JP2002319121A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002319121A
JP2002319121A JP2001123172A JP2001123172A JP2002319121A JP 2002319121 A JP2002319121 A JP 2002319121A JP 2001123172 A JP2001123172 A JP 2001123172A JP 2001123172 A JP2001123172 A JP 2001123172A JP 2002319121 A JP2002319121 A JP 2002319121A
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coat layer
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JP2001123172A
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English (en)
Inventor
Noboru Sekiguchi
昇 関口
Katsunori Maejima
克紀 前嶋
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体の走行耐久性および電磁変換特
性の向上を図る。 【解決手段】 非磁性支持体1とバックコート層4との
間に膜厚0.03μm〜0.5μmの中間材料層3を形
成し、バックコート層4表面の粗度SRaを11nm以
下とし、中間材料層3形成用の第1の結合剤と、バック
コート層形成用の第2の結合剤のそれぞれのガラス転移
温度の関係を特定し、中間材料層3の電気抵抗率ΩL
〔Ω/sq〕と、バックコート層4の電気抵抗率ΩB
〔Ω/sq〕との関係において、ΩL<ΩBの関係が成
り立つこととする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオ用テープ、
オーディオ用テープ等の各種磁気記録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、各種コン
ピュータ等に適用する記録メディアとして用いられてい
る磁気記録媒体であって、磁性層が磁性粉末と結合剤と
を含有する磁性塗料を塗布することによって形成される
いわゆる塗布型の磁気記録媒体においては、近年、デジ
タル記録等により情報量が増大化しているため、さらな
る高密度記録化への要請から、短波長記録化、狭トラッ
クピッチ化が進められている。
【0003】このような高密度記録の磁気記録媒体にお
いては、記録および再生を行う際の記録再生装置内にお
ける走行安定性が、電磁変換特性に影響を与える因子で
あることが判明されており、高密度記録化を図る上にお
いては、走行安定性の向上を図ることが重要である。
【0004】このため磁気記録媒体の磁性層形成面側と
は反対側に、結合剤とカーボンブラックを主体とするバ
ックコート層を設け、磁気記録媒体と記録再生装置の媒
体走行面との間の実走行摩擦の低減化を図り、走行安定
性の向上を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、累積的
に長時間磁気記録媒体を走行させると、バックコート層
自体が劣化していき、バックコート層形成材料が徐々に
剥落していくことにより走行安定性が悪化したり、さら
には、剥落したバックコート層形成材料が磁性層表面と
接触することによって磁性層側に付着し、ドロップアウ
トの原因となったり、記録再生特性の劣化を招来したり
していた。
【0006】このようなことから、バックコート層自体
の耐久性の向上を図ることが重要であるため、バックコ
ート層を剛性の高い材料を用いて形成し、磁気記録媒体
の走行安定性の向上を図ったが、一方においては、バッ
クコート層の剛性を高くすると、非磁性支持体の剛性と
に差が生じることから、これらの界面の接着性が悪化し
てしまい、やはりバックコート層形成材料の剥落を生
じ、ドロップアウトの原因となっていた。
【0007】また、バックコート層用の結合剤としてニ
トロセルロース誘導体を用いると、剛性が極めて高く、
耐久性に優れたバックコート層が形成できる。しかし一
方においては、ニトロセルロース誘導体は、高密度記録
の磁気記録媒体用の非磁性支持体として一般的に適用さ
れている芳香族ポリアミドとの接着強度が低く、磁気記
録媒体としての信頼性が低下してしまうという問題を有
している。
【0008】さらに、バックコート層形成面が充分に平
滑でない場合には、バックコート層側の表面性が、磁気
記録媒体を積層することによって磁性層表面に転写され
てしまうことがあり、ノイズの増加を招来して磁気記録
媒体の電磁変換特性を劣化させるという問題を有してい
る。このようなことから、高密度記録の磁気記録媒体を
作製する場合には、磁性層表面のみならず、バックコー
ト層も充分に平滑に形成することが必要である。
【0009】また一般的に、バックコート層形成用塗料
中には、カーボンブラックが含有されているが、カーボ
ンブラックは摩擦の低減化を図り、磁気記録媒体の電気
抵抗値を低下させて帯電による摩擦の上昇や粉塵の吸着
を低減化させる機能を有している。しかしながら、従来
の磁気記録媒体においては、未だバックコート層の電気
抵抗値の低減化が充分に図られているとは言えず、今後
さらに高密度記録の磁気記録媒体を作製する場合におい
ては、さらに表面への粉塵の吸着の回避を図ることが必
要となってきている。
【0010】一方においてバックコート層表面の電気抵
抗値の低減化を図るために、カーボンブラックの含有量
を増加させると、カーボンブラックが表面に形成するテ
クスチャーが増加したり、凹部と凸部の高さの差が大き
くなったりして、表面性の劣化し、磁気記録媒体を積層
する際の磁性層への形状転写によって、結果的に電磁変
換特性の劣化を招来するという問題を有している。この
ため、特に高密度記録の磁気記録媒体においては、バッ
クコート層の電気抵抗値の低減化と、バックコート層側
の最表面側の表面性の改善性という相反する機能を両立
させるための検討が必要になってきている。
【0011】そこで、本発明においては、上述した問題
点に鑑みて、極めて薄層のバックコート層を形成する際
にも、非記録面の表面平滑性を充分に確保し、磁性層表
面への形状転写によるノイズの増大、出力低下による電
磁変換特性の低下を回避した高密度記録の磁気記録媒体
を提供する。
【0012】また、本発明においては、バックコート層
と非磁性支持体との接着強度の向上を図り、長時間走行
後においても、バックコート層の剥離の発生を回避し、
走行信頼性の向上を図った磁気記録媒体を提供する。
【0013】また、本発明においては、バックコート層
表面の平滑性を確保しつつ、電気抵抗値を低減させ、粉
塵の吸着を低減化した磁気記録媒体を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明においては、非磁
性支持体の一主面上に、磁性塗料を塗布することにより
形成された磁性層を有する磁気記録媒体において、非磁
性支持体の他の一主面上に、膜厚0.03〔μm〕以上
0.5〔μm〕以下の中間材料層を、少なくとも一層形
成し、この中間材料層上に、少なくともカーボンブラッ
クを含有する塗料を塗布することにより形成されたバッ
クコート層を形成するものとし、バックコート層形成面
側の最表面粗度SRaを11nm以下とする。
【0015】また、中間材料層を塗料を塗布することに
よって形成する場合には、中間材料層用の塗料の結合剤
のガラス転移温度TgLと、バックコート層形成用塗料
の結合剤のガラス転移温度TgBとの間に、TgL<T
gBの関係が成立するものとする。
【0016】また、中間材料層の電気抵抗率ΩLとバッ
クコート層の電気抵抗率ΩBとの間に、ΩL<ΩBの関
係が成立するものとする。
【0017】本発明によれば、バックコート層を極めて
薄層に形成する高密度記録の磁気記録媒体を作製する場
合においても、中間材料層を非磁性支持体との間に介在
させたことにより、バックコート層側の最表面の表面性
を良好に形成することができ、走行安定性、走行耐久性
の向上が図られる。
【0018】また、本発明によればバックコート層形成
用の結合剤のガラス転移温度と、中間材料層形成用の結
合剤のガラス転移温度との関係を上記のように特定した
ことにより、バックコート層の接着強度が高められ、ド
ロップアウトが低減化され、信頼性の高い磁気記録媒体
が得られる。
【0019】また、本発明によればバックコート層の電
気低効率と中間材料層の電気抵抗率との関係を上記のよ
うに規定したことにより、バックコート層最表面を平滑
に形成し、かつ、最表面における電気抵抗率を低減化す
ることができ、粉塵の吸着によるドロップアウトの低減
化が図られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の一
例の概略構造を図示して説明するが、本発明の磁気記録
媒体は以下に示す例に限定されるものではない。
【0021】本発明の磁気記録媒体は、図1に示すよう
に、例えば芳香族ポリアミドフィルムより成る非磁性支
持体1上に、少なくとも、Fe、Co等の磁性粉末、お
よび各種樹脂よりなる結合剤を含有する磁性塗料の塗布
により形成された磁性層2を有する、いわゆる塗布型の
磁気記録媒体である。
【0022】この磁気記録媒体10においては、非磁性
支持体1の他の一主面上には、無機微粒子を第1の結合
剤中に分散させた塗料を塗布することにより形成された
膜厚0.03〔μm〕以上0.5〔μm〕以下の中間材
料層3を有し、この中間材料層3上に、少なくともカー
ボンブラックと、第2の結合剤を含有する塗料を塗布す
ることにより形成されたバックコート層4を有するもの
とする。これら第1の結合剤および第2の結合剤につい
ては後述する。
【0023】非磁性支持体1を構成する材料としては、
一般的に磁気記録媒体に使用されるものをいずれも適用
することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セ
ルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セ
ルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹
脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、その他のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の
金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、セラ
ミックス、単結晶シリコン等を挙げることができる。
【0024】非磁性支持体1の形状としては、フィル
ム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等、適
宜従来公知の磁気記録媒体に対応したものとすることが
できる。
【0025】次に、非磁性支持体1上に形成する磁性層
2について説明する。磁性層2は、磁性粉末、結合剤
(バインダー)、帯電防止剤、硬化剤、潤滑剤、分散
剤、研磨剤、防錆剤、有機溶剤等を用いて、これらを従
来公知の方法により、混合調整することにより磁性塗料
を作製し、この磁性塗料を非磁性支持体1上に塗布する
ことによって形成される。また、磁性層2は単層構造で
あってもよく、また複数工程に分けて塗布を行うことに
より、2層以上の磁性層が積層したものとしてもよい。
【0026】本発明の磁気記録媒体10の磁性層2を形
成する磁性粉末は、強磁性酸化鉄粒子、強磁性二酸化ク
ロム、強磁性窒化鉄等、各種強磁性合金粉末を適用する
ことができる。
【0027】磁性塗料中の結合剤には、塗布型の磁気記
録媒体を構成する磁性層形成用として従来用いられてい
る公知の高分子樹脂をいずれも適用することができる。
【0028】例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、
塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビ
ニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロ
ニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共
重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタ
クリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化
ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、
セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポ
リエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬
化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アル
キド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、またはこれら
の混合物等が挙げられる。
【0029】また、柔軟性を付与する効果を有するポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体と、剛性を付与する効果を有するセ
ルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が望
ましい。また、結合剤樹脂には、イソシアネート化合物
を架橋させることによって耐久性を向上させたり、ある
いは適当な極性基を導入してもよい。
【0030】磁性層中に含有させる研磨剤としては、非
晶質の酸化物無機粉末を適用するものとし、例えば、酸
化ケイ素、酸化チタン、酸化クロム、酸化セリウム、酸
化鉄、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化第2ス
ズ等の非晶質等を挙げることができる。
【0031】硬化剤としては、芳香族ポリイソシアネー
ト及び脂肪族ポリイソシアネート等と、活性水素化合物
との付加体が好適である。
【0032】潤滑剤としては、シリコーンオイル、脂肪
酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、またはその
他のフッ素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグリコー
ル、アルキル燐酸エステルおよび金属塩、ポリフェニル
エーテル、炭素数12〜24のアルコール類、あるいは
これらの不飽和化合物や分子鎖に分岐を有するもの、炭
素数12〜24の高級脂肪酸および脂肪酸エステル、あ
るいはこれらの不飽和化合物や分子鎖に分岐を有するも
の、アルキルカルボン酸アミン塩、およびフッ化アルキ
ルカルボン酸アミン塩等のアミン系潤滑剤等を適用する
ことができる。また、これらの潤滑剤は、単独で用いて
もあるいは二種類以上を混合して用いてもよい。
【0033】帯電防止剤としては、主にカーボンブラッ
クを適用する。例えばアセチレンブラック、ファーネス
ブラック、カラー用ブラック等を適用することができ
る。また、製造工程中のハンドリングを向上させるた
め、顆粒状のものを使用してもよい。カーボンブラック
は、平均粒径10〜1000〔nm〕の範囲のものが好
ましい。
【0034】また、その他、防錆剤、抗菌(防黴)剤を
適宜添加するものとし、磁性分散液を調整するための溶
剤等は、従来公知の材料をいずれも適用することができ
る。
【0035】磁性塗料を調整するための溶剤としては、
例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メ
チル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエ
チルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチ
ルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶
剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四
塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジ
クロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤等が挙げられ
る。その他従来公知の有機溶剤を適宜使用することがで
きる。
【0036】上述した磁性粉末と結合剤等により作製さ
れる磁性塗料の調整は、従来公知の方法により行うこと
ができるが、例えば、ロールミル、ボールミル、サンド
ミル、高速ストーンミル、バスケットミル、ディスパ
ー、ホモミキサー、ニーダー、連続ニーダー、エクスト
ルーダー、ホモジナイザー、および超音波分散機等を用
いて行うことができる。また、磁性塗料を調整する場合
には、磁性粉末とその他の添加剤粒子とを別々に分散し
た後、これらを混合してもよい。
【0037】非磁性支持体1上に、磁性塗料を塗布し、
磁性層2を形成する手法としては、エアドクターコー
ト、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、
エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバ
ースロールコート、グラビアコート、トランスファーロ
ールコート、キャストコート等の従来公知の方法をいず
れも適用することができる。
【0038】次に、磁性層2形成面側とは反対側の主面
に形成された中間材料層3およびバックコート層4につ
いて説明する。
【0039】中間材料層3は、例えば、少なくとも無機
微粒子を第1の結合剤中に分散させた塗料を塗布するこ
とによって形成することができる。この場合、中間材料
層3中に無機微粒子としては、従来公知の材料を適宜使
用することができるが、例えば、シリカ、アルミナ、カ
ーボンブラック、α−酸化鉄、炭酸カルシウム、アルミ
ニウム、銀用の純金属粉末、アルミニウム合金、チタン
合金等の軽金属合金粉末、セラミックス粉末金属等を挙
げることができる。
【0040】中間材料層3形成用の無機微粒子の形状
は、針状形状、球状形状等各種形状を選定することがで
きるが、これらの微粒子の最大径(微粒子中最大幅を有
する箇所)の平均値は、0.02〔μm〕以上0.15
〔μm〕以下であるものとする。
【0041】また、中間材料層3は、上記塗布法により
形成する場合の他、真空蒸着、スパッタリング、MB
E、CVD法等によっても形成することができる。
【0042】また、中間材料層3の層構造は、純金属
層、樹脂単組成層、グラニュラー構造、単結晶構造、ア
モルファス構造等いずれであってもあってもよく、これ
らの混合層、単組成層であってもよい。
【0043】上記中間材料層3上にはバックコート層4
が形成されてなり、バックコート層4は、少なくともカ
ーボンブラックと、第2の結合剤を含有する塗料を塗布
することにより形成されるものとする。また、バックコ
ート層4中の結合剤には、ニトロセルロース誘導体が含
有されてなり、上記中間材料層3中にはニトロセルロー
ス誘導体は含有しないものとする。ニトロセルロース誘
導体はバックコート層4の剛性を高め機械的特性を向上
させるが、一方においては、非磁性支持体1との接着性
を劣化させるので、中間材料層3中には含有させず、バ
ックコート層4中にのみ含有させるものとした。
【0044】次に、本発明の磁気記録媒体10を構成す
るバックコート層4および中間材料層3の物性について
説明する。
【0045】バックコート層4は、磁気記録媒体の磁性
層形成面側とは反対側の主面に形成されてなるものであ
り、その表面が記録再生装置の内部において装置の部位
に直接接触したり、あるいはカートリッジ内部において
は、磁性層2表面と接触したりするので、走行に対する
程度の機械的強度を有し、かつ表面が平滑であることが
必要とされている。
【0046】さらには、バックコート層4には、上記の
ような機械的強度の向上や表面の平滑性を確保すること
以外にも、非磁性支持体側との接着性が高いことや、電
気抵抗率が低減化されていることも要求される。このよ
うな特性を走行性を劣化させることなく満足するために
本発明の磁気記録媒体10においては、特に非磁性支持
体1とバックコート層4との間に中間材料層3を設ける
こととした。
【0047】ここで、例えば中間材料層3を形成せずに
バックコート層4を薄層に形成すると、バックコート4
形成面側の表面性がそのまま最表面形状に反映してしま
うため、表面の平滑性を担保することが困難になる。
【0048】一方、バックコート層4を充分に厚く形成
すると、バックコート層4側の最表面の形状は平滑化
し、バックコート4形成面側の表面性の影響が少なくな
る。しかし近年の磁気記録媒体の大容量化に伴い、体積
が有限であるカートリッジ内に長尺形状の磁気記録媒体
をリールに巻いた状態で収納するためには、磁気記録媒
体10自体を薄層化することが必要となるため、バック
コート層4を薄層に形成することが必要となる。
【0049】本発明の磁気記録媒体10においては、非
磁性支持体1とバックコート層4との間に中間材料層3
を形成することによって上記問題点を解決する。すなわ
ち、中間材料層3は、塗布法やあるいはその他の真空蒸
着法等によって形成することができるが、この層の形成
時において非磁性支持体1上の形成面表面上の凹凸内部
に中間材料層3を構成する粒子が進入することによっ
て、まず、中間材料層3の表面形状が平滑化される。そ
して、このようにして表面が平滑化された中間材料層3
上にバックコート層4を形成することによって、最終的
に得られる磁気記録媒体のバックコート層側の最表面が
極めて平滑に形成される。
【0050】また、バックコート層4は予め表面が平滑
な面上に形成するので、バックコート層4の塗布形成が
容易化し、バックコート層4の厚みのばらつき、塗布ム
ラが低減される。
【0051】上述したように、本発明の磁気記録媒体1
0は、中間材料層3を構成する粒子を非磁性支持体1上
の形成面表面の凹凸内部に進入させて予めバックコート
層形成面を平滑化させ、かつバックコート層4形成後の
最表面を平滑化させるものであるが、このためには、下
記の特徴を有することが必要である。
【0052】先ず、中間材料層3を、所定の微粒子を結
合剤(第1の結合剤)中に分散させた塗料を塗布するこ
とによって形成し、かつバックコート層4を微粒子を結
合剤(第2の結合剤)中に分散させた塗料を塗布するこ
とによって形成することとした場合には、中間材料層3
中の微粒子の平均粒径φLが、バックコート層4中の微
粒子の平均粒径φBよりも小さいこと、すなわちφL<
φBであることが必要である。
【0053】上記φL、φBは、上記各層形成用の塗料
中に含まれている粒子の平均粒径を示すものであるが、
微粒子は凝集して凝集塊を形成する場合があるため、塗
料中にはこの凝集塊が含有されている。
【0054】通常バックコート層4形成用の塗料中に
は、微小粒径のカーボンブラックが含有されているが、
カーボンブラック微粒子は凝集力が大きいため、バック
コート層形成用の塗料中には、乾燥させて成膜した後の
バックコート層4中のカーボンブラック粒子よりも粗大
なストラクチャー構造を形成して存在することが多い。
このカーボンブラックの凝集塊がバックコート層4形成
後に表面の平滑性を劣化させる要因となる。このため、
バックコート層4形成面側の最表面形状の平滑性を向上
させるためには、中間材料層3を形成することが必要と
される。
【0055】なお、一方において、中間材料層3を塗布
法によって形成せず、真空蒸着法、スパッタリング法、
MBE、CVD法等によって形成する場合には、上記粒
子が凝集することに関する問題が生じない。
【0056】次に、バックコート層4の接着強度につい
て説明する。磁気記録媒体においては、剛性の高いバッ
クコート層4を形成することによって機械的強度を高
め、耐久性の向上が図られるのであるが、一方におい
て、剛性の高いバックコート層4を、非磁性支持体1上
に直接成膜形成すると、非磁性支持体1との充分な接着
性を確保できなくなり、バックコート層4が剥離しやす
くなるという問題を生じていた。
【0057】一方において、剛性の低い材料によりバッ
クコート層4を形成すると、非磁性支持体1との接着性
は向上するが、記録再生装置との摺動に対する耐久性が
低下する。
【0058】本発明の磁気記録媒体10においては、中
間材料層3を形成することによって、バックコート層4
の接着性を高め剥離を回避することとし、かつバックコ
ート層4形成用材料として剛性の高い材料を適用するこ
とによって、良好な走行耐久性を確保した。
【0059】なお、バックコート層4の接着性を高める
ためには、中間材料層3とバックコート層4との良好な
接着性を確保することが必要となる。このためには、中
間材料層3の剛性と、バックコート層4の剛性との差を
小さくすることが必要であるが、例えば中間材料層3を
複数層構造とし、非磁性支持体1と隣接する層において
は剛性を低くし、バックコート層4に隣接する層におい
ては剛性を高くしたものとして形成し、バックコート層
4を剛性の高い材料により形成することによって、非磁
性支持体1と中間材料層3の接着性、および中間材料層
3とバックコート層4との接着性を良好にし、かつ走行
耐久性の向上も図ることができる。
【0060】本発明の磁気記録媒体10においては、中
間材料層3とバックコート層4とが上記のような特性を
有するようにするため、これらの層を形成するための塗
料中の結合剤のガラス転移温度を制御するものとする。
本発明においては、中間材料層3形成用の塗料の結合剤
を第1の結合剤とし、これのガラス転移温度をTgLと
し、バックコート層4形成用の塗料の結合剤を第2の結
合剤とし、これのガラス転移温度をTgBとするとき、
下記の〔数1〕の関係が成り立つものとする。
【数1】TgL<TgB また、さらには、TgL≦(TgB−5)であることが
望ましい。
【0061】上記〔数1〕に示す関係が成り立つ中間材
料層3形成用の結合剤を選定することにより、バックコ
ート層4の非磁性支持体1との接着性を向上することが
できる。例えば、非磁性支持体1として芳香族ポリアミ
ドあるいは芳香族ポリイミドフィルムを用い、バックコ
ート層4形成用の結合剤中にニトロセルロース誘導体を
含有させることとした場合、上記〔数1〕に示す関係を
有する材料を中間材料層3形成用の結合剤として選定す
ることにより、バックコート層4と非磁性支持体1との
接着性の向上が図られることが確認された。
【0062】次に、本発明の磁気記録媒体10の電気抵
抗について説明する。前述したように、磁気記録媒体1
0においては、バックコート層側の電気抵抗率を低下さ
せて帯電による摩擦の上昇や粉塵の吸着を低減化させる
ことが必要とされている。このようにバックコート層4
の電気抵抗率を低減化させるためには、バックコート層
4中にカーボンブラック微粒子のような導電性物質を含
有させることが有効である。しかしながら、バックコー
ト層4中にカーボンブラック微粒子等の含有量を多くす
ると、表面平滑性が劣化するという問題を生じる。
【0063】また、その他の金属、カーボンブラック微
粒子のような導電性微粒子や、例えば四級アンモニウム
塩基を有するバインダー等のような導電性のバインダー
や、また、アニオン系、カチオン系の界面活性剤がバッ
クコート層中に混入したりすると、バックコート層4が
磁気記録媒体10の最表面に露出しているため、含有物
質が、磁気記録媒体10の積層により磁性層2側に付着
するため磁性層2に錆を誘発させるおそれがある。
【0064】上記問題に鑑みて本発明の磁気記録媒体1
0においては、バックコート層4の電気抵抗率は従来の
磁気記録媒体と同等とし、最表面に露出しない中間材料
層3に非磁性金属粒子等を混入することによって、この
中間材料層3の電気抵抗率を低減化させて結果としてバ
ックコート層4形成面側の電気抵抗率の低下させて、上
記のような帯電による摩擦の上昇や粉塵の吸着を回避す
ることとした。
【0065】本発明の磁気記録媒体10においては、中
間材料層3の電気抵抗率を(ΩL〔Ω/sq〕)とし、
バックコート層4の電気抵抗率を(ΩB〔Ω/sq〕)
としたとき、ΩL<ΩBとなるようにして中間材料層3
およびバックコート層4を形成することとして上記課題
を解決した。なお、中間材料層3の電気抵抗率(ΩL
〔Ω/sq〕)がバックコート層の電気抵抗率(ΩB
〔Ω/sq〕)の1/10以下であることがより望まし
い。
【0066】このように、バックコート層4が本来解決
しなければならなかった問題点である電気抵抗率の低減
化を、隣接する層である中間材料層3の電気抵抗率を低
くすることによって、総じてバックコート層4側の表面
電気抵抗を低減化して帯電による摩擦の上昇や粉塵の吸
着を回避した。
【0067】本発明の磁気記録媒体10を構成する中間
材料層3は、上述した機能の他にも、下記機能を持たせ
ることも可能である。
【0068】例えば、高密度記録の磁気記録媒体の開発
が進むと、磁気記録媒体10を薄層化して作製すること
が必要となり、バックコート層4の膜厚を厚くして光吸
収率を高めるということができなくなる。これに対して
バックコート層4中へ含有させるカーボンブラックの量
を増加させて光吸収率を高めるという方法が考えられる
が、バックコート層4の表面平滑性を確保するためには
限界がある。また、カーボンブラックに代用して光吸収
率の高い材料をバックコート層4中に含有させると、各
種物性上の弊害が発生するおそれがある。
【0069】本発明の磁気記録媒体10においては、中
間材料層3に光吸収率の高い材料を混入させることによ
って、磁気記録媒体10のバックコート層4の膜厚を厚
く形成することなく、バックコート層4形成面側の光吸
収率を高くできる。
【0070】また、長尺形状の磁気記録媒体が巻回され
たカートリッジを記録再生装置にて走行させた場合、記
録再生装置に発生する熱や走行テンションにより、磁気
記録媒体をカートリッジに巻き込む開始位置に折れ目
(いわゆるネオシ)が発生することが多かった。このネ
オシによる形状の変化は、磁気ヘッドと磁気記録媒体と
の接触状態を劣化させ、エラーレートの増加を招来して
いた。このネオシは磁気記録媒体が有する弾性に起因す
るものであるが、磁気記録媒体の剛性を確保しつつ同時
に弾性をも具備させるという相反する性質を満足させる
ことは従来困難とされてきた。
【0071】しかし本発明の磁気記録媒体においては、
中間材料層3を弾性の高い材料を用いて形成することに
より、剛性の高いバックコート層4の屈曲と、同じく剛
性の高い非磁性支持体1の屈曲を、弾性の高い中間材料
層3によって吸収させることができ、磁気記録媒体全体
として、ネオシ部位の屈曲度合いを低減化することがで
きる。
【0072】また、良好な電磁変換特性を確保するため
には、記録再生装置内で走行中においては磁気ヘッドと
磁気記録媒体との接触状態に伴うスペーシング状態、い
わゆる当たり状態が問題となる。この当たり状態は、磁
気記録媒体のカッピングに影響されるものであり、カッ
ピングは、磁気記録媒体を構成する磁性層とバックコー
ト層の熱収縮度の違いによって生じるものである。本発
明の磁気記録媒体10においては、特に中間材料層3に
磁気記録媒体10の両主面の熱収縮率を調整する機能を
持たせることにより、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの当
たり状態を良好にすることが可能となる。
【0073】上述したように、本発明の磁気記録媒体1
0は、バックコート層4と非磁性支持体1との間に、バ
ックコート層4とは異なる性質を有する中間材料層3を
形成したものであるが、このような機能層を形成したこ
とによって、従来のバックコート層4のみを形成した磁
気記録媒体においては、実現できなかった各種特性を有
する磁気記録媒体を作製することができた。
【0074】また、上述した磁気記録媒体10において
は、図1に示すように非磁性支持体1上に直接磁性層2
を形成させたいわゆる単層構造のものについて例を挙げ
て説明したが、本発明の磁気記録媒体は上記の例に限定
されるものではない。
【0075】例えば図2に示すように、磁性層2と非磁
性支持体1との間に所定の下層材料層5を形成した構成
としてもよい。この下層材料層5は、磁気記録が可能な
磁性層であってもよく、あるいは磁気記録媒体10の強
度の向上や表面性の向上等を図るために形成する非磁性
層であってもよい。下層材料層4は、結合剤に所定の無
機粉末を含有させた塗料を塗布することによって形成で
きる。無機粉末としては、金属、金属酸化物、金属炭酸
塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物
等が挙げられる。
【0076】以下に、上記において説明した本発明の磁
気記録媒体について、具体的なサンプルテープを作製し
て説明するが、本発明の磁気記録媒体は、以下に示す例
に限定されるものではない。
【0077】先ず、磁気記録媒体10を構成する磁性層
2を形成するために用いる磁性分散液組成物を調整した
磁性塗料について以下に示す。 〔磁性層成膜用塗料の原料〕 磁性粉末:鉄−コバルト合金系メタル磁性粉末 :100〔重量部〕 (平均長軸長0.10μm) 結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 : 9〔重量部〕 (量平均分子量41200) 結合剤:塩化ビニル系共重合体 : 9〔重量部〕 (平均重合度320) 無機粉末:α−アルミナ : 8〔重量部〕 (平均粒径200nm、比表面積/BET法11.1m2 /g) 潤滑剤:ステアリン酸 : 1〔重量部〕 ステアリン酸ブチル : 2〔重量部〕 有機溶剤:メチルエチルケトン : 20〔重量部〕 トルエン : 20〔重量部〕 シクロヘキサン : 10〔重量部〕
【0078】上記の材料を、ニーダーで混練処理を施
し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキ
サンで希釈した後、サンドミル処理を行い分散し、ポリ
イソシアネート(日本ポリウレタン社製 硬化剤「コロ
ネートL」)を4〔重量部〕添加して攪拌し、その他添
加剤を加えて磁性塗料を調整した。
【0079】次に、下記に示す材料を用いて磁性層2と
非磁性支持体1との間に成膜する下層材料層5形成用の
塗料を作製する。
【0080】 〔下層材料層5成膜用塗料の材料〕 無機粉末:α−酸化鉄 :100〔重量部〕 (針状:長軸長0.2μm,比表面積/BET法41.0m2 /g) 結合剤 :塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 : 8〔重量部〕 (平均重合度 260) 結合剤 :ポリエステル系ポリウレタン : 8〔重量部〕 (量平均分子量 41200) 潤滑剤 :ブチルステアレート : 2〔重量部〕 有機溶剤:メチルエチルケトン : 70〔重量部〕 :トルエン : 70〔重量部〕 :シクロヘキサン : 40〔重量部〕
【0081】上記材料を用いてサンドミル処理を行い分
散し、続いてポリイソシアネート(日本ポリウレタン社
製 硬化剤「コロネートL」)を3〔重量部〕添加して
攪拌し、その他添加剤を加えて下層材料層5形成用塗料
とした。
【0082】先ず、上記下層材料層5形成用塗料を、厚
さ5.0μmの非磁性支持体1上に1.0μmの厚さに
塗布し、さらにその上に上記磁性層2形成用塗料を同時
にあるいは逐次塗布し、0.2μmの膜厚となるように
磁性層2を形成した。その後、磁場配向処理を行い、乾
燥工程後巻き取りを行い、カレンダー処理を行って硬化
処理を施した。
【0083】次に、下記に示す材料を用いて磁気記録媒
体10を構成する中間材料層3形成用の塗料を作製す
る。 〔中間材料層3形成用塗料の材料〕 無機粉末:下記〔表1〕に示す。 :100〔重量部〕 使用結合剤(〔表2〕中に示す) 結合剤A:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 :〔表2〕に示す。 (量平均分子量42500、Tg(ガラス転移温度)30℃) 結合剤B:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 :〔表2〕に示す。 (量平均分子量71200、Tg(ガラス転移温度)80℃) 結合剤C:塩化ビニル系共重合体 :〔表2〕に示す。 (平均重合度 300、Tg(ガラス転移温度)62℃) 結合剤D:ニトロセルロース樹脂 :〔表2〕に示す。 (平均重合度 90、Tg(ガラス転移温度)130℃) 有機溶剤:メチルエチルケトン : 70〔重量部〕 :トルエン : 70〔重量部〕 :シクロヘキサン : 40〔重量部〕
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】上記〔表1〕に示す無機粉末イ〜ト、上記
結合剤A〜D、および上記各材料を適宜組み合わせ、サ
ンドミル処理により分散し、上記〔表2〕に示すような
中間材料層形成用の分散液い〜ぬを作製した。これら各
分散液にポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン製
硬化剤「コロネートL」)を3重量部添加し、攪拌して
中間材料層3形成用の塗料を作製し、これを上記非磁性
支持体1の磁性層形成面側とは反対側の主面に、下記
〔表3〕中のサンプル3〜6、サンプル8〜14、サン
プル17〜19に示す所定の厚さになるように塗布し
た。なお、サンプル7については、中間材料層3の塗料
として、後述するバックコート層形成用の分散液1を用
いた。また、サンプル1、2、15、16については中
間材料層3を形成しなかった。また、サンプル20、2
1については、下記〔表3〕に示す膜厚のアルミニウム
蒸着膜を形成し、中間材料層3とした。
【0087】次に、下記の材料を用いて磁性層2形成面
側とは反対側に主面に形成するバックコート層4形成用
の分散液1、2を作製した。なお、バックコート層4
は、下記に示す分散液1、2のいずれか一方を用いて作
製するものとした。
【0088】 〔バックコート層形成用の分散液1組成〕(平均ガラス転移温度=46℃〕 無機粉末:カーボンブラック :100〔重量部〕 (粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g) 結合剤A:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 : 25〔重量部〕 (量平均分子量 42500、Tg=30℃) 結合剤C:塩化ビニル系共重合体 : 25〔重量部〕 (平均重合度300、Tg=62℃) 有機溶剤:メチルエチルケトン :500〔重量部〕 トルエン :500〔重量部〕
【0089】 〔バックコート層形成用の分散液2組成〕(平均ガラス転移温度=105℃〕 無機粉末:カーボンブラック :100〔重量部〕 (粒径40nm、DBP吸油量112.0ml/100g) 結合剤B:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 : 25〔重量部〕 (量平均分子量 72120、Tg=80℃) 結合剤D:ニトロセルロース樹脂 : 10〔重量部〕 (平均重合度 90、Tg=130℃) 有機溶剤:メチルエチルケトン :500〔重量部〕 トルエン :500〔重量部〕
【0090】上記組成によるバックコート層形成用の分
散液1、2へ、ポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレ
タン製硬化剤〔コロネートL〕)を10重量部添加し、
攪拌して塗料とし、サンプル1については分散液1を用
い、サンプル2〜21については分散液2を用いて、磁
性層とは反対側の主面に、0.3μmの膜厚になるよう
に塗布した。
【0091】上述のようにして作製した幅広のテープを
8〔mm〕幅にスリットし、8〔mm〕ビデオカセット
に組み込んで、下記〔表3〕に示す各サンプル1〜21
の磁気テープを作製した。
【0092】
【表3】
【0093】このようにして作製した各サンプル1〜2
1の磁気テープについて、下記に示す条件により、バッ
クコート層4形成面側の表面粗度SRa、磁性層2形成
面側の表面粗度SRa、および電磁変換特性(C/N)
の測定を行った。
【0094】〔表面粗度SRaの測定〕バックコート層
4形成面側および磁性層2形成面側の表面粗度SRa
は、3次元表面粗度であるものとし、光触針式の3次元
表面粗さ計(小坂研究所:ETB−30HK)を用い
て、カットオフ80μmの条件で中心粗度SRaを測定
した。
【0095】〔電磁変換特性の測定〕記録ヘッド(MI
G、ギャップ0.15μm)を取り付けた固定電磁変換
特性測定機を用い、波長0.5μmの信号を記録後、再
生用磁気ヘッドとして積層アモルファス磁気ヘッド(ギ
ャップ0.2μm)を用いて信号の再生を行い測定を行
った。また、各単一周波数の出力および再生された信号
から±2〔MHz〕のところをノイズレベルに設定し、
C/N特性を測定した。なお、〔表3〕中に示したサン
プル2の磁気テープを基準とし、これとの相対値を算出
した。
【0096】上記サンプル1〜21の各磁気テープのバ
ックコート層4形成面側の表面粗度SRa、磁性層2形
成面側の表面粗度SRa、および電磁変換特性(C/
N)の測定結果を下記〔表4〕に示す。
【0097】
【表4】
【0098】上記〔表1〕〜〔表4〕に示すように、非
磁性支持体1とバックコート層4との間に膜厚0.03
〜0.5〔μm〕の中間材料層3を有し、中間材料層3
中に含有される無機微粒子の最大径の平均値を0.02
〜0.15〔μm〕とし、バックコート層4形成面側の
表面粗度SRaを11〔nm〕以下としたサンプル3〜
サンプル5、サンプル8〜サンプル14、サンプル17
〜サンプル19の磁気テープ、および真空蒸着により中
間材料層3を形成してバックコート層4形成面側の表面
粗度SRaを11〔nm〕以下としたサンプル20、2
1の磁気テープにおいては、磁気テープを巻回したこと
によりバックコート層4側の表面形状が磁性層側に転写
した場合においても磁性層2の表面性の劣化が抑えら
れ、最表面粗度を低く値に保持することができ、これに
よってノイズの発生を低減化でき、良好な電磁変換特性
が得られた。一方、バックコート層4形成面側の表面粗
度SRaが11〔nm〕を越えたサンプル1、2、6、
7、15、16については、磁性層側への形状の転写に
より磁性層形成面側の最表面粗度が大きくなってしま
い、ノイズが増加して電磁変換特性が劣化した。
【0099】次に、上記各サンプル1〜21の磁気テー
プの、バックコート層の接着強度、ドロップアウト、お
よびバックコート層の膜硬度についての測定を行った。
【0100】〔バックコート層4の接着強度測定〕各サ
ンプル1〜21の磁気テープを4〔cm〕ずつ裁断して
測定試料とし、これら測定試料に対して、接着強度測定
機を用いて、25℃、50%RHの環境下で測定するも
のとした。この接着強度測定機が具備している金属製平
滑平板に、5cmの非アクリル系支持体の両面に、充分
に粘着性を有するテープを貼り付けた後、このテープの
粘着面に上記サンプル1〜21の磁気テープのバックコ
ート層形成面側を接するようにして貼り合わせた。な
お、上記粘着性を有するテープと、サンプル1〜21の
磁気テープとの接触長は、1.5cmであるものとし、
貼り合わせ荷重は一定であるものとした。
【0101】上記のようにして貼り合わせたサンプル1
〜21の磁気テープの他端部を接着強度測定機が具備し
ている平行移動可能なストリングゲージにバネを介して
固定し、ストリングゲージを1〔mm/sec〕以下の
速度で平行移動させた。ストリングゲージにかかる負荷
を接着強度測定機が具備しているペンレコーダーにより
観察測定した。
【0102】上記粘着性を有するテープと上記各サンプ
ル1〜21の磁気テープとの間の接着が保持されている
間は、ストリングゲージの移動距離に比例した負荷がペ
ンレコーダーにより観察測定されるので、上記粘着性を
有するテープとサンプル1〜21の磁気テープとの間の
接着が切れた瞬間の負荷が接着強度であるものとして測
定した。
【0103】〔ドロップアウトの測定〕上記各サンプル
1〜21を8mmビデオカートリッジに組み込み、これ
らに対してソニー製8mmビデオデッキ(WV−TW
1)を使用し、25℃、70%RHの環境下で7MHz
の単一波長を10分間記録し、その再生出力を0dBに
設定した。その信号再生時に−16dB以上の出力低下
が10μsec以上継続したものをドロップアウトと
し、1分間あたりの発生回数の平均値をドロップアウト
カウンターにより測定した。
【0104】〔バックコート層の硬度測定〕上記各サン
プル1〜21を3cmずつ裁断して測定試料とした。こ
れら試料に対し、硬度測定機を使用し、25℃、50%
RHの環境下で測定を行った。上記硬度測定機が具備し
ている金属製平滑水平板に、上記各サンプル1〜21の
磁性層形成面が接するようにして配置し、サンプルの両
端をを平板に固定した。上記硬度測定機は、SUS30
4製の鉛直移動可能な触針を具備するものであり、この
鉛直移動操作により、触針がバックコート層に荷重をか
けるようになされる。この触針の先端部は、中心角が7
5°、母線長10μmの円錐形状であるとする。触針の
鉛直移動速度は1〔mm/min〕以下であるものと
し、触針が加える各サンプル1〜21のバックコート層
4への荷重は一定であるものとした。このような操作に
より、触針がバックコート層に漬けた円錐形の傷の深さ
をAFMを用いて測定し、この深さをバックコート層の
硬度とした。
【0105】上記のようにして測定したバックコート層
4の接着強度、ドロップアウト、およびバックコート層
4の膜硬度の測定結果を下記〔表5〕に示す。
【0106】
【表5】
【0107】上記〔表3〕および〔表5〕に示すよう
に、中間材料層3を塗料を塗布することによって形成し
た場合であって、中間材料層3形成用の第1の結合剤の
ガラス転移温度をTgLとし、バックコート層形成用の
第2の結合剤のガラス転移温度をTgBとしたとき、T
gLが40℃以上110℃以下であって、かつTgB>
TgLの関係を有するものとしたサンプル3〜11、サ
ンプル13、14、サンプル17〜19の磁気テープに
おいては、バックコート層の接着強度が高く、バックコ
ート層の硬度も実用上充分な良好な値が得られた。これ
により、磁気テープのドロップアウトを効果的に低減化
できた。
【0108】また、上記〔表3〕および〔表5〕に示す
ように、中間材料層3を真空蒸着によって形成したサン
プル20、21の磁気テープにおいても、バックコート
層の接着強度を高くでき、バックコート層の硬度も実用
上充分な良好な値が得られた。これにより、磁気テープ
のドロップアウトを効果的に低減化できた。
【0109】一方において、中間材料層3を形成しなか
ったサンプル1、2、15、16の磁気テープおよび中
間材料層3形成用の第1の結合剤のガラス転移温度Tg
Lと、バックコート層形成用の第2の結合剤のガラス転
移温度TgBとの関係がTgB>TgLを満たさないも
のであるサンプル12の磁気テープにおいては、バック
コート層4の接着強度、あるいはバックコート層4の硬
度の少なくともいずれかが実用上良好な値が得られず、
ドロップアウトを充分に低減化することができなかっ
た。
【0110】次に、上記各サンプル1〜21の磁気テー
プについての中間材料層3の電気抵抗率(ΩL〔Ω/s
q〕)、バックコート層4の電気抵抗率(ΩB〔Ω/s
q〕)、およびバックコート層4形成面側の電気抵抗率
(ΩW〔Ω/sq〕)のそれぞれについての測定を行っ
た。
【0111】〔電気抵抗率の測定〕電極間距離25.4
mmの一対の平行電極上に、上記各サンプル1〜21の
磁気テープの磁性層2側を接触させ、磁気テープの両端
に80gfの荷重を加えた。この状態で電極間にDC1
00Vの電圧を印加し、超絶縁抵抗計を用いて、電気抵
抗値の測定を行った。測定された電気抵抗値を電極間の
磁気テープの面積で割った値を電気抵抗率とし、単位を
〔Ω/sq〕とした。
【0112】上記〔表5〕に示すように、中間材料層3
の電気抵抗率ΩL〔Ω/sq〕と、バックコート層4の
電気抵抗率ΩB〔Ω/sq〕との関係において、ΩL<
ΩBの関係が成り立つサンプル7、17、18、20、
21の磁気テープにおいては、バックコート層形成面側
の表面の電気抵抗率を低減化でき、静電気発生に伴う粉
塵の吸着を低減化でき、ドロップアウトの発生の回避が
図られ、信頼性の向上を図ることができた。
【0113】また、〔表3〕および〔表5〕に示すよう
に、非磁性支持体1として、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムを用い
たサンプル13〜16の磁気テープに比較して、ポリア
ミド系樹脂(芳香族ポリアミド樹脂)を用いた場合の方
が、バックコート層の接着性をより良好にならしめるこ
とができ、ドロップアウトの発生をより効果的に低減化
できた。
【0114】上述したように、本発明によれば、非磁性
支持体1とバックコート層4との間に中間材料層3を形
成し、この中間材料層3に、バックコート層4側の表面
を平滑化させたり、バックコート層4の接着性を向上さ
せたり、表面電気抵抗の低減化を図る役割を持たせるこ
とによって、走行耐久性が良好で、電磁変換特性に優れ
た高い信頼性を有する磁気記録媒体が得られた。
【0115】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体によれば、非磁性
支持体1とバックコート層4との間に膜厚0.03μm
〜0.5μmの中間材料層3を形成し、バックコート層
4を極めて薄層に形成した場合においてもバックコート
層4表面の粗度Raを11nm以下に低減せしめること
ができ、これにより、バックコート層4の表面形状が磁
性層側表面へ転写した場合にも、磁性層表面形状の劣化
を回避し、ノイズの発生、C/Nの劣化が回避できた。
【0116】本発明によれば、中間材料層3を塗料の塗
布により形成する場合に、中間材料層形成用の第1の結
合剤と、バックコート層形成用の第2の結合剤のそれぞ
れのガラス転移温度の関係を特定したことによって、非
磁性支持体1とバックコート層4の接着強度を高め、磁
気記録媒体10の使用時の経時的変化に伴うバックコー
ト層4の欠落を防止し、ドロップアウトの発生を低減化
し、信頼性の高い磁気記録媒体が得られた。
【0117】本発明によれば、中間材料層3の電気抵抗
率ΩL〔Ω/sq〕と、バックコート層4の電気抵抗率
ΩB〔Ω/sq〕との関係において、ΩL<ΩBの関係
が成り立つこととしたので、バックコート層4側の表面
の電気抵抗率を低減化でき、静電気発生に伴う粉塵の吸
着を低減化でき、ドロップアウトの発生の回避が図ら
れ、信頼性の高い磁気記録媒体が得られた。
【0118】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示
す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一例の概略断面図
を示す。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 中間材料層、4
バックコート層、5下地材料層、10 磁気記録媒体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一主面上に、磁性塗料を
    塗布することにより形成された磁性層を有する磁気記録
    媒体であって、 上記非磁性支持体の他の一主面上に、膜厚0.03〔μ
    m〕以上0.5〔μm〕以下の中間材料層を少なくとも
    一層有し、 該中間材料層上に、少なくともカーボンブラックを含有
    する塗料を塗布することにより形成されたバックコート
    層を有して成り、 上記バックコート層形成面側の最表面の粗度SRaが、
    11nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記中間材料層は、無機微粒子を第1の
    結合剤中に分散させた塗料を塗布することにより形成さ
    れて成り、 上記中間材料層中に含有される無機微粒子の最大径の平
    均値は、0.02〔μm〕以上0.15〔μm〕以下で
    あり、 上記バックコート層は、少なくともカーボンブラック
    と、第2の結合剤を含有する塗料を塗布することにより
    形成されてなるものであることを特徴とする請求項1に
    記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記中間材料層は、真空蒸着法、スパッ
    タリング法、CVD法のいずれかによって形成されてな
    るものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 上記バックコート層形成用の上記第2の
    結合剤のガラス転移温度をTgBとし、 上記中間材料層形成用の、上記第1の結合剤のガラス転
    移温度をTgLとしたとき、 TgLは、40℃以上110℃以下であって、 TgL<TgBであることを特徴とする請求項2に記載
    の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記バックコート層の電気抵抗率をΩB
    〔Ω/sq〕とし、 上記中間材料層の電気抵抗率をΩL〔Ω/sq〕とした
    場合に、 ΩL<ΩBであることを特徴とする請求項1乃至請求項
    4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記非磁性支持体が、芳香族ポリアミド
    樹脂よりなり、 上記バックコート層形成用の第2の結合剤として、ニト
    ロセルロース誘導体が用いられてなることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021190142A (ja) * 2020-05-28 2021-12-13 富士フイルム株式会社 磁気テープ装置、磁気テープおよび磁気テープカートリッジ

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