JP2005346938A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 絶縁碍子の表面に付着したカーボンをサイド放電により焼失させるプラグにおいて、カーボン清浄性能を確保しつつ、チャネリングの発生を抑制する。
【解決手段】 サイド放電火花が放電経路Zの如く絶縁碍子2の先端面2aのごく一部のみを経由して放電し、絶縁碍子2の表面に堆積したカーボンの一部しか焼き切ることが出来なかったとしても、絶縁碍子2の絶縁性回復は達成されることが分かった。この検討結果に基づき、中心電極3における段部3bの大径側端部3cを、絶縁碍子2の軸孔2b外に位置させることにより、サイド放電の起点が絶縁碍子2の軸孔2a外になるようにし、サイド放電火花が絶縁碍子2の表面に与えるダメージを軽減させて、チャネリングの発生を抑制する。更に、1.2mm<(A−B)とするとチャネリングの発生を抑制できることを実験により見い出した。
【選択図】 図4



Description

本発明は、中心電極の先端面に対向する第1接地電極と、中心電極の側面に対向するとともに絶縁碍子のカーボン汚損時に中心電極と飛び火可能な第2接地電極とを備えるスパークプラグに関する。
従来のこの種のスパークプラグは、図9に示すように、中心電極3に、その先端部3aに向かって大径部から小径部へ移る段部3bを形成している。大径部とは、絶縁碍子2の先端面2aとの距離が最も小さい先端面を有する部分のことを意味する。この段部3bの大径側端部3c(角部)は電界が集中しやすい部分であるため、絶縁碍子2の表面にカーボンが付着した際(以下、この状況をカーボン汚損時という)には段部3bの大径側端部3cと第2接地電極5との間で火花が飛び(以下、この現象をサイド放電といい、そのサイド放電による火花をサイド放電火花という)、それにより、絶縁碍子2の表面に付着したカーボンを焼失させるようになっている。
そして、サイド放電火花によるカーボン清浄性能を最大限に発揮させる為に、段部3bの大径側端部3cを絶縁碍子2の軸孔2b内に位置させて、サイド放電火花が放電経路Zで示すように絶縁碍子2の先端面2a全体を経由するように設計されていた(例えば、特許文献1、2参照)。一方、段部の大径側端部を絶縁碍子の軸孔外に位置させたスパークプラグも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−93645号公報 特許第3272615号公報 特許第3140006号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のスパークプラグは、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2a全体を経由するように設計されているためチャネリングが発生しやすく、チャネリングによりプラグ寿命が短くなるという問題があった。因みに、チャネリングとは、絶縁碍子2の表面をサイド放電火花が這うことにより、サイド放電火花のエネルギーによって絶縁碍子2の表面が溶け、放電経路Zに沿って溝が形成されていく現象である。
また、特許文献3に記載のスパークプラグは、段部の大径側端部を絶縁碍子の軸孔外に位置させているものの、サイド放電火花が絶縁碍子の先端面全体を経由するように設計されているため、結局チャネリングが発生しやすいという問題があった。
本発明は上記点に鑑みて、カーボン清浄性能を確保しつつ、チャネリングの発生を抑制することを目的とする。
本発明者らの検討によると、図4に示すように、サイド放電火花が放電経路Zの如く絶縁碍子2の先端面2aのごく一部のみを経由して放電し、絶縁碍子2の表面に堆積したカーボンの一部しか焼き切ることが出来なかったとしても、サイド放電を行う目的である絶縁碍子2の表面の絶縁性回復は達成されることが分かった。換言すると、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2a全体を経由する必要がないことが分かった。
この検討結果に基づき、請求項1に記載の発明では、筒状の取付金具(1)と、取付金具(1)に保持された絶縁碍子(2)と、絶縁碍子(2)の軸孔(2b)に保持されるとともに、大径部から小径部へ移る段部(3b)が形成された中心電極(3)と、一端が取付金具(1)に固定されるとともに、他端が中心電極(3)の先端面に対向して第1放電ギャップ(G1)を形成する第1接地電極(4)と、一端が取付金具(1)に固定されるとともに、他端が段部(3b)の大径側端部(3c)に対向して第2放電ギャップ(G2)を形成する第2接地電極(5)とを備え、段部(3b)の大径側端部(3c)が絶縁碍子(2)の軸孔(2b)外に位置するスパークプラグであって、軸孔(2b)から第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をA、絶縁碍子(2)の外周面の延長面と前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)の延長面との交線(2c)から第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をB、絶縁碍子(2)の先端面(2a)から段部(3b)の大径側端部(3c)までのプラグ軸方向の距離をCとしたとき、0<C<(A−B)であり、1.2mm<(A−B)であることを特徴とする。
これによると、サイド放電火花によるカーボン清浄性を保つことができる。すなわち、カーボン汚損時の放電経路は、絶縁碍子に付着したカーボンをサイド放電火花で焼失させる為に、絶縁碍子の先端面をかすめる必要がある。しかしながら、C≧A−Bの場合、絶縁碍子の先端面をかすめることなく、中心電極の大径側端部(3c)と第2接地電極間を直接放電する場合があり、カーボン焼失性能が低下する。またこの場合、サイド放電が中心電極の大径側端部(3c)より放電せずに、中心電極外径面の碍子先端位置(3e)より放電が行われ、前記チャネリングが発生しやすい問題を生じる。これに対し、C<A−Bとすることにより、サイド放電火花が中心電極の大径側端部(3c)より絶縁碍子の先端面を経由して放電するため、チャネリングの発生を抑制しつつカーボン清浄性能を確保することができる。
一方、0<Cとすることでもチャネリングの発生を抑制することができる。すなわち、段部の大径側端部が絶縁碍子の軸孔内にある(C≦0)場合、サイド放電の起点が絶えず絶縁碍子の軸孔内または絶縁碍子の先端面と同一面となり、特に絶縁碍子の内径側の角部を起点としてチャネリングが発生しやすい。これに対し、0<Cとした場合、サイド放電の起点が絶縁碍子の軸孔外となり、サイド放電火花が絶縁碍子の表面に与えるダメージを軽減することができ、チャネリングの発生を抑制することができる。更に、1.2mm<(A−B)とするとチャネリングの発生をより確実に抑制できることを実験により見い出した。
また、請求項2に示すごとく、中心電極(3)は、大径部と小径部との間に段部(3b)がある構成でもよい。
この場合、段差(3g)の角部から放電され、絶縁碍子2の先端面(2a)を経由して放電するため、チャネリングの発生を抑制しつつカーボン清浄性能を確保することができる。
請求項3に記載の発明では、第2接地電極(5)の放電面は、絶縁碍子(2)における先端面(2a)近傍の外周面に対向していることを特徴とする。
これによると、サイド放電火花が絶縁碍子の先端面を必ず経由して放電するため、カーボン清浄性能を一層確実に確保することができる。
請求項4に記載の発明では、前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)から前記第2接地電極(5)の放電面(5a)の取付金具側角部(5b)までのプラグ軸方向の距離をF、前記第2接地電極(5)の放電面(5a)における軸方向厚さをHとしたとき、0≦F≦0.5Hであることを特徴とする。
0≦Fとすることで、サイド放電火花によるカーボン清浄性を保つことができる。すなわち、カーボン汚損時の放電経路は、絶縁碍子(2)に付着したカーボンをサイド放電火花で焼失させる為に、絶縁碍子(2)の先端面(2a)をかすめる必要がある。しかしながら、0>Fの場合、絶縁碍子(2)の先端面(2a)をかすめることなく、中心電極(3)の大径側端部(3c)と第2接地電極間(5)を直接放電する場合があり、カーボン焼失性能が低下する。
また、F≦0.5Hとすることで、燃料ブリッジが抑制できる。すなわち、F≦0.5Hの場合、絶縁碍子(2)の外径面と第2接地電極(5)の放電面とが対向する面積が大きくなり過ぎないため、燃料ブリッジを抑制できる。ここで、燃料ブリッジとは、絶縁碍子(2)の外径面と第2接地電極(5)の放電面との間を橋渡しするように液状の燃料が溜まる現象をいう。
請求項5に記載の発明では、第1放電ギャップ(G1)の寸法をEとしたとき、A>Eであることを特徴とする。
これによると、絶縁碍子にカーボンが付着していない通常状態のときに、第2放電ギャップでの放電を防止して、第1放電ギャップにて放電を行わせることができる。
請求項6に記載の発明では、第1放電ギャップ(G1)の寸法をEとしたとき、B<Eであることを特徴とする。
ところで、B>Eの場合、カーボン汚損時に第2放電ギャップでサイド放電が行われずに、ハウジングポケット(取付金具と絶縁碍子間の空間)の奥へ放電(奥飛び放電)しやすくなる。そして、奥飛び放電すると、放電火花による着火性能が著しく低下してしまう。これに対し、B<Eとすることにより、奥飛び放電を防止して着火性能の低下を防止することができる。
請求項7に記載の発明では、第2接地電極(5)の幅をDとしたとき、(A−B)<2Dであることを特徴とする。
ところで、(A−B)>2Dの場合、カーボン汚損時に奥飛び放電しやすくなるのに対し、(A−B)<2Dとすることにより、奥飛び放電を防止して着火性能の低下を防止することができる。
請求項8に記載の発明では、中心電極(3)の放電面および第1接地電極(4)の放電面の少なくとも一方に、貴金属よりなるチップ(3d、4d)を設けたことを特徴とする。これによると、放電面の耐久性を向上させることができる。
請求項9に記載の発明のように、貴金属は、Pt合金またはIr合金とすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るスパークプラグの半断面図、図2は図1のスパークプラグにおける要部をX向きに見たときの半断面図、図3は図2の平面図、図4は図2の要部の拡大断面図である。
図1に示すように、スパークプラグは、金属等よりなる筒形状の取付金具1を有しており、この取付金具1は、図示しないエンジンのシリンダブロックに固定するための取付ネジ部1aを備えている。取付金具1の内部には、例えばアルミナセラミック(Al23)等からなる絶縁碍子2が固定されており、この絶縁碍子2の先端面2aは、取付金具1から露出している。
中心電極3は絶縁碍子2の軸孔2bに固定され、絶縁碍子2を介して取付金具1に絶縁保持されている。この中心電極3は、内材がCu(銅)等の熱伝導性に優れた金属材料、外材がNi(ニッケル)基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体である。
この中心電極3は、絶縁碍子2の軸孔2b内で外径が変化しており、先端側の外径が僅かに小さくなっている。軸孔2b内の先端側における中心電極3の外径面と軸孔2b内径面との半径隙間は50μm以上としてある。また、外径が大きい側の中心電極3の直径は、2.3mmである。なお、中心電極3は、絶縁碍子2の軸孔2b内で外径が一定の形状であってもよい。
図2〜図4に示すように、中心電極3の側面には、先端部に向かって大径部から小径部へ移るテーパ状の段部3bが形成されており、この段部3bの大径側端部3cが絶縁碍子2の軸孔2b外に位置している。この段部3bのテーパ状のなす角度は、110°である。そして、中心電極3の先端部には、Pt合金あるいはIr合金等よりなる貴金属チップ3dが溶接されている。因みに、貴金属チップ3dの直径は、0.3〜1.6mmであり、高さ0.3〜2mmのものが好ましい。
絶縁碍子2の先端面2aは、取付金具1の先端面から2.5mmの位置に配置され、貴金属チップ3dの先端面から1.5mmの位置に配置されている。
絶縁碍子2の外周面の延長面と絶縁碍子2の先端面2aの延長面との交線2cの直径は、2.5mmである。また、絶縁碍子2の先端面2aの内径は、2.35mmである。また、3eは中心電極外径面の碍子先端面に対する位置を示す。
取付金具1の一端には、第1接地電極(主接地電極)4、および第2接地電極(補助接地電極)5が溶接等により接合され固定されている。これら第1および第2接地電極4、5は、Ni合金やFe合金材料等から構成された柱状のものである。より詳細には、第1接地電極は、2.8mm×1.2mmの略矩形断面を有し、第2接地電極は、2.2mm(=D)×1.2mm略矩形断面を有している。
第1接地電極4は、一端が取付金具1に接合されている。また、第1接地電極4の他端側の側面において中心電極3の貴金属チップ3dに対向する位置に、Pt合金あるいはIr合金等よりなる貴金属チップ4dが溶接され、この貴金属チップ4dと中心電極3の貴金属チップ3dとの間に第1放電ギャップG1を形成している。なお、第1放電ギャップG1は、1.1mmとしている。
第2接地電極5は、一端が取付金具1に接合されている。また、第2接地電極5の他端面5aは、中心電極3の側面のうち段部3bの大径側端部3cに対向して配置され、第2接地電極5の他端面5aと段部3bの大径側端部3cとの間に第2放電ギャップG2を形成している。
さらに、第2接地電極5の他端面5aは、絶縁碍子2における先端面2a近傍の外周面にも対向している。換言すると、第2接地電極5の他端面5aにおけるプラグ軸方向の一端(図2においては紙面下方側)は、絶縁碍子2の先端面2aよりも取付金具1側に位置し、第2接地電極5の他端面5aにおけるプラグ軸方向の他端(図2においては紙面上方側)は、段部3bの大径側端部3cよりも中心電極3の貴金属チップ3d側に位置している。また、第2接地電極5の他端面5aは、円弧状曲面でもよいし、平面でもよい。
このスパークプラグにおいて、絶縁碍子2にカーボンが付着していない通常時には、第1接地電極4の貴金属チップ4dと中心電極3の貴金属チップ3dとの間、すなわち第1放電ギャップG1にて放電が行われ、その放電火花により混合気が着火されて燃焼する。
この燃焼によって、絶縁碍子2の先端面2aにカーボンが付着してくると、第2接地電極5の他端面5aと中心電極3における段部3bの大径側端部3cとの間、すなわち第2放電ギャップG2にて放電が行われる。
第2放電ギャップG2での放電は、絶縁碍子2の先端面2aを這うように火花が飛ぶ。それにより、絶縁碍子2の表面に付着したカーボンが焼失されて絶縁碍子2の表面が清浄化されると、再び、第1接地電極4と中心電極3との間にて放電が行われる。
次に、上記構成のスパークプラグおいて、各部の仕様と、カーボン清浄性能やチャネリングの発生状況との相関等を検討した。
ここで、絶縁碍子2の軸孔2bから第2接地電極5の他端面5aまでのプラグ径方向の距離をA、絶縁碍子2の外周面の延長面と絶縁碍子2の先端面2aの延長面との交線2cから第2接地電極5の他端面5aまでのプラグ径方向の距離をB、絶縁碍子2の先端面2aから段部3bの大径側端部3cまでのプラグ軸方向の距離をC、第2接地電極5の幅をD、第1放電ギャップG1の寸法をE、絶縁碍子2の先端面2aから第2接地電極5の放電部の取付金具側端面5bまでのプラグ軸方向の距離をF、第2接地電極5の放電面5aにおける軸方向厚さをHとする。

なお、C>0(正)は、段部3bの大径側端部3cが絶縁碍子2の軸孔2b外に位置している状態、すなわち、段部3bの大径側端部3cが絶縁碍子2の先端面2aから突き出した状態をあらわし、C<0(負)は、段部3bの大径側端部3cが絶縁碍子2の軸孔2b内に位置している状態、すなわち、段部3bの大径側端部3cが絶縁碍子2の先端面2aから突き出さない状態をあらわす。
(1)C寸法の検討
C寸法が異なる7種類のスパークプラグを評価した。なお、この7種類の評価用スパークプラグは、A寸法およびB寸法は共通しており、具体的には、A=1.9mm、B=0.5mm、A−B=1.4mmである。
試験方法は次の通りである。火花試験ベンチの密閉容器に評価用スパークプラグを装着し、密閉容器内の空気の圧力を0.6MPaに設定し、5Hzにて放電させて、放電経路を観察した。
図表5はその結果を示すもので、C=0mm、C=0.4mm、C=0.8mm、および、C=1.2mmの場合、すなわち、C<A−Bの場合は、全火花が絶縁碍子2の先端面2aを経由して放電した。一方、C=1.4mm、C=1.6mm、および、C=2.0mmの場合は、稀に絶縁碍子2の先端面2aを経由しない放電があった。
したがって、C<A−Bとすることにより、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2aを必ず経由して放電するため、カーボン清浄性能を確保することができる。
(2)(A−B)寸法およびC寸法の検討
(A−B)寸法およびC寸法が異なるスパークプラグを評価した。なお、B寸法を0.5mmに固定し、A寸法を種々変更することにより、(A−B)寸法としては、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mmを設定した。また、C寸法としては、C=−0.2mm、C=0mm、C=0.2mm、C=0.4mm、C=0.6mmを設定した。
また、評価用スパークプラグは、第1接地電極4を取り除き、第2接地電極5と中心電極3との間のみで放電が行われるようにした。そして、それらの評価用スパークプラグを、3000ccの直噴エンジンに装着し、高負荷にて100時間の連続運転を行い、チャネリングの発生状況を調べた。
図表6はその結果を示すもので、図表6中の○は、チャネリングの発生無し、もしくは極めて僅かであったものを示し、図表6中の△は、チャネリングの発生有るが、溝の深さは浅いものを示し、図表6中の×は、深いチャネリング溝が発生したものを示す。
図表6から明らかなように、0<Cで、且つ、1.2mm<(A−B)、のスパークプラグは、チャネリングの発生無し、もしくは極めて僅かであった。
これは、0<Cとした場合、サイド放電の起点が絶縁碍子2の軸孔2b外となり、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2aに与えるダメージを軽減することができるためである。一方、1.2mm<(A−B)とするとチャネリングの発生を抑制できることは、実験により見い出したものである。
(3)その他の仕様の検討
まず、第2接地電極5の他端面5aを、絶縁碍子2における先端面2a近傍の外周面に対向させた場合、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2aを必ず経由して放電するため、カーボン清浄性能を一層確実に確保することができる。
また、0≦Fの場合、サイド放電火花が絶縁碍子2の先端面2aを経由して放電するため、カーボン清浄性能を確保することができる。
また、F≦0.5Hの場合、絶縁碍子2の外径面と第2接地電極5の放電面とが対向する面積が大きくなり過ぎないため、燃料ブリッジを抑制することができる。
また、A>Eとした場合、絶縁碍子2にカーボンが付着していない通常状態のときに、第2放電ギャップG2での放電を防止して、第1放電ギャップG1にて放電を行わせることができる。
さらに、B>Eの場合、カーボン汚損時に第2放電ギャップG2でサイド放電が行われずに、ハウジングポケット(取付金具1と絶縁碍子2間の空間)の奥へ放電(奥飛び放電)しやすくなる。そして、奥飛び放電すると、放電火花による着火性能が著しく低下してしまう。そこで、B<Eとすることにより、奥飛び放電を防止して着火性能の低下を防止することができる。
さらにまた、(A−B)>2Dの場合、カーボン汚損時に奥飛び放電しやすくなるのに対し、(A−B)<2Dとすることにより、奥飛び放電を防止して着火性能の低下を防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図7に示す。図7に示すように、第1実施形態の段部3bはなく、大径と小径部との間に段差3gが設けられている。
この場合、段差3gの角部から放電され、絶縁碍子2の先端面を経由して放電するため、チャネリングの発生を抑制しつつカーボン清浄性を確保することができる。
なお、図8に示すように、大径部と小径部の間に中径部3fを設けてもよい。
本発明の第1実施形態に係るスパークプラグの半断面図である。 図1のスパークプラグにおける要部をX向きに見たときの半断面図である。 図2の平面図である。 図2の要部の拡大断面図である。 プラグの仕様とカーボン清浄性能に関する実験結果を示す図表である。 プラグの仕様とチャネリングの発生状況に関する実験結果を示す図表である。 第2実施形態に係るスパークプラグ要部の拡大断面図である。 第2実施形態に係るスパークプラグ要部の拡大断面図である。 従来のスパークプラグの要部を示す断面図である。
符号の説明
1…取付金具、2…絶縁碍子、2b…軸孔、3…中心電極、3b…段部、3c…大径側端部、3e…中心電極外径面の碍子先端位置、4…第1接地電極、5…第2接地電極、G1…第1放電ギャップ、G2…第2放電ギャップ。

Claims (9)

  1. 筒状の取付金具(1)と、
    前記取付金具(1)に保持された絶縁碍子(2)と、
    前記絶縁碍子(2)の軸孔(2b)に保持されるとともに、大径部から小径部へ移る段部(3b)が形成された中心電極(3)と、
    一端が前記取付金具(1)に固定されるとともに、他端が前記中心電極(3)の先端面に対向して第1放電ギャップ(G1)を形成する第1接地電極(4)と、
    一端が前記取付金具(1)に固定されるとともに、他端が前記段部(3b)の大径側端部(3c)に対向して第2放電ギャップ(G2)を形成する第2接地電極(5)とを備え、
    前記段部(3b)の大径側端部(3c)が前記絶縁碍子(2)の軸孔(2b)外に位置するスパークプラグであって、
    前記軸孔(2b)から前記第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をA、
    前記絶縁碍子(2)の外周面の延長面と前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)の延長面との交線(2c)から前記第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をB、
    前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)から前記段部(3b)の大径側端部(3c)までのプラグ軸方向の距離をCとしたとき、
    0<C<(A−B)であり、1.2mm<(A−B)であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 筒状の取付金具(1)と、
    前記取付金具(1)に保持された絶縁碍子(2)と、
    前記絶縁碍子(2)の軸孔(2b)に保持されるとともに、大径部と小径部との間に段差(3g)が形成された中心電極(3)と、
    一端が前記取付金具(1)に固定されるとともに、他端が前記中心電極(3)の先端面に対向して第1放電ギャップ(G1)を形成する第1接地電極(4)と、
    一端が前記取付金具(1)に固定されるとともに、他端が前記段差(3g)に対向して第2放電ギャップ(G2)を形成する第2接地電極(5)とを備え、
    前記中心電極(3)の前記段差(3g)が前記絶縁碍子(2)の軸孔(2b)外に位置するスパークプラグであって、
    前記軸孔(2b)から前記第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をA、
    前記絶縁碍子(2)の外周面の延長面と前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)の延長面との交点(2c)から前記第2接地電極(5)の放電面までのプラグ径方向の距離をB、
    前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)から前記中心電極(3)の段差(3g)までのプラグ軸方向の距離をCとしたとき、
    0<C<(A−B)であり、1.2mm<(A−B)であることを特徴とするスパークプラグ。
  3. 前記第2接地電極(5)の放電面(5a)は、前記絶縁碍子(2)における先端面(2a)近傍の外周面に対向していることを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記絶縁碍子(2)の先端面(2a)から前記第2接地電極(5)の放電面(5a)の取付金具側角部(5b)までのプラグ軸方向の距離をF、前記第2接地電極(5)の放電面(5a)における軸方向厚さをHとしたとき、
    0≦F≦0.5Hであることを特徴とする請求項3に記載のスパークプラグ。
  5. 前記第1放電ギャップ(G1)の寸法をEとしたとき、A>Eであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  6. 前記第1放電ギャップ(G1)の寸法をEとしたとき、B<Eであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  7. 前記第2接地電極(5)の幅をDとしたとき、(A−B)<2Dであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  8. 前記中心電極(3)の放電面および前記第1接地電極(4)の放電面の少なくとも一方に、貴金属よりなるチップ(3d、4d)を設けたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  9. 前記貴金属は、Pt合金またはIr合金であることを特徴とする請求項8に記載のスパークプラグ。
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