JPH117624A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH117624A
JPH117624A JP17533397A JP17533397A JPH117624A JP H117624 A JPH117624 A JP H117624A JP 17533397 A JP17533397 A JP 17533397A JP 17533397 A JP17533397 A JP 17533397A JP H117624 A JPH117624 A JP H117624A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁変換特性が良好であり、かつ、良好な電
磁変換特性及び走行耐久性を経時変化なく長期にわたり
保持できる保存性に優れており、高密度記録可能な塗布
型の磁気記録媒体として好適な媒体を提供する。 【解決手段】 磁性層の平均厚みが0.3μm以下であ
り、非磁性層は吸着水分値W1が0.2〜4.0wt%
である無機質粉末を含有しており、磁性層は吸着水分値
W2が0.2〜3.0wt%である強磁性粉末を含有し
ており、かつ、前記吸着水分値W1,W2が、 |W1−W2|≦1.0 の関係を有するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の磁気記録媒
体に関するものであり、特に良好な電磁変換特性及び走
行耐久性を経時変化なく長期にわたり保持でき、塗膜の
保存性に優れた高密度記録可能な磁気記録媒体を提供す
ることを目的としている。
【0002】
【従来技術】磁気記録は、近年、特に高密度記録化が進
み、記録波長は短くなり、記録トラック幅は狭くなる方
向に進んでいる。例えば、ビデオテープ等の磁気テープ
は、業務用はもちろんのこと、民生用においても、DV
C(デジタルビデオカセット)に代表されるデジタル化
が急速に進んでいる。それに伴い、電磁変換特性に加
え、経時変化のない保存性に優れた磁気記録媒体が求め
られている。この高密度化の要求に対して、磁性層に金
属薄膜を用いた磁気記録媒体が提案されているが、生産
性、腐食等の実用信頼性の点で強磁性粉末を結合剤(バ
インダー樹脂)中に分散して、支持体上に塗布したいわ
ゆる塗布型の磁気記録媒体が優れる。しかし、塗布型の
磁気記録媒体は、金属薄膜に対して磁性体の充填度が低
いために電磁変換特性が劣る。塗布型での電磁変換特性
を改善するため、強磁性粉末の磁気特性の改良、表面の
平滑化、磁性層薄膜化などの種々の方法が提案されてい
るが、高密度化に対して十分なものとはいえなかった。
さらに、従来の、高密度化を図った塗布型の磁気記録媒
体は、長時間の繰り返し使用あるいは長時間の保存後使
用において、初期の電磁変換特性並びに走行耐久性が保
持できないものが多く、塗膜の保存性も十分なものでは
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これらの問題
点を解決するために、特開平5−217149号では、
上層磁性層の平均厚みが1.0μm以下であり、かつ、
下層非磁性層に平均粒径が規定された非磁性粉末等を含
有させた磁気記録媒体が提案されている。また、特開平
7−93740号では、支持体上にAlとSiの元素重
量比及び表面に存在する平均比率が規定されたα酸化鉄
粉末を含有する下層を設け、強磁性粉末を含有する層を
上層として設けた磁気記録媒体が提案されている。しか
し、いずれも十分に問題を解決したものではない。特
に、経時変化が十分に少なく満足できる保存性を実現し
た磁気記録媒体に関する提案は見あたらない。本発明
は、以上のような問題点に着目し、これらを有効に解決
すべく創案されたものであり、その目的は、電磁変換特
性が良好であり、かつ、良好な電磁変換特性及び走行耐
久性を経時変化なく長期にわたり保持できる保存性に優
れた高密度記録可能な磁気記録媒体を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために本発明は、非磁性支持体と、前記非磁性支持
体上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けら
れた磁性層とを備えた磁気記録媒体において、前記磁性
層の平均厚みが0.3μm以下であり、前記非磁性層は
吸着水分値W1が0.2〜4.0wt%である無機質粉
末を含有しており、前記磁性層は吸着水分値W2が0.
2〜3.0wt%である強磁性粉末を含有しており、か
つ、前記吸着水分値W1,W2が、 |W1−W2|≦1.0 の関係を有することを特徴とする磁気記録媒体を提供す
るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明者は、かかる事情に鑑みて
鋭意検討を重ねた結果、特定の強磁性粉末を含んだ磁性
層を特定の厚みで形成し、かつ、特定の無機質粉末を含
有する非磁性層を形成することにより、保存性等に優れ
た高密度記録可能な磁気記録媒体が得られることを見出
し、本発明に至った。すなわち、本発明は、非磁性支持
体と、前記非磁性支持体上に設けられた非磁性層と、前
記非磁性層上に設けられた磁性層とを備えた磁気記録媒
体において、前記磁性層の平均厚みが0.3μm以下で
あり、前記非磁性層は吸着水分値W1が0.2〜4.0
wt%である無機質粉末を含有しており、前記磁性層は
吸着水分値W2が0.2〜3.0wt%である強磁性粉
末を含有しており、かつ、前記吸着水分値W1,W2
が、 |W1−W2|≦1.0 の関係を有することを特徴とするものである。
【0006】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上
に、非磁性支持体側から順に無機質粉末を含有する層を
下層非磁性層、強磁性粉末を含有する層を上層磁性層と
して設ける。なお、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体と下層非磁性層との間に、磁性層及び/または非磁
性粉末を含有する非磁性層を設けてもよい。例えば、複
数の非磁性層からなる層を非磁性支持体と下層非磁性層
との間に設けてもよい。また、磁性層と非磁性層とを有
する複数の層から形成される層を非磁性支持体と下層非
磁性層との間に設けてもよい。
【0007】本発明においては、上層磁性層の平均厚み
は0.3μm以下に設定されている。磁性層が0.3μ
mより厚い場合は、長波長記録の出力電圧の増加に対し
て、短波長記録の出力電圧が同程度に増加しないので、
両出力電圧の差が大きくなる。この結果、デジタル信号
記録の場合には、長波長記録と短波長記録とが隣接した
場合に出力波形が歪み、ピークが本来あるべき位置から
大きくずれてしまうので、高密度記録媒体として好まし
くない。さらには、デジタル信号の消去特性等も悪化し
てしまう。
【0008】上記の下層非磁性層に含有させる無機質粉
末としては、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アル
ミナ、非磁性の酸化鉄、炭酸カルシウム等が好ましい。
これら無機質粉末には、分散性等を向上させるために有
機処理及び/または無機処理を施しても良い。上記無機
質粉末の形状は好ましくは針状で、平均長軸径が0.0
5〜0.30μm、平均短軸径が0.010〜0.05
0μm、及び軸比(長軸径/短軸径)が3〜30であ
る。上記無機粉末の吸着水分値W1は0.2〜4.0w
t%に設定される。吸着水分値W1が0.2wt%未満
では非磁性層用塗料の分散性が劣化し、非磁性層の塗布
表面が平滑になりにくい。よって、非磁性層上に設ける
磁性層の表面も平滑になりにくい。逆に、吸着水分値W
1が4.0wt%より大きいと、非磁性塗料の分散安定
性(ポットライフ)が劣化し、長時間連続して塗布して
いる間に、塗布スジ、塗布ムラ、ピンホール等が増加し
てしまい好ましくない。
【0009】上層磁性層に含有させる強磁性粉末の材質
としては公知の材質を用いることができる。例えば、γ
−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−F
eOx(x=1.33〜1.5)、FeまたはNiまた
はCoを主成分(75%以上)とする強磁性合金微粉
末、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトな
どの六方晶フェライト等が使用できる。これらの強磁性
粉末には所定の元素以外にAl、Si、S、Sc、T
i、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、S
n、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、
Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、M
n、Zn,Ni、Sr、B等の元素を含有しても良い。
上記強磁性粉末の吸着水分値W2は0.2〜3.0wt
%に設定される。吸着水分値W2が0.2wt%未満で
は磁性層用塗料の分散性が劣化し、磁性層の塗布表面性
が平滑になりにくい上に、配向性も劣化し好ましくな
い。逆に、吸着水分値W2が3.0wt%より大きい
と、上記非磁性塗料より大幅に分散安定性が劣化し、塗
布欠陥(塗布スジ、塗布ムラ、ピンホール等)が発生
し、塗布表面は平滑にならず、さらに配向性も劣化し好
ましくない。また、イソシアネート化合物との反応性も
高まり、表面平滑処理性も劣化し好ましくない。
【0010】上記吸着水分値W1、W2は、 |W1−W2|≦1.0 の関係になるように設定される。W1とW2との差が
1.0wt%より大きくなると、無機質粉末を含有する
非磁性層上に、強磁性粉末を含有する磁性層を設けた後
に、吸着水分差により各層相互間で化学的アンバラスを
引き起こし、結合剤や溶剤等とのなじみが悪くなり、所
望の磁性層の表面平滑性が得られなくなってしまう。ま
た、この磁気記録媒体を長時間保存すると、上記吸着水
分値差が1.0wt%より大きいことの影響はさらに強
まり、電磁変換特性及び走行耐久性に経時変化が現れ、
好ましくない。本発明における無機質粉末並びに強磁性
粉末の吸着水分値は、カール・フィッシャー法による水
分測定の原理を用いて測定したものをいう。吸着水分値
の調整は従来より知られている方法で行えば良く、例え
ば所定の粒度に粉砕した粉末を窒素などの不活性気体中
で加熱乾燥すれば良い。
【0011】磁気記録媒体の製法に関しては、従来公知
の製法を用いることができるが、分散に関しては分散初
期に塗料粘度の高い状態で混練を行う、いわゆる”固練
り”を行うことが望ましい。この混練の方法は特に制限
はなく、また各成分の添加順序などは適宜設定すること
ができる。非磁性塗料、磁性塗料及びバックコート塗料
の調整には通常の混練機、例えばロールミル、連続ニー
ダー、高圧ニーダー、高速度衝撃ミキサー、サンドミル
等を用いることができる。非磁性支持体上への上記非磁
性層並びに磁性層を塗布する方法としてはダイコート、
スピンコート、スプレイコート等が好ましい。表面性を
形成するカレンダー工程においても良好な表面平滑性を
得るための方法、例えば、スティールカレンダー処理等
の手法をとることが好ましい。上記非磁性層の厚みは、
0.5〜3μmが好ましい。非磁性層の厚みが0.5μ
m未満であると、非磁性層による磁性層表面の平滑効果
が弱まる傾向にあり、3μmを超えると出力変動が大き
くなる傾向にあるので、上記範囲内とすることが好まし
い。
【0012】磁性層及び非磁性層のバインダー樹脂に用
いる樹脂としては、磁気記録媒体に使用可能な公知の樹
脂が使用可能である。例えば、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、塩化ビニル系共重合体、アクリル酸エス
テルーアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
ースチレン共重合体、ポリビニルブチラール、セルロー
ス誘導体、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
非磁性層並びに磁性層中には、潤滑剤等の添加剤を含有
させても問題ない。潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エ
ステル、シリコーン等の液状潤滑剤が挙げられる。
【0013】以下に実施例・比較例を用いて本発明を具
体的に説明する。ここに示す成分、割合、操作手順等は
本発明の考えから逸脱しない範囲において変更可能であ
ることは、当業者にとっては容易に理解されることであ
る。従って、本発明は下記の実施例に制限されるべきで
はない。尚、ここでは、実施例・比較例として、バック
コート層を有する磁気テープを作製した。各実施例・比
較例における可変部分である磁性層厚み、吸着水分値W
1、W2の各値は表1に示した。
【0014】 <実施例、比較例に用いる上層磁性層用の磁性塗料の組成> (1)強磁性合金粉末 100重量部 (組成:Fe 94%、Ni 2% 飽和磁化量:150emu/g 比表面積:55m2 /g、長軸長:0.1μm 吸着水分値:表1に記載) (2)結合剤 ・ポリウレタン 9重量部 ・塩化ビニル樹脂 9重量部 ・ニトロセルロース 2重量部 (3)その他添加剤 ・パルミチン酸イソアミル 2重量部 ・α−アルミナ 3重量部 ・メチルエチルケトン 150重量部 ・シクロヘキサノン 150重量部
【0015】 <実施例、比較例に用いる下層非磁性層用の非磁性塗料の組成> (1)無機質粉末 100重量部 ・α−酸化鉄粉末(吸着水分値:表1に記載) (2)結合剤 ・ポリウレタン 5重量部 ・塩化ビニル樹脂 5重量部 ・カーボンブラック 10重量部 ・パルミチン酸イソアミル 5重量部 ・メチルエチルケトン 125重量部 ・シクロヘキサノン 125重量部
【0016】上記2つの塗料のそれぞれについて、各成
分を連続ニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分
散させた。得られた分散液にポリイソシアネートを20
重量部加え撹拌して、フィルターを用いて濾過し、それ
ぞれの塗布液を調整した。得られた非磁性塗料を非磁性
支持体上に1.0μmの厚みで、磁性塗料を非磁性塗料
で塗設された非磁性層上に所定(表1記載)の厚みで塗
布した。非磁性支持体にはポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムを用いた。次にスティールカレンダ
ーを用いて表面平滑処理を行った。さらに、支持体の非
磁性層及び磁性層を設けた面とは反対側の面にカーボン
ブラックを主成分とするバックコート層を設けた。そし
て上記フィルム状媒体を温度50℃環境に24h入れ、
エージング処理を行い,こうして作製したフィルム状媒
体を幅3.81mmに裁断し、試料用の磁気テープ(D
AT用テープ)とした。上述の方法で作製した実施例1
〜11、比較例1〜9について下記の測定及び評価を行
った。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】無機質粉末並びに強磁性粉末の吸着水分値
は、カール・フィッシャー法による水分測定の原理を用
いて測定したものである。非磁性層並びに磁性層表面の
光沢度は、JIS Z8741に準じ、入射角45゜に
おいて、屈折率1.567のガラス表面の鏡面光沢度を
100%として測定した。塗料作製完了直後に塗膜形成
したものの鏡面光沢度を初期値とし、塗料作製後に20
℃60%RHの環境下で24h放置した後に塗膜形成し
たものの鏡面光沢度を放置後値とした。また、磁気テー
プの磁性層表面粗さRa、オーバーライト消去率、動摩
擦係数μk、耐スチル特性に関しては、裁断しカセット
ハーフに巻き込んだ直後の測定値を初期値とし、60℃
90%RH環境下で24h保存させた後の測定値を保存
後値とした。表面粗さRaは中心線表面粗さで定義され
る値であり、(株)小坂研究所の触針式表面粗さ計(S
URFCORDER SE−30C)を用いて測定し
た。測定条件は下記の通りである。 (1)触針先端半径:2μm (2)測定圧力:30mg (3)カットオフ:0.25mm
【0019】オーバーライト消去率の測定は図1に示す
測定装置(ドラムテスター)を用いて行った。図中、5
は磁気記録媒体1を走行させる回転ドラムであり、この
ドラム5はモータ・サーボコントローラ4により回転が
制御されている。磁気記録媒体1への記録、あるいはこ
れからの再生は回転ドラム5に設けられた磁気ヘッド7
により行われ、信号は録画・再生切り換えスイッチ8を
経由する。記録時には、記録用信号を信号発生器9にて
発生させて、これを録画用アンプ10にて増幅し、スイ
ッチ8を経由して磁気ヘッド7に供給する。逆に、再生
時には、磁気ヘッド7にて再生した信号を、スイッチ8
を介して再生用アンプ11に供給して増幅し、これをオ
シロスコープ12にて表示する。
【0020】オーバーライト消去率の測定及び評価は次
にように行った。テープヘッド相対速度10.2m/s
ec、ヘッドギャップ長0.1μm、トラック幅13μ
mのセンダストヘッドを用いた。オーバーライト消去率
は、予め記録しておいた長波長信号(3μm)の上に短
波長信号(0.5μm)を重ね書きした時の長波長信号
(3μm)の減衰量で表した。
【0021】動摩擦係数μkは、φ2のステンレスピン
に磁気テープを巻付角90゜で巻き付け、バックテンシ
ョン10g、速度16mm/secで走行させ、その時
のステンレスピンに対する入口側テンションT1と出口
側テンションT2との比T2/T1を下記式に挿入して
求めたものである。 μk=(2/π)ln(T2/T1) 耐スチル特性は、短波長信号(0.5μm)を記録し
て、同一トラックを連続再生した時、再生出力の変化の
初期再生出力レベルに対する減衰量を測定し、この減衰
量を下記に示す基準で評価することにより求めた。 ○:3dB以下、 △:3〜6dB、 ×:6dB以上
【0022】表1からわかるように、磁性層の厚みが
0.3μmよりも大きい0.4μmとした比較例1は、
耐スチル特性、動摩擦係数、表面粗さに関しては良好な
値であるが、オーバーライト消去率が−17dBと基準
値である−18dBを下回る値となっており、好ましく
ない。磁性層厚みが、0.3μmよりもかなり大きい比
較例2、3は、オーバーライト消去率のみならず表面粗
さもかなり劣化している。吸着水分値W2が下限値0.
2wt%未満である比較例4は、磁性塗料の光沢度の初
期値が低く、表面粗さ、オーバーライト消去率も劣って
いる。吸着水分値W1が下限値0.2wt%未満である
比較例5は、非磁性塗料の光沢度の初期値が低く、表面
粗さ、オーバーライト消去率も劣っている。吸着水分値
W2が上限値を超えている比較例6は、各塗料の光沢度
の初期値は高いが、磁性塗料の光沢度の放置後値はかな
り劣化している。磁性層表面粗さRa、オーバーライト
消去率は初期値から問題のある値である。|W1−W2
|が上限値1.0を超えた比較例7〜9は、各塗料の光
沢度は十分な値であり、他の特性の初期値に問題ないも
のもある。しかし、高温高湿保存後において、比較例7
は耐スチル特性、動摩擦係数がかなり劣化しており、比
較例8,9は磁性層表面粗さRa、オーバーライト消去
率、動摩擦係数、耐スチル特性の各特性がかなり劣化し
ている。また、比較例7では磁性層表面粗さRa、オー
バーライト消去率が初期値から問題のある値である。
【0023】これに対して、実施例1〜11は、光沢
度、表面粗さ、オーバーライト消去率、動摩擦係数、耐
スチル特性のいずれの初期値も十分に優れた値である。
さらに、実施例1〜11は、高温高湿保存後においても
表面粗さ、オーバーライト消去率、動摩擦係数、耐スチ
ル特性のいずれも初期値と同等の優れた値を維持してい
る。よって、各実施例は、電磁変換特性が良好であり、
かつ、良好な電磁変換特性及び走行耐久性を経時変化な
く長期にわたり保持できる保存性に優れた磁気記録媒体
となっており、高密度記録可能な磁気記録媒体として好
適である。また、各実施例は、塗料放置による塗膜の光
沢度の低下が非常に少なく、塗料の分散安定性にも優れ
ており、塗料管理の自由度が広がり、製造面においても
有利である。
【0024】
【発明の効果】以上の通り、本発明の磁気記録媒体は、
電磁変換特性が良好であり、かつ、良好な電磁変換特性
及び走行耐久性を経時変化なく長期にわたり保持できる
保存性に優れており、高密度記録可能な磁気記録媒体と
して好適である。さらに、本発明の磁気記録媒体は、無
機質粉末及び強磁性粉末の分散性が良好であるので、塗
料の分散安定性にも優れており、塗料管理の自由度が広
がり、製造面においても有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーバーライト消去率の測定装置を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 5 回転ドラム 7 磁気ヘッド 8 録画・再生切り換えスイッチ 9 信号発生器 10 録画用アンプ 11 再生用アンプ 12 オシロスコープ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に設
    けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けられた磁性
    層とを備えた磁気記録媒体において、 前記磁性層の平均厚みが0.3μm以下であり、前記非
    磁性層は吸着水分値W1が0.2〜4.0wt%である
    無機質粉末を含有しており、前記磁性層は吸着水分値W
    2が0.2〜3.0wt%である強磁性粉末を含有して
    おり、かつ、前記吸着水分値W1,W2が、 |W1−W2|≦1.0 の関係を有することを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10149764B2 (en) 2003-03-10 2018-12-11 Ilion Medical, Inc. Sacroiliac joint immobilization

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