実施例7〜実施例13の磁気テープについて、C/N特性および走行安定性のいずれもが良好であることから、磁性層3中に含有されるシリカ(SiO2)は0.1〜0.5重量部とし、カーボンは0.1〜0.5重量部とすることによって、磁性層の表面性の向上が図られることがわかった。
【0065】
上記実施例に対して、比較例1の磁気テープは、Pmax、Pave(L)、およびPave(S)が、いずれも上記条件を満たさず、C/N特性および走行安定性ともに実用上良好な結果が得られなかった。
【0066】
Pave(L)、およびPave(S)が、上記条件を満たさない比較例2の磁気テープは、C/N特性および走行安定性ともに実用上良好な結果が得られなかった。
【0067】
Pave(S)が上記条件を満たさない比較例3の磁気テープは、C/N特性については良好な結果が得られたが、走行安定性について良好な結果が得られなかった。
【0068】
Pmaxが、上記条件を満たさない比較例4の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0069】
Pmax、およびPave(L)が、上記条件を満たさない比較例5の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0070】
比較例6の磁気テープは、Pmax、Pave(L)、およびPave(S)が、いずれも上記条件を満たし、磁性層の表面性については良好な状態であるが、磁性層の膜厚は0.5μmと厚く形成されているため、ノイズが増加してしまい、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0071】
Pmax、およびPave(L)が、上記条件を満たさない比較例7〜9の磁気テープは、走行安定性については良好であったが、C/N特性について実用上良好な結果が得られなかった。
【0072】
比較例10の磁気テープにおいては、磁性層形成面側とは反対側のバック層の表面粗度Raが小さく、平滑過ぎて走行安定性が劣化した。
【0073】
上述したことから、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体であって、磁性層の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2である磁気記録媒体は、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、良好なC/N特性と、走行安定性とを兼ね備えたものとすることができた。
【0074】
さらには、上記0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≦0.6nm2の条件を満たすようにしたことにより、さらに優れたC/N特性と走行安定性とを実現できる磁気記録媒体を得ることができた。
【0075】
なお、磁性層3の膜厚を0.05μm、0.1μm程度に形成した磁気記録媒体についても、磁性層の表面形状を上記のように特定することにより、上記各実施例に挙げた磁気記録媒体と同様に、優れたC/N特性と良好な走行安定性が両立できた。このことから、本発明は、特に薄層の磁性層を有する高密度記録の磁気記録媒体の特性向上を図るために極めて有効であることがわかった。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体において、磁性層の表面の表面プロファイルデータをフーリエ変換したパワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、Pave(L)≦0.5nm2であり、かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≧0.2nm2であるものとしたことにより、特に、C/N特性に効果的な波長成分に関しての選択的な特性向上が図られ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような、高感度磁気ヘッドに適用した際に、C/N特性と走行安定性との双方の特性の向上が図られた。
【0077】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁性層の膜厚が0.3μm以下の高密度記録型の磁気記録媒体の磁性層表面状態を極めて良好にすることができ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような、高感度磁気ヘッドに適用した際にも優れたC/N特性と走行安定性との双方の特性を満足する磁気記録媒体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……下層非磁性層、3……磁性層、4……バック層、10……磁気記録媒体
Claims (8)
- 非磁性支持体の、少なくとも一の主面に、膜厚0.3μm以下の磁性層が形成された磁気記録媒体であって、
上記磁性層表面の50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、当該パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、
波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、
Pave(L)≦0.5nm2であり、
かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、
Pave(S)≧0.2nm2
であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、Pave(S)≦0.6nm2であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて信号の再生が行われることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記磁性層中に、SiO2が、0.1〜0.5重量部含有されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記磁性層中に、SiO2が、0.1〜0.5重量部含有され、カーボンが0.1〜0.5重量部含有されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の一主面にのみ磁性層が形成された磁気記録媒体であって、上記磁性層形成面側とは反対側の主面の表面粗度Raが、
6.5nm≦Ra≦10nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 非磁性支持体の、少なくとも一の主面に、磁性層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
強磁性金属粉末、結合剤、潤滑剤、研磨剤、および有機溶剤を混練、分散し、その後SiO2を0.1〜0.5重量部混合して分散して磁性塗料を作製する工程と、
当該磁性塗料を上記非磁性支持体上に塗布することによって磁性層を形成する工程とを有し、
上記磁性層表面の50×50μm2の測定範囲の一辺を256分割して、プロファイリングにおけるsampling ratioを50/256μmとし、表面粗さ曲線をフーリエ変換して、最長波長50μm〜最短波長0.390625μmまでの、合計128個の波長成分のパワースペクトラムデンシティー(PSD)を得たときの、当該パワースペクトラムデンシティー(PSD)の、波長0.4μm以上10μm以下の範囲における最大値Pmaxが、Pmax≦10nm2であり、
波長0.7μm以上0.9μm未満の範囲における平均値Pave(L)が、
Pave(L)≦0.5nm2であり、
かつ、0.4μm以上0.5μm以下の範囲における平均値Pave(S)が、
Pave(S)≧0.2nm2
であるものとすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 非磁性支持体の少なくとも一の主面に磁性層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
強磁性金属粉末、結合剤、潤滑剤、研磨剤、および有機溶剤を混練、分散し、その後SiO2を0.1〜0.5重量部、およびカーボンを0.1〜0.5重量部混合し、分散して磁性塗料を作製する工程と、
当該磁性塗料を上記非磁性支持体上に塗布することによって磁性層を形成する工程とを有することを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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2002
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