JP2005203119A - スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
【構成】 スパークプラグ100は、絶縁体120の先端面121に沿う沿面放電を経由して中心電極130の先端部側周面133に至る放電態様が生じる。そして、中心電極130は、先端部側周面133を構成し、Niを主成分とする外層部135と、先端部131の中心に内包され、外層部135よりも熱伝導性が高い良熱伝導芯部141とを有する。また、中心電極130は、絶縁体120の先端面121を含む仮想平面E上において、中心電極130の直径Dと良熱伝導芯部141の直径dとの関係がd≧0.5Dを満たし、かつ、外層部135の肉厚tを0.15mm以上としてなる。
【選択図】 図2
Description
また、上記のような中心電極を備えたスパークプラグの中には、絶縁体の先端面に沿う沿面放電を含む火花放電が生じる形態のスパークプラグが知られている。例えば、特許文献2には、そのような形態のスパークプラグが開示されている(図2及びその説明箇所を参照)。
このような中心電極の火花消耗を抑制する対策として、これまで中心電極の側周部を構成するNi合金材の組成の改良を検討してきた。しかし、Ni合金材の組成の改良だけでは、中心電極の耐火花消耗性を向上させると、中心電極の耐酸化消耗性が低下するなど、中心電極に求められる各種性能を同時に十分に発揮できなかった。
また、別の対策として、中心電極の径を太くしNi合金材の体積を増加させることで、中心電極の火花消耗が生じても、スパークプラグとしての性能を発揮させることも検討した。しかし、中心電極の径を太くすると、着火性が悪化したり、放電位置のバラツキが大きくなってラフアイドルが発生する場合があり、効果的な対策とはなり得なかった。
これに対し、本発明では、第1に、中心電極のうち、絶縁体の先端面から突出する先端部に、熱伝導性が高い良熱伝導芯部を配置している。第2に、軸線方向に見て絶縁体の先端面に一致する位置において、中心電極の直径Dと良熱伝導芯部の直径dとの関係をd≧0.5Dとしている。そして、第3に、この位置において、外層部の肉厚tを0.15mm以上としている。
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、中心電極の先端部に良熱伝導芯部を配置することで、中心電極の先端部の熱引きが良好となり、中心電極の先端部の温度上昇が抑制され、中心電極の先端部側周面の火花消耗を低減できることが判った。更に、絶縁体の先端面を含む仮想平面上において、中心電極の直径Dと良熱伝導芯部の直径dとの関係をd≧0.5Dとすることで、即ち、外層部の肉厚をあえて薄くすることで、中心電極の先端部の熱引きが更に良くなり、中心電極の先端部の温度上昇が更によく抑えられる。その結果、中心電極の先端部側周面の火花消耗を更に効果的に低減できることが判った。また、絶縁体の先端面を含む仮想平面上において、外層部の肉厚tを0.15mm以上とすることで、中心電極の先端部側周面に火花消耗が起きても、スパークプラグとしての性能を発揮する期間では、外層部が薄くなり過ぎたり、なくなることがなく、中心電極の耐久性に優れることが判った。このように、本発明のスパークプラグは、中心電極の先端部側周面の火花消耗を低減し、中心電極の耐久性を向上させることができる
なお、中心電極の外層部として上記Si、Cr、Fe、Al及びMnを併せて20wt%以上添加したNi合金を使用した場合、中心電極に求められる各種の性能に優れているが、中心電極の耐火花消耗性に関しては、十分発揮できるものではない。しかし、本発明を採用することで、更に有効に中心電極の耐火花消耗性を向上させ、中心電極の耐久性を十分に向上させることができる。
本実施形態のスパークプラグ100の側面図を図1に、先端付近Bの部分拡大断面図を図2に示す。このスパークプラグ100は、エンジンのシリンダヘッドに取り付けられて使用に供される内燃機関用のスパークプラグである。スパークプラグ100は、主体金具110と、絶縁体120と、中心電極130と、2つの接地電極150とを備える。
絶縁体120は、アルミナ系セラミック等からなり、主体金具110によって周囲が取り囲まれ、軸線C方向に軸孔122を有する筒状をなす。絶縁体120の先端面121は、主体金具110の先端面111よりも軸線方向先端側(図1中下方及び図2中上方)に突出している。
中心電極130は、絶縁体120の先端面121を含む仮想平面E上において、中心電極130の直径Dと良熱伝導芯部141の直径dとの関係がd≧0.5Dを満たしている。また、この仮想平面E上において、外層部135の肉厚tが0.15mm以上確保されている。
このスパークプラグ100は、エンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火源として使用される。スパークプラグ100に放電用高電圧が印加されると、第1ギャップg1を隔てた中心電極130の先端部側周面133と接地電極150の先端面154との間で気中放電する火花放電が発生し、燃焼室内の混合気に着火を行う。また、絶縁体120の先端面121及び先端部側周面124に沿った沿面放電、並びに、第2ギャップg2を隔てた絶縁体の先端部側周面124と接地電極150の先端面154との間の気中放電が組み合わされた火花放電が発生し、燃焼室内の混合気に着火を行う。このように、本実施形態のスパークプラグ100は、気中放電と沿面放電が生じる、いわゆるセミ沿面放電型のスパークプラグとして機能する。
しかし、このスパークプラグ100では、中心電極130のうち、絶縁体120の先端面121から突出する先端部131に、熱伝導性が高い良熱伝導芯部141を配置している。また、絶縁体120の先端面121を含む仮想平面E上において、中心電極130の直径Dと良熱伝導芯部141の直径dとの関係をd≧0.5Dとしている。更に、この仮想平面E上において、外層部135の肉厚tを0.15mm以上確保している。
本発明の効果を検証するために、実施形態に係る8種類のスパークプラグ100(実施例1〜8)と、比較形態に係る5種類のスパークプラグ(比較例1〜5)をそれぞれ作製した。これらのスパークプラグ100等は、表1に示すように、中心電極130等の直径D、外層部135等の肉厚t、良熱伝導芯部(銅芯部)141等の直径dをそれぞれ変更している。
実施例2に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.5mm、外層部135の肉厚を0.2mm、良熱伝導芯部141の直径dを2.1mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.84となる。
実施例3に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.5mm、外層部135の肉厚を0.3mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.9mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.76となる。
実施例4に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.5mm、外層部135の肉厚を0.4mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.7mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.68となる。
実施例5に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.5mm、外層部135の肉厚を0.5mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.5mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.60となる。
実施例6に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.5mm、外層部135の肉厚を0.6mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.3mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.52となる。
実施例7に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.1mm、外層部135の肉厚を0.2mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.7mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.81となる。
実施例8に係るスパークプラグ100は、中心電極130の直径Dを2.1mm、外層部135の肉厚を0.5mm、良熱伝導芯部141の直径dを1.1mmとした。従って、中心電極130の直径Dに対する良熱伝導芯部141の直径dの比d/Dは0.52となる。
比較例2に係るスパークプラグは、中心電極の直径Dを2.5mm、外層部の肉厚tを1mm、良熱伝導芯部の直径dを0.5mmとした。従って、中心電極の直径Dに対する良熱伝導芯部の直径dの比d/Dは0.20となる。
比較例3に係るスパークプラグは、中心電極の直径Dを2.5mm、外層部の肉厚tを1.25mm、良熱伝導芯部の直径dを0mmとした。即ち、中心電極の先端部に良熱伝導芯部が存在しないスパークプラグとした。
比較例4に係るスパークプラグは、中心電極の直径Dを2.1mm、外層部の肉厚tを0.1mm、良熱伝導芯部の直径dを1.9mmとした。従って、中心電極の直径Dに対する良熱伝導芯部の直径dの比は0.90となる。
比較例5に係るスパークプラグは、中心電極の直径Dを2.1mm、外層部の肉厚tを0.6mm、良熱伝導芯部の直径dを0.9mmとした。従って、中心電極の直径Dに対する良熱伝導芯部の直径dの比d/Dは0.43となる。
試験後、消耗が生じた部分(先端部側周面133等)の深さを計測し、平均深さAと最大深さBを求めた。試験の結果、先端部側周面133等の外層部135等が消耗によって破れ、熱伝導芯部141等が露出したものを×、外層部135等が残っていたものを○として評価した(評価1)。
また、試験後の消耗が生じた部分の中心電極130等の径(幅H、図3参照)を測定した。そして、試験前の中心電極130等の径Dに対する試験後の中心電極130等の径(幅H)の比H/Dを計算した。その結果、この比H/Dが0.7以上のもの(消耗が30%以下)を○、0.5以上0.7未満のもの(消耗が30%〜50%)を△、0.5未満のもの(消耗が50%を越える)を×として評価した(評価2)。
更に、総合評価として、評価1及び評価2がいずれも○のものを○とし、いずれか一方が○でもう一方が△のものを△、いずれか一方に×があるものを×として評価した。
これを表2に示す。
これらの実施例1〜8に対し、比較例1,4,5では、評価1が×で、総合評価も×となった。また、比較例2,3では、評価1は○であったものの、評価2が×で、総合評価は×となった。
比較例1,4で「破れ」が生じたのは、外層部の肉厚tが0.1mmと薄すぎたためであると考えられる。一方、例えば、実施例1では、外層部135の肉厚tが0.15mmと薄めであるが「破れ」が生じていない。このことから、先端部側周面133の消耗を低減し、中心電極130の耐久性を十分に向上させるためには、外層部135の肉厚tを0.15mm以上確保する必要があると考えられる。
比較例5で外層部の肉厚tが0.6mmと厚いにも拘わらず「破れ」が生じたのは、中心電極の直径Dに対する良熱伝導芯部の直径dの比d/Dが0.43と低すぎたためであると考えられる。一方、例えば、実施例6,8では、この比d/Dが0.52と低めではあるが「破れ」は生じていない。このことから、先端部側周面133の消耗を低減し、中心電極130の耐久性を十分に向上させるためには、この比d/Dがおよそ0.5以上必要であると考えられる。即ち、中心電極の直径Dと良熱伝導芯部の直径dとの関係がd≧0.5Dを満たす必要があると考えられる。
更に、例えば、実施例5では、この比d/Dが0.728で、先端部側周面133の消耗がよく抑えられている(評価○)。このことから、比d/Dがおよそ0.7以上であると、先端部側周面133の消耗の抑制効果が非常に高いことが判る。即ち、中心電極の直径Dと良熱伝導芯部の直径dとの関係がd≧0.7Dを満たすようにすると、先端部側周面133の消耗を更に低減し、中心電極130の耐久性を更に向上させることができることが判る。
例えば、上記実施形態では、2つの接地電極150を有するセミ沿面放電型のスパークプラグ100に本発明を適用した場合を示したが、スパークプラグの形態はこれに限られるものではない。中心電極の先端部側周面に対して火花放電間隙を隔てて配置された接地電極を有し、絶縁体の先端面に沿う沿面放電を含む火花放電が中心電極と接地電極との間に生じるスパークプラグであれば、その形態は問われない。
また、上記実施形態のようなスパークプラグ100において、絶縁体120の先端面121をより基端側に配置し、気中放電が生じる頻度をより高くした、いわゆる間欠放電型のスパークプラグに本発明を適用することもできる。また、この形態において、接地電極150を3極や4極にすることもできる。
また、上記実施形態のようなセミ沿面放電型のスパークプラグ100に、中心電極130の先端面131と対向する平行電極(接地電極)を組み合わせ、中心電極130の先端面131と平行電極との間でも火花放電が生じるようにした、いわゆるハイブリッド放電型のスパークプラグに本発明を適用することもできる。
また、絶縁体の周囲を取り囲む環状の接地電極を有し、この接地電極から気中放電することなく中心電極まで沿面放電する、いわゆるフル沿面放電型のスパークプラグに本発明を適用することもできる。
110 主体金具
120 絶縁体
121 (絶縁体の)先端面
130 中心電極
131 (中心電極の)先端部
133 (中心電極の)先端部側周面
135 外層部
141 良熱伝導芯部
150 接地電極
Claims (4)
- 筒状の主体金具と、
前記主体金具によって周囲が取り囲まれ、軸線方向に軸孔を有する筒状の絶縁体と、
自身の先端部が前記絶縁体の先端面から突出した状態で前記絶縁体の軸孔に保持された中心電極と、
一端が前記主体金具に接続し、他端が前記中心電極の先端部側周面に対して火花放電間隙を隔てて配置された接地電極と、
を備え、
前記中心電極と前記接地電極との間に、前記絶縁体の先端面に沿う沿面放電を含む火花放電が発生する
スパークプラグであって、
前記中心電極は、
この中心電極の少なくとも前記先端部側周面を構成し、Niを主成分とするNi合金からなる外層部と、この中心電極の少なくとも前記先端部において、前記外層部に自身の側周面が包囲され、前記外層部よりも熱伝導性が高い良熱伝導芯部とを有し、
前記絶縁体の先端面を含む仮想平面上において、前記中心電極の直径Dと前記良熱伝導芯部の直径dとの関係がd≧0.5Dを満たし、かつ、前記外層部の肉厚tを0.15mm以上としてなる
スパークプラグ。 - 請求項1に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極の直径Dと前記良熱伝導芯部の直径dとの関係がd≧0.7Dを満たしてなる
スパークプラグ。 - 請求項1または請求項2に記載のスパークプラグであって、
前記良熱伝導芯部は、Cuを主成分とするCu合金からなる
スパークプラグ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
前記外層部は、Si、Cr、Fe、Al及びMnのうち少なくとも1つ以上を含有するNi合金からなる
スパークプラグ。
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- 2004-01-13 JP JP2004005147A patent/JP2005203119A/ja active Pending
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