JP2005347388A - 半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】Al酸化層の生成に伴う歪(応力)の影響を軽減することにより、信頼性が高く、素子寿命の長い面発光型半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】基板11上のp側電極19と活性層14との間に酸化工程を経て形成される第1の電流狭窄層17を有し、かつ、活性層14と第1の電流狭窄層17との間に酸化工程を経ることなく形成された第2の電流狭窄層22を有する。酸化工程を要する第1の電流狭窄層17が活性層14から離れた部位に形成されるので、この第1の電流狭窄層17としてのAl酸化層17Bを形成する際、その生成に伴う歪(応力)が活性層14に与える影響が軽減される。主として、第1の電流狭窄層17は光を閉じこめる機能を有し、一方、第2の電流狭窄層22は電流を狭窄する機能を有するので、それぞれの狭窄面積を調整することにより、モードの制御、および素子抵抗の制御が可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】基板11上のp側電極19と活性層14との間に酸化工程を経て形成される第1の電流狭窄層17を有し、かつ、活性層14と第1の電流狭窄層17との間に酸化工程を経ることなく形成された第2の電流狭窄層22を有する。酸化工程を要する第1の電流狭窄層17が活性層14から離れた部位に形成されるので、この第1の電流狭窄層17としてのAl酸化層17Bを形成する際、その生成に伴う歪(応力)が活性層14に与える影響が軽減される。主として、第1の電流狭窄層17は光を閉じこめる機能を有し、一方、第2の電流狭窄層22は電流を狭窄する機能を有するので、それぞれの狭窄面積を調整することにより、モードの制御、および素子抵抗の制御が可能になる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電流狭窄層を有する半導体レーザ素子に係り、特に、AlAs(アルミニウ
ム・ヒ素)層の選択酸化により形成される電流狭窄層を有する半導体レーザ素子に関する。
ム・ヒ素)層の選択酸化により形成される電流狭窄層を有する半導体レーザ素子に関する。
面発光型半導体レーザ素子は、従来のファブリペロー共振器型半導体レーザ素子とは異なり、基板に対して直交方向に光を出射するものであり、同じ基板上に2次元アレイ状に多数の素子を配列することが可能であることから、近年、データ通信分野で注目されている。この面発光型半導体レーザ素子では、一般に、AlAs層の選択酸化により電流狭窄構造が設けられている。
面発光型半導体レーザ素子は、GaAsやInPといった半導体基板上に1対の半導体多層膜反射鏡(例えば、GaAs系ではAl(Ga)As/GaAlAs等)を形成し、その対の反射鏡の間に発光領域となる活性層を有するレーザ構造部を備えている。そして、電流効率を高め、閾値電流値を下げるために、Al酸化層で電流狭窄構造を構成した酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子が提案されている。例えば、GaInNAs系材料は、GaAs基板上に形成できるので、熱伝導率が良好で、反射率の高いAlGaAs系DBRミラー層を用いることができ、1.2μm〜1.6μmの長波長域の光を発光できる面発光型半導体レーザ素子として有望視されている。
図9は、このような電流狭窄構造を有する従来の850nm帯の面発光型半導体レーザ素子の断面構造を表したものである。この半導体レーザ素子110は、n型GaAsからなる基板111上に、それぞれの層の厚さがλ/4n(λは発振波長、nは屈折率)のn型Al0.9GaAs/n型Al0.2GaAsの35ペアからなる下部DBRミラー層112、下部クラッド層113、GaInAsからなる活性層114、上部クラッド層115、およびそれぞれの層の厚さがλ/4n(λは発振波長、nは屈折率)のp型Al0.9GaAs/p型Al0.2GaAsの25ペアからなる上部DBRミラー層116、絶縁層118、p側電極119、n側電極120、電極パッド121およびp型コンタクト層122を備えている。
上部DBRミラー層116のうち、活性層114に近い側の一層はAl0.9GaAs層に代わってAlAs層117Aで形成されており、このAlAs層117Aの電流注入領域以外の外周領域のAl(アルミニウム)が選択的に酸化されることによりAl酸化層117Bからなる電流狭窄層117を構成している。
ところで、このような従来の酸化層狭窄型の半導体レーザ素子110では、AlAs層117Aの一部がAl酸化層117Bに転化すると、電流狭窄層117の体積は酸化前のAlAs層117Aのそれと比べて収縮するため、電流狭窄層117に隣接する化合物半導体層に応力が発生する。その際、活性層114は電流狭窄層117の近傍に位置するので、その応力により損傷する場合があり、活性層114の損傷により素子寿命が短くなるという問題があった。そこで、このような素子寿命の短縮化を防ぐために、AlAs層117Aに代えて、ガリウム(Ga)を微量に含んだAl0.98GaAs層を用ること、またはAlAs層117Aの厚さを40nm程度に薄くしてAl酸化層117Bに転化した際の体積の収縮により発生する応力を小さくすることが、特許文献1において提案されている。
特開2003−8142号公報
しかしながら、上述のように電流狭窄層としてAl0.98GaAs層または薄いAlAs層を用いると、これらの層の酸化速度が通常の膜厚60nmのAlAs層を用いた場合に比べて、一桁程度低下する。従って、Al酸化層の幅を従来のものと同一にするためには、酸化時間を長くしたり、酸化温度を上げたりしなければならない。その結果、これらの層の酸化工程時に露出している上部DBRミラー層116も強い酸化条件に曝されるので、上部DBRミラー層116を構成するAl組成の高い、すなわち低屈折率側の層であるp型Al0.9GaAs層が酸化されてしまう。
また、酸化により形成される上部DBRミラー層116の酸化層の幅は、電流狭窄用のAl酸化層の組成や厚さにより決まる酸化条件、および上部DBRミラー層116を構成する化合物半導体層の組成や厚さに依存するものの、少なくとも約2〜5μm程度ある。約2〜5μmという酸化の度合いは上部DBRミラー層116の径の大きさからすれば小さいものの、上部DBRミラー層116を構成するp型Al0.9GaAs層は何層にも渡って積層されているので、体積の収縮は無視できないほど大きくなる。そのため、収縮により発生する応力も大きくなり、その応力によって素子寿命が短くなり、また、信頼性の低下を引き起こす虞がある。また、上部DBRミラー層116のそれぞれの層の厚さはλ/4nであるので、発振波長λが長波長になる程、その影響が大きくなる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、選択酸化により形成される電流狭窄層の生成に伴う歪(応力)の影響を軽減することができ、寿命が長く、かつ信頼性の向上した半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明の半導体レーザ素子は、基板上に、活性層を含む積層構造を有すると共に、前記積層構造上に前記活性層に電流を注入するための第1導電型の電極を備えると共に、以下の二種類の電流狭窄層を備えている。
(A)第1導電型の電極と活性層との間に酸化工程を経て形成される第1の電流狭窄層
(B)活性層と第1電流狭窄層との間に酸化工程を経ることなく形成される第2の電流狭窄層
(A)第1導電型の電極と活性層との間に酸化工程を経て形成される第1の電流狭窄層
(B)活性層と第1電流狭窄層との間に酸化工程を経ることなく形成される第2の電流狭窄層
本発明の半導体レーザ素子では、主に、酸化工程を要しない第2の電流狭窄層によって活性層に注入される電流が狭窄される一方、酸化工程を経て形成される第1の電流狭窄層によって活性層から離れた部位において光が閉じ込められる。
本発明の面発光型半導体レーザ素子によれば、酸化工程を経て形成される電流狭窄層(第1の電流狭窄層)に加え、この第1の電流狭窄層と活性層との間に、酸化工程を経ることなく形成可能な第2の電流狭窄層を設けるようにしたので、第1の電流狭窄層の酸化工程時に生ずる歪(応力)の活性層への影響を軽減することができ、素子の信頼性を高めることができると共に素子寿命が長くなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る酸化層狭窄型の面発光型半導体レーザ素子10の断面構造を表したものである。この面発光型半導体レーザ素子10は、基板11の一面側に、下部DBRミラー層12、下部クラッド層13、活性層14、上部クラッド層15および上部DBRミラー層16が順に積層された構造を有している。
基板11、下部DBRミラー層12、下部クラッド層13、活性層14、上部クラッド層15および上部DBRミラー層16は、GaAs(ガリウム・ヒ素)系の化合物半導体によりそれぞれ構成されている。なお、GaAs系化合物半導体とは、短周期型周期表における3B族元素のうち少なくともガリウム(Ga)と、短周期型周期表における5B族元素のうち少なくともヒ素(As)とを含む化合物半導体のことをいう。
基板11は、例えばn型GaAsにより構成されている。下部DBRミラー層12は、例えばそれぞれの層の厚さがλ/4n(λは発振波長、nは屈折率)のn型Al0.9GaAs/n型Al0.2GaAsの35ペアにより構成されている。下部クラッド層13は、例えばn型AlGaAsにより構成されている。活性層14は、例えばGaInNAs混晶により構成されている。上部クラッド層15は、例えばp型AlGaAsにより構成されている。上部DBRミラー層16は、例えばそれぞれの層の厚さがλ/4n(λは発振波長、nは屈折率)のp型Al0.9GaAs/p型Al0.2GaAsの25ペアにより構成されている。この上部DBRミラー層16は、活性層14のうち電流が注入される電流注入領域に対応して設けられており、上部DBRミラー層16の、光の出射方向(Z)に垂直な方向(R)における幅(以下、単に幅という)は、活性層14および下部クラッド層13などの幅よりも狭くなっている。
上部DBRミラー層16上には、p型コンタクト層26およびp側電極19が順に積層されている。上部DBRミラー層16のR方向の周囲において、上部クラッド層15上に第1の絶縁層18が積層されており、この第1の絶縁層18上にp側電極19に接するよう電極パッド21が設けられている。基板11の裏面にはn側電極20が積層されている。第1の絶縁層18は、例えばポリイミドにより構成されている。
なお、上部DBRミラー層16において、上部クラッド層15より5ペア離れたp型Al0.9GaAs層の部位が、p型Al0.9GaAs層に代わって、AlAs層17Aにより形成されると共に、そのAlAs層17Aの中央(電流注入領域)を除く外周領域が選択的に酸化され、Al酸化層17Bとなっている。これらのAlAs層17AおよびAl酸化層17Bにより第1の電流狭窄層17が構成されている。すなわち、この第1の電流狭窄層17は、従来の電流狭窄層と同じく酸化工程を経て形成されたものである。
また、上部DBRミラー層16において、活性層14に最も近い側のp型Al0.2GaAs層の部位が、p型Al0.2GaAs層に代わってn型Al0.2GaAs層22Bにより形成されると共に、そのn型Al0.2GaAs層22Bの中央(電流注入領域)を除く外周領域が選択的にp型Al0.2GaAs層22Aに転化されている。これらn型Al0.2GaAs層22Bおよびp型Al0.2GaAs層22Aにより第2の電流狭窄層22を構成している。この第2の電流狭窄層22は、第1の電流狭窄層17とは異なり、酸化工程を経ることなく形成されたものである。
本実施の形態において、p側電極19は、本発明における第1導電型の電極、n側電極20は、本発明における第2導電型の電極の一具体例にそれぞれ相当する。また、p型Al0.2GaAs層22Aは、本発明における第1導電型の半導体層、n型Al0.2GaAs層22Bは、本発明における第2導電型の半導体層の一具体例にそれぞれ相当している。
次に、図2〜図7を参照して上記面発光型の半導体レーザ素子10の製造方法について説明する。
まず、n型の{100}基板11上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition )法により、例えば、基板温度810℃、成長圧力0.007MPaの条件下で、それぞれの層の厚さがλ/4n(λは発振波長、nは屈折率)のn型Al0.9GaAs/n型Al0.2GaAsの35ペアからなる下部DBRミラー層12、n型AlGaAsからなる下部クラッド層13、GaInNAsからなる活性層14、p型AlGaAsからなる上部クラッド層15およびn型Al0.2GaAs層22Bを順次結晶成長させる(図2)。
次に、そのn型Al0.2GaAs層22B上にCVD(Chemical Vapor Deposition )法により第2の絶縁層23(例えば、SiO2 もしくはSiN)を0.5μm堆積させ、その第2の絶縁層23をマスクパターニングとRIE(Reactive Ion Etching)によって直径10μmの円形状に300μmピッチで掘削する。このとき、後の工程にて精確にマスクを合わせられるようにするために、その第2の絶縁層23上にマーカ24を同時に設ける。このとき、マスクパターンは、例えば図8に示したようになる。続いて、AsH3 (アルシン)とDEZn(ディエチルジンク)雰囲気中で熱処理することにより、上記のように掘削された円形状の開口部25の内部において露出しているn型Al0.2GaAs層22Bをp型化する(図3)。なお、開口部25の内部において露出している領域のみをp型化するので、電流はこのp型化された領域(p型Al0.2GaAs層22A)を集中して流れるようになる。すなわち、このn型Al0.2GaAs層22Bおよびp型Al0.2GaAs層22Aが第2の電流狭窄層22として機能する。
その後、CF4などのガスを用いたドライエッチングによってマーカ24以外の第2の絶縁層23を除去する(図4)。続いて、MOCVD法により、例えば基板温度810℃、成長圧力0.007MPaの条件下で、それぞれの層の厚さがλ/4nのp型Al0.9GaAs/p型Al0.2GaAsの25ペアからなる上部DBRミラー層16およびp型コンタクト層26を順次結晶成長させる。このうち1ペア目のp型Al0.2GaAs層の部位には、p型Al0.2GaAs層の代わりに上記の第2の電流狭窄層22が形成される。また、4ペア目のp型Al0.9GaAs層の部位には、p型Al0.9GaAs層の代わりにp型AlAs層17Aが形成される(図5)。この層は、後に詳述するが、第1の電流狭窄層17へ転化させるために形成されたものである。
マーカ24の上には、上部DBRミラー層16およびp型コンタクト層26の成長により結晶が堆積するが、マスクパターニングとRIEによって、この堆積物を選択的に除去し、マーカ24のパターンが明瞭に見えるようにする(図6)。
さらに、上記のp型Al0.2GaAs層22Aの周辺に堆積した堆積層をフォトリソグラフィとRIEによって直径30μmの円形のメサポストに加工するが、このときp型Al0.2GaAs層22Aの中央と、メサポストの中央が一致するよう、マーカ24を用いて精確にマスクの位置を決める。RIE工程ではAlAs層17Aよりも下方の層まで、エッチングしてメサポストに加工したのち、水蒸気雰囲気中にて、約400℃の温度で酸化処理を行い、メサポストの外側からAlAs層17AのAlを選択的に酸化する。これにより、Al酸化層17Bが形成される(図7)。
ここで、Al酸化層17Bの径方向の幅が例えば10μmの帯状のリングとなった場合には、径の中心領域にあるAlAs層17Aの面積、即ち電流注入される面積(アパーチャ)は、約80μm2になる。このような構造を有することにより、電流はこのAlAs層17Aを集中して流れるようになる。すなわち、これらAlAs層17AおよびAl酸化層17Bが第1の電流狭窄層17として機能する。また、Al酸化層17Bは隣接する化合物半導体の屈折率と大きく異なる屈折率を有するので、光を反射する機能も有していることが分かる。
Al酸化層17Bを形成したのち、メサポストの周囲にポリイミドからなる第1の絶縁層18を堆積させ、メサポストの上部に外周5μm〜10μm程度の幅で接触するリング状電極(p側電極19)を設ける。続いて、下部DBRミラー層12等が積層されている面側と反対の面側の基板11の表面を適宜研磨して、基板厚さを例えば200μm厚に調整した後、その面上にn側電極20を形成する。更に、第1の絶縁層18上に、外部端子とワイヤで接続するための電極パッド21をp側電極19と接触するように形成する。以上により、図1に示したような面発光型の半導体レーザ素子10が完成する。
このようにして得られた面発光型の半導体レーザ素子10では、n側電極20とp側電極19との間に所定の電圧が印加されると、第1の電流狭窄層17および第2の電流狭窄層22からなる電流注入領域を通して活性層14に電流が注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光は、一対の下部DBRミラー層12および上部DBRミラー層16により反射され、素子内を一往復したときの位相の変化が2πの整数倍となる波長でレーザ発振を生じ、レーザビームとして外部に出射される。
このとき、第2の電流狭窄層22のn型Al0.2GaAs層22Bは、隣接するp型AlGaAsからなる上部クラッド層15と逆バイアスの関係となるので、電流を狭窄することができる。ただし、第2の電流狭窄層22は、従来の電流狭窄層118(図9)のAl酸化層117のように、隣接する半導体と屈折率が大きく異なる層を有していないので、Al酸化層を有する電流狭窄層と比べると光を閉じ込める力が弱い。そのため、従来の面発光型半導体レーザ素子110において、従来の電流狭窄層118を単純に第2の電流狭窄層22に置き換えることは困難である。
しかし、一般に、面発光型半導体レーザ素子は、活性層から少し離れた部位において光を閉じ込めるようにしてもレーザ発振させることができ、さらに、第2の電流狭窄層22は、上述のように電流を狭窄することができる。これらを勘案すると、本実施の形態の面発光型半導体レーザ素子10において、従来の電流狭窄層118が配置されていた活性層14近傍に第2の電流狭窄層22を配置することにより、第1の電流狭窄層17を活性層14から遠く離れた部位に配置することができる。
このように本実施の形態では、Al酸化層17Bを有する第1の電流狭窄層17の他にに第2の電流狭窄層22を設け、第1の電流狭窄層17を活性層14から離れた部位に構成するようにしたので、第1の電流狭窄層17としてのAl酸化層17Bを形成する際、その生成に伴う歪(応力)が活性層14に与える影響を軽減させることができる。その結果、半導体レーザ素子10の信頼性を高めることができ、また、寿命を長くすることができる。特に、活性層14が基板11と格子整合しない場合に、有効である。
更に、第1の電流狭窄層17を活性層14から0.6μm以上離れた部位に配置した場合は、Al酸化層17Bの生成に伴う歪(応力)が活性層14に与える影響を殆どなくすことができる。
また、本実施の形態では、第1の電流狭窄層17は光を閉じこめる機能を有し、一方、第2の電流狭窄層22は電流を狭窄する機能を有するので、それぞれの狭窄面積を調整することにより、モードの制御、および素子抵抗の制御をすることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
例えば、第1の電流狭窄層17の位置は、活性層14と電極との間の位置であればよく、Al酸化層17Bに転化した際の体積の収縮により発生する応力が活性層14に及ぼす影響が小さい位置であれば、任意である。
第2の電流狭窄層22の位置についても、第1の電流狭窄層17と活性層14との間であればよく、上部DBRミラー層16におけるp型Al0.2GaAs層の部位だけでなくp型Al0.9GaAs層の部位であってもよい。さらに、隣接する複数の層が第2の電流狭窄層22として構成されるようにしてもよい。
また、第1の電流狭窄層17において、AlAs層17Aの代わりにAl0.97GaAs層としてもよく、さらにAlAs層17Aを酸化することにより形成されるAl酸化層17Bの代わりにAl0.97GaAs層を酸化することにより形成されるAl酸化層としてもよい。
また、第2の電流狭窄層22において、n型Al0.2GaAs層22Bの代わりに、不純物が無添加のアンドープAl0.2GaAs層としてもよい。アンドープAl0.2GaAs層であっても電流を狭窄することができるからである。
また、第2の電流狭窄層22において、n型Al0.2GaAs層22Bおよびp型Al0.2GaAs層22Aの代わりに、p型Al0.2GaAs層およびp型Al0.2GaAsにボロンなどを注入して高抵抗化された高抵抗層としてもよい。このような構成であっても電流を狭窄することができるからである。
更に、レーザ素子を構成する各層の組成および膜厚は、特に本実施の形態に限定されるものではなく、例えば素子がP(リン)系の化合物半導体で構成されるようにしてもよい。
また、上記製造工程において、第2の電流狭窄層22を形成する際に、AsH3とDEZn雰囲気中で熱処理を施すことにより、開口部25の内部において露出しているn型Al0.2GaAs層22Bをp型化する方法を採用したが、ZnOをp型化する部分のみに堆積させたのち熱処理することによりp型化するようにしてもよい。すなわち、p型化する方法は特に限定されるものではなく、部分的にp型化することができる方法であれば何でもよい。
なお、本発明の面発光型半導体レーザ素子は、上記の製法によって製造されたものに限定されるものではない。
10…半導体レーザ素子、11…基板、12…下部DBRミラー層、13,…下部クラッド層、14…活性層、15…上部クラッド層、16…上部DBRミラー層、17…第1の電流狭窄層、17A…AlAs層、17B…Al酸化層、18…第1の絶縁層、19…p側電極、20…n側電極、21…電極パッド、22…第2の電流狭窄層、22A…p型Al0.2GaAs層、22B…n型Al0.2GaAs層、23…第2の絶縁層、24…マーカ、25…開口部、26…p型コンタクト層
Claims (10)
- 基板上に、活性層を含む積層構造を有すると共に、前記積層構造上に前記活性層に電流を注入するための第1導電型の電極を備えた半導体レーザ素子であって、
前記第1導電型の電極と前記活性層との間に酸化工程を経て形成されると共に電流注入領域を有する第1の電流狭窄層と、
前記活性層と前記第1電流狭窄層との間に酸化工程を経ることなく形成されると共に電流注入領域を有する第2の電流狭窄層と
を備えたことを特徴とする半導体レーザ素子。 - 前記第1の電流狭窄層は、前記活性層より0.6μm以上離して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2の電流狭窄層は、前記電流注入領域が第1導電型の半導体層、その周囲の狭窄領域が第2導電型の半導体層により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2の電流狭窄層は、前記電流注入領域が第1導電型の半導体層、その周囲の狭窄領域が不純物無添加の半導体層(真性半導体層)により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2の電流狭窄層は、前記電流注入領域が第1導電型の半導体層、その周囲の狭窄領域が高抵抗層により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 第1導電型のAlGaAs層により構成された多層膜を備え、
前記第1の電流狭窄層は、前記多層膜のうちの一層をAlAs層とし、前記AlAs層の一部を選択酸化することにより形成されたものであり、
前記第2の電流狭窄層は、前記多層膜のうちの一層を第2導電型のAlGaAs層とし、電流注入領域のみを第1導電型に変更して形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記第2の電流狭窄層は,前記多層膜のうちの前記活性層に最も近い層である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記活性層は、3B族元素のうちガリウム(Ga)およびインジウム(ln)の少なくとも1種と、5B族元素のうち窒素(N)およびヒ素(As)の少なくとも1種とを含むIII−V族化合物半導体により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 - 前記活性層は、GaInNAs混晶により構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体レーザ素子。 - 前記基板は、GaAsにより構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
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2004
- 2004-06-01 JP JP2004163136A patent/JP2005347388A/ja active Pending
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