JP2005347731A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 微細化に伴う短チャネル効果の顕在化を抑制しながら、ソース・ドレイン拡散層の形状を深さ方向で浅く且つ横方向で小さくできるようにし、エクステンション拡散層の再分布をも抑制できるようにする。
【解決手段】 MIS型半導体装置は、P型の半導体基板11と、半導体基板11の上に形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14の上に形成されたゲート電極15と、半導体基板11におけるゲート電極15の両側方の領域に形成されたN型ソース・ドレイン拡散層20とを有している。N型ソース・ドレイン拡散層20の内部には、P型不純物濃度がN型ソース・ドレイン拡散層20よりも低いP型不純物注入領域19が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、さらなる微細化を達成できると共に、高速且つ低消費電力で動作可能なMIS型トランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
半導体集積回路の高集積化に伴って、MIS型トランジスタの微細化が要請されており、その実現のためには、ソース・ドレイン領域の接合面が浅い高濃度ソース・ドレイン構造を持つMIS型トランジスタが求められる(例えば、特許文献1を参照。)。
以下、従来のMIS型トランジスタを有する半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図12(a)〜図12(e)は従来の半導体装置の製造工程順の断面構成を示している。
まず、図12(a)に示す工程において、P型シリコンからなる半導体基板101に、P型不純物であるホウ素(B)イオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が2×1012ions/cm2 の注入条件でイオン注入した後、熱処理を行なって、半導体基板101のチャネル形成領域にP型チャネル拡散層102を形成する。
次に、図12(b)に示す工程において、半導体基板101上に、ゲート酸化膜103と、その上にポリシリコンからなるゲート電極104とを順次形成する。
次に、図12(c)に示す工程において、ゲート電極104をマスクとして半導体基板101に、N型不純物であるヒ素(As)イオンをイオン注入して、N型エクステンション注入層105Aを形成する。続いて、ゲート電極104をマスクとして半導体基板101に、P型不純物であるホウ素(B)イオンをイオン注入することにより、P型ポケット注入層106Aを形成する。
次に、図12(d)に示す工程において、半導体基板101上に絶縁膜を堆積した後、堆積した絶縁膜に対して異方性エッチングを行なって、ゲート電極104の側面上にサイドウォール107を形成する。
次に、図12(e)に示す工程において、ゲート電極104及びサイドウォール107をマスクとして半導体基板101に、N型不純物であるヒ素イオンをイオン注入する。その後、半導体基板101に対して熱処理を行なって、半導体基板101におけるサイドウォール107の両側方の領域に、N型ソース・ドレイン拡散層108をそれぞれ形成する。このとき、半導体基板101におけるサイドウォール107の下側であって、各N型ソース・ドレイン拡散層108とP型チャネル拡散層102との間の領域に、N型エクステンション注入層105Aが拡散したN型エクステンション拡散層105が形成され、N型エクステンション拡散層105の下側の領域に、P型ポケット注入層106Aが拡散したP型ポケット拡散層106が形成される。
このような従来の製造方法では、短チャネル効果を顕在化させることなくMIS型トランジスタの微細化を図るために、N型エクステンション拡散層105を形成する不純物イオンの注入エネルギーを低くし、且つ活性化を図る熱処理の温度を高くする傾向にある。
特開平11−261069号公報 特開2003−31798号公報
しかしながら、前記従来のMIS型トランジスタを有する半導体装置の製造方法は、以下のような問題がある。
第1に、図12(e)に示す工程において、半導体基板101に対して、ゲート電極104及びサイドウォール107をマスクとして、ソース・ドレイン領域形成用のヒ素イオンを高ドーズ量でイオン注入した後、活性化熱処理を高い温度で行なった場合に、N型ソース・ドレイン拡散層108を構成する不純物原子(ヒ素)に過渡増速拡散(Transient Enhanced Diffusion:TED)が生じる結果、不純物原子が半導体基板101の深い領域にまで拡散してしまい、所定の不純物プロファイルを得られないという問題がある。ここで、過渡増速拡散とは、不純物原子が主にイオン注入等のプロセスに起因するダメージによって発生した過剰点欠陥と相互作用して、不純物原子の拡散が増速される異常拡散現象のことをいう。
また、第2に、N型ソース・ドレイン拡散層108に注入された不純物原子のTEDを抑制しようとして必要以上に高温のアニールを加えると、一旦、浅く形成したN型エクステンション拡散層105が再分布を起こし、接合面が深くなってしまうという問題が同時に発生してしまう。N型エクステンション拡散層105の接合面の深さや形状は、半導体装置の短チャネル特性や駆動電流に直接に影響を与えるため、N型ソース・ドレイン拡散層108の不純物を活性化する熱処理工程において、エクステンション拡散層105の不純物プロファイルの再分布を防止することは、ソース・ドレイン領域108の不純物プロファイルのコントロールと同等に重要である。
図13は図12(e)のXIII−XIII線におけるN型ソース・ドレイン拡散層108の横方向(基板面に平行な方向)の不純物濃度プロファイルを示している。ここで、縦軸は不純物濃度の対数値を示し、横軸はサイドウォールの外側の端部からの距離を示す。実線はP型チャネル拡散層102及びP型ポケット拡散層106を形成するために注入されたボロン(B)の濃度を示し、破線はN型ソース・ドレイン拡散層108を形成するために注入されたヒ素(As)の濃度を示す。図13から分かるように、従来の構成では、N型ソース・ドレイン拡散層108の内部には、P型ポケット拡散層106との接合部付近にPN接合に起因する電界効果によってボロンが偏析した偏析領域とボロンの濃度が減少した領域とが形成されるが、接合付近から離れた領域では、ボロンの濃度は基板に注入したチャネル濃度(ポケット注入を含む)と同等となっている。従って、N型ソース・ドレイン拡散層108を形成するために注入されるヒ素は、基板に注入されているボロンよりも十分に濃度が高いため、ボロンの影響をほとんど受けることがなく、その結果、TEDが生じる。また、N型ソース・ドレイン拡散層108を形成するためのヒ素の注入によって発生した過剰点欠陥は、拡散時にゲート電極104の下側のチャネル拡散層102にまで回り込み、このゲート電極104の下側に回り込んだ過剰点欠陥により、しきい値電圧が上昇する逆短チャネル効果を引き起こす原因にもなり得る。
さらに、トランジスタの微細化が進み、ゲート長が短くなるにつれて、N型ソース・ドレイン拡散層108を形成するためのヒ素イオンの注入エネルギーの低エネルギー化が進むと、晶帯軸の<110>方向に生じるチャネリングによって、ヒ素イオンがゲート電極104の下側に位置するチャネル拡散層102にも回り込むようになるため、この回り込んだヒ素イオンが短チャネル特性にも影響を及ぼすようになる。
このように、前記従来の半導体装置の製造方法においては、MIS型トランジスタの微細化に不可欠な浅接合で且つ高濃度のソース・ドレイン拡散層を、不純物イオンの回り込みやTEDによるエクステンション拡散層の再分布を抑制しながら所定の不純物濃度となるように形成することは極めて困難である。
前記従来の問題に鑑み、本発明は、微細化に伴う短チャネル効果(及び逆短チャネル効果)の顕在化を抑制しながら、ソース・ドレイン拡散層の形状を深さ方向で浅く且つ横方向で小さくできるようにして、微細化を図れるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、半導体装置の製造方法を、導電型がソース・ドレイン領域とは逆の不純物をソース・ドレイン領域に注入した後に熱処理を行なって、N型の不純物とP型の不純物との不純物対(イオンペア)を形成した状態で不純物拡散を行なうことにより、サーマルバジェットを低減しながら、低抵抗なソース・ドレイン領域を形成する構成とする。これにより、半導体装置をソース・ドレイン領域に該ソース・ドレイン領域とは逆の導電型の不純物拡散層が含まれている構成とする。ここで、サーマルバジェットとは、加熱温度と加熱時間との積により表わされる熱処理量をいう。
具体的に、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の半導体層と、半導体層の上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、半導体層におけるゲート電極の側方の領域に形成された第2導電型のソース・ドレイン拡散層とを備え、ソース・ドレイン拡散層は、その内部に不純物濃度がソース・ドレイン拡散層よりも低い第1導電型の不純物注入領域が形成されていることを特徴とする。
本発明の半導体装置によると、第2導電型のソース・ドレイン拡散層はその内部に不純物濃度がソース・ドレイン拡散層よりも低い第1導電型の不純物注入領域が形成されている。これにより、ソース・ドレイン拡散層を形成するために注入された第2導電型の不純物イオンを熱拡散する際に、第2導電型の不純物イオンは不純物注入領域に注入された第1導電型の不純物イオンとイオンぺアを形成して過渡増速拡散が抑制される。このため、ソース・ドレイン拡散層の接合深さが浅くなるので、短チャネル効果の顕在化を抑制しながら、半導体装置の微細化を図ることができる。
本発明の半導体装置は、半導体層におけるゲート電極の側方で且つソース・ドレイン拡散層との間の領域に形成された第2導電型のエクステンション拡散層と、エクステンション拡散層の下側の領域に形成された第1導電型のポケット拡散層とをさらに備え、不純物注入領域における不純物濃度は、ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことが好ましい。
本発明の半導体装置は、半導体層におけるゲート電極の下側の領域に形成された第1導電型のチャネル拡散層をさらに備え、不純物注入領域における不純物濃度は、チャネル拡散層の不純物濃度よりも高いことが好ましい。
本発明の半導体装置において、ソース・ドレイン拡散層を構成する第2導電型の不純物はヒ素であり、不純物注入領域を構成する第1導電型の不純物はインジウムであることが好ましい。
本発明の半導体装置において、ソース・ドレイン拡散層には、ゲート電極の下側に位置する半導体層よりも高濃度にIV族の原子が含まれていることが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体層の上にゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、ゲート電極の側面上にサイドウォールを形成する工程(b)と、ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、半導体層に第1導電型の第1の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるサイドウォールの側方に第1導電型の不純物注入層を形成する工程(c)と、ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、半導体層に第2導電型の第2の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるサイドウォールの側方に第2導電型のソース・ドレイン注入層を形成する工程(d)と、工程(c)及び工程(d)よりも後に、半導体層に対して第1の熱処理を行なうことにより、半導体層におけるサイドウォールの側方第2の不純物が拡散してなる第2導電型のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(e)とを備え、工程(e)において、ソース・ドレイン拡散層には、不純物濃度がソース・ドレイン拡散層よりも低い第1の不純物が拡散してなる第1導電型の不純物注入領域が形成されることを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法によると、第2導電型の第2の不純物の注入により第2導電型のソース・ドレイン注入層を形成する工程(d)に加え、第1導電型の第1の不純物の注入により不純物注入層を形成する工程(c)を備えているため、その後の第1の熱処理工程(e)において、導電型が互いに異なる第1及び第2の不純物は不純物対(イオンペア)を形成する。この形成された不純物対は、互いに逆の極性でイオン化したペア(正イオンと負イオン)が形成されることにより電気的に中性となって拡散しにくくなるため、第2の不純物の過渡増速拡散が抑制される。その結果、第2の不純物のみを注入した場合と比べて浅い接合面を有するソース・ドレイン拡散層を形成することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(a)の後で且つ工程(b)よりも前に、ゲート電極をマスクとして、半導体層に第2導電型の第3の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるゲート電極の側方に第2導電型のエクステンション注入層を形成する工程(f)と、ゲート電極をマスクとして、半導体層におけるゲート電極の側方に第1導電型の第4の不純物をイオン注入することにより、半導体層に第1導電型のポケット注入層を形成する工程(g)と、工程(f)及び工程(g)よりも後に、半導体層に対して第2の熱処理を行なうことにより、半導体層におけるゲート電極の側方に、第3の不純物が拡散してなる第2導電型のエクステンション拡散層と、エクステンション拡散層の下側の領域に第4の不純物が拡散してなる第1導電型のポケット拡散層とを形成する工程(h)とをさらに備え、不純物注入領域における不純物濃度は、ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことが好ましい。このようにすると、半導体層におけるゲート電極の側方の領域に、ソース・ドレイン拡散層と同一の導電型のエクステンション拡散層が形成されると共に該エクステンション拡散層の下側にソース・ドレイン拡散層と逆の導電型のポケット拡散層が形成される。これにより、ソース・ドレイン間の抵抗が低減され、且つゲート電極の下側に形成されるチャネル領域における空乏層の広がりが抑制される。
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(a)よりも前に、半導体層に第1導電型の第5の不純物をイオン注入することにより、半導体層に第1導電型のチャネル注入層を形成した後、半導体層に対して第3の熱処理を行なうことにより、半導体層に第5の不純物が拡散してなる第1導電型のチャネル拡散層を形成する工程(i)をさらに備え、不純物注入領域における不純物濃度は、チャネル拡散層の不純物濃度よりも高いことが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(b)よりも後で且つ工程(c)及び工程(d)よりも前に、ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、半導体層に第6の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるサイドウォールの側方にアモルファス層を形成する工程(j)をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、工程(d)において行なうソース・ドレイン形成用の第2の不純物における半導体層の深さ方向へのチャネリングを防止でき、さらに、例えば半導体層がシリコンからなる場合に、晶帯軸の<110>方向へのチャネリングに起因したゲート電極の下側部分への回り込みをも抑制することできる。
この場合に、工程(j)において、第6の不純物層を前記半導体層の主面の法線に対して所定の角度を持たせた角度注入により注入することが好ましい。このようにすると、晶帯軸の<110>方向へのチャネリングをより確実に抑制することができる。
本発明の半導体装置の製造方法において、第6の不純物はIV族の元素であることが好ましい。このようにすると、半導体層がシリコンからなる場合に該半導体層をIV族の元素でアモルファス化すると、IV族の元素は電気的に中性であるため、半導体層をアモルファス化した後に、IV族の元素が半導体層に対して電気的な影響を与えることがない。
本発明の半導体装置の製造方法において、第2の不純物は、第1の不純物の注入飛程よりも大きいか等しい注入飛程でイオン注入することが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の不純物はインジウムであることが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(d)よりも後で且つ工程(e)よりも前に、注入された不純物が拡散しない程度の極低温熱処理を行なうことにより、イオン注入による結晶ダメージを回復する工程(k)をさらに備えていることが好ましい。
この場合に、極低温熱処理は加熱温度が400℃以上且つ700℃以下であることが好ましい。このように、加熱温度が400℃以上且つ700℃以下の低温領域は、アモルファス層の固相再成長(Solid Phase Epitaxial Regrowth:SPER)が生じる温度範囲であって、不純物イオンをほとんど拡散させることなく結晶ダメージの回復のみを行なうことができる。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、工程(e)の後に、サイドウォールを除去し、ゲート電極をマスクとして、半導体層に第2導電型の第3の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるゲート電極の側方に第2導電型のエクステンション注入層を形成する工程(l)と、ゲート電極をマスクとして、半導体層に第1導電型の第4の不純物をイオン注入することにより、半導体層におけるゲート電極の側方に第1導電型のポケット注入層を形成する工程(m)と、工程(l)及び工程(m)よりも後に、半導体層に対して第2の熱処理を行なうことにより、半導体層におけるゲート電極の側方に、第3の不純物が拡散してなる第2導電型のエクステンション拡散層と、エクステンション拡散層の下側の領域に第4の不純物が拡散してなる第1導電型のポケット拡散層とを形成する工程(h)とをさらに備え、不純物注入領域における不純物濃度は、ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことが好ましい。
このように、ソース・ドレイン拡散層を形成した後、サイドウォールを選択的に除去し、その後、ゲート電極をマスクとしてエクステンション拡散層を形成するため、先にエクステンション拡散層を形成する場合のように、ソース・ドレイン形成用不純物の活性化工程(e)における熱処理によって、エクステンション拡散層の不純物が再分布を起こし、接合深さが大きくなってしまうという事態を防止することができる。
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、ソース・ドレイン領域に、互いの極性が異なる2種類の不純物を注入した後活性化を図る熱処理を行なうため、ソース・ドレイン拡散層を形成する不純物が不純物対を形成しながら拡散する。従って、過渡増速拡散が抑制されるので、MIS型トランジスタの微細化に必須の構成である浅いソース・ドレイン拡散層を形成することができる。その上、不純物対が形成されることにより、ソース・ドレイン拡散層を形成する不純物の拡散が抑制されるので、活性化の熱処理を必要以上に高温で行なう必要がない。その結果、ソース・ドレイン拡散層を形成するための熱処理を比較的に少ないサーマルバジェット(以下、低サーマルバジェットと呼ぶ。)で行なえると共に、他の拡散層の再分布による接合深さが増大することもない。さらに、エクステンション拡散層を深いソース・ドレイン拡散層を形成した後に形成することにより、ソース・ドレイン拡散層に対する熱処理時にエクステンション拡散層が再分布して、該エクステンション拡散層の接合面の深さが増大することをも抑制することができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置であって、Nチャネル型MISトランジスタの断面構成を示している。
図1に示すように、例えばP型のシリコンからなる半導体基板11の主面上には、ゲート絶縁膜14とその上にゲート電極15とが選択的に形成され、ゲート絶縁膜14及びゲート電極15の両側面上には絶縁性のサイドウォール18が形成されている。
半導体基板11におけるゲート絶縁膜14の下側の領域にはP型チャネル拡散層12が形成され、半導体基板11における各サイドウォール18の下側の領域には、N型エクステンション拡散層16及びさらにその下側にP型ポケット拡散層17が選択的に形成されている。
また、半導体基板11における各サイドウォール18の両側方の領域には、N型ソース・ドレイン拡散層20がP型チャネル拡散層12よりも深い接合面を持ち、且つ、内側の端部がN型エクステンション拡散層16及びP型ポケット拡散層17と接合されるようにそれぞれ形成されている。
第1の実施形態の特徴として、各N型ソース・ドレイン拡散層20には、その内部に不純物濃度が該N型ソース・ドレイン拡散層20に含まれる不純物の濃度よりも低いP型の不純物が注入されてなるP型不純物注入領域19が形成されている。ここで、N型ソース・ドレイン拡散層20には例えばヒ素(As)が導入され、一方、P型不純物注入領域19には例えばインジウム(In)が注入されている。また、P型不純物注入領域19の不純物濃度は、P型チャネル拡散層12及びP型ポケット拡散層17の各不純物濃度よりも高く設定されている。
このように、第1の実施形態に係る半導体装置によると、N型ソース・ドレイン拡散層20の内部には、P型不純物濃度がN型ソース・ドレイン拡散層20よりも低いP型不純物注入領域19が形成されている。このため、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成するための、注入されたヒ素イオンを熱拡散する際に、ドナーであるヒ素イオンとアクセプタであるインジウムイオンとがイオンペアを形成して電気的に中性となる。これにより、インジウムイオンが拡散しにくくなるので、接合面が浅いN型ソース・ドレイン拡散層20を形成することができる。従って、N型ソース・ドレイン拡散層20の接合面を浅く形成できることから、MIS型トランジスタの微細化を実現することができる。
以下、前記のように構成されたMIS型トランジスタの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜図2(e)及び図3(a)〜図3(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。
まず、図2(a)に示す工程において、P型シリコンからなる半導体基板11のチャネル形成領域に、P型不純物であるインジウム(In)イオンを注入エネルギーが70keVで、注入ドーズ量が8×1012ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、半導体基板11の上部にP型チャネル注入層12Aを形成する。
次に、図2(b)に示す工程において、半導体基板11のP型ウェル形成領域に、P型不純物であるホウ素(B)イオンを注入エネルギーが100keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の第1の注入条件で1回目のイオン注入を行ない、続いて、注入エネルギーが250keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の第2の注入条件で2回目のイオン注入を行なうことにより、半導体基板11のP型チャネル注入層12Aの下側の領域にP型ウェル注入層13Aを形成する。なお、チャネル注入は、ドーズ量を分割してそれぞれを異なる注入角度で複数回に分けてウェハ面内で対称に注入する、いわゆる回転注入を用いてイオン注入してもよい。また、第1の実施形態においては、チャネル注入を行なってからウェル注入を行なったが、ウェル注入をチャネル注入よりも先に行なってもよい。
次に、図2(c)に示す工程において、P型チャネル注入層12A及びP型ウェル注入層13Aを形成した後に、半導体基板11を、約100℃/秒以上、好ましくは約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第1の急速熱処理(RTA)を行なう。この急速熱処理により、半導体基板11の上部にP型チャネル拡散層12及びP型ウェル拡散層13を形成する。なお、ピーク温度を保持しない急速熱処理とは、熱処理温度がピーク温度に達すると同時に降温する熱処理をいう。
次に、図2(d)に示す工程において、半導体基板11の主面上に、膜厚が1.5nm程度の酸化シリコンからなるゲート絶縁膜14と、その上に膜厚が150nm程度のポリシリコン又はポリメタルからなるゲート電極15とを選択的に形成する。
次に、図2(e)に示す工程において、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、N型不純物であるヒ素(As)イオンを注入エネルギーが2keVで、注入ドーズ量が2×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型エクステンション注入層16Aを形成する。さらに、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、P型不純物であるボロン(B)イオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型ポケット注入層17Aを形成する。
次に、図3(a)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第2の急速熱処理を行なう。この第2の急速熱処理により、半導体基板11におけるゲート電極15の両側方の領域に、N型エクステンション注入層16Aのヒ素イオンが活性化してなり、比較的に浅い接合面を持つN型エクステンション拡散層16が形成される。さらに、N型エクステンション拡散層16の下側には、P型ポケット注入層17Aのボロンイオンが活性化してなり、P型チャネル拡散層13よりも高濃度の不純物濃度を有するP型ポケット拡散層17が形成される。
次に、図3(b)に示す工程において、例えば化学的気相堆積(CVD)法により、半導体基板11の上にゲート電極15を含む全面にわたって膜厚が約50nmのシリコン窒化膜を堆積する。続いて、堆積したシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行なうことにより、ゲート電極15の側面上に窒化シリコンからなるサイドウォール18を形成する。ここで、サイドウォール18には、窒化シリコンに代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、サイドウォール18とゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
次に、図3(c)に示す工程において、ゲート電極15及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板11にP型不純物であるインジウムイオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型イオン注入層19Aを形成する。続いて、ゲート電極15及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板11に、N型不純物であるヒ素イオンを注入エネルギーが15keVで、注入ドーズ量が3×1015ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このN型ソース・ドレイン注入層20Aは、P型イオン注入層19Aよりも注入深さが深く且つP型イオン注入層19Aよりも高濃度のヒ素イオンが注入される。さらに、図示はしていないが、ソース・ドレイン領域における電界を緩和する目的で、ヒ素イオンを注入した後に、N型不純物であるリン(P)イオンを注入エネルギーが20keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入してもよい。この電界を緩和するためのリンイオンの注入は、インジウム及び高ドーズ量のヒ素の注入によって、半導体基板11の表面及びその近傍部分がアモルファス化されているため、プリアモルファス効果によってチャネリングが大きく抑制された注入分布となる。なお、N型ソース・ドレイン注入層20Aには、ヒ素イオンに代えてリンイオンを用いてもよい。
次に、図3(d)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒〜250℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1000℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第3の急速熱処理を行なう。この第3の急速熱処理により、半導体基板11におけるサイドウォール18の両側方の領域に、N型ソース・ドレイン注入層20Aのヒ素イオンが活性化してなるN型ソース・ドレイン拡散層20が形成される。このN型ソース・ドレイン拡散層20の形成によって、ゲート電極15下のP型チャネル拡散層12とN型ソース・ドレイン拡散層20との間には、N型エクステンション拡散層16とP型ポケット拡散層17が形成される。N型ソース・ドレイン拡散層20は、N型エクステンション拡散層16と接続され且つN型エクステンション拡散層16よりも深い接合面を持っている。ここで、N型ソース・ドレイン拡散層20の内部は、P型イオン注入層19Aにより得られた、破線で示すP型不純物注入領域19が埋め込まれた状態となっている。このP型不純物注入領域19は、N型ソース・ドレイン拡散層20のN型不純物の不純物濃度と比べてP型不純物の不純物濃度が低いため、P型不純物拡散層とはならい。
図4(a)は図3(d)のIVa−IVa線におけるN型ソース・ドレイン拡散層20の横方向(基板面に平行な方向)の不純物濃度プロファイルを表わしている。ここで、縦軸は不純物濃度の対数値を表わし、横軸はサイドウォールの外側の端部からの距離を表わす。実線は本発明のソース・ドレイン形成領域に注入されたP型不純物領域19におけるインジウムの濃度を示し、破線はN型ソース・ドレイン拡散層20におけるヒ素の濃度を示す。比較のため、従来のポケット拡散層の形成時にソース・ドレイン形成領域に導入されるホウ素の濃度を一点鎖線で示している。図4(a)に示すように、N型ソース・ドレイン拡散層20に導入されているP型不純物領域19のP型不純物であるインジウムの濃度は、従来のP型ポケット拡散層の形成によって導入されるボロンの濃度と比べて高くなっている。このインジウムがヒ素と相互作用する結果、ヒ素の拡散が抑制される。なお、図4(a)においては、本発明としてインジウムの濃度のみを示しているが、実際には従来と同様にボロン注入によってP型ポケット拡散層17を形成するため、P型不純物の総濃度としてはインジウム濃度にP型ポケット拡散層17のボロン濃度を合わせたものとなる。
このように、第1の実施形態によると、図3(c)に示す工程において、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成するためのN型ソース・ドレイン注入層20Aと、該N型ソース・ドレイン注入層20Aよりも不純物濃度が低いP型イオン注入層19Aとを形成した後、図3(d)に示す工程において、N型ソース・ドレイン注入層20Aのヒ素イオン及びP型イオン注入層19Aのインジウムイオンを活性化するための第3の急速熱処理を行なう。このとき、N型ソース・ドレイン注入層20Aの不純物濃度がP型イオン注入層19Aの不純物濃度よりも高濃度であるため、N型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
ところで、それぞれイオン化したドナー原子とアクセプタ原子とは、熱処理により電気的に互いに引き寄せられてイオンペアを形成するという性質を持っている。このため、N型ソース・ドレイン注入層20Aにおけるイオン化したヒ素とP型イオン注入層19Aにおけるイオン化したインジウムとがイオンペアを形成することにより、ヒ素の過渡増速拡散が抑制されるので、N型不純物のみを注入した場合と比べて浅い接合面を有する拡散層を形成することができる。
図4(b)はイオンペア形成用のインジウムの注入の有無による熱処理後のヒ素の不純物プロファイルをシミュレーションした結果を表わしている。図4(b)からは、従来のイオンペア形成用のインジウムを注入しない場合と比べて、本発明がイオンペア形成用のインジウムを注入していることにより、ヒ素の接合面が浅くなっていることが分かる。
従って、ヒ素とインジウムとのイオンペアによってヒ素の拡散が抑制されるため、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成するための活性化を図る熱処理を必要以上に高い温度に設定する必要がなくなる。その上、熱処理工程において、加熱された状態を保持する保持時間を短縮できるため、低サーマルバジェットで活性化処理を行なうことが可能となる。さらに、ソース・ドレイン形成用の不純物の活性化工程を低サーマルバジェットで行なうことができるため、従来のように、一旦浅く形成されたエクステンション拡散層がソース・ドレイン形成用不純物の活性化工程の熱処理によって不純物が再分布を起こし、その結果、該エクステンション拡散層の接合面が深くなってしまうという不具合をも防止することができる。
また、ソース・ドレイン形成用の不純物とイオンペアを形成するためのP型不純物として、インジウムのように比較的に質量数が大きい元素を用いるため、低い注入ドーズ量であっても半導体基板11のソース・ドレイン形成領域をアモルファス化することができる。このため、ソース・ドレイン領域形成用のヒ素をイオン注入するよりも前に、イオンペア形成用のインジウム注入を行なうことにより、インジウムイオンがプリアモルファス化注入の役割をも同時に果たす。このプリアモルファス効果によって、その後に注入されるヒ素のチャネリングが抑制されるため、ヒ素の注入分布を浅くすることができる。従って、活性化のための熱拡散によるヒ素の不純物分布は、このプリアモルファス効果により浅い接合面を得ることができる。
ところで、インジウムは転位ループ欠陥層に強く偏析することが知られており、ヒ素イオンが注入されたN型ソース・ドレイン注入層20Aに、インジウムイオンが注入されたP型イオン注入層19Aを形成しておくことによりインジウムが転位ループ欠陥層にトラップされるため、該転位ループ欠陥層から格子間シリコンが放出されることによって生じるヒ素の過渡増速拡散をも抑制できる。
以上のことから、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、N型エクステンション拡散層16の不純物の再分布を抑制しながら、浅い接合面を有するN型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
また、P型チャネル拡散層12の形成に、質量数が相対的に大きいインジウムイオンを用いているため、P型チャネル拡散層12における基板表面の近傍において不純物濃度が低くなり、一方、基板表面からやや深い領域においては不純物濃度が高くなる、いわゆるレトログレードな不純物プロファイルを得ることができる。これにより、主に不純物散乱に起因するキャリアの移動度の低下を防ぐことができるため、短チャネル効果の顕在化を抑制することができる。その結果、トランジスタの微細化を確実に行なえるようになる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜図5(e)及び図6(a)〜図6(e)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。なお、第2の実施形態においても、Nチャネル型MISトランジスタを用いて説明する。
まず、図5(a)に示す工程において、P型シリコンからなる半導体基板11のチャネル形成領域に、P型不純物であるインジウム(In)イオンを注入エネルギーが70keVで、注入ドーズ量が8×1012ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型チャネル注入層12Aを形成する。
次に、図5(b)に示す工程において、半導体基板11のP型ウェル形成領域に、P型不純物であるホウ素(B)イオンを注入エネルギーが100keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の第1の注入条件で1回目のイオン注入を行ない、続いて、注入エネルギーが250keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の第2の注入条件で2回目のイオン注入を行なうことにより、半導体基板11のP型チャネル注入層12Aの下側の領域にP型ウェル注入層13Aを形成する。なお、チャネル注入は、ドーズ量を分割して異なる注入角度で複数回に分けてウェハ面内で対称に注入する、いわゆる回転注入を用いてイオン注入してもよい。また、本実施形態では、チャネル注入を行なってからウェル注入を行なったが、ウェル注入をチャネル注入より先に行なってもよい。
次に、図5(c)に示す工程において、P型チャネル注入層12A及びP型ウェル注入層13Aを形成した後に、半導体基板11を、約100℃/秒以上、好ましくは約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第1の急速熱処理(RTA)を行なう。この急速熱処理により、半導体基板11の上部に、P型チャネル拡散層12及びP型ウェル拡散層13を形成する。
次に、図5(d)に示す工程において、半導体基板11上に、膜厚が1.5nm程度の酸化シリコンからなるゲート絶縁膜14と、その上に膜厚が150nm程度のポリシリコン又はポリメタルからなるゲート電極15とを選択的に形成する。
次に、図5(e)に示す工程において、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、N型不純物であるヒ素(As)イオンを注入エネルギーが2keVで、注入ドーズ量が2×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型エクステンション注入層16Aを形成する。さらに、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、P型不純物であるボロンイオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型ポケット注入層17Aを形成する。
次に、図6(a)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第2の急速熱処理を行なう。この第2の急速熱処理により、半導体基板11におけるゲート電極15の両側方の領域に、N型エクステンション注入層16Aのヒ素イオンが活性化してなり、比較的に浅い接合面を持つN型エクステンション拡散層16が形成される。さらに、N型エクステンション拡散層16の下側には、P型ポケット注入層17Aのボロンイオンが活性化してなり、P型チャネル拡散層13よりも高濃度の不純物濃度を有するP型ポケット拡散層17が形成される。
次に、図6(b)に示す工程において、例えばCVD法により、半導体基板11上にゲート電極15を含む全面にわたって膜厚が約50nmのシリコン窒化膜を堆積する。続いて、堆積したシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行なうことにより、ゲート電極15の側面上にシリコン窒化膜からなるサイドウォール18を形成する。ここで、サイドウォール18には、シリコン窒化膜に代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、サイドウォール18とゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
次に、図6(c)に示す工程において、ゲート電極15及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板11に、IV族元素であるゲルマニウム(Ge)イオンを注入エネルギーが250keVで、注入ドーズ量が1×1016ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、半導体基板11のソース・ドレイン形成領域にアモルファス層21を形成する。このアモルファス層21の深さは、後工程で形成するソース・ドレイン注入層の深さよりも深く形成することが望ましい。ここで、アモルファス層21を形成するIV族元素には、ゲルマニウムに代えて、該ゲルマニウムと同様に半導体基板11に対して電気的な影響を与えないシリコン(Si)を用いてもよい。ここで、シリコンを用いてアモルファス層21を形成した場合は、アモルファス層21を形成する領域のシリコン濃度は、半導体基板11のシリコン濃度に注入したシリコン濃度が加わるため、半導体基板11におけるゲート電極15の直下のシリコン濃度と比べて高濃度となる。
次に、図6(d)に示す工程において、ゲート電極15及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板11に形成されたアモルファス層21に、P型不純物であるインジウムイオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型イオン注入層19Aを形成する。続いて、ゲート電極15及びサイドウォール18をマスクとして、半導体基板11に形成されたアモルファス層21に、N型不純物であるヒ素イオンを注入エネルギーが15keVで、注入ドーズ量が3×1015ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このN型ソース・ドレイン注入層20Aは、P型イオン注入層19Aよりも注入深さが深く且つP型イオン注入層19Aよりも高濃度のヒ素イオンが注入される。さらに、図示はしていないが、ソース・ドレイン領域における電界を緩和する目的で、ヒ素イオンを注入した後に、N型不純物であるリン(P)イオンを注入エネルギーが20keV、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なってもよい。この電界を緩和するためのリンイオンの注入は、半導体基板11にアモルファス層21が形成されているため、プリアモルファス効果によりチャネリングが大きく抑制された注入分布となる。なお、N型ソース・ドレイン注入層20Aには、ヒ素イオンに代えてリンイオンを用いてもよい。
次に、図6(e)に示す工程において、アモルファス層21、P型イオン注入層19A及びN型ソース・ドレイン注入層20Aが形成された半導体基板11を400℃〜700度、より好ましくは400℃〜600℃程度にまで昇温し、昇温した温度を最大で10時間程度保持する第3の極低温熱処理を半導体基板11に対して行なう。この極低温熱処理は、熱処理温度が十分に低いため、過渡増速拡散に起因する不純物拡散はほとんど起こらず、イオン注入によって生じた結晶ダメージやアモルファス化された結晶の回復のみが進行する結果、接合位置はイオン注入を行なった直後とほとんど変化しない。
続いて、第3の極低温熱処理の後に、半導体基板11に対して、約200℃/秒〜250℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1000℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第4の急速熱処理を行なう。この第4の急速熱処理により、半導体基板11におけるサイドウォール18の両側方の領域に、N型ソース・ドレイン注入層20Aのヒ素イオンが活性化してなるN型ソース・ドレイン拡散層20が形成される。このN型ソース・ドレイン拡散層20の形成によって、ゲート電極15の下側のP型チャネル拡散層12とN型ソース・ドレイン拡散層20との間には、N型エクステンション拡散層16とP型ポケット拡散層17とが形成される。N型ソース・ドレイン拡散層20は、N型エクステンション拡散層16と接続され且つN型エクステンション拡散層16よりも深い接合面を持っている。ここで、N型ソース・ドレイン拡散層20の内部は、P型イオン注入層19Aにより得られた、破線で示すP型不純物注入領域19が埋め込まれた状態となっている。このP型不純物注入領域19は、N型ソース・ドレイン拡散層20のN型不純物と比べてP型不純物の不純物濃度が低いため、P型不純物拡散層にはならない。この第4の急速熱処理、例えばspike RTA、レーザアニール又はフラッシュランプアニール等を行なうことにより、第3の極低温熱処理だけでは不十分な不純物の活性化を向上することができる。
このように、第2の実施形態によると、図6(c)に示す工程において、ソース・ドレイン形成領域にアモルファス層21を形成した後、図6(d)に示す工程において、P型イオン注入層19A及びN型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このアモルファス層21を形成することにより、N型ソース・ドレイン注入層20Aの形成時におけるヒ素のチャネリングが抑制されるため、浅い不純物分布を有するN型ソース・ドレイン注入層20Aを形成することができる。
その後、図6(e)に示す工程において、第3の極低温熱処理で結晶回復をした後、第4の急速熱処理によって活性化を行なう。これにより、注入された不純物をほとんど拡散させることなく、該不純物の活性化を図ることができる。このとき、前述したように、熱処理によって、イオン化したドナー原子とアクセプタ原子が電気的に互いに引き寄せられてイオンペアを形成する性質を持っている。このため、N型ソース・ドレイン注入層20Aにおけるイオン化したヒ素とP型イオン注入層19Aにおけるイオン化したインジウムとがイオンペアを形成することによりヒ素の過渡増速拡散が抑制されるので、N型不純物のみを注入した場合と比べて浅い接合面を有するN型ソース・ドレイン拡散層20を形成することができる。
このように、イオンペアによりヒ素の拡散が抑制されるため、極低温熱処理に続いて行なうソース・ドレイン拡散層を形成するための活性化の熱処理を必要以上に高い温度に設定する必要がない。その上、熱処理において、加熱された状態を保持する保持時間を短縮できるので、低サーマルバジェットで活性化処理を行なうことが可能となる。さらに、ソース・ドレイン形成用の不純物の活性化工程を低サーマルバジェットで行なうことができるため、従来のように、一旦浅く形成したエクステンション拡散層がソース・ドレイン形成用の不純物の活性化工程の熱処理によって不純物が再分布を起こし、その結果、接合面が深くなってしまうという不具合をも防止することができる。
また、図6(e)に示す工程において、ソース・ドレイン形成領域にイオン注入を行なった後に極低温熱処理を行なうため、高ドーズ量のプリアモルファス注入によって形成されたアモルファス層を結晶層に回復することができる。このときの熱処理温度は十分に低いため、点欠陥のみが拡散及び再結合により消滅し、過渡増速拡散に起因する不純物拡散はほとんど起こらず、アモルファス層の再成長のみが進行する。このような、熱処理温度が400℃〜700℃程度、さらには400℃〜600℃程度の温度下においては、アモルファス層に固相再成長が起きることが知られている。このため、ソース・ドレイン形成領域に注入されたヒ素及びインジウムの接合面は、イオン注入された時点からほとんど変わることなく、浅い接合面を保つことができる。
また、図6(c)に示す工程において、IV族の元素であるゲルマニウムをイオン注入するため、ソース・ドレイン形成領域を選択的に且つ積極的にアモルファス化することができる。このように、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する前に、ソース・ドレイン形成領域をプリアモルファス化するため、N型ソース・ドレイン注入層20Aに注入されたヒ素イオンの注入分布における深さ方向のチャネリング現象が抑制されるだけでなく、晶帯軸の<110>方向のチャネリングに起因する、ヒ素イオンのゲート電極15の下側の領域への回り込みをも抑制することができる。
また、前述したように、インジウムは転位ループ欠陥層に強く偏析することが知られており、ヒ素イオンが注入されたN型ソース・ドレイン注入層20Aに、インジウムイオンが注入されたP型イオン注入層19Aを形成しておくことにより、インジウムが転位ループ欠陥層にトラップされるため、該転位ループ欠陥層から格子間シリコンが放出されることによって生じるヒ素の過渡増速拡散をも抑制される。
以上のことから、N型エクステンション拡散層16に含まれる不純物の再分布を抑制しながら、浅い接合面を有するN型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
また、P型チャネル拡散層12の形成に、質量数が相対的に大きいインジウムイオンを用いているため、P型チャネル拡散層12における基板表面の近傍領域においては不純物濃度が低くなり、且つ基板表面から離れた領域においては不純物濃度が高くなる、いわゆるレトログレードな不純物プロファイルを得ることができる。これにより、主に不純物散乱に起因するキャリアの移動度の低下を防ぐことができ、短チャネル効果の顕在化を抑制することができる。その結果、トランジスタの微細化を確実に行なえるようになる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
図7(a)〜図7(d)及び図8(a)〜図8(c)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。なお、第3の実施形態においても、Nチャネル型MISトランジスタを用いて説明する。
まず、第1の実施形態と同様にして、図7(a)に示すように、P型シリコンからなる半導体基板11の上部にP型チャネル拡散層12及びP型ウェル拡散層13を形成し、続いて、半導体基板11の主面上に、膜厚が1.5nm程度の酸化シリコンからなるゲート絶縁膜14と、その上に膜厚が150nm程度のポリシリコン又はポリメタルからなるゲート電極15とを選択的に形成する。
次に、図7(b)に示す工程において、例えばCVD法により、半導体基板11の上にゲート電極15を含む全面にわたって膜厚が約50nmのシリコン窒化膜を堆積する。続いて、堆積したシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行なうことにより、ゲート電極15の側面上に窒化シリコンからなる第1のサイドウォール18Aを形成する。ここで、第1のサイドウォール18Aには、窒化シリコンに代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、第1のサイドウォール18Aとゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
次に、図7(c)に示す工程において、ゲート電極15及び第1のサイドウォール18Aをマスクとして、半導体基板11に、P型不純物であるインジウムイオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型イオン注入層19Aを形成する。続いて、ゲート電極15及び第1のサイドウォール18Aをマスクとして、半導体基板11に、N型不純物であるヒ素イオンを注入エネルギーが15keVで、注入ドーズ量が3×1015/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このN型ソース・ドレイン注入層20Aは、P型イオン注入層19Aよりも注入深さが深く且つP型イオン注入層19Aよりも高濃度の不純物が注入される。さらに、図示はしていないが、ソース・ドレイン領域における電界を緩和する目的で、ヒ素イオンを注入した後に、N型不純物であるリン(P)イオンを注入エネルギーが20keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入してもよい。この電界を緩和するためのリンイオンの注入は、インジウム注入及び高ドーズ量のヒ素注入によって、半導体基板11の表面及びその近傍部分がアモルファス化されているため、プリアモルファス効果によってチャネリングが大きく抑制された注入分布となる。なお、N型ソース・ドレイン注入層20Aには、ヒ素イオンに代えてリンイオンを用いてもよい。
次に、図7(d)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒〜250℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1000℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第1の急速熱処理を行なう。この第1の急速熱処理により、半導体基板11における第1のサイドウォール18Aの両側方の領域に、N型ソース・ドレイン注入層20Aのヒ素イオンが活性化してなるN型ソース・ドレイン拡散層20が形成される。このとき、N型ソース・ドレイン拡散層20の内部は、P型イオン注入層19Aによる破線で示すP型不純物注入領域19が埋め込まれた状態となっている。このP型不純物注入領域19は、N型ソース・ドレイン拡散層20のN型不純物と比べてP型不純物の不純物濃度が低いため、P型不純物拡散層とはならない。
次に、図8(a)に示す工程において、第1のサイドウォール18Aを選択的に、例えば熱リン酸溶液によるウェットエッチングにより一旦除去する。続いて、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、N型不純物であるヒ素(As)イオンを注入エネルギーが2keVで、注入ドーズ量が2×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型エクステンション注入層16Aを形成する。さらに、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、P型不純物であるボロンイオンを、注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入して、P型ポケット注入層17Aを形成する。
次に、図8(b)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第2の急速熱処理を行なう。この第2の急速熱処理により、半導体基板11におけるゲート電極15の両側方の領域に、N型エクステンション注入層16Aのヒ素イオンが活性化されてなる、比較的に浅い接合面を持つN型エクステンション拡散層16が形成される。さらに、N型エクステンション拡散層16の下側には、P型ポケット注入層17Aのボロンイオンが活性化してなり、P型チャネル拡散層13よりも高濃度の不純物濃度を有するP型ポケット拡散層17が形成される。このN型エクステンション拡散層16はN型ソース・ドレイン拡散層20と接続され且つN型ソース・ドレイン拡散層20よりも浅い接合面を持っている。
次に、図8(c)に示す工程において、図7(b)に示した工程と同様にして、第2のサイドウォール18Bをゲート電極15の両側面上に再度形成する。このように、第3の実施形態においては、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成した後に、第1のサイドウォール18Aを除去し、N型エクステンション拡散層16及びP型ポケット拡散層17を形成した後に、第2のサイドウォール18Bを形成しなおす。このため、第2のサイドウォール18Bの厚さ(幅)が、N型ソース・ドレイン拡散層20、N型エクステンション拡散層16及びP型ポケット拡散層17におけるゲート長方向のサイズを規制することがなくなる。これにより、第2のサイドウォール18Bの厚さ(幅)を任意に設定することができるようになる。ここでも、第2のサイドウォール18Bには、窒化シリコンに代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、第2のサイドウォール18Bとゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
図9(a)は、図7(d)、図8(b)及び図8(c)のIXa−IXa線におけるN型ソース・ドレイン拡散層20の横方向の不純物濃度プロファイルを表わしている。ここで、縦軸は不純物濃度の対数値を表わし、横軸はサイドウォールの外側の端部からの距離を表わす。実線は本発明のソース・ドレイン形成領域に注入したP型不純物領域19のインジウムの濃度を示し、破線はN型ソース・ドレイン拡散層20におけるヒ素の濃度を示す。比較のため、従来のポケット拡散層の形成時にソース・ドレイン形成領域に導入されるホウ素の濃度を一点鎖線で示している。図9(a)に示すように、N型ソース・ドレイン拡散層20に導入されているP型不純物領域19のP型不純物であるインジウム濃度は、従来のP型ポケット拡散層形成によって導入されるボロン濃度と比べて濃度が高くなっている。この導入されたインジウムがヒ素との間で相互作用することにより、ヒ素の拡散が抑制される。
このように、第3の実施形態によると、図7(d)に示す工程において、N型エクステンション拡散層16を形成するよりも前に、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成するためのN型ソース・ドレイン注入層20Aと、N型ソース・ドレイン注入層20Aよりも不純物濃度が低いP型イオン注入層19Aとを形成する。その後、図8(b)に示す工程において、N型ソース・ドレイン注入層20Aにおけるヒ素イオン及びP型イオン注入層19Aにおけるインジウムイオンを活性化するための第2の急速熱処理を行なう。このとき、N型ソース・ドレイン注入層20Aの不純物濃度が、P型イオン注入層19Aの不純物濃度と比べて高濃度であるため、N型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
前述したように、N型ソース・ドレイン注入層20Aにおけるイオン化したヒ素とP型イオン注入層19Aにおけるイオン化したインジウムとはイオンペアを形成する。この形成されたイオンペアによってヒ素の過渡増速拡散が抑制されるため、N型不純物のみを注入した場合と比べて浅い接合深さを有するN型ソース・ドレイン拡散層20を形成することができる。
また、図9(b)は、イオンペア形成用のインジウムの注入の有無による熱処理後のヒ素の不純物プロファイルをシミュレーションした結果を表わしている。図9(b)からは、従来のペア形成用のインジウムを注入しない場合と比べて、本発明がイオンペア形成用のインジウムを注入していることにより、ヒ素の接合面が浅くなっていることが分かる。
このように、ヒ素とインジウムとのイオンペアによってヒ素の拡散が抑制されるため、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成するための活性化を図る熱処理を必要以上に高い温度に設定する必要がなくなる。その上、熱処理工程において、加熱された状態を保持する保持時間を設ける必要がなくなるため、低サーマルバジェットで活性化処理を行なうことが可能となる。
さらに、N型エクステンション拡散層16をN型ソース・ドレイン拡散層20よりも後に形成するため、ソース・ドレイン形成用のN型不純物の活性化工程における熱処理によって、一旦形成されたN型エクステンション拡散層16に含まれる不純物が再分布を起こし、その結果、該N型エクステンション拡散層16の接合深さが深くなってしまう事態をも抑制することができる。
また、ゲート電極15がポリシリコン又はポリメタルからなる場合には、該ゲート電極15を形成するポリシリコンに導入された不純物に対する活性化処理においても、ソース・ドレイン拡散層20の形成工程によって、ゲート電極15を形成するポリシリコン等を十分に活性化することができる。
以上のことから、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、N型エクステンション拡散層16の不純物再分布を抑制しながら、浅い接合面を有するN型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
また、P型チャネル拡散層12の形成に、質量数が相対的に大きいインジウムイオンを用いているため、P型チャネル拡散層12における基板表面の近傍において不純物濃度が低くなり、一方、基板表面からやや深い領域においては不純物濃度が高くなる、いわゆるレトログレードな不純物プロファイルを得ることができる。これにより、主に不純物散乱に起因するキャリアの移動度の低下を防ぐことができるため、短チャネル効果の顕在化を抑制することができる。その結果、トランジスタの微細化を確実に行なえるようになる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
図10(a)〜図10(d)及び図11(a)〜図11(d)は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法における工程順の断面構成を示している。なお、第4の実施形態においても、Nチャネル型MISトランジスタを用いて説明する。
まず、第1の実施形態と同様にして、図10(a)に示すように、P型シリコンからなる半導体基板11の上部にP型チャネル拡散層12及びP型ウェル拡散層13を形成し、続いて、半導体基板11の主面上に、膜厚が1.5nm程度の酸化シリコンからなるゲート絶縁膜14と、その上に膜厚が150nm程度のポリシリコン又はポリメタルからなるゲート電極15とを選択的に形成する。
次に、図10(b)に示す工程において、例えばCVD法により、半導体基板11の上にゲート電極15を含む全面にわたって膜厚が約50nmのシリコン窒化膜を堆積する。続いて、堆積したシリコン窒化膜に対して異方性エッチングを行なうことにより、ゲート電極15の側面上に窒化シリコンからなる第1のサイドウォール18Aを形成する。ここで、第1のサイドウォール18Aには、窒化シリコンに代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、第1のサイドウォール18Aとゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
次に、図10(c)に示す工程において、ゲート電極15及び第1のサイドウォール18Aをマスクとして、半導体基板11に、IV族の元素であるゲルマニウム(Ge)イオン
を注入エネルギーが100keVで、注入ドーズ量が1×1016ions/cm2 で且つ基板面の法線に対して約20度のチルト角度(注入角度)を持たせたイオン注入を行なって、半導体基板11のソース・ドレイン形成領域にアモルファス層21を形成する。このアモルファス層21の深さは、後工程で形成するソース・ドレイン注入層の深さよりも浅く形成することが望ましい。また、角度注入により、半導体基板11における第1のサイドウォール18Aの下側の領域をもアモルファス化されるため、ヒ素イオンが晶帯軸の<110>方向へのチャネリングによりゲート電極15の下側部分へ回り込む現象をより確実に抑制することできる。このように、アモルファス層21の形成を角度注入によって行なう場合でも、ゲート電極15及びゲート絶縁膜14の側面は第1のサイドウォール18Aにより覆われているため、ゲート絶縁膜14の側端部がゲルマニウムイオンによって損傷を受けるおそれがない。なお、アモルファス層21を形成するIV族元素には、ゲルマニウムに代えて、シリコン(Si)を用いてもよい。
次に、図10(d)に示す工程において、ゲート電極15及び第1のサイドウォール18Aをマスクとして、半導体基板11に形成されたアモルファス層21に、P型不純物であるインジウムイオンを注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、P型イオン注入層19Aを形成する。続いて、ゲート電極15及び第1のサイドウォール18Aをマスクとして、半導体基板11に形成されたアモルファス層21に、N型不純物であるヒ素イオンを注入エネルギーが15keVで、注入ドーズ量が3×1015ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このN型ソース・ドレイン注入層20Aは、P型イオン注入層19Aよりも注入深さが深く且つP型イオン注入層19Aよりも高濃度の不純物が注入される。さらに、図示はしていないが、ソース・ドレイン領域における電界を緩和する目的で、ヒ素イオンを注入した後に、N型不純物であるリン(P)イオンを注入エネルギーが20keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入してもよい。この電界を緩和するためのリンイオンの注入は、インジウム注入及び高ドーズ量のヒ素注入によって、半導体基板11の表面及びその近傍部分がアモルファス化されているため、プリアモルファス効果によってチャネリングが大きく抑制された注入分布となる。なお、N型ソース・ドレイン注入層20Aには、ヒ素イオンに代えてリンイオンを用いてもよい。
次に、図11(a)に示す工程において、アモルファス層21、P型イオン注入層19A及びN型ソース・ドレイン注入層20Aが形成された半導体基板11を、400℃〜700℃程度にまで、より好ましくは400℃〜650℃程度にまで昇温し、数秒間から最大で10時間程度の第1の極低温熱処理を加える。この極低温の熱処理は、熱処理温度が十分に低いため、過渡増速拡散に起因する不純物拡散はほとんど起こらない。従って、イオン注入によって生じた結晶のダメージ及びアモルファス化された結晶の回復のみが進行し、各注入層における接合位置はイオン注入直後とほとんど変化しない。
続いて、極低温下の第1の極低温熱処理の後に、半導体基板11に対して、約200℃/秒〜250℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1000℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第2の急速熱処理(例えば、spike RTA、レーザアニール又はフラッシュランプアニール等)を行なう。この第2の急速熱処理により、半導体基板11におけるサイドウォール18の両側方の領域に、N型ソース・ドレイン注入層20Aのヒ素イオンが活性化してなるN型ソース・ドレイン拡散層20が形成される。ここで、N型ソース・ドレイン拡散層20の内部は、P型イオン注入層19Aによる破線で示すP型不純物注入領域19が埋め込まれた状態となっている。このP型不純物注入領域19は、N型ソース・ドレイン拡散層20のN型不純物と比べてP型不純物の不純物濃度が低いため、P型不純物拡散層とはならない。この第2の急速熱処理を行なうことにより、第1の極低温熱処理のみでは不十分な不純物の活性化の向上を図ることができる。
次に、図11(b)に示す工程において、第1のサイドウォール18Aを選択的に、例えば熱リン酸溶液によるウェットエッチングにより一旦除去する。続いて、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、N型不純物であるヒ素(As)イオンを注入エネルギーが2keVで、注入ドーズ量が2×1014ions/cm2 の注入条件でイオン注入を行なって、N型エクステンション注入層16Aを形成する。さらに、ゲート電極15をマスクとして半導体基板11に、P型不純物であるボロンイオンを、注入エネルギーが10keVで、注入ドーズ量が1×1013ions/cm2 の注入条件でイオン注入して、P型ポケット注入層17Aを形成する。
次に、図11(c)に示す工程において、半導体基板11に対して、約200℃/秒の昇温レートで且つ850℃〜1050℃程度にまで昇温し、ピーク温度を最大で10秒間程度保持するか又はピーク温度を保持しない第3の急速熱処理を行なう。この第3の急速熱処理により、半導体基板11におけるゲート電極15の両側方の領域に、N型エクステンション注入層16Aのヒ素イオンが活性化されてなる、比較的に浅い接合面を持つN型エクステンション拡散層16が形成される。さらに、N型エクステンション拡散層16の下側には、P型ポケット注入層17Aのボロンイオンが活性化してなり、P型チャネル拡散層13よりも高濃度の不純物濃度を有するP型ポケット拡散層17が形成される。このN型エクステンション拡散層16はN型ソース・ドレイン拡散層20と接続され且つN型ソース・ドレイン拡散層20よりも浅い接合面を持っている。
次に、図11(d)に示す工程において、図10(b)に示した工程と同様にして、第2のサイドウォール18Bをゲート電極15の両側面上に再度形成する。このように、第4の実施形態においては、N型ソース・ドレイン拡散層20を形成した後に、第1のサイドウォール18Aを除去し、N型エクステンション拡散層16及びP型ポケット拡散層17を形成した後に、第2のサイドウォール18Bを形成しなおす。このため、第2のサイドウォール18Bの厚さ(幅)が、N型ソース・ドレイン拡散層20、N型エクステンション拡散層16及びP型ポケット拡散層17におけるゲート長方向のサイズを規制することがなくなる。これにより、第2のサイドウォール18Bの厚さ(幅)を任意に設定することができるようになる。ここでも、第2のサイドウォール18Bには、窒化シリコンに代えて、酸化シリコンからなる単層膜又は断面L字状のシリコン酸化膜と板状のシリコン窒化膜とからなる積層膜等を用いてもよい。さらには、第2のサイドウォール18Bとゲート電極15との間にオフセットスペーサを形成してもよい。
図9(a)は、図11(a)、図11(c)及び図11(d)のIXa−IXa線におけるN型ソース・ドレイン拡散層20の横方向の不純物濃度プロファイルを表わしている。
このように、第4の実施形態によると、図10(c)に示す工程において、N型ソース・ドレイン形成領域に、ゲルマニウムのイオン注入によりアモルファス層21を形成した後、図10(d)に示す工程において、P型イオン注入層19A及びN型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する。このように、N型ソース・ドレイン形成領域にアモルファス層21を形成することにより、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する際のヒ素のチャネリングが抑制されるため、浅い不純物分布を有するN型ソース・ドレイン注入層20Aを形成することができる。
その後、図11(a)に示す工程において、第1の極低温熱処理により結晶回復を行なった後、第2の急速熱処理によって活性化を行なう。これにより、注入された不純物をほとんど拡散させることなく、注入された不純物の活性化を図ることができる。このとき、前述したように、熱処理によって、イオン化したドナー原子とアクセプター原子が電気的に互いに引き寄せられてイオンペアを形成する。従って、N型ソース・ドレイン注入層20Aにおけるイオン化したヒ素とP型イオン注入層19Aにおけるイオン化したインジウムとがイオンペアを形成することによってヒ素の過渡増速拡散が抑制されるため、N型不純物のみを注入した場合よりも浅い接合深さを有するN型ソース・ドレイン拡散層20を形成することができる。
このように、イオンペアによってヒ素の拡散が抑制されるため、第1の極低温熱処理に続いて実施されるN型ソース・ドレイン拡散層20を形成し活性化するための第2の急速熱処理を必要以上に高い温度に設定する必要がなくなる。しかも、昇温後にその昇温状態を長時間保持する必要もなくなるため、低サーマルバジェットで活性化処理を行なうことが可能となる。さらに、N型エクステンション拡散層16をN型ソース・ドレイン拡散層20よりも後に形成するため、一旦、浅く形成されたN型エクステンション拡散層16が、ソース・ドレイン形成用のN型不純物の活性化工程における熱処理によって不純物の再分布を起こし、その結果、N型エクステンション拡散層16の接合深さが深くなってしまう事態をも抑制することができる。
また、図11(a)に示した、ソース・ドレイン形成領域へのヒ素イオンのイオン注入の直後に、第1の極低温熱処理を行なうことにより、高ドーズ量のプリアモルファス注入により形成されたアモルファス層21の結晶を回復することができる。このとき、第1の極低温熱処理の加熱温度が十分に低いため、半導体基板11中の点欠陥のみが拡散や再結合を起こして消滅し、過渡増速拡散に起因する不純物拡散はほとんど起こることなく、アモルファス層21の再成長のみが進行する。前述したように、加熱温度が400℃〜700℃程度、さらには400℃〜600℃程度の温度下においては、アモルファス層21の固相再成長が起きる。従って、ソース・ドレイン形成領域に注入されたヒ素及びインジウムの接合深さは、イオン注入後からほとんど変わることがなく、浅い接合面を保つことができる。なお、アモルファス層が結晶回復している最中は、不純物の固溶限界が結晶層中における場合よりも高い準安定な状態(meta-stable state)となるため、注入されたイオンの活性化は結晶層に対して同一温度の熱処理を加えた場合よりも向上する。
また、第4の実施形態においては、ソース・ドレイン形成領域にあらかじめIV族の元素をイオン注入してアモルファス層21を形成することにより、ソース・ドレイン形成領域を選択的に且つ積極的にアモルファス化することができる。すなわち、ソース・ドレイン形成領域に対して、N型ソース・ドレイン注入層20Aを形成する前に角度注入によりプリアモルファス化することにより、注入されたヒ素イオンの深さ方向のチャネリングを抑制できるだけでなく、ヒ素イオンが晶帯軸の<110>方向へのチャネリングによりゲート電極15の下側部分へ回り込む現象をも抑制することができる。
また、インジウムは転位ループ欠陥層に強く偏析することが知られており、ヒ素イオンが注入されたN型ソース・ドレイン注入層20Aに、インジウムイオンが注入されたP型イオン注入層19Aを形成しておくことにより、インジウムが転位ループ欠陥層にトラップされる。その結果、転位ループ欠陥層からの格子間シリコンの放出に寄与するヒ素の過渡増速拡散をも抑制することができる。
以上のことから、N型エクステンション拡散層16の不純物の再分布を抑制しつつ、浅い接合面を有するN型ソース・ドレイン拡散層20を確実に形成することができる。
また、P型チャネル拡散層12の形成に、質量数が相対的に大きいインジウムイオンを用いているため、P型チャネル拡散層12における基板表面の近傍において不純物濃度が低くなり、一方、基板表面から少し深い領域においては不純物濃度が高くなる、いわゆるレトログレードな不純物プロファイルを得ることができる。これにより、主に不純物散乱に起因するキャリアの移動度の低下を防ぐことができるため、短チャネル効果の顕在化を抑制することができる。その結果、トランジスタの微細化を確実に行なえるようになる。
なお、第2の実施形態においても、ソース・ドレイン形成領域にアモルファス層21を形成する際には、ゲルマニウムイオン又はシリコンイオンを角度注入してもよい。
また、第1〜4の各実施形態においては、P型チャネル拡散層12の不純物イオンにインジウムイオンを用いたが、これに代えて、ホウ素又は該ホウ素よりも重いP型となる元素イオンを用いてもよく、また、ホウ素イオン及び該ホウ素イオンよりも重いP型となる元素イオンを併せて用いてもよい。さらには、インジウムよりも質量数が大きい3B族元素を用いてもよい。ゲート絶縁膜12には、酸化シリコンを用いたが、酸窒化膜又は高誘電体絶縁膜、例えばハフニウムオキサイド又はハフニウムシリケートを用いてもよい。
また、第1〜第4の各実施形態は、半導体装置としてNチャネル型MISトランジスタを用いて説明したが、これに代えて、PチャネルMISトランジスタであってもよい。Pチャネル型MISトランジスタの場合には、P型ソース・ドレイン拡散層を構成するP型不純物イオンとして、例えば、ホウ素イオン又はインジウムイオン等を用い、P型不純物イオンとイオンペアを形成するN型不純物として、ヒ素イオン、アンチモン(Sb)イオン又はビスマス(Bi)イオン等の5B族元素を用いることができる。
また、第1〜第4の各実施形態において、ゲート絶縁膜14には酸化シリコンを用い、ゲート電極15にはポリシリコン又はポリメタルを用いたが、N型ソース・ドレイン拡散層20及びN型エクステンション拡散層16を形成した後に、ゲート電極15及びゲート絶縁膜14をエッチングにより除去し、その後、ゲート絶縁膜14には酸窒化シリコン又はハフニウムオキサイド等の高誘電体膜を用い、ゲート電極15にはタングステン又はチタン等の金属膜を用いてゲート電極構造を置換する、いわゆるゲートリプレースメントを行なってもよい。
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、ソース・ドレイン拡散層の内側にソース・ドレイン拡散層とは逆の導電型の不純物を注入することにより、ソース・ドレイン拡散層を構成する不純物の過渡増速拡散を低サーマルバジェットにより抑制することができ、急峻で浅い接合面を有するソース・ドレイン拡散層を形成し且つエクステンション拡散層の再分布をも抑制できるという効果を奏し、接合面が浅く且つ低抵抗な拡散層を有する微細化可能な半導体装置等として有用である。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。 (a)〜(e)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。 (a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程順の断面図である。 (a)は図2(d)のIVa−IVa線におけるN型ソース・ドレイン拡散層の横方向の不純物濃度プロファイルを示すグラフである。(b)はイオンペア形成用インジウムの注入の有無による熱処理後のヒ素の不純物プロファイルをシミュレーションした結果を示すグラフである。 (a)〜(e)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(e)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)は図7(d)、図8(b)、図8(c)、図11(a)、図11(c)及び図11(d)のIXa−IXa線におけるN型ソース・ドレイン拡散層の横方向の不純物濃度プロファイルを示すグラフである。(b)はイオンペア形成用インジウムの注入の有無による熱処理後のヒ素の不純物プロファイルをシミュレーションした結果を示すグラフである。 (a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(e)は従来の半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図12(e)のXIII−XIII線におけるN型ソース・ドレイン拡散層の横方向の不純物濃度プロファイルを示すグラフである。
符号の説明
11 半導体基板
12 P型チャネル拡散層
12A P型チャネル注入層
13 P型ウェル拡散層
13A P型ウェル注入層
14 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
16 N型エクステンション拡散層
16A N型エクステンション注入層
17 P型ポケット拡散層
17A P型ポケット注入層
18 サイドウォール
18A 第1のサイドウォール
18B 第2のサイドウォール
19 P型不純物注入領域
19A P型イオン注入層
20 N型ソース・ドレイン拡散層
21 アモルファス層

Claims (16)

  1. 第1導電型の半導体層と、
    前記半導体層の上に形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、
    前記半導体層における前記ゲート電極の側方の領域に形成された第2導電型のソース・ドレイン拡散層とを備え、
    前記ソース・ドレイン拡散層は、その内部に不純物濃度が前記ソース・ドレイン拡散層よりも低い第1導電型の不純物注入領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、
    前記半導体層における前記ゲート電極の側方で且つ前記ソース・ドレイン拡散層との間の領域に形成された第2導電型のエクステンション拡散層と、
    前記エクステンション拡散層の下側の領域に形成された第1導電型のポケット拡散層とをさらに備え、
    前記不純物注入領域における不純物濃度は、前記ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
  3. 請求項1又は2記載の半導体装置において、
    前記半導体層における前記ゲート電極の下側の領域に形成された第1導電型のチャネル拡散層をさらに備え、
    前記不純物注入領域における不純物濃度は、前記チャネル拡散層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
    前記ソース・ドレイン拡散層を構成する前記第2導電型の不純物はヒ素であり、
    前記不純物注入領域を構成する前記第1導電型の不純物はインジウムであることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の半導体装置において、
    前記ソース・ドレイン拡散層には、前記ゲート電極の下側に位置する前記半導体層よりも高濃度にIV族の原子が含まれていることを特徴とする半導体装置。
  6. 第1導電型の半導体層の上にゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する工程(a)と、
    前記ゲート電極の側面上にサイドウォールを形成する工程(b)と、
    前記ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、前記半導体層に第1導電型の第1の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記サイドウォールの側方に第1導電型の不純物注入層を形成する工程(c)と、
    前記ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、前記半導体層に第2導電型の第2の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記サイドウォールの側方に第2導電型のソース・ドレイン注入層を形成する工程(d)と、
    前記工程(c)及び工程(d)よりも後に、前記半導体層に対して第1の熱処理を行なうことにより、前記半導体層における前記サイドウォールの側方に前記第2の不純物が拡散してなる第2導電型のソース・ドレイン拡散層を形成する工程(e)とを備え、
    前記工程(e)において、前記ソース・ドレイン拡散層には、不純物濃度が前記ソース・ドレイン拡散層よりも低い前記第1の不純物が拡散してなる第1導電型の不純物注入領域が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(a)の後で且つ前記工程(b)よりも前に、
    前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層に第2導電型の第3の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に第2導電型のエクステンション注入層を形成する工程(f)と、
    前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層に第1導電型の第4の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に第1導電型のポケット注入層を形成する工程(g)と、
    前記工程(f)及び工程(g)よりも後に、前記半導体層に対して第2の熱処理を行なうことにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に、前記第3の不純物が拡散してなる第2導電型のエクステンション拡散層と、前記エクステンション拡散層の下側の領域に前記第4の不純物が拡散してなる第1導電型のポケット拡散層とを形成する工程(h)とをさらに備え、
    前記不純物注入領域における不純物濃度は、前記ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(a)よりも前に、前記半導体層に第1導電型の第5の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層に第1導電型のチャネル注入層を形成した後、前記半導体層に対して第3の熱処理を行なうことにより、前記半導体層に前記第5の不純物が拡散してなる第1導電型のチャネル拡散層を形成する工程(i)をさらに備え、
    前記不純物注入領域における不純物濃度は、前記チャネル拡散層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項6〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(b)よりも後で且つ前記工程(c)及び工程(d)よりも前に、前記ゲート電極及びサイドウォールをマスクとして、前記半導体層に第6の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記サイドウォールの側方にアモルファス層を形成する工程(j)をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第6の不純物はIV族の元素であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 請求項6〜10のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第2の不純物は、前記第1の不純物の注入飛程よりも大きいか等しい注入飛程でイオン注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 請求項6〜11のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第1の不純物はインジウムであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 請求項6〜12のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(d)よりも後で且つ前記工程(e)よりも前に、注入された不純物が拡散しない程度の極低温熱処理を行なうことにより、イオン注入による結晶ダメージを回復する工程(k)をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(k)における前記極低温熱処理は、加熱温度が400℃以上且つ700℃以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項6及び8〜14のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(e)の後に、前記サイドウォールを除去し、前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層に第2導電型の第3の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に第2導電型のエクステンション注入層を形成する工程(l)と、
    前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層に第1導電型の第4の不純物をイオン注入することにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に第1導電型のポケット注入層を形成する工程(m)と、
    前記工程(l)及び工程(m)よりも後に、前記半導体層に対して第2の熱処理を行なうことにより、前記半導体層における前記ゲート電極の側方に、前記第3の不純物が拡散してなる第2導電型のエクステンション拡散層と、前記エクステンション拡散層の下側の領域に前記第4の不純物が拡散してなる第1導電型のポケット拡散層とを形成する工程(h)とをさらに備え、
    前記不純物注入領域における不純物濃度は、前記ポケット拡散層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. 請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記工程(j)では、前記第6の不純物層を前記半導体層の主面の法線に対して所定の角度を持たせた角度注入により注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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