この課題は請求項1に記載の方法及び特にこの方法の実施のための請求項8に記載のジェットルームによる第1の解決策によって解決される。別の解決策が請求項20に記載の方法及び特にこの方法の実施のための請求項24に記載のジェットルームに示されている。これらの異なる独立の解決策の実施態様が当該の請求項の主題である。
こうして請求項1に記載の本発明の第1の解決策は、ジェットルーム特にエアジェットルームのメインノズルの混合管内のよこ糸を、たて糸によって形成されたひ口への挿入の前に保持するための方法において、柔軟に形成された混合管の小区域を外側から圧力媒質を作用させて圧縮し、よこ糸を締付けて保持する方法である。
この方法によれば、柔軟に形成された混合管の小区域を圧力媒質が圧縮することによって、純液圧式又は空気圧式操作が行われる。よこ糸は締付けて保持される。この締付け方式はよこ糸に不都合な変性を生じない。締付けはこの点で問題ないが、保持空気は糸を比較的急速に、しかも不都合に変性させることが判明した。圧縮空気を直接働かせて混合管の柔軟な小区域を圧縮することは、極めて慣性の少ない操作を可能にし、当該の装置は場所を取らずに格納される。さらにこの操作方式では運転中に混合管の振動を生じる恐れのある機械的衝撃がほとんど回避される。
本発明に基づく方法の有利な改良によれば、締付けはおおむね混合管の出口区域で行われる。この締付け方式では、保持空気を働かせなくても、よこ糸を混合管のほぼ中心に配置することが保証される。挿入のためによこ糸が解放される時に、こうしてよこ糸を適正な位置でひ口に挿入するための有利な前提が与えられる。
本発明に基づく方法の一層の最適化のために、柔軟に形成された混合管の小区域を圧力媒質によって、よこ糸が縦中心軸の区域で締付けられるように縦中心軸の方向に変形することが好ましい。例えばドイツ特許公開第3200638号による既知のジェットルームでは、正反対の側で相対する2個の往復運動部材が設けられ、柔軟かつ弾性的に形成された小区域を均等にではなく、不規則に変形して圧縮することしかできないが、本方法では正確に中心対称な均一な圧縮が行われる。よこ糸は正確に混合管の中心軸で締付けられ、保持される。締付け装置はいわば中心ストッパをなし、よこ糸を中心対称に整列し、それによってひ口への挿入のための最適な前提を作り出す。
別の実施態様に基づき締付けの解除とよこ糸の解放を速めるために、外側から制御に基づき混合管の柔軟な小区域に低圧を働かせることによって、本発明方法による、いずれにせよ極めて慣性の少ない操作が一層改善される。
実験が明らかにしたところでは、制御に基づき締付け作用を解除し、同時に別のよこ糸を新たにひ口に挿入するために打込み空気をよこ糸に作用させる時に、よこ入れのために混合管の弾性小区域に流入するメインノズルの打ち込み空気が小区域の弛緩を助けるのだが、小区域はさほど十分に急速に解放されない。不利な場合には、その結果よこ入れ時によこ糸が柔軟な小区域の内壁となお接触し、そこに摩耗痕を残すことになる。このため締付け装置の機能と寿命が恒久的に低下する。締付けの解除の際に低圧を働かせることよって、こうして起こる欠点が確実に回避される。
その場合、混合管の柔軟な小区域を2.0バール未満の過圧の圧縮空気により締付けのために制御し、−50.0バール未満の低圧の圧縮空気により解放するのが有利であることが判明した。
前述のように、混合管の縦中心軸かつ出口の区域で締付ければ、続いてよこ糸を適正な位置でひ口に挿入するための最良の前提が与えられる。しかし、ひ口に進入する前のよこ糸の一切の望ましくない変位を排除し、さらに必要な伸張を得るために、締付けの解除とひ口へのよこ糸の挿入との間の短い過渡期に、従来どおり縦に流れる保持空気によってよこ糸を一時的に保持することができる。そのために本発明方法の有利な実施態様によれば、所定のよこ糸はひ口への挿入の前に、柄に基づき次のよこ糸として挿入される時に初めて、締付けを開いて保持空気により保持される。
具体的には、直前に挿入されたよこ糸の受取側への到着と次のよこ糸の挿入の前の圧力パルスの放出との間だけ、よこ糸が保持空気により保持されるように構成することができる。
本発明方法のこの実施態様は、もちろん多色よこ入れで極めて重要である。柄が必要とすれば、そのために特定のよこ糸に比較的長い待機時間が割当てられるからである。そこで、このよこ糸は全待機時間の間もっぱら締付けによって保持される。この時間に保持空気は必要でなく、従ってよこ糸の変性という保持空気の不都合な作用もなくなる。1本のよこ糸が直前に挿入され、保持された当該のよこ糸の挿入が差し迫っている時に初めて、このよこ糸を挿入のために最適な状態にし、かつ混合管内の適正な位置に置くために、保持空気により短時間のあいだ保持するのである。
本発明に基づく方法によれば、よこ糸がメインノズルから滑脱せず、しかもその後の挿入のためになるべく最適な位置を保つように、よこ糸を所定の締付け力で保持する。本発明の方法によれば、従来ジェットルーム、特にエアジェットルームで全く又は簡単に製織できなかった種類の糸でも、高級品質の織物に織成することが可能である。例えばシェニールヤーン及び加撚した弾性繊維がこれに属する。本発明に基づく方法により、今やこれらの糸を特にエアジェットルームで比較的問題なく加工することができる。
所定の柄を織成するために、異なる色のよこ糸を挿入する場合にこの方法を使用することが特に好ましい。本発明方法の重要な利点は、通常各色に割当てられる複数個のメインノズルでリピートに従って、よこ糸の締付けが柄に応じて行われることである。その場合、よこ糸はその挿入の直前までの全よこ入れ「待機時間」のあいだ締付けて保持される。
中心対称締付けの場合は、いずれにしてもよこ糸を適正な位置に挿入するための良好な前提が与えられるから、保持空気による短時間の保持は補助最適化をなすに過ぎない。しかし一定の糸張力の維持は高級品質の織物のための重要な基準であり、保持空気で保持することによって特に見事に達成されることが判明した。その場合、よこ糸は必要な糸張力と混合管内の最適な位置を得る。よこ糸の挿入が直前に迫っている時だけ保持空気が必要である本発明方法の場合は、保持空気の作用時間がごく短いため、保持空気によるよこ糸の不利な変性が避けられる。
また本発明の根底にある課題は、インゼクタ、圧縮空気接続部及びインゼクタに接続する混合管からなる少なくとも1個のメインノズルと、混合管に配置され、混合管の柔軟に形成された小区域からなり、混合管内にあるよこ糸を混合管の内壁に締付けるために使用される締付け装置と、小区域が所定の圧力Pの圧力媒質の作用で圧縮されてよこ糸を締付け、圧力の解除で再び元の位置に戻るように、柔軟に形成された混合管の小区域に圧力媒質を作用させる装置とを有する、特に請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法の実施のためのジェットルームによって解決される。
本方法に関連してすでに説明したように、ジェットルームのこのような構造は慣性の少ない、コンパクトな、ほとんど無振動の機能を可能にする。従ってこのような構造は種々の色の織柄を作成するのに特に適している。その場合は多数のメインノズルと所属の混合管をコンパクトな配列に構成しなければならないのである。しかも液圧又は空気圧力媒質、とりわけ圧縮空気による操作と制御は低振動運転をもたらすから、個々の混合管は連続運転中もひ口に関して最適な正確な位置をほぼ取りつづけることができる。
その場合、締付け装置が空気圧又は液圧筋肉の形の中心ストッパであれば好都合である。この場合、空気圧又は液圧筋肉が混合管のおおむね縦中心軸の区域でよこ糸を締付ける実施形態が好ましい。
液圧又は空気圧筋肉は、混合管の小区域を柔軟な高弾性材料で作成することによって実現される。その場合、圧力媒質、とりわけ圧縮空気は筋肉に対して外側から均一に、かつ中心対称に作用するから、混合管の縦中心軸の区域での締付けが極めて確実に実現される。
その場合、空気圧又は液圧筋肉は混合管の第1の部分と第2の部分の間に配置され、2つの混合管部分を気密に結合し、圧力媒質は周囲の隔室の中で筋肉に作用する。
別の実施形態に基づき締付け装置を混合管のノズル開口部に配置することによって、適正な位置での最適なよこ糸保持が得られる。
よこ糸の挿入のためにメインノズルのインゼクタで放出される圧力パルスが締付け装置の締付け作用を解除するように、空気圧又は液圧筋肉を制御することができる。
いずれにしても、ひ口へのよこ糸の挿入の前に締付けを解除しなければならないから、この構造は好都合である。
また空気圧又は液圧筋肉の迅速な圧力解除のために、隔室が低圧源に接続されるように構成することが好ましい。
こうして単に外側から筋肉への過圧の作用を終わらせることによって締付け作用を解除するだけでなく、むしろ同時に筋肉内部に圧縮空気を吹き込み、さらに筋肉を取り囲む隔室が低圧の作用を受けるようにすることができる。
このために必要な接続は電磁方向弁によって行うことができ、低圧源として真空ポンプを利用することができる。
有利な別の実施形態は、本発明に基づくジェットルームが圧縮空気源からインゼクタへ、及び圧力センサを備えた締付け装置への圧縮空気の供給の際に協調した共同動作を行わせる制御装置を備えるものである。その場合、圧縮空気が締付け装置の圧力媒質として利用される。
メインノズルと締付け装置の操作をこのようにリンクさせれば、コンパクトに形成され、経済的に動作する制御装置が生じる。
またその場合、よこ糸の挿入の直前に締付け装置が開放位置に保持され、締付け装置が開いた時だけ、保持空気がインゼクタを経て混合管に導入されるように構成することが好ましい。
この構成では、よこ糸が「待機時間」のうち最大の期間のあいだ、空気圧又は液圧筋肉で締付けて保持される。よこ入れの直前だけ保持空気による保持が行われ、それによってよこ糸の位置及び状態がひ口への挿入のために最適に準備される。先行技術と比較して、糸が保持によって不都合な変性を生じる危険がこうして決定的に減少される。
よこ糸のひ口への挿入が行われた後、挿入方向でよこ糸が切断装置により切断される。メインノズルのインゼクタが放出する圧力パルスが再び低下し、筋肉を取り囲む隔室の圧力が優勢になり、よこ糸を再び締付け部で締付ける時点で、切断が行われる。締付け装置の開閉の制御は、筋肉を形成する弾性ホース片の性質に応じて、もっぱらインゼクタの圧力パルスと筋肉を取り囲む隔室の圧力との圧力差を選択することによって行われる。
メインノズルのインゼクタが放出する圧力及びよこ糸の保持のために筋肉を圧縮する圧力媒質の圧力の最大圧に関するこのような圧力均衡式又は圧力調整式システムは、高速エアジェットルームの特に急速に交替するサイクル、即ちこの場合は製織サイクルに特に適している。
最後に、よこ糸がよこ入れ終了の直前にブレーキを掛けられ、制動されたまま締付け装置をすべり抜ける程度に、締付け装置をよこ入れのこの段階のあいだ閉じるように制御装置を構成することによって、本発明に基づくジェットルームをさらに有利に改良することができる。それは圧力パルス又は圧力パルスの波形と締付け装置を取り囲む隔室の圧力又は圧力の推移との間の圧力差を計画的に制御することによって得られる。その場合、締付け装置はよこ入れ終了の直前の期間のあいだブレーキとして作用する。
上記の圧力差の設定に基づき、このブレーキ装置によってよこ入れ時に高い速度に加速されるよこ糸の運動エネルギーが糸にやさしく解消される。よこ糸の末端が通常予備巻取り器のストップ装置に向けられるよこ糸運動(リバウンド)がこうしてほとんど回避される。制動作用に関して最適化され、糸ブレーキの役割をするこのような締付け装置によって、よこ糸のストップ部材へのリバウンド(ゆるみ)を防止することができ、しかも−先行技術で通例のように−高いリレーノズル圧力、伸縮ノズルの使用及び/又は屑糸長の増大をもたらすことはない。その場合、ゆるやかな制動時の締付け作用は、よこ糸が締付け装置をソフトにすべり抜け、糸自体が変性しないように、圧力差によって制御される。よこ糸の種類と品質に応じて制動作用が最適に調整されるように、隔室の圧力又は圧力の推移と圧力パルス又は圧力パルスの波形との間の同調が見事に実現されることが判明した。この作用は織物品質を低下することなく実現される。織物の品質はブレーキなしのよこ入れと比較して明らかに改善されたから、むしろその逆である。
インゼクタが予備パルスを放出し、圧力センサがこれを検出し、締付けの解除のトリガとして利用することも可能である。予備パルスが筋肉を取り囲む隔室の圧力より所定の値だけ大きく、予備パルスの持続時間が少なくともよこ入れ時間に相当するように、予備パルスの振幅を選定する。
本発明の別の独立の提案によれば、冒頭に挙げた課題の解決のために、ジェットルーム、特にエアジェットルームのメインノズルの混合管内のよこ糸を、たて糸によって形成されたひ口へのよこ糸の挿入の前に保持するための方法において、横から吹き込まれる圧縮空気によってよこ糸を混合管の内壁に締付ける方法を提案する。
この場合、方法に関する第1の解決策との相違は、作用する圧縮空気がもはや混合管の柔軟な弾性部分片を介して締付けを生じるのではなく、よこ糸を混合管の内壁に直接に締付けることにある。
本発明に基づくこの構成は、構造上特に簡単な方法を可能にする。横から流入する圧縮空気の圧力と量を調整することによって、この場合も希望する所定の保持力を正確に調整することができる。
この方法では、締付けをおおむね混合管の出口区域で行うことができることが特に好都合である。混合管の横開口部を経て圧縮空気を混合管の内部に導入するだけでよいからである。このことは糸屑の減少を意味し、本来の織物に変性のない糸だけがあることを保証する。この締付け方式は、混合管の外部かつ向こう側で特殊な締付け装置によって実現することもできる。
ところがよこ糸を横から混合管の内壁に締付けることによって、よこ糸は混合管の縦中心から偏らされ、横へ変位させられる。そこで、横から吹き付けられる圧縮空気によってよこ糸の少なくとも一部を混合管の内壁に締付ける、この本発明方法の有利な実施態様は、ひ口への挿入の直前によこ糸を混合管内で、圧縮空気を供給せずに保持空気により保持し、又は請求項1ないし3に基づき混合管の縦中心軸の区域に締付けて保持するものである。
こうしてよこ糸をひ口に挿入する直前に横締付けが解除され、保持空気による保持又は中心対称な締付けによって混合管の縦中心によこ糸が戻され、これでよこ入れのための最適な前提が保証される。所定の柄を織成するために種々の色のよこ糸を挿入する場合は、このことが特に重要である。その場合は個々のよこ糸が柄に従って締付けられる。よこ糸は挿入の直前までの全よこ入れ「待機時間」のあいだ締付けて保持される。当該のよこ糸を柄に基づき次のよこ糸として挿入する時に、このよこ糸は締付けの解放の後に初めて中心対称に締付けられ、又は保持空気により保持される。その他の時間即ち待機時間の間は、よこ糸に保持空気を働かせる必要はなく、構造上簡単なやり方で横から締付けるだけでよい。こうして保持空気が節約され又は完全に回避され、よこ糸の変性という有害な作用が現れない。
その場合、具体的には別の有利な実施態様に基づき、よこ糸が保持空気により、又は混合管の縦中心軸区域の締付けにより保持される期間が、直前に挿入されたよこ糸の受取側への到着と次のよこ糸の挿入の起動とのあいだの時間間隔であるように構成する。
特にこの第2の本発明方法の実施のための当該のジェットルームは、インゼクタ、圧縮空気接続部及びインゼクタに接続する混合管を具備する少なくとも1個のメインノズルと、混合管に配置され、横から吹き込まれる圧縮空気でよこ糸を混合管の内壁に締付ける断続可能な締付け装置とを装備し、締付け装置を切断した時は直前に挿入されたよこ糸の受取側への到着と次のよこ糸の挿入のための圧力パルスの放出との間の期間のあいだインゼクタにより混合管に保持空気が導入されるが、締付け装置を接続した時はよこ糸を待機位置に締付けるために圧縮空気が横から混合管の内壁の方向へ導入される。
このようなジェットルームの利点は本発明方法の説明ですでに明らかである。構造上の事情から必要ならば、締付け装置を混合管の末端又はその外部に配置することもできる。
この場合は直ちに挿入する予定のよこ糸の挿入の直前だけ保持空気が吹き込まれるように、インゼクタを制御可能な弁により制御することが好ましい。
この実施態様は保持空気を節約し、かつ保持空気によるよこ糸の不都合な変性を回避するために役立つ。
最後に、本発明に基づくジェットルームに側部圧縮空気接続部及びこれと相対する混合管壁部の開口を設け、圧縮空気の吹き込みの際によこ糸の末端が折れ曲って開口に押し込まれ、混合管の内部の円周状の開口端に圧縮空気により締付けて保持されるように形成することが好ましい。
混合管の壁部の相対する開口を適正に形成すれば、一方では開口の縁端によこ糸を極めて正確に、正しい位置で保持することが可能になり、しかもよこ糸を変性させ又は別様の損傷を生じる危険がない。