JP2006008418A - 水素製造装置及び燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 改質器の起動時又は停止時の触媒劣化を防止できる水素製造装置及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 炭化水素原料から水素を製造する改質器18と、水を貯蔵するタンク24と、前記タンク24から供給される水から水素を生成する水電気分解槽30と、前記水電気分解槽30が生成した水素を、前記改質器18に供給する水素供給ラインと、を具備することを特徴とする水素製造装置10、及びこの水素製造装置10を有する燃料電池システム40。改質器18の起動時又は停止時に、水電気分解槽30で生成した水素を供給するので、触媒の劣化を防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素製造装置、燃料電池システム及び水素製造装置の起動及び停止方法に関する。
燃料電池の代表的なものとして、水素と酸素の化学反応により発電を行うものがある。この化学反応による燃料電池は、空気汚染物質を排出しないクリーンな発電システムであり、また、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高効率な発電システムであることから、次世代の発電システムとして積極的な開発が行われている。
燃料電池システムの活用の一態様として、燃料電池システムを病院、ホテル等の各施設、工場、家庭等に分散して設置することが検討されている。この活用態様では、現在のように電線による送電が不要となるため送電ロスがなく、また、発電によって発生する排熱も熱源として有効利用できるため、高効率なエネルギーシステムとなる。
燃料電池システムでは、天然ガス、アルコール類、灯油等の炭化水素系燃料等から水素を発生させ、燃料電池本体の燃料極に供給して発電する方法が一般的である。
炭化水素系燃料から水素を製造する方法には、水蒸気改質法、オートサーマル改質法等の方法がある。これらの方法では、燃料を改質触媒の充填されている改質器に通すことで水素を発生させる。
燃料電池システムは、電力の重要に応じて、システムを起動及び停止させることが必要である。これに対応して、改質器の起動及び停止が行われる。
しかし、改質器の起動時に改質触媒の酸化劣化が生じる問題があった。これに対し、シリンダーに貯蔵した水素を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、シリンダーを用いるとシステムが大型化し、また、常時水素を貯蔵するのは危険である。改質器の水素を使用する方法は、COガスが混入しているため好ましくない。
さらに、改質器の停止時に温度が低下し負圧によって空気が流入すると、改質触媒及びCO変性触媒の劣化を引き起こす問題があった。これに対して、停止時に窒素を封入する方法が用いられるが、ボンベを設置する必要が有り、システムが大きくなる。また、停止時に、改質された酸素濃度の少ない部分燃焼ガスを用いる方法も提案されているが(例えば、特許文献2)、貯蔵用のタンクを必要としシステムが複雑になる。原料のガスを封入する方法もあるが、原料が灯油のような液体燃料の場合は使用できない。また、水蒸気で可燃ガスをパージした後、空気を導入する方法も提案されている(例えば、特許文献3)。
さらに、改質器の停止時には内部の水分が露結して触媒が濡れ、劣化する問題もあった。
特開2002−117886号公報 特開2003−2605号公報 特開2002−8701号公報
本発明の目的は、改質器の起動時又は停止時の触媒劣化を防止できる水素製造装置及び燃料電池システムを提供することである。
本発明によれば、炭化水素原料から水素を製造する改質器と、水を貯蔵するタンクと、前記タンクから供給される水から水素を生成する水電気分解槽と、前記水電気分解槽が生成した水素を、前記改質器に供給する水素供給ラインと、を具備することを特徴とする水素製造装置が提供される。
この水素製造装置では、改質器の起動時に、水電気分解槽で生成した水素を供給できるので、触媒を還元雰囲気で保っていることにより、触媒の劣化を防ぐことができる。改質器の停止時にも、水電気分解槽で生成した水素を供給できるので、空気の流入を防ぐことができ、その結果、触媒の劣化を防ぐことができる。また、水素による換気で、内部雰囲気が露点以上に湿度が上がり、触媒が濡れることも防止できる。
さらに、ボンベ等を必要としないので、コンパクト化が可能である。水素を必要時のみ製造することにより、常時水素を貯蔵する場合と比べ安全性を高くできる。
好ましくは、本発明の水素製造装置は、前記タンクから供給される水を水蒸気にするボイラーと、前記ボイラーにより生成された水蒸気を、炭化水素原料と共に前記改質器に供給する供給ラインと、をさらに具備する。即ち、改質器に炭化水素原料と共に水蒸気を供給し、その水蒸気の原料となる水を蓄えるタンクから、一部の水を水電気分解槽に供給して、水素を生成する。
このように、改質器に供給する水蒸気源の水と、水電気分解槽に供給する水を、1つのタンクが貯蔵することにより、装置をコンパクトにできる。
さらに、本発明によれは、上記の水素製造装置を有することを特徴とする燃料電池システムを提供できる。
本発明の水素製造装置を用いることにより、燃料電池システムの起動時及び/又は停止時に伴う、改質器の起動時及び/又は停止時の触媒劣化を防ぐことができる。
本発明によれば、炭化水素原料から水素を製造する改質器を有する水素製造装置において、前記改質器の起動時に、水電気分解槽が生成した水素を前記改質器に供給することを特徴とする水素製造装置の起動方法を提供できる。
この起動方法では、改質器の起動時に、水電気分解槽で生成した水素を供給できるので、触媒の劣化を防ぐことができる。
本発明によれば、炭化水素原料から水素を製造する改質器を有する水素製造装置において、前記改質器の停止時に、水電気分解槽が生成した水素を前記改質器に供給することを特徴とする水素製造装置の停止方法を提供できる。
この停止方法では、改質器の停止時に、水電気分解槽で生成した水素を供給できるので、空気の流入を防ぐことができ、その結果、触媒の劣化を防ぐことができる。また、水素による換気で、内部雰囲気が露点以上に湿度が上がり、触媒が濡れることも防止できる。
本発明によれば、改質器の起動時又は停止時の触媒劣化を防止できる水素製造装置及び燃料電池システムが提供できる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる水素製造装置及び燃料電池システムの構成を示す図である。
この図に示すように、燃料電池システム40は、水素製造装置10、燃料電池スタック50、気水分離器56から主に構成されている。
まず、水素製造装置10について説明する。
水素製造装置10は、原料タンク12、脱硫器14、脱硫原料タンク15、気化器16、ボイラー17、改質器18、改質器バーナー19、CO変成器20、CO除去器22、循環水タンク24、エア供給源26、ブロワー27、水電気分解層30から主に構成されている。
原料タンク12には、水素の原料、及び、改質器18を加熱する改質器バーナー19の燃料、となる炭化水素原料が貯えられている。この炭化水素原料は、ポンプP1及びP2により汲み上げられ、脱硫器14及び改質器バーナー19にそれぞれ供給される。このように原料タンクを共通にすることにより、システム全体を小型化することができる。
炭化水素原料としては、例えば、メタン、LPG(液化天然ガス)、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等が挙げられる。これらのうち、輸送が容易な液体燃料の中では供給網が発達し、全国各地で入手が容易であること、また、ガソリン等と比較して取り扱い易いことから、灯油が好ましい。
脱硫器14は、改質器18内の改質触媒の硫黄被毒を防止するため、炭化水素原料中の硫黄成分を除去するものである。脱硫器14の内部には、脱硫剤が充填されている。
脱硫剤としては、例えば、活性炭、ゼオライト又は金属系の吸着剤等が好ましい。原料が灯油等の重質の炭化水素である場合は、特開2001−279255号公報に示すように、Ni系あるいはNi−Cu系脱硫剤が好ましい。
脱硫された炭化水素原料(脱硫原料)は、脱硫原料タンク15に貯えられた後、ポンプP3により汲み上げられ、気化器16に供給される。
気化器16は、脱硫原料を気化させるものである。脱硫原料は、ボイラー17から供給されたスチームと混合され、改質器18に供給される。
スチーム源の水は、循環水タンク24からポンプP4により汲み上げられ、ボイラー17に供給される。
改質器18は、脱硫原料から水素を発生させる装置であり、その内部には改質器バーナー19と、改質触媒(図示せず)が設けられている。改質器バーナー19には、上述のように原料タンク12から燃料用の炭化水素原料が供給されると共に、エア供給源26から供給された燃料燃焼用のエアがブロワー27によって供給される。
改質触媒は、例えば、Ru,Rh,Pt,Pd等の貴金属や、Ni,Co等の金属を、活性金属成分として用いている。この中で、特にRuを活性金属成分とした触媒が好ましく用いられる。
水素と共に改質器18から発生する高温の排気ガスは、スチームを発生させるボイラー17の熱源として利用される。これにより、システム全体のエネルギー効率を高めることができる。
CO変成器20は、改質器18において水素と共に発生した一酸化炭素を、二酸化炭素に変成させる装置であり、その内部にはシフト触媒(CO変成触媒)が設けられている。
シフト触媒としては、特に限定されないが、Pt等の貴金属や、Cu、Zn、Fe等の金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
CO除去器22は、CO変成器20によって変成されなかった一酸化炭素を除去する装置であり、その内部にはプロックス触媒(CO除去触媒)が設けられている。CO除去器22の手前では、エア供給源26から供給された、一酸化炭素を酸化除去するためのエアがブロワー27によって供給される。
プロックス触媒としては、特に限定されないが、Ru、Pt、Au等の貴金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
シフト触媒及びプロックス触媒の触媒反応は発熱反応であるため、CO変成器20及びCO除去器22の内部には、除熱のため、冷却水を流す流路(冷却水流路)が設けられている。冷却用の水は、循環水タンク24からポンプP5により汲み上げられ、CO変成器20及びCO除去器22の内部の冷却水流路を通過した後、気化器16へと繋がる流路を通り、改質器18に供給される。本実施形態では、このように、反応器の冷却水として利用した水を、反応器の反応原料としても利用することができる。
水電気分解槽30は、水を電気分解して水素を発生させる。原料となる水は、必要時に、切替弁V1を開いて、循環水タンク24からポンプP6により汲み上げられて水電気分解槽30に供給される。生成した水素は、必要時に、改質器18に供給される。
即ち、改質器18を起動させるときに、切替弁V1を開いて、水電気分解槽30で水素を生成させ、この水素を供給する。改質器18に水素を供給しながら起動することにより、改質触媒の起動時の酸化劣化を防止できる。
具体的な起動(スタートアップ)手順例について説明する。
まず、改質器バーナー19を着火する。各触媒温度(改質、シフト、プロックス)が100℃以上であることを確認する。次に、水電気分解槽30を始動し、改質器18の内部に水素を導入する。循環水タンク24からボイラー17へ、水の供給を開始する。この段階で、改質触媒温度が650℃以上であることを確認する。確認されたら、原料タンク12から、炭化水素原料(灯油)の供給を開始する。そして、水電気分解槽30からの水素の供給を停止する。次に、エア供給源26から、CO除去器22へエアの供給を開始する。このようにして、改質ガスの生成が始まる。改質ガスを燃料電池スタック50に供給し、スタックの発電が開始する。
さらに、改質器18を停止させるときに、切替弁V1を開いて、水電気分解槽30で水素を生成させ、この水素を供給する。水素を供給することにより、改質器18の内部の温度が低下し、内部に触媒にとって有害な空気の流入を防止することができる。また、水素による換気により内部雰囲気が露点以上に温度が上がらないように調整でき、触媒がぬれることによる性能低下を防止できる。特に、停止時に内部を水素で封入しておけば、空気の流入をより完全に防ぐことができる。
具体的な停止(シャットダウン)手順例について説明する。
まず、原料タンク12から、炭化水素原料(灯油)の供給を停止する。次に、エア供給源26から、CO除去器22へエアの供給を停止する。水電気分解槽30を始動し、改質器18の内部に水素を導入する。水素導入によるスチームパージを約5分続ける。循環水タンク24からボイラー17への水の供給を停止する。さらに、水電気分解槽30から水素を供給してスチームを追い出す。尚、改質器18の内部が負圧にならないように、圧力に応じて水電気分解槽30からの水素の供給を制御する。このようにして、シャットダウンが完了する。
本実施形態の燃料電池システム40では、水素製造装置10で製造された水素が、燃料電池スタック50のアノード52に供給される。また、燃料電池冷却用の水が、循環水タンク24から、ポンプP6により汲み上げられ、燃料電池スタック50に供給される。この水は、循環水タンク24に回収され、再利用される。
一方、燃料電池スタック50のカソード54には、エア供給源26から供給されたエアがブロワー27によって供給される。これにより、燃料電池スタック50において、水素とエア(酸素)が反応し、直流電力が発生する。このとき、アノード52で余った水素は、改質器バーナー19の原料として再利用される。また、燃料電池スタック50における反応で発生した水と排気ガスは、気水分離器56で分離され、排気ガスについては系外に排気され、水については、循環水タンク24に供給され、再利用される(図示せず)。
上述したように、本実施形態の水素製造装置又は燃料電池システムでは、改質器18の起動時又は停止時に、水電気分解槽30で生成した水素を供給するので、触媒の劣化を防ぐことができる。また、ボンベ等を必要としないので、コンパクト化が可能である。さらに、水素を必要時のみ製造すれば、常時水素を貯蔵する場合と比べ安全性が高い。
尚、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲において、種々の改良、変更が可能である。例えば、実施形態における気化器、脱硫原料タンク等を省いしてもよいし、燃料電池の形式や水素分離膜の採用によっては、CO変成器、CO除去器を省いてもよい。
本発明は、炭化水素を原料とする燃料電池システムを含む各種燃料処理システムに好適である。
本発明の一実施形態にかかる水素製造装置及び燃料電池システムの構成を示す図である。
符号の説明
10 水素製造装置
12 原料タンク
15 脱硫原料タンク
14 脱硫器
16 気化器
17 ボイラー
18 改質器
19 改質器バーナー
20 CO変成器
22 CO除去器
24 循環水タンク
26 エア供給源
27 ブロワー
30 水電気分解槽
40 燃料電池システム
50 燃料電池スタック
52 アノード
54 カソード
56 気水分離器

Claims (5)

  1. 炭化水素原料から水素を製造する改質器と、
    水を貯蔵するタンクと、
    前記タンクから供給される水から水素を生成する水電気分解槽と、
    前記水電気分解槽が生成した水素を、前記改質器に供給する水素供給ラインと、を具備することを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記タンクから供給される水を水蒸気にするボイラーと、
    前記ボイラーにより生成された水蒸気を、炭化水素原料と共に前記改質器に供給する供給ラインと、をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の水素製造装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の水素製造装置を有することを特徴とする燃料電池システム。
  4. 炭化水素原料から水素を製造する改質器を有する水素製造装置において、
    前記改質器の起動時に、水電気分解槽が生成した水素を前記改質器に供給することを特徴とする水素製造装置の起動方法。
  5. 炭化水素原料から水素を製造する改質器を有する水素製造装置において、
    前記改質器の停止時に、水電気分解槽が生成した水素を前記改質器に供給することを特徴とする水素製造装置の停止方法。
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