JP2005305384A - フッ素含有排水の処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素含有排水中のフッ素を少ない薬品量で高度に除去し、薬品コストを低減すると共に、発生汚泥量を低減して高水質の処理水を効率的に得る。
【解決手段】フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理工程と、不溶化処理水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、このカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する吸着処理工程の2段処理を行い、後段の吸着処理工程で分離されたフッ素吸着汚泥を酸で溶解した後前段の不溶化処理工程のカルシウム源として循環使用する。フッ素吸着汚泥を酸で溶解処理して循環作用することにより汚泥中の炭酸カルシウムによるフッ化カルシウムの生成阻害の問題を防止した上で、カルシウム塩の必要量を削減することができる。
【選択図】図1
【解決手段】フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理工程と、不溶化処理水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、このカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する吸着処理工程の2段処理を行い、後段の吸着処理工程で分離されたフッ素吸着汚泥を酸で溶解した後前段の不溶化処理工程のカルシウム源として循環使用する。フッ素吸着汚泥を酸で溶解処理して循環作用することにより汚泥中の炭酸カルシウムによるフッ化カルシウムの生成阻害の問題を防止した上で、カルシウム塩の必要量を削減することができる。
【選択図】図1
Description
本発明はフッ素含有排水の処理方法及び装置に係り、特に、フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて該排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去した後、カルシウム塩と二酸化炭素を添加し、このカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去することにより、フッ素濃度が著しく低減された処理水を得るフッ素含有排水の処理方法及び装置に関する。
半導体部品製造におけるシリコンウェハ製造工程から排出されるフッ素含有廃水、ステンレス鋼板製造工程から排出される酸洗廃水、アルミニウム表面処理廃水、フッ酸製造廃水、肥料製造廃水、ゴミ焼却廃水等のフッ素含有排水は、排水基準を満たすようにフッ素の除去処理を行った後排出する必要がある。フッ素含有排水については、その排水基準が平成13年度にフッ素濃度15mg/Lから8mg/Lに強化されたことに伴い、フッ素の除去により、処理水のフッ素濃度をより一層低減することができる処理技術の開発が望まれている。
従来、フッ素含有排水の処理方法としては、フッ素含有排水に消石灰等のカルシウム塩を添加して、排水中のフッ素を難溶性のフッ化カルシウムとして分離する方法が知られているが、この方法では、フッ化カルシウムの溶解度以下に処理水のフッ素濃度を低減することができず、排水基準を満たすことはできない。
特開2002−254086号公報には、排水基準以下にまで処理水のフッ素濃度を低減することが可能な方法として、フッ素含有排水を水酸化カルシウムと接触させ、更に二酸化炭素を加えて水酸化カルシウムとの反応で炭酸カルシウムを生成させる方法が提案されている。この方法では、フッ素と水酸化カルシウムとの反応でフッ化カルシウムを生成させ、更に、水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応で生成する炭酸カルシウム粒子の中にフッ素を封じ込めると共に炭酸カルシウム表面にフッ素を吸着させて、排水中のフッ素を効率的に吸着除去することができるため、処理水のフッ素濃度を排水基準である8mg/L以下に低減することができる。
即ち、被処理水に炭酸カルシウムの結晶を添加して攪拌混合するだけでは、炭酸カルシウム表面とフッ素の反応だけにとどまる。しかしながら、被処理水中で水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応で炭酸カルシウムを生成させた場合には、最終的に生成した炭酸カルシウムの結晶内部にまでフッ素が含まれ、より効率的にフッ素を吸着除去することができる。生成される炭酸カルシウムはフッ素を吸着しつつ結晶粒子を成長させてゆき、反応する水酸化カルシウムが系内から無くなるまで、粒子は次第に大きくなってゆき、最終的に生成された炭酸カルシウムはその表面だけではなく結晶粒子の中にまでフッ素を封じ込めた形態となる。
なお、この方法では、水酸化カルシウムの添加後、pH7〜11、特にpH8〜10となるように二酸化炭素を添加することが好ましいとされている。
特開2002−254086号公報において、pH7〜11、特に8〜10が好ましい理由は次の通りである。即ち、被処理水中に炭酸カルシウムが多く生成されれば上述の理由によりフッ素濃度が低下するため、被処理水中のpHは7に近づくほどフッ素の処理においては効果が高い。しかし、炭酸カルシウムは酸性中で溶解するために、処理したフッ素を再溶出させる可能性がある。従って、被処理水へ二酸化炭素を加える際には、pHがアルカリ側であることが好ましく、具体的にはpH7〜11、特にpH8〜10となるように二酸化炭素の添加量を調整することが好ましい。
特開2002−254086号公報
特開2002−254086号公報の方法であれば、フッ素を高度に吸着除去してフッ素濃度が十分に低減された処理水を得ることができるが、除去するフッ素量に対して、添加する水酸化カルシウム量が100倍以上と、使用薬品量が非常に多いという欠点がある。例えば、特開2002−254086号公報の実施例5において、フッ素濃度10mg/Lのフッ素含有排水を処理してフッ素濃度0.15mg/Lの処理水を得るために(フッ素除去量9.85mg/L)、15g/L(15000mg/L)の水酸化カルシウムを必要としている。このため、薬品コストが高くつき、また、発生汚泥量が多く、その処分も問題となる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去するフッ素処理において、より少ない薬品量でフッ素を高度に除去するフッ素含有排水の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明のフッ素含有排水の処理方法は、フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて該排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理工程と、該不溶化処理工程の処理水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加して、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させ、フッ素を吸着した炭酸カルシウムを固液分離する吸着処理工程とを備えるフッ素含有排水の処理方法であって、該吸着処理工程で固液分離されたフッ素吸着炭酸カルシウムを酸で溶解させた後、前記不溶化処理工程のカルシウム源として用いることを特徴とする。
本発明のフッ素含有排水の処理装置は、フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて該排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理手段と、該不溶化処理手段の処理水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加して、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させ、フッ素を吸着した炭酸カルシウムを固液分離する吸着処理手段とを備えるフッ素含有排水の処理装置であって、該吸着処理手段で固液分離されたフッ素吸着炭酸カルシウムを酸で溶解させた後、前記不溶化処理工程のカルシウム源として前記不溶化処理工程に返送する手段を備えることを特徴とする。
本発明においては、フッ素含有排水の処理を、フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理工程と、不溶化処理水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加して、このカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する吸着処理工程の2段処理で行い、後段の吸着処理工程で分離されたフッ素吸着炭酸カルシウム(以下「フッ素吸着汚泥」と称す。)を前段の不溶化処理工程のカルシウム源として循環使用するため、カルシウム塩の必要量を低減すると共に、発生汚泥量を低減した上で、フッ素を高度に除去して、フッ素が著しく低減された処理水を得ることができる。
このフッ素吸着汚泥の循環使用に当たり、このフッ素吸着汚泥をそのまま前段の不溶化処理工程に返送すると、汚泥中の炭酸カルシウムがフッ素カルシウムの生成を妨害するため、前段におけるフッ素除去効率が悪化するが、本発明では、フッ素吸着汚泥を酸で溶解処理し、下記反応により汚泥中の炭酸カルシウムを分解し、生成したカルシウムイオンを前段の不溶化処理工程に供給するため、このような炭酸カルシウムによるフッ化カルシウムの生成阻害の問題を解決することができる。
CaCO3+2H+→Ca2++CO2+H2O
CaCO3+2H+→Ca2++CO2+H2O
なお、特開2002−254086号公報の図1には、水酸化カルシウムと二酸化炭素を単一の反応槽(攪拌槽10)に添加しており、一段での処理を行っている。特開2002−254086号公報第[0025]段落には「上述したような工程を繰り返して多段にした場合には、さらに高度なフッ素除去処理が可能となる。」との記載があるが、この多段処理とは、炭酸カルシウムによるフッ素の吸着処理を多段で行うものであり、本発明におけるような、不溶化処理工程と吸着処理工程とを行うものではない。また、同段落には「後段にて使用した汚泥を前段へ返送する」の記載はあるが、返送する汚泥を酸で溶解することはもとより、炭酸カルシウムによるフッ化カルシウムの生成阻害についても全く認識されていない。
本発明においては、吸着処理工程において、フッ素吸着汚泥の固液分離を行うに先立ち、汚泥の凝集処理を行う際に、アルミニウム系無機凝集剤を用いることにより、汚泥を前段の不溶化処理工程に返送する際に、このアルミニウム系無機凝集剤由来のアルミニウムイオンを送給することができ、下記反応による水酸化アルミニウムのフッ素吸着効果も利用して、不溶化処理工程の処理水フッ素濃度をより一層低減することができる。
Al(OH)3+3H+→Al3++3H2O
なお、Al3+に吸着したフッ素は、フッ化カルシウムとして不溶化処理される。
Al(OH)3+3H+→Al3++3H2O
なお、Al3+に吸着したフッ素は、フッ化カルシウムとして不溶化処理される。
ところで、フッ素含有排水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させて除去する方法は、次のような反応式に従って、フッ素の処理が行われる。
Ca2++CO3 2−→CaCO3(固体) …(1)
n(CaCO3)+F→(CaCO3)n・F(吸着) …(2)
n(CaCO3)+CaF2→(CaCO3)n・CaF2(共沈) …(3)
Ca2++CO3 2−→CaCO3(固体) …(1)
n(CaCO3)+F→(CaCO3)n・F(吸着) …(2)
n(CaCO3)+CaF2→(CaCO3)n・CaF2(共沈) …(3)
即ち、(1)の反応でカルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した固体の炭酸カルシウムに、(2)のようにフッ素が吸着して除去される。また、カルシウム塩とフッ素との反応で生成した微細、コロイド状のフッ化カルシウムは、固体の炭酸カルシウムと共沈して除去される。従って、(2),(3)の反応でフッ素を高度に除去するためには上記(1)の反応で、固体のCaCO3が生成する必要があるが、HCO3 −やガス状のCO2とCa2+との反応では固体のCaCO3を生成せず、固体のCaCO3の生成のためには、まず、二酸化炭素から炭酸イオン(CO3 2−)が生成する必要がある。しかし特開2002−254086号公報で採用されるpH7〜11の範囲においては、図2に示す水中の炭酸成分の形態分布図からも明らかなように、二酸化炭素がイオン化して炭酸イオン(CO3 2−)になりにくい。このため固体の炭酸カルシウムが生成し難い。
そこで、本発明においては、吸着処理工程において、上記(1)〜(3)の反応を、原水にカルシウムと二酸化炭素を添加してpH11以上で行った後、更に二酸化炭素を添加してpH7〜9で行うようにすることが好ましい。
このように1段目の反応をpH11以上で行うと、水中の炭酸成分の形態が80%以上炭酸イオン(CO2 2−)になるため、固体炭酸カルシウムの生成効率が高い。また、2段目で二酸化炭素(CO2)を更に添加してpHを8〜9に調整することで、炭酸カルシウムの再溶解を防止してフッ素をより効果的に吸着除去することができる。
本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置によれば、少ない薬品量でフッ素を高度に除去することができる。このため、薬品コストを低減すると共に、発生汚泥量を低減して高度にフッ素が除去された高水質の処理水を効率的に得ることができる。
以下に図面を参照して本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置の実施の形態を示す系統図である。
図1において、1は第1不溶化反応槽、2は第2不溶化反応槽、3は第1凝集槽、4は第1沈殿槽であり、第1不溶化反応槽1、第2不溶化反応槽2、第1凝集槽3及び第1沈殿槽4でフッ素の不溶化処理が行われる。また、11は第1吸着反応槽、12は第2吸着反応槽、13は第2凝集槽、14は第2沈殿槽であり、第1吸着反応槽11、第2吸着反応槽12、第2凝集槽13及び第2沈殿槽14でフッ素の吸着処理が行われる。5は調整槽、6は汚泥溶解槽であり、1M,2M,3M,4M,5M,6M,11M,12M,13M,14Mは攪拌機、1P,2P,11P,12PはpH計である。
原水(フッ素含有排水)はまず第1不溶化反応槽1に導入され、消石灰(Ca(OH)2)等のカルシウム塩が添加される。図1では、カルシウム塩は、第1沈殿槽4からの返送汚泥及び汚泥溶解槽6からの溶解処理汚泥と調整槽5で混合された後、第1不溶化反応槽1に添加される。
第1不溶化反応槽1では、調整槽5からのカルシウム塩と返送汚泥との混合物(以下「改質汚泥」と称す場合がある。)の添加でpH8〜12.5、好ましくは10〜11となるように調整される。添加するカルシウム塩としては特に制限はなく、水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)2)、塩化カルシウム等を用いることができるが、一般的には好ましくは水酸化カルシウムが使用される。
第1不溶化反応槽1の処理水は次いで第2不溶化反応槽2に導入され、塩酸(HCl)、硫酸等の酸が添加され、pH6〜8、好ましくは6.2〜6.7に調整される。
第1不溶化反応槽1でカルシウム塩が添加され、第2不溶化反応槽2でpH調整されることにより、フッ素含有排水のフッ素はフッ化カルシウム(CaF2)として不溶化する。この第2不溶化反応槽2の処理水は次いで第1凝集槽3に導入され、高分子凝集剤が添加されて凝集処理された後、沈殿槽4で固液分離される。沈殿槽4の分離水(以下「不溶化処理水」と称す場合がある。)は、次いで第1吸着反応槽11に送給され、分離汚泥は調整槽5に返送されて原水の不溶化処理に循環使用される。
第1凝集槽3に添加する高分子凝集剤としては、例えばアニオン系ポリマー、ノニオン系ポリマーが好ましい。その添加量は通常1〜10mg/L程度とすることが好ましい。
なお、第1,第2不溶化反応槽1,2の反応時間(滞留時間)は、原水の水質や、pH、カルシウム塩添加量、反応槽の型式、その他の条件に応じて適宜決定されるが、第1,第2不溶化反応槽1,2の反応時間はいずれも10〜30分程度とすることが好ましい。
第1沈殿槽4の分離水が導入される第1吸着反応槽11では、不溶化処理水にカルシウム塩を添加すると共に二酸化炭素(CO2)を吹き込んでpH11以上、好ましくは11〜12.5、特に11〜12に調整する。第1反応槽1のpHが11未満では、吹き込まれた二酸化炭素から生成する炭酸イオンの割合が少なく、前記(1)式により、固体の炭酸カルシウムを十分に形成し得ない。
不溶化処理水に添加するカルシウム塩としては特に制限はなく、水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)2)、塩化カルシウム等を用いることができるが、一般的には好ましくは水酸化カルシウムが使用される。
カルシウム塩の添加量は、不溶化処理水のフッ素濃度及び要求される処理水フッ素濃度(フッ素除去量)に応じて適宜決定されるが、カルシウム塩として水酸化カルシウムを用いた場合、その添加量が5000mg/L以下であると、水酸化カルシウム添加によるpHの上昇が少なく、この結果、第1吸着反応槽11でpH12以上となるような二酸化炭素添加量では、二酸化炭素添加量が不足する可能性がある。従って、この場合には、第1吸着反応槽11のpHは特に11〜12の範囲で制御して、第1吸着反応槽11に適量の二酸化炭素が供給できるようにすることが好ましい。また、水酸化カルシウム以外の中性のカルシウム塩を用いる場合には、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を併用して、適量の二酸化炭素の添加後も第1吸着反応槽11のpHが11以上であるように制御する必要がある。
前述の如く、カルシウム塩の添加量は、フッ素除去量に応じて適宜決定されるが、例えばフッ素濃度10〜15mg/L程度の不溶化処理水を、排水基準以下に処理する場合には、水酸化カルシウム等のカルシウム塩を1000〜5000mg/L程度添加して、二酸化炭素を添加しない場合のpHが11.8〜12.0程度となるようにすることが好ましい。
この第1吸着反応槽11では、添加されたカルシウム塩とフッ素との反応でフッ化カルシウムが生成すると共に、pH11以上の条件下で、吹き込まれた二酸化炭素から生成した炭酸イオン(CO3 2−)とカルシウム塩との反応で固体の炭酸カルシウムが生成し、この炭酸カルシウムへのフッ素の吸着、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムとの共沈でフッ素が除去される。
第1吸着反応槽11の処理水は、第2吸着反応槽12に送給され、更に二酸化炭素が吹き込まれて、pH7〜9、好ましくはpH8〜9に調整される。即ち、pH7〜9、好ましくはpH8〜9となるように二酸化炭素が吹き込まれる。この第2吸着反応槽12のpHが7未満では炭酸カルシウムの再溶解のおそれがあり、9を超えるとフッ素の除去性能が低下する。
なお、第1,第2吸着反応槽11,12に吹き込む二酸化炭素としては、純ガス(約100%)の二酸化炭素ガスであっても良く、燃焼排ガス等の二酸化炭素含有ガスであっても良い。そのCO2濃度は0.1〜100%の広い範囲で使用可能であるが、CO2濃度が過度に低いとカルシウム塩との反応が進行し難いため、通常はCO2濃度1.0%以上の二酸化炭素含有ガス又は純ガスを用いることが好ましい。
第2吸着反応槽12では、pH8〜9の条件で固体の炭酸カルシウムへのフッ素の吸着、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムとの共沈がより一層進行し、水中のフッ素が高度に除去される。
第2吸着反応槽12の処理水は、第2凝集槽13で高分子凝集剤及び必要に応じてアルミニウム系無機凝集剤が添加されて凝集処理された後、第2沈殿槽14で固液分離され、分離水は処理水として系外へ排出される。
一方、分離汚泥は、汚泥溶解槽6に送給され、塩酸、硫酸等の酸が添加されて、pH1〜4等の酸性条件で溶解処理される。この汚泥溶解槽6のpHが1未満では、調整槽5に入れるCa(OH)2量が多量になってしまう。pHが4を超えると汚染中の炭酸カルシウムを十分に分解し得ない。この汚泥溶解槽6では、汚泥中の炭酸カルシウムが酸性条件で分解することにより生成した二酸化炭素を撹拌ないしは空気曝気により水中から放出させるようにすることが好ましい。
第2凝集槽13で添加する高分子凝集剤としては、例えばアニオン系ポリマー、ノニオン系ポリマーが好ましい。その添加量は通常1〜10mg/L程度とすることが好ましい。
この第2凝集槽13では、高分子凝集剤と共にアルミニウム系無機凝集剤を併用しても良く、アルミニウム系無機凝集剤としては例えばポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等を用いることができる。このようなアルミニウム系無機凝集剤の添加量は、10〜100mg/L程度(Al換算)とすることが好ましい。
なお、第1,第2吸着反応槽11,12の反応時間(滞留時間)は、不溶化処理水の水質や、pH、カルシウム塩添加量、反応槽の型式、その他の条件に応じて適宜決定されるが、第1,第2吸着反応槽11,12の反応時間はいずれも10〜30分程度とすることが好ましい。また、汚泥溶解槽6の滞留時間は、0.5〜2時間程度とすることが好ましい。
図1は、本発明の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
例えば、前段の不溶化処理工程は、図1のようにカルシウム塩を添加して不溶化した汚泥を返送するHDSと称される高密度汚泥によるフッ素処理法に限らず、晶析法などのように、フッ素をフッ化カルシウムの種晶に析出させて分離除去する方法であっても良い。また、第1,第2沈殿槽の代りに膜分離装置や、遠心分離装置を用いても良い。
このような本発明の方法及び装置により処理するフッ素含有排水のフッ素濃度には特に制限はないが、本発明は、特にフッ素濃度20〜10000mg/L程度のフッ素含有排水の処理に好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
図1に示す装置により、フッ素濃度1000mg/L、pH3.2の原水の処理を5L/hrの通水処理量で行った。第1,第2の不溶化反応槽1,2及び第1,第2吸着反応槽11,12の滞留時間はいずれも12分(槽容量1L)とした。
図1に示す装置により、フッ素濃度1000mg/L、pH3.2の原水の処理を5L/hrの通水処理量で行った。第1,第2の不溶化反応槽1,2及び第1,第2吸着反応槽11,12の滞留時間はいずれも12分(槽容量1L)とした。
調整槽5には、必要量の消石灰を添加して、返送汚泥と共に攪拌し、改質汚泥を第1不溶化反応槽1に添加して、槽内をpH10.5とした。この調整槽5への消石灰の必要添加量(Ca(OH)2換算)は表1に示す通りであった。第2不溶化反応槽2では塩酸(HCl)を添加してpH6.5に調整した。第1凝集槽3で高分子凝集剤として栗田工業(株)製アニオン系ポリマー「PA331」を5mg/L添加した後、第1沈殿槽4で固液分離し、分離汚泥は調整槽5に返送した。
第1沈殿槽4の分離水は第1吸着反応槽11に送給し、消石灰1500mg/L(Ca(OH)2換算)を添加すると共に二酸化炭素の吹き込みでpH11.2に調整した。第2吸着反応槽12では二酸化炭素の吹き込みによりpH8.0に調整した。第2凝集槽13には高分子凝集剤として栗田工業(株)製アニオン系ポリマー「PA331」を5mg/L添加し、第2沈殿槽14で固液分離した。分離汚泥はSS濃度4%のものであり、汚泥溶解槽6に送給して4重量%塩酸の添加でpH2に調整して攪拌することにより溶解処理した。この汚泥溶解槽6の滞留時間は1時間とした。溶解処理後の汚泥のカルシウム濃度は7800mg/Lであり、これをカルシウム濃度として810mg/L(Ca(OH)2として1500mg/L)となるように調整槽5に定量注入した。なお、この実施例では、第2沈殿槽14の分離汚泥(約2000mg/L−DSS)はすべて調整槽5に返送した。
このときの不溶化処理工程の処理水(第1沈殿槽4の分離水)のフッ素濃度と、吸着処理工程の処理水(第2沈殿槽14の分離水=最終処理水)のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
実施例2
実施例1において、第2凝集槽13にアルミニウム系無機凝集剤としてPACを30mg/L(Al換算)添加したこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
実施例1において、第2凝集槽13にアルミニウム系無機凝集剤としてPACを30mg/L(Al換算)添加したこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、第2沈殿槽の分離汚泥の返送を行わなかったこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
実施例1において、第2沈殿槽の分離汚泥の返送を行わなかったこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
比較例2
実施例1において、第2沈殿槽の分離汚泥を溶解処理することなくそのまま返送したこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
実施例1において、第2沈殿槽の分離汚泥を溶解処理することなくそのまま返送したこと以外は同様にして処理を行い、調整槽5への消石灰の添加量と各処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
表1より明らかなように、吸着処理工程の分離汚泥を溶解処理して不溶化処理工程に返送した実施例1,2では、不溶化処理工程での消石灰の必要添加量を低減した上で良好な処理水を得ることができる。特に、吸着処理工程においてPACを併用した実施例2では、このPACを含む汚泥が返送されたことでアルミニウムの吸着作用により、より一層処理水のフッ素濃度が低減されている。しかも、実施例1,2では、吸着処理工程での余剰汚泥発生の問題もない。
これに対して、吸着処理工程の分離汚泥の返送を行わない比較例1では、不溶化処理工程での消石灰の必要添加量が実施例1,2の2倍以上と非常に多い。しかも、吸着処理工程の分離汚泥が余剰汚泥として排出される問題もある。
吸着処理工程の分離汚泥を溶解処理することなく返送した比較例2では、不溶化処理工程での消石灰の必要添加量は実施例1,2と同等であるが、返送汚泥中の炭酸カルシウムによるフッ化カルシウムの生成阻害のために処理水のフッ素濃度が高いものとなる。
これらの結果から、本発明によれば、カルシウム塩の必要添加量の低減、発生汚泥量の低減を図った上で、フッ素濃度が著しく低減された高水質処理水を得ることができることが分かる。なお、汚泥溶解槽6に添加する酸として廃酸を用いた場合は、更に薬品コストの低減を図ることができる。
本発明のフッ素含有排水の処理方法及び装置は、半導体部品製造におけるシリコンウェハ製造工程から排出されるフッ素含有廃水、ステンレス鋼板製造工程から排出される酸洗廃水、アルミニウム表面処理廃水、フッ酸製造廃水、肥料製造廃水、ゴミ焼却廃水等のフッ素含有排水を、少ない薬品使用量で効率的に処理して容易に排水基準以下の高水質処理水を得ることができる。
1 第1不溶化反応槽
2 第2不溶化反応槽
3 第1凝集槽
4 第1沈殿槽
5 調整槽
6 汚泥溶解槽
11 第1吸着反応槽
12 第2吸着反応槽
13 第2凝集槽
14 第2沈殿槽
2 第2不溶化反応槽
3 第1凝集槽
4 第1沈殿槽
5 調整槽
6 汚泥溶解槽
11 第1吸着反応槽
12 第2吸着反応槽
13 第2凝集槽
14 第2沈殿槽
Claims (6)
- フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて該排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理工程と、該不溶化処理工程の処理水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加して、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させ、フッ素を吸着した炭酸カルシウムを固液分離する吸着処理工程とを備えるフッ素含有排水の処理方法であって、
該吸着処理工程で固液分離されたフッ素吸着炭酸カルシウムを酸で溶解させた後、前記不溶化処理工程のカルシウム源として用いることを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。 - 請求項1において、前記吸着処理工程において、炭酸カルシウムにフッ素を吸着させた後、アルミニウム系無機凝集剤を添加して凝集処理することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
- 請求項1又は2において、前記吸着処理工程において、前記不溶化処理工程の処理水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してpH11以上で反応させた後、二酸化炭素を添加してpH7〜9で反応させることを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
- フッ素含有排水をカルシウム塩と接触させて該排水中のフッ素をフッ化カルシウムとして分離除去する不溶化処理手段と、該不溶化処理手段の処理水に、カルシウム塩と二酸化炭素を添加して、該カルシウム塩と二酸化炭素との反応で生成した炭酸カルシウムにフッ素を吸着させ、フッ素を吸着した炭酸カルシウムを固液分離する吸着処理手段とを備えるフッ素含有排水の処理装置であって、
該吸着処理手段で固液分離されたフッ素吸着炭酸カルシウムを酸で溶解させた後、前記不溶化処理工程のカルシウム源として前記不溶化処理工程に返送する手段を備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。 - 請求項4において、前記吸着処理手段が、フッ素吸着炭酸カルシウムを、アルミニウム系無機凝集剤で凝集処理する手段を備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
- 請求項4又は5において、前記吸着処理手段が、前記不溶化処理手段の処理水にカルシウム塩と二酸化炭素を添加してpH11以上で反応させる第1の吸着反応槽と、該第1の反応槽の処理水に更に二酸化炭素を添加してpH7〜9で反応させる第2の吸着反応槽とを備えることを特徴とするフッ素含有排水の処理装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004129770A JP2005305384A (ja) | 2004-04-26 | 2004-04-26 | フッ素含有排水の処理方法及び装置 |
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JP (1) | JP2005305384A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013141627A (ja) * | 2012-01-10 | 2013-07-22 | Mitsubishi Electric Corp | 水処理方法及び水処理装置 |
CN109879550A (zh) * | 2019-04-08 | 2019-06-14 | 重庆港力环保股份有限公司 | 光伏电池生产废水净化系统 |
-
2004
- 2004-04-26 JP JP2004129770A patent/JP2005305384A/ja active Pending
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CN109879550B (zh) * | 2019-04-08 | 2023-11-21 | 重庆港力环保股份有限公司 | 光伏电池生产废水净化系统 |
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