JP2005511776A - アクリル酸の製造プロセス - Google Patents

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Abstract

【課題】 高濃度でプロピレンを酸化することにより、高製造率かつ低排出量で高濃度のAA水溶液をきわめて効率的に製造するためのプロセスを提供すること。
【解決手段】 アクリル酸(AA)の製造プロセスは、(a)プロピレン、酸素、不活性ガス、および水蒸気を含む第一ガス混合物を第一接触酸化反応段階に送り、触媒の存在下で、プロピレンを、主として第一接触酸化反応からの第二ガス混合物に含まれるアクロレインに転化させる工程と、(b)第一接触酸化反応段階からの第二ガス混合物を第二接触酸化反応段階(103)に送り、触媒の存在下で、アクロレインを、主として生成ガスに含まれるAAに転化させる工程と、(c)生成ガスを急冷塔(105)に送り、AAをプロセス水中に含まれるAAを含む水溶液として回収し、急冷塔の上部からプロセスベントガスを取り出し、プロセスベントガスを次の熱または接触燃焼装置において処理する工程と、を含み、第一ガス混合物の水蒸気/プロピレンの比が0.3超え、2未満であり、プロセス水の量が、前記急冷塔から取り出された前記水溶液中の水の量以下である。

Description

本発明は、プロピレンの二段階接触気相酸化によるアクリル酸(AA)の製造プロセスに関する。より詳しくは、本発明は、高濃度でプロピレンを酸化することにより、高製造率かつ低排出量で高濃度のAA水溶液をきわめて効率的に製造するためのプロセスであって、プロピレンの酸化により発生するプロセスベントガスおよびプロセス水中の有機化合物のほぼ全量が除去された、接触燃焼装置からのリサイクルガスを使用するプロセスに関する。
分子状酸素を用いたプロピレンの二段階接触気相酸化(プロピレンを主としてアクロレインに転化させる第一接触酸化反応段階およびアクロレインをAAに転化させる第二接触酸化反応段階)によるAAの製造プロセスが知られており、工業規模で使用されている。いくつかの理由(プロピレン/空気の可燃限界、高反応熱)のために、反応ガスを不活性ガス(例えば水蒸気、N、CO)で希釈する必要がある。
標準的な工業的な製造プロセスは以下の通りである。第一段階では、プロピレン、空気、水蒸気の混合物を第一酸化反応装置に供給し、プロピレンを主としてアクロレインと少量のAAに転化させる。生成物は分離せずに第二酸化反応装置に供給する。第二酸化工程における次の酸化反応に必要であれば、空気と水蒸気を第二酸化反応装置の入口に加えることができる。
酸化反応装置からの約180℃の流出物中の水蒸気から気体AAを分離するために、以下の二つの分離プロセス手段が使用されている。
1.プロセス水が吸収塔の上部から排出されるプロセスベントガス中にとどまる温度で気体AAを高沸点の疎水性芳香族溶媒中に吸収させる(例えばドイツ特許第4308087号明細書/BASF、1994年9月15日を参照)。
2.急冷塔/捕集装置において、AAを水中に吸収させながら低温に急冷し、第二反応装置からの180℃の流出物中の気化したプロセス水のほぼ全量が凝縮するようにする(例えばドイツ特許第3042468号明細書/三菱化学(株)(MCC)、1980年11月11日を参照)。
第一のプロセス手段では、いくつかの蒸留工程においてAAと高沸点生成物を分離するのに対し、第二のプロセス手段では、急冷後、次の共沸蒸留装置においてAA水溶液中の水を分離して粗AAを得る。この粗AAから、AA共重合体または各種AAエステル製造用の高純度AAを製造する。
本明細書で扱う第二のプロセス手段において、酸化により生成した水と希釈物を可燃限界外にするために必要な水とからなるプロセス水の処理は、プロセスの経済性に多大な影響を与える。
第二酸化反応装置の出口で得られたAAを含有する生成ガスを急冷塔に導入して、AAを水溶液として得る場合、未反応プロピレンおよび他の低沸点有機物質を含有するプロセスベントガスが急冷塔の上部から排出されるが、有機化合物が全くあるいはほとんど空気中に排出されないようにするために、例えば焼却装置においてベントガスを処理しなければならない(一回の通過プロセス)。
プロセスベントガスの一部をリサイクルして、第一反応段階の入口でプロピレン/大気/水の流体に加えることも可能であり(サイクルガス流プロセス)、これは特にプロセスがプロピレンの一部転化を伴う場合にきわめて一般的な操作である。
プロピレンの気相接触酸化によりAAをより効率的で大規模に製造できるようにするために、このプロセスに対する改良が提案されている。このうち特筆すべき改良は以下の通りである。
第一段階反応装置入口流のHO蒸気をNで一部置換してプロピレン/空気の可燃限界外で装置を運転することによって、プロセスベントガスをリサイクルし、急冷塔下部の液体中のAA濃度を上昇させる(例えばドイツ特許第3002829号明細書/三菱油化(株)(MPCL)、1980年1月26日を参照)。
プロセス水を次の水分離装置において(例えば共沸蒸留によって)分離することによってプロセス水をリサイクルする。プロセス水は第二酸化反応装置からの高温流出物の熱により気化され、プロセスベントガスとともに水蒸気として第一酸化段階の入口へリサイクルされる。このリサイクル流のうちリサイクルされなかった部分は、熱または接触燃焼装置に送られる(例えば、欧州特許第0695736号明細書/三菱化学(株)、1995年8月4日、欧州特許出願第0778255号公報/(株)日本触媒、1996年12月5日、または欧州特許出願第0861820号公報/(株)日本触媒、1998年2月27日を参照)。
ほぼ完全にプロピレンを転化させた状態で、接触燃焼装置を使用して、支流である処理されたプロセスベントガスからみて上流にある急冷塔の上部からのプロセスベントガス中の有機化合物を酸化させる(例えば欧州特許第0274681号明細書、三菱油化(株)、1987年12月10日を参照)。
リサイクルされたプロセスベントガス中の有機化合物の処理に接触燃焼装置を使用することにはいくつかの利点がある。第一接触酸化反応段階において酸化触媒にダメージを与え、この触媒の寿命を短くする可能性があるリサイクルガス中の酸(主としてアクリル酸、酢酸、プロピオン酸)を分離するのに必要な装置(凝縮装置等)を設ける必要がない。また、接触燃焼装置は燃焼中の温度が熱燃焼装置と比べてはるかに低いため(約550℃)、接触燃焼装置のNOx排出量は熱燃焼装置と比べて100分の1未満である(1ppm未満)。
今日に至るまで、リサイクルガスの接触燃焼装置によるプロセス手段が使用されるのは、プロセスベントガスがリサイクルされ、かつプロセス水がリサイクルされない場合のみである。別の欠点は、この手段が触媒の空時収量(space time yield:STY)が低い(触媒1リットル、1時間当たりのAA収量が0.16〜0.17kg)か、プロピレンの空間速度(SVp)が低い(第二反応段階における反応容量1リットル当たりのプロピレンが70Nl)という条件でしか使用できないということである。接触燃焼装置においては、Pt触媒の有機化合物の燃焼率が低いだけでなく(欧州特許第0274681号明細書/三菱油化(株)、1987年12月10日を参照)、急冷塔下部の液体中のAA濃度も低い。
本発明の目的は、高い製造率、第一および第二接触酸化反応段階における長い触媒寿命、および高いAA収率でプロピレンをAAに転化して、急冷塔下部の液体中のAA濃度を上昇させることにより、AAを経済的に製造することにある。また、NOx排出量が最小になるようにプロセスベントガスおよびプロセス水中の有機化合物を処理することが、今日環境対策で求められている。
下部の液体中のAA濃度が80重量%を超える場合、必要なトレーの数が多くなることから、プロセス水中のAAガスの吸収プロセスは非効率的かつ非経済的になる(ピンチ効果)。従って、本発明の別の目的は、このピンチ効果を回避することにある(下記の実施例を参照)。
欧州特許出願第0274681号公報では、二段階のAA製造プロセスが開示されている。プロピレン、分子状酸素、および不活性ガスのガス混合物は二つの接触酸化反応段階に送られる。得られた生成ガスは次にAA回収工程に送られ、AAは水溶液として回収される。AA回収工程から得られたベントガスは次に接触燃焼装置に送られ、部分的に第一接触酸化反応段階にリサイクルされる。しかし、このプロセスの欠点は、Mo−Bi系触媒の寿命を延ばすために、第一接触酸化工程に送られるガス混合物中の水蒸気濃度をできるだけ低くしなければならないということである。さらに、水溶液中のAA濃度は重量ベースでかなり低いために、次の水とAAの分離がきわめてコスト高になるとともに、大量の廃水を処理する必要がある。得られた空時収量(STY)は触媒1リットル、1時間当たりAA0.164kgである。
英国特許出願第1539671号公報では、接触気相酸化によって、プロピレンから中間体としてのアクロレインを経由してAAを製造するためのプロセスが開示されている。このプロセスは、出発反応ガス混合物を二つの接触酸化反応装置に通過させ、得られたAA含有ガスをAA捕集装置に導入することによって、水溶液の形でAAを回収することを含む。捕集装置からの排ガスは部分的に出発ガス混合物に混合される。このプロセスの欠点は、リサイクルガスが、Mo−Bi系触媒を不活性化する少量の未回収AAおよび酢酸を含有しているということである。
欧州特許出願第0778255号公報には、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化することによりAAを製造するためのプロセスが開示されている。得られたAA含有ガスを急冷塔内で、AA、酢酸、および水に難溶性の溶媒を含む水性捕集剤と接触させて、AAをガスから水溶液として回収する。次に、この水溶液を水に難溶性の溶媒の存在下で共沸蒸留することにより、高純度AAを得る。このプロセスの欠点は、共沸蒸留により得られる水溶液のうち最大でも90%しか急冷塔にリサイクルされないため、水溶液の一部を廃水として処理しなければならないということである。
WO99/14182号は、AAまたはメタクリル酸に加えてさらにもう1種別の凝縮可能な構成物質を含有し、1種または数種の凝縮不可能な化合物を高い割合で含むガス混合物を分別凝縮するための方法に関する。この方法によれば、ガス混合物を分離効率の高い調節板を備えたカラムを通過させ、凝縮可能な構成物質は冷却により凝縮され、取り出される。しかしながら、この方法は、AAを40重量%含有する高濃度の下部液体流を処理するのにカラム上部の還流比とカラム下部の温度を高くしなければならないという問題がある。
ドイツ特許第4308087号明細書 ドイツ特許第3042468号明細書 欧州特許第0695736号明細書 欧州特許出願第0778255号公報 欧州特許出願第0861820号公報 欧州特許第0274681号明細書
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服する、AAの優れた工業的製造プロセスを提供することにある。
すなわち、本発明は、AAの製造プロセスであって、(a)プロピレン、酸素、不活性ガス、および水蒸気を含む第一ガス混合物を第一接触酸化反応段階に送り、触媒の存在下で、プロピレンを、主として第一接触酸化反応からの第二ガス混合物に含まれるアクロレインに転化させる工程と、(b)第一接触酸化反応段階からの第二ガス混合物を第二接触酸化反応段階に送り、触媒の存在下で、アクロレインを、主として生成ガスに含まれるAAに転化させる工程と、(c)生成ガスを急冷塔に送り、AAをプロセス水中に含まれるAAを含む水溶液として回収し、急冷塔の上部からプロセスベントガスを取り出す工程と、さらに必要に応じて、(d)プロセス水を次の分離装置(例えば共沸蒸留装置)において分離し、急冷塔に戻すことによって、気化したプロセス水の大部分を急冷塔の上部から排出される前記プロセスベントガスと混合し、次の熱または接触燃焼装置においてプロセスベントガスとともに処理する工程と、を含み、第一ガス混合物の水蒸気/プロピレンのモル比が0.3超え、2未満であり、プロセス水の量が、急冷塔から取り出された水溶液中の水の量以下であることを特徴とするプロセスを提供するものである。
本発明の好ましい態様において、AAの製造プロセスは、次の工程(a)、(b)、(c)及び(d)を有するものである。
本発明の好ましい態様において、水溶液中に含まれるAAの分離によって得られるすべてのプロセス水は燃焼装置において処理されるので、AAの製造プロセス全体にわたって、別の装置(例えば熱または接触燃焼装置、活性汚泥処理装置)で処理しなければならない残渣廃水が発生しない。第二酸化反応段階のプロセスガスからAAを吸収するために、プロセス水を急冷塔の上部に加えることが好ましい。
さらに、本発明によれば、工程(d)において、前記プロセスベントガスと気化したプロセス水を接触燃焼装置に送って燃焼プロセスベントガスを得、その少なくとも一部を前記第一接触酸化反応段階にリサイクルすることが好ましい。
リサイクルガス比(rgr)は、第一酸化反応段階の入口に供給されるリサイクルガス(流体3)の、原料プロピレン(流体1)、第一酸化反応段階の入口に供給される酸素、および第一酸化反応段階の入口に供給される水の総量に対するモル比として定義される。燃焼プロセスベントガス、好ましくは0.1〜0.2、より好ましくは0.13〜0.25、最も好ましくは0.15〜0.40のrgrでリサイクルする。
本発明の一態様によれば、第一接触酸化反応段階に送られるガス混合物は、酸素、プロピレン、不活性ガス、および水蒸気を含む。第一段階反応装置入口における不活性ガスと水蒸気の濃度はリサイクルガス流によって決定される。第一接触酸化反応段階入口におけるガス混合物中のプロピレン濃度は、好ましくは9容量%超、より好ましくは11容量%超、最も好ましくは14容量%超である。酸素/プロピレンのモル比は1〜3、好ましくは1.2〜2.5、より好ましくは1.4〜1.8、最も好ましくは1.3〜1.7の範囲である。水蒸気/プロピレンのモル比は、本発明によれば、0.3超2未満、好ましくは0.5〜1.5である。水蒸気は水蒸気源から取り出すことができ、ガス混合物に加えられる。さらに、前記プロセス水は水とAAを含む水溶液から分離された水の少なくとも一部であることが好ましく、少なくとも90重量%であることが更に好ましい。
本発明の別の態様によれば、燃焼ガス中の水蒸気は、第一接触酸化反応段階にリサイクルされる。燃焼ガス中の水蒸気含有量は、急冷塔の上部の温度およびプロセスベントガス中の有機化合物の量により調整する。ガス混合物中の水の量と不活性ガスの量は、ガス混合物が爆発限界外にあるように調整しなければならない。
不活性ガスとしては、N、HO、およびCOが好ましいが、N、CO、および水蒸気を主として含む燃焼ガスを不活性ガスとして使用することがより好ましい。
接触燃焼装置において有機化合物を酸化してCOを発生するうえで、チタンおよび酸素を含む化合物を担体として使用する触媒、好ましくはTiO担体を使用する触媒が、上記のプロセス条件下で特に安定しており、また、触媒を高分散させた場合の長期間の熱・化学安定性と耐熱衝撃性に関してTiO担体が他のあらゆる担体より優れていることから、TiOを担体として、これに貴金属を分散させた触媒が高い特有の長期活性を有することが分かった。さらに、アナターゼ系の担体が特に好ましい。なぜなら、これらの担体を用いて調製された触媒が最も高い長期安定性を示し、ルチルまたはブルッカイト系担体より高い長期安定性を示すからである。
貴金属上の酸化反応はきわめて速く進むため、貴金属が担体の多孔構造の表面全体に析出している場合、質量輸送について大きく制限を受ける。このことは、非常に安定した貴金属化合物の溶液に担体を浸漬することにより貴金属を含浸させた場合に起こり易い。さらに、酸化触媒においては、貴金属が薄肉シェル内で使用されることが好ましい。一般に、触媒担体の反応性が不十分なため、例えば酸性溶液の中和による貴金属の析出ができない場合、最初の工程で可溶性アルカリ化合物を担体に含浸させる。通常、この場合用いられる貴金属は塩化物であり、例えばヘキサクロロ白金酸である。
しかしながら、酸化反応においては、残渣塩化物の存在は酸化が著しく阻害されることから有害である。従って、塩化物はこの場合触媒から注意深く洗い流されなければならない。このような貴金属の「高速」析出は、粒子触媒の含浸についても当てはまる。ハニカム状のモノリスを含浸しなければならない場合、例えば流路の各末端における貴金属の濃縮により多くの問題が発生し、流路の中央部がほぼ含浸されない状態になる。この問題は、高密度で気孔が存在しないモノリスにウォッシュコートを塗布する際にはそれほど深刻ではない。
この反応には大量のリサイクルされた排ガスの処理が含まれることから、反応装置内の圧力損失はきわめて小さいことが望ましい。一方で、圧力損失の低減は、ハニカム状のモノリス担体を使用することにより実現されることが好ましく、モノリス担体は薄肉シェル内に貴金属を備え、流路の表面上の金属がきわめて均一に分布していることが好ましい。ハニカム担体のデルタ圧力は、20ミリバール/m未満、好ましくは10ミリバール/m未満、最も好ましくは3ミリバール/m未満と低いことが好ましい。
これらの触媒は、適度に不安定な貴金属化合物を担体に含浸させるに際して、流路の内側に該化合物を均一に分布させる一方で、可溶性化合物が壁の中心に向けて拡散する前に貴金属を析出させることによって得るのが好ましい。触媒の含浸は、触媒に使用される金属を、ヘキサクロロ白金酸を濃硝酸に溶解して得られた金属硝酸塩溶液を担体に含浸させることにより行うのが好ましい。また、数種の貴金属の混合物を含浸させてもよく、例えば白金およびパラジウムを、連続または同時に含浸させてもよい。このような混合物には、周知の現象である一酸化炭素による触媒の機能阻害の程度が低くなるという利点があり得る。
プロピレンからアクロレインへの第一段階接触酸化反応用の触媒としては、通常Mo−Bi系触媒が使用される。Mo−Co−Bi系触媒がより好ましい触媒である。アクロレインからAAへの第二段階接触酸化反応においては、通常Mo−V系触媒が使用され、Mo−V−Bi系触媒がより好ましい触媒である。さらに、触媒は複合酸化物型であることが好ましい。
接触酸化反応は、不均一系触媒反応であることが好ましい。第一接触反応は、高温塩浴温度が好ましくは250℃超、より好ましくは275〜400℃の範囲、最も好ましくは290〜330℃の範囲で行われる。第二接触反応は、高温塩浴温度が好ましくは180℃超、より好ましくは200〜300℃の範囲、最も好ましくは230〜280℃の範囲で行われる。
本発明に係るプロセスにおいて、第二接触酸化反応装置におけるプロピレンの空間速度(SVp)は少なくとも160h−1であることが好ましい。一回のプロピレン通過におけるプロピレンの転化率が少なくとも90モル%、すなわち第一接触酸化段階におけるアクロレインとAAのプロピレンに対する選択率が少なくとも90モル%の場合、第二接触酸化反応装置におけるプロピレン/酸素のモル比は0.1〜0.9の範囲である。第二接触酸化段階におけるアクロレインの転化率は少なくとも95モル%であり、全体的な選択率は少なくとも83モル%である。本発明に係るプロセスにおいて、上記すべての特徴が満たされていることが好ましい。
第二接触酸化反応段階から得られた生成ガスは急冷塔の下部に送られる。AAはこの急冷塔において生成ガス流から回収される。AAは水溶液として急冷塔から取り出されてから、次の水/アクリル酸分離工程で処理される。プロセスベントガスは、未転化プロピレンおよび/またはプロパンと共に、急冷塔の上部から排出されて接触燃焼装置に送られる。
プロセス水および副生成物と共に製造されたAAは、次の水分離カラムにおいて(例えば共沸蒸留により)プロセス水から分離される。プロセス水は急冷塔の上部にリサイクルされ、そこで気化する。ベントガスは気化したプロセス水と混合した後、接触燃焼装置に送られ、そこでプロセスベントガス中の有機化合物が酸化されCOを発生する。プロセスベントガス中の全有機残渣物(二酸化炭素、一酸化炭素、プロピレン、プロパン、酢酸、アクリル酸、アクロレイン)の濃度は2〜4モル%であり、全有機残渣物中のアクリル酸の濃度は1〜3モル%である。
本発明によれば、急冷塔は定常条件下で運転されることが好ましく、急冷塔から取り出された水溶液はAAを55重量%を超える量を含むことが好ましく、90重量%を超える量を含むことが更に好ましい。
急冷塔をより少ないトレー数で運転し、AA、アクロレイン、他の不純物、および水を急冷塔からプロセスベントガスを経由して除去するためには、急冷塔の上部の温度を30〜90℃、好ましくは40〜80℃に、圧力を1〜8バール、好ましくは1.05〜6バール、より好ましくは1.1〜1.5バールに調整しなければならない。
急冷塔は冷却セクションと吸収セクションを含み、生成ガスは生成ガス区域にある冷却セクションに送られ、側流は前記生成ガス区域の上の区域において急冷塔から排出される。急冷塔は二つの部分、すなわち上部と下部を含む。急冷塔の上部は、20〜40の理論段を含むことが好ましい。本発明の好ましい態様において、これらの理論段はスルツァーBX、モンツパックBSH型、コッホ−グリッチュ・ガーゼ充填物BX等の充填物である。モンツ−トールマン板も使用できる。下部は間接冷却セクションを含み、上部は直接冷却セクションを含むことが好ましい。急冷塔の下部において、第二接触酸化反応段階からのガスの温度は、急冷塔の下部の水溜めの一部をリサイクルすることにより低下し、好ましくは70〜90℃まで低下する。このいわゆるリサイクル流の量は、AAを精製するために急冷塔の水溜めから取り出された水溶液流の量の10〜60倍であることが好ましい。リサイクル流は熱交換装置において60〜80℃に冷却される。急冷塔の下部は、噴霧ノズルおよびランダム充填物または構造化充填物であるセグメント状カスケード式トレーを備えていることが好ましい。ただし、急冷塔のセクション数は2に限定されない。
ピンチ効果を回避するために、水とAAからなる側流が急冷塔の上半分、好ましくは上部三分の一、より好ましくはトレーNo.4とNo.8の間、最も好ましくはトレーNo.5とNo.6の間から取り出される。この側流は次の分離装置(好ましくは共沸蒸留カラム)において少なくともAAの一部から分離し、その後プロセス水主流とともに急冷塔の上部に戻される。
急冷塔から得られるプロセスベントガスは接触燃焼装置に送られる。接触燃焼装置で使用される触媒には、TiO担体を使用することが好ましい。純アナターゼ担体が更に好ましい。これらの担体は温度、圧力等のプロセス条件の急激な変化に対して耐性が高い。接触燃焼反応には大量のリサイクルされた排ガスの処理が含まれることから、反応装置内の圧力損失がきわめて小さいことが必要である(10ミリバール/分未満)が、これはハニカム状のモノリス担体の使用により実現される。この担体は、薄肉シェル内に貴金属を含み、貴金属は流路の表面に均一に分布している。
担体への含浸は適度に不安定な貴金属化合物によって行われ、貴金属は担体の流路内に、担体内に深く入り込まずに、均一に分布する。含浸は例えば、ヘキサクロロ白金酸を濃硝酸に溶解して得られた硝酸白金溶液を含浸させることにより行われる。同様に、例えばPdといった第二の貴金属を共に析出することも行われる。
前記プロセスベントガスの接触燃焼反応は、好ましくは175〜650℃、より好ましくは190〜580℃、最も好ましくは230〜550℃で行われる。前記Pt触媒の燃焼率は、Pt1g、1時間当たり燃焼する有機炭素が、好ましくは100〜500gの範囲、より好ましくは100〜250gの範囲である。
ベントガスが接触燃焼装置に送られた後で、ベントガスの少なくとも一部は第一接触酸化反応段階において酸化されたガス混合物にリサイクルされ、このときのリサイクル比は0.1〜0.4(リサイクル比=リサイクルガス流/供給ガス流のモル比)である。本発明の好ましい態様においては、燃焼され、リサイクルされるベントガスの量の調整にあたって、第一および第二接触酸化反応段階に対して追加の水蒸気を加える必要はない。
本発明に係るプロセスの利点は、AA回収工程で除去される水溶液のAA濃度がきわめて高いために、次のAA分離装置が低いエネルギー消費率で運転できるということである。さらに、AA分離装置からのすべての水がAA回収工程にリサイクルされるため、廃水が生じない。本発明の好ましい態様においては、追加の水蒸気をプロセスに対して加える必要がなく、第一接触酸化反応段階に対しても、第二接触酸化反応段階に対しても加える必要がない。
本発明に係るプロセスの好ましい態様を図1に示す。
図1に示す本発明の態様において、プロピレン1、空気圧縮装置101により圧縮された空気2、ならびにN、CO、および水蒸気を主として含む不活性燃焼プロセスベントガス(リサイクル)3を組み合わせて、第一段階酸化反応装置102への入口流であるガス混合物4とする。不活性燃焼プロセスベントガス3中の水蒸気濃度が十分に高くない場合(例えばスタートアップ時)には、追加の水蒸気5を外部の水蒸気源から第一段階入口流4に加えることができる。ガス混合物4中の水蒸気と不活性ガスの濃度は、ガス混合物4が可燃限界外にあるように調整しなければならない。
ガス混合物4は第一接触酸化反応装置102に供給され、そこでプロピレンは主としてアクロレインに転化する。第一接触酸化反応装置102からの流出ガスは第二接触酸化反応装置103に送られ、そこでアクロレインは主としてAAに転化する。必要であれば、供給ガス6中の酸素濃度を空気2を加えることにより上昇させることができる。また、必要であれば追加の水蒸気5を加えることもできる(例えばスタートアップ時)。第二接触酸化反応装置103から得られる生成ガス流7は、熱交換装置104で冷却されて、急冷塔105に送られる。
急冷塔の水溜めから、プロセス水と回収されたAAとを含むAA水溶液9が回収され、水分離装置(図示せず)に送られる。AA水溶液の一部8は冷却装置106に送られ、下側セクションに対して供給される。水分離装置において、水溶液流9は、AA流とプロセス水および低沸点の不純物を含む流体とに分離され、プロセス水はライン10を経由して急冷塔に戻される。
急冷塔105において、AAは水分離装置からリサイクルされたプロセス水により吸収される。本発明の好ましい態様においては、急冷塔からライン9を経由して水分離装置に送られるすべてのプロセス水は、ライン10を経由して急冷塔にリサイクルされる。必要に応じて、重合阻害剤11をプロセス水に加えることができる。
急冷塔の上部のうち上側セクションにあるトレーのうちの一つから、AAを含有する側流13が次の水分離装置(例えば上述の共沸水分離装置)に送られ、この生成流からAAが除去され、分離された水がライン10を経由して急冷塔の上側セクションに戻される。
急冷塔からのプロセスベントガス14は接触燃焼装置107に送られ、燃焼プロセスベントガスの一部3は冷却後、水蒸気および不活性ガスとして第一接触酸化反応装置102にリサイクルされる。燃焼ベントガスの残りは、ライン16を経由して大気に排出される。燃焼条件を調整するために、追加の空気15をプロセスベントガス14に加えることができる。
本発明について、下記の実施例によってさらに詳細に説明する。
図1に示す二段階酸化反応装置において、プロピレン0.990kg/h(SVp=166h−1、第二反応段階)と水0.220kg/hを含む加湿空気4.890kg/hとを含有するガス混合物(供給ガス)を第一段階反応装置に導入した(プロピレン10.1モル%、酸素(気体として)15.5モル%、水6.0モル%)。さらに、乾燥空気1.650kg/hを第二段階反応装置に導入した。第一段階酸化反応装置には市販のMo−Co−Bi系触媒、第二段階酸化反応装置にはMo−V−W系触媒を充填した。
以下の条件において、AAの収率は86.36モル%、プロピレンの転化率は97.54モル%、アクロレインの転化率は97.57モル%であった。
高温塩浴温度(第一段階):335.4℃
高温塩浴温度(第二段階):296.3℃
急冷塔の上部にヒドロキノン0.005kg/hを含むプロセス水0.939kg/hを導入し、上部の温度を52.6℃とした。この条件により、急冷塔の下部のAA濃度は83.9重量%となった(AAダイマー1.18重量%を含む)。
急冷塔のトレー5とトレー6の間から取り出される側流(1.164kg/h)には、AA5.89重量%と酢酸0.83重量%が含まれており、側流から分離後のプロセス水0.939kg/hは急冷塔の上部に戻される。
プロセスベントガスの接触燃焼を完了するために、乾燥空気0.585kg/hを接触燃焼装置に加えた。燃焼排ガスの組成は、酸素4.27容量%、窒素80.9容量%、二酸化炭素3.72容量%、水11.1容量%である。この燃焼排ガス流から、0.729kg/hがリサイクルガスとして第一反応段階に送られた。リサイクルガス流の供給ガス流に対するモル比は0.16であり、従って第一および第二反応装置入口における供給ガス組成は以下のモル比で示された。
第一および第二反応装置入口における供給ガス組成
酸素(第一段階)/プロピレン:1.51
酸素(第二段階)/プロピレン:0.51
水(第一段階)/プロピレン:0.52
リサイクルガス流(第一段階)/供給ガス流:0.16
AAについて得られた空時収量は0.230kg/(lh)注(1)であった。炭素収支は0.7モル%であった。
注(1)はR=第一および第二段階反応装置の総反応容量を示す。
図1に示す二段階酸化反応装置において、プロピレン0.947kg/h(SVp=160h−1、第二反応段階)と水0.687kg/hを含む加湿空気4.733kg/hとを含有するガス混合物(供給ガス)を第一段階反応装置に導入した(プロピレン10.0モル%、酸素(気体として)15.3モル%、水17.0モル%)。さらに、乾燥空気1.583kg/hを第二段階反応装置に導入した。第一段階酸化反応装置には市販のMo−Co−Bi系触媒、第一段階反応装置には市販のMo−V−W系触媒を充填した。
以下の条件において、AAの収率は88.44モル%、プロピレンの転化率は98.73モル%、アクロレインの転化率は98.86モル%であった。
高温塩浴温度(第一段階):353.6℃
高温塩浴温度(第二段階):278.4℃
急冷塔の上部にヒドロキノン0.008kg/hを含むプロセス水0.537kg/hを導入し、上部の温度を51.7℃とした。この条件により、急冷塔の下部のAA濃度は68.8重量%となった(AAダイマー0.57重量%を含む)。急冷塔の上部から排出されるプロセスベントガスの凝縮相(0.275kg/h)はAA3.12重量%を含有し、急冷塔の上部を経由したAA収率の損失は0.53モル%であった。
急冷塔のトレー5とトレー6の間から取り出される側流(0.879kg/h)には、AA14.4重量%と酢酸0.71重量%が含まれており、側流から分離後のプロセス水0.450kg/hは急冷塔の上部に戻される。
第一および第二反応装置入口における供給ガスの組成
酸素(第一段階)/プロピレン:1.53
酸素(第二段階)/プロピレン:0.51
水(第一段階)/プロピレン:1.70
リサイクルガス流(第一段階)/供給ガス流:0
AAについて得られた空時収量は0.226kg/(lh)注(1)であった。炭素収支は2.86モル%であった。
注(1)はR=第一および第二段階反応装置の総反応容量を示す。
図1に示す二段階酸化反応装置において、プロピレン0.965kg/h(SVp=163h−1、第二反応段階)と水0.173kg/hを含む加湿空気4.923kg/hとを含有するガス混合物(供給ガス)を第一段階反応装置に導入した。さらに、乾燥空気1.304kg/hを第二段階反応装置に導入した。第一段階酸化反応装置には市販のMo−Co−Bi系触媒、第一段階反応装置には市販のMo−V−W系触媒を充填した。
以下の条件において、AAの収率は85.20モル%、プロピレンの転化率は97.40モル%、アクロレインの転化率は98.95モル%であった。
高温塩浴温度(第一段階):337.5℃
高温塩浴温度(第二段階):289.0℃
急冷塔の上部にヒドロキノン0.045kg/hを含むプロセス水1.116kg/hを導入し、上部の温度を54.6℃とした。この条件下で、急冷塔の下部のAA濃度は89.0重量%となった(AAダイマー1.1重量%を含む)。急冷塔の上部から排出されるプロセスベントガスの凝縮相はAA3.00重量%を含有し、急冷塔の上部を経由したAAの損失は1.19モル%であった。
急冷塔のトレー5とトレー6の間から取り出される側流(1.21kg/h)には、AA14.6重量%と酢酸1.24重量%が含まれる。
プロセスベントガスの接触燃焼を完了するために、乾燥空気0.183kg/hを接触燃焼装置に加えた。燃焼排ガスの組成は、酸素2.51容量%、窒素82.8容量%、二酸化炭素4.40容量%、水10.3容量%である。この燃焼排ガス流から、0.730kg/hがリサイクルガスとして第一反応段階に送られた。リサイクルガス流の供給ガス流に対するモル比は0.13であり、従って第一および第二反応装置入口における供給ガス組成は以下のモル比で表された。
第一および第二反応装置入口における供給ガスの組成
酸素(第一段階)/プロピレン:1.56
酸素(第二段階)/プロピレン:0.41
水(第一段階)/プロピレン:0.42
リサイクルガス流(第一段階)/供給ガス流:1.49
AAについて得られた空時収量は0.221kg/(lh)注(1)であった。実施例2と比較した場合、入口水の濃度はモル比(水(第一段階)/プロピレン)1.7から同0.42に減少した。
注(1)はR=第一および第二段階反応装置の総反応容量を示す。
本発明の実施の形態におけるAAの製造プロセスのフロー図を示す。

Claims (16)

  1. アクリル酸(AA)の製造プロセスであって、
    (a)プロピレン、酸素、不活性ガス、および水蒸気を含む第一ガス混合物を第一接触酸化反応段階(102)に送り、触媒の存在下で、前記プロピレンを、主として前記第一接触酸化反応からの第二ガス混合物に含まれるアクロレインに転化させる工程と、
    (b)前記第一接触酸化反応段階からの前記第二ガス混合物を第二接触酸化反応段階(103)に送り、触媒の存在下で、前記アクロレインを、主として生成ガスに含まれるAAに転化させる工程と、
    (c)前記生成ガスを急冷塔(105)に送り、前記AAをプロセス水中に含まれる前記AAを含む水溶液として回収し、前記急冷塔の上部からプロセスベントガスを取り出す工程と、を含み、
    前記第一ガス混合物の水蒸気/プロピレンの比が0.3超え、2未満であり、
    前記プロセス水の量が、前記急冷塔から取り出された前記水溶液中の水の量以下であることを特徴とするプロセス。
  2. 工程(d)において、前記プロセス水を次の分離装置で分離し、前記急冷塔に戻すことによって、気化した前記プロセス水の大部分を前記急冷塔の上部から排出される前記プロセスベントガスと混合し、前記次の熱または接触燃焼装置において前記プロセスベントガスとともに処理することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記第一接触酸化の前記触媒がMo−Co−Bi系触媒であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 前記第二接触酸化の前記触媒がMo−V−W系触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
  5. 前記接触燃焼装置における触媒の担体がTiO担体、好ましくはアナターゼ担体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
  6. 前記担体がハニカム状であり、20ミリバール/m未満、好ましくは10ミリバール/m未満、最も好ましくは3ミリバール/m未満の低いデルタ圧力を有することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
  7. 供給ガス(6)中の酸素濃度を空気(2)を加えることにより上昇させることができることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
  8. 追加の水蒸気(5)を前記供給ガス(6)に加えることを特徴とする請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記燃焼ベントガスを、少なくとも部分的に、前記第一接触酸化反応段階で酸化された前記ガス混合物にリサイクルすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
  10. 前記第一接触酸化反応段階の入口における前記ガス混合物中のプロピレン濃度が9容量%超、より好ましくは11容量%超、最も好ましくは14容量%超であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプロセス。
  11. 前記プロセス水が、前記AAを含む水溶液を水とAAに分離した水の少なくとも一部、好ましくは少なくとも90%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプロセス。
  12. 前記急冷塔が冷却セクションと吸収セクションを含み、前記生成ガスが生成ガス区域中の前記冷却セクションに送られ、側流が前記生成ガス区域の上の区域において急冷塔から排出されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプロセス。
  13. 水とAAからなる側流が前記急冷塔の上半分、好ましくは上部三分の一から取り出され、前記側流が次の分離装置において少なくともAAの一部から分離されて、プロセス水主流とともに前記急冷塔の上部に戻されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のプロセス。
  14. 前記第二接触酸化反応装置におけるプロピレンの空間速度(SVp)が少なくとも160h−1であるか、または一回のプロピレン通過におけるプロピレンの転化率が少なくとも90モル%、すなわち前記第一接触酸化段階におけるアクロレインとAAのプロピレンに対する選択率が少なくとも90モル%の場合、前記第二接触酸化反応装置におけるプロピレン/酸素比が0.1〜0.9の範囲であり、かつ前記第二接触酸化段階におけるアクロレインの転化率が少なくとも95モル%であり、全体的な選択率が少なくとも83モル%であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のプロセス。
  15. 前記急冷塔の上部の温度が30〜90℃、好ましくは40〜80℃であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のプロセス。
  16. 前記急冷塔の上部の圧力が1〜8バール、好ましくは1.05〜6バール、より好ましくは1.1〜1.5バールであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のプロセス。
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