JP2006009922A - 車輪支持装置 - Google Patents
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Abstract
高荷重または、すべり運動が生じる状態での潤滑面での摩擦摩耗を防止し、長期耐久性に優れた車輪支持装置を提供することである。
【解決手段】
アクスルの外径面上に取付けた転がり軸受によって車輪と共に回転する回転部材を回転自在に支持する車輪支持装置であって、上記転がり軸受が、グリースを封入され、該グリースが基油と、増ちょう剤と、添加剤とを配合してなり、該添加剤は、無機ビスマスであり、該無機ビスマスが、上記グリース全体に対して 0.01 〜 15 重量%配合されている。
【選択図】図1
Description
また、ステアリングナックルに設けられたフランジにバックプレートを取付け、そのバックプレートによってブレーキドラムに制動力を付与する制動機構を支持するようにしている。
上記のような車輪支持装置においては、アクスルハブを回転自在に支持する転がり軸受として、負荷容量の大きい剛性の高い円すいころ軸受が用いられる。この円すいころ軸受は、アクスルとアクスルハブ間に充填されたグリースによって潤滑される。
そのため、高速、高荷重下での潤滑性および耐荷重性を向上させ、潤滑油膜破断による金属接触を防止する必要があり、極圧剤含有グリースを使用して、その不具合を軽減している。
しかしながら、ころ軸受の使用条件がdN値 10 万以上という高速条件下での潤滑など過酷になるにつれて、従来のグリースではころ軸受の使用が困難になるなどの問題がある。
車輪支持装置用ころ軸受は、内、外輪の転走面と転動体である「ころ」との間にころがり摩擦が、つば部と「ころ」との間にすべり摩擦が発生する。ころがり摩擦に比べるとすべり摩擦は大きいので、使用条件が過酷になるとつば部の焼付きが生じやすくなる。そのためグリースの交換作業等が頻繁になりメンテナンスフリー化を達成できないという問題がある。
上記無機ビスマスは、硫酸ビスマス、三酸化ビスマスおよびビスマス粉末から選ばれた少なくとも1つの無機ビスマスであることを特徴とする。
上記基油は、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと略称する)油および鉱油から選ばれた少なくとも1つの油からなり、かつ 40 ℃における基油の動粘度が 30 〜 200 mm2/s であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ウレア系化合物であることを特徴とする。
本発明の車輪支持装置は、上記グリース封入転がり軸受が、スラスト摺動面を有することを特徴とする。
アクスルハブ5は、外径面にフランジ6を有し、そのフランジ6に設けたスタッドボルト7と、そのスタッドボルト7にねじ係合したナット8によってブレーキ装置のブレーキドラム9、および車輪のホイールディスク10が取付けられている。11はホイールディスク10の外径面に取付けられたリムを示し、そのリム上にタイヤが取付けられる。
アクスルハブ5を回転自在に支持する前記一対の円すいころ軸受4a、4bは、アクスルハブ5内に充填されたグリースによって潤滑される。その円すいころ軸受4bから外部にグリースが漏洩したり、外部から泥水が浸入するのを防止するため、アクスルハブ 5の外側端面に円すいころ軸受4bを覆うようにしてグリースキャップ17が取付けられている。
また、無機ビスマスの添加量は、グリース全体に対し 0.01 〜 15 重量%である。好ましくは 1 〜 10 重量%である。添加量が 0.01 重量%未満では、耐摩耗性の向上効果が発揮されず、また、 15 重量%をこえると、回転時のトルクが大きくなって、発熱が増大し、回転障害を生じるためである。
式(1)で表されるウレア系化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ウレア化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
基油にウレア化合物を配合して各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。ベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
反応容器中で、基油中に増ちょう剤を加え、3 本ロールミルを用いて均一化処理して、表1に示すLi石けん/鉱油系グリース( 40 ℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 220 )、ウレア/PAO系グリース( 40 ℃基油粘度 46 mm2/s 、混和ちょう度 280 )、Li石けん/エステル油系グリース( 40 ℃基油粘度 33 mm2/s 、混和ちょう度 250 )、ウレア/エーテル系グリース( 40 ℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 300 )を得た。さらに、極圧剤として無機ビスマスを、表1に示す割合で上記グリースに添加して、各実施例のグリースを作製した。得られたグリースにつき、以下に記す極圧性評価試験およびころ軸受試験を行なった。結果を表1に併記した。
反応容器中で、基油中に増ちょう剤を加え、3本ロールミルを用いて均一化処理して、表2に示すLi石けん/鉱油系グリース( 40 ℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 220 )、ウレア/PAO系グリース( 40 ℃基油粘度 46 mm2/s 、混和ちょう度 280 )、Li石けん/エステル油系グリース( 40 ℃基油粘度 30 mm2/s 、混和ちょう度 250 )、ウレア/エーテル系グリース( 40 ℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 300 )を得た。さらに、極圧剤として、有機ビスマス、MoDTCまたは亜鉛粉末を、表2に示す割合で上記グリースに添加して、各比較例のグリースを作製した。得られたグリースにつき、実施例と同様にして極圧性評価試験およびころ軸受試験を行なった。結果を表2に併記した。
極圧性評価試験装置を図3に示す。評価試験装置は、回転軸18に固定されたφ40×10 のリング状試験片19と、この試験片19と端面21て端面同士が擦り合わされるリング状試験片20とで構成される。ころ軸受用グリースを端面21部分に塗布し、回転軸5を回転数 2000 rpm、図3中右方向Aのアキシアル荷重 490 N 、ラジアル荷重 392 N を負荷して、極圧性を評価した。極圧性は両試験片のすべり部の摩擦摩耗増大により生じる回転軸18の振動を振動センサにて測定し、その振動値が初期値の 2 倍になるまで試験を行ない、その時間を測定した。
回転軸18の振動値が初期値の 2 倍になるまでの時間が長いほど極圧性効果が大となり、優れた耐熱耐久性を示す。したがってグリースの耐熱耐久性の評価は、測定された上記時間の長さにて各実施例と各比較例とを対比させて行なった。
ころ軸受試験:
30206円すいころ軸受にグリースを 3.6 g 封入し、アキシアル荷重 980 N 、回転数 2600 rpm 、室温にて運転し、回転中のつば部表面温度を測定した。運転開始後、 4 〜 8 時間までのつば部表面温度の平均値を算出した。
つば部と「ころ」との間に発生するすべり摩擦が大きくなると回転中のつば部表面温度は上昇する。そのためグリースの耐熱耐久性の評価は、測定された上記温度の高さにて各実施例と各比較例とを対比させて行なった。上記温度の高さが 70 ℃未満であることが、グリースの耐熱耐久性を有する基準とした。
実施例2および比較例5において、三酸化ビスマスは、有機ビスマスに比して約 3 倍の耐熱耐久性を示すことがわかる。これらのことから無機ビスマスが有機ビスマスよりも耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果を長時間持続することができることによるものと考えられる。
また、硫酸ビスマス、三酸化ビスマスおよびビスマス粉末の中では、ビスマス粉末が最も良好な耐熱耐久性を示した。
また、実施例8および比較例4に示すように、ウレア/エーテル系グリースの場合、三酸化ビスマスを極圧剤として用いると極圧剤を使用しない場合に比して約 6 倍の耐熱耐久性を示した。以上のことから、硫酸ビスマスおよび三酸化ビスマスといった無機ビスマスが極圧性効果を長時間持続することがわかる。
2 フランジ
3 アクスル
4 円すいころ軸受
5 アクスルハブ
13 外輪
14 内輪
15 保持器
16 円すいころ
18 回転軸
19、20 リング状試験片
21 端面
Claims (5)
- アクスルの外径面上に取付けられたグリース封入転がり軸受によって車輪と共に回転する回転部材を回転自在に支持する車輪支持装置において、前記グリースは基油と、増ちょう剤と、無機ビスマスとを含み、該無機ビスマスが、前記グリース全体に対して 0.01 〜 15 重量%配合されていることを特徴とする車輪支持装置。
- 前記無機ビスマスは、硫酸ビスマス、三酸化ビスマスおよびビスマス粉末から選ばれた少なくとも1つの無機ビスマスであることを特徴とする請求項1記載の車輪支持装置。
- 前記基油は、ポリ-α-オレフィン油および鉱油から選ばれた少なくとも1つの油からなりかつ 40 ℃における基油の動粘度が 30 〜 200 mm2/s であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車輪支持装置。
- 前記増ちょう剤は、ウレア系化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の車輪支持装置。
- 前記グリース封入転がり軸受は、スラスト摺動面を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の車輪支持装置。
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