JP2002279619A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002279619A
JP2002279619A JP2001080004A JP2001080004A JP2002279619A JP 2002279619 A JP2002279619 A JP 2002279619A JP 2001080004 A JP2001080004 A JP 2001080004A JP 2001080004 A JP2001080004 A JP 2001080004A JP 2002279619 A JP2002279619 A JP 2002279619A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
recording medium
magnetic layer
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001080004A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsunori Maejima
克紀 前嶋
Noboru Sekiguchi
昇 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2001080004A priority Critical patent/JP2002279619A/ja
Publication of JP2002279619A publication Critical patent/JP2002279619A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短波長出力特性を維持しつつ、長波長出力特
性を満足させ、さらに良好なC/N特性および走行耐久
性を有する磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体2上に、鉄原子含有磁性粉
および塩素を含む結合剤、例えば酢酸ビニル−塩化ビニ
ル系共重合体を含む厚さ0.3μm以下の磁性層3を塗
布形成した後、塗布面が未乾燥状態のうちに、塗布面側
から磁場をかけ、磁性層3の中心より表層31の鉄原子
4と塩素原子の平均元素含有比率S(Fe/Cl)、深
層32の鉄原子4と塩素原子の平均元素含有比率D(F
e/Cl)が、S(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)≧
1.1を満足するようにし、磁気記録媒体1を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ等の磁
気記録媒体に関するものであり、さらに詳しくは、短波
長出力特性を維持しつつ、長波長出力特性を満足させ、
さらに良好なC/N特性および走行耐久性を有する磁気
記録媒体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非磁性支持体上に、磁性粉末を結合剤に
分散混合した磁性塗料を塗布して磁性層を形成した、い
わゆる塗布型の磁気記録媒体が、ビデオテープ、オーデ
ィオテープ、磁気ディスク等として広く用いられてい
る。一方近年、デジタル記録等により情報量が増大して
おり、磁気記録媒体はさらなる高密度化、短波長記録化
の方向に向かっている。これに伴い磁気記録装置に供さ
れる高密度の磁気記録媒体では、短波長出力およびC/
N特性を向上させるために、磁性層を薄膜化するととも
に磁気特性の高保持力化をする試みがなされている。し
かし、このような磁性層を備えた従来の磁気記録媒体
は、一方では十分な長波長出力特性が得られないという
欠点がある。即ち、一般に磁性層の厚さを厚くすれば、
長波長出力特性が向上することが知られているが、磁性
層を厚くすることにより短波長出力特性が悪化してしま
うという問題がある。そこで従来は磁性層の厚みを薄く
し、高磁性粉濃度の磁性粉分散液を用いてより多くの磁
性粉を磁性層に充填しているが、走行耐久性を確保する
ためには結合剤等の磁性粉以外の材料を一定量用いなけ
ればならず、その結果、十分な長波長出力特性が得られ
なかった。つまり従来技術では、短波長出力特性を維持
しつつ、長波長出力特性を満足させ、さらに良好なC/
N特性および走行耐久性を有する磁気記録媒体を得るこ
とはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、短波長出力特性を維持しつつ、長波長出力特性を
満足させ、さらに良好なC/N特性および走行耐久性を
有する磁気記録媒体およびその製造方法を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、非磁
性支持体の一方または両面に鉄原子含有磁性粉と結合剤
とを少なくとも含む厚さ0.3μm以下の磁性層を有す
る磁気記録媒体において、磁性層の中心より表層の平均
鉄元素含有率をS(Fe)、前記磁性層の中心より深層
の平均鉄元素含有率をD(Fe)としたときに、S(F
e)/D(Fe)≧1.1を満足することを特徴とする
磁気記録媒体である。請求項2の発明は、非磁性支持体
の一方または両面に鉄原子含有磁性粉と結合剤とを少な
くとも含む厚さ0.3μm以下の磁性層を有する磁気記
録媒体において、前記結合剤が塩素含有重合体を含み、
前記磁性層の中心より表層の鉄原子と塩素原子の平均元
素含有比率をS(Fe/Cl)、前記磁性層の中心より
深層の鉄原子と塩素原子の平均元素含有比率をD(Fe
/Cl)としたときに、S(Fe/Cl)/D(Fe/
Cl)≧1.1を満足することを特徴とする磁気記録媒
体である。請求項3の発明は、前記結合剤が塩化ビニル
系重合体を含むことを特徴とする請求項2記載の磁気記
録媒体である。前記のような構成によれば、短波長出力
特性を維持しつつ、長波長出力特性を満足させ、さらに
良好なC/N特性および走行耐久性を有する磁気記録媒
体を提供することができる。請求項4の発明は、非磁性
支持体の一方または両面に鉄原子含有磁性粉と結合剤と
を少なくとも含む厚さ0.3μm以下の磁性層を有する
磁気記録媒体の製造方法において、前記非磁性支持体上
に磁性層を塗布形成した後、塗布面が未乾燥状態のうち
に塗布面側から磁場をかけることにより磁性層の中心よ
り表層の平均鉄元素含有率をS(Fe)、前記磁性層の
中心より深層の平均鉄元素含有率をD(Fe)としたと
きに、S(Fe)/D(Fe)≧1.1を満足するよう
にしたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法であ
る。請求項5の発明は、塗布面側からの磁場の供給は、
非磁性支持体とほぼ平行な面内でかつ磁性層に磁場の作
用が働く位置に前記非磁性支持体の走行方向に沿って配
置した磁石に磁性層の塗布面を通過させることによって
行われることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒
体の製造方法である。前記のような構成によれば、磁性
層を塗布形成した後、塗布面が未乾燥状態のうちに塗布
面側から磁場をかけることにより、磁性層中の鉄原子が
表層に向けて移動し、磁性層の厚み方向に鉄原子の濃度
勾配が生じる。その結果、短波長出力特性を維持しつ
つ、長波長出力特性を満足させ、さらに良好なC/N特
性および走行耐久性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明に使用される非磁性支持体は、とくに制限
されず、従来公知のものがいずれも適用可能である。例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等のポリエステル類;ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン類;セルローストリアセテー
ト、セルロースダイアセテート、セルロースアセテート
ブチレート等のセルロース誘導体;ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプ
ラスチック;紙;アルミニウム、銅等の金属;アルミニ
ウム合金、チタン合金等の軽合金;セラミックス;単結
晶シリコン等からなる支持体であることができる。ま
た、非磁性支持体の形態もとくに制限されず、フィル
ム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のい
ずれでもよく、そのサイズも適宜決定すればよい。
【0006】次に本発明における磁性層について説明す
る。 (1)鉄原子含有磁性粉 磁性層における鉄原子含有磁性粉は、例えばFe−Co
合金粉末、Fe−Al合金粉末、Fe−Al−Ni合金
粉末、Fe−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Co合
金粉末、Fe−Al−Ca合金粉末、Fe−Ni系合
金、Fe−Ni−Al合金粉末、Fe−Ni−Co合金
粉末、Fe−Ni−Si−Al−Mn合金粉末、Fe−
Ni−Si−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Si合
金粉末、Fe−Ni−Zn合金粉末、Fe−Ni−Mn
合金粉末、Fe−Ni−Si合金粉末、Fe−Mn−Z
n合金粉末、Fe−Co−Ni−P合金粉末、強磁性酸
化鉄、窒化鉄等が挙げられる。また鉄原子含有磁性粉に
は、酸化安定性、焼結防止、形状安定等を目的とした添
加元素または酸化物等を添加してもよい。これら添加元
素および酸化物としては、例えばAl、Y、Si、C
a、Laおよびこれらの酸化物、α−Fe23、γ−F
23、Fe34等が挙げられる。
【0007】(2)結合剤 結合剤としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩
化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アク
リロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロ
ニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデ
ン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポ
リウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、
塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラー
ル、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂または
これらの混合物等が挙げられる。中でも、塩素含有重合
体である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化
ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共
重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合
体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニ
リデン−アクリロニトリル共重合体が結合剤中に含まれ
ることが望ましい。また、柔軟性を付与するとされてい
るポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体と、剛性を付与するとされて
いるセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂
等が好ましい。これらはイソシアネート化合物を架橋剤
としてより耐久性を向上させたりしてもよい。
【0008】磁性層の厚さは、0.3μm以下であるの
が好ましい。また、結合剤は、鉄原子含有磁性粉100
重量部に対し、10〜50重量部、好ましくは15〜3
0重量部使用するのがよい。
【0009】本発明は、磁性層の特性を次のような条件
に設定することを特徴としている。すなわち、磁性層の
中心より表層の平均鉄元素含有率をS(Fe)、前記磁
性層の中心より深層の平均鉄元素含有率をD(Fe)と
したときに、S(Fe)/D(Fe)≧1.1を満足す
る。図1は、本発明の磁気記録媒体の一例における磁性
層を説明するための断面図であり、(a)は本発明にお
ける磁性層、(b)は従来の磁性層をそれぞれ説明して
いる。図1(a)において、本発明の磁気記録媒体1
は、非磁性支持体2上に磁性層3が設けられ、磁性層3
の厚さ方向の中心Cより表層31の鉄元素4が、非磁性
支持体2側の深層32のそれよりも多く分散しているこ
とが分かる。これに対し、図1(b)の磁気記録媒体
1’は、非磁性支持体2上に磁性層3’が設けられ、磁
性層3’の厚さ方向の中心Cから表層31’および深層
32’のいずれも均一に鉄元素4が分散していることが
分かる。
【0010】平均鉄元素含有率は、従来公知の手段によ
り確認することができる。簡便な一方法としては、例え
ば磁気記録媒体を長手方向に沿ってミクロトーム法によ
り約0.1μm幅に切り出し、透過型電子顕微鏡にて観
察し、写真撮影を行い、得られた写真から磁性層厚みを
計算し、その中心線を求める。この中心線を境界にして
表層および深層を決定する。なお深層は中心線から非磁
性支持体に向かう磁性層であり、中心線からその反対側
の磁性層が表層である。次に、表層および深層の平均鉄
元素含有率S(Fe)およびD(Fe)をそれぞれ求め
る。この際、磁性層中に存在する他元素を参照として相
対的な平均鉄元素含有率S(Fe)およびD(Fe)を
求めてもよい。含有率の測定は、例えばオージェ電子分
光分析装置またはX線マイクロアナライザー等の従来の
装置を用いて分析することができる。なお本発明におい
て、平均鉄元素含有率S(Fe)およびD(Fe)を求
める手段は上記に制限されず、その他の手段も採用する
ことができる。
【0011】また本発明によれば、前記結合剤に含まれ
る元素と鉄含有磁性粉との比率を求め、磁性層の表層お
よび深層間の該比率を特別に規定することによっても、
短波長出力特性を維持しつつ、長波長出力特性を満足さ
せ、さらに良好なC/N特性および走行耐久性を有する
磁気記録媒体を提供することができる。すなわち、結合
剤として塩素含有重合体を含有させ、磁性層の中心より
表層の鉄原子と塩素原子の平均元素含有比率をS(Fe
/Cl)とし、前記磁性層の中心より深層の鉄原子と塩
素原子の平均元素含有比率をD(Fe/Cl)としたと
きに、S(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)≧1.1を
満足するように作製することにより、短波長出力特性を
維持しつつ、長波長出力特性を満足させ、さらに良好な
C/N特性および走行耐久性を有する磁気記録媒体を提
供することができる。
【0012】本発明において、磁性層をS(Fe)/D
(Fe)≧1.1に調製する方法は、とくに制限されな
いが、例えば非磁性支持体上に磁性層を塗布形成した
後、塗布面が未乾燥状態のうちに塗布面側から磁場をか
けることにより、前記の磁性層の特性を達成することが
可能である。なお、塗布面側からの磁場の供給は、非磁
性支持体とほぼ平行な面内でかつ磁性層に磁場の作用が
働く位置に非磁性支持体の走行方向に沿って配置した磁
石に磁性層の塗布面を通過させることによって行われる
のが好ましい。このような手段は、例えば、非磁性支持
体の走行方向に沿ってN極とS極が交互に積層された複
数の磁石の積層体(磁場発生体)を有する装置を用いて
簡便に行うことができる。図2は、本発明の磁気記録媒
体の製造装置の一例を説明するための図である。図2に
おいて、まず、巻き出しロール5から供給された非磁性
支持体2上に、磁性層用塗料を塗布する。この塗布は、
エクストルージョン・ダイ6から磁性層用塗料を押し出
すことによって行う。塗布された磁性層3の塗布面が未
乾燥状態のうちに、非磁性支持体2の走行方向に沿って
N極とS極が交互に積層された複数の磁石の磁場発生体
7を用い、磁性層用塗料の塗布面側から磁場をかけ、前
記の磁性層の特性を達成し、その後、ソレノイドマグネ
ット配向機8により磁場配向処理を行い、ドライヤー9
で乾燥し、巻き取りロール10で巻き取る。
【0013】なお、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体の一方または両面に前記のような磁性層を有するも
のであるが、必要に応じて非磁性支持体と磁性層との間
に、下層非記録層を設けてもよい。ここで下層非記録層
は、非強磁性無機粉末が結合剤中に分散して形成されて
いるものであればよい。前記非強磁性無機粉末として
は、従来公知のものがいずれも使用可能であって、α−
Fe23、TiO2、Cr23、α−FeOOH、Ca
O、SiO2、Al 23、炭酸カルシウム等が挙げられ
る。また、下層非記録層における結合剤は、前記の磁性
層と同じものが使用できる。下層非記録層の厚さは、
0.2μm以上、とくに0.2μm〜2μmが好まし
い。
【0014】なお必要に応じて、磁性層および下層非記
録層を形成するための塗料には、公知の潤滑剤、分散
剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等の添加剤を添加する
ことができる。また、該塗料を調整するために使用され
る溶剤は従来公知のものがいずれも適用可能で、なんら
限定されるものではなく、例えばアセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等
のエステル系溶剤;グリコールモノエチルエーテル、ジ
オキサン等のグリコールエーテル系溶剤;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチレン
クロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロ
ホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等
の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0015】磁性層および下層非記録層を形成するため
の塗料は、上述した各成分を溶剤とともに混練分散する
ことにより調製される。混練分散の方法は、公知の方法
を適用すればよくとくに制限されないが、通常の混練
機、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニ
ーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
【0016】磁性層を形成するための塗料を非磁性支持
体上に塗布するには、例えばグラビアコート、押出コー
ト、エアードクターコート、リバースロールコート等の
従来の塗布方法を採用することができる。また、下層非
記録層および磁性層を形成する際には、下層非記録層お
よび磁性層を形成するための塗料をこの順で塗布して乾
燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用い
てもよく、湿潤状態にある下層非記録層を形成するため
の塗料の上に磁性層を形成するための塗料を重ねて塗布
する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いて
もよい。また、磁性層、下層非記録層は、非磁性支持体
の一方または両面に設けることができる。
【0017】また、上述の非磁性支持体における他方の
面、すなわち磁性層を形成しなかった面には、必要に応
じて公知のバックコート層を設けてもよい。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに説明する。なお、実施例中、「部」は「重量部」を
意味する。 実施例1〜2および比較例1〜6 厚さ5.0μmのポリエチレンテレフタレートベースフ
ィルム上に、下記組成の磁性層用分散液を用いて磁性層
を設けた。
【0019】 [磁性層用分散液組成] 微細鉄原子含有磁性粉: 鉄−コバルト合金系メタル磁性粉(平均長軸長0.1μm) 100部 結合剤: ポリエステル系ポリウレタン樹脂(重量平均分子量41200) 8部 酢酸ビニル−塩化ビニル系共重合体(平均重合度350) 10部 無機粉末(研磨剤): α−アルミナ 5部 (粒径200nm、比表面積(BET法)11.1m2/g) 潤滑剤: ステアリン酸 1部 ステアリン酸ブチル 2部 溶剤: メチルエチルケトン 20部 トルエン 20部 シクロヘキサノン 10部
【0020】前記の微細鉄原子含有磁性粉、結合剤、無
機粉末、潤滑剤をニーダーで混練処理を施し、さらにメ
チルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈
した後、サンドミル分散し、磁性層用分散液とした。さ
らにポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤
「コロネートL」)4部添加し攪拌後、所定の厚さにな
るよう非磁性支持体上に塗布した。
【0021】なお、実施例1〜2、比較例4〜6のサン
プルについては、非磁性支持体上に磁性層を塗布形成し
た後、塗布面が未乾燥状態のうちに塗布面側から磁場を
かけた。この磁場の供給は、非磁性支持体とほぼ平行な
面内でかつ磁性層に磁場の作用が働く位置に非磁性支持
体の走行方向に沿って配置した磁石に磁性層の塗布面を
通過させることのできる磁場発生装置によって行った。
つまり、非磁性支持体の走行方向に沿ってN極とS極が
交互に積層された複数の磁石の積層体(磁場発生体)を
有する装置を用い、前記積層体と磁性層の塗布面側が向
き合うようにし、サンプルを通過させた。なお、磁性層
の塗布面側に供給される磁石の強さは約3000G(ガ
ウス)とした。その後、磁場配向処理をおこない、乾燥
させて巻き取りした。さらにカレンダー処理を施し、硬
化処理してから下記組成のバックコート層用分散液へポ
リイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネ
ートL」)10部を添加し、磁性層とは反対側のフィル
ム面に塗布し、0.5μm厚となるようにバックコート
層を形成した。
【0022】 [バックコート層用分散液組成] 無機粉末: カーボンブラック(粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g) 100部 結合剤: ポリエステル系ポリウレタン樹脂(重量平均分子量71200) 13部 フェノキシ樹脂(平均重合度100) 43部 ニトロセルロース樹脂(平均重合度90) 10部 溶剤: メチルエチルケトン 500部 トルエン 500部
【0023】このようにして得られた広幅テープを8m
m幅にスリットしたものをサンプルとした。サンプルに
ついて、S(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)、短波長
出力、長波長出力、C/N特性および走行耐久性を測定
した。各測定法は以下のとおりである。
【0024】[S(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)] サンプルを長手方向に沿ってミクロトーム法により約
0.1μm幅に切り出し、透過型電子顕微鏡で1000
0〜100000倍にて観察し、写真撮影を行い、得ら
れた写真から磁性層厚みを計算し、その中心線を求め
た。この中心線を境界にして表層および深層を決定し
た。オージェ電子分光分析装置(日本電子社製、商品名
JAMP−30)を用い、S(Fe/Cl)/D(Fe
/Cl)を求めた。
【0025】[電磁変換特性]ここで、各テープは記録
ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm)を取り付けた
固定電特機を用い、短波長特性は0.5μm、長波長特
性は1.0μmの信号を記録後、再生ヘッドに積層アモ
ルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を用い再生して
測定を行った。また各単一周波数の出力および再生され
た信号から±2MHzのところをノイズレベルとした際
のC/N特性を調べた。その際、比較例1を基準テープ
とし、C/Nを0dBとした。
【0026】[走行耐久性]各テープを8mmビデオカ
ートリッジに各120m組み込んだものをサンプルとし
た。各サンプルをソニー社製ビデオデッキ(WV−TW
1)を使用し、長時間(1時間)スチルテストを行っ
た。テスト実施のため市販時のテープ保護用回路を切っ
た。1時間後の各サンプルのレベルダウンを数値化し、
比較例1のレベルダウン幅を100とした場合の相対比
較で評価した。劣化幅が90%未満のものを○、90%
以上105%未満のものを△、105%以上のものを×
とした。なお、記録周波数は7MHzとした。得られた
結果を、磁性層の厚さの設定値および塗布速度とともに
表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から、磁性層の厚さ0.3μmを超え
るもの、またS(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)が
1.1未満のものは(比較例1〜6)、短波長出力特
性、長波長出力特性を満足することができず、さらにC
/N特性および走行耐久性に劣る結果となった。これに
対し、磁性層の厚さ0.3μm以下であり、かつ磁性層
の厚さおよびS(Fe/Cl)/D(Fe/Cl)が
1.1以上のものは(実施例1〜2)、短波長出力特性
を維持しつつ、長波長出力特性を満足させ、さらに良好
なC/N特性および走行耐久性を有していた。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、短波長出力特性を維持
しつつ、長波長出力特性を満足させ、さらに良好なC/
N特性および走行耐久性を有する磁気記録媒体およびそ
の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体における磁性層を説明す
るための断面図であり、(a)は本発明における磁性
層、(b)は従来の磁性層を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造装置の一例を説明
するための図である。
【符号の説明】
1…本発明の磁気記録媒体、1’…従来の磁気記録媒
体、2…非磁性支持体、3,3’…磁性層、4…鉄元
素、5…巻き出しロール、6…エクストルージョン・ダ
イ、7…磁場発生体、8…ソレノイドマグネット配向
機、9…ドライヤー、10…巻き取りロール、31,3
1’…表層、32,32’…深層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一方または両面に鉄原子
    含有磁性粉と結合剤とを少なくとも含む厚さ0.3μm
    以下の磁性層を有する磁気記録媒体において、磁性層の
    中心より表層の平均鉄元素含有率をS(Fe)、前記磁
    性層の中心より深層の平均鉄元素含有率をD(Fe)と
    したときに、S(Fe)/D(Fe)≧1.1を満足す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体の一方または両面に鉄原子
    含有磁性粉と結合剤とを少なくとも含む厚さ0.3μm
    以下の磁性層を有する磁気記録媒体において、前記結合
    剤が塩素含有重合体を含み、前記磁性層の中心より表層
    の鉄原子と塩素原子の平均元素含有比率をS(Fe/C
    l)、前記磁性層の中心より深層の鉄原子と塩素原子の
    平均元素含有比率をD(Fe/Cl)としたときに、S
    (Fe/Cl)/D(Fe/Cl)≧1.1を満足する
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記結合剤が塩化ビニル系重合体を含む
    ことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体の一方または両面に鉄原子
    含有磁性粉と結合剤とを少なくとも含む厚さ0.3μm
    以下の磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法におい
    て、前記非磁性支持体上に磁性層を塗布形成した後、塗
    布面が未乾燥状態のうちに塗布面側から磁場をかけるこ
    とにより磁性層の中心より表層の平均鉄元素含有率をS
    (Fe)、前記磁性層の中心より深層の平均鉄元素含有
    率をD(Fe)としたときに、S(Fe)/D(Fe)
    ≧1.1を満足するようにしたことを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 塗布面側からの磁場の供給は、非磁性支
    持体とほぼ平行な面内でかつ磁性層に磁場の作用が働く
    位置に前記非磁性支持体の走行方向に沿って配置した磁
    石に磁性層の塗布面を通過させることによって行われる
    ことを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
JP2001080004A 2001-03-21 2001-03-21 磁気記録媒体およびその製造方法 Pending JP2002279619A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001080004A JP2002279619A (ja) 2001-03-21 2001-03-21 磁気記録媒体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001080004A JP2002279619A (ja) 2001-03-21 2001-03-21 磁気記録媒体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002279619A true JP2002279619A (ja) 2002-09-27

Family

ID=18936364

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001080004A Pending JP2002279619A (ja) 2001-03-21 2001-03-21 磁気記録媒体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002279619A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57152522A (en) * 1981-03-13 1982-09-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd Magnetic recording medium and its manufacture
JPS58208931A (ja) * 1982-05-28 1983-12-05 Inoue Japax Res Inc 磁気テ−プの製作方法
JPS6231018A (ja) * 1985-08-01 1987-02-10 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
JPH031315A (ja) * 1989-05-29 1991-01-08 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JPH117624A (ja) * 1997-06-16 1999-01-12 Victor Co Of Japan Ltd 磁気記録媒体

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57152522A (en) * 1981-03-13 1982-09-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd Magnetic recording medium and its manufacture
JPS58208931A (ja) * 1982-05-28 1983-12-05 Inoue Japax Res Inc 磁気テ−プの製作方法
JPS6231018A (ja) * 1985-08-01 1987-02-10 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
JPH031315A (ja) * 1989-05-29 1991-01-08 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JPH117624A (ja) * 1997-06-16 1999-01-12 Victor Co Of Japan Ltd 磁気記録媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0479046B2 (ja)
JP2002279619A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JPH0935245A (ja) 磁気記録媒体
JPH10149531A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP4415187B2 (ja) 磁気記録媒体
US20060228591A1 (en) Magnetic recording medium
JP3360317B2 (ja) 磁気記録媒体用のマスキング層付き非磁性支持体、及び磁気記録媒体
JP2897028B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP5257098B2 (ja) 磁気記録媒体、テープカートリッジ及びテープドライブシステム
JP2005004857A (ja) 磁気記録媒体
JP2002260214A (ja) 磁気記録媒体
JPH0467428A (ja) 磁気記録媒体
JP2002269719A (ja) 磁気記録媒体
JPH11213381A (ja) 磁気記録媒体
US20060172156A1 (en) Magnetic recording medium and process for producing same
JP2006012281A (ja) 磁気記録媒体
JP2005032383A (ja) 磁気記録媒体
JP2005004823A (ja) 磁気記録媒体
JPH1173640A (ja) 磁気記録媒体
JP2000011359A (ja) 磁気記録媒体
JP2002269721A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
JP2005004858A (ja) 磁気記録媒体
JP2004213797A (ja) 磁気記録媒体
JPH1055523A (ja) 磁気記録媒体
JP2003123223A (ja) 塗布型磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080303

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Effective date: 20090916

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100205

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100713