JP4933106B2 - スパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関 - Google Patents

スパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関 Download PDF

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Description

本発明は、対向する中心電極との間で火花放電を行う接地電極にのみ貴金属チップを接合した内燃機関用のスパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関に関するものである。
従来、内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。一般的なスパークプラグは、軸孔内の先端側で中心電極を保持し、後端側で接続端子を保持した絶縁碍子と、その絶縁碍子の胴部の周囲を取り囲んで保持する主体金具と、この主体金具の先端に一端が溶接され、他端が中心電極の先端に対向し火花放電ギャップを形成する接地電極とから構成されている。
近年、エンジン出力の向上に伴い燃焼室内の温度が高温となったことから、スパークプラグの電極には高温耐食性や耐酸化性が求められている。また、着火時の火花放電による電極の消耗を低減するため、耐火花消耗性も求められている。こうしたことから、中心電極と接地電極との互いの対向面には耐火花消耗性向上のための貴金属チップがそれぞれ形成されている(例えば特許文献1参照。)。
ところで、このようなスパークプラグが内燃機関に組み付けられ使用される場合、一般的には中心電極側を負極、接地電極側を正極として通電され、火花放電が行われる。しかし内燃機関によっては通電の効率性を高めるため、組み付けられたスパークプラグの正極と負極とを気筒毎に入れ替えて通電を行うものもある。火花放電による電極の消耗は、正極側の電極よりも負極側の電極の方が激しい。このため、こうした内燃機関には、中心電極側の耐火花消耗性を高めたスパークプラグと、接地電極側の耐火花消耗性を高めたスパークプラグとの2種類のスパークプラグが使用され、気筒毎の極性に合わせて選択的に組み付けられているものがある。
特開2003−197347号公報
しかしながら、例えばスパークプラグ交換時のヒューマンエラー等により誤った極性のスパークプラグが組み付けられてしまう場合もあり、正規の気筒に組み付けられなかったスパークプラグでは電極の異常消耗を招く虞があった。そこで、特許文献1に記載のスパークプラグのように、中心電極および接地電極の双方に貴金属チップを形成し、両電極の耐火花消耗性を向上させたスパークプラグを用いれば、どちらの極性の気筒に対しても同一のスパークプラグを組み付けることができ有効である。しかし、極性によって本来消耗の激しくない電極にも貴金属チップを形成することとなるため、スパークプラグの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、極性の異なる気筒に対し極性を問わず組み付けられ、かつ、耐火花消耗性向上のための貴金属チップの使用量を減らすことができるスパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、ニッケルを含有する中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、主成分としてニッケルを含有し、一端部が前記主体金具に接合され、他端部が前記中心電極と対向する接地電極と、白金またはイリジウムを主成分とし、前記接地電極の他端部に接合された貴金属チップとを備え、前記中心電極と前記貴金属チップとの間で火花放電を行うスパークプラグであって、前記中心電極のニッケル含有量は、96重量%以上であり、かつ、前記接地電極のニッケル含有量は、78.5重量%以下であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記中心電極の先端部の外径をφ1.5mm以上とすることを特徴とする。
また、請求項に係る発明の内燃機関は、請求項1または2に記載のスパークプラグと、前記スパークプラグが組み付けられ、前記スパークプラグの前記中心電極側が正極、前記接地電極側が負極となるように、前記スパークプラグに放電電圧を印加して、駆動を行う気筒とを備えている。
請求項1に係る発明のスパークプラグでは、貴金属チップが形成された接地電極のニッケル含有量よりも、貴金属チップが形成されていない中心電極のニッケル含有量が多くなるように構成することができる。これにより、中心電極の耐火花消耗性を向上させることができるので、耐火花消耗性の高い貴金属チップを中心電極に接合する必要がない。また、スパークプラグが内燃機関に組み付けられた際には中心電極よりも接地電極の方が熱負荷が大きいが、接地電極のニッケル含有量を中心電極のニッケルの含有量よりも少なくすれば、耐酸化性や高温耐食性の高い成分の含有量を増やすことができる。さらに、接地電極に貴金属チップを接合することで、耐火花消耗性を向上させることができる。このように中心電極および接地電極の耐火花消耗性を向上させたスパークプラグは、中心電極側が負極となる負極性の気筒や、中心電極側が正極となる正極性の気筒のいずれに組み付けても優れた耐火花消耗性を発揮することができる。すなわち、正負両極性の気筒に使用可能なスパークプラグにおいて、貴金属チップは接地電極のみに使用すればよいため、製品コストを低減しつつ、スパークプラグの長寿命化を図ることができる。
また、中心電極のニッケル含有量を96重量%以上とすることで、中心電極に貴金属チップを設けずとも確実に中心電極の耐火花消耗性を向上することができる。一方で、スパークプラグが内燃機関に組み付けられた際に、中心電極よりも熱負荷が大きい接地電極のニッケル含有量を減らし、ニッケル以外の成分の含有量を増やすことができ耐酸化性や高温耐食性の向上を図ることができる。また、ニッケル含有量が少なくなったことから懸念される耐火花消耗性は、貴金属チップを設けることにより向上することができる。そして、その接地電極のニッケル含有量を78.5重量%以下とすることで、接地電極と貴金属チップとの溶接性を向上させることができる。
また、請求項に係る発明のスパークプラグのように、中心電極の、特に先端部の外径をφ1.5mm以上とすれば、一般市場から望まれている耐久性を確保することが容易となり、好ましい。なお、その有効性については、後述する評価試験にて説明する。
また、請求項に係る発明の内燃機関では、スパークプラグの中心電極側が正極、接地電極側が負極となるように、スパークプラグに放電電圧を印加することができる。上記構成のスパークプラグは、その中心電極に外部電源からの正極性が接続されて使用されることが望ましく、そのような極性を有する気筒を備えた内燃機関に用いられることが好適である。
以下、本発明を具体化したスパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態のスパークプラグ100の構造について説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。なお、軸線O方向において、絶縁碍子10の軸孔12内で中心電極20が保持されている側をスパークプラグ100の先端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁碍子10と、絶縁碍子10の長手方向略中央部に設けられ、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10の軸孔12内に軸線方向に保持された中心電極20と、主体金具50の先端面57に一端部(基部32)を溶接され、他端部(先端部31)が中心電極20の先端部22に対向する接地電極30と、中心電極20の後端部に設けられた端子金具40とから構成されている。
まず、このスパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子10について説明する。絶縁碍子10は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸線O方向に軸孔12を有する筒状の絶縁部材である。軸線O方向の略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、これより後端側には後端側胴部18が形成されている。また、鍔部19より先端側には後端側胴部18より外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径されており、スパークプラグ100が内燃機関200の各気筒210,220(図3参照)に組み付けられた際には、それらの燃焼室211,221に曝される。
次に、中心電極20について説明する。中心電極20は後述する表1の材料cに示すようなニッケル(Ni)含有率の高い合金からなる電極母材21の中心部に、放熱促進のための銅、あるいは銅合金などで構成された芯材23が埋設された棒状の電極である。中心電極20の先端部22は絶縁碍子10の先端面から突出しており、先端側に向かって径小となるように形成されている。また、中心電極20は、軸孔12の内部に設けられたシール体4および抵抗体3を経由して、上方の端子金具40に電気的に接続されている。そして端子金具40には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は絶縁碍子10を保持し、内燃機関200(図3参照)にスパークプラグ100を固定するためのものである。主体金具50は、絶縁碍子10の鍔部19近傍の後端側胴部18から、鍔部19、先端側胴部17、および脚長部13を取り囲むようにして絶縁碍子10を保持している。主体金具50は低炭素鋼材で形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、内燃機関上部に設けられたエンジンヘッド212,222(図3参照)に螺合するねじ部52とを備えている。
また、主体金具50の工具係合部51と、絶縁碍子10の後端側胴部18との間には環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。工具係合部51の後端側には加締め部53が形成されており、この加締め部53を加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介して絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。これにより、主体金具50の内周に形成された段部56に、絶縁碍子10の先端側胴部17と脚長部13との間の段部15が板パッキン80を介して支持されて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体となる。主体金具50と絶縁碍子10との間の気密は板パッキン80によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。また、主体金具50の中央部には鍔部54が形成されており、ねじ部52の後端部側(図1における上部)近傍、すなわち鍔部54の座面55にはガスケット5が嵌挿されている。
次に、接地電極30について説明する。接地電極30は、耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、インコネル(商標名)600または601等のNi合金が用いられる。この接地電極30は自身の長手方向の横断面が略長方形を有しており、基部32が主体金具50の先端面57に溶接されている。また、接地電極30の先端部31は、中心電極20の先端部22に対向するように屈曲されている。この中心電極20に対向する側の面である接地電極30の内面33は、中心電極20の軸線方向に略直交している。この内面33には、プラチナ(Pt)またはイリジウム(Ir)を主成分とする柱状の貴金属チップ91が抵抗溶接され、この貴金属チップ91と、中心電極20の先端部22との間で火花放電ギャップが形成されている。
このような構成のスパークプラグ100が図3に示すような内燃機関200に組み付けられた場合、火花放電ギャップを形成する中心電極20および接地電極30は、各気筒210,220の各燃焼室211,221内に露出される。特に接地電極30は各燃焼室211,221内に突き出した状態で使用されるため、中心電極20よりも熱負荷が高くなる。このため、本実施の形態では接地電極30の母材に含有するNiの量を中心電極20よりも少なくし、耐食性や耐酸化性など電極に求められる性能を実現できる成分を、より多く含有している。そして、耐火花消耗性については貴金属チップ91を設けることによって実現している。一方で、中心電極20は接地電極30よりも熱負荷が小さいため、母材に含有するNiの量を接地電極30よりも多くすることで、貴金属チップを設けずとも耐火花消耗性を高めることのできる構成としている。
より具体的には、後述する評価試験の結果に基づき、中心電極20のNi含有量を96重量%以上、かつ、接地電極30のNi含有量を78.5重量%以下と規定している。中心電極20のNi含有量が96重量%未満であると、特に中心電極20側を負極として火花放電を行った際に、火花消耗が大きくなってしまう。一方、接地電極30のNi含有量が78.5重量%より多くなると、接地電極30と貴金属チップ91との接合性に劣り、貴金属チップ91が接地電極30から脱落する虞がある。
もっとも、中心電極20のNi含有量を100重量%とすればよいものでもなく、上記した耐食性や耐酸化性を高めるために不可避である成分を含有させることが望ましく、これら不可避成分の含有量を考慮すれば、中心電極のNi含有量は98.5重量%以下とすることが好ましい。また、接地電極30についても、少なくとも56重量%以上のNiを含有することが好ましい。これは、耐酸化性の低下や、耐熱合金としての性能が損なわれてしまうことを回避するためである。
また、上記した耐食性や耐酸化性など電極に求められる性能を実現できる成分としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)などの成分が挙げられる。Siは、高温での耐食性や耐火花消耗性を向上させる作用がある。Alは、電極の表面に酸化膜を形成し、高温での耐食性を高める作用がある。Mnは、材料の調製中の溶解時や溶接時に脱酸作用や脱硫作用があることが知られている。CrやFeは、電極表面に酸化膜を形成し、耐食性を向上させる作用がある。Ndは、電極表面の粒成長を抑制する作用がある。
ところで、中心電極20の先端部22の外径は、貴金属チップ91の外径よりも大きい方が好ましい。上記したように中心電極20はNiを多く含有するため耐火花消耗性が高いものの、PtやIrを主成分とする貴金属チップ91の方が耐火花消耗性は高い。
このように、中心電極20や貴金属チップ91を接合した接地電極30の材質(特にNiの含有量)を上記のように構成すれば、図3に示すように、スパークプラグ100を中心電極側が正極となる正極性の気筒210や、中心電極側が負極となる負極性の気筒220のいずれに組み付けても優れた耐火花消耗性を発揮することができる。
[実施例1]
このように、中心電極20のNi含有量を接地電極30のNi含有量よりも多くしたことによる効果を確認するため評価試験を行った。
評価試験では、組成の異なる5種類の電極材料(表1参照)を準備し、これらの材料を用いて中心電極や接地電極を形成し、評価試験を行うための11種のスパークプラグのサンプル(表2参照)を作製した。表1に示すように、材料aはNiを96重量%含有し、SiとCrをそれぞれ1.2重量%、Mnを1.6重量%含有する合金である。同様に、材料bは、Ni,Si,Cr,Mn,Feをそれぞれ78.5,0.5,14,1.0,6(重量%)含有する合金からなり、材料cは、Ni,Si,Al,Ndをそれぞれ98.5,0.5,0.8,0.2(重量%)含有する合金からなる。また、材料dは、Ni,Si,Al,Cr,Mn,Feをそれぞれ56,0.5,1.7,25,1.0,15.8(重量%)含有する合金からなる。そして材料eは、Ni,Si,Al,Cr,Mn,Feをそれぞれ91,1.5,0.5,2,2,3(重量%)含有する合金からなる。
Figure 0004933106
そして表2に示すように、サンプル1番のスパークプラグは、材料aから形成した中心電極と、材料bから形成した接地電極とを用いて作製した。同様に、サンプル2番〜11番のスパークプラグは、それぞれ、材料d,d,a,a,a,a,e,c,a,aから形成した中心電極と、材料a,b,a,b,b,b,b,b,e,dから形成した接地電極とを用いて作製した。なお、中心電極はその先端部の外径がφ1.5mmとなるように作製し、接地電極は長手方向に対する断面が1.5mm×2.8mmとなるように作製した。また、サンプル5番,6番のスパークプラグの中心電極には、先端部の先端面に貴金属チップを抵抗溶接した。同様にサンプル1番〜4番,6番,8番〜11番の接地電極にも、先端部の内面に貴金属チップを抵抗溶接した。この貴金属チップはPt−20Niからなるφ0.7mm×0.3mmの円形板状のものを使用した。
こうして作製した11種類のスパークプラグのサンプルに対し、耐火花消耗性の試験と溶接性の試験を行った。
まず、耐火花消耗性の試験では各サンプルのスパークプラグを2本ずつ作製し、いずれのサンプルも火花放電ギャップの大きさが1.05mmとなるように接地電極の曲げの度合いを調整した。このとき、各サンプルそれぞれ絶縁碍子の先端面からの中心電極の先端面(貴金属チップを設けた場合はその先端面)の突出量と、接地電極の内面(中心電極に対向する側の面)からの貴金属チップの先端面までの寸法(貴金属チップを設けなかった場合は接地電極の厚み)を測定した。次に各サンプルごとに、一方のスパークプラグは中心電極側が正極性となるように、また他方のスパークプラグは中心電極側が負極性となるようにして、0.4MPaの大気雰囲気下で60Hzの火花放電を100時間実施した後、火花放電ギャップの増加量をそれぞれ測定した。そして各サンプル毎に、上記一方の極性(中心電極側が正極性)のスパークプラグと、他方の極性(中心電極側が負極性)のスパークプラグとの火花放電ギャップの増加量の比較を行った。その結果、上記一方および他方の極性のスパークプラグともに、火花放電ギャップの増加量が0.1mm未満であれば、そのサンプルは耐火花消耗性に優れるとして「○」と評価した。また、上記一方もしくは他方のいずれかの極性のスパークプラグの火花放電ギャップの増加量が0.1mm以上となれば、そのサンプルは耐火花消耗性に劣るとして「×」と評価した。
耐火花消耗性の評価試験の結果、スパークプラグの中心電極について、サンプル1番,4番〜7番,9番〜11番は「○」と評価され、サンプル2番,3番,8番については「×」と評価された。また、接地電極について、サンプル1番〜4番,6番,8番,9番,11番は「○」と評価され、サンプル5番,7番,10番については「×」と評価された。
次に、溶接性の評価試験は、中心電極に貴金属チップを抵抗溶接したサンプル5番,6番のスパークプラグと、接地電極に貴金属チップを抵抗溶接したサンプル1番〜4番,6番,8番〜11番のスパークプラグとに対して行った。
図2に例示するように、接地電極30の内面33に抵抗溶接した貴金属チップ91を接地電極30ごとバーナーで加熱し、900℃を2分間保持し、その後1分間の自然冷却を行った。これを1サイクルとして1000サイクル行った後、各サンプルを、柱軸を通る断面で接地電極30ごと切断し、拡大鏡を用いて両者の溶接面の観察を行った。そして溶接面において、貴金属チップ91の柱軸と直交する方向における剥離の生じた部分93の長さB1,B2(切断面において剥離の生じている最大の長さ)を測定した。
これを、あらかじめ測定しておいた貴金属チップ91の外径Aと比較し、(B1+B2)/A×100(%)で示される割合が50%未満であれば、溶接性に優れるとして「○」と評価した。同様に、上記割合が50%以上であれば、溶接性に劣り貴金属チップの脱落が生ずる虞があるとして「×」と評価した。
なお、サンプル5番,6番については中心電極の先端部の先端面に貴金属チップが接合されている。この貴金属チップに対しても同様に上記の方法で、溶接性の評価試験と、その結果に対する評価とを行った。
溶接性の評価試験の結果、中心電極に貴金属チップを接合したサンプル5番,6番はいずれも「×」と評価された。また、接地電極に貴金属チップを接合したサンプル1番,3番,6番,8番,9番,11番は「○」と評価され、サンプル2番,4番,10番については「×」と評価された。
これら耐火花消耗性および溶接性の評価試験の結果をもとに、各サンプルに対して総合評価を行った。そして、ひとつでも「×」と評価されたサンプルでは、正負両極性のスパークプラグとして使用するには不適であるとして、総合評価を「×」と評価した。また、ひとつも「×」のつかなかったサンプルでは、正負両極性のスパークプラグとして使用するのに適しているとして、総合評価を「○」と評価した。この結果、サンプル1番,9番,11番は「○」と評価された。また、サンプル2番〜8番,10は「×」と評価された。この結果を表2に示す。
Figure 0004933106
耐火花消耗性および溶接性の評価試験の結果より、中心電極の材料を異ならせたサンプル1番,3番,8番,9番の比較により、中心電極のNi含有量が96重量%未満となると、中心電極の火花消耗が大きくなり、耐火花消耗性に劣ることがわかった。一方で、接地電極の材料を異ならせたサンプル1番,4番,10番,11番の比較により、接地電極のNi含有量が78.5重量%より多くなると貴金属チップに剥離が生じ、溶接性に劣ることがわかった。このことは、中心電極および接地電極それぞれのNi含有量が上記条件を満たさないサンプル2番の評価試験の結果からも確認できた。
また、サンプル1番,5〜7番をそれぞれ比較すると、Ni含有量が96重量%以上の中心電極に貴金属チップを接合しても溶接性に劣ることが確認できた。さらに、Ni含有量が78.5重量%の接地電極に貴金属チップを設けなかった場合、接地電極は火花消耗性に劣ることが確認できた。
そして、サンプル1番,9番,11番より、Ni含有量が96重量%以上の中心電極と、Ni含有量が78.5重量%以下で貴金属チップを接合した接地電極とを組み合わせたスパークプラグであれば、正負いずれの極性の気筒に組み付けても、スパークプラグとしての性能を発揮することができることがわかった。
[実施例2]
次いで、中心電極の先端部の外径による耐久性への影響度について検証した。比較検証は、実施例1にて行った評価試験にて良好な結果を示したサンプル1番のスパークプラグを用い、その中心電極の先端部の外径をφ1.5mmとしたものの他に、φ1.1mm,φ1.7mm,φ2.5mm,φ3.0mmとしたものを用意し、5種類のサンプルを作製した。そして各サンプルについて、中心電極側が負極性となるようにして0.6MPaの大気雰囲気下で60Hzの火花放電を行った。この試験では机上火花試験機を用い、5万マイル走行相当の火花放電を行った。そして試験後に、各サンプルの放電電圧について測定した。その結果、使用した電源の出力(36kV(図4において一点鎖線で示す。))に対して2割以上の余裕度を有するもの(すなわち、試験後に29kV(図4において二点鎖線で示す。)以下にて火花放電が可能なもの)は、耐久性の大幅な低下が見られなかったとして「良」と評価した。
図4のグラフにその結果を示すように、中心電極の先端部の外径をφ1.1mmとしたものは、試験後に火花放電のために要する要求電圧が32kVであったのに対し、φ1.5mm,φ1.7mm,φ2.5mm,φ3.0mmとしたものはそれぞれ、28kV,26kV,24kV,24kVとなった。これより、中心電極の先端部の外径が小さくなると耐久性が低下し、火花放電に伴う電極の消耗により火花放電間隙が大きくなって火花放電のための要求電力が高くなることがわかった。従って、中心電極先端部の外径をφ1.5mm以上とすることが、耐久性を確保する上で、より有効であることが確認された。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、中心電極20や接地電極30の含有するNi以外の成分やその含有量は一例にすぎず、Niの含有量について、本実施の形態で説明した条件を満たせばよい。また、貴金属チップ91は抵抗溶接により接地電極30に接合したが、レーザ溶接により行ってもよい。また、中心電極の先端部の外径を、必ずしも先端側に向かって径小となるように形成する必要はない。もちろん、例えばスパークプラグ100の大きさや形状など、火花放電に直接関係しない事項は適宜変更が可能である。
また、中心電極の先端部の外径については、大きくすればするほど耐久性が向上する反面、成長過程の火炎核の熱が奪われやすくなり、着火性の低下が懸念される。この場合、中心電極の外径を接地電極の幅よりも大きくすることが、着火性の低下を抑制する上で有効である。特に、中心電極の先端部の外径をφ2.0mm以上とした場合に、より有効であることが確認されている。
本発明は正負いずれの極性の気筒にも組み付け可能なスパークプラグおよびそのスパークプラグを備えた内燃機関に用いることができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 溶接性の評価試験の方法を説明するための例を示す図である。 気筒210,220に組み付けられたスパークプラグ100を示す部分断面図である。 スパークプラグに対し5万マイル走行相当の火花放電を行った後における中心電極の先端部の外径と火花放電の要求電圧との関係を示したグラフである。
10 絶縁碍子
12 軸孔
20 中心電極
22 先端部
30 接地電極
31 先端部
32 基部
50 主体金具
91 貴金属チップ
100 スパークプラグ
200 内燃機関
210,220 気筒

Claims (3)

  1. ニッケルを含有する中心電極と、
    前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、
    前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、
    主成分としてニッケルを含有し、一端部が前記主体金具に接合され、他端部が前記中心電極と対向する接地電極と、
    白金またはイリジウムを主成分とし、前記接地電極の他端部に接合された貴金属チップと
    を備え、前記中心電極と前記貴金属チップとの間で火花放電を行うスパークプラグであって、
    前記中心電極のニッケル含有量は、96重量%以上であり、かつ、前記接地電極のニッケル含有量は、78.5重量%以下であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記中心電極の先端部の外径をφ1.5mm以上とすることを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
  3. 請求項1または2に記載のスパークプラグと、
    前記スパークプラグが組み付けられ、前記スパークプラグの前記中心電極側が正極、前記接地電極側が負極となるように、前記スパークプラグに放電電圧を印加して、駆動を行う気筒と
    を備えたことを特徴とする内燃機関。
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