JP4335182B2 - 車輪支持装置 - Google Patents
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Description
また、ステアリングナックルに設けられたフランジにバックプレートを取付け、そのバックプレートによってブレーキドラムに制動力を付与する制動機構を支持するようにしている。
上記のような車輪支持装置においては、アクスルハブを回転自在に支持する転がり軸受として、負荷容量の大きい剛性の高い円すいころ軸受が用いられる。この円すいころ軸受は、アクスルとアクスルハブ間に充填されたグリースによって潤滑される。
そのため、高速、高荷重下での潤滑性および耐荷重性を向上させ、潤滑油膜破断による金属接触を防止する必要があり、極圧剤含有グリースを使用して、その不具合を軽減している。
しかしながら、ころ軸受の使用条件がdN値 10 万以上という高速条件下での潤滑など過酷になるにつれて、従来のグリースではころ軸受の使用が困難になるなどの問題がある。
車輪支持装置用ころ軸受は、内、外輪の転走面と転動体である「ころ」との間にころがり摩擦が、つば部と「ころ」との間にすべり摩擦が発生する。ころがり摩擦に比べるとすべり摩擦は大きいので、使用条件が過酷になるとつば部の焼付きが生じやすくなる。そのためグリースの交換作業等が頻繁になりメンテナンスフリー化を達成できないという問題がある。
上記ビスマス粉末の平均粒子径は、10〜200μm であることを特徴とする。
上記基油は、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと略称する)油、鉱油、エステル油およびエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油からなり、かつ、40℃における基油の動粘度が 30〜200 mm2/s であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ウレア系化合物であることを特徴とする。
本発明の車輪支持装置は、上記グリース封入転がり軸受が、スラスト摺動面を有することを特徴とする。
アクスルハブ5は、外径面にフランジ6を有し、そのフランジ6に設けたスタッドボルト7と、そのスタッドボルト7にねじ係合したナット8によってブレーキ装置のブレーキドラム9、および車輪のホイールディスク10が取付けられている。11はホイールディスク10の外径面に取付けられたリムを示し、そのリム上にタイヤが取付けられる。
アクスルハブ5を回転自在に支持する前記一対の円すいころ軸受4a、4bは、アクスルハブ5内に充填されたグリースによって潤滑される。その円すいころ軸受4bから外部にグリースが漏洩したり、外部から泥水が浸入するのを防止するため、アクスルハブ5の外側端面に円すいころ軸受4bを覆うようにしてグリースキャップ17が取付けられている。
また、ビスマス粉末の添加量は、グリース全体に対し 0.01〜15 重量%である。好ましくは 1〜10 重量%である。添加量が 0.01 重量%未満では、耐摩耗性の向上効果が発揮されず、また、15 重量%をこえると、回転時のトルクが大きくなって、発熱が増大し、回転障害を生じるためである。
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
基油にウレア系化合物を配合して各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。ベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
式(1)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
反応容器中で、基油中に増ちょう剤を加え、3 本ロールミルを用いて均一化処理して、表1に示すLi石けん/鉱油系グリース( 40℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 220 )、ウレア/PAO油系グリース( 40℃基油粘度 46 mm2/s 、混和ちょう度 280 )、Li石けん/エステル油系グリース( 40℃基油粘度 33 mm2/s 、混和ちょう度 250 )、ウレア/エーテル油系グリース( 40℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 300 )を得た。
さらに、ビスマス粉末を、表1に示す割合で上記グリースに添加して、各実施例のグリースを作製した。得られたグリースにつき、以下に記す極圧性評価試験およびころ軸受試験を行なった。結果を表1に併記した。
反応容器中で、基油中に増ちょう剤を加え、3本ロールミルを用いて均一化処理して、表2に示すLi石けん/鉱油系グリース( 40℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 220 )、ウレア/PAO油系グリース( 40℃基油粘度 46 mm2/s 、混和ちょう度 280 )、Li石けん/エステル油系グリース( 40℃基油粘度 30 mm2/s 、混和ちょう度 250 )、ウレア/エーテル油系グリース( 40℃基油粘度 100 mm2/s 、混和ちょう度 300 )を得た。
さらに、ビスマス粉末、モリブデンジチオカーバメートまたは亜鉛粉末を、表2に示す割合で上記グリースに添加して、各比較例のグリースを作製した。得られたグリースにつき、実施例と同様にして極圧性評価試験およびころ軸受試験を行なった。結果を表2に併記した。
極圧性評価試験装置を図3に示す。評価試験装置は、回転軸18に固定されたφ40×10 のリング状試験片19と、この試験片19と端面21て端面同士が擦り合わされるリング状試験片20とで構成される。ころ軸受用グリースを端面21部分に塗布し、回転軸5を回転数 2000 rpm、図3中右方向Aのアキシアル荷重 490 N 、ラジアル荷重 392 N を負荷して、極圧性を評価した。極圧性は両試験片のすべり部の摩擦摩耗増大により生じる回転軸18の振動を振動センサにて測定し、その振動値が初期値の 2 倍になるまで試験を行ない、その時間を測定した。
回転軸18の振動値が初期値の 2 倍になるまでの時間が長いほど極圧性効果が大となり、優れた耐熱耐久性を示す。したがってグリースの耐熱耐久性の評価は、測定された上記時間の長さにて各実施例と各比較例とを対比させて行なった。
30206円すいころ軸受にグリースを 3.6 g 封入し、アキシアル荷重 980 N 、回転数 2600 rpm 、室温にて運転し、回転中のつば部表面温度を測定した。運転開始後、4〜8 時間までのつば部表面温度の平均値を算出した。
つば部と「ころ」との間に発生するすべり摩擦が大きくなると回転中のつば部表面温度は上昇する。そのためグリースの耐熱耐久性の評価は、測定された上記温度の高さにて各実施例と各比較例とを対比させて行なった。上記温度の高さが 70℃未満であることが、グリースの耐熱耐久性を有する基準とした。
2 フランジ
3 アクスル
4 円すいころ軸受
5 アクスルハブ
13 外輪
14 内輪
15 保持器
16 円すいころ
17 グリースキャップ
18 回転軸
19、20 リング状試験片
21 端面
Claims (5)
- アクスルの外径面上に取付けられたグリース封入転がり軸受によって車輪と共に回転する回転部材を回転自在に支持する車輪支持装置において、前記グリース封入転がり軸受に封入するグリースは基油と、増ちょう剤と、ビスマス粉末とを含み、
前記増ちょう剤は、金属石けん系増ちょう剤およびウレア系化合物から選ばれた少なくとも一つの増ちょう剤であり、
前記ビスマス粉末が、前記グリース全体に対して 0.01〜15 重量%配合されていることを特徴とする車輪支持装置。 - 前記ビスマス粉末の平均粒子径は、10〜200μm であることを特徴とする請求項1記載の車輪支持装置。
- 前記基油は、ポリ-α-オレフィン油、鉱油、エステル油およびエーテル油から選ばれた少なくとも1つの油からなり、かつ、40℃における基油の動粘度が 30〜200 mm2/s であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車輪支持装置。
- 前記増ちょう剤は、ウレア系化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の車輪支持装置。
- 前記グリース封入転がり軸受は、スラスト摺動面を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の車輪支持装置。
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