JP2005311089A - 垂直共振器型面発光半導体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 面発光型半導体レーザと保護素子を集積化することで静電破壊電圧を向上させ、信頼性の高い半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ装置1は、基板上にVCSEL10とツェナーダイオード20とを有する。ツェナーダイオード20のポスト頂部には、n型化された半導体領域200が形成されて、半導体領域200と上部DBR層108との間にPN接合面が形成される。VCSEL10のコンタクト層109と接続されたp側電極層115は、ツェナーダイオード20のn型半導体領域200に接続される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、面発光型半導体レーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser diode 以下、VCSELという)に関し、特にVCSELを静電破壊から防止するための保護構造に関する。
VCSELは、しきい値電流が低く、消費電力が小さい、円形の光スポットが容易に得られる、光源の二次元アレイ化が可能であるなどの優れた特徴を持ち、光通信機器や電子機器等の光源としての利用が期待されている。
他の半導体装置と同様に、VCSELは、回路基板等へのハンドリング時に、静電気等の高電圧に晒されることがある。素子内部に静電放電(Electro-static discharge 以下ESDという)が生じると、瞬時に大きなスパイク電流が流れるため、素子の破壊または劣化が生じ、正常な動作を行い得ない故障の原因となる。こうした問題に対処するべくいくつかの報告がなされている。
特許文献1は、半導体発光素子、特に窒化ガリウム系化合物半導体における逆方向の耐圧が50V、順方向の耐圧が150Vと小さいことに鑑み、発光素子とは別個に保護素子を設けるものである。保護素子としては、例えばツエナーダイオードやトランジスタを用い、これにより発光素子に印加され得る逆方向電圧や動作電圧以上の順方向電圧を短絡またはショートさせている。
特許文献2は、ESD対策用のダイオードとVCSELとを集積化し、両者を同一チップ上に形成するものである。基板上にはトレンチが形成され、これによってダイオード領域が画定されている。ダイオードは、好ましくは、p-i-nダイオードであり、10−20Vのブレークダウン電圧を有している。
さらに非特許文献1は、選択酸化型VCSELの信頼性についての研究報告であり、ESDによる破壊耐圧と酸化アパーチャーとの関係を説明している。ここでは、ESDの破壊を、米国MIL規格の人体モデルでテストし、5−20μmの酸化アパーチャー径をサンプルとして使用している。VCSELに対して順方向と逆方向のパルス電圧を印加し、光出力が−2dB変化したときに、破壊もしくは故障と定義している。非特許文献1の図9にはESD破壊のテスト結果が示されている。この結果によれば、ESD破壊は酸化アパーチャー径もしくは面積の関数であることが予想され、酸化アパーチャー径が大きくなるにつれて、ESD破壊電圧が高くなっている。
特開平11−112026号 米国特許6,185,240B1 Bobby M, Hawkings et al, Reliability of Various Size Oxide Aperture VCSELs, Honeywell, 2002年
しかしながら、従来のVCSELに対する保護素子には次のような課題がある。特許文献1は、発光素子と別に保護素子を設けるものであるため、発光素子を単体としてハンドリングする場合には、依然としてESD対策が不十分である。また、レーザ装置を構成する素子数が増加し、コスト高となってしまう。
特許文献2は、VCSELと保護ダイオードをチップ上に集積する点では、ハンドリング時におけるESD対策としては望ましいが、基板上に保護ダイオードを形成するためには、複数のトレンチを形成しなければならず、工程が複雑化し、必ずしもダイオードを容易に形成できるものではない。
非特許文献1は、ESD耐圧が酸化アパーチャー径に比例して高くなることを示しているが、酸化アパーチャー径を単純に大きくしただけでは、所望のレーザ基本特性を得ることができない。特に、シングルモードのVCSELでは、酸化アパーチャー径を小さくする傾向にあり、これはESD耐圧を下げることに他ならない。
本発明は、上記従来技術の課題を解決し、面発光型半導体レーザと保護素子を集積化することで静電破壊電圧を向上させ、信頼性の高い半導体レーザ装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る、基板上に保護素子を含む半導体レーザ装置は、第1導電型の第1のミラー層、第2導電型の第2のミラー層、第1および第2のミラー層にサンドイッチされた活性領域、第1のミラー層に電気的に接続される第1の電極層、および第2のミラー層に電気的に接続される第2の電極層を有する面発光型半導体レーザと、第1導電型の第1の半導体領域、当該第1の半導体領域の一部に形成され、かつ第1の半導体領域との間にPN接合面を有する第2導電型の第2の半導体領域、第1の半導体領域に電気的に接続される第3の電極層、および第2の半導体領域に電気的に接続される第4の電極層を有する少なくとも1つのツェナーダイオードとを備え、第1の電極と第4の電極とが電気的に接続され、第2の電極と第3の電極とが電気的に接続されるものである。
好ましくは、ツェナーダイオードは、第1のミラー層と同一組成のエピタキシャル層を含み、当該エピタキシャル層の一部に第2導電型の半導体領域が形成される。
例えば、第2の半導体領域は、第1の半導体領域の一部に不純物を拡散することによって形成される。第1の半導体領域が3−5族化合物半導体層(GaAsやAlGaAs層)であるとき、不純物は、2族、4族または6族元素のいずれか1つを含む。例えば、不純物は、C(炭素)、Si(珪素)、またはSe(セレン)のいずれか1つを含む。また、第2の半導体領域は、気相拡散、液相拡散、または固相拡散によって形成される。好ましくは、第2の半導体領域は、2×1018〜1×1020/cmの不純物濃度を有する。
また、第1の半導体領域に対して不純物イオンを注入することによって第2の半導体領域が形成されるものであってもよい。例えば、第1の半導体領域が3−5族化合物半導体層であるとき、H+の不純物を注入してもよい。
好ましくは、ツェナーダイオードは、基板上において絶縁膜を介して形成され、面発光型半導体レーザと電気的に絶縁される。これによりツェナーダイオードからのリーク電流が抑制される。例えば、絶縁膜は、エピタキシャル層の一部を酸化することにより形成される。
好ましくは、面発光型半導体レーザは、活性領域に隣接して選択酸化により形成された電流狭窄層を含み、前記絶縁膜は、当該電流狭窄層と同一組成である。電流狭窄層は、いわゆるポストまたはメサの側面から酸化される。電流狭窄層として、AlAsまたはAlGaAsが用いられる。
ツェナーダイオードのツェナー電圧(ブレークダウン電圧)は、面発光型半導体レーザの駆動電圧よりも高い。好ましくは、ツェナー電圧は、少なくとも約3ボルトであり、駆動電圧は約2ボルトである。
好ましくは、面発光型半導体レーザおよびツェナーダイオードは、基板上において実質的に等しい高さの第1、第2のポストを有し、第1のポストの第1のミラー層にコンタクトされた第1の電極層は、第1のポストの側面を延在する第1の金属配線層に接続され、該第1の金属配線層はさらに第2のポストの側面を延在し、第2のポストの第2の半導体領域にコンタクトされた第4の電極層に接続される。
好ましくは、面発光型半導体レーザの第2の電極層は、基板の裏面に形成され、第2の電極層は、基板に形成されたスルーホールを介して延在する第2の金属配線層に接続され、該第2の金属配線層は第1の半導体領域にコンタクトされた第3の電極層に接続されるようにしてもよい。
さらに本発明の半導体装置の製造方法は、少なくとも第1の導電型の第1のミラー層、第2の導電型の第2のミラー層および第1、第2のミラー層によってサンドイッチされる活性領域とを含む複数の半導体層を基板上に積層するステップと、基板上の複数の半導体層をエッチングして少なくとも第1、第2のポストを形成するステップと、第1、第2のポストに含まれる化合物半導体層を酸化し、第1のポストの化合物半導体層の酸化領域によって包囲された導電性領域を形成し、第2のポストの化合物半導体層のすべてを酸化するステップと、第2のポストの第1のミラー層内に、第2導電型の半導体領域を形成するステップと、第2のポストの第2導電型の半導体領域と第1のポストの第1のミラー層とを電気的に接続するステップとを有する。
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、面発光型半導体レーザとツェナーダイオード(保護素子)とを集積化し、さらに、第1の半導体領域の一部に第2導電型化された第2の半導体領域を形成することでツェナーダイオードを構成したので、従来のトレンチによりダイオードを形成するよりも簡単な工程で、同一基板上に集積化されたツェナーダイオードを形成することができる。同時に、面発光型半導体レーザの破壊電圧を増加させることができるので、実装などのハンドリング時に、レーザ装置の故障を回避することができる。さらに、従来例のように、保護素子を個別に実装する必要がなく、実装工程を簡略化することができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明に係る半導体レーザ装置は、好ましくは同一基板上に、選択酸化型のポスト(またはメサ)を有するVCSELとツェナーダイオードとを形成する。
図1は、本実施例の半導体レーザ装置の等価回路図である。半導体レーザ装置1は、レーザ光を出射するVCSEL10と、VCSEL10と同一基板上に形成されるツェナーダイオード20とを有する。VCSEL10とツェナーダイオード20は、それぞれの極性が逆となるように並列に接続されている。すなわち、VCSEL10のアノード(p側)にはツェナーダイオード20のカソード(n側)が接続され、VCSEL10のカソード(n側)にはツェナーダイオード20のアノード(p側)が接続されている。
VCSEL10のアノードには、p側の電極端子12が接続され、カソードにはn側の電極端子14が接続されている。VCSEL10を駆動するとき、電極端子12、14間に順方向の約2ボルトの電圧が印加され、VCSELから所定波長のレーザ光が発光される。ツェナーダイオード20は、好ましくは3ボルト以上のツェナー電圧(降伏電圧)が印加されたとき、電極端子12から電極端子14へ電流を流す。
一方、VCSEL10に逆方向の電圧が印加されたとき、ツェナーダイオード20は、通常のダイオードと同様に順方向電圧で動作し、電極端子14から電極端子12へ電流を流す。こうして、VCSEL10の破壊電圧を実施的に増加させることができ、VCSEL10を静電気等の大きな電圧から保護することができる。
図2は、第1の実施例に係る半導体レーザ装置の好ましい構成を示す図である。図2Aは、半導体レーザ装置の模式的な平面図、図2BはそのX−X線断面矢視図である。VCSEL10およびツェナーダイオード20は、基板101上に、それぞれ円筒状のポストまたはメサとして形成される。これらのポストは、基板上にエピタキシャル成長された複数の半導体層を一定の深さまで異方性エッチングすることによって同時に形成される。第1の実施例は、VCSEL10のポスト径がツェナーダイオード20のそれよりも大きい構造となっている。
VCSEL10は、n型のGaAs基板101上に、n型のバッファ層102、n型の下部DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラック型反射鏡)ミラー層103、アンドープの下部スペーサ層104とアンドープの量子井戸活性層105とアンドープの上部スペーサ層106とを含む活性領域107、p型の上部DBRミラー層108を順次積層して構成される。上部DBR層108の最上層には、p型のコンタクト層109が形成され、その最下層には、p型のAlAs層110が形成されている。このAlAs層110は、ポストの側面から一部が酸化された酸化領域111と、酸化領域111によって囲まれた円形状の導電性の開口112とを有する。AlAs層110は、酸化領域111によって光の閉じ込め及び電流狭窄を行い、いわゆる電流狭窄層として働く。
VCSEL10の側壁および上面は、層間絶縁膜113によって覆われる。層間絶縁膜113には、コンタクト層109の表面を露出するためのコンタクトホール114が形成されている。層間絶縁膜113上にp側電極層115が形成され、p側電極層115がコンタクトホール114を介してコンタクト層109にオーミック接続される。p側電極層115の中央には、レーザ光を出射するためのレーザ出射窓116が形成されている。基板101の裏面には、n側電極層117が形成されている
一方、ツェナーダイオード20は、VCSEL10と同一組成のエピタキシャル層を有しているが、p型の上部DBRミラー層108の一部にn型化された半導体領域200が形成されている点、および上部DBRミラー層108の最下層であるAlAs層110がすべて酸化領域210とされている点が異なる。AlAs層110の酸化は、それぞれのポストに対して同時に行われ、AlAs層110の酸化速度は各ポストにおいて等しい。VCSEL10のAlAs層110を酸化して中央に導電性の開口112が残されるとき、ツェナーダイオード20のAlAs層110のすべてが酸化領域210となるように、ツェナーダイオード20のポスト径が選択される。
n型の半導体領域200は、p型の上部DBRミラー層108の表面からn型の不純物を拡散または注入することによって形成される。本実施例では、上部DBRミラー層108の表面に、パターニングされたシリコン層を蒸着させ、高温で熱処理することにより、上部DBR層108からシリコンを拡散させ、上部DBR層108の表面から一定の深さを有する半導体領域200を形成する。これにより、上部DBRミラー層108内にPN接合面が形成される。
ツェナーダイオード20のポストの周囲には層間絶縁膜113が形成され、上部DBRミラー層108と半導体領域200の表面を露出させるためのコンタクトホール220が形成されている。ツェナーダイオードのカソード側の電極層230は、コンタクトホール220を介して半導体領域200と電気的に接続される。また、電極層230は、ポストの側面および底部を延在する連結層240を介してVCSEL10のp側電極層115に接続される。好ましくは、p側電極層115、電極層230および連結層240は、金属配線層をパターンニングするときに同時に一体形成される。
また、ツェナーダイオード20のアノード側の電極層250が、コンタクトホール220を介して上部DBRミラー層108(p型のコンタクト層109)に電気的に接続される。電極層250は、ここには図示しないが、基板101の裏面のn側電極層117と電気的に接続される。
p側電極層115は、図1に示す電極端子12に接続され、n側電極層117は電極端子14に接続される。電極端子12、14間に順方向電圧が印加されたとき、その電圧がツェナーダイオード20のツェナー電圧以下であれば、VCSEL10が駆動され、レーザ光が出射窓116から出射される。ツェナーダイオード20のツェナー電圧は、好ましくは、3ボルトまたはそれ以上とすることができる。VCSEL10の順方向の破壊電圧は、数百ボルトであるが、ツェナー電圧以上の電圧が電極端子12、14間に印加されたとき、電流の一部はツェナーダイオード20を介してシャントされる。このとき、ツェナーダイオード20は、酸化領域(AlAs層)210によってn型の下部DBRミラー層103と電気的に絶縁されているため、ツェナーダイオード20を流れる電流が基板側へリークすることが抑制される。
ツェナーダイオード20の順方向電圧は約0.7ボルトであり、VCSEL10の逆方向の破壊電圧は数十ボルトであるため、電極端子12、14に逆方向電圧が印加されたとき、印加された電流はツェナーダイオード20を介してシャントされ、VCSEL10が保護される。
次に、本発明の第2の実施例に係る半導体レーザ装置を図3に示す。図3Aは、第2の実施例に係る半導体レーザ装置の模式的な平面図、図3BはそのX−X線断面図である。第2の実施例では、第1の実施例と異なり、ツェナーダイオード22は、矩形状のポストを有している。VCSEL10のAlAs層110を酸化して開口112を形成するとき、ツェナーダイオード22のAlAs層110のすべてが酸化領域210となるようにポストの短手方向の長さLが選択される。
また、n型の半導体領域202は、上部DBRミラー層108の表面にパターンニングされたレジスト等のマスク層を形成し、そこからH+をイオン注入することによって形成される。半導体領域202の深さは適宜選択可能であるが、酸化領域210に到達するものであってもよい。
第2の実施例では、ツェナーダイオード22を矩形状のポストとしたが、勿論、これ以外の形状であってもよい。また、半導体領域202は、第1の実施例と同様に拡散(気相、液相、固相)を用いて形成することも可能である。
次に、本発明の第3の実施例に係る半導体レーザ装置を図4に示す。第3の実施例に係る半導体レーザ装置は、ツェナーダイオード22のポストに隣接してスルーホール300が形成されている。ツェナーダイオード22の電極層250は、ポスト側面から底部にまで延在し、層間絶縁膜113に形成されたコンタクトホール310を介してスルーホール300内に充填された導電性物質320と電気的に接続される。導電性物質320は、基板101の裏面においてn側電極層117に接続されており、これにより、ツェナーダイオード22のアノード電極とVCSEL10のカソード電極が結合される。
図5は、第3の実施例の変形例であり、基板101の裏面にn側電極層117を用いる変わりに、基板上に形成された下部DBRミラー層103の一部と電気的なコンタクトを取るものである。ツェナーダイオード22の電極層250は、層間絶縁膜113のコンタクトホール310を介して下部DBRミラー層103のn型半導体層に電気的に接続される。これによって、ツェナーダイオード22のアノード電極とVCSEL10のカソード電極とを結合してもよい。さらに、下部DBRミラー層103内に、n型のコンタクト層330を介在させ、このコンタクト層330と電極層250とを接続するようにしてもよい。この場合、コンタクト層330は、好ましくは下部DBRミラー層の反射率を低下させないような材質を選択することが望ましい。
次に、第1の実施例に係る半導体レーザ装置の製造工程について図6ないし図8を参照して説明する。図6Aに示すように、有機金属気相成長(MOCVD)法を用い基板101上に複数の半導体層を積層する。すなわち、n型のGaAs基板101上に、n型のバッファ層102、n型の下部DBRミラー層103、アンドープの下部スペーサ層104とアンドープの量子井戸活性層105とアンドープの上部スペーサ層106とを含む活性領域107、コンタクト層109およびAlAs層(電流狭窄層)110を含むp型の上部DBRミラー層108が順次積層される。
下部DBRミラー層103は、n型のAl0.9Ga0.1As層とn型のAl0.3Ga0.7As層との複数層積層体で、各層の厚さはλ/4n(但し、λは発振波長、nは媒質の屈折率)であり、これらを交互に40.5周期で積層してある。n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度は3×1018cm-3である。
活性領域107の下部スペーサ層104は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層であり、量子井戸活性層105は、アンドープAl0.11Ga0.89As量子井戸層およびアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層を含む。上部スペーサ層106は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層である。
上部DBRミラー層108は、p型のAl0.9Ga0.1As層とp型のAl0.3Ga0.7As層との積層体で、各層の厚さはλ/4n(但し、λは発振波長、nは媒質の屈折率)であり、これらを交互に30周期積層してある。p型不純物であるカーボンをドーピングした後のキャリア濃度は3×1018cm-3である。p型のコンタクト層109はGaAs層で、膜厚20nm、カーボン濃度は1×1020cm-3である。
次に、図6Bに示すように、フォトリソ工程を用いて半導体層上にマスクパターン400、410を形成する。マスクパターンは、SiOやレジストを用いることができる。マスクパターン400は、ツェナーダイオード20の外形に対応する円形状のパターンであり、マスクパターン410は、VCSEL10の外形に対応する円形状のパターンである。
マスクパターン400、410を用い、積層された半導体層をリアクティブイオンエッチング(RIE)によりエッチングする。エッチングは、下部ミラー層103の一部が露出するまで行われる。これによって、ツェナーダイオード20とVCSEL10のポストまたはメサが形成される。
次に、図6Cに示すように、基板101を、窒素をキャリアガス(流量:2リットル/分)とする350℃の水蒸気雰囲気に30分間晒す。VCSEL10側のAlAs層110は、上部ミラー層を構成するAl0.8Ga0.2As層やAl0.1Ga0.9As層に比べ著しく酸化速度が速い。これにより、AlAs層110がポスト側面から酸化を開始され、最終的にポスト外形を反映した酸化領域111と酸化領域111によって囲まれた導電性の開口112とを有する電流狭窄層が形成される。酸化領域111は、導電性が低下し電流狭窄部となるが、同時に周囲の半導体層に比べ光学屈折率が半分程度(〜1.6)である関係から、光閉じ込め領域としても機能し、開口112が電流注入部となる。
一方、ツェナーダイオード20側のポスト径は、VCSEL10のポスト径よりも小さいため、AlAs層110はそのすべての領域が側面から酸化され、酸化領域210となる。
次に、図7Aに示すように、ツェナーダイオード20の上部DBRミラー層108上に、シリコン層420を蒸着し、これを所定のサイズにパターニングする。次いで、図7Bに示すように、全面にシリコン窒化膜430を蒸着し、As雰囲気中で、850度の温度で約2時間の加熱処理を行う。これによって、シリコン層420からシリコン原子がp型の上部DBR層108内へ拡散され、図7Cに示すように、n型化された半導体領域200が形成される。好ましくは、上部DBR層108内のドーパント濃度は、2×1018〜1020/cmである。
次に、シリコン層420およびシリコン窒化膜430を除去し、露出したポスト側面を含む基板上面に層間絶縁膜113が着膜される。そして、図8Aに示すように、VCSEL10のポスト頂部において、層間絶縁膜113にコンタクトホール114が形成され、コンタクト層109が露出される。ツェナーダイオード20のポスト頂部において、層間絶縁膜113にコンタクトホール220が形成され、p型のコンタクト層109およびn型半導体領域200が露出される。
続いて、基板全面に電極層が形成される。電極層は、例えば、Ti/Auの積層膜である。電極層は、フォトリソ工程によりパターニングされ、これによりp側電極層115、電極層230、250および連結層240が同時に形成される。同時に、VCSEL10には、レーザ出射窓116が形成される。そして、基板101の裏面に、Ti/Au等のn側電極117が形成される。
上記実施例では、シリコン原子をp型の上部DBRミラー層108内に拡散させたが、シリコン以外の不純物を用いることも可能である。例えば、炭素(C)、セレン(Se)などを用いることができる。さらに、拡散は、気相または液相による拡散であってもよい。
次に、第2の実施例に係る半導体レーザ装置の製造方法を図9に示す。ポストの形成および酸化領域111、210の形成までの工程は、第1の実施例のときの図6A〜図6Cまでと同様である。引き続き、基板の全面にレジストを塗布し、図9Aに示すように、レジスト450をパターンニングし、ツェナーダイオード22の頂部に開口を形成する。次いで、レジスト450をマスクとして、H+のイオンを、320Kev、5×1014/cmで注入する。これにより、上部DBR層108内に、n型化された半導体領域202が形成される。打ち込みの条件を適宜変更することで、半導体領域202の深さを調整することが可能である。
n型の半導体領域202の形成後、レジスト450を除去し、第1の実施例のときと同様に、層間絶縁膜113および電極層115、230、240および250の形成が行われる。そして、基板101の裏面にn側電極層117が形成される。
以上説明したように、本実施例によれば、基板上にVCSEL10およびツェナーダイオード20を集積化させることで、VCSELの破壊電圧を増加させ、レーザ装置のハンドリング時に静電気や逆バイアス電圧によってレーザ装置が故障することを防止することができる。
なお、上記実施例では、基板上に単一のツェナーダイオードを形成したが、複数のツェナーダイオードを形成するようにしてもよい。また、ツェナーダイオードやVCSELのポスト径やポストの形状は、設計事項により適宜変更することが可能である。さらに、上記実施例におけるVCSELは、GaAs系の化合物半導体レーザを示したが、これ以外にも窒化ガリウム系やガリウムインジウム系を用いた半導体レーザであってもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明に係る半導体レーザ装置は、光ファイバ等を利用した光通信機器やそれを用いた光通信システム、ならびに光学的な読み書きを行う電子装置、複写機等の光源などにおいて利用することができる。
本発明の実施例に係る半導体レーザ装置の等価回路図である。 本発明の第1の実施例に係る半導体レーザ装置を示し、図2Aは模式的な平面図、図2BはX−X線断面矢視図である。 本発明の第2の実施例に係る半導体レーザ装置を示し、図3Aは模式的な平面図、図3BはX−X線断面矢視図である。 本発明の第3の実施例に係る半導体レーザ装置の断面図である。 第3の実施例に係る半導体レーザ装置の変形例である。 図6A、6B、6Cは、第1の実施例に係る半導体レーザ装置の製造工程を示す断面図である。 図7A、7B、7Cは、第1の実施例に係る半導体レーザ装置の製造工程を示す断面図である。 図8A、8Bは、第1の実施例に係る半導体レーザ装置の製造工程を示す断面図である。 図9A、9Bは、第2の実施例に係る半導体レーザ装置の製造工程を示す断面図である。
符号の説明
1:半導体レーザ装置
10:VCSEL
20:ツェナーダイオード
101:基板
110:AlAs層(電流狭窄層)
111、210:酸化領域
113:層間絶縁膜
114:コンタクトホール
115:p側電極層
116:レーザ出射窓
117:n側電極層
200、202:n型の半導体領域
220:コンタクトホール
230、250;電極層
240:連結層

Claims (20)

  1. 基板上に保護素子を含む半導体レーザ装置であって、
    第1導電型の第1のミラー層、第2導電型の第2のミラー層、第1および第2のミラー層にサンドイッチされた活性領域、第1のミラー層に電気的に接続される第1の電極層、および第2のミラー層に電気的に接続される第2の電極層を有する面発光型半導体レーザと、
    第1導電型の第1の半導体領域、当該第1の半導体領域の一部に形成され、かつ第1の半導体領域との間にPN接合面を有する第2導電型の第2の半導体領域、第1の半導体領域に電気的に接続される第3の電極層、および第2の半導体領域に電気的に接続される第4の電極層を有する少なくとも1つのツェナーダイオードとを備え、
    第1の電極層と第4の電極層とが電気的に接続され、第2の電極層と第3の電極層とが電気的に接続される、半導体レーザ装置。
  2. ツェナーダイオードは、第1のミラー層と同一組成のエピタキシャル層を含み、当該エピタキシャル層の一部に第2導電型の第2の半導体領域が形成される、請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 第2の半導体領域は、第1の半導体領域の一部に不純物を拡散することによって形成される、請求項2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 第1の半導体領域が3−5族化合物半導体層であるとき、不純物は、2族、4族または6族元素のいずれか1つを含む、請求項3または4に記載の半導体レーザ装置。
  5. 不純物は、C(炭素)、Si(珪素)、またはSe(セレン)のいずれか1つを含む、請求項3または4に記載の半導体レーザ装置。
  6. 第2の半導体領域は、気相拡散、液相拡散、または固相拡散によって形成される、請求項3、5または6に記載の半導体レーザ装置。
  7. 第2の半導体領域は、2×1018から1×1020/cmの不純物濃度を有する、請求項3ないし6いずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  8. 第2の半導体領域は、第1の半導体領域に対して不純物イオンを注入することによって形成される、請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
  9. 第1の半導体領域が3−5族化合物半導体層であるとき、H+の不純物を注入する、請求項8に記載の半導体レーザ装置。
  10. ツェナーダイオードは、基板上において絶縁膜を介して形成される、請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  11. 絶縁膜は、エピタキシャル層の一部を酸化することにより形成される、請求項10に記載の半導体レーザ装置。
  12. 面発光型半導体レーザは、活性領域に隣接して選択酸化により形成された電流狭窄層を含み、前記絶縁膜は、当該電流狭窄層と同一組成である、請求項10または11に記載の半導体レーザ装置。
  13. ツェナーダイオードのツェナー電圧は、面発光型半導体レーザの駆動電圧よりも高い、請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  14. ツェナー電圧は、少なくとも約3ボルトである、請求項13に記載の半導体レーザ装置。
  15. 面発光型半導体レーザおよびツェナーダイオードは、基板上において実質的に等しい高さの第1、第2のポストを有し、第1のポストの第1のミラー層にコンタクトされた第1の電極層は、第1のポストの側面を延在する第1の金属配線層に接続され、該第1の金属配線層はさらに第2のポストの側面を延在し、第2のポストの第2の半導体領域にコンタクトされた第4の電極層に接続される、請求項1ないし14いずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  16. 面発光型半導体レーザの第2の電極層は、基板の裏面に形成され、第2の電極層は、基板に形成されたスルーホールを介して第2の金属配線層に接続され、該第2の金属配線層は第1の半導体領域にコンタクトされた第3の電極層に接続される、請求項15に記載の半導体レーザ装置。
  17. 基板上に保護素子を含む半導体レーザ装置の製造方法であって、
    少なくとも第1の導電型の第1のミラー層、第2の導電型の第2のミラー層および第1、第2のミラー層によってサンドイッチされる活性領域とを含む複数の半導体層を基板上に積層し、
    基板上の複数の半導体層をエッチングして少なくとも第1、第2のポストを形成し、
    第1、第2のポストに含まれる化合物半導体層を酸化し、第1のポストの化合物半導体層の酸化領域によって包囲された導電性領域を形成し、第2のポストの化合物半導体層のすべてを酸化し、
    第2のポストの第1のミラー層内に、第2導電型の半導体領域を形成し、
    第2のポストの第2導電型の半導体領域と第1のポストの第1のミラー層とを電気的に接続する、
    工程を有する半導体装置の製造方法。
  18. 第2導電型の半導体領域は、第1のミラー層内に不純物を拡散することによって形成される、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
  19. 第2導電型の半導体領域は、第1のミラー層内に不純物をイオン注入することによって形成される、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
  20. 第2のポストの第1のミラー層と第2導電型の半導体領域は、ツェナーダイオードを構成する、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
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