JP2005314656A - 熱硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ビスマレイミド系材料において、実用的な硬化性を保持しながらも誘電正接を飛躍的に低減することにある。
【解決手段】 ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンの如く、芳香核の所定位置に炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基を導入した、芳香族基含有のビスマレイミドと、フェノールとメラミンとホルマリンとを縮合反応して得られるアミノ基含有芳香族化合物とを用いる。また、更に必要によりビスフェノールF型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を併用する。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、プリント基板用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト、塗料、接着剤、複合材料等に好適に用いることができる熱硬化性組成物及びその硬化物に関する。
従来より、半導体封止材料、プリント配線基板、導電ペースト等の電気電子部品用の材料には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又はポリイミド樹脂を硬化剤と配合して用いる2成分系の熱硬化性樹脂が広く用いられている。しかしながら、近年の著しい電子部品の高集積化、高周波化によって、これらの材料には、耐熱性、耐湿性、誘電特性等の要求特性が益々高くなってきている。そこで、例えば耐熱性に優れる材料として、ビスマレイミド化合物及びアミン系硬化剤とを必須成分とする2成分系熱硬化性組成物が注目されており、例えば、フェノール類とトリアジン系化合物とアルデヒド類との縮合物と、4,4’−ジフェニルメタン−ビスマレイミドとを組み合わせることによって、耐熱性、耐湿性、誘電特性、熱膨張特性、難燃性等の諸特性を改善する技術(例えば、特許文献1参照)や、4,4’−ジ(3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン−ビスマレイミドの如く芳香族系ビスマレイミドにイソプロピル基を導入することにより溶剤溶解性や作業性を改善する技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開平9−124897号公報(段落番号[0026]) 特開平4−243863号公報
しかしながら、前記4,4’−ジフェニルメタン−ビスマレイミドは、耐熱性は良好であるものの、電気部品、電子部品用の材料に用いた際に、誘電正接が高いため、高周波型の電気電子部品へ適用した際の発熱が著しく、近年益々高周波化する電気電子部品への適用が困難なものであった。一方、前記4,4’−ジ(3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン−ビスマレイミドは、その硬化性が著しく低くて実用性がなく、また、それに起因してビスマレイミド系材料の特長である耐熱性が損なわれるものであった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ビスマレイミド系材料において、実用的な硬化性を保持しながらも誘電正接を飛躍的に低減することにある。
本発明者等は、上記課題を解決する為に鋭意検討したところ、ビスマレイミド化合物を主たる成分とする2成分系熱硬化性組成物において、誘電特性を低下させる原因がビスマレイミド化合物の分子構造自体にあり、所定の構造を導入することで誘電特性の改善と、硬化性とを同時に改善できることを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明は、アミノ基含有芳香族化合物(A)、及び、下記一般式(1)
Figure 2005314656

(式中、R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基であり、Xは単結合、メチレン基、2,2−プロピリデン基、エチリデン基を表す。)
で表されるマレイミド化合物(B)を必須成分とすることを特徴とする熱硬化性組成物に関する。
更に、本発明は、上記熱硬化性組成物を、加熱硬化させて得られることを特徴とする硬化物に関する。
本発明によれば、実用的な硬化性を保持しながらも誘電正接を飛躍的に低減できる。
従って、本発明の熱硬化性組成物は、プリント基板用樹脂組成物、封止材用樹脂組成物、及び導電ペースト等の電気電子部品用材料として有用である。
本発明で用いるアミノ基含有芳香族化合物(A)は、分子構造内に芳香族構造と、アミノ基とを有する化合物である。本発明は、当該アミノ基とビスマレイミド化合物中の二重結合とのマイケル付加反応により硬化させるものである。また、該アミノ基含有芳香族化合物(A)は、分子構造内に芳香族構造を具備させることによって硬化反応時のゲル化を抑制できるものである。このような前記アミノ基含有芳香族化合物(A)としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチルメチレンジアニリン、
3,3’,5,5’−テトラエチルメチレンジアニリン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチルメチレンジアニリン、2,4−ジアミノ−m−キシレン、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂、及びトリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂が挙げられる。
これらのなかでも、とりわけ難燃性が良好であり、ハロゲンフリーでの難燃材料となること、また、耐熱性や誘電特性にも優れる点から、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂が好ましい。
ここで、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂の製造に用いられるフェノール化合物は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−プロピルフェノール等のフェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類、
2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール等のキシレノール類等の1価フェノール類、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2、2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、1、1'−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1、1'−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール、ヘキサメチルビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレンジオール類等の2価フェノール類、トリスヒドロキシフェニルメタン等の3価フェノール類を挙げることができる。これらのフェノール化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、とりわけ最終的に得られる樹脂の難燃性に優れ、更に、誘電正接が低く、また、耐熱性も良好となる点からフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール類、2,6−キシレノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
次に、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂の製造に用いられる、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物は、具体的には、メラミン、アセトグアナミン、及びベンゾグアナミンが亜挙げられる。これらのなかでも特にメラミンを用いた場合、本発明の組成物の硬化性が飛躍的に向上する。
また、ここで用いられるアルデヒド類は、具体的には、ホルマリン、及びアセトアルデヒドが挙げられるが、得られる樹脂の難燃性や誘電特性などからホルマリンが好ましい。
トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物、フェノール化合物、及びアルデヒド類とを縮合反応して目的の樹脂を製造する方法は、常法によって行うことができ、例えば、これら各原料成分を無触媒あるいは触媒存在下、系内のpHがpH3.0〜9.0の範囲で反応させる方法が挙げられる。この際、フェノール化合物に対するアルデヒド類のモル比を、アルデヒド類/フェノール類=0.1〜1.5なる範囲、好ましくは0.2〜0.8なる範囲にすることにより、揮発成分を抑制することができる。また、目的とする樹脂の架橋密度が十分に高くなる点から、フェノール化合物に対するトリアジン構造及びアミノ基を有する化合物のモル比〔(トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物)/(フェノール化合物)〕が、0.05以上であることが好ましく、更に、反応系内の均一性が良好で、均一な生成物が得られる点から1.50以下が好ましい。また、これらのバランスが良好である点から中でも、0.10〜0.50なる範囲が特に好ましい。
上記反応において触媒を使用する場合、公知慣用の触媒が何れも使用できる。しかし、金属などの無機物が触媒残として生成物たる樹脂中に残ることは、電気電子部品用途において望ましくないことから、塩基性の触媒としてはアミン類、酸性の触媒としては有機酸を使用するのが好ましい。また、前記の触媒残の問題を回避する観点からは、上記反応は無触媒で行うことが最も好ましい。
反応終了後、未反応のアルデヒド類、フェノール化合物、溶媒等を常圧蒸留、真空蒸留等の常法にしたがって除去する。ここで、本発明では、目的とする樹脂においてメチロール基の含有量を極力低くすること、更に、実質的にメチロール基の存在が確認できない状態まで低減することが、ゲル化防止の点から好ましい。一方、耐水性の点からは未反応のフェノール化合物の残存量を生成物たる樹脂中、3重量%以下にすることが好ましい。その為、この未反応成分や溶媒の除去工程では、反応生成物を120℃以上の条件、好ましくは150℃以上の条件で加熱処理することが好ましい。
ここで、目的とする樹脂においてメチロール基が実質的に存在が確認できない状態とは、下記の条件で測定した場合の検出限界以下の状態をいう。
<メチロール基含有量の測定条件>
日本電子(株)製GSX270プロトン:270MHzのC13−NMRを用い、以下の条件にて測定する。
測定溶媒:重メタノールあるいは重アセトン、重ジメチルスルホキシド、
基準物質:テトラメチルシラン
得られたチャートの60〜70ppmに着目し、ノイズと明確に区別され得るピークを用いて判定を行う。
次に、本発明で用いるマレイミド化合物(B)は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2005314656
ここで、式中、R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基であり、Xは単結合、メチレン基、2,2−プロピリデン基、エチリデン基を表す。即ち、本発明では芳香核上にアルキル基を導入することでマレイミド化合物(B)自体の回転運動を抑制し、それによって、硬化物において極めて低い誘電正接を実現できたものである。また、通常、この位置にアルキル基を導入すれば立体障害によってマレイミドの反応活性が低下するところ、本発明では直鎖状のアルキル基を選択することによって反応活性を低下させることなく、低誘電正接を実現したものである。
このようなマレイミド化合物(B)は、具体的には、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、1,1−ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)エタン、2,2−ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)プロパン、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−1,1−ジフェニルエタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−1,1−ジフェニルプロパン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジn−プロピル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジn−ブチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド等のジフェニルアルカン骨格含有ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ビフェニレン]ビスマレイミド、N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチル−ビフェニレン]ビスマレイミド等のビフェニル骨格含有ビスマレイミドが挙げられる。
かかるマレイミド化合物(B)の中でも特に、前記一般式(1)においてR及びRがメチル基又はエチル基のものが低誘電正接及び硬化性の点から好ましい。特に、前記ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N'−4,4'−[3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン]ビスマレイミド、 N,N'−4,4'−[3,3'−ジエチルジフェニルメタン]ビスマレイミドが、溶剤溶解性や耐熱性にも優れるから好ましい。
本発明の熱硬化性組成物において、アミノ基含有芳香族化合物(A)と、マレイミド化合物(B)との配合割合は、特に制限されるものでなく、[アミノ基含有芳香族化合物(A)/マレイミド化合物(B)]の質量比で、通常、1/3〜3/1なる範囲であり、特に、アミノ基含有芳香族化合物(A)として、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂を用いる場合には、1/2.5〜2.5/1なる範囲であることが難燃性の点から好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、前記アミノ基含有芳香族化合物(A)として、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂を用いる場合には、該樹脂及びマレイミド化合物(B)に加え、更にエポキシ樹脂(C)を併用することができる。
ここで使用し得るエポキシ樹脂(C)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、
カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の2価のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等の3価以上のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂が、電子電気部品用途における誘電特性や、耐熱性、加工性等に優れる点から好ましい。
上記エポキシ樹脂の使用量は、用途に応じて適宜選択できるが、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂に含まれるフェノール性水酸基(a)と、エポキシ樹脂(C)中に含まれるエポキシ基(c)との当量比、[(c)/(a)]が0.3〜1.5なる範囲であることが、両者が十分に反応させることができる点から好ましい。
また、エポキシ樹脂(C)を用いる場合、硬化促進剤を使用でき、該硬化促進剤としては、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、及びアミン錯塩等が挙げられる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて、無機充填剤、難燃付与剤、顔料、シランカップリング剤、離型剤、改質剤等の種々の配合剤を添加することができる。
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。無機充填材の配合量を特に多くしたい場合は溶融シリカが好ましい。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでもよいが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものが好ましい。その充填率は適用用途や所望特性によって、適宜選択できる。例えば半導体封止材用途に使用する場合は、線膨張係数や難燃性の観点から高い方が好ましく、具体的には、組成物全体量に対して65重量%以上、好ましくは85重量%以上である。また導電ペーストや導電フィルムなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
前記難燃付与剤としては、燐原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃化合物などが挙げられ、また、ハロゲンフリーの要求がない用途においてはハロゲン系難燃剤も使用し得る。具体的にはテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂やブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのハロゲン化合物、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート、レゾルシンジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、赤リン、リン酸グアニジン、ジアルキルヒドロキシメチルホスホネートなどの縮合リン酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミンなどの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が挙げられる。
また、前記改質剤としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、所謂電気電子部品用途に好ましく用いることができ、例えば、銅箔積層板用プリプレグ、ビルドアッププリント基板の層間絶縁材料等のプリント基板用樹脂組成物、半導体チップの封止材料、テープ状封止剤、ポッティング型液状封止材、アンダーフィル材、半導体の層間絶縁材料などの封止材用樹脂組成物、及び導電ペーストなどの用途が挙げられる。また、本発明の硬化物は、前記熱硬化性樹脂組成物を各用途に応じて常法により加熱硬化させることによって得ることができる。
プリント基板用プリプレグ用樹脂組成物は、前記各成分に更に有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物を調整できる。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等、沸点160℃以下の溶剤が挙げられる。これらは、適宜、2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができる。ここで、用いられる有機溶剤のなかでも特に、揮発性が低く、かつ、溶解性が良好である点からアルコール系溶媒、及び非プロトン性極性溶媒が好ましい。
かかるプリント基板用プリプレグ用樹脂組成物から、その硬化物であるプリプレグを製造するには、上記の様にして得られたワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱硬化させる方法が挙げられる。この際、用いる樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調整することが好ましい。
また、前記銅張り積層板は、このようにして得られたプリプレグを、複数枚積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、製造することができる。
次に、ビルドアップ基板用層間絶縁材料は、例えば、前記した本発明の熱硬化性組成物に更にゴム、フィラーなどを適宜配合することによって調整できる。かかる用途における硬化物は、得られた組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、加熱硬化させることによって得られる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
次に、前記半導体封止材料を調製する方法は、本発明した本発明の熱硬化性組成物を、カップリング剤、離型剤などの添加剤などと共に予備混合した後、押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合する手法が挙げられる。
このようにして得られた半導体封止材料をテープ状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を加熱して半硬化シートを作製し、封止剤テープとした後、この封止剤テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。
また、ポッティング型液状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を必要に応じて溶剤に溶解した後、半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物をアンダーフィル樹脂として使用する場合には、予め基板ないし半導体素子上に本発明の熱硬化性樹脂組成物を半硬化させてから、加熱して半導体素子と基板を密着させ、完全硬化させるコンプレッションフロー法等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を半導体の層間絶縁材料として使用する場合は、例えば特開平6−85091号公報に記載の方法によって当該層間絶縁材料を調整できる。なお、層間絶縁膜に用いる場合は半導体に直接接することになるため、高温環境下において線膨張率の差によるクラックが生じないよう、絶縁材の線膨張率を半導体の線膨張率に近づけることが好ましい。また、半導体の微細化、多層化、高密度化による信号遅延の問題に対応するため、絶縁材の低容量化技術が求められており、絶縁材を低誘電化することによってこの問題を解決することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合は、例えば、特開平3−46707号公報に記載されているように、微細導電性粒子を該樹脂組成物中に分散させて異方性導電膜用組成物を調整できる他、特開昭62−40183号公報、特開昭62−76215号公報、及び特開昭62−176139号公報などに開示されている方法によって、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤にすることができる。
次に、本発明を合成例、実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
以下の合成例、合成比較例で得られたフェノール樹脂組成物(A)のメチロール基の存在の有無、および未反応フェノールモノマー量は次のように求めた。
<メチロール基の存在の有無>
C13−NMRを用いて樹脂組成物中に存在するメチロール基を測定した。使用した装置、測定条件、及び判定基準は以下の通りである。
装置:日本電子(株)製GSX270プロトン:270MHz、
測定溶媒:重メタノールあるいは重アセトン、重ジメチルスルホキシド、
基準物質:テトラメチルシラン。
判定基準:得られたチャートの60〜70ppmに着目し、ノイズと明確に区別され得るピークを用いて判定した。ピークが認められた場合を「有」、認められない場合を「無」とした。
<未反応フェノールモノマー量>
ガスクロマトグラフィーを用い下記の条件で測定した。
カラム:30%セライト545カルナバワックス2m×3mmΦ、
カラム温度:170℃、
注入口温度:230℃、
検出器:FID、
キャリアガス:N2ガス1.0kg/cm2
測定法:内部標準法の測定条件において、フェノール樹脂組成物(A)中の未反応1官能性フェノール単量体量を測定した。
合成例1
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール94部、メラミン18.8部、および41.5%ホルマリン36.1部を仕込み、100℃に昇温して2時間リフラックス反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間リフラックス反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点136℃の樹脂67部を得た。得られた樹脂60部をメチルエチルケトン40部に75℃で溶解し、固形分60%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を「N1」とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分にはメチロール基量は「無」でり、未反応フェノールモノマー量は0.9質量%、水酸基当量は146g/eq.であった。
合成例2
仕込み比をフェノール94部、メラミン15部、41.5%ホルマリン43.4部、およびトリエチルアミン0.2部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、軟化点125℃の樹脂130部を得た。得られた樹脂60部をメチルエチルケトン40部に75℃で溶解し、固形分60%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をN2とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分にはメチロール基量は「無」であり、未反応フェノールモノマー量は0.5質量%、水酸基当量は125g/eq.であった。
合成例3
仕込み比をフェノール94部、メラミン25.2部、および41.5%ホルマリン50.6部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、軟化点148℃の樹脂89部を得た。得られた樹脂60部をメチルエチルケトン40部に75℃で溶解し、固形分60%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を「N3」とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分にはメチロール基量は「無」であり、未反応フェノールモノマー量は0.5質量%、水酸基当量は147g/eq.であった。
実施例1〜11及び比較例1〜6
表−1〜表−4に示す比率に従い、下記の方法でワニスを調製し、下記の条件で硬化させて両面銅張積層板を試作し、各種の評価を行った。結果を表−1〜表−4に示す。なお、物性試験ではエポキシ樹脂を併用する実施例7〜11、及び比較例3〜6については、ピール強度、層間剥離強度、吸水率、及び耐湿ハンダ性についても評価した。
[ワニスの調製]
ワニスは、N1〜N4で示されるフェノール樹脂組成物(A)とマレイミド化合物(B)とを混合した後、最終的に組成物の不揮発分(N.V.)が55%となるように調製した。
[積層板作製条件]
基材:180μm;日東紡績株式会社製ガラスクロス「WEA 7628 H258」プライ数:8、プリプレグ化条件:160℃/4分、銅箔:35μm;古河サ−キットホイ−ル株式会社製、硬化条件:200℃、40kg/cm2で1.5時間成型後板厚:1.6mm、樹脂含有量:40%
[物性試験条件]
燃焼試験 : UL−94垂直試験に準拠。
ガラス転移温度: エッチング処理を施し銅箔除去した後、DMA法にて測定。昇温スピード3℃/min。
ピール強度:JIS−K6481に準拠した。
層間剥離強度:JIS−K6481に準拠した。
吸湿率:プレッシャークッカー試験機を使用し、121℃、2.1気圧、100%RHの条件において試験片(25mm×50mm)を2時間保持後、その前後の重量変化を測定した。
耐湿耐ハンダ性 :プレッシャークッカー試験機を使用し、121℃、2.1気圧、100%RHの条件において試験片(25mm×50mm)を2時間保持後、その試験片を260℃のハンダ浴に30秒間浸漬させて、その前後の状態変化を観察した。
○: 外観変化なし、△: 直径5mm以下の膨れが5個以下、×: 直径5mmより大きい膨れ発生、又は直径5mm以下の膨れが6個以上。
誘電特性:誘電特性評価器を用いて100MHz、1GHzの周波数における誘電率と誘電正接を測定した(試験片のサイズ75×25×2mm)
Figure 2005314656



























Figure 2005314656


Figure 2005314656

























Figure 2005314656
尚、表−1〜表−4中の各原料及び略号は以下の通りである。
BMI−70:ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイ・アイ化成(株)製)
BMI:N,N'−(4,4−ジフェニルメタン)ビスレイミド(ケイ・アイ化成(株)製)
「830−S」 :ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名[EPICLON 830−S]、エポキシ当量171g/eq.)
「N−740」 :フェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名[EPICLON N−740]、エポキシ当量180g/eq.)
「MEK」:メチルエチルケトン
「DMF」:N,N−ジメチルホルムアミド
「NMP」:N−メチルピロリドン

Claims (7)

  1. アミノ基含有芳香族化合物(A)、及び、下記一般式(1)
    Figure 2005314656

    (式中、R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基であり、Xは単結合、メチレン基、2,2−プロピリデン基、エチリデン基を表す。)
    で表されるマレイミド化合物(B)を必須成分とすることを特徴とする熱硬化性組成物。
  2. 前記マレイミド化合物(B)が、下記一般式(1)
    Figure 2005314656

    で表され、かつ、式中、R及びRが、それぞれ独立的にメチル基又はエチル基、R及びRは、それぞれ独立的に炭素原子、メチル基、又はエチル基であり、Xは単結合、メチレン基、2,2−プロピリデン基、エチリデン基で表されるものである請求項1記載の組成物。
  3. 前記アミノ基含有芳香族化合物(A)が、トリアジン構造及びアミノ基を有する化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド類とを縮合反応して得られる樹脂として用いられる請求項1又は2記載の組成物。
  4. 前記アミノ基含有芳香族化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)に加え、更に有機溶剤を含有する請求項3記載の組成物。
  5. 前記アミノ基含有芳香族化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)に加え、更にエポキシ樹脂(C)を含有する請求項3記載の組成物。
  6. 前記アミノ基含有芳香族化合物(A)、前記マレイミド化合物(B)、及び前記エポキシ樹脂(C)に加え、更に有機溶剤を含有する請求項5記載の組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1つに記載の組成物を、加熱硬化させて得られることを特徴とする硬化物。


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