JP2005004858A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な走行安定性、走行耐久性を確保しつつ、表面電気抵抗の低減化を図った磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体1の少なくとも一の主面上に、下層非記録層2と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された膜厚0.2μm以下の磁性層3とを有し、下層非記録層2には、シリカ粒子5の表面にカーボンブラック微粒子6が付着してなるカーボン被着粒子7が含有されて磁気記録媒体10を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】非磁性支持体1の少なくとも一の主面上に、下層非記録層2と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された膜厚0.2μm以下の磁性層3とを有し、下層非記録層2には、シリカ粒子5の表面にカーボンブラック微粒子6が付着してなるカーボン被着粒子7が含有されて磁気記録媒体10を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の各種磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、表面平滑性に優れ、良好な走行安定性、及び走行信頼性を有し、かつ表面電気抵抗の低減化することにより、特に高感度磁気ヘッドの静電破壊の防止した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル記録等により情報量が増大しており、さらなる高密度化、短波長記録化の方向に向かっている。これに伴い磁気記録装置に供される高密度磁気記録媒体においては、短波長出力及びS/N特性を向上させるために、磁性層の薄層化が進み、かつ記録層表面の平滑化が図られてきた。
【0003】
一方、磁気記録媒体においては、帯電による放電ノイズや塵芥の付着によるドロップアウト発生を低減化し、走行耐久性の向上を図るために、表面の電気抵抗値を低減させる必要がある。
このような問題に鑑みて、従来においては、磁気記録媒体の磁性層の下層として形成する非磁性下層にカーボンブラック微粒子を内添させたり、磁性層中に含有される強磁性粉末の表面をカーボンブラックによって被覆させたりして電気抵抗値を低減化させている(特許文献1、2参照。)。
【0004】
しかしながら、磁性層中にカーボンブラックを混在させる方法は、電磁変換特性の劣化を招来するという問題を有しており、特に今後の記録密度の向上に対応した磁気記録媒体を得るためには望ましい方法ではない。
【0005】
一方、磁気記録媒体のエッジダメージやヘッドコンタミネーションを改善するべく、一般的に磁性層の下層にはアルミナ等の硬質の粒子を内添させる方法が実用化されているが、カーボンブラック微粒子やアルミナといった各種添加剤の量が増えるに従って、それらの分散性を良好に保持することが困難となり、最終的に得られる磁気記録媒体の表面平滑性が著しく劣化してしまうという問題を生じてくる。
【0006】
また、高記録密度化、大容量化に対応するためには、磁気記録媒体を薄層化させることが必要となり、その際には非磁性支持体はもちろんのこと、下層非記録層の膜厚も低減化させることが必要となってくる。しかし下層非記録層用の分散液にカーボンブラック微粒子を添加した場合には、添加量が増えるに従って分散液の粘度が増加し、薄層塗布が困難になる。
【0007】
さらには、磁気記録媒体の高記録密度化に対応すべく、高感度な磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド、GMRヘッド等)を適用する磁気記録システムが考案、実用化され始めているが、このような高感度型の磁気ヘッドの感磁素子は静電気に敏感であることから、記録層側の表面電気抵抗値を低減化させることも要求されてきている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−163739号公報
【特許文献2】
特開2002−260214号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、上述した各問題点に鑑み、優れた表面平滑性を有し、かつ表面の電気抵抗値の低減化を図り、良好な電磁変換特性を実現可能な磁気記録媒体の提供することとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有し、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が内添されている構成の磁気記録媒体を提供する。
【0011】
第2の発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された膜厚0.2μm以下の磁性層とを有し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて信号の記録及び/又は再生を行うものであって、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されてなり、磁性層形成面側の表面電気抵抗が、1×106〜1×108Ω/cm2であるものとした磁気記録媒体を提供する。
【0012】
第1の発明によれば、磁性層側の電気抵抗値を低く維持しつつ、優れた表面平滑性を有し、良好な走行特性、及びS/N特性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0013】
第2の発明によれば、特に磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような高感度の磁気ヘッドに適用する場合においても、表面電気抵抗値を数値的に規定したことにより、走行安定性、走行信頼性に優れ、かつ高いS/N特性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の一例の磁気記録媒体は、図1の概略構成図に示すように非磁性支持体1の一主面上に、下層非記録層2と磁性層3とが形成されてなり、他の主面にバックコート層4が形成された構成を有しているものとする。
以下、これら各層について説明する。
【0015】
非磁性支持体1は、従来公知の磁気記録媒体に使用される材料をいずれも使用でき、例示すればポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等のの軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
上記非磁性支持体の形態としては、フィルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれでも良い。
【0016】
次に、下層非記録層2について、図2の拡大概略断面図を示して説明する。
下層非記録層2は、少なくとも結合剤樹脂、無機粒子8、シリカ粒子5の表面にカーボンブラック微粒子6が付着してなるカーボン被着粒子7、及び各種任意の添加剤が含有された構成を有している。なお下層非記録層2の膜厚は、表面電気抵抗値を低減させる効果を発揮しつつ、磁気記録媒体全体の薄層化を図り、かつ磁気記録媒体の応力による変形を抑制するために、0.2〜3μmとすることが好適である。
【0017】
下層非磁性層2に含有される無機粒子8としては、従来磁気記録媒体用に適用されている各種無機微粒子粉末をいずれも使用可能であり、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、α−酸化鉄、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機粒子8の形状は、針状、球状、板状のいずれでもよい。
【0018】
カーボン被着粒子7を構成する核部分は、シリカ粒子5であるものとする。シリカ粒子は粒度分布が極めて良好であるため、下層非記録層2に内添されている無機粒子間に均一に入り込み、下層非記録層2の表面性が向上し、この上層に形成する磁性層3の表面平滑性を向上させることができる。なおシリカ粒子5は、径が20〜30nm程度の球形状のものが好適である。
【0019】
また、カーボン被着粒子7を構成するカーボンブラック微粒子6は、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等を適用できる。これらのカーボンは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。また、カーボンは分散剤等により表面処理を施したり、樹脂でグラファイト化を施したり、表面の一部をグラファイト化したものを用いてもよい。
【0020】
上記カーボンブラック微粒子は、核部分であるシリカ粒子5に対してメカノケミカルに被覆されている。
なお、メカノケミカルとは、ある臨界以上の応力が固体に加わるとき、その作用点付近が局所的に高エネルギー状態となり、原子・分子の配列に乱れが生じ、物性が変化する現象であり、この現象を用いてカーボンを処理し、シリカ粒子7にカーボンを被覆させる。
具体的には、カーボンのストラクチャーをメカノケミカルに解砕してグラファイトの結晶子とし、得られたグラファイトの結晶子をシリカ粒子5に、例えば、高速気流中衝撃装置(奈良機械製作所製商品名:ハイブリタイザー)を適用して被服処理を施すことによってカーボン被着粒子7が得られる。
【0021】
下層非磁性層2中におけるカーボン被着粒子7の含有量は、無機粒子8を100重量部としたとき、5〜300重量部とすることが好適である。これにより、良好な表面平滑性を形成しつつ、磁性層形成面側の表面電気抵抗値の低減化が図られ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような高感度磁気ヘッドを適用した場合においても、優れたS/N特性が得られる。
【0022】
結合剤としては、従来公知のバインダー樹脂がいずれも適用可能であり、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
特に、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらは、イソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしても良い。
【0023】
下層非記録層2を形成する塗料調整用の溶剤としては、従来、塗料調整用溶剤として用いられているものをいずれも適用可能であり、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0024】
次に、磁性層3について説明する。
磁性層3は、少なくとも強磁性粉末と結合剤樹脂を含有した構成を有している。
強磁性粉末としては、従来塗布型の磁気記録媒体用に適用されている強磁性粒子をいずれも適用可能であり、例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性合金粉末、窒化鉄等が挙げられる。
【0025】
磁性層3形成用の結合剤は、塗布型の磁気記録媒体に適用されるバインダーであれば、いずれも適用することができるものであり、上述した下層非記録層形成用の結合剤をいずれも適用できる。
【0026】
また磁性塗料を調整するための溶剤としては、従来、磁性塗料調整用の溶剤として用いられているものをいずれも適用可能であり、上述した下層非記録層形成用の溶剤をいずれも適用できる。
【0027】
バックコート層4は、必要に応じて形成するものとし、結合剤、無機粒子、潤滑剤、及び帯電防止剤等の各種添加剤により形成されている。
なお、バックコート層4に代えて、上述した下層非記録層2及び磁性層3を積層形成することにより、両主面に記録層を有する大容量型の磁気記録媒体を作製することもできる。
【0028】
次に、磁気記録媒体10の作製方法について説明する。
先ず、所定の非磁性支持体1を用意する。次に、下層非記録層2用の塗料、及び磁性層3用の塗料を調整する。
これらの塗料は、上述した各材料を所定の溶剤とともに混練分散して調製する。混練分散の方法は、公知の方法をいずれも適用でき、特に制限されるものではないが、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
【0029】
下層非記録層2及び磁性層3は、それぞれの塗料を、例えばグラビアコート、押出コート、エアードクターコート、リバースロールコート等の従来の塗布方法により塗布することによって積層形成される。
【0030】
また、下層非記録層2上に磁性層3を形成する際には、塗料を順次塗布して乾燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用いてもよく、湿潤状態にある下層非記録層2を形成するための塗料の上に磁性層3を形成するための塗料を重ねて塗布する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いてもよい。
【0031】
バックコート層4は、結合剤、無機粒子、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤、有機溶剤を混合したバックコート層用の塗料を塗布することによって形成される。
【0032】
なお、非磁性支持体1、磁性層3に混入される磁性粉末、結合剤、下層非記録層2に混入される無機粒子8、結合剤、及び必要に応じて使用される分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等、あるいは塗布型の磁気記録媒体において磁性分散液および非記録層用分散液を調整するために使用される溶剤は従来公知のものがいずれも適用可能であり、何ら限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〜14〕、〔比較例1〜4〕
下記においては、長尺形状の非磁性支持体上に磁気記録層を有する構成の、いわゆるテープ状の磁気記録媒体のサンプルを作製したが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0034】
以下の組成にしたがって磁性層を形成するための磁性層形成用塗料を調整した。
【0035】
上記材料をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し磁性層用分散液とした。その後、 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を4重量部添加し、攪拌して磁性層形成用の塗料を調整した。
【0036】
次に、下層非記録層形成用の塗料を調整した。
なお、この下層非記録層形成用の塗料においては、下記〔表1〕に示す無機粒子A〜Cより所定の無機粉末を選定、あるいは組み合わせて用いるものとし、さらに下記〔表2〕に示す結合剤A、Bから所定の結合剤を選定して、下記〔表3〕に示す下層非記録層形成用の分散液1〜12を調整した。
【0037】
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
上記材料を混練処理し、さらに溶剤で希釈した後、サンドミル分散し、下層非記録層形成用の分散液とした。その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を3重量部添加し、下層非記録層形成用の塗料を調整した。
【0042】
非磁性支持体1として、膜厚5.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この上に、先ず下層非記録層形成用の塗料を、膜厚0.1〜1.0μmに塗布し、続いて上記磁性層形成用の塗料を塗布した。
その後、磁場配向処理を行い、乾燥させて巻取りした。さらにカレンダー処理を施し、硬化処理してから下記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加したバックコート層用塗料を、磁性層とは反対側のフィルム面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層4を形成した。
【0043】
【0044】
上述のようにして作製された広幅の磁気テープを、1/2インチ幅にスリットし、及び1/2インチワンリールカセットに500m組み込んだものをサンプル磁気テープとした。
【0045】
作製されたサンプル磁気記録テープについて、それぞれ磁性層形成面側の電気抵抗値、3次元表面粗さ、走行特性、及び電磁変換特性についての測定評価を行った。各測定方法を下記に示す。
【0046】
〔電気抵抗値〕
電極間距離25.4mmの一対の平行電極上に、磁気テープの磁性層側を接触させ、磁気テープの両端に80gfの荷重を加えた。この状態で電極間にDC100Vの電圧を印加し、超絶縁抵抗計により抵抗を測定した。得られた抵抗値を電極間の磁気テープの面積で除した値を電気抵抗値とした。
【0047】
〔3次元表面粗さ〕
光干渉式の3次元表面粗さ計(菱化システム社製:SXM550N−AS50)を用い、中心平均粗さSRaを測定した。
【0048】
〔走行特性〕
DLTIVドライブ(Quantum社製)を使用し、全長を2500パス走行させ、その後の走行反転部2箇所と、中央部のエッジを、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。塗膜に傷が確認されなかったサンプルを良好(○)、塗膜の亀裂が発生したサンプルを不良(×)として評価した。
【0049】
〔電磁変換特性〕
各サンプル磁気テープに対し、記録用磁気ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm)を取り付けた固定電特機を用いて、波長0.3μmの信号を記録後、再生用ヘッドに積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った。
また、後述するように、サンプル磁気テープの中から所定の磁気テープを選定して、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った。
なお、各単一周波数の出力及び再生された信号から±2MHzのところをノイズレベルとした際のC/N特性を測定した。
【0050】
下記表4においては、再生用ヘッドとして積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った場合の測定結果を示す。この場合、上記表3中に示した下層非記録層形成用の分散液2を使用して作製した比較例3の磁気テープを基準とし、このC/N値を0.0dBとしたときの相対値を示した。
【0051】
【表4】
【0052】
表4に示すように、下層非磁性層2にカーボン被着粒子を含有させた構成を有する実施例1〜14の磁気テープにおいては、いずれも従来構成の磁気テープ(比較例3)に比較して、表面平滑性の向上が図られ、かつ良好なC/N特性及びエッジダメージの評価が得られた。
【0053】
また、磁性層側の表面電気抵抗値が1×108Ω/cm2よりも大きい実施例7、実施例14の磁気テープ、及び1×106Ω/cm2未満の実施例8の磁気テープにおいても、再生用ヘッドとして積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を適用した場合においては、実用上充分に良好なC/N特性及びエッジダメージの評価が得られた。
【0054】
比較例1の磁気テープにおいては、下層非磁性層2中にカーボン被着粒子を含有させた構成を有しているため、表面の平滑性は良好であったが、磁性層を厚く形成したため、ノイズが増大し、C/N特性が劣化した。
【0055】
比較例2〜4の磁気テープにおいては、下層非磁性層2中に、カーボン被着粒子を含有させなかったので、下層非磁性層2における分散性が悪くなり、良好な表面平滑性が得られず、ノイズが増大し、C/N特性が劣化した。
【0056】
次に、表面電気抵抗値に着目して、上記表4中の実施例14、実施例2、比較例3、実施例9、実施例8のサンプル磁気テープを選定し、それぞれサンプル1〜5とし、これらに対し、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いて信号の再生を行った。比較例3(サンプル3)の磁気テープを基準とし、このC/N値を0.0dBとしたときの相対値を下記表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示すように、磁性層形成面側の電気抵抗値が、1×106〜1×108Ω/cm2であるものとしたサンプル2(表4中の実施例2)、サンプル4(表4中の実施例9)の磁気テープにおいては、再生用ヘッドとして高感度のMRヘッドを適用した場合にも、従来構成のサンプル3の磁気テープ(表4中の比較例3)に比較して、充分に良好なC/N特性が得られた。
【0059】
一方、磁性層形成面側の電気抵抗値が、1×108Ω/cm2よりも大きい実施例14(サンプル1)の磁気テープ、及び1×106Ω/cm2未満の実施例8(サンプル5)の磁気テープにおいては、再生用ヘッドとしてMRヘッドを適用した場合においては、磁気ヘッドの静電破壊を生じてしまい、C/N特性を測定することができなかった。
【0060】
表4及び表5の結果から、特に再生用ヘッドとして磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用する場合においては、下層非磁性層2の膜厚を0.2μm以上とし、下層非磁性層中にカーボン被着粒子7を含有させて、磁性層形成面側の表面電気抵抗を1×106〜1×108Ω/cm2とすることが望ましいことがわかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、少なくとも微細粉末と結合剤とを含有する下層非記録層を有し、下層非記録層上に、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有する磁気記録媒体において、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されているものとしたことにより、低い電気抵抗値を維持しつつ、優れた表面平滑性を有し、良好なC/N特性を有した磁気記録媒体が得られた。
【0062】
特に、磁性層形成面側の電気抵抗値を、1×106〜1×108Ω/cm2となるようにしたことにより、高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合においても、磁気ヘッドの静電破壊を生じることなく、優れた再生特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の拡大概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……下層非記録層、3……磁性層、4……バックコート層、5……シリカ粒子、6……カーボンブラック、7……カーボン被着粒子、8……無機粒子、10……磁気記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の各種磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、表面平滑性に優れ、良好な走行安定性、及び走行信頼性を有し、かつ表面電気抵抗の低減化することにより、特に高感度磁気ヘッドの静電破壊の防止した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル記録等により情報量が増大しており、さらなる高密度化、短波長記録化の方向に向かっている。これに伴い磁気記録装置に供される高密度磁気記録媒体においては、短波長出力及びS/N特性を向上させるために、磁性層の薄層化が進み、かつ記録層表面の平滑化が図られてきた。
【0003】
一方、磁気記録媒体においては、帯電による放電ノイズや塵芥の付着によるドロップアウト発生を低減化し、走行耐久性の向上を図るために、表面の電気抵抗値を低減させる必要がある。
このような問題に鑑みて、従来においては、磁気記録媒体の磁性層の下層として形成する非磁性下層にカーボンブラック微粒子を内添させたり、磁性層中に含有される強磁性粉末の表面をカーボンブラックによって被覆させたりして電気抵抗値を低減化させている(特許文献1、2参照。)。
【0004】
しかしながら、磁性層中にカーボンブラックを混在させる方法は、電磁変換特性の劣化を招来するという問題を有しており、特に今後の記録密度の向上に対応した磁気記録媒体を得るためには望ましい方法ではない。
【0005】
一方、磁気記録媒体のエッジダメージやヘッドコンタミネーションを改善するべく、一般的に磁性層の下層にはアルミナ等の硬質の粒子を内添させる方法が実用化されているが、カーボンブラック微粒子やアルミナといった各種添加剤の量が増えるに従って、それらの分散性を良好に保持することが困難となり、最終的に得られる磁気記録媒体の表面平滑性が著しく劣化してしまうという問題を生じてくる。
【0006】
また、高記録密度化、大容量化に対応するためには、磁気記録媒体を薄層化させることが必要となり、その際には非磁性支持体はもちろんのこと、下層非記録層の膜厚も低減化させることが必要となってくる。しかし下層非記録層用の分散液にカーボンブラック微粒子を添加した場合には、添加量が増えるに従って分散液の粘度が増加し、薄層塗布が困難になる。
【0007】
さらには、磁気記録媒体の高記録密度化に対応すべく、高感度な磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド、GMRヘッド等)を適用する磁気記録システムが考案、実用化され始めているが、このような高感度型の磁気ヘッドの感磁素子は静電気に敏感であることから、記録層側の表面電気抵抗値を低減化させることも要求されてきている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−163739号公報
【特許文献2】
特開2002−260214号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、上述した各問題点に鑑み、優れた表面平滑性を有し、かつ表面の電気抵抗値の低減化を図り、良好な電磁変換特性を実現可能な磁気記録媒体の提供することとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有し、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が内添されている構成の磁気記録媒体を提供する。
【0011】
第2の発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された膜厚0.2μm以下の磁性層とを有し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて信号の記録及び/又は再生を行うものであって、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されてなり、磁性層形成面側の表面電気抵抗が、1×106〜1×108Ω/cm2であるものとした磁気記録媒体を提供する。
【0012】
第1の発明によれば、磁性層側の電気抵抗値を低く維持しつつ、優れた表面平滑性を有し、良好な走行特性、及びS/N特性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0013】
第2の発明によれば、特に磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような高感度の磁気ヘッドに適用する場合においても、表面電気抵抗値を数値的に規定したことにより、走行安定性、走行信頼性に優れ、かつ高いS/N特性を有する磁気記録媒体が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の一例の磁気記録媒体は、図1の概略構成図に示すように非磁性支持体1の一主面上に、下層非記録層2と磁性層3とが形成されてなり、他の主面にバックコート層4が形成された構成を有しているものとする。
以下、これら各層について説明する。
【0015】
非磁性支持体1は、従来公知の磁気記録媒体に使用される材料をいずれも使用でき、例示すればポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等のの軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
上記非磁性支持体の形態としては、フィルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれでも良い。
【0016】
次に、下層非記録層2について、図2の拡大概略断面図を示して説明する。
下層非記録層2は、少なくとも結合剤樹脂、無機粒子8、シリカ粒子5の表面にカーボンブラック微粒子6が付着してなるカーボン被着粒子7、及び各種任意の添加剤が含有された構成を有している。なお下層非記録層2の膜厚は、表面電気抵抗値を低減させる効果を発揮しつつ、磁気記録媒体全体の薄層化を図り、かつ磁気記録媒体の応力による変形を抑制するために、0.2〜3μmとすることが好適である。
【0017】
下層非磁性層2に含有される無機粒子8としては、従来磁気記録媒体用に適用されている各種無機微粒子粉末をいずれも使用可能であり、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、α−酸化鉄、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機粒子8の形状は、針状、球状、板状のいずれでもよい。
【0018】
カーボン被着粒子7を構成する核部分は、シリカ粒子5であるものとする。シリカ粒子は粒度分布が極めて良好であるため、下層非記録層2に内添されている無機粒子間に均一に入り込み、下層非記録層2の表面性が向上し、この上層に形成する磁性層3の表面平滑性を向上させることができる。なおシリカ粒子5は、径が20〜30nm程度の球形状のものが好適である。
【0019】
また、カーボン被着粒子7を構成するカーボンブラック微粒子6は、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等を適用できる。これらのカーボンは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。また、カーボンは分散剤等により表面処理を施したり、樹脂でグラファイト化を施したり、表面の一部をグラファイト化したものを用いてもよい。
【0020】
上記カーボンブラック微粒子は、核部分であるシリカ粒子5に対してメカノケミカルに被覆されている。
なお、メカノケミカルとは、ある臨界以上の応力が固体に加わるとき、その作用点付近が局所的に高エネルギー状態となり、原子・分子の配列に乱れが生じ、物性が変化する現象であり、この現象を用いてカーボンを処理し、シリカ粒子7にカーボンを被覆させる。
具体的には、カーボンのストラクチャーをメカノケミカルに解砕してグラファイトの結晶子とし、得られたグラファイトの結晶子をシリカ粒子5に、例えば、高速気流中衝撃装置(奈良機械製作所製商品名:ハイブリタイザー)を適用して被服処理を施すことによってカーボン被着粒子7が得られる。
【0021】
下層非磁性層2中におけるカーボン被着粒子7の含有量は、無機粒子8を100重量部としたとき、5〜300重量部とすることが好適である。これにより、良好な表面平滑性を形成しつつ、磁性層形成面側の表面電気抵抗値の低減化が図られ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのような高感度磁気ヘッドを適用した場合においても、優れたS/N特性が得られる。
【0022】
結合剤としては、従来公知のバインダー樹脂がいずれも適用可能であり、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒト樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。
特に、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等と剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらは、イソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしても良い。
【0023】
下層非記録層2を形成する塗料調整用の溶剤としては、従来、塗料調整用溶剤として用いられているものをいずれも適用可能であり、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0024】
次に、磁性層3について説明する。
磁性層3は、少なくとも強磁性粉末と結合剤樹脂を含有した構成を有している。
強磁性粉末としては、従来塗布型の磁気記録媒体用に適用されている強磁性粒子をいずれも適用可能であり、例えば、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性合金粉末、窒化鉄等が挙げられる。
【0025】
磁性層3形成用の結合剤は、塗布型の磁気記録媒体に適用されるバインダーであれば、いずれも適用することができるものであり、上述した下層非記録層形成用の結合剤をいずれも適用できる。
【0026】
また磁性塗料を調整するための溶剤としては、従来、磁性塗料調整用の溶剤として用いられているものをいずれも適用可能であり、上述した下層非記録層形成用の溶剤をいずれも適用できる。
【0027】
バックコート層4は、必要に応じて形成するものとし、結合剤、無機粒子、潤滑剤、及び帯電防止剤等の各種添加剤により形成されている。
なお、バックコート層4に代えて、上述した下層非記録層2及び磁性層3を積層形成することにより、両主面に記録層を有する大容量型の磁気記録媒体を作製することもできる。
【0028】
次に、磁気記録媒体10の作製方法について説明する。
先ず、所定の非磁性支持体1を用意する。次に、下層非記録層2用の塗料、及び磁性層3用の塗料を調整する。
これらの塗料は、上述した各材料を所定の溶剤とともに混練分散して調製する。混練分散の方法は、公知の方法をいずれも適用でき、特に制限されるものではないが、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
【0029】
下層非記録層2及び磁性層3は、それぞれの塗料を、例えばグラビアコート、押出コート、エアードクターコート、リバースロールコート等の従来の塗布方法により塗布することによって積層形成される。
【0030】
また、下層非記録層2上に磁性層3を形成する際には、塗料を順次塗布して乾燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用いてもよく、湿潤状態にある下層非記録層2を形成するための塗料の上に磁性層3を形成するための塗料を重ねて塗布する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いてもよい。
【0031】
バックコート層4は、結合剤、無機粒子、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤、有機溶剤を混合したバックコート層用の塗料を塗布することによって形成される。
【0032】
なお、非磁性支持体1、磁性層3に混入される磁性粉末、結合剤、下層非記録層2に混入される無機粒子8、結合剤、及び必要に応じて使用される分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等、あるいは塗布型の磁気記録媒体において磁性分散液および非記録層用分散液を調整するために使用される溶剤は従来公知のものがいずれも適用可能であり、何ら限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〜14〕、〔比較例1〜4〕
下記においては、長尺形状の非磁性支持体上に磁気記録層を有する構成の、いわゆるテープ状の磁気記録媒体のサンプルを作製したが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0034】
以下の組成にしたがって磁性層を形成するための磁性層形成用塗料を調整した。
【0035】
上記材料をニーダーで混練処理し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し磁性層用分散液とした。その後、 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を4重量部添加し、攪拌して磁性層形成用の塗料を調整した。
【0036】
次に、下層非記録層形成用の塗料を調整した。
なお、この下層非記録層形成用の塗料においては、下記〔表1〕に示す無機粒子A〜Cより所定の無機粉末を選定、あるいは組み合わせて用いるものとし、さらに下記〔表2〕に示す結合剤A、Bから所定の結合剤を選定して、下記〔表3〕に示す下層非記録層形成用の分散液1〜12を調整した。
【0037】
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
上記材料を混練処理し、さらに溶剤で希釈した後、サンドミル分散し、下層非記録層形成用の分散液とした。その後、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)を3重量部添加し、下層非記録層形成用の塗料を調整した。
【0042】
非磁性支持体1として、膜厚5.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この上に、先ず下層非記録層形成用の塗料を、膜厚0.1〜1.0μmに塗布し、続いて上記磁性層形成用の塗料を塗布した。
その後、磁場配向処理を行い、乾燥させて巻取りした。さらにカレンダー処理を施し、硬化処理してから下記組成のバックコート層用分散液へポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)10重量部を添加したバックコート層用塗料を、磁性層とは反対側のフィルム面に塗布して膜厚0.6μmのバックコート層4を形成した。
【0043】
【0044】
上述のようにして作製された広幅の磁気テープを、1/2インチ幅にスリットし、及び1/2インチワンリールカセットに500m組み込んだものをサンプル磁気テープとした。
【0045】
作製されたサンプル磁気記録テープについて、それぞれ磁性層形成面側の電気抵抗値、3次元表面粗さ、走行特性、及び電磁変換特性についての測定評価を行った。各測定方法を下記に示す。
【0046】
〔電気抵抗値〕
電極間距離25.4mmの一対の平行電極上に、磁気テープの磁性層側を接触させ、磁気テープの両端に80gfの荷重を加えた。この状態で電極間にDC100Vの電圧を印加し、超絶縁抵抗計により抵抗を測定した。得られた抵抗値を電極間の磁気テープの面積で除した値を電気抵抗値とした。
【0047】
〔3次元表面粗さ〕
光干渉式の3次元表面粗さ計(菱化システム社製:SXM550N−AS50)を用い、中心平均粗さSRaを測定した。
【0048】
〔走行特性〕
DLTIVドライブ(Quantum社製)を使用し、全長を2500パス走行させ、その後の走行反転部2箇所と、中央部のエッジを、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。塗膜に傷が確認されなかったサンプルを良好(○)、塗膜の亀裂が発生したサンプルを不良(×)として評価した。
【0049】
〔電磁変換特性〕
各サンプル磁気テープに対し、記録用磁気ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm)を取り付けた固定電特機を用いて、波長0.3μmの信号を記録後、再生用ヘッドに積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った。
また、後述するように、サンプル磁気テープの中から所定の磁気テープを選定して、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った。
なお、各単一周波数の出力及び再生された信号から±2MHzのところをノイズレベルとした際のC/N特性を測定した。
【0050】
下記表4においては、再生用ヘッドとして積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を用いて信号再生を行った場合の測定結果を示す。この場合、上記表3中に示した下層非記録層形成用の分散液2を使用して作製した比較例3の磁気テープを基準とし、このC/N値を0.0dBとしたときの相対値を示した。
【0051】
【表4】
【0052】
表4に示すように、下層非磁性層2にカーボン被着粒子を含有させた構成を有する実施例1〜14の磁気テープにおいては、いずれも従来構成の磁気テープ(比較例3)に比較して、表面平滑性の向上が図られ、かつ良好なC/N特性及びエッジダメージの評価が得られた。
【0053】
また、磁性層側の表面電気抵抗値が1×108Ω/cm2よりも大きい実施例7、実施例14の磁気テープ、及び1×106Ω/cm2未満の実施例8の磁気テープにおいても、再生用ヘッドとして積層アモルファスヘッド(ギャップ0.2μm)を適用した場合においては、実用上充分に良好なC/N特性及びエッジダメージの評価が得られた。
【0054】
比較例1の磁気テープにおいては、下層非磁性層2中にカーボン被着粒子を含有させた構成を有しているため、表面の平滑性は良好であったが、磁性層を厚く形成したため、ノイズが増大し、C/N特性が劣化した。
【0055】
比較例2〜4の磁気テープにおいては、下層非磁性層2中に、カーボン被着粒子を含有させなかったので、下層非磁性層2における分散性が悪くなり、良好な表面平滑性が得られず、ノイズが増大し、C/N特性が劣化した。
【0056】
次に、表面電気抵抗値に着目して、上記表4中の実施例14、実施例2、比較例3、実施例9、実施例8のサンプル磁気テープを選定し、それぞれサンプル1〜5とし、これらに対し、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いて信号の再生を行った。比較例3(サンプル3)の磁気テープを基準とし、このC/N値を0.0dBとしたときの相対値を下記表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示すように、磁性層形成面側の電気抵抗値が、1×106〜1×108Ω/cm2であるものとしたサンプル2(表4中の実施例2)、サンプル4(表4中の実施例9)の磁気テープにおいては、再生用ヘッドとして高感度のMRヘッドを適用した場合にも、従来構成のサンプル3の磁気テープ(表4中の比較例3)に比較して、充分に良好なC/N特性が得られた。
【0059】
一方、磁性層形成面側の電気抵抗値が、1×108Ω/cm2よりも大きい実施例14(サンプル1)の磁気テープ、及び1×106Ω/cm2未満の実施例8(サンプル5)の磁気テープにおいては、再生用ヘッドとしてMRヘッドを適用した場合においては、磁気ヘッドの静電破壊を生じてしまい、C/N特性を測定することができなかった。
【0060】
表4及び表5の結果から、特に再生用ヘッドとして磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用する場合においては、下層非磁性層2の膜厚を0.2μm以上とし、下層非磁性層中にカーボン被着粒子7を含有させて、磁性層形成面側の表面電気抵抗を1×106〜1×108Ω/cm2とすることが望ましいことがわかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明においては、非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、少なくとも微細粉末と結合剤とを含有する下層非記録層を有し、下層非記録層上に、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有する磁気記録媒体において、下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されているものとしたことにより、低い電気抵抗値を維持しつつ、優れた表面平滑性を有し、良好なC/N特性を有した磁気記録媒体が得られた。
【0062】
特に、磁性層形成面側の電気抵抗値を、1×106〜1×108Ω/cm2となるようにしたことにより、高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合においても、磁気ヘッドの静電破壊を生じることなく、優れた再生特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の拡大概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……下層非記録層、3……磁性層、4……バックコート層、5……シリカ粒子、6……カーボンブラック、7……カーボン被着粒子、8……無機粒子、10……磁気記録媒体
Claims (5)
- 非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有する磁気記録媒体であって、
上記下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記磁性層は、膜厚0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記下層非記録層の膜厚が、0.2μm〜3μmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の少なくとも一の主面上に、下層非記録層と、磁性粉末を含有する磁性塗料を塗布することによって形成された磁性層とを有し、
磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて、信号の記録及び/又は再生を行う磁気記録媒体であって、
上記磁性層は、膜厚0.2μm以下であり、
上記下層非記録層には、シリカ粒子の表面にカーボンブラック微粒子が付着してなるカーボン被着粒子が含有されてなり、
上記磁性層形成面側の表面電気抵抗が、1×106〜1×108Ω/cm2であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記下層非記録層は、少なくとも無機粒子と、上記カーボン被着粒子と、結合剤とにより形成されてなり、
上記カーボン被着粒子の含有量が、上記無機粒子に対して、5〜300重量部であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
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